JP2018160639A - 高周波基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】高密度実装された高周波基板の放熱性を高め、長期にわたって電子機器を発熱から保護できる、安価で放熱性に優れた高周波基板を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の高周波基板は、大電力供給用ガラスエポキシ基板(FR-4)と、比誘電率が5以下(1GHz)の低誘電率を有するフッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマーの群から選ばれる一種の基材の少なくとも片面に窒化アルミ二ウム層及び銅層が形成された高周波信号高速伝送用基板と、を備える高周波基板である。【選択図】なし

Description

本発明は、大電力の伝送機能と高周波信号の高速伝送機能とを備える高周波基板に関する。さらに詳しくは、大電力伝送用ガラスエポキシ基板と、低誘電率を有する基材に窒化アルミニウム層及び銅層が形成された高周波信号高速伝送用基板と、を備える放熱性に優れた高周波基板に関する。
近年、電子機器の高性能化、小型化の要求に伴い、半導体等の電子部品の高密度化、高機能化が要求されている。特に高周波帯域を使用する通信機器の小型化に加え、通信速度の高速化によって、単位体積あたりの発熱量が増加している。
このような高周波信号の高速伝送デバイスの実用化には、種々の課題が指摘されているが、最も大きな課題の一つに発熱問題がある。高出力・高密度で作動させるため高温になり、その信頼性が大きく低下してしまう。従って、この発熱を早く効率的に放熱することにより、信頼性の低下を防止し、長期信頼性を向上することが重要な課題となっている。
高周波信号の高速伝送を実現するために、種々の配線基板の改善が検討されている。通常、高周波回路に採用されるプリント基板は、使用する周波数・許容されるサイズ・コストなどを総合的に判断して最適なプリント基板の材質を選択するが、ガラス繊維とエポキシ樹脂、アラミド繊維とエポキシ樹脂、フレキシブル性を備えたポリイミド樹脂に電解銅箔を貼り付けた基板が用いられてきた。
例えば、特許文献1には、プリント基材に貼り付ける銅箔との密着性を高めるために、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、タングステンを添加し、銅の粒径を粗大化した高周波基板が開示されている。しかしながら、高周波伝送にはこの粗大化した場所で信号が反射して信号の伝送損失が増加するという問題があった。
特許文献2には、伝送損失の低減を目的として、高周波基板の銅箔に、直径が0.05μm〜1.0μmの球状粒子による粗化処理を施し、その上にモリブデン、ニッケル、タングステン等の金属耐熱層とクロメート皮膜層とシランカップリング剤層を積層する高周波基板の製造方法が開示されている。しかしながら、これらの積層体を形成するには、複雑な工程を要することや、得られる銅箔の表面粗さは、高周波基板用として十分とは言えないなどの問題があった。このように、高周波基板として幅広く採用され旺盛な需要に対応するためには、高品質で、且つ低価格である高周波基板が要求されている。
特開平11−256389号公報 特開2006−210689号公報
本発明は、高密度実装された高周波基板の放熱性を高め、長期にわたって電子機器を発熱から保護できる、安価で放熱性に優れた高周波基板を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、大電力供給用基板としてガラスエポキシ基板(FR-4)を用い、高周波信号高速伝送用基板として低誘電率を有するフッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマーの群から選ばれる一種の基材の少なくとも片面に窒化アルミ二ウム層及び銅層を備える基板とを、接着層により接合する構成の高周波基板とすることで、安価で優れた放熱性を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の高周波基板は、大電力供給用ガラスエポキシ基板(FR-4)と、比誘電率が5以下(1GHz)の低誘電率を有するフッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマーの群から選ばれる一種の基材の少なくとも片面に窒化アルミ二ウム層及び銅層が形成された高周波信号高速伝送用基板と、を備えることを特徴とする。
本発明の高周波基板は、汎用の銅貼りガラスエポキシ基板(FR-4)と窒化アルミ二ウム層及び銅層を積層した低誘電率を有する基板とを、接着層を介して貼り合せることにより、大電力用配線と、高速伝送用配線とを、一つの基板内に配線することを可能とし、安価な高周波基板を提供することができる。また、高周波信号高速伝送用基板に高い熱伝導性を有する窒化アルミ二ウム層及び銅層を備えるため放熱性に優れ、信頼性の高い高周波基板として好適に使用することができる。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の高周波基板は、大電力供給用ガラスエポキシ基板(FR-4)と、比誘電率が5以下(1GHz)の低誘電率を有するフッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマーの群から選ばれる一種の基材の少なくとも片面に窒化アルミ二ウム層及び銅層が形成された高周波信号高速伝送用基板と、を備えることを特徴とする。
本発明の高周波基板は、高密度に実装された基板の放熱性を高めており、長期間使用による発熱を効率的に放熱することで、実装された電子機器の信頼性の低下を防止し、高周波基板として放熱性に優れている。本発明の高周波基板は、優れた放熱性を有している限り、その形状に特に制限はなく、例えば高速伝送用基板の基材の樹脂フィルムや配線用銅層の厚さは、使用目的など必要に応じて調整することができる。
本発明の高周波基板は、大電力供給用ガラスエポキシ基板と高周波信号高速伝送用基板とを備え、これらは接着層を介して貼り合わされている。
以下に、本発明について、(1)大電力供給用ガラスエポキシ基板、(2)高周波信号高速伝送用基板、(3)接着層、(4)高周波基板の製造方法、の順に説明する。
(1)大電力供給用ガラスエポキシ基板
本発明の高周波基板は、大電力供給用の基板として安価で汎用的に使用されるガラスエポキシ基板を使用する。本発明では、ガラスエポキシ基板としては、市販されている銅貼りガラスエポキシ基板(FR-4、以下ガラエポ基板と称することがある)を使用することができる。大電流から微細配線まで対応でき電子機器には広く用いられているガラエポ基板のFR−4は、「Flame Retardant Type4」の略で、ガラス繊維の布にエポキシ樹脂をしみ込ませ熱硬化処理を施した、高強度で耐熱性と絶縁性を有する基材である。この基材に銅箔を貼り付けプリント基板として多用されている。例えば、日立化成株式会社製ガラスエポキシ基板(品番:MCL‐E‐770G、MCL‐E‐700G、MCL‐E‐705G等、電解銅箔5μm、12μm、18μm、35μm等)が挙げられる。
(2)高周波信号高速伝送用基板
本発明の高周波信号高速伝送用基板は、基材と窒化アルミ二ウム層と銅層から構成される。まず基材について説明する。基材には、誘電率や誘電正接が小さく、信号の損失が少ないことが求められるため、基材には低い誘電率を有する材料であるフッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマーの群から選ばれる一種の基材を用いる。
誘電率は、信号の高速化に大きく影響し、誘電率が低ければ低いほど信号速度は速くなる。また、高速伝送用基板として信号の損失が少ないことも同時に要求される。誘電正接が小さければ小さいほど信号の損失が少なくなる。このように、高速伝送用基板には、誘電率や誘電正接が小さいことが要求されている。
本発明では、誘電率の範囲として、比誘電率で5以下(1GHz)である基材を使用することが必要である。また、誘電正接は0.02以下(1GHz)である基材を使用することが好ましい。本発明では基材として、フッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマーを好適に使用することができる。
具体的には、例えば、日本ゼオン株式会社製シクロオレフィンポリマー ZEONOR (登録商標、品番:ZF14、厚さ100μm、比誘電率4.73、誘電正接0.02)、日本バルカー工業株式会社製フッ素樹脂(品番:TLY−5A、厚さ380μm、比誘電率2.17、誘電正接0.0009)、住友化学株式会社製液晶ポリマー (品番:LCPE4008、厚さ100μm、比誘電率4.5、誘電正接0.018)などを挙げることができる。
基材の形態としては、フィルム状、シート状、板状など特に限定されないが、高密度に実装し高速伝送用配線基板として使用することから、信号の反射や乱れが少なくなるように、表面の平滑性が高いフィルム状の基材を選択することが望ましい。
本発明の高周波基板の用途、使用目的により、その厚さを選択することができるが、基材として使用する樹脂フィルムの厚さとしては、10μm以上400μm以下の範囲が好ましく、20μm以上200μm以下の範囲がより好ましい。
樹脂フィルムの厚さが、10μm未満では、配線用銅層を支持する基板としての強度が不足するため好ましくない。樹脂フィルムの厚さが、400μmを超えると、放熱性、加工性やハンドリング性が悪くなるため好ましくない。
次に、基材の上に形成される窒化アルミ二ウム層について説明する。窒化アルミ二ウム層は、配線側の機器から発生する熱を効率よく放熱する機能を有する層である。窒化アルミ二ウムの熱伝導率は285W/mKと、配線材料の銅の熱伝導率の398W/mKに近い熱伝導性を有し、絶縁体でかつ高い熱伝導率を有するセラミックスとして、窒化アルミ二ウムを選択した。窒化アルミ二ウムを選択することにより、高周波基板に要求される高い絶縁性と効率的な放熱性が付与される。
窒化アルミ二ウム層は、効率的に放熱させるために、厚さは、1μm以上10μm以下の範囲であることが好ましく、1μm以上3μm以下がより好ましい。厚さが1μm未満であると放熱効果が不十分となり、厚さが10μmを超えても放熱効果の向上は見られず、コスト高となるため好ましくない。
次に、窒化アルミ二ウム層の上に形成される銅層について説明する。この銅層は、高周波基板高周波信号の高速伝送用配線として機能する層である。配線材料として電気抵抗が少なく電気配線回路に汎用的に使われている銅を用いる。銅は、コスト的にも比較的安価で、配線加工しやすいので好ましい。
なお、配線用銅層の厚さは任意に設定できるが、高密度に実装した高周波基板として使用する場合の配線用銅層の厚さとしては、1μm以上20μm以下の範囲とすることができる。さらに高密度化するには、1μm以上4μm以下の厚さの銅層とすることが好ましい。厚さが1μm未満では、配線層が薄すぎて、断線のおそれが生じ、厚さが10μmを超えると、配線の断面が台形状になり、配線上部と下部の配線幅に差が生じ、高密度に配線した際に配線間でショート不良のおそれが生じ好ましくない。
高周波信号高速伝送用基板の基材に形成された窒化アルミ二ウム層及び銅層は、基材の少なくとも片面に形成されており、基材の両面に形成されてもよい。両面に形成することでより効率的に放熱することができる。
本発明の高周波信号高速伝送用配線層の銅層は、銅層を形成する前に窒化アルミ二ウム層を形成し、その上に直接銅層を形成することから、同一の成膜方法による膜を形成するのが効率的で好ましい。特に、基材に対する密着性、緻密な膜質を得るという観点から、スパッタリング法により窒化アルミ二ウム層と銅層を連続して形成することが望ましい。スパッタリング法で成膜した窒化アルミ二ウム層と基材との密着性は、化学結合により極めて高い。表面が平滑な基材を選択することで、表面を粗面化処理することなく、平滑な基材の表面上に直接成膜するため、得られる窒化アルミ二ウム層及び銅層も、平滑な膜となり、さらに続いて成膜するめっき法の銅層も平滑な膜が得られる。従って、本発明の高周波基板を使用して高周波信号を高速伝送した時に、信号の反射や乱れが生じにくく、信号の伝送損失を少なく抑えることができる。
配線用銅層は、まず基材の表面に下地層として銅層をスパッタリング法で成膜した後に、電気めっき法で銅層を所定の膜厚に成膜する方法を選択することができる。すなわち、本発明において配線用銅層は、下地層の銅層をスパッタリング法で50nm以上300nm以下の厚さで成膜し、その後、電気めっき法で配線用銅層として最終的に厚さが1μm以上20μm以下となるように成膜することにより配線用銅層を形成することができる。
下地層の銅層は、銅ターゲットを用いて、スッパッタリング装置に基材をセットして、アルゴンガスを導入しながらスパッタリングして、所定の膜厚の銅層を成膜することにより得られる。なお、基材と銅層との密着性をより高めるためには、銅層を成膜する前に、クロム、ニッケル、ニッケル−クロム合金の群から選ばれる下地層を20nm以上100nmの厚さで成膜することが好ましい。その他、アルゴンイオンにより基材表面を洗浄したり、酸素プラズマを発生させて基材表面を活性化させる処理を施すことも密着性を高めるのに有効である。
次に、下地層の銅層を形成した基材を、めっき装置により銅めっきを施し、最終的に厚さが1μm以上20μm以下になるように配線用銅層を形成する。銅めっきには、毒性が少なく、操作性に優れる硫酸銅を用いた酸化浴のメッキ装置を使用することが望ましい。
(3)接着層
本発明の高周波基板は、大電力供給用ガラスエポキシ基板と高周波信号高速伝送用基板とを備え、これらは接着層を介して貼り合わされている。
接着層には、基板に使用される基材に対して、接着できるものであれば、特に制限はなく、接着剤やプリプレグを使用することができるが、使用する基板に適する熱硬化型樹脂のプリプレグが市販されておりこれを使用することが好ましい。
(4)高周波基板の製造方法
本発明の高周波基板の製造方法について以下に説明する。本発明の高周波基板は、以下の(A)から(C)の工程により得られる。
(A)大電力供給用基板として銅貼りガラスエポキシ基板(FR-4)を準備する工程
(B)高周波信号高速伝送用基板を作製する工程
(C)(A)の工程の銅貼りガラスエポキシ基板(FR-4)と(B)の工程により得られた高周波信号高速伝送用基板と、を接着層を介して貼り合せることで高周波基板とする工程。
以下、それぞれの工程について説明する。
(A)大電力供給用基板として銅貼りガラスエポキシ基板(FR-4)を準備する工程
前述したように、大電力供給用基板として準備するガラスエポキシ基板(FR-4)は、特に限定されるものではなく、使用目的に合わせて汎用の銅貼りガラエポ基板を入手することでよい。配線層の銅層が貼り付け、配線パタンが設定されているものが市販されており、これを入手する。
(B)高周波信号高速伝送用基板を作製する工程
高周波信号高速伝送用基板の基材には、低い誘電率(1GHzにおける比誘電率で5以下)を有する材料であるフッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマーの群から選ばれる一種の基材を用いることができる。例えば、日本ゼオン株式会社製シクロオレフィンポリマー ZEONOR(登録商標、品番:ZF14、厚さ、100μm、誘電率4.73、誘電正接0.02)、日本バルカー工業株式会社製フッ素樹脂(品番:TLY−5A、厚さ380μm、誘電率2.17、誘電正接0.0009)、住友化学株式会社製液晶ポリマー(品番:LCPE4008、厚さ100μm、誘電率4.5、誘電正接0.018)などを挙げることができる。
上記のように低い誘電率を有する基材を準備し、まずこの基材をスパッタリング装置にセットし、スパッタリング法でまず窒化アルミ二ウム層を厚さ1μm以上10μm以下成膜し、続いて配線用銅層の下地層として50nm以上300nm以下の厚さで成膜し、その後、電気めっき法で配線用銅層として最終的に厚さが1μm以上20μm以下となるように成膜することにより配線用銅層を形成する。
高速伝送用配線の厚さは、所望の配線幅に合わせて任意に設定することができ、特に限定することはないが、通常の配線基板の銅箔の厚さは数十μm程度であり、これと比較して1μm以上10μm以下の薄い銅層の厚さとすることができるので、エッチング時間が短くて済み、微細な配線を形成しやすいというメリットがある。
また、下地層にスパッタリング法による銅層を形成するため、基材との密着性も良好であり、また平滑で緻密な膜質が得られ、抵抗の低い、信号の伝送損失の少ない配線用銅層とすることができる。
(C)接着層を介して貼り合せて高周波基板とする工程
(A)の工程の銅貼りガラスエポキシ基板(FR-4)と、(B)の工程により得られた高周波信号高速伝送用基板と、を接着層を介して貼り合せて、必要に応じて熱圧着することにより高周波基板とする。
接着層には、基板に使用される基材に対して、接着できるものであれば、特に制限はなく、接着剤やプリプレグを使用することができるが、使用する基板に適する熱硬化型樹脂のプリプレグが市販されておりこれを使用することが好ましい。
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
(実施例1)
まず、大電力供給用のガラスエポキシ基板として日立化成株式会社製ガラスエポキシ基板(品番:MCL‐E‐770G、基板厚さ110μm、電解銅箔12μm)を準備した。 次に、高速伝送用基板として、日本ゼオン株式会社製シクロオレフィンポリマー ZEONOR(登録商標、品番ZF14、基板厚さ100μm、比誘電率4.73、誘電正接0.02)を準備した。なお、ガラスエポキシ基板には電力供給用の配線パターンが形成されているものを使用した。
次に、基材のシクロオレフィンポリマーフィルムを20cm四角にカットし、スパッタリング装置(芝浦メカトロニクス株式会社製、CFS−4ES)にセットし、このフィルムの片面に放熱層の窒化アルミ二ウム層を1.2μm成膜し、続いて配線用銅層の下地層として200nmの銅の下地層を成膜して積層した。
具体的には、ターゲットに、金属アルミ二ウム(純度99.99%)と銅(純度99.9%)の3インチ径の円板状ターゲットを用いて、到達真空度を6.5×10-3Paとし、DC出力を350Wとし、かつ、反応ガスとして、窒素ガス(流量15sccm)およびアルゴンガス(流量15sccm)導入しながら、室温で30分間スパッタリングして窒化アルミ二ウム層を厚さ1.2μm成膜した。続いて、ターゲットを銅に切り替え、DC出力を300Wとし、到達真空度を6.5×10-3Paとし、かつ、反応ガスとして、アルゴンガス(流量15sccm)を導入しながら、室温で30分間スパッタリングして膜厚200nmの銅の下地層を成膜して積層した。
得られたフィルムに電解銅めっきを施すために、硫酸銅を用いためっき装置に下地層を成膜したフィルムをセットした。
めっき条件は、浴温度は45℃で、電圧5Vとし、電流密度3A/dm2にして15分めっきして、フィルムの片面に銅層をめっきした高速伝送用基板を作製した。得られた銅層の厚さは配線用銅層が4μmであった。
このようにして得られた上記の窒化アルミ二ウム層及び銅層を備えた高速伝送用基板を、準備した銅貼りガラスエポキシ基板と、日立化成株式会社製プリプレグ(品番:GEA−770G、25μm)を用いて貼り合せ、270℃で10分間熱圧着して接合し、高周波基板を得た。
得られた高周波基板の放熱性能を評価した。得られた基板に合計10WのLEDライトを取付け、毎秒100回点滅させながら1時間動作させ、基板の裏面にサーモテープを貼り付けて、動作後の基板温度を測定した。その結果、一時間動作後の基板の温度は33℃であった。また熱伝導率測定装置(アドバンス理工株式会社製、レーザーフラッシュ法、型番:TC−9000)を用いて、得られた基板の熱伝導率を測定した。その結果、基板の熱伝導率は3.8W/m・Kであった。
(実施例2)
高速伝送用基板の基材に日本バルカー工業株式会社製フッ素樹脂基材(品番:TLY−5A、厚さ380μm)を用いて、接着層として日本バルカー工業株式会社製ボンディングフィルム(品番:HT1.5)を用いた以外は、実施例1と同様にして高周波基板を得た。
得られた高周波基板の放熱性能を実施例1と同様にして評価した。一時間動作後の基板の温度は44℃であった。また、基板の熱伝導率は3.1W/m・Kであった。
(実施例3)
高速伝送用基板の基材に住友化学株式会社製液晶ポリマー基材(品番:LCPE4008、厚さ100μm)を用いて、接着層として日本バルカー工業株式会社製ボンディングフィルム(品番:HT1.5)を用いた以外は実施例1と同様にして高周波基板を得た。
得られた高周波基板の放熱性能を実施例1と同様にして評価した。一時間動作後の基板の温度は48℃であった。また、基板の熱伝導率は3.0W/m・Kであった。
(比較例1)
窒化アルミ二ウム層を形成せずに高速伝送用基板を作製した以外は、実施例1と同様にして高周波基板を得た。実施例1と同様に高周波基板の放熱性能を評価した結果、基板の温度は70℃であった。また熱伝導率測定装置を用いて、得られた基板の熱伝導率を測定した。その結果、基板の熱伝導率は0.4W/m・Kであった。
以上のように、本発明の高周波基板は、放熱性に優れる基板であることが分かり、高周波信号の高速伝送用配線基板として好適に使用することができる基板である。

Claims (3)

  1. 大電力供給用ガラスエポキシ基板(FR-4)と、比誘電率が5以下(1GHz)の低誘電率を有するフッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマーの群から選ばれる一種の基材の少なくとも片面に窒化アルミ二ウム層及び銅層が形成された高周波信号高速伝送用基板と、を備えることを特徴とする高周波基板。
  2. 前記窒化アルミ二ウム層は、厚さが1μm以上10μm以下である請求項1に記載の高周波基板。
  3. 前記銅層は、厚さが1μm以上20μm以下である請求項1または請求項2に記載の高周波基板。
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