JP2018158799A - 把持装置の安全装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】柱状部材を偏心位置で把持して発生する過大なトルクによる、把持部の回転自走を未然に防ぐことのできる把持装置の安全装置を提供する。
【解決手段】把持部が柱状部材を把持してブームが起仰される際に、把持部の把持位置が柱状部材の重心位置からずれていることによって把持部が回転自走する前にブームの起伏を停止させる安全装置であって、油圧モータ272の第1ポートPО1及び第2ポートPО2の油圧をそれぞれ検出する第1圧力センサ43及び第2圧力センサ47と、該第1圧力センサ43と第2圧力センサ47が検出する圧力の差が所定値以上のときにブームの起伏を停止させる停止部とを有する。
【選択図】図4

Description

この発明は、把持装置の安全装置に関する。
従来から、電柱等の柱状対象物を把持する把持装置を備えた把持式作業装置が知られている(特許文献1参照)。
かかる把持式作業装置は、道路と軌道の双方を走行する作業車に適用されることがある。この種の作業車としては、線路に沿って配設された架線や絶縁碍子、信号設備等各種線路設備の保守・点検を行う際に用いられる軌陸車が知られている。
このような軌陸車には、軌道上を走行可能な車体と、車体に取り付けられ旋回、起伏、伸縮自在なブームと、そのブームの先端部に設けられたブームの軸回りに回動可能な把持装置とを備えたものがある。その把持装置は、柱状部材を把持する把持部を有している。
実公平7−41759号公報
ところで、このような把持装置にあっては、把持部が線路脇に寝かせて置かれた架設用のコンクリート柱を把持する。このような柱状部材を重心から外れた位置で把持した場合、把持装置に過大な回転トルクが発生し、把持部が回転自走する虞があった。
この発明の目的は、柱状部材を偏心位置で把持して発生する過大なトルクによる、把持部の回転自走を未然に防ぐことのできる把持装置の安全装置を提供することにある。
この発明は、起伏可能なブームの先端部に該ブームの軸回りに回動可能に設けられ且つ柱状部材を把持する把持部と、この把持部を回動させる油圧モータの第1ポート又は第2ポートへ作動油を供給するとともに両ポートの何れかから作動油を排出させて前記油圧モータを正転又は逆転させる油圧回路とを備えた把持装置において、前記把持部が前記柱状部材を把持して前記ブームが起伏される際に、該把持部の把持位置が前記柱状部材の重心位置からずれていることによって前記把持部が回転自走する前に前記ブームの起伏を停止させる安全装置であって、前記油圧モータの第1ポート及び第2ポートの油圧をそれぞれ検出する第1圧力センサ及び第2圧力センサと、該第1圧力センサと第2圧力センサが検出する圧力の差が所定値以上のときに前記ブームの起伏を停止させる停止部とを有することを特徴とする。
この発明は、起伏可能なブームの先端部に該ブームの軸回りに回動可能に設けられ且つ柱状部材を把持する把持部と、この把持部を回動させる油圧モータの第1ポート又は第2ポートへ作動油を供給するとともに両ポートの何れかから作動油を排出させて前記油圧モータを正転又は逆転させる油圧回路とを備えた把持装置において、前記把持部が前記柱状部材を把持して前記ブームが起伏される際に、該把持部の把持位置が前記柱状部材の重心位置からずれていることによって前記把持部が回転自走する前に警告を発する安全装置であって、前記油圧モータの第1ポート及び第2ポートの油圧をそれぞれ検出する第1圧力センサ及び第2圧力センサと、該第1圧力センサと第2圧力センサが検出する圧力の差が所定値以上のときに警告を発する警告部とを有することを特徴とする。
この発明によれば、柱状部材を偏心位置で把持して発生する過大なトルクによる、把持部の回転自走を未然に防ぐことができる。
本発明の第1実施例に係る把持装置の安全装置を搭載し、レール上に載せられた軌陸車の側面図である。 図1に示す把持装置の主要部を示した側面図である。 図2に示す把持装置の主要部を傾斜させた正面図である。 油圧回路の一例を示した油圧回路図である。 制御回路の一例を示したブロック図である。 第2ブームの起伏動作を示したフローチャートである。 第2ブームの各姿勢を示した図である。 本発明の第2実施例に係る警告動作を示したフローチャートである。
以下、この発明に係る把持装置の安全装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
[第1実施例]
(軌陸車の構成)
以下、図1に基づいて、把持装置の安全装置を搭載した軌陸車1の構成を説明する。
軌陸車1は、トラック車両をベースに構成されており、車体3のシャシフレーム4の前部に運転キャブ2が設けられ、車体3の前後の幅方向両側には道路走行用車輪6が設けられている。軌陸車1は、運転キャブ2の下部に設置されたエンジンEにより道路走行用車輪6が駆動されて、道路上を走行可能である。
シャシフレーム4上には、運転キャブ2の後側における車体3の前後方向に延びて、シャシフレーム4を補強するように車体3の前後方向に延びるサブフレーム5が設けられている。そして、サブフレーム5の前後の車幅方向両側に設けられた鉄輪部支持部材9Fに、鉄輪ブラケット7Fが前後方向に揺動自在に支持されている。鉄輪ブラケット7Fの先端部には、軌道走行用鉄輪8Fが回転自在に取り付けられている。鉄輪ブラケット7Fは、鉄輪部支持部材9Fとの間に設けられた張出格納油圧シリンダ(不図示)の伸縮により、軌道走行用鉄輪8Fを軌道RA上に接触する実線位置と軌道走行用鉄輪8Fを車体3に格納する破線位置に移動可能である。アウトリガ10は車体3を第1ブーム23、第2ブーム25の操作時に安定させる。
軌陸車1は、キャビン20Cを備えたクレーン装置20を備えている。このクレーン装置20は、サブフレーム5上に旋回自在に設けられた旋回ベアリング21と、旋回ベアリング21に固定された旋回フレーム22と、旋回フレーム22に取り付けられた第1ブーム23と、第1ブーム23を旋回フレーム22に対して起伏又は伸縮させる第1シリンダ装置24と、第1ブーム23の先端部にピンPIを中心として回動自在に取り付けられた第2ブーム25と、第2ブーム25を第1ブーム23に対して起伏させる第2シリンダ装置26とを有している。第2ブーム25の起伏角αは、図5に示す起伏角検出器80(例えばポテンショメータ)を用いて検出される。
(把持装置の構成)
以下、図2及び図3に基づいて、把持装置の構成を説明する。
第2ブーム25の先端部には、第2ブーム25の軸方向(モータ軸272A)を中心に回動可能な把持装置27が設けられている。把持装置27は、把持部270と、ベアリング271と、油圧モータ272とを備える。
把持部270は、ベアリング271を介して第2ブーム25の軸回りに回動可能に設けられ且つ柱状部材としての円筒状のコンクリート柱CPを把持する。油圧モータ272は、把持部270を正転(図3の矢印Sに示す方向)又は逆転(図3の矢印Rで示す方向)させる。図3中の位置Gは、把持部270により把持されたコンクリート柱CPの重心位置を示す。
第2ブーム25には、油圧モータ272の回動駆動を制動するための機械式制動装置60(図4参照)が設けられている。機械式制動装置60は、油圧モータ272に内蔵されている。機械式制動装置60は、シリンダ61(図2参照)と、ブレーキ弁62(図4参照)とを有し、互いに管路63によって接続されている。シリンダ61は、油圧モータ272のモータ軸272Aに対して摩擦係合状態となる摩擦シュー61cを有する。シリンダ61は、その内部に設けたスプリング61aを利用してロッド61bを介して摩擦シュー61cをモータ軸272Aに係合させて、油圧モータ272の回転駆動を制動する。
(油圧回路の構成)
以下、図4に基づいて、油圧回路の構成を説明する。図4は、油圧モータ272のモータ軸272Aを表示するに当たり、説明上、モータ軸272Aを90°展開した状態を示している。
把持装置27は、油圧回路40と、機械式制動装置60とを備える。油圧回路40は、油タンク(不図示)と、油圧ポンプ(不図示)と、油圧電磁弁41とを有し、互いに配管によって接続されている。油圧電磁弁41のポンプポートPは、油圧ポンプの吐出油路に接続され、油圧電磁弁41のタンクポートRは、油タンクへの排出油路に接続されている。
油圧回路40は、油圧モータ272の第1ポートPO1又は第2ポートPO2へ作動油を供給するとともに両ポートの何れかから作動油を排出させて油圧モータ272を正転(矢印Sに示す方向)又は逆転(矢印Rで示す方向)させる。油圧モータ272の回転速度調整は油圧電磁弁41のポート開口面積によって調整される。
油圧電磁弁41のAポートには、第1油路50の一端が接続されている。第1油路50は、油路50Aと油路50Bとに分岐している。
油路50Aの他端は、第1カウンタバランス弁42を介して油圧モータ272の第1ポートPO1に接続される。油路50Aの途中には、第1ポートPO1の油圧を検出する第1圧力センサ43が設けられている。
油路50Bは、第2カウンタバランス弁44のスプール44aにパイロット圧を供給するパイロット操作管路となる。
油圧電磁弁41のBポートには、第2油路51の一端が接続される。第2油路51は、油路51Aと油路51Bとに分岐している。
第2カウンタバランス弁44は、スプール44aとチェック弁44bとを有している。第2カウンタバランス弁44は、油路50Bよりスプール44aへの圧油の供給を受けると、第2油路51を介して油圧モータ272の第2ポートPO2から油圧電磁弁41のBポートへの作動油の流出を許容する。第2カウンタバランス弁44の第2ポートPO2側には、第2逆止弁45、第2バイパス弁46及び電磁弁52が接続されている。
第2逆止弁45は、チェック弁からなる。第2バイパス弁46は、第2ポートPO2側の圧油をパイロット圧として第2逆止弁45を迂回する。
油路51Aの他端は、第2カウンタバランス弁44を介して油圧モータ272の第2ポートPO2に接続される。油路51Aには、第2ポートPO2の油圧を検出する第2圧力センサ47が設けられている。
油路51Bは、第1カウンタバランス弁42のスプール42aにパイロット圧を供給するパイロット操作管路となる。
第1カウンタバランス弁42は、スプール42aとチェック弁42bとを有している。第1カウンタバランス弁42は、油路51Bよりスプール42aへの圧油の供給を受けると、油圧モータ272の第1ポートPO1から油圧電磁弁41のAポートへの作動油の流出を許容する。第1カウンタバランス弁42の第1ポートPO1側には、第1逆止弁48、第1バイパス弁49及び電磁弁52が接続されている。
第1逆止弁48は、チェック弁からなる。第1バイパス弁49は、第1ポートPO1側の圧油をパイロット圧として第1逆止弁48を迂回する。
電磁弁52は、外力によって自在に油圧モータ272を回したいときに通電し油圧モータ272の第1ポートPO1及び第2ポートPO2を繋ぐ。ソレノイド52aを通電状態に切り換えると、電磁弁52が開いて、第1ポートPO1と第2ポートPO2とを連通させる。また、ソレノイド52aが無通電状態に切り換わる通常状態では、電磁弁52が閉じて、第1ポートPO1と第2ポートPO2との連通が遮断される。
油圧電磁弁41は、4ポート3位置切換を備えた電磁弁であり、ソレノイド41aを通電状態に切り換えると、ポンプポートPとAポートを接続して、油圧ポンプの吐出油路と第1油路50とを連通させるとともに、タンクポートRとBポートを接続して、油タンクへの排出油路と第2油路51とを連通させる。この連通により、油圧ポンプから吐出された圧油が第1油路50を経由して油圧モータ272の第1ポートPO1に流れ込むとともに、油圧モータ272の第2ポートPO2から吐出された圧油が第2油路51を経由して油タンクに戻される。これにより、油圧モータ272は正転、即ち、一方向(矢印S)に回転駆動する。
また、ソレノイド41bを通電状態に切り換えると、ポンプポートPとBポートを接続して、油圧ポンプの吐出油路と第2油路51とを連通させるとともに、タンクポートRとAポートを接続して、油タンクへの排出油路と第1油路50とを連通させる。この連通により、油圧ポンプから吐出された圧油が第2油路51を経由して油圧モータ272の第2ポートPO2に流れ込むとともに、油圧モータ272の第1ポートPO1から吐出された圧油が第1油路50を経由して油タンクに戻される。これにより、油圧モータ272は逆転、即ち、他方向(矢印R)に回転駆動する。
さらに、油圧電磁弁41を無通電状態に切り換えると、中立位置において、Aポート、Bポート、ポンプポートP及びタンクポートRの全てが閉鎖され、油タンク及び油圧ポンプと、第1油路50及び第2油路51との連通が遮断される。これにより、第1カウンタバランス弁42及び第2カウンタバランス弁44が閉弁するので、油圧モータ272はその回転駆動を停止する。
機械式制動装置60は、シリンダ61と、ブレーキ弁62とを有し、互いに管路63によって接続されている。上述のように、機械式制動装置60は、油圧モータ272に内蔵されている。管路63は、管路63a〜63cを有する。管路63aは、シリンダ61とブレーキ弁62との間に位置する。管路63bは、ブレーキ弁62のポンプポートPと、図外の油圧ポンプとの間に位置する。管路63cは、油圧モータ272のドレンポートDRと、ブレーキ弁62のドレンポートDRとの間に位置する管路であって、後述するDR穴と連通している。
シリンダ61は、その内部に設けたスプリング61aを利用してロッド61bを介して摩擦シュー61cをモータ軸272Aに係合させて制動する。
ブレーキ弁62は、3ポート2位置切換を備えた電磁弁である。図4中の符号DR穴は、弁内の摺動部から漏れた油(ドレン)を油タンクに戻す連絡口となるDR穴である。ブレーキ弁62は、主にはブレーキ開放圧をドレン回路に抜くことで、油圧モータ272の回転駆動を制動するために設けられる。
ソレノイド62aを無通電状態に切り換えると、ドレンポートDRとAポートを接続して、管路63aと管路63cとを連通させるとともに、ポンプポートPを閉鎖して、油圧ポンプの吐出油路と管路63aとの連通を遮断する。また、管路63aをドレンポートDRに接続し、ブレーキ解除圧を抜くことで、ブレーキ弁62を作動させる。これにより、スプリング61aの付勢力によってロッド61bを介して摩擦シュー61cがモータ軸272Aに係合し、油圧モータ272の回転駆動が制動される。
また、ソレノイド62aを通電状態に切り換えると、ポンプポートPとBポートを接続して、管路63bを介して油圧ポンプの吐出油路と管路63aとを連通させるとともに、ドレンポートDRを閉鎖して、DR穴と管路63aとの連通を遮断する。これにより、油圧ポンプの吐出油によってスプリング61aが撓んで、摩擦シュー61cとモータ軸272Aとの係合が解除され、油圧モータ272の回転駆動の制動が解除される。
(制御回路の構成)
以下、図5に基づいて、制御回路の構成を説明する。
コントローラ70は、油圧モータ272を正転又は逆転させる回転駆動の制御および油圧モータ272の回転駆動を制動する制御を行う。
コントローラ70の入力側には、キャビン20Cに設けられた操作部71、第1圧力センサ43、第2圧力センサ47及び起伏角検出器80が接続されており、操作信号や検出信号がコントローラ70に入力されるようになっている。
また、コントローラ70の出力側には、油圧電磁弁41のソレノイド41a及びソレノイド41b、電磁弁52のソレノイド52a、ブレーキ弁62のソレノイド62aが接続され、コントローラ70からの制御信号により、ソレノイド41a、ソレノイド41b、ソレノイド52a及びソレノイド62aをそれぞれ通電状態と無通電状態とに切り換える。なお、ソレノイド41aとソレノイド41bとを同時に通電させることはできない。
さらに、コントローラ70の出力側には、キャビン20Cに設けられた警報ランプ90(警報部)が接続されている。
(第2ブーム25の起伏動作)
以下、図6に示すフローチャート及び図7を用いて、第2ブーム25の起伏動作を説明する。この起伏動作は、ソレノイド41a、ソレノイド41b、ソレノイド52a及びソレノイド62aの状態が無通電状態にあるときに開始される。
(ステップS1)
最初に、オペレータは、図7(a)の位置に示す姿勢にある第2ブーム25の先端に設けた把持部270で柱状物であるコンクリート柱CPを把持するように、操作部71を操作する。
(ステップS2)
次に、オペレータは、第2ブーム25を図7(c)の位置に示す姿勢にするため、第2ブーム25を起伏させるように、操作部71を操作する。図7(c)の位置に示す姿勢は、第2ブーム25がコンクリート柱CPを地面に対して旋回可能な姿勢である。
(ステップS3)
次に、コントローラ70は、起伏角検出器80の検出結果に基づいて、第2ブーム25の起伏角αが予め定められた所定起伏角α0以上であるか否かを判断する。コントローラ70は、起伏角αが所定起伏角α0未満であると判断した場合(ステップS3の判断結果がNOの場合)には、処理をステップS2に戻す。
(ステップS4)
次に、コントローラ70は、ブレーキ弁62のソレノイド62aを無通電状態から通電状態に切り換える。これにより、油圧モータ272のブレーキ弁62による制動が解除される。
(ステップS5)
次に、コントローラ70は、第1圧力センサ43で検出された圧力値P1と、第2圧力センサ47で検出された圧力値P2との差圧ΔP(=P1−P2)を検出し、以下の換算式(1)を用いて、その検出した差圧ΔPをトルクTに換算する。
T=ΔP×q/2π・・・(1)
ここで、式(1)中のqは、油圧モータ272の容量である。
(ステップS6)
次に、コントローラ70は、差圧ΔPに対応するトルクTが所定値T0以上であるか否かを判断する。
(ステップS7)
ステップS6でトルクTが所定値T0以上であると判断された場合(ステップS6の判断結果がYESの場合)には、コントローラ70は、第2シリンダ装置26を制御して、第2ブーム25を図7(b)の位置の近傍で停止させる。また、コントローラ70は、ブレーキ弁62のソレノイド62aを通電状態から無通電状態に切り換えて、ブレーキ弁62による油圧モータ272の制動を再開する。その後、オペレータが操作部71を操作し図7(a)の位置まで復帰させる。そして、本実施例における第2ブーム25の起伏動作が終了する。
(ステップS8)
一方、ステップS6でトルクTが所定値T0未満であると判断された場合(ステップS6の判断結果がNOの場合)には、コントローラ70は、ブレーキ弁62のソレノイド62aを通電状態から無通電状態に切り換えて、ブレーキ弁62による油圧モータ272の制動を再開するとともに、第2シリンダ装置26を制御して、第2ブーム25を図7(c)の位置に示す姿勢にするため、第2ブーム25の起伏動作を継続する。
本実施例の把持装置の安全装置では、把持部270によりコンクリート柱CPが把持されて、コンクリート柱CPを地面に対して旋回可能な図7(c)の位置に示す姿勢となるまで第2ブーム25を起伏させるとき、ソレノイド62aにより油圧モータ272の回転駆動が制動される。
第2ブーム25の起伏動作では、その動作の過程で一旦、機械式制動装置60による油圧モータ272の制動が解除される。この解除により非拘束状態となった油圧モータ272に作用する保持圧P1,P2が検出される。
ここで、保持圧P1は、油圧モータ272から第1カウンタバランス弁42に至るまでの油路50Aに加わる保持圧であり、保持圧P2は、油圧モータ272から第2カウンタバランス弁44に至るまでの油路51Aに加わる保持圧である。
保持圧P1と保持圧P2との間には、油圧モータ272に作用するトルクTに応じて差圧ΔPが発生する。その発生した差圧ΔPはコントローラ70に入力され、その入力された差圧ΔPはコントローラ70によりトルクTに換算される。
保持圧P1,P2によって把持部270がコンクリート柱CPを把持している状態では、油圧モータ272からのオイルリークOL(図4の破線で示す矢印参照)によりコンクリート柱CPが傾くが、第2ブーム25を起仰する途中のため、油圧モータ272に作用するトルクTは軽微でコンクリート柱CPの傾く量も少ない。
油圧モータ272に作用するトルクTが所定値T0未満である場合には、油圧モータ272のブレーキ弁62による制動が再開され、第2ブーム25が図7(c)の位置に示す姿勢となるまで、第2ブーム25の起伏動作が続行される。
一方、油圧モータ272に作用するトルクTが所定値T0以上の場合には、図7(b)の位置に示す停止位置の近傍で第2ブーム25を停止させ、その後、図7(c)の位置に向かう起伏操作は受け付けず、図7(a)の位置に向かう操作しかできない。オペレータは操作部71より手動操作で図7(a)の位置まで復帰させ、コンクリート柱CPを一旦放して重心位置にあわせて掴み直すことができる。
本実施例の把持装置の安全装置によれば、柱状物であるコンクリート柱CPを偏心位置で把持して発生する過大なトルクによる、把持部270の回転自走を未然に防ぐことができる。
以下、第2実施例について、第1実施例で用いた図面に基づいて説明する。なお、第1実施例と構成と作用が実質的に同一である場合は同一符号を付して説明を省略する。
[第2実施例]
以下、図8に示すフローチャート及び図7を用いて、本実施例における警報ランプ90(警告部)を用いた警告動作を説明する。
本実施例の起伏動作は、第1実施例と同様に、ソレノイド41a、ソレノイド41b、ソレノイド52a及びソレノイド62aの状態が無通電状態にあるときに開始される。なお、図8のステップS21〜S26、S28は、図6のステップS1〜S6、S8と同じ処理であるので、詳細な説明を省略する。
ステップS21〜S26が実行された後、処理はステップS27に移行する。
(ステップS27)
ステップS26でトルクTが所定値T0以上であると判断された場合(ステップS26の判断結果がYESの場合)には、コントローラ70は、警報ランプ90(警告部)を点滅又は点灯して、トルクTが所定値T0以上であることをオペレータに警告する。そして、本実施例における警告動作が終了する。
本実施例では、油圧モータ272に作用するトルクTが所定値T0未満である場合には、油圧モータ272の回転駆動のブレーキ弁62による制動が再開され、第2ブーム25が図7(c)の位置に示す姿勢となるまで、第2ブーム25の起伏動作が続行される。
一方、油圧モータ272に作用するトルクTが所定値T0以上の場合には、第2ブーム25の起伏動作が中断され、コントローラ70は、警報ランプ90を点滅又は点灯して、トルクTが所定値T0以上であることをオペレータに通知する。この通知により、オペレータは、図7(b)の位置に示す停止位置の近傍で第2ブーム25を停止させ、その後、操作部71より手動操作で図7(a)の位置まで復帰させ、コンクリート柱CPを一旦放して重心位置にあわせて掴み直すことができる。
本実施例の把持装置の安全装置によれば、柱状物であるコンクリート柱CPを偏心位置で把持して発生する過大なトルクによる、把持部270の回転自走を未然に防ぐことができる。
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
第1実施例及び第2実施例では、柱状部材を円筒状のコンクリート柱CPとする例を示した。しかし、これに限られない。例えば、柱状部材はALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)板等の板状物であっても良い。要するに、柱状部材は長尺物であれば良い。
第1実施例では、差圧ΔP(=P1−P2)をトルクTに換算する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、差圧ΔPをトルクTに換算せずに、差圧ΔPそのものを所定値と比較しても良い。具体的には、差圧ΔPが所定値以上のときに、図7(a)の位置に示す元の停止位置に第2ブーム25を復帰させたり、差圧ΔPが所定値未満のときに、図7(c)の位置に示す停止位置に向けて第2ブーム25の起伏動作を継続させたりしても良い。
第2実施例では、差圧ΔP(=P1−P2)をトルクTに換算する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、差圧ΔPをトルクTに換算せずに、差圧ΔPそのものを所定値と比較しても良い。具体的には、差圧ΔPが所定値以上のときに、警報ランプ90による警告を行ったり、差圧ΔPが所定値未満のときに、図7(c)の位置に示す停止位置に向けて第2ブーム25の起伏動作を継続させたりしても良い。
第2実施例では、キャビン20Cに設けた警報ランプ90で警告部を構成する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、警報ブザー、LED、液晶表示器(Liquid Crystal Display)等で警告部を構成しても良い。要するに、警告部は、トルクTが所定値T0以上であることをオペレータに通知できれば良い。
第1実施例及び第2実施例では、本発明の把持装置の安全装置を、軌陸車に適用する例を示した。しかし、本発明の把持装置の安全装置は、軌陸車に限らず、一般道路走行用の車両に対しても適用することができる。
25 第2ブーム(ブーム)
27 把持装置
40 油圧回路
43 第1圧力センサ
47 第2圧力センサ
70 コントローラ(停止部)
90 警報ランプ(警告部)
270 把持部
272 油圧モータ
CP コンクリート柱(柱状部材)
G 重心位置
PО1 第1ポート
PО2 第2ポート
P1、P2 圧力値
ΔP 差圧
T トルク
T0 所定値
α 起伏角
α0 所定起伏角

Claims (4)

  1. 起伏可能なブームの先端部に該ブームの軸回りに回動可能に設けられ且つ柱状部材を把持する把持部と、この把持部を回動させる油圧モータの第1ポート又は第2ポートへ作動油を供給するとともに両ポートの何れかから作動油を排出させて前記油圧モータを正転又は逆転させる油圧回路とを備えた把持装置において、前記把持部が前記柱状部材を把持して前記ブームが起伏される際に、該把持部の把持位置が前記柱状部材の重心位置からずれていることによって前記把持部が回転自走する前に前記ブームの起伏を停止させる安全装置であって、
    前記油圧モータの第1ポート及び第2ポートの油圧をそれぞれ検出する第1圧力センサ及び第2圧力センサと、
    該第1圧力センサと第2圧力センサが検出する圧力の差が所定値以上のときに前記ブームの起伏を停止させる停止部とを有することを特徴とする把持装置の安全装置。
  2. 請求項1に記載の把持装置の安全装置において、
    前記ブームの起伏角を検出する起伏角検出器を備え、
    前記停止部は、
    前記起伏角検出器により検出された前記ブームの起伏角が予め定められた所定起伏角以上となり、且つ、前記第1圧力センサと前記第2圧力センサが検出する圧力の差が前記所定値以上のときに、前記ブームの起伏を停止させることを特徴とする把持装置の安全装置。
  3. 起伏可能なブームの先端部に該ブームの軸回りに回動可能に設けられ且つ柱状部材を把持する把持部と、この把持部を回動させる油圧モータの第1ポート又は第2ポートへ作動油を供給するとともに両ポートの何れかから作動油を排出させて前記油圧モータを正転又は逆転させる油圧回路とを備えた把持装置において、前記把持部が前記柱状部材を把持して前記ブームが起伏される際に、該把持部の把持位置が前記柱状部材の重心位置からずれていることによって前記把持部が回転自走する前に警告を発する安全装置であって、
    前記油圧モータの第1ポート及び第2ポートの油圧をそれぞれ検出する第1圧力センサ及び第2圧力センサと、
    該第1圧力センサと第2圧力センサが検出する圧力の差が所定値以上のときに警告を発する警告部とを有することを特徴とする把持装置の安全装置。
  4. 請求項3に記載の把持装置の安全装置において、
    前記ブームの起伏角を検出する起伏角検出器を備え、
    前記警告部は、
    前記起伏角検出器により検出された前記ブームの起伏角が予め定められた所定起伏角以上となり、且つ、前記第1圧力センサと前記第2圧力センサが検出する圧力の差が前記所定値以上のときに、警告を発することを特徴とする把持装置の安全装置。
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