JP2018158451A - 3次元プリンター造形用フィラメント - Google Patents

3次元プリンター造形用フィラメント Download PDF

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Abstract

【課題】造形時の臭気が少なく、加水分解による靱性の低下が極めて小さく、軽量かつ柔軟な造形品の製造が可能な3次元プリンター造形用フィラメントを提供すること。【解決手段】プロピレンから導かれる構成単位と、プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位とを含有し、かつ、下記要件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たすプロピレン系共重合体を含むプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする3次元プリンター造形用フィラメント:(a)極限粘度[η]が0.1〜5.0dl/gであり;(b)分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5であり;(c)DSCで測定される融点(Tm)が、100℃以上165℃未満であるか、又は実質的に観測されない;(d)密度が810〜880kg/m3である。【選択図】なし

Description

本発明は、3次元プリンター造形用フィラメントおよび該フィラメントを用いて造形された造形物に関する。
従来、熱溶解積層方式の造形材料として、流動性や造形性の観点から、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)やポリ乳酸(PLA樹脂)等の熱可塑性樹脂が提案されている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、ABS樹脂の場合、造形時に刺激臭が発生するという問題があり、PLA樹脂の場合、造形時の臭気はABS樹脂よりも比較的少ないが、依然として樹脂特有の甘い臭気が発生する。また、PLA樹脂は加水分解性を有しており、樹脂自体が吸湿することによって、フィラメントの靱性が低下して容易に折れるトラブルがあり、造形が困難となる場合がある。さらに、ABS樹脂やPLA樹脂は、高比重でかつ硬質な材料であるため、得られる造形品の特性が限定され、例えば軽量化や柔らかい造形品へのニーズには対応が困難であるという問題がある。
特許第5911564号公報 特開2016−215502号公報
本発明は、造形時の臭気が少なく、加水分解による靱性の低下が極めて小さく、軽量かつ柔軟な造形品の製造が可能な3次元プリンター造形用フィラメントを提供することを課題とする。
なお、ポリプロピレンを用いた場合、造形時の臭気が少なく、加水分解しない材料が期待できるが、成形収縮率が大きく、得られる造形品の形状及び寸法への精度は低いという問題がある。そこで、本発明は、成形収縮率が小さく、得られる造形品の形状及び寸法への精度が高い材料からなり、造形性に優れた3次元プリンター造形用フィラメントを提供することも課題とする。
本発明の3次元プリンター造形用フィラメントは、プロピレンから導かれる構成単位と、プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位とを含有し、かつ、下記要件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たすプロピレン系共重合体を含むプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする。
(a)135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]が0.1〜5.0dl/gの範囲にある。
(b)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との割合(分子量分布;Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にある。
(c)示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点(Tm)が、100℃以上165℃未満であるか、又は実質的に観測されない。
(d)JIS K7112(1999年)に準拠した密度勾配管法よって測定される密度が810〜880kg/m3の範囲にある。
本発明によれば、特定のプロピレン系樹脂組成物を用いることで、造形時の臭気が少なく、加水分解によるフィラメントの靱性低下が極めて小さく、軽量かつ柔軟な造形品の製造が可能な3次元プリンター造形用フィラメントを提供することができる。また、本発明によれば、特定のプロピレン系樹脂組成物を用いることで、造形性に優れた3次元プリンター造形用フィラメントを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る3次元プリンター造形用フィラメント(以下単に「フィラメント」ともいう。)は、プロピレンから導かれる構成単位と、プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位とを含有し、かつ、下記要件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たすプロピレン系共重合体を含むプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする。
(a)135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]が0.1〜5.0dl/g、好ましくは0.5〜4.0dl/g、より好ましくは1.0〜3.0dl/gの範囲にある。極限粘度[η]が前記範囲内であると、低分子量体が少ないため造形品のべたつきが少なくなり、また、成形性や造形性の点で有利である。
(b)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との割合(分子量分布;Mw/Mn)が1.0〜3.5、好ましくは1.3〜3.0、より好ましくは1.6〜2.8の範囲にある。分子量分布が前記範囲内にあることにより、造形物の外観等が優れる。
(c)示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点(Tm)が、100℃以上165℃未満であるか、又は実質的に観測されない。融点(Tm)が前記条件であることにより、高速での造形が可能となり、造形性にも優れる。
(d)JIS K7112(1999年)に準拠した密度勾配管法よって測定される密度が810〜880kg/m3、好ましくは820〜878kg/m3、より好ましくは830〜876kg/m3の範囲にある。密度が前記範囲内であることにより、軽量かつ柔軟な造形品を得ることができる。
[プロピレン系樹脂組成物]
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物は、前記要件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たすプロピレン系重合体を含む。
<プロピレン系共重合体>
本発明で用いられるプロピレン系重合体は、プロピレンから導かれる構成単位と、プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位とを含有し、かつ、上記要件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たす。このようなプロピレン系重合体を用いることにより、造形時の臭気が少なく、加水分解による靱性の低下が極めて小さく、軽量かつ柔軟な造形品を製造することができる。また、このようなプロピレン系重合体を用いることにより、成形収縮率が小さく、得られる造形品の形状及び寸法への精度が高い材料からなり、造形性に優れる。
プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、エチレンまたは炭素原子数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。
前記プロピレン系共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体等を挙げることができる。
前記プロピレン系共重合体の市販品としては、例えば、タフマー(三井化学(株)製)、ビスタマックスTM(ExxonMobil Chemical Company製)、バーシファイTM(The Dow Chemical Company製)などの商品名で製造・販売されているプロピレン系共重合体が挙げられる。
前記プロピレン系重合体は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記プロピレン系重合体の好ましい態様として、(A)プロピレン系エラストマー(プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体)、および(B)4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体が挙げられる。
≪プロピレン系エラストマー(A)≫
前記プロピレン系エラストマー(A)(以下単に「エラストマー(A)」ともいう。)は、プロピレンから導かれる構成単位50〜85モル%と、1−ブテンから導かれる構成単位5〜25モル%と、エチレンから導かれる単位5〜25モル%とを含有し(ただし、プロピレン、1−ブテンおよびエチレンから導かれる構成単位の合計を100モル%とする。)、プロピレン含量/エチレン含量(モル比)が90/10〜70/30であり、ガラス転移温度(Tg)が−15〜−40℃の範囲にある。
前記エラストマー(A)において、プロピレンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは60〜85モル%、より好ましくは65〜80モル%であり、
1−ブテンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは5〜22モル%、より好ましくは6〜18モル%であり、
エチレンから導かれる単位の含有量は、好ましくは6〜23モル%、より好ましくは8〜20モル%であり、
プロピレン含量/エチレン含量(モル比)は、好ましくは90/10〜75/25であり、より好ましくは90/10〜80/20である。このようなプロピレン系エラストマー(A)は、透明性および柔軟性に優れる。
前記エラストマー(A)のガラス転移点温度(Tg)は、好ましくは−20〜−35℃の範囲である。
前記エラストマー(A)の135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]は、0.1〜5.0dl/g、好ましくは0.5〜4.0dl/g、より好ましくは1.0〜3.0dl/gの範囲にある。
前記エラストマー(A)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜3.5、好ましくは1.3〜3.2、より好ましくは1.6〜3.0の範囲である。
前記エラストマー(A)の示差走査熱量分析(DSC)で観測される融点(Tm)は、100℃以上120℃未満または観測されない。なお、「融点(Tm)が観測されない」とは、−150℃〜200℃の範囲において、結晶融解熱量が1J/g以上である結晶融解ピークが観測されないことをいう。
前記エラストマー(A)のJIS K7112(1999年)に準拠した密度勾配管法よって測定される密度が810〜880kg/m3、好ましくは830〜878kg/m3、より好ましくは850〜876kg/m3の範囲にある。
前記エラストマー(A)は、下記一般式(1a)で表される遷移金属化合物(1a)と、
有機アルミニウムオキシ化合物(1b)、および/または前記遷移金属化合物(1a)と反応してイオン対を形成する化合物(2b)と、
所望により有機アルミニウム化合物(c)と
を含むオレフィン重合触媒の存在下に、プロピレン、エチレンおよび1−ブテンを共重合させることにより製造することができる。
Figure 2018158451
式中、R3は炭化水素基またはケイ素含有基であり、
1、R2、R4は、水素、炭化水素基またはケイ素含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
5〜R14は、水素、炭化水素基またはケイ素含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5〜R12の隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、R13とR14は、互いに結合して環を形成してもよく、
Mは第4族遷移金属であり、Yは炭素原子であり、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、jは1〜4の整数である。前記R1は、炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましい。
前記遷移金属化合物(1a)、有機アルミニウムオキシ化合物(1b)、前記遷移金属化合物(1a)と反応してイオン対を形成する化合物(2b)、および有機アルミニウム化合物(c)、ならびに、前記プロピレン系エラストマー(A)の製造方法の詳細については、例えば特開2010−163626号公報に記載されているとおりである。
≪4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(B)≫
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(B)(以下単に「共重合体(B)」ともいう。)は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位15〜90モル%と、プロピレンから導かれる構成単位10〜85モル%とを含有し(ただし、4−メチル−1−ペンテンおよびプロピレンから導かれる構成単位の合計を100モル%とする。)、ガラス転移温度(Tg)が10〜45℃の範囲にある。
前記共重合体(B)において、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位は、好ましくは40〜88モル%、より好ましくは60〜86モル%であり、プロピレンから導かれる構成単位、好ましくは12〜60モル%、より好ましくは14〜40モル%である。共重合体(B)の組成が前記範囲であることにより、機械特性が良好な成形体を得ることができる。
前記共重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは15〜43℃、より好ましくは20〜40℃である。
前記共重合体(B)の135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]は、0.1〜5.0dl/g、好ましくは0.5〜4.0dl/g、より好ましくは0.8〜2.8dl/gの範囲にある。
前記共重合体(B)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜3.5、好ましくは1.3〜3.0、より好ましくは1.5〜2.8の範囲である。
前記共重合体(B)の示差走査熱量分析(DSC)で観測される融点(Tm)は、100℃以上165℃未満または観測されない。
前記共重合体(B)のJIS K7112(1999年)に準拠した密度勾配管法よって測定される密度が810〜880kg/m3、好ましくは820〜870kg/m3、より好ましくは830〜850kg/m3の範囲にある。
前記共重合体(B)は、重合触媒を用いて重合してもよい。本発明で用いることのできる重合触媒としては、従来公知の触媒、例えば、マグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3−193796号公報、又は特開平02−41303号公報に記載のメタロセン触媒等が好適である。前記共重合体(B)の製造方法としては、例えば、国際公開第01/27124号パンフレット、国際公開第14/050817号パンフレット等に記載の方法を採用することができる。
<その他の成分>
前記プロピレン系樹脂組成物中には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、軟化剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、充填材、着色剤、滑剤などの添加剤を配合することができる。
[3次元プリンター造形用フィラメント]
本発明の3次元プリンター造形用フィラメントは、前記プロピレン系樹脂組成物を溶融紡糸し、更に延伸することにより製造される。溶融紡糸には、公知の溶融紡糸方法を採用することができる。また、延伸についても同様である。
本発明のフィラメントの製造方法としては、例えば、前記プロピレン系樹脂組成物を、単軸押出機もしくは二軸押出機のダイス孔より溶融ストランドを押出成形し、冷却水槽に導きストランド得る押出工程と、ストランドを延伸する延伸工程と、延伸したフィラメントを巻き取る巻取工程とを含む方法を挙げることができる。
押出は、プロピレン系樹脂組成物の融点(Tm)〜融点(Tm)+130℃の範囲の温度で行い、ダイスから吐出された溶融ストランドを水槽中に浸漬させて冷却する。その水温は、目的とするフィラメントの直径にもよるが、好ましくは5〜60℃、より好ましくは7〜50℃、さらに好ましくは10〜40℃の範囲である。水温が高いと、ストランドの冷却不足が生じ、軟らかいまま次の延伸行程へ導入されるため、引取ロール(延伸ロール)での巻き取り不良を引き起こす場合がある。
本発明における延伸とは、フィラメントを材料の融点以下の温度で機械的に引き伸ばし、引張方向と平行に分子鎖を配向させる操作をいう。この操作により引張強さは著しく向上し、靱性を増す。延伸工程の後、延伸温度以上に再加熱すると元の寸法に収縮しようとする性質が表れるため、寸法や強度の安定性をはかるために、延伸温度よりやや低い温度で熱処理(熱固定、ヒートセット)を行うことがある。
本発明では、押出工程で得られたストランドを、特定の温度に加熱して延伸を行う。延伸は、入口側の引取ロールと出口側の引取ロールとの速度比(延伸倍率)によって行い、このときの延伸倍率は好ましくは2〜15倍である。延伸時の加熱方法は、温水槽、オーブン、熱ロール等のいずれを用いてもよく何ら制限はないが、より均一に加熱延伸するには温水槽がより好ましい。
温水槽を用いた延伸としては、水温調節可能な長さと深さを有する水槽と、その前後に引取ロールを配置することにより実現可能である。オーブンを用いた延伸としては、電気式ヒーター(赤外線ヒーター)を熱源として引取方向に配置して温度調節を行う長さ数mのオーブンと、その前後に引取ロールを配置することにより実現可能である。また、熱ロールを用いた延伸としては、水配管、油配管、および、内部に配置された電気ヒーターなどにより温度調節された複数の引取ロールを設置し、ロールの回転速度を調節することにより実現可能である。
延伸時の温度条件としては、温水槽、オーブン、熱ロール等いずれの装置及び方法を選択してもほぼ同じであり、延伸前のフィラメントの表面温度がオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移温度(Tg)〜融点(Tm)の範囲が好ましく、Tg〜Tm−30℃の範囲がより好ましく、Tg〜Tm−60℃の範囲がさらに好ましい。表面温度がTgに満たない場合は、延伸切れが起こったり、2倍以上の延伸が不可能となったりする場合がある。逆にTmを越える場合は、延伸による強度発現の効果が少なくなる。
延伸倍率は、通常2〜15倍、好ましくは3〜12倍、より好ましくは4〜10倍である。延伸倍率が2倍に満たない場合は、延伸操作による強度発現が不充分となる場合がある。逆に、15倍を超える延伸倍率では、延伸切れを起こしやすくなったり、ボイドを生じて白化したり、フィラメントが縦割れやすくなるなどのトラブルが発生する場合がある。
2〜15倍の延伸を行う方法としては、1段で行う方法の他に、これらを適宜組み合わせて、2段、3段〜多段の構成とし、各段で小倍率の延伸を行い、全体の延伸倍率を2〜15倍とする方法でもよい。
多段の延伸を行う場合には、例えば、1段目で1.1〜10倍、2段目で1.5〜12倍というように、順次延伸倍率を変化させ、全体的な延伸倍率が2〜15倍となるようにし、同時に加熱温度条件は上記温度範囲において、1段目を一番低く、段数を増す毎に順次温度を高くする方法が好ましい。
本発明では、延伸したフィラメントを更に熱処理(熱固定)し、高温下での物性変化(例えば、収縮)を抑制することができる。オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移温度(Tg)〜融点(Tm)の間の温度で熱処理する方法としては、好ましくは20〜140℃、より好ましくは30〜120℃に設定した加熱槽に導き、熱処理(熱固定)を行った後、冷却槽にて冷却する方法が挙げられる。熱処理には、延伸操作の場合と同様に、水槽、オーブン、熱ロール等いずれの方法を用いてもよく何ら制限はない。また、冷却には、水冷、空冷いずれの方法でも良く、何ら制限はない。
最後に、延伸したフィラメントを巻取機により専用のカートリッジ、ボビン及びコーン状で巻き取り、フィラメントの巻物を得ることができる。
本発明の3次元プリンター造形用フィラメントの直径は、熱溶解積層方式の設計仕様や造形に使用するシステム能力などにも依るが、通常は1.0mm以上、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは1.6mm以上である。一方で上限は4.0mm以下、好ましくは3.5mm以下、より好ましくは3.0mm以下である。
本発明の3次元プリンター造形用フィラメントの真円度は、0.93以上、好ましくは0.95以上であり、上限は1.0である。なお、本発明における真円度は、後述する実施例に記載の方法により測定されるものである。
上記のような直径および真円度を有するフィラメントは、造形性に優れているため、外観や表面性状等に優れた造形品を安定して製造することができる。
[造形物]
本発明の造形物は、本発明のフィラメントを用いて3次元プリンターで造形されたものである。本発明のフィラメントを用いることにより、造形時における臭気が極めて少なく、軽量かつ柔軟で、さらに美観や表面平滑性等に優れ、層間の剥離が起こり難い造形物を製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<フィラメント紡糸装置及びフィラメント製造条件>
実施例および比較例においてフィラメントを製造した際の装置および製造条件は以下のとおりである。
口径30mm単軸押出機
ダイス孔径:3.0mm
シリンダー設定温度:
実施例1〜4;240〜260℃
比較例1;200〜220℃
比較例2;220〜240℃
比較例3;180〜200℃
比較例4;190〜210℃
スクリュー回転数:20rpm
ギヤポンプ回転数:5.0〜12.0rpm(2.2cc/min)、
ギヤポンプの回転数により吐出量を決定
冷却槽温度:10℃(チラー水循環)
温水槽温度:
実施例1〜4;20℃
比較例1〜4;40℃
延伸倍率:連結するロール速度の差異により設定
熱固定:最終段前ロール速度〜最終段ロール速度の差異により決定(=リラックス率、%)
熱固定温度:最終段前ロール〜最終段ロール間を通糸する熱風オーブンによる(℃)
<評価>
実施例および比較例における各種物性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
≪樹脂物性≫
1)極限粘度
極限粘度[η]は、測定装置としてウベローデ粘度計を用い、デカリン溶媒中、135℃で測定した。具体的には、約20mgの粉末状の樹脂組成物をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、上記と同様に比粘度ηspを測定した。この希釈溶液を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた(下記の式1を参照)。
[η]=1im(ηsp/C) (C→0)・・・式1
2)分子量分布(Mw/Mn)
分子量分布(Mw/Mn)は、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC−2000型を用い、以下のようにして測定した。
分離カラムは、TSKgel GNH6−HT(東ソー社製)を2本およびTSKgel GNH6−HTL(東ソー社製)を2本であり、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業社製)および酸化防止剤としてBHT(ジブチルヒドロキシトルエン、武田薬品工業社製)0.025質量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106 については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106 についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
3)融点(Tm)及びガラス転移温度(Tg)
融点(Tm)は、測定装置として示差走査熱量計(セイコーインスツル社製DSC220C)を用いて測定した。約5mgの樹脂組成物を測定用アルミニウムパン中に密閉し、30℃から10℃/minで200℃まで加熱した。樹脂組成物を完全溶融させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−150℃まで冷却した。−150℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行った。この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を樹脂組成物の融点(Tm)とした。
ガラス転移温度(Tg)は、上記と同じ測定装置を用いて測定した。元のベースラインと比熱の変化によりベースラインが下方に移動した変曲点(上に凸の曲線が、下に凸の曲線に変わる点。)での接線の交点を求め、ガラス転移温度(Tg)とした。
4)密度
密度は、JIS K7112(1999年)に準拠した密度勾配管法によって測定した。
≪フィラメント物性≫
1)直径
フィラメントを10cm間隔にて20点、ノギスで直径を測定してその平均値とした。
2)真円度
フィラメントを10cm間隔にて20点、ノギスで長径と短径を測定し、それぞれの測定点について短径/長径の比率を求めた。測定した20点での短径/長径の比率の平均値を真円度とした。真円度が1.0に近いほど、フィラメントの断面が真円状に近い。
3)耐折り曲げ性
フィラメントを23℃、相対湿度45%、及び23℃、相対湿度90%の各条件下で2週間調整した後、長さ20cmの両端部を両手で掴み、両端部が重なり合うように中央点から180度に折り曲げ、楕円型のフィラメントとした。その後、両端部が重なり合った箇所を左手で固定し、右手で両端部の重なり合った箇所から中央点にかけて上/下2本のフィラメントが重なり合うように力を入れて押さえた。2本のフィラメントが直線状に並ぶまでの間に、中央点又は他の箇所でフィラメントが折れ、2本に分離したかどうかを測定した。上記の測定を10回繰り返し行い、フィラメントが折れた回数を耐折り曲げ性とした。
上記の測定方法において、23℃、相対湿度45%の条件下で調整したフィラメントが折れた回数よりも、23℃、相対湿度90%の条件下で調整したフィラメントの折れた回数が上回る場合は、樹脂組成物が加水分解によって靱性が低下した現象を示唆している。
4)引張弾性率
フィラメントを23℃、相対湿度45%の条件下で調整し、引張試験機(島津製作所社製オートグラフAG−500C)を使用して、JIS K7161−1に準拠した測定を行った。試験速度は300mm/min、チェック間距離は100mm、標線間距離を50mmとし、垂直応力(単位:N)と垂直ひずみ(単位:%)との関係を示したグラフ(Stress−Streinカーブ)を作成して、引張弾性率(単位:MPa)を求めた。測定は5回行い、その平均値とした。一般的に引張弾性率が低い(例えば100MPa以下)樹脂材料ほど、柔軟性の特性があるといえる。
≪造形評価≫
1)臭気
造形時に発生する臭気の有無について、官能評価を行った。臭気が発生したものには「有り」とし、臭気が発生しなかった場合には「無し」として評価した。
2)糸引き
得られた造形品を目視で観察した。造形品の表面に細い糸状(繊維)の樹脂が付着していないものは「無し」とし、造形品の表面に細い糸状(繊維)の樹脂が付着している場合は「有り」として評価した。
3)焼け
得られた造形品を目視で観察した。造形品の表面に樹脂の焼けに起因する黒点やコゲが認められないものは「無し」とし、造形品の表面に樹脂の焼けに起因する黒点やコゲが確認された場合には「有り」として評価した。
4)表面平滑性
得られた造形品の表面をヒトの爪でなぞり、以下の指標で表面平滑性を評価した。
○;造形品の表面をヒトの爪でなぞった時に、引っ掛かる箇所が無かった。
×;造形品の表面をヒトの爪でなぞった時に、引っ掛かる箇所が確認された。
5)層間接着性
得られた造形品について、手で引っ張る操作により層間の剥離を試み、以下の基準で層間接着性を評価した。
〇;層間での剥離は無かった。
×;層間での剥離が認められた。
[実施例1]
<プロピレン・エチレン・ブテン共重合体の合成>
減圧乾燥および窒素置換してある1.5リットルのオートクレーブに、常温でヘプタンを675ml加え、続いてトリイソブチルアルミニウムの1.0ミリモル/mlトルエン溶液をアルミニウム原子換算で0.3ミリモルとなるように0.3ml加え、撹拌下にプロピレンを28.5リットル(25℃、1気圧)、1−ブテンを10リットル(25℃、1気圧)挿入し、昇温を開始して60℃に到達させた。その後、系内をエチレンで6.0kg/cm2Gとなるように加圧し、公知の方法で合成したrac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(0.0001mM/ml)を7.5ml、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.001mM/ml)を2.3ml加え、プロピレンとエチレンと1−ブテンの共重合を開始させた。この時の触媒濃度は、全系に対してrac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドが0.001ミリモル/リットル、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートが0.003ミリモル/リットルであった。重合中、エチレンを連続的に供給することにより、内圧を6.0kg/cm2Gに保持した。重合を開始して15分後、メチルアルコールを添加することにより重合反応を停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、このポリマー溶液に対して、「水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液」を1:1の割合で用いてこのポリマー溶液を洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この触媒混合溶液を静置したのち、水相を分離除去し、さらに蒸留水で2回洗浄し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を強撹拌下で3倍量のアセトンに接触させ、重合体を析出させ、アセトンで十分に洗浄し、固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。以上のようにして得られたプロピレン・ブテン・エチレン共重合体の収量は24gであった。得られたポリマーの物性を表1に示す。
<フィラメントの製造>
プロピレン系エラストマー(A)として、上記で得られたプロピレン・ブテン・エチレン共重合体を用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表1に示す。
<熱溶解積層方式による造形>
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度240℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表1に示す。
[実施例2]
<プロピレン・エチレン・ブテン共重合体の合成>
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、883mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン70gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を40℃に昇温し、プロピレンで系内の圧力を0.76MPaになるように加圧した後に、エチレンで系内圧力を0.8MPaに調整した。次いで、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリド0.001mmolとアルミニウム原子換算で0.3mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温40℃、系内圧力を0.8MPaにエチレンで保ちながら30分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出させ、真空下130℃、12時間乾燥した。得られたポリマーは、53.1gであった。得られたポリマーの物性を表1に示す。
<フィラメントの製造>
プロピレン系エラストマー(A)として、上記で得られたプロピレン・ブテン・エチレン共重合体を用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表1に示す。
<熱溶解積層方式による造形>
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度240℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表1に示す。
[実施例3]
<4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体の合成>
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のステンレス(SUS)製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムの1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.19MPaとなるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、アルミニウム(Al)換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.01mmolのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlを、オートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入して重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液に、該反応溶液を攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下、100℃で12時間乾燥させて、44.0gの粉末状の4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体を得た。得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体の物性を表1に示す。
<フィラメントの製造>
4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(B)として、上記で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体を用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表1に示す。
<熱溶解積層方式による造形>
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度230℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表1に示す。
[実施例4]
<4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体の合成>
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムの1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.40MPaとなるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、Al換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.01mmolのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlを、オートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入して重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液に、該反応溶液を攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下、100℃で12時間乾燥させて、36.9gの粉末状の4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体を得た。得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体の物性を表1に示す。
<フィラメントの製造>
4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(B)として、上記で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体を用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表1に示す。
<熱溶解積層方式による造形>
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度230℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表1に示す。
[比較例1]
ABS樹脂製市販フィラメント(三菱化学メディア社製「Verbatim」、ナチュラル)を、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度230℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表2に示す。
[比較例2]
PLA樹脂製市販フィラメント(Polymaker社製「PolyPuls」、ホワイト)を、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度220℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は60℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表2に示す。
[比較例3]
プロピレンホモポリマー(プライムポリマー社製「J106G」、MFR:15g/min;JIS K7210−1準拠、230℃、2.16kg荷重)のペレットを用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表2に示す。
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度230℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表2に示す。
[比較例4]
プロピレンランダムポリマー(プライムポリマー社製「J226T」、MFR:20g/min;JIS K7210−1準拠、230℃、2.16kg荷重)のペレットを用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表2に示す。
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度220℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は60℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表2に示す。
Figure 2018158451
Figure 2018158451

Claims (6)

  1. プロピレンから導かれる構成単位と、プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位とを含有し、かつ、下記要件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たすプロピレン系共重合体を含むプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする3次元プリンター造形用フィラメント:
    (a)135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]が0.1〜5.0dl/gの範囲にある;
    (b)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との割合(分子量分布;Mw/Mn)が1.0〜3.5の範囲にある;
    (c)示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点(Tm)が、100℃以上165℃未満であるか、又は実質的に観測されない;
    (d)JIS K7112(1999年)に準拠した密度勾配管法よって測定される密度が810〜880kg/m3の範囲にある。
  2. 前記プロピレン系共重合体が、プロピレンから導かれる構成単位50〜85モル%と、1−ブテンから導かれる構成単位5〜25モル%と、エチレンから導かれる単位5〜25モル%とを含有し(ただし、プロピレン、1−ブテンおよびエチレンから導かれる構成単位の合計を100モル%とする。)、プロピレン含量/エチレン含量(モル比)が90/10〜70/30であり、ガラス転移温度(Tg)が−15〜−40℃の範囲にあるプロピレン系エラストマー(A)であることを特徴とする請求項1に記載の3次元プリンター造形用フィラメント。
  3. 前記プロピレン系共重合体が、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位15〜90モル%と、プロピレンから導かれる構成単位10〜85モル%とを含有し(ただし、4−メチル−1−ペンテンおよびプロピレンから導かれる構成単位の合計を100モル%とする。)、ガラス転移温度(Tg)が10〜45℃の範囲にある4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(B)であることを特徴とする請求項1に記載の3次元プリンター造形用フィラメント。
  4. フィラメントの直径が1.0〜4.0mmであり、かつフィラメントの真円度が0.93以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の3次元プリンター造形用フィラメント。
  5. 熱溶解積層方式の3次元プリンター造形に用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の3次元プリンター造形用フィラメント。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の3次元プリンター造形用フィラメントからなる造形物。
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