JP4642687B2 - 延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は延伸成形によりフィルムを製造する方法に関し、より詳細には、MIが特定範囲にあるポリプロピレンと特定のポリエチレンワックスとを原料とし、延伸成形によりフィルムを製造する方法に関する。
従来より、延伸成形により得られるポリプロピレンのフィルムは、様々な用途に展開されてきている。近年、この延伸成形の生産性の向上がより一層強く求められるようになっている。延伸成形など成形の際の生産性を改善する一般的な方法として、成形助剤を添加して成形する方法が知られている。例えば、熱可塑性樹脂に対して、オイル、ポリエチレンワックス等の成形助剤を適用して成形する方法が検討されている(例えば、特許文献1、および2)。
しかし、従来の成形助剤を用いポリエチレン等の樹脂を延伸成形してフィルムを作製したとしても、成形性自体は改善される傾向にあるものの、得られるフィルムの物性、例えば力学物性、透明性、光沢度等の光学物性などが低下する場合があり、フィルムとして使用しようとしても、用途によっては問題となる場合があった。
特公平5−80492号公報 特表2003−528948号公報
本発明の目的は、延伸成形時の生産性を改善し、しかも、透明性、光沢などの光学物性、力学物性が損なわれないポリプロピレンのフィルムを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を検討し、MIが特定範囲にあるポリプロピレンと特定のポリエチレンワックスとを原料とし、延伸成形を行うと、その生産性が改善されるとともに、得られるフィルムは、ポリプロピレン自体が本来有する、透明性、光沢などの光学物性が損なわれず、しかも力学物性が損なわれないことを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明のフィルムを製造する方法は、
JIS K7210に従って230℃、試験荷重21.18Nの条件で測定したMIが0.01〜100g/10分の範囲であるポリプロピレンと、JIS K7112の密度勾配管法に従って測定した密度が890〜950(kg/m3)の範囲にあり、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリエチレン換算の数平均分子量(Mn)が700〜4,000の範囲にあり、かつ下記式(I)および式(II)で表される関係を満たすポリエチレンワックスとを含む混合物を延伸成形することによりフィルムを製造する方法である。
B≦0.0075×K ・・・(I)
(上記式(I)中、Bは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合の、上記ポリエチレンワックス中のポリエチレン換算の分子量が20,000以上となる成分の含有割合(%)であり、Kは上記ポリエチレンワックスの140℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
A≦230×K(-0.537) ・・・(II)
(上記式(II)中、Aは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合の、
上記ポリエチレンワックス中のポリエチレン換算の分子量が1,000以下となる成分の含有割合(重量%)であり、Kは上記ポリエチレンワックスの140℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
前記フィルムを製造する方法であって混合物中のポリプロピレン100重量部当たり、ポリエチレンワックスが0.01〜10重量部である原料を用いることが好ましい。
本発明のフィルムの製造方法によれば、ポリプロピレンの延伸成形時の生産性に優れる。また、延伸成形により得られるポリプロピレンのフィルムはポリプロピレン自体が本来有する、透明性、光沢度等の光学物性が損なわれず、しかも力学物性も損なわれない。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず本発明の延伸成形に用いる原料について説明する。
〔ポリプロピレン〕
本発明に用いるポリプロピレンとは、具体的には、JIS K7210に従って230℃、試験荷重21.18Nの条件で測定したMIが0.01〜100g/10分の範囲にあるプロピレンの単独重合体またはプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)との共重合体、またはそれらのブレンド物をいう。上記ポリプロピレンとしては、具体的には、プロピレンホモポリマー、プロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)とを共重合したポリプロピレンブロックコポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、またはそれらのブレンド物が挙げられる。
本発明において、ポリプロピレンのMIの測定条件は以下の通りである。
(MI)
JIS K7210に従って230℃、試験荷重21.18Nの条件で測定した。
上記ポリプロピレンの形状は、特に制限はないが、通常は、ペレット状またはタブレット状の粒子である。
また上記ポリプロピレンの密度は通常は900〜910(kg/m3)の範囲である。
〔ポリエチレンワックス〕
本発明でポリエチレンワックスとは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリエチレン換算の数平均分子量(Mn)が700〜4,000の範囲にあるエチレンの単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体、またはそれらのブレンド物をいう。上記ポリエチレンワックスのポリエチレン換算の数平均分子量(Mn)は、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定から求めたものである。
(数平均分子量(Mn))
数平均分子量は、GPC測定から求めた。測定は以下の条件で行った。また、数平均分子量は、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求めた。
装置 : ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)
溶剤 : o−ジクロロベンゼン
カラム: TSKgelカラム(東ソー社製)×4
流速 : 1.0 ml/分
試料 : 0.15mg/mL o−ジクロロベンゼン溶液
温度 : 140℃
分子量換算 : PE換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。
ポリスチレン(PS)の係数 : KPS=1.38×10-4, aPS=0.70
ポリエチレン(PE)の係数 : KPE=5.06×10-4, aPE=0.70
ポリエチレンワックスが、上述のような組成、分子量にあることで、成形時の生産性が改善される傾向にある。
本発明で用いるポリエチレンワックスは、密度が890〜950(kg/m3)の範囲
にある。上記ポリエチレンワックスの密度は、JISK7112の密度勾配管法で測定した値である。ポリエチレンワックスの密度が上記範囲にある場合には、成形時の生産性が改善される傾向にある。
本発明のポリエチレンワックスはその分子量と、溶融粘度との間に下記式(I)および
式(II)で示される特定の関係がある点に特徴がある。
B≦0.0075×K ・・・(I)
ここで上記式(I)中、Bは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合の、上記ポリエチレンワックス中のポリエチレン換算の分子量が20,000以上となる成分の重量基準での含有割合(重量%)である。また、Kはブルックフィールド(B型)粘度計で測定した上記ポリエチレンワックスの140℃における溶融粘度(mPa・s)である。
上記(I)式の条件を満たすポリエチレンワックスを用いた場合には、得られるフィルムでは、ポリプロピレンが本来有する力学物性が損なわれない傾向にあり、また得られるフィルムの光学特性が損なわれない傾向がある。
通常、ポリプロピレンに溶融粘度が低いポリエチレンワックスを混合して、延伸成形をすると、混合物全体の粘度が低下するため、成形時の生産性に関しては改善される傾向にある。しかし、このように生産性を改善したとしても、結果として得られるフィルムの力学物性が必ずしも十分でない場合や、さらに光学物性が損なわれる場合があった。
本発明者らが検討した結果、延伸成形で得られるフィルムの力学物性および光学物性は、使用するポリエチレンワックスのうち、分子量が20,000以上の成分の割合が溶融粘度との関係で極めて重要であることが分かった。その詳細なメカニズムは明らかではないが、ポリエチレンワックスとポリプロピレンとを溶融混練する場合に、ポリエチレンワックス全体の中でも、分子量20,000以上の成分は、その溶融挙動がワックス全体の中でも特異的であり、ポリエチレンワックス全体の溶融粘度という観点から見て、分子量20,000以上の成分を一定割合以下としないと、ポリエチレンワックスがポリプロピレンに対して良好に分散することができず、最終的なフィルムの力学物性および光学物性にも影響を与えるものと推定される。
B値が上記範囲のポリエチレンワックスは、メタロセン触媒を用いて調製できる。メタ
ロセン触媒の中でも、配位子が非架橋であるメタロセン触媒が好ましい。このようなメタロセン触媒としては、後述する一般式(1)で表されるメタロセン化合物を例示できる。
さらに、上記B値は重合温度によっても制御できる。例えば、後述するメタロセン触媒
によりポリエチレンワックスを製造する場合には、重合温度は通常100〜200℃の範囲であるが、上述したB値を有するポリエチレンワックスを製造する観点からは、重合温度は、好ましくは、100〜180℃の範囲、より好ましくは、100〜170℃の範囲
である。
本発明のポリエチレンワックスはその分子量と、溶融粘度との間にさらに、下記式(II)で示される特定の関係がある。
A≦230×K(-0.537) ・・・(II)
ここで上記式(II)中、Aは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合の、上記ポリエチレンワックス中のポリエチレン換算の分子量が1,000以下となる成分の重量基準での含有割合(重量%)である。また、Kは上記ポリエチレンワックスの140℃における溶融粘度(mPa・s)である。
上記(II)式の条件を満たすポリエチレンワックスを用いた場合には、得られるフィルムは、ポリプロピレンが本来有する力学物性および光学物性が損なわれない傾向にあり、しかも成形体表面からのブリードアウトも少なくなる傾向にある。
前述のように、通常、ポリプロピレンに溶融粘度が低いポリエチレンワックスを適用して、延伸成形をすると、混合物全体の粘度が低下するため、成形時の生産性に関しては改善される傾向にある。しかし、生産性を改善できたとしても、結果として得られるフィルムでは、ポリプロピレンが本来有する力学物性が損なわれる場合があり、さらに光学物性も損なわれる場合があり、しかもフィルム表面からのブリードアウトも問題となる場合があった。
本発明者らが検討した結果、延伸成形で得られるフィルムの力学物性等および光学物性には、使用するポリエチレンワックスのうち、分子量が1,000以下の成分の割合が溶融粘度との関係で極めて重要であることが分かった。その詳細なメカニズムは明らかではないが、成形体中でのポリエチレンワックスとポリプロピレンとを溶融混練する場合、ポリエチレンワックス全体の中でも、分子量1,000以下の成分は、溶融しやすくその溶融挙動がワックス全体の中でも特異的であり、ポリエチレンワックス全体の溶融粘度という観点から見て、分子量1,000以下の成分を一定割合以下としないと、表面へ染み出し、場合によっては劣化等を引き起こし最終的な成形体の力学物性、光学物性、ブリードアウトにも影響を与えるものと推定される。
A値が上記範囲のポリエチレンワックスは、メタロセン触媒を用いて調製できる。メタ
ロセン触媒の中でも、配位子が非架橋であるメタロセン触媒が好ましい。このようなメタロセン触媒としては、後述する一般式(1)で表されるメタロセン化合物を例示できる。
さらに、上記A値は重合温度によっても制御できる。例えば、後述するメタロセン触媒
によりポリエチレンワックスを製造する場合には、重合温度は通常100〜200℃の範囲であるが、上述したA値を有するポリエチレンワックスを製造する観点からは、重合温
度は、好ましくは、100〜180℃の範囲、より好ましくは、100〜170℃の範囲である。
上記ポリエチレンワックスの数平均分子量(Mn)は、700〜4,000の範囲である。ポリエチレンワックスの数平均分子量(Mn)が上記範囲にあると、成形する際にポリプロピレンに対するポリエチレンワックスの分散が良好となる傾向にある。また、押出量が向上する傾向、押出し時の負荷が低減する傾向があり、生産性がより向上する傾向にある。さらに、ポリエチレンワックスを添加せずに得られる成形体と比較しても、得られる成形体の力学物性が損なわれない傾向にある。またポリエチレンワックスの数平均分子量(Mn)が、800〜3,800の範囲であることが好ましい。ポリエチレンワックス
の数平均分子量(Mn)が上記好ましい範囲にあると、得られる成形体の力学物性が損なわれないだけでなく、力学物性が向上する場合がある。
ポリエチレンワックスのMnは、重合温度などにより制御できる。例えば、後述するメタロセン触媒によりポリエチレンワックスを製造する場合には、重合温度は通常100〜200℃の範囲であるが、上述した好適範囲のMnを有するポリエチレンワックスを製造する観点からは、重合温度は、好ましくは、100〜180℃の範囲、より好ましくは、100〜170℃の範囲である。
また、ポリエチレンワックスの密度(D(kg/m3))は890〜950(kg/m3)の範囲である。ポリエチレンワックスの密度(D)が上記範囲にあると、成形する際にポリプロピレンに対するポリエチレンワックスの分散が良好となる傾向にある。また、押出量が向上する傾向、押出し時の負荷が低減する傾向があり、生産性が向上する傾向にある。さらに、ポリエチレンワックスを添加せずに得られる成形体と比較しても、得られる成形体の力学物性が損なわれない傾向にある。またポリエチレンワックスの密度が上記範囲を超える場合、光学物性が悪化する傾向があり、ブリードアウトが発生する場合がある。その詳細なメカニズムは明らかでは無いが、ポリエチレンワックスの密度が上記範囲を超えるとポリエチレンワックスとポリプロピレンとの密度差が大きくなりポリエチレンワックスとポリプロピレンとの相溶性が悪化するため光学特性が悪化する傾向やブリードアウトが発生する場合があると推定される。また、ポリエチレンワックスの密度(D)が、895〜945(kg/m3)の範囲であることが好ましい。ポリエチレンワックスの密
度(D)が上記好ましい範囲にあると、得られる成形体の光学物性がより損なわれない傾向にある。
またポリエチレンワックスの数平均分子量(Mn)が上記好ましい範囲にあり、ポリエチレンワックスの密度(D)が上記好ましい範囲にあるとき、得られる成形体の力学物性と光学物性とがより損なわれない。
ポリエチレンワックスの密度は、ポリエチレンワックスがエチレンの単独重合体である場合には、ポリエチレンワックスの数平均分子量(Mn)に依存する。例えば、ポリエチレンワックスの分子量を低くすれば、得られる重合体の密度を低く制御できる。ポリエチレンワックスがエチレンとα−オレフィンとの共重合体である場合には、ポリエチレンワックスの密度は、数平均分子量(Mn)の大きさに依存するとともに、重合時のエチレンに対するα−オレフィンの使用量、およびその種類により制御できる。例えば、エチレンに対するα−オレフィンの使用量を増加すると、得られる重合体の密度を低くできる。
ポリエチレンワックスの密度の観点からは、エチレン単独共重合体、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
上記エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体の製造に使用するα−オレフィンとしては、炭素数が3〜10のα−オレフィンが好ましく、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンがより好ましく、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンが特に好ましい。
上記エチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造に使用するα−オレフィンは、使用する全単量体に対して0〜20mol%の範囲にあることが好ましく、0.1〜15mol%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜10mol%の範囲にあることが更に好ましい。
また、ポリエチレンワックスの密度は、重合温度によっても制御できる。例えば、後述するメタロセン触媒によりポリエチレンワックスを製造する場合には、重合温度は通常100〜200℃の範囲であるが、上述した好適範囲の密度を有するポリエチレンワックス
を製造する観点からは、重合温度は、好ましくは、100〜180℃の範囲、より好ましくは、100〜170℃の範囲である。
このようなポリエチレンワックスは、常温で固体であり、65〜130℃で低粘度の液体となる。
さらに上記ポリエチレンワックスは、示差走査熱量計(DSC)で測定した上記結晶化温度〔Tc(℃)〕と、上記密度勾配法で測定した密度(D(kg/m3))とが、好ま
しくは下記式(III)
0.501×D−366 ≧ Tc …(III)
より好ましくは、下記式(IIIa)
0.501×D−366.5 ≧ Tc …(IIIa)
さらに好ましくは、下記式(IIIb)
0.501×D−367 ≧ Tc …(IIIb)
の関係を満たす。
ポリエチレンワックスにおいて結晶化温度(Tc)と密度(D)とが上記式の関係を満たしている場合には、ポリプロピレンに対するポリエチレンワックスの分散性が良好となる傾向にある。
上記式の関係を満たすポリエチレンワックスは、メタロセン触媒を用いて調製できる。メタロセン触媒の中でも、配位子が非架橋であるメタロセン触媒が好ましい。このようなメタロセン触媒としては、後述する一般式(1)で表されるメタロセン化合物が例示できる。
さらに、上記式の関係を満たすポリエチレンワックスは、重合温度を制御することによっても製造できる。例えば、後述するメタロセン触媒によりポリエチレンワックスを製造する場合には、重合温度は通常100〜200℃の範囲であるが、上述したB値を有するポリエチレンワックスを製造する観点からは、重合温度は、好ましくは、100〜180℃の範囲、より好ましくは、100〜170℃の範囲である。
本発明において好適なメタロセン系触媒としては、例えば、
(A) 周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物、並びに
(B)(b-1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b-2)前記架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物および
(b-3)有機アルミニウム化合物
とから選ばれる少なくとも1種以上の化合物とからなるオレフィン重合用触媒を
挙げることができる。
以下にこれらについて詳細に説明する。
<メタロセン化合物>
(A) 周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物
メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的な例としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
1Lx …(1)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属M1の原子価、Lは配位子である。M1で示される遷移金属の例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムな
どがある。Lは遷移金属M1に配位する配位子であって、そのうち少なくとも1個の配位
子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であって、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。シクロペンタジエニル骨格を有する配位
子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−またはi−プロピルシクロペンタジエニル基、n−、i−、sec−またはt−ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレ
ニル基などが挙げられる。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子の水素は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
上記のメタロセン化合物が、配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士が、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルフォン酸含有基(−SO31)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で
置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
<メタロセン化合物の例−1>
上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物が、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(2)で表される。
2 k3 l4 m5 n1 …(2)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R3、R4及びR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有す
るかまたは有しない基(配位子)である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
1がジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくと
も2個含むメタロセン化合物の例を次に挙げる。ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリドなど。
上記の化合物の中で、1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置き換えた化合物も用いることができる。
またメタロセン化合物の別の例としては、上記一般式(2)において、R2、R3、R4
及びR5の少なくとも2個、例えばR2及びR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(
配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このときR4及びR5は、それぞれ独立に、前述したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニル
シリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
<メタロセン化合物の例−2>
またメタロセン化合物の例としては、下記一般式(3)で表される特開平4−268307号公報記載のメタロセン化合物が挙げられる。
Figure 0004642687
ここで、M1は周期表第4族遷移金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハ
フニウムが挙げられる。
11及びR12は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のアリーロキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数7〜40のアルキルアリール基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;またはハロゲン原子であり、R11及びR12は、塩素原子であることが好ましい。
13及びR14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;−N(R20)2、−SR20、−OSi(R20)3、−Si(R20)3または−P(R20)2基である。ここで、R20はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R13及びR14は、特に水素原子であることが好ましい。
15及びR16は、水素原子が含まれないことを除きR13及びR14と同じであって、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じである。R15及びR16は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル等が挙げられ、特にメチルが好ましい。
上記一般式(3)において、R17は次の群から選ばれる。
Figure 0004642687
=BR21、=AlR21、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=N
21、=CO、=PR21、=P(O)R21など。M2はケイ素、ゲルマニウムまたは錫、
好ましくはケイ素またはゲルマニウムである。ここで、R21、R22及びR23は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のフルオロアリール基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;または炭素原子数7〜40のアルキルアリール基である。「R21とR22」または「R21とR23」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。また、R17は、=CR2122、=SiR2122、=GeR2122、−O−、−S−、=SO、=PR21または=P(O)R21であることが好ましい。R18及びR19は互いに同一でも異なっていてもよく、R21と同じものが挙げられる。m及びnは互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
上記一般式(3)で表されるメタロセン化合物の例としては、次の化合物が挙げられる。rac−エチレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライド、
rac−ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロラ
イドなど。これらのメタロセン化合物は、例えば、特開平4−268307号公報に記載の方法で製造することができる。
<メタロセン化合物の例−3>
また、メタロセン化合物としては、下記一般式(4)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
Figure 0004642687
式(4)中、M3は、周期表第4族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジル
コニウム、ハフニウムなどである。R24及びR25は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。R25は水素原子または炭化水素基が好ましく、特に水素原子、またはメチル、エチルもしくはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。R26、R27、R28及びR29は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの中では水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。また芳香族環を形成する基以外に、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2個以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR29が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。X1
びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜
20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素原子含有基またはイオウ原子含有基を示すYは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR30−、−
P(R30)−、−P(O)(R30)−、−BR30−または−AlR30−(ただし、R30は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
式(4)において、R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含み、M3に配位する配位子としては、次式で表さ
れるものなどが挙げられる。
Figure 0004642687
(式中、Yは前式に示したものと同じである。)
<メタロセン化合物の例−4>
メタロセン化合物としては、また下記一般式(5)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
Figure 0004642687
式(5)中、M3、R24、R25、R26、R27、R28及びR29は、上記一般式(4)と同じ
である。R26、R27、R28及びR29のうち、R26を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R26とR28、またはR28とR29がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。またこのアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R24、R25で例示した置換基が挙げられる。R26、R27、R28及びR29のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。またR26、R27、R28及びR29は、これらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、上記R24及びR25と同様のものが挙げられる。X1、X2及びYとしては、上記と同様のものが挙げられる。
上記一般式(5)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac−ジメチルシリレン−ビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、r
ac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,6−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
これらの化合物において、ジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
<メタロセン化合物の例−5>
メタロセン化合物として、下記一般式(6)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
Figure 0004642687
式(6)中、M3、R24、X1、X2及びYは、上記一般式(4)と同じである。R24は炭
化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R25は、炭素原子数6〜16のアリール基を示す。R25はフェニル、ナフチルであることが好ましい。アリール基は、ハロゲン原子
、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。X1及びX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
上記一般式(6)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac−ジメチルシリレン−ビス(4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(α−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(β−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(1−アントリル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。またこれら化合物において、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
<メタロセン化合物の例−6>
またメタロセン化合物として、下記一般式(7)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
LaM43 2 …(7)
ここで、M4は周期表第4族またはランタニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金属M4活性サイトに拘束幾何形状を付与している基である。X3は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数20以下の炭化水素基、20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下のゲルマニウムを含有するゲルミル基である。
この化合物の中では、次式(8)で示される化合物が好ましい。
Figure 0004642687
式(8)中、M4は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。X3は上記一般式(7)で説明したものと同様である。CpはM4にπ結合しており、かつ置換基Zを有する
置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第4族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)である。Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成していてもよい。このような式(8)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。(ジメチル(t−ブチルアミド)(テト
ラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、((t−ブチルアミ
ド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル)チタンジクロ
リドなど。またこのメタロセン化合物において、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置き換えた化合物を挙げることもできる。
<メタロセン化合物の例−7>
またメタロセン化合物としては、下記一般式(9)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
Figure 0004642687
式(9)中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジル
コニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R31は互いに同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1個が炭素原子数11〜20のアリール基、炭素原子数12〜40のアリールアルキル基、炭素原子数13〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数12〜40のアルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、またはR31で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場合、R31により形成される環は、R31が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基及び芳香族環、脂肪族環を形成しているR31以外のR31は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。R32は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。また、R32で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。この場合、R32により形成される環は、R32が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR32以外のR32は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。なお、R32で示される2個の基が、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成される基にはフルオレニル基が次式のような構造になる態様も含まれる。
Figure 0004642687
32は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。このような置換基としてR32を有するフルオレニル基としては、2,7−ジアルキル−フルオレニル基
が好適な例として挙げられ、この場合の2,7−ジアルキルのアルキル基としては、炭素
原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。また、R31とR32は、互いに同一でも異なって
いてもよい。R33及びR34は互いに同一でも異なっていてもよく、上記と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R33及びR34は、少なくとも一方が炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。X1及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。X1とX2とから形成された共役ジエン残基としては、1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン、1−フェニル−1,3−ペンタジエン、1,4−ジフェニルブタジエンの残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。X1及びX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基またはイオウ含有基であることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−N
35−、−P(R35)−、−P(O)(R35)−、−BR35−または−AlR35−(ただし、R35は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。これらの2価の基のうちでも、−Y−の最短連結部が1個または2個の原子で構成されているものが好ましい。また、R35は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。Yは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
<メタロセン化合物の例−8>
またメタロセン化合物としては、下記一般式(10)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
Figure 0004642687
式(10)中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタニウム、ジル
コニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R36は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基及びアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。R36はこれらのうち、アルキ
ル基、アリール基または水素原子であることが好ましく、特にメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチルなどのアリール基または水素原子であることが好ましい。R37は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。R37はこれらのうち、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、tert−ブチルの炭素原子数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。また、上記R36とR37は、互いに同一でも異なっていてもよい。R38及びR39は、いずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基であり、他方は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R38及びR39は、いずれか一方がメチル、エチル、プロピルなどの炭素原子数1〜3のアルキル基であり、他方は水素原子であることが好ましい。X1及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。これらのうち、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR40−、−P(R40)−、
−P(O)(R40)−、−BR40−または−AlR40−(ただし、R40は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。これらのうちYは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
<メタロセン化合物の例−9>
またメタロセン化合物としては、下記一般式(11)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
Figure 0004642687
式(11)において、Yは炭素、ケイ素、ゲルマニウムおよびスズ原子から選ばれ、MはTi、ZrまたはHfであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12
は水素、炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5からR12までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、R13、R14は炭化
水素基およびケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R13およ
びR14が互いに結合して環を形成してもよい。Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、jは1〜4の整数である。)
以下、本発明に関わる架橋メタロセン化合物の化学構造上の特徴であるシクロペンタジエニル基、フルオレニル基、架橋部、およびその他特徴について順次説明した後に、これらの特徴を併せ持つ好ましい架橋メタロセン化合物を説明する。
シクロペンタジエニル基
シクロペンタジエニル基は置換されていてもいなくてもよい。置換されていてもいなくてもよいシクロペンタジエニル基とは、上記一般式(11)におけるシクロペンタジエニル基部分が保有するR1、R2、R3およびR4が全て水素原子であるか、またはR1、R2、R3およびR4の内のいずれか一つ以上が炭化水素基(f1)、好ましくは総炭素数1から20の炭化水素基(f1')、またはケイ素含有基(f2)、好ましくは総炭素数1から20のケイ素含有基(f2')で置換されたシクロペンタジエニル基であることを意味する。R1、R2、R3およびR4の内の二つ以上が置換されている場合は、それらの置換基は相互に同一でも異なっていてもよい。また、総炭素数1から20の炭化水素基とは、炭素および水素のみから構成されるアルキル、ア
ルケニル、アルキニル、アリール基である。この中には、隣接する任意の二つの水素原子が同時に置換されて脂環族あるいは芳香族環を形成しているものも含む。総炭素数1から20の炭化水素基(f1')としては、炭素および水素のみから構成されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基以外に、これらの炭素に直結した水素原子の一部がハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、ケイ素含有基で置換されたヘテロ原子含有炭化水素基や、隣接する任意の二つの水素原子が脂環族を形成しているものも含む。このような基(f1')
としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、アリル(allyl)基、n-ブチル基、n-ペン
チル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、t-ブチル基、アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロ
ピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチル
プロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基およびこれらの核アルキル置換体;ベンジル基、クミル基などのアリール基の置換した飽和炭化水素基; メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基N-メチルアミノ基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基などのヘテロ原子含有炭化水素基を挙げることができる。
ケイ素含有基(f2)とは、例えば、シクロペンタジエニル基の環炭素がケイ素原子と直接共有結合している基であり、具体的にはアルキルシリル基やアリールシリル基である。総炭素数1から20のケイ素含有基(f2')としては、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等を例示することができる。
フルオレニル基
フルオレニル基は置換されていてもいなくてもよい。置換されていてもいなくてもよいフルオレニル基とは、上記一般式(11)におけるフルオレニル基部分が保有するR5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12が全て水素原子であるか、またはR5、R6、R7、R8、R9、R
10、R11およびR12の内のいずれか一つ以上が炭化水素基(f1)、好ましくは総炭素数1から20の炭化水素基(f1')、またはケイ素含有基(f2)、好ましくは総炭素数1から20のケイ素含
有基(f2')で置換されたフルオレニル基であることを意味する。R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12の内の二つ以上が置換されている場合は、それらの置換基は相互に同一でも異なっていてもよい。また、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12は、隣接する基
が互いに結合して環を形成していてもよい。触媒のその製造上の容易性からR6とR11、お
よびR7とR10が相互に同一であるものが好んで使用される。
炭化水素基(f1)の好ましい基は、前記した総炭素数1から20の炭化水素基(f1')であり、ケイ素含有基(f2)の好ましい例は、前記した総炭素数1から20のケイ素含有基(f2')である。
共有結合架橋
シクロペンタジエニル基とフルオレニル基を結ぶ結合の主鎖部は、炭素、ケイ素、ゲルマニウムおよびスズ原子を一つ含有する2価の共有結合架橋である。本発明の高温溶液重合
において重要な点は、共有結合架橋部の架橋原子Yが、相互に同一でも異なっていてもよ
いR13とR14を有することである。炭化水素基(f1)の好ましい基は、前記した総炭素数1か
ら20の炭化水素基(f1')であり、ケイ素含有基(f2)の好ましい例は、前記した総炭素数1から20のケイ素含有基(f2')である。
架橋メタロセン化合物のその他の特徴
前記一般式(11)において、Qはハロゲン、炭素数が1〜10の炭化水素基、または炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれる。ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル
、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、ネオペン
チル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、1-メチル-1-シクロヘキシル等が挙げら
れる。炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエンの具体例としては、s-シス-また
はs-トランス-η4-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-3-メチル-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-2,4-ヘキサジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トラン
ス-η4-1,4-ジトリル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ビス(トリメ
チルシリル)-1,3-ブタジエン等が挙げられる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基、アセテート、ベンゾエート等のカル
ボキシレート基、メシレート、トシレート等のスルホネート基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、またはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。jは1〜4の整数であり、jが2以上の時は、Qは互いに同一でも異なっていてもよい。
<メタロセン化合物の例−10>
またメタロセン化合物としては、下記一般式(12)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
Figure 0004642687
式中、R1、R2、R3、R 4、R 5、R 6、R 7、R 8、R 9、R 10、R 11、R 12、R 13、R 14は水素、炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R 1からR 14までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、MはTi、Zr
またはHfであり、Yは第14族原子であり、Qはハロゲン、炭化水素基、炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエン、アニオン配位子、および孤立電子対で配位可能な中性配位子からなる群から同一または異なる組合せで選ばれ、nは2〜4の整数、jは1〜4の整数である。
上記一般式(12)において、炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアルキルアリール基であり、1つ以上の環構造を含んでいてもよい。
その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1-エチル-1-
メチルプロピル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメ
チルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、ネオペンチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、1-メチル-1-シクロヘキシル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、2-メチル-2-アダマンチル、メンチル、ノルボルニル、ベンジル、2-フェニルエチル、1-テトラヒドロナフチル、1-メチル-1-テトラヒドロナフチル、フェニル、ナフチル、トリル等が挙げられ
る。
上記一般式(12)において、ケイ素含有炭化水素基としては、好ましくはケイ素数1〜4、炭素数3〜20のアルキルまたはアリールシリル基であり、その具体例としては、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。
本発明において、上記一般式(12)のR1からR14は水素、炭化水素基、ケイ素含有
炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。好ましい炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基の具体例としては、上記と同様のものを挙げることができる。
上記一般式(12)のシクロペンタジエニル環上のR 1からR 14までの隣接した置換基
は、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(12)のMは、周期律表第4族元素、すなわちジルコニウム、チタンまたはハ
フニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
Yは第14族原子であり、好ましくは炭素原子または珪素原子である。nは2〜4の整
数であり、好ましくは2または3、特に好ましくは2である。
Qはハロゲン、炭化水素基、炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエン、アニ
オン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子からなる群から同一または異なる組合せで選ばれる。Qが炭化水素基であるとき、より好ましくは炭素数が1〜10の炭化水
素基である。
ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピ
ル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、ネオペンチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、1-メ
チル-1-シクロヘキシル等が挙げられる。炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジ
エンの具体例としては、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-3-メチ
ル-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-2,4-ヘキサジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジトリル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ブタジエン等が挙げられる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基
、アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基、メシレート、トシレート等のスルホネート基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、またはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1、2−ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。jが2以上の整数である場合は、複数のQは同一でも異なっていてもよい。
式(12)において、Yは2〜4の複数個存在するが、複数のYは相互に同一であっても異なっていてもよい。Yに結合する複数のR13及び複数のR14は、それぞれ相互に同一であ
っても異なっていてもよい。例えば同一のYに結合する複数のR13が相互に異なっていてもよいし、異なるYに結合する複数のR13が相互に同一であってもよい。また、R13もしくはR14同士が環を形成していてもよい。
式(12)で表される第4族遷移金属化合物の好ましい例として、下記式(13)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004642687
式(13)中、R 1、R 2、R 3、R 4、R 5、R 6、R 7、R 8、R 9、R 10、R 11、R 12
水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R 13、R 14、R 15、R 16は水素原子または炭化水素基であり、nは1〜3の整数であり
、n=1のときは前記R 1からR 16は同時に水素原子ではなく、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R 5からR 12までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、R
13とR 15は互いに結合して環を形成してもよく、またR 13とR 15は互いに結合して環を
形成すると同時にR 14とR 16は互いに結合して環を形成してもよく、Y1およびY2は第14族原子であり相互に同一でも異なっていてもよく、MはTi、ZrまたはHfであり、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、jは1〜4の整数である。
このようなメタロセン化合物の例−9、10のような化合物は特開2004−175707号公報WO2001/027124、WO2004/029062、WO2004/083265等に挙げられている。
以上に説明したメタロセン化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。またメタロセン化合物は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素などに希釈して用いてもよい。
触媒成分は、(A)前記で表される架橋メタロセン化合物、並びに(B)(b-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、(b-2) 前記架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および(b-3)有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくても1種の化
合物から構成される。
以下、(B)成分について具体的に説明する。
<(b-1) 有機アルミニウムオキシ化合物>
本発明で用いられる(b-1) 有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用できる。具体的には、下記一般式(14)
Figure 0004642687
および/または一般式(15)
Figure 0004642687
(ここで、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す。)で代表される化合物を挙げることができ、特にRがメチル基であるメチルアルミノキサンでnが3以上、好まし
くは10以上のものが利用される。これらアルミノキサン類に若干の有機アルミニウム化合物が混入していても差し支えない。本発明の高温溶液重合において特徴的な性質は、特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合
物をも適用できることである。また、特開平2-167305号公報に記載されている有機アルミ
ニウムオキシ化合物、特開平2-24701号公報、特開平3-103407号公報に記載されている二
種類以上のアルキル基を有するアルミノキサンなども好適に利用できる。なお、本発明の高温溶液重合で用いられる「ベンゼン不溶性の」有機アルミニウムオキシ化合物とは、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好
ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であることをいう。
また、本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物としては下記(16)のような修飾メチルアルミノキサン等も挙げられる。
Figure 0004642687
(ここで、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、m,nは2以上の整数を示す。)
この修飾メチルアルミノキサンはトリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製されるものである。このような化合物[V]は一般にMMAOと呼ばれている。このようなMMAOはUS4960878およびUS5041584で挙げられている方法
で調製することが出来る。また、東ソー・ファインケム社等からもトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製したRがイソブチル基であるものがMMAOやTMAOといった名称で商業生産されている。このようなMMAOは各種溶媒への溶解性および保
存安定性を改良したアルミノキサンであり、具体的には上記(14)、(15)のようなベンゼンに対して不溶性または難溶性のものとは違い、脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素に溶解するものである。
さらに、本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(1
7)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 0004642687
(式中、Rcは炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。Rdは、互いに同一でも異なってい
てもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
<(b-2) 架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物>
架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b-2)(以下、「イオン性化合物」と略称する場合がある。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
本発明において、好ましく採用されるイオン性化合物は下記一般式(18)で表される化合物である。
Figure 0004642687
式中、Re+としては、H+、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウ
ムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。Rf〜Riは、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基である。
前記カルベニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオンなどの三置換カルベニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n-プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン、ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
上記のうち、Re+としては、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ま
しく、特にトリフェニルカルベニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
カルベニウム塩として具体的には、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4-メ
チルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙
げることができる。
アンモニウム塩としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩などを挙げることができる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n-
ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウム
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(
ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボ
レート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムなどが挙げられる。
N,N-ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、 N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、 N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニ
ル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリ
ニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、 N,N-ジエチルアニリニウムテト
ラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
その他、本出願人によって開示(特開2004-51676号公報)されているイオン性化合物も制限無く使用が可能である。
尚、上記のようなイオン性化合物(b-2)は、2種以上混合して用いることができる。
<(b-3) 有機アルミニウム化合物>
オレフィン重合触媒を形成する(b-3)有機アルミニウム化合物としては、例えば下記
一般式[X]で表される有機アルミニウム化合物、下記一般式(19)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などを挙げることができる。
Ra mAl(ORb)nHpXq------ (19)
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好
ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミ
ニウム化合物。このような化合物の具体例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリn-アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、
トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;一般式(i-C4H9)xAly(C5H10)z(式中、x、y、zは正
の数であり、z≦2xである。)
などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;一般式Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部
分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
M2AlRa 4 -----------(20)
(式中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。このような化合物としては、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4などを例示することができる。
また、上記一般式(20)で表される化合物に類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を
挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C2H5)2AlN(C2H5)Al(C2H5)2
などを挙げることができる。
入手容易性の点から、(b−3)有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好んで用いられる。
<重合>
本発明で用いられるポリオレフィンワックスは、上記メタロセン系触媒の存在下に、エチレンを通常液相で単独重合するか、またはエチレンおよびα−オレフィンを共重合させることにより得られる。重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
[q1] 成分(A)を単独で重合器に添加する方法。
[q2] 成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
上記[q2]の方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていても
よい。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。なお、ここで用いる各モノマーは、前述した通りである。
重合方法は、ポリオレフィンワックスがヘキサン等の溶媒中に粒子として存在する状態で重合する懸濁重合、溶媒を用いないで重合する気相重合、そして140℃以上の重合温度で、ポリオレフィンワックスが溶剤と共存または単独で溶融した状態で重合する溶液重合が可能であり、その中でも溶液重合が経済性と品質の両面で好ましい。
重合反応は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で行ってもよい。重合をバッチ法で実施するに際しては、前記の触媒成分は次に説明する濃度下で用いられる。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(A)は,反応容積1リットル当り、通常10-9〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルに
なるような量で用いられる。
成分(b−1)は、成分(b−1)と、成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比
〔(b−1)/M〕が通常0.01〜5,000、好ましくは0.05〜2,000となるような量で用いられる。成分(b−2)は、成分(b−2)中のイオン性化合物と、成分(A)中の全遷移金属(M)とのモル比〔(b−2)/M〕が、通常0.01〜5,000、好ましくは1〜2,000となるような量で用いられる。成分(b−3)は、成分(b−3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−3)/M〕が、通常1〜1
0000、好ましくは1〜5000となるような量で用いられる。
重合反応は、温度が通常、ワックス10gをフィルター上にセットして、−20〜+200℃、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは70〜180℃で、圧力が通常、0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて
4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
重合に際して、エチレンおよび必要に応じて用いられるα−オレフィンは、前記した特定組成のポリオレフィンワックスが得られるような量割合で重合系に供給される。また重合に際しては、水素などの分子量調節剤を添加することもできる。
このようにして重合させると、生成した重合体は通常これを含む重合液として得られるので、常法により処理するとポリオレフィンワックスが得られる。
本発明においては、特に<メタロセン化合物の例−1>で示したメタロセン化合物を含む触媒の使用が好ましい。
本発明のポリエチレンワックスの形状は特に制限はないが、通常、ペレット状、またはタブレット状の粒子である。
〔その他成分〕
本発明では、上記ポリプロピレンとポリエチレンワックスとに加えて、さらに必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤、金属石鹸、充填剤、難燃剤等の添加剤を原料に加えて使用してもよい。
上記安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、フォスファイト系化合物、チオエーテル系化合物などの酸化防止剤;
ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などの紫外線吸収剤;
ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤が挙げられる。
上記金属石鹸としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸塩等が挙げられる。
上記充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、クレー、カーボンブラックなどが挙げられる。
上記難燃剤としては、デガブロムジフェニルエーテル、オクタブロムジフェニルエーテル等のハロゲン化ジフェニルエーテル、ハロゲン化ポリカーボネイトなどのハロゲン化合物;三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモン酸ソーダ、水酸化アルミニウムなどの無機化合物;リン系化合物などが挙げられる。
また、ドリップ防止のため難燃助剤としてはテトラフルオロエチレン等の化合物を添加することができる。
上記抗菌剤、防カビ剤としては、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、ニトリル系化合物、ハロアルキル系化合物、ピリジン系化合物などの有機化合物;
銀、銀系化合物、亜鉛系化合物、銅系化合物、チタン系化合物などの無機物質、無機化合物などが挙げられる。
これら化合物のなかでも、熱的に安定で性能の高い銀、銀系化合物が好ましい。
上記銀系化合物としては、銀錯体、脂肪酸、リン酸等銀塩を挙げることができる。
銀および銀系化合物を抗菌剤、防カビ剤として用いる場合には、これら物質はゼオライト、シリカゲル、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシュウム、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、ケイ酸カルシウムなどの多孔性構造体に担持させて使用する場合もある。
その他添加剤としては、着色剤、可塑剤、老化防止剤、着色剤、可塑剤、オイルなどが挙げられる。
〔原料組成比〕
本発明の原料として用いる、ポリプロピレンとポリエチレンワックスの組成比は、得られる延伸成形体の物性が損なわれない限り、特に制限はないが、ポリプロピレン100重量部に対して、通常0.01〜10重量部の範囲、好ましくは0.1〜8重量部の範囲、より好ましくは0.3〜5重量部の範囲である。
上記範囲の組成比でポリプロピレンとポリエチレンワックスとを用いた場合には、延伸成形時の流動性の改良効果が大きく、しかも成形速度がより一層向上して生産性が向上する傾向にある。さらに、ポリプロピレンが本来有する、力学物性および光学物性も損なわない傾向にある。さらに、ポリエチレンワックスを添加せずに延伸成形した場合と比較して、より低い成形温度で成形可能となり、冷却時間が短縮される場合もある。さらに、成形温度を低くすることにより、樹脂の熱劣化を抑制し、樹脂強度の低下を抑制するだけでなく、樹脂の焼け焦げや黒点を抑制することができる場合もある。
また上記範囲の中でも特に好ましくはポリプロピレン100重量部に対して、ポリエチレンワックスが0.5〜2重量部の範囲である。上記範囲では光学物性がより損なわれないため特に好ましい。
〔延伸成形〕
本発明のフィルムの製造方法では、上記原料を、延伸成形する。
延伸成形の方法については、特に制限はない。延伸成形の方法としては、一軸延伸法、二軸延伸法が挙げられる。二軸延伸法としては、テンター法、チューブ法が挙げられる。
テンター法の場合には、通常、本発明のポリプロピレンとポリエチレンワックスとを含む混合物を押出機で溶融混練してTダイから押し出し、得られた溶融混練物をキャスティングドラム上で冷却固化した後、遅(前)駆動ロールと速(後)駆動ロールとの間に導入して、縦方向に所定の倍率に延伸し、ついで、縦方向に延伸されたフィルムをテンターに入れ、横両端を保持して加熱をしつつ横方向にさらに延伸することで、延伸フィルムを製造できる。その際、テンター内で、フィルムの分子配向を固定させることなどを目的として、さらに熱処理を行ってもよい。また、未延伸フィルムを得る手段は、通常Tダイ成形法によるが、その他公知の方法によって未延伸フィルムを得てもよい。
チューブ法の場合には、通常、本発明のポリプロピレンとポリエチレンワックスとを含む混合物を押出機で溶融混練して、リングダイから溶融ポリマーをチューブ状に押し出し
、冷却槽で急冷した後に、このチューブ状のものを加熱して、内部に空気を導入して加圧、あるいは、チューブの外部を減圧して、横方向に延伸しつつ、縦方向に張力を加えて縦方向にも延伸することで、延伸フィルムを製造できる。
一軸法の場合には、通常、Tダイ成形、あるいはインフレーション成形して得られた未延伸フィルムを、冷却した後に、遅(前)駆動ロールと速(後)駆動ロールとの間に導入するなどして、縦方向に所定の倍率に延伸することで、延伸フィルムを製造できる。さらに、フィルムの分子配向を固定させることなどを目的として、熱処理をさらに行ってもよい。
Tダイを設置した押出機を用いてテンター法で製造する場合には、通常、押出機の入り口側の温度を130〜200℃の温度範囲、押出機の出口側の温度を200〜280℃の温度範囲、ダイスの温度を200〜260℃の温度範囲で設定し、樹脂温度が200〜260℃の範囲となるようにTダイから押出し所望の縦横比となるように延伸することによって得られる。
チューブ法で製造する場合には、通常、押出機の入り口側の温度を120〜180℃の温度範囲、押出機の出口側の温度を140〜220℃の温度範囲、ダイスの温度を140〜210℃の温度範囲で設定し、樹脂温度が140〜210℃の範囲となるようにリングダイから押出し所望の縦横比となるように延伸することによって得られる。
Tダイ成形により得た未延伸フィルムを一軸延伸する場合には、通常、押出機の入り口側の温度を130〜200℃の温度範囲、押出機の出口側の温度を200〜280℃の温度範囲、ダイスの温度を200〜260℃の温度範囲で設定し、樹脂温度が200〜260℃の範囲となるようにTダイから押出し所望の縦倍率となるように延伸することによって得られる。
インフレーション成形により得た未延伸フィルムを一軸延伸する場合には、通常、押出機の入り口側の温度を120〜180℃の温度範囲、押出機の出口側の温度を140〜220℃の温度範囲、ダイスの温度を140〜210℃の温度範囲で設定し、樹脂温度が140〜210℃の範囲となるようにリングダイから押出し所望の縦倍率となるように延伸することによって得られる。
本発明では、上述した延伸成形により、フィルムが得られる。フィルムは、単層フィルムであっても、多層フィルムであってもよい。単層フィルムは、上述した延伸成形により得られる。多層フィルムは、例えば、フィルムの各層を形成する樹脂組成物を別々の押出機で溶融混練し、この溶融混練物を、共押出用のダイに圧入し、さらに、このダイのスリットからこれら溶融混練物を同時に押し出して、前述した、一軸延伸法、二軸延伸法で延伸することにより製造できる。
なお、本発明により得られる多層フィルムでは、少なくとも1層は、上述したポリプロピレンとポリエチレンワックスとを原料とする樹脂組成物から形成されているが、他の層については、他の熱可塑性樹脂組成物によって形成されていてもよい。上記、他の熱可塑性樹脂組成物の溶融混練、押出条件としては、通常、その熱可塑性樹脂で用いる押出成形条件を適用できる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例においてポリエチレンワックスの物性は次のようにして測定した。
(数平均分子量(Mn))
数平均分子量(Mn)は、GPC測定から求めたものである。測定は以下の条件で行った。また、数平均分子量(Mn)は、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し下記の換算法に基づいて分子量を求めた。
装置 : ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)
溶剤 : o−ジクロロベンゼン
カラム: TSKgelカラム(東ソー社製)×4
流速 : 1.0 ml/分
試料 : 0.15mg/mL o−ジクロロベンゼン溶液
温度 : 140℃
分子量換算 : PE換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。
ポリスチレン(PS)の係数 : KPS=1.38×10-4, aPS=0.70
ポリエチレン(PE)の係数 : KPE=5.06×10-4, aPE=0.70
(A値、B値)
上述したGPCの測定結果より、分子量1,000以下の成分の割合を重量%で求め、A値とした。また、GPCの測定結果より、分子量20,000以上の成分の割合を重量
%で求め、B値とした。
(溶融粘度)
ブルックフィールド粘度計を用いて140℃で測定した。
(密度)
JIS K7112の密度勾配法に従って測定した。
(融点)
示差走査型熱量計(DSC)〔DSC−20(セイコー電子工業社製)〕を用いて測定した。まず測定試料を、一旦200℃まで昇温して、5分間保持した後、直ちに室温まで冷却した。この試料約10mgを−20℃から200℃の温度範囲で、昇温速度10℃/分の条件でDSC測定した。測定結果から得られたカーブの吸熱ピークの値を融点とした。
(結晶化温度)
結晶化温度(Tc、℃)は、ASTM D 3417‐75に準拠して、降温速度2℃
/minの条件で測定した。
(ポリエチレンワックス(1)の合成)
メタロセン触媒を用いて、次のようにしてポリエチレンワックス(1)を合成した。
充分に窒素置換し、25℃に保持した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘキサン770mlおよびプロピレン115gを装入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウムを0.3ミリモル、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.04ミリモル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドを0.0005ミリモル、エチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3.0MPa(ゲージ圧)に保ち、155℃で30分間重合を行った。
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンを
パージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥してポリエチレンワックス(1)46gを得た。得られたポリエチレンワックス(1)は、数平均分子量(Mn)が800、重量平均分子量(Mw)が1,500、溶融粘度が40mPa・s、密度が897kg/m3であり、融点が78.8℃であり、ポリエチレンワックスに使用された全
単量体に対してエチレンの占める割合(以下、エチレン含量とも記す。)は90mol%であった。また、A値が31.7重量%、B値が0.01重量%であった。結果を表1に示す。
(ポリエチレンワックス(2)の合成)
メタロセン触媒を用いて、次のようにしてポリエチレンワックス(2)を合成した。
充分に窒素置換し、25℃に保持した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘキサン930mlおよびプロピレン35gを装入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウムを0.3ミリモル、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.04ミリモル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドを0.0005ミリモル、エチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3.0MPa(ゲージ圧)に保ち、155℃で30分間重合を行った。
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥してポリエチレンワックス(2)40gを得た。得られたポリエチレンワックス(2)は、数平均分子量(Mn)が1,300、重量平均分子量(Mw)が3,300、溶融粘度が90mPa・s、密度が948kg/m3であり、融点が115.4℃でありエチレン含量は96mol%であ
った。また、A値が19.8重量%、B値が0.3重量%であった。結果を表1に示す。
本発明で使用するワックスの物性を表1にまとめた。
Figure 0004642687
以下の実施例においてフィルムの物性は次のようにして測定した。
(透明性)
JIS K7105に従って、同じ膜厚に成形したフィルムのヘイズを測定した。
(生産性)
生産性は最大延伸応力で評価した。
[最大延伸応力]
フィルム二軸延伸機(BIX−703型、(株)岩本製作所製)を使用してシートを同時二軸延伸する際にかかった最大応力で評価した。
(力学物性)
力学特性は、耐衝撃性で評価した。
[耐衝撃性]
東洋精機製作所製フィルムインパクトテスターに、先端径1.0インチ、容量3.0Jの半球状ハンマーを装着し、23℃の温度条件で試験機に装着したフィルム試料面を、上記半球状ハンマーで直角に打抜き、破壊に要するエネルギー(kJ/m)を求めた。
ポリプロピレン樹脂(プライムポリプロ F113G;プライムポリマー社製)(ポリ
プロピレンホモポリマー)MI=3.0g/10分(JIS K7210)100質量部、メタロセン系ポリエチレンワックス(エクセレックス30200BT;三井化学(株)社製、密度=913(kg/m3)、Mn=2,000、A値=9.3(重量%)、B値=2.2(重量%)、溶融粘度=300(mPa・s)、エチレン含量=95(mol%))3質量部を混合し、65mmφ単軸押出機、リップ幅600mmのTダイにて500
μm厚のシートを作製した。バッチ式同時二軸延伸装置を使用して、予備加熱140℃×5min、延伸速度300mm/sec.、延伸倍率5倍(MD方向、TD方向とも)、アニール条件140℃×1minにて、20μm厚の二軸延伸フィルムを作製した。二軸延伸時の最大延伸応力は3.9MPaであり、フィルムの厚みむらもなく、良好な成形加工性を示した。また、二軸延伸フィルムの耐衝撃性は、72.2kJ/mであり、ヘイズは0.74%であった。また、作製したシートを120℃×24時間、エアーオーブン中で養生したもののヘイズは0.98%であった。結果を表2に示す。
実施例1においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(エクセレックス48070BT;三井化学(株)社製、密度=902(kg/m3)、Mn=3,400、A
値=4.7(重量%)、B値=8.7(重量%)、溶融粘度=1,350(mPa・s)、エチレン含量=92(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表2に示す。
実施例1においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(1)(密度=897(kg/m3)、Mn=800、A値=23.5(重量%)、B値=0.01(重量%)
、溶融粘度=40(mPa・s)、エチレン含量=90(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表2に示す。
実施例1においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(2)(密度=948(kg/m3)、Mn=1,300、A値=19.8(重量%)、B値=0.3(重量%
)、溶融粘度=90(mPa・s)、エチレン含量=96(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表2に示す。
実施例1においてポリエチレンワックス(エクセレックス30200BT;三井化学(株)社製)の添加量を1質量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で延伸成形を行った。結果を表2に示す。
実施例1においてポリエチレンワックス(エクセレックス30200BT;三井化学(株)社製)の添加量を5質量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で延伸成形を行った。結果を表2に示す。
〔比較例1〕
ポリプロピレン樹脂(プライムポリプロ F113G;プライムポリマー社製)(ポリ
プロピレンホモポリマー)MI=3.0g/10分(JIS K7210)を65mmφ単軸押出機を、リップ幅600mmのTダイにて500μm厚のシートを作製した。バッ
チ式同時二軸延伸装置を使用して、予備加熱140℃×5min、延伸速度300mm/sec.、延伸倍率5倍(MD方向、TD方向とも)、アニール条件140℃×1minにて、20μm厚の二軸延伸フィルムを作製した。二軸延伸時の最大延伸応力は4.3MPaであった。また、二軸延伸フィルムの耐衝撃性は、66.9kJ/mであり、ヘイズは0.70%であった。また、作製したシートを120℃×24時間、エアーオーブン中で
養生したもののヘイズは0.84%であった。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
実施例1においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(エクセレックス10500;三井化学(株)社製、密度=960(kg/m3)、Mn=700、A値=47
.8(重量%)、B値=0(重量%)、溶融粘度=18(mPa・s)、エチレン含量=100(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
実施例1においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(エクセレックス40800T;三井化学(株)社製、密度=980(kg/m3)、Mn=2,400、A値
=7.3、B値=4.2、溶融粘度=600(mPa・s)、エチレン含量=100(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
実施例1においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(ハイワックス420P;三井化学社製、密度=930(kg/m3)、Mn=2,000、A値=8.3(重
量%)、B値=6.2(重量%)、溶融粘度=700(mPa・s)、エチレン含量=97(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表2に示す。
〔比較例5〕
実施例1においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(A−C6;ハネウェル社製、密度=913(kg/m3)、Mn=1,800、A値=6.5(重量%)、B
値=3.3(重量%)、溶融粘度=420(mPa・s))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004642687
ポリプロピレン樹脂(プライムポリプロF219DA;プライムポリマー社製)(ポリプロピレンランダムコポリマー)MI=8.0g/10分(JIS K7210)100質量部、ポリエチレンワックス(エクセレックス30200BT;三井化学(株)社製、密度=913(kg/m3)、Mn=2,000、A値=9.3(重量%)、B値=2.
2(重量%)、溶融粘度=300(mPa・s)、エチレン含量=95(mol%))2質量部を混合した。65mmφ単軸押出機を使用してリップ幅600mmのTダイにて5
00μm厚のシートを作製した。バッチ式同時二軸延伸装置を使用して、予備加熱140℃×5min、延伸速度300mm/sec.、延伸倍率5倍(MD方向、TD方向とも)、アニール条件140℃×1minにて、20μm厚の二軸延伸フィルムを作製した。二軸延伸時の最大延伸応力は2.7MPaであり、フィルムの厚みむらもなく、良好な成形加工性を示した。また、二軸延伸フィルムの耐衝撃性は、91.7kJ/mであり、ヘイズは0.67%であった。また、作製したシートを120℃×24時間、エアーオーブン中で養生したもののヘイズは0.88%であった。結果を表3に示す。
実施例7においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(エクセレックス48070BT;三井化学(株)社製、密度=902(kg/m3)、Mn=3,400、A
値=4.7(重量%)、B値=8.7(重量%)、溶融粘度=1,350(mPa・s)、エチレン含量=92(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表3に示す。
実施例7においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(1)(密度=897(kg/m3)、Mn=800、A値=23.5(重量%)、B値=0.01(重量%)
、溶融粘度=40(mPa・s)、エチレン含量=90(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表3に示す。
実施例7においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(2)(密度=948(kg/m3)、Mn=1,300、A値=19.8(重量%)、B値=0.3(重量%
)、溶融粘度=90(mPa・s)、エチレン含量=96(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表3に示す。
実施例7においてポリエチレンワックス(エクセレックス30200BT;三井化学(株)社製)の添加量を1質量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で延伸成形を行った。結果を表3に示す。
実施例7においてポリエチレンワックス(エクセレックス30200BT;三井化学(株)社製)の添加量を5質量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で延伸成形を行った。結果を表3に示す。
〔比較例6〕
ポリプロピレン樹脂(プライムポリプロ F219DA;プライムポリマー社製)(ポ
リプロピレンランダムコポリマー)MI=8.0g/10分(JIS K7210)を65mmφ単軸押出機、リップ幅600mmのTダイにて500μm厚のシートを作製した
。バッチ式同時二軸延伸装置を使用して、予備加熱140℃×5min、延伸速度300mm/sec.、延伸倍率5倍(MD方向、TD方向とも)、アニール条件140℃×1minにて、20μm厚の二軸延伸フィルムを作製した。二軸延伸時の最大延伸応力は2
.9MPaであった。また、二軸延伸フィルムの耐衝撃性は、85.0kJ/mであり、ヘイズは0.63%であった。また、作製したシートを120℃×24時間、エアーオーブン中で養生したもののヘイズは0.76%であった。結果を表3に示す。
〔比較例7〕
実施例7においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(エクセレックス10500;三井化学(株)社製、密度=960(kg/m3)、Mn=700、A値=47
.8(重量%)、B値=0(重量%)、溶融粘度=18(mPa・s)、エチレン含量=100(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表3に示す。
〔比較例8〕
実施例7においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(エクセレックス40800T;三井化学(株)社製、密度=980(kg/m3)、Mn=2,400、A値
=7.3、B値=4.2、溶融粘度=600(mPa・s)、エチレン含量=100(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表3に示す。
〔比較例9〕
実施例7においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(ハイワックス420P;三井化学社製、密度=930(kg/m3)、Mn=2,000、A値=8.3(重
量%)、B値=6.2(重量%)、溶融粘度=700(mPa・s)、エチレン含量=97(mol%))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表3に示す。
〔比較例10〕
実施例7においてポリエチレンワックスをポリエチレンワックス(A−C6;ハネウェル社製、密度=913(kg/m3)、Mn=1,800、A値=6.5(重量%)、B
値=3.3(重量%)、溶融粘度=420(mPa・s))に変更した以外は同様の方法で延伸成形を行った。結果を表3に示す。
Figure 0004642687
本発明によれば、熱可塑性樹脂に特定のポリオレフィンワックスを添加することにより、押出機のスクリューに掛かる負荷を低減させることができるので、押出成形の生産性を向上させることができる。

Claims (2)

  1. JIS K7210に従って230℃、試験荷重21.18Nの条件で測定したMIが0.01〜100g/10分の範囲であるポリプロピレンと、JIS K7112の密度勾配管法に従って測定した密度が890〜950(kg/m3)の範囲にあり、ゲルパー
    ミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリエチレン換算の数平均分子量(Mn)が700〜4,000の範囲にあり、かつ下記式(I)および式(II)で表される関係を満たすポリエチレンワックスとを含む混合物を延伸成形することによりフィルムを製造する方法。
    B≦0.0075×K ・・・(I)
    (上記式(I)中、Bは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合の、上記ポリエチレンワックス中のポリエチレン換算の分子量が20,000以上となる成分の含有割合(%)であり、Kは上記ポリエチレンワックスの140℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
    A≦230×K(-0.537) ・・・(II)
    (上記式(II)中、Aは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合の、上記ポリエチレンワックス中のポリエチレン換算の分子量が1,000以下となる成分の含有割合(重量%)であり、Kは上記ポリエチレンワックスの140℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
  2. 前記混合物中のポリプロピレン100重量部当たり、ポリエチレンワックスが0.01〜10重量部である原料を用いる請求項1に記載のフィルムを製造する方法。
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