JP2018155387A - スライド式等速ジョイント - Google Patents
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Abstract
【課題】ブーツと外側ジョイント部材とのシール性を高めることができるスライド式等速ジョイントを提供すること。
【解決手段】外周面の周方向全周に亘って形成される被シール面16を有し、円形に対して異形の外形に形成される外側ジョイント部材10と、径方向内方へ突出する環状に形成され、外側ジョイント部材10の被シール面16に対し全周に亘って接触するシール部41を有するブーツ40と、ブーツ40のシール部41の外周面をクランプするクランプ部材50と、を備えたスライド式等速ジョイントである。シール部41の内周面には、ブーツ40の周方向に対して交差する方向へ延び、且つ、シール部41の軸方向全長に亘るスリット48が形成され、クランプ部材50によるクランプ力に伴ってシール部41が縮径することにより、スリット48の少なくとも一部が閉塞される。
【選択図】図4
【解決手段】外周面の周方向全周に亘って形成される被シール面16を有し、円形に対して異形の外形に形成される外側ジョイント部材10と、径方向内方へ突出する環状に形成され、外側ジョイント部材10の被シール面16に対し全周に亘って接触するシール部41を有するブーツ40と、ブーツ40のシール部41の外周面をクランプするクランプ部材50と、を備えたスライド式等速ジョイントである。シール部41の内周面には、ブーツ40の周方向に対して交差する方向へ延び、且つ、シール部41の軸方向全長に亘るスリット48が形成され、クランプ部材50によるクランプ力に伴ってシール部41が縮径することにより、スリット48の少なくとも一部が閉塞される。
【選択図】図4
Description
本発明は、スライド式等速ジョイントに関するものである。
円形に対して異形な外形に形成された外側ジョイント部材を備えたスライド式等速ジョイントが知られている。こうしたスライド式等速ジョイントには、外側ジョイント部材の内部に封入されたグリースの漏出を防止するためのカバーとして、可動性を有する樹脂やゴムにより構成された蛇腹筒状のブーツが外側ジョイント部材に装着される。ブーツの内周面は、外側ジョイント部材の外形に対応した形状に形成される。ブーツは、外側ジョイント部材の外周面にブーツを被せた状態で、ブーツの外周面をクランプ部材によって締め付けることにより、外側ジョイント部材にクランプされる。
例えば、特許文献1には、帯状部材を円環状に丸めた状態でブーツの外周面に装着し、縮径させることによってブーツを締め付け可能な締め付けバンド(クランプ部材)が例示されている。ここで、特許文献1に例示されるクランプ部材を縮径させながらブーツを外側ジョイント部材の外周面に締め付ける際に、クランプ部材からブーツに加わる締付力は均一ではない。即ち、締め付けバンドの長手方向両側が重ね合わされる部位は、他の部位と比べて、締め付けバンドからブーツに加わる締付力が大きくなる。
ブーツは、締め付けバンドから締付力が加えられると、周方向へ圧縮しようとする。このとき、ブーツの内周面側には、ブーツの外周面側よりも大きな圧縮力が加えられる。そして、ブーツの内周面は、圧縮しきれなくなると、外側ジョイント部材の外周面から浮き上がる。その結果、ブーツが外側ジョイント部材にクランプされた状態において、ブーツの内周面にしわが発生し、ブーツと外側ジョイント部材との間に形成された隙間からグリースが漏出する。こうした現象は、特に、ブーツの周方向における位相と外側ジョイント部材の周方向における位相とが一致していない状態で、ブーツを外側ジョイント部材にクランプしたときに、顕著となる。
この点に関し、特許文献2には、ブーツの外周面のうち厚肉部と薄肉部との境界部に、薄肉部の外接円に対して外側に向かい増厚した肉厚部を形成し、肉厚部においてクランプ部材による締付力を部分的に高圧にすることにより、ブーツと外側ジョイント部材との密着性を高める技術が開示されている。
特許文献2に記載のブーツは、特許文献1に例示されたクランプ部材によりブーツの外周面を締め付けたとしても、外側ジョイント部材から浮き上がった状態を解消することができない。そのため、ブーツと外側ジョイント部材とのシール性を十分に高めることができず、外側ジョイント部材に封入されたグリースが漏出する。
本発明は、ブーツと外側ジョイント部材とのシール性を高めることができるスライド式等速ジョイントを提供することを目的とする。
本発明のスライド式等速ジョイントは、外周面の周方向全周に亘って形成される被シール面を有し、円形に対して異形の外形に形成される外側ジョイント部材と、径方向内方へ突出する環状に形成され、前記外側ジョイント部材の前記被シール面に対し全周に亘って接触するシール部を有するブーツと、前記ブーツの前記シール部の外周面をクランプするクランプ部材と、を備えたスライド式等速ジョイントである。前記シール部の内周面には、前記ブーツの周方向に対して交差する方向へ延び、且つ、前記シール部の軸方向全長に亘るスリットが形成され、前記クランプ部材によるクランプ力に伴って前記シール部が縮径することにより、前記スリットの少なくとも一部が閉塞される。
本発明のスライド式等速ジョイントによれば、シール部の内周面には、ブーツの周方向に対して交差する方向へ延び、且つ、シール部の軸方向全長に亘るスリットが形成されている。これにより、ブーツは、クランプ部材から加わるクランプ力によってシール部の内周面を縮径させることができる。よって、スライド式等速ジョイントは、シール部の内周面が外側ジョイント部材から浮き上がることを抑制できるので、ブーツのシール部と外側ジョイント部材とのシール性を高めることができる。
また、ブーツは、クランプ部材によるクランプ力に伴ってシール部の内周面が縮径することにより、スリットの一部が閉塞されるので、外側ジョイント部材に封入されたグリースがスリットから外側ジョイント部材の外部へ漏出することを防止できる。
(1.スライド式等速ジョイント1の全体構成)
以下、本発明に係るスライド式等速ジョイントを適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態におけるスライド式等速ジョイント1の全体構成を説明する。
以下、本発明に係るスライド式等速ジョイントを適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態におけるスライド式等速ジョイント1の全体構成を説明する。
図1に示すように、スライド式等速ジョイント1は、ダブルローラタイプのトリポード型等速ジョイントであり、例えば、車両のディファレンシャルとドライブシャフトにおける中間シャフト2との連結部位に用いられる。スライド式等速ジョイント1は、外側ジョイント部材10と、内側ジョイント部材20と、3つのローラユニットと、ブーツ40と、クランプ部材50と、を主に備える。
外側ジョイント部材10は、有底筒状に形成される。外側ジョイント部材10の底面外側には、ディファレンシャルに連結される軸部11が一体形成される。外側ジョイント部材10の内周面には、外側ジョイント部材10の軸方向へ延びる軌道溝12が周方向等間隔に3本形成される。
また、外側ジョイント部材10の外周面には、軌道溝12が形成される部位の外周面であって径方向外方を向く3つの平坦部13と、周方向に隣り合う平坦部13の間に形成される部位であって径方向内方へ窪む凹部14とが形成される。これに加え、外側ジョイント部材10の外周面には、平坦部13と凹部14とが接続する角部であって、平坦部13及び凹部14よりも径方向方へ突出する凸部15が周方向に間隔をおいて形成される。このように、外側ジョイント部材10は、円形に対して異形な外形に形成される。
また、外側ジョイント部材10の開口部側の縁端には、外側ジョイント部材10の外周面において周方向全周に亘って凹設された溝部である被シール面16が形成される。被シール面16を形成する溝部の両側の側壁面16aは、軸方向における間隔が底面16bへ向かうにつれて狭くなるように形成された傾斜面である。
内側ジョイント部材20は、外側ジョイント部材10の内側に配置される。内側ジョイント部材20は、ボス部21と、3本の脚軸22とを備える。ボス部21は、筒状に形成される。ボス部21の外周面は、球面凸状に形成され、ボス部21の内周面には、雌スプライン(図示せず)が形成される。この雌スプラインは、中間シャフト2の外周面に形成される雄スプライン(図示せず)に嵌合する。
脚軸22は、ボス部21の外周面から径方向外方へ延びる柱状の部位である。3本の脚軸22は、内側ジョイント部材20の回転軸線まわりに周方向等間隔に配置され、外側ジョイント部材10に形成された3本の軌道溝12の各々に挿入される。
ローラユニット30は、全体として、環状に形成される。ローラユニット30は、脚軸22の外周面に対して回転可能、且つ、脚軸22の軸心方向へ摺動可能に設けられると共に、脚軸22に対して傾動可能に支持される。3つのローラユニット30の各々は、軌道溝12に沿って転動可能に配置され、姿勢を維持した状態で軌道溝12を転動する。
ローラユニット30は、外ローラ31と、内ローラ32と、ニードル軸受33と、止め輪34とを備える。内ローラ32は、外ローラ31の径方向内側に設けられ、ニードル軸受33は、外ローラ31と内ローラ32との間に設けられる。止め輪34は、外ローラ31の内周面に係止され、内ローラ32及びニードル軸受33が脚軸22の基端側へ抜けることを防止する。なお、外側ジョイント部材10の内部には、ローラユニット30の摺動性を高めるためのグリース(図示せず)が封入されている。
ブーツ40は、可撓性の樹脂やゴムにより、全体形状が略円錐台状の蛇腹筒状に形成される。ブーツ40の大径側(図1左側)は、外側ジョイント部材10の被シール面16にクランプされ、ブーツ40の小径側(図1右側)は、中間シャフト2の外周面にクランプされる。
ブーツ40は、ブーツ40の大径側端部に形成されたシール部41を備える。シール部41は、ブーツ40の内周面から径方向内方へ突出する環状の部位である。シール部41は、外側ジョイント部材10の被シール面16に対し、周方向全周に亘って接触する。また、シール部41の外周面には、周方向全周に亘って延びる溝状の被クランプ面42が形成される。被クランプ面42には、巻回されたクランプ部材50が装着される。
クランプ部材50は、帯状に形成されたΩ形のブーツバンドである。クランプ部材50の長手方向における中央部分には、3つの係止突起51が設けられ、それら3つの係止突起51は、クランプ部材50の長手方向一端側に形成された3つの係止孔(図示せず)の各々に係止可能に形成される。クランプ部材50には、係止突起51と係止孔との間に、かしめにより変形可能なΩ状部52が設けられる。
巻回されたクランプ部材50は、係止孔に係止突起51を係止させることにより、円環形状が維持される。そして、クランプ部材50は、ブーツ40の被クランプ面42に巻回された状態で、Ω状部52をかしめることにより縮径し、シール部41を締め付ける。その結果、シール部41が外側ジョイント部材10の被シール面16にクランプされる。同様に、ブーツ40の小径側端部(図1右側端部)は、クランプ部材50よりも小径のクランプ部材60により、中間シャフト2の外周面にクランプされる。
(2.シール部41の形状)
次に、図3及び図4を参照して、シール部41の形状について具体的に説明する。図3に示すように、シール部41は、6つの薄肉部43と、6つの厚肉部44とを備える。薄肉部43は、外側ジョイント部材10の凸部15の外周面のうち、径方向外方を向く部位にクランプされる部位である。6つの厚肉部44は、6つの薄肉部43の間に形成される部位であり、薄肉部43よりも径方向において肉厚に形成される。また、6つの厚肉部44は、外側ジョイント部材10の平坦部13に接触する第一厚肉部45と、凹部14に接触する第二厚肉部46とを含み、第二厚肉部46は、第一厚肉部45よりも径方向における肉厚が大きい。
次に、図3及び図4を参照して、シール部41の形状について具体的に説明する。図3に示すように、シール部41は、6つの薄肉部43と、6つの厚肉部44とを備える。薄肉部43は、外側ジョイント部材10の凸部15の外周面のうち、径方向外方を向く部位にクランプされる部位である。6つの厚肉部44は、6つの薄肉部43の間に形成される部位であり、薄肉部43よりも径方向において肉厚に形成される。また、6つの厚肉部44は、外側ジョイント部材10の平坦部13に接触する第一厚肉部45と、凹部14に接触する第二厚肉部46とを含み、第二厚肉部46は、第一厚肉部45よりも径方向における肉厚が大きい。
図4に示すように、シール部41は、リップ47と、複数のスリット48とを更に備える。リップ47は、シール部41の周方向全周に亘って径方向内方へ突出する環状の部位である。シール部41には、3本のリップ47が軸方向に間隔を空けて設けられている。なお、図4から図7Bでは、図面をわかりやすくするために、シール部41のハッチングを省略して図示する。
スリット48は、厚肉部44のうち、薄肉部43との接続部位に近接した位置に形成される。換言すると、スリット48は、シール部41のうち、凸部15との接続部位に近接した位置で凹部14に接触する部位に形成される。また、外側ジョイント部材10には、6つの凸部15が設けられ、シール部41には、凹部14の径方向外方を向く外周面に接触する薄肉部43が6か所形成される。そして、スリット48は、各々の薄肉部43の周方向両側に接続する2つの厚肉部44(即ち、第一厚肉部45及び第二厚肉部46)にそれぞれ形成される。
なお、以下において、スリット48が形成される部位(図3において破線で示す部位)を「スリット形成領域A」と称する。図3に示すように、シール部41には、スリット形成領域Aが12か所設けられる。
スリット48は、ブーツ40の軸方向及び周方向に対して傾斜する直線状に形成される。そして、各々のスリット形成領域Aには、3本のスリット48が並設される。また、スリット48は、シール部41の軸方向全長に亘って形成され、リップ47は、スリット48により分断される。
(3.クランプ時におけるシール部41の態様)
次に、クランプ時におけるシール部41の態様について説明する。図5に示すように、シール部41を外側ジョイント部材10の被シール面16に接触させた状態で、被クランプ面42に巻回されたクランプ部材50のΩ状部52をかしめると、クランプ部材50は縮径し、これに伴い、シール部41がクランプ部材50に締め付けられる。
次に、クランプ時におけるシール部41の態様について説明する。図5に示すように、シール部41を外側ジョイント部材10の被シール面16に接触させた状態で、被クランプ面42に巻回されたクランプ部材50のΩ状部52をかしめると、クランプ部材50は縮径し、これに伴い、シール部41がクランプ部材50に締め付けられる。
ここで、図6Aに示すように、ブーツ40の周方向における位相と外側ジョイント部材10の周方向における位相とが不一致な状態で、外側ジョイント部材10の被シール面16に被せた場合におけるシール部41の変形態様を説明する。
図6Aに示された状態のままシール部41がクランプ部材50によって締め付けられると、シール部41は、被シール面16の形状に倣った形状となるようにシール部41の内周面形状を弾性変形させながら、周方向へ圧縮される。このとき、シール部41は、Ω状部52に向けて手繰り寄せられるように弾性変形する。
そして、図6Bに示されるようなシール部41にスリット形成領域Aが形成されていない従来のブーツでは、厚肉部44のうち薄肉部43との接続部位に近接した位置において、周方向へ圧縮しきれないシール部41の内周面が外側ジョイント部材10の被シール面16から浮き上がる。この状態のまま、シール部41が外側ジョイント部材10にクランプされると、シール部41の内周面にしわが発生する。
これに対し、図5に示すように、本実施形態では、シール部41の内周面には、厚肉部44のうち薄肉部43との接続部位に近接した位置において、スリット48が設けられている。従って、シール部41は、クランプ部材50によって締め付けられた際に、スリット48を周方向へ狭めるように厚肉部44を弾性変形させることにより、シール部41の内周面を縮径させることができる。これにより、ブーツ40は、シール部41の内周面が外側ジョイント部材10から浮き上がることを防止できるので、シール部41の内周面にしわが発生することを回避できる。
またその結果、ブーツ40を外側ジョイント部材10に被せるときに、作業者は、ブーツ40と外側ジョイント部材10との周方向における位相合わせを厳密に行う必要がなくなる。よって、ブーツ40は、外側ジョイント部材10にブーツ40をクランプさせる際の作業効率を高めることができる。
さらに、図7A及び図7Bに示すように、シール部41には、径方向内方へ突出するリップ47が周方向全周に亘って形成されているので、クランプ部材50によってシール部41が締め付けられた際に、外側ジョイント部材10の外周面に対してリップ47を強く押し当てることができる。その結果、ブーツ40は、外側ジョイント部材10に対するシール部41のシール性を高めることができる。
また、リップ47の内周面の軸方向における寸法W1は、被シール面16の底面の軸方向における寸法W2よりも大きな寸法に設定される。そして、寸法W1と寸法W2との寸法差は、リップ47を溝部としての被シール面16に装着した際に、被シール面16の両側の側壁面16aによってシール部41が軸方向へ圧縮されることで、スリット48を閉塞可能な寸法に形成される。これにより、シール部41が外側ジョイント部材10にクランプされた状態において、スリット48を閉塞させることができるので、外側ジョイント部材10に封入されたグリースがスリット48から外側ジョイント部材10の外部へ漏出することを防止できる。またその結果、ブーツ40は、外側ジョイント部材10の外周面に対し、リップ47を周方向全周に亘って密着させることができるので、ブーツ40は、シール部41と外側ジョイント部材10とのシール性を高めることができる。
以上説明したように、ブーツ40は、シール部41の内周面には、スリット48が形成されている。これにより、ブーツ40は、クランプ部材50から加わるクランプ力によってシール部41の内周面を縮径させることができるので、シール部41の内周面が外側ジョイント部材10から浮き上がることを抑制できる。特に、シール部41がクランプ部材50によって締め付けられる際に、シール部41の内周面側が外周面側よりも大きく圧縮されるのに対し、スリット48は、シール部41の内周面のみに形成される。これにより、ブーツ40は、シール部41の内周面を縮径させやすくすることができる。その結果、スライド式等速ジョイント1は、シール部41と外側ジョイント部材10とのシール性を高めることができる。
また、ブーツ40は、クランプ部材50によるクランプ力に伴ってシール部41の内周面が縮径することにより、スリット48の少なくとも一部が閉塞される。これにより、スライド式等速ジョイント1は、外側ジョイント部材10に封入されたグリースが、スリット48から外側ジョイント部材10の外部へ漏出することを防止できる。
そして、外側ジョイント部材10の被シール面16は、周方向全周に亘って凹設された溝部である。そして、スリット48は、ブーツ40の軸方向及び周方向に対して傾斜する方向へ延びるように形成され、クランプ部材50によるクランプ力に伴ってシール部41が縮径すること、且つ、シール部41が溝部の両側の側壁面16aによってブーツ40の軸方向に圧縮されることにより、スリット48の少なくとも一部が閉塞される。
よって、ブーツ40は、外側ジョイント部材10に封入されたグリースが外側ジョイント部材10の外部へ漏出することを防止できる。またその結果、ブーツ40は、外側ジョイント部材10の外周面に対し、リップ47を周方向全周に亘って密着させることができるので、ブーツ40は、シール部41と外側ジョイント部材10とのシール性を高めることができる。
また、スリット形成領域Aは、厚肉部44のうち薄肉部43との接続部位に近接した位置に形成される。即ち、スリット48は、シール部41の内周面のうち、クランプ部材50によってブーツ40を外側ジョイント部材10にクランプする際にブーツ40の内周面の浮き上がりが発生しやすい位置に形成される。よって、ブーツ40は、シール部41の内周面が外側ジョイント部材10から浮き上がることを効果的に抑制できる。
さらに、スリット形成領域Aは、6つの薄肉部43のうちの一の薄肉部43の周方向両側に接続する厚肉部44に形成される。これにより、ブーツ40は、作業者が外側ジョイント部材10にブーツ40をクランプさせる際の作業効率を向上させることができる。
即ち、作業者は、クランプ部材50によってシール部41を外側ジョイント部材10にクランプする際に、一の薄肉部43の周方向両側に接続する2つの厚肉部44のうち、何れか一方の厚肉部44と一の薄肉部43との接続部位に設けられたスリット形成領域Aにシール部41が手繰り寄せられるように、クランプ部材50を縮径させればよい。これにより、当該スリット形成領域Aに形成された各々のスリット48が、厚肉部44の弾性変形によって狭められることにより、シール部41の内周面が縮径される。その結果、ブーツ40は、シール部41の内周面が外側ジョイント部材10から浮き上がることを防止できる。
これに加え、スリット形成領域Aは、シール部41に設けられる6つの厚肉部44の全てに設けられる。具体的に、ブーツ40には、6つの薄肉部43が設けられ、6つの厚肉部44の各々には、周方向両側に設けられた2つの薄肉部43との接続部位に近接した位置に、スリット48が形成される。即ち、シール部41には、スリット形成領域Aが12か所設けられている。
従って、作業者は、シール部41に設けられた12か所のスリット形成領域Aのうちの何れかに、シール部41が手繰り寄せられるように、クランプ部材50を縮径させればよい。これにより、作業者は、クランプ部材50によってシール部41を外側ジョイント部材10にクランプさせる際に、クランプ部材50とシール部41との周方向における位相合わせを厳密に行う必要がない。従って、ブーツ40は、作業者がブーツ40を外側ジョイント部材10にクランプさせる際の作業効率を向上させることができる。
また、シール部41には、厚肉部44のうち薄肉部43との接続部位に近接した位置に設けられた一のスリット形成領域Aに複数のスリット48が形成される。この場合、ブーツ40は、各々のスリット48の周方向における幅寸法を小さく設定しつつ、シール部41の内周面を大きく縮径させることができる。よって、ブーツ40は、シール部41の内周面が外側ジョイント部材10から浮き上がることを防止しつつ、クランプ時においてスリット48を確実に閉塞させることができる。
さらに、シール部41は、シール部41の内周面の周方向全周に亘って径方向内方へ突出する環状のリップ47を備える。よって、ブーツ40は、クランプ部材50によってシール部41を外側ジョイント部材10にクランプさせる際に、リップ47を外側ジョイント部材10の外周面に強く押し当てることができる。その結果、ブーツ40は、シール部41と外側ジョイント部材10とのシール性を高めることができるので、外側ジョイント部材10に封入されたグリースが、外側ジョイント部材10の外部に漏出することを防止できる。
(4.その他)
以上、上記各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
以上、上記各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、シール部41に設けられた厚肉部44の全てに対し、スリット形成領域Aを設ける場合について説明したが、これに限られるものではない。スリット形成領域Aは、少なくとも一か所、一の厚肉部44と一の薄肉部43との接続部位に設けられていればよい。
上記実施形態では、一のスリット形成領域Aに複数のスリット48が形成される場合について説明したが、一のスリット形成領域Aに少なくともスリット48が1つ形成されていればよい。
上記実施形態では、外側ジョイント部材10の外周面に、平坦部13と凹部14との間に凸部15が設けられ、ブーツ40のうち凸部15の径方向外方を向く面にクランプされる部位を薄肉部43と定義した。しかしながら、これに限られるものではない。
例えば、図8に示すような形状を有する外側ジョイント部材210を備えるスライド式等速ジョイント201の場合には、外側ジョイント部材210の外周面のうち、軌道溝212が形成される部位の径方向外方を向く部位を凸部215と定義することができる。そして、ブーツ240のシール部241のうち、凸部215にクランプされる部位を薄肉部243と定義し、凹部214の外周面にクランプされる部位を厚肉部244と定義することができる。この場合、スリット48は、厚肉部244のうち薄肉部243との接続部位に近接した位置(シール部241のうち図8において破線で囲まれる位置)の少なくとも1か所に設けられる。
また、上記実施形態では、スリット48がブーツ40の軸方向及び周方向に対して傾斜する場合について説明したが、スリット48が少なくともブーツ40の周方向に対して傾斜していればよく、スリット48が軸方向に沿って延びる直線状であってもよい。この場合においても、シール部41のクランプ時においてシール部41の内周面を縮径させることができる。
(5.効果)
以上説明したように、本発明のスライド式等速ジョイント1,201は、外周面の周方向全周に亘って形成される被シール面16を有し、円形に対して異形の外形に形成される外側ジョイント部材10,210と、径方向内方へ突出する環状に形成され、外側ジョイント部材10,210の被シール面16に対し全周に亘って接触するシール部41、241を有するブーツ40,240と、ブーツ40,240のシール部41,241の外周面をクランプするクランプ部材50と、を備えたスライド式等速ジョイント1,201である。シール部41,241の内周面には、ブーツ40,240の周方向に対して交差する方向へ延び、且つ、シール部41,241の軸方向全長に亘るスリット48が形成され、クランプ部材50によるクランプ力に伴ってシール部41,241が縮径することにより、スリット48の少なくとも一部が閉塞される。
以上説明したように、本発明のスライド式等速ジョイント1,201は、外周面の周方向全周に亘って形成される被シール面16を有し、円形に対して異形の外形に形成される外側ジョイント部材10,210と、径方向内方へ突出する環状に形成され、外側ジョイント部材10,210の被シール面16に対し全周に亘って接触するシール部41、241を有するブーツ40,240と、ブーツ40,240のシール部41,241の外周面をクランプするクランプ部材50と、を備えたスライド式等速ジョイント1,201である。シール部41,241の内周面には、ブーツ40,240の周方向に対して交差する方向へ延び、且つ、シール部41,241の軸方向全長に亘るスリット48が形成され、クランプ部材50によるクランプ力に伴ってシール部41,241が縮径することにより、スリット48の少なくとも一部が閉塞される。
このスライド式等速ジョイント1,201によれば、シール部41,241の内周面には、ブーツ40,240の周方向に対して交差する方向へ延び、且つ、シール部41,241の軸方向全長に亘るスリット48が形成されている。これにより、ブーツ40,240は、クランプ部材50から加わるクランプ力によってシール部41,241の内周面を縮径させることができる。よって、スライド式等速ジョイント1,201は、シール部41,241の内周面が外側ジョイント部材10,210から浮き上がることを抑制できるので、ブーツ40,240のシール部41,241と外側ジョイント部材10,210とのシール性を高めることができる。
また、ブーツ40,240は、クランプ部材50によるクランプ力に伴ってシール部41,241の内周面が縮径することにより、スリット48の一部が閉塞される。よって、スライド式等速ジョイント1,201は、外側ジョイント部材10,210に封入されたグリースがスリット48から外側ジョイント部材10,210の外部へ漏出することを防止できる。
上記したスライド式等速ジョイント1,201において、外側ジョイント部材10,210の被シール面16は、周方向全周に亘って凹設された溝部である。スリット48は、ブーツ40,240の軸方向及び周方向に対して傾斜する方向へ延びるように形成され、クランプ部材50によるクランプ力に伴ってシール部41,241が縮径すること、且つ、シール部41,241が溝部の両側の側壁面によってブーツ40,240の軸方向に圧縮されることにより、スリット48の少なくとも一部が閉塞される。このスライド式等速ジョイント1,201によれば、ブーツ40,240は、外側ジョイント部材10,210に封入されたグリースが外側ジョイント部材10,210の外部へ漏出することを防止できる。
上記したスライド式等速ジョイント1,201において、溝部の両側の側壁面16aは、溝部の軸方向における間隔が溝部の底面16bへ向かうにつれて狭くなるように形成された傾斜面である。
このスライド式等速ジョイント1,201によれば、シール部41,241は、クランプ時において、溝部の両側の側壁面16aによって軸方向へ圧縮されるので、スリット48を確実に閉塞させることができる。
上記したスライド式等速ジョイント1,201において、外側ジョイント部材10,210には、径方向外方へ突出する複数の凸部15,215が周方向に間隔をおいて形成される。シール部41,241は、凸部15,215の外周面のうち径方向外方を向く部位にクランプされる複数の薄肉部43、243と、複数の薄肉部43,243の間に形成され、薄肉部43,243よりも径方向において肉厚な厚肉部44,244と、を備え、スリット48は、厚肉部44,244のうち薄肉部43,243との接続部位に近接した位置に形成される。
このスライド式等速ジョイント1,201によれば、スリット48は、シール部41,241の内周面のうち、クランプ部材50によってブーツ40,240を外側ジョイント部材10,210にクランプする際にブーツ40,240の内周面の浮き上がりが発生しやすい位置に形成される。よって、ブーツ40,240は、シール部41,241の内周面が外側ジョイント部材10,210から浮き上がることを効果的に抑制できる。
上記したスライド式等速ジョイント1,201において、スリット48は、複数の薄肉部43,243のうち一の薄肉部43,243の周方向両側に接続する2つの厚肉部44,244の各々に形成される。このスライド式等速ジョイント1,201によれば、作業者は、外側ジョイント部材10,210にブーツ40,240をクランプさせる際の作業効率を向上させることができる。
上記したスライド式等速ジョイント1,201において、スリット48は、シール部41,241に設けられる複数の厚肉部44,244の全てに形成される。このブーツ40,240によれば、ブーツ40,240は、作業者がブーツ40,240を外側ジョイント部材10,210の外周面にクランプさせる際の作業効率を向上させることができる。
上記したスライド式等速ジョイント1,201において、厚肉部44,244のうち薄肉部43,243との接続部位に近接した位置には、複数のスリット48が周方向に並設される。このブーツ40,240によれば、各々のスリット48の幅寸法を小さく設定しつつ、シール部41,241の内周面を大きく縮径させることができる。即ち、ブーツ40,240は、シール部41,241と外側ジョイント部材10,210とのシール性を高めることができる。
1,201:スライド式等速ジョイント、 10,210:外側ジョイント部材、 15,215:凸部、 16a:(溝部の両側の)側壁面、 40,240:ブーツ、 41,241:シール部、 43,243:薄肉部、 44,244:厚肉部、 48:スリット、 50:クランプ部材
Claims (7)
- 外周面の周方向全周に亘って形成される被シール面を有し、円形に対して異形の外形に形成される外側ジョイント部材と、
径方向内方へ突出する環状に形成され、前記外側ジョイント部材の前記被シール面に対し全周に亘って接触するシール部を有するブーツと、
前記ブーツの前記シール部の外周面をクランプするクランプ部材と、
を備えたスライド式等速ジョイントであって、
前記シール部の内周面には、前記ブーツの周方向に対して交差する方向へ延び、且つ、前記シール部の軸方向全長に亘るスリットが形成され、
前記クランプ部材によるクランプ力に伴って前記シール部が縮径することにより、前記スリットの少なくとも一部が閉塞される、スライド式等速ジョイント。 - 前記外側ジョイント部材の前記被シール面は、周方向全周に亘って凹設された溝部であり、
前記スリットは、前記ブーツの軸方向及び周方向に対して傾斜する方向へ延びるように形成され、
前記クランプ部材によるクランプ力に伴って前記シール部が縮径すること、且つ、前記シール部が前記溝部の両側の側壁面によって前記ブーツの軸方向に圧縮されることにより、前記スリットの少なくとも一部が閉塞される、請求項1に記載のスライド式等速ジョイント。 - 前記溝部の両側の側壁面は、前記溝部の軸方向における間隔が前記溝部の底面へ向かうにつれて狭くなるように形成された傾斜面である、請求項2に記載のスライド式等速ジョイント。
- 前記外側ジョイント部材には、径方向外方へ突出する複数の凸部が周方向に間隔をおいて形成され、
前記シール部は、
前記凸部の外周面のうち径方向外方を向く部位にクランプされる複数の薄肉部と、
前記複数の薄肉部の間に形成され、前記薄肉部よりも径方向において肉厚な厚肉部と、
を備え、
前記スリットは、前記厚肉部のうち前記薄肉部との接続部位に近接した位置に形成される、請求項1−3の何れか一項に記載のスライド式等速ジョイント。 - 前記スリットは、前記複数の薄肉部のうち一の薄肉部の周方向両側に接続する2つの前記厚肉部の各々に形成される、請求項4に記載のスライド式等速ジョイント。
- 前記スリットは、前記シール部に設けられる前記複数の厚肉部の全てに形成される、請求項4又は5に記載のスライド式等速ジョイント。
- 前記厚肉部のうち前記薄肉部との接続部位に近接した位置には、複数の前記スリットが周方向に並設される、請求項4−6の何れか一項に記載のスライド式等速ジョイント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017054851A JP2018155387A (ja) | 2017-03-21 | 2017-03-21 | スライド式等速ジョイント |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017054851A JP2018155387A (ja) | 2017-03-21 | 2017-03-21 | スライド式等速ジョイント |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018155387A true JP2018155387A (ja) | 2018-10-04 |
Family
ID=63717937
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017054851A Pending JP2018155387A (ja) | 2017-03-21 | 2017-03-21 | スライド式等速ジョイント |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018155387A (ja) |
-
2017
- 2017-03-21 JP JP2017054851A patent/JP2018155387A/ja active Pending
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