JP2018154751A - 水性ベース塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い固形分濃度を有し、スプレー塗装においてタレが発生しにくく、優れた外観品質を有する塗膜を形成することが可能な水性ベース塗料を提供すること。【解決手段】コアシェル粒子中のシェルの占める割合が5〜10質量%であり、シェルの酸価が30〜50mgKOH/gであり、コアが非架橋であるアクリル系コアシェル粒子からなる基体樹脂と、メラミン樹脂中のイミノ型単核体構造の割合が50〜55質量%である水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤を前記基体樹脂100質量部に対して30〜60質量部と、アルカリ膨潤型粘性調整剤を前記基体樹脂と前記硬化剤との合計量100質量部に対して0.5〜1.5質量部と、疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤とを含有し、前記疎水性有機溶剤の含有量が有機溶剤全体に対して30〜40質量%である有機溶剤を塗料全体に対して10〜15質量%と、を含有し、固形分濃度が30〜35質量%であることを特徴とする水性ベース塗料。【選択図】なし
Description
本発明は、水性ベース塗料に関し、より詳しくは、コアシェル粒子を含有する水性ベース塗料に関する。
スプレー塗装により良好な品質の塗膜を得るために、従来から、スプレー塗装時(高せん断速度下)には粘度が低く、塗着後(低せん断速度下)にはタレが生じない範囲の粘度を有する水性塗料が検討されてきた。例えば、特開2002−3777号公報(特許文献1)には、スプレー塗装時には粘度が低く、塗着時にはタレが発生しない程度に粘度が高い水性塗料として、少なくとも1種の親水性基含有エチレン性モノマーと、少なくとも1種の疎水性基含有エチレン性モノマーとを水性媒体中で乳化重合して得られる樹脂を主成分とする水性塗料が開示されており、水性塗料中の前記樹脂は、疎水性基同士の会合部分をコアとし、親水性基部分をシェルとする、コアシェル型の樹脂粒子を形成していることも記載されている。また、特開2013−56951号公報(特許文献2)には、粘度の発現性が高く、かつ、せん断速度の増加とともに粘度が低下する粘度特性を有する共重合体と、被膜形成性樹脂として、コアシェル構造を有する水分散性水酸基含有アクリル樹脂とを含有する水性塗料組成物が開示されている。
一方、自動車等の塗装プロセスにおいて、乾燥工程でのエネルギー負荷を低減するためには、乾燥工程で除去する水分量を予め低減しておくこと、すなわち、水性塗料の固形分濃度を高めることが有効である。しかしながら、水性塗料の固形分濃度を単純に高めただけでは、高せん断速度下での粘度も低せん断速度下での粘度も大きく上昇するため、良好な品質の塗膜を得ることができないという問題があった。
しかしながら、従来の水性ベース塗料は、高せん断速度下では粘度が低く、低せん断速度下では粘度が高くなるように設計されているものの、固形物濃度が必ずしも十分に高いものではなかった。このため、スプレー塗装時に塗料の微粒化が悪化しないように高せん断速度下での粘度をできる限り低く抑え、塗着後にはタレが生じない範囲に低せん断速度下での粘度を制御しながら、水性塗料の固形分濃度を高める必要があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高い固形分濃度を有し、スプレー塗装においてタレが発生しにくく、優れた外観品質を有する塗膜を形成することが可能な水性ベース塗料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、基体樹脂として、シェルの割合及び酸価が特定の範囲にあり、コアが非架橋のコアシェル粒子を用い、硬化剤として、イミノ型単核体構造の割合が特定の範囲にある水溶性メラミン樹脂を用い、アルカリ膨潤型粘性調整剤を特定量用い、疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤を特定の割合で含有する有機溶剤を特定量用いることによって、固形分濃度が高く、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能な水性ベース塗料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の水性ベース塗料は、コアシェル粒子中のシェルの占める割合が5〜10質量%であり、シェルの酸価が30〜50mgKOH/gであり、コアが非架橋であるアクリル系コアシェル粒子からなる基体樹脂と、
メラミン樹脂中のイミノ型単核体構造の割合が50〜55質量%である水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤を前記基体樹脂100質量部に対して30〜60質量部と、
アルカリ膨潤型粘性調整剤を前記基体樹脂と前記硬化剤との合計量100質量部に対して0.5〜1.5質量部と、
疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤とを含有し、前記疎水性有機溶剤の含有量が有機溶剤全体に対して30〜40質量%である有機溶剤を塗料全体に対して10〜15質量%と、
を含有し、固形分濃度が30〜35質量%であることを特徴とするものである。
メラミン樹脂中のイミノ型単核体構造の割合が50〜55質量%である水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤を前記基体樹脂100質量部に対して30〜60質量部と、
アルカリ膨潤型粘性調整剤を前記基体樹脂と前記硬化剤との合計量100質量部に対して0.5〜1.5質量部と、
疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤とを含有し、前記疎水性有機溶剤の含有量が有機溶剤全体に対して30〜40質量%である有機溶剤を塗料全体に対して10〜15質量%と、
を含有し、固形分濃度が30〜35質量%であることを特徴とするものである。
このような本発明の水性ベース塗料においては、着色顔料及び光輝性顔料からなる群から選択される少なくとも1種の顔料を更に含有することが好ましく、また、NHCO結合を含有する粘性調整剤を更に含有することも好ましい。
なお、本発明の水性ベース塗料において、固形分濃度が30〜35質量%と高い値(従来の水性ベース塗料(固形分濃度:約25質量%)の約1.2〜1.4倍)でありながら、スプレー塗装においてタレが発生せず、外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となった理由を以下に説明する。
先ず、本発明者らは、本発明の水性ベース塗料において、疎水性有機溶剤は水より親和性の高いアクリル系コアシェル粒子のコアに全て吸収されて存在し、親水性有機溶剤と硬化剤である水溶性メラミン樹脂は半分以上がコアシェル粒子のコアに吸収されるが、一部が水(溶媒)に分配されて存在していることを見出した。そこで、コアに吸収された成分が塗料中で実質的に固形分として振る舞っていると考え、疎水性有機溶剤については配合した全ての量を固形分として体積分率を算出し、親水性有機溶剤と水溶性メラミン樹脂については配合した量の70質量%を固形分として体積分率を算出する。
また、コアシェル粒子のシェルとアルカリ膨潤型粘性調整剤は、高せん断速度(104s−1)下では強いせん断によって膨潤が抑制されていると考え、これらの組成及び形態に応じて係数をかけて体積分率を算出する。具体的には、コアシェル粒子は、せん断によって半球面が変形すると仮定し、シェルの体積分率を中和処理前後の平均値として算出する。また、アルカリ膨潤型粘性調整剤は、せん断によって全体が変形すると仮定し、中和処理後の体積分率に1/40を係数として掛けて体積分率を算出する。
そして、本発明者らは、スプレー塗装時の塗料の微粒化に作用する高せん断速度(104s−1)下での塗料の粘度は、このようにして算出した体積分率に依存することを見出した。
一方、塗着直後の塗料のタレを左右する低せん断速度(10−1s−1)下での塗料の粘度は、コアシェル粒子のシェルとアルカリ膨潤型粘性調整剤が中和されて水を吸収し、膨潤して生成した集合体(ゲル構造体)と、このゲル構造体中に形成されたコアシェル粒子の集合体とからなる塗料の液構造に依存することを本発明者らは見出した。
このように、高せん断速度(104s−1)下での塗料の粘度が、有機溶剤を固形分として算出した体積分率に依存し、低せん断速度(10−1s−1)下での塗料の粘度が前記ゲル構造体とコアシェル粒子の集合体とからなる塗料の液構造に依存することを考慮して塗料設計を行うことによって、固形分濃度が30〜35質量%と高い値でありながら、スプレー塗装に適した水性ベース塗料を得ることが可能となった。
本発明によれば、高い固形分濃度を有し、スプレー塗装においてタレが発生しにくく、優れた外観品質を有する塗膜を形成することが可能な水性ベース塗料を得ることが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の水性ベース塗料について説明する。本発明の水性ベース塗料は、コアシェル粒子中のシェルの占める割合が5〜10質量%であり、シェルの酸価が30〜50mgKOH/gであり、コアが非架橋であるアクリル系コアシェル粒子からなる基体樹脂と、
メラミン樹脂中のイミノ型単核体構造の割合が50〜55質量%である水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤を前記基体樹脂100質量部に対して30〜60質量部と、
アルカリ膨潤型粘性調整剤を前記基体樹脂と前記硬化剤との合計量100質量部に対して0.5〜1.5質量部と、
疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤とを含有し、前記疎水性有機溶剤の含有量が有機溶剤全体に対して30〜40質量%である有機溶剤を塗料全体に対して10〜15質量%と、
を含有するものであり、固形分濃度が30〜35質量%である。
メラミン樹脂中のイミノ型単核体構造の割合が50〜55質量%である水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤を前記基体樹脂100質量部に対して30〜60質量部と、
アルカリ膨潤型粘性調整剤を前記基体樹脂と前記硬化剤との合計量100質量部に対して0.5〜1.5質量部と、
疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤とを含有し、前記疎水性有機溶剤の含有量が有機溶剤全体に対して30〜40質量%である有機溶剤を塗料全体に対して10〜15質量%と、
を含有するものであり、固形分濃度が30〜35質量%である。
(基体樹脂)
本発明に用いられる基体樹脂はアクリル系コアシェル粒子からなるものである。このアクリル系コアシェル粒子におけるシェルの占める割合はコアシェル粒子全体に対して5〜10質量%である。シェルの割合が前記範囲内にあると、塗料の粘度が、高せん断速度下では低く、低せん断速度下では高くなり、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、シェルの割合が前記下限未満になると、コアシェル粒子の貯蔵安定性が低下し、他方、前記上限を超えると、高せん断速度下での塗料の粘度が高くなり、塗膜の外観品質が低下するとともに、低せん断速度下での塗料の粘度が低くなり、スプレー塗装においてタレが発生する。
本発明に用いられる基体樹脂はアクリル系コアシェル粒子からなるものである。このアクリル系コアシェル粒子におけるシェルの占める割合はコアシェル粒子全体に対して5〜10質量%である。シェルの割合が前記範囲内にあると、塗料の粘度が、高せん断速度下では低く、低せん断速度下では高くなり、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、シェルの割合が前記下限未満になると、コアシェル粒子の貯蔵安定性が低下し、他方、前記上限を超えると、高せん断速度下での塗料の粘度が高くなり、塗膜の外観品質が低下するとともに、低せん断速度下での塗料の粘度が低くなり、スプレー塗装においてタレが発生する。
また、前記アクリル系コアシェル粒子におけるシェルの酸価は30〜50mgKOH/gである。シェルの酸価が前記範囲内にあると、塗料の粘度が、高せん断速度下では低く、低せん断速度下では高くなり、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、シェルの酸価が前記下限未満になると、コアシェル粒子の貯蔵安定性が低下し、他方、前記上限を超えると、中和処理によりシェルの体積分率が増加するため、高せん断速度下での塗料の粘度が高くなり、塗膜の外観品質が低下するとともに、低せん断速度下での塗料の粘度が低くなり、スプレー塗装においてタレが発生する。
さらに、前記アクリル系コアシェル粒子におけるコアは非架橋である。コアが架橋されていないコアシェル粒子を用いると、有機溶剤(特に、疎水性有機溶剤)がコアに吸収されるため、有機溶剤の組成(疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤の配合比)によって塗料の粘度を制御することが可能となる。一方、コアが架橋されたコアシェル粒子を用いると、有機溶剤(特に、疎水性有機溶剤)の吸収性が低下し、有機溶剤の組成(疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤の配合比)によって塗料の粘度を制御することが困難となる。
このようなアクリル系コアシェル粒子は、先ず、アクリル系モノマーを含有する、コア用プレエマルジョンとシェル用プレエマルジョンとをそれぞれ調製し、次いで、前記コア用プレエマルジョンを用いて非架橋のコア粒子を作製し、このコア粒子の表面に、前記シェル用プレエマルジョンを用いてシェルを被覆することによって製造することができる。前記アクリル系モノマーとしては、1官能のメタクリル系モノマー及び1官能のアクリル系モノマーからなる群から選択されるもの(以下、「1官能の(メタ)アクリル系モノマー」という)であれば特に制限はなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミルアクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート及びその水素添加物、イソボルニル(メタ)アクリレート等の多環式(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等の複素環含有(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、等の1官能性の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。また、コア用プレエマルジョン及びシェル用プレエマルジョンには、塗膜の強度を向上させるという観点から、アクリル系モノマー以外の1官能のモノマー(例えば、スチレン系モノマー、ジエン系モノマー、イミド系モノマー、およびアミド系モノマー)を配合してもよい。
(硬化剤)
本発明に用いられる硬化剤はイミノ型単核体構造を含有する水溶性メラミン樹脂からなるものである。この水溶性メラミン樹脂におけるイミノ型単核体構造の割合は水溶性メラミン樹脂中の単核体構造全体に対して50〜55質量%である。イミノ型単核体構造の割合が前記範囲内にあると、メラミン樹脂は水溶性となり、外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、イミノ型単核体構造の割合が前記下限未満になると、メラミン樹脂が水に溶解しにくくなり、塗膜の外観品質が低下し、他方、前記上限を超えると、塗膜の耐水性が低下する。なお、本発明において、「イミノ型単核体構造」とは、メラミン単核体にイミノ基を有するものを意味する。このようなイミノ型単核体構造を含有する水溶性メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとを縮重合して得られるトリメチロールメラミンのメチロール基を、メタノール、エタノールおよびブタノールなどの低級アルコールでエーテル化することにより得ることができる。
の市販の水溶性メラミン樹脂を用いることができる。
本発明に用いられる硬化剤はイミノ型単核体構造を含有する水溶性メラミン樹脂からなるものである。この水溶性メラミン樹脂におけるイミノ型単核体構造の割合は水溶性メラミン樹脂中の単核体構造全体に対して50〜55質量%である。イミノ型単核体構造の割合が前記範囲内にあると、メラミン樹脂は水溶性となり、外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、イミノ型単核体構造の割合が前記下限未満になると、メラミン樹脂が水に溶解しにくくなり、塗膜の外観品質が低下し、他方、前記上限を超えると、塗膜の耐水性が低下する。なお、本発明において、「イミノ型単核体構造」とは、メラミン単核体にイミノ基を有するものを意味する。このようなイミノ型単核体構造を含有する水溶性メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとを縮重合して得られるトリメチロールメラミンのメチロール基を、メタノール、エタノールおよびブタノールなどの低級アルコールでエーテル化することにより得ることができる。
の市販の水溶性メラミン樹脂を用いることができる。
本発明の水性ベース塗料における前記水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤の含有量は前記基体樹脂100質量部に対して30〜60質量部である。前記水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤の含有量が前記範囲内にあると、塗料の粘度が、高せん断速度下では低く、低せん断速度下では高くなり、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、前記水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤の含有量が前記下限未満になると、塗膜の強度が低下し、他方、前記上限を超えると、低せん断速度下での塗料の粘度が高くなり、スプレー塗装におけるタレの発生が抑制されるものの、高せん断速度下での塗料の粘度も高くなり、塗膜の外観品質が低下する。
(粘性調整剤)
本発明に用いられる粘性調整剤はアルカリ膨潤型粘性調整剤である。アルカリ膨潤型粘性調整剤は、高せん断速度下では膨潤が抑制される(体積分率が減少する)ため、塗料の粘度が低くなり、低せん断速度下では重なり合いによってゲル構造を形成するため、粘性が発現し、塗料の粘度が高くなる。本発明において、「アルカリ膨潤型粘性調整剤」とは、アルカリによる中和処理により膨潤する粘性調整剤であり、例えば、ポリアクリル酸系粘性調整剤(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)等が挙げられる。このようなポリアクリル酸系粘性調整剤としては、BASF社製「ViscalexHV30」、BASF社製「Rheovis AS1130」、BASF社製「Rheovis AS1125」、DIC株式会社製「ボンコート」等の市販のポリアクリル酸系粘性調整剤を用いることができる。
本発明に用いられる粘性調整剤はアルカリ膨潤型粘性調整剤である。アルカリ膨潤型粘性調整剤は、高せん断速度下では膨潤が抑制される(体積分率が減少する)ため、塗料の粘度が低くなり、低せん断速度下では重なり合いによってゲル構造を形成するため、粘性が発現し、塗料の粘度が高くなる。本発明において、「アルカリ膨潤型粘性調整剤」とは、アルカリによる中和処理により膨潤する粘性調整剤であり、例えば、ポリアクリル酸系粘性調整剤(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)等が挙げられる。このようなポリアクリル酸系粘性調整剤としては、BASF社製「ViscalexHV30」、BASF社製「Rheovis AS1130」、BASF社製「Rheovis AS1125」、DIC株式会社製「ボンコート」等の市販のポリアクリル酸系粘性調整剤を用いることができる。
本発明の水性ベース塗料における前記アルカリ膨潤型粘性調整剤の含有量は前記基体樹脂と前記硬化剤との合計量100質量部に対して0.5〜1.5質量部である。前記アルカリ膨潤型粘性調整剤の含有量が前記範囲内にあると、塗料の粘度が、高せん断速度下では低く、低せん断速度下では高くなり、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、前記アルカリ膨潤型粘性調整剤の含有量が前記下限未満になると、低せん断速度下での塗料の粘度が低くなり、スプレー塗装においてタレが発生し、他方、前記上限を超えると、高せん断速度下での塗料の粘度が高くなり、塗膜の外観品質が低下する。また、塗料の粘度が、高せん断速度下でより低く、低せん断速度下でより高くなり、塗膜の耐タレ性及び外観品質が更に向上するという観点から、前記アルカリ膨潤型粘性調整剤の含有量は前記基体樹脂と前記硬化剤との合計量100質量部に対して0.5〜1.0質量部であることが好ましい。
また、本発明の水性ベース塗料においては、本発明の効果を損なわない範囲において、アルカリ膨潤型粘性調整剤以外のその他の粘性調整を併用してもよい。前記その他の粘性調整剤としては、NHCO結合を有する粘性調整剤(アミド型粘性調整剤、尿素骨格型粘性調整剤等)が好ましい。一方、従来の水性ベース塗料において一般的に用いられる会合型粘性調整剤は、前記アクリル系コアシェル粒子の貯蔵安定性が低下する傾向にあるため、使用しないことが好ましい。
このようなその他の粘性調整剤は、その含有量が前記アルカリ膨潤型粘性調整剤の含有量以下、かつ、その他の粘性調整剤と前記アルカリ膨潤型粘性調整剤との合計含有量が前記基体樹脂と前記硬化剤との合計量100質量部に対して0.5〜1.5質量部(より好ましくは、1.0〜1.5質量部)となるように配合することが好ましい。その他の粘性調整剤の含有量が前記アルカリ膨潤型粘性調整剤の含有量より多くなると、前記アルカリ膨潤型粘性調整剤による効果が十分に得られない傾向にある。また、その他の粘性調整剤と前記アルカリ膨潤型粘性調整剤との合計含有量が前記下限未満になると、低せん断速度下での塗料の粘度が低くなり、スプレー塗装においてタレが発生する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、他方、前記上限を超えると、高せん断速度下での塗料の粘度が高くなり、塗膜の外観品質が低下する傾向にある。
(有機溶剤)
本発明に用いられる有機溶剤は疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤とを含有するものである。本発明において、疎水性有機溶剤とは、水への溶解度(20℃)が水100g当たり10g以下(好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下)の有機溶剤である。このような疎水性有機溶剤としては、2−エチルヘキシルアルコール、1−オクタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチルプロピルアルコール(イソブタノール)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルセロソルブアセテート)、シクロヘキサノールアセテート等が挙げられ、中でも、水への溶解度(20℃)が水100g当たり1g以下であるという観点から、2−エチルヘキシルアルコール、1−オクタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルセロソルブアセテート)、シクロヘキサノールアセテートが好ましい。
本発明に用いられる有機溶剤は疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤とを含有するものである。本発明において、疎水性有機溶剤とは、水への溶解度(20℃)が水100g当たり10g以下(好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下)の有機溶剤である。このような疎水性有機溶剤としては、2−エチルヘキシルアルコール、1−オクタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチルプロピルアルコール(イソブタノール)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルセロソルブアセテート)、シクロヘキサノールアセテート等が挙げられ、中でも、水への溶解度(20℃)が水100g当たり1g以下であるという観点から、2−エチルヘキシルアルコール、1−オクタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルセロソルブアセテート)、シクロヘキサノールアセテートが好ましい。
また、本発明において、親水性有機溶剤とは、水への溶解度(20℃)が水100g当たり90g以上(好ましくは95g以上、より好ましくは100g以上)の有機溶剤である。このような親水性有機溶剤としては、水への溶解度(20℃)が水100g当たり100g以上であるという観点から、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、1,3−ブチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールn−メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
本発明に用いられる有機溶剤においては、前記疎水性有機溶剤の含有量が有機溶剤全体に対して30〜40質量%である。疎水性有機溶剤の含有量が前記範囲内にあると、疎水性有機溶剤の全てと親水性有機溶剤の一部とが前記アクリル系コアシェル粒子のコアに吸収されて凝集構造の形成が促進されるため、低せん断速度下での塗料の粘度が高くなり、残りの親水性有機溶剤が水(溶媒)に分配されるため、高せん断速度下での塗料の粘度が低くなり、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、疎水性有機溶剤の含有量が前記下限未満になると、コアに吸収される疎水性有機溶剤の量が減少し、凝集構造の形成が促進されず、低せん断速度下での塗料の粘度が低くなり、スプレー塗装においてタレが発生し、他方、前記上限を超えると、コアに吸収される疎水性有機溶剤の量が多くなり、塗料の固形分の体積分率が増加するため、高せん断速度下での塗料の粘度が高くなり、塗膜の外観品質が低下する。
本発明の水性ベース塗料において、このような有機溶剤の含有量は塗料全体に対して10〜15質量%である。有機溶剤の含有量が前記範囲内にあると、塗料の粘度が、高せん断速度下では低く、低せん断速度下では高くなり、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、有機溶剤の含有量が前記下限未満になると、前記アクリル系コアシェル粒子のコアに吸収される疎水性有機溶剤及び親水性有機溶剤の量が少なくなり、凝集構造の形成が促進されず、低せん断速度下での塗料の粘度が低くなり、スプレー塗装においてタレが発生し、他方、前記上限を超えると、水(溶媒)に分配される親水性有機溶剤の量が多くなり、これがゲル構造を減少させて低せん断速度下での塗料の粘度を低下させるため、スプレー塗装においてタレが発生する。また、高せん断速度下での塗料の粘度がより低くなり、塗膜の外観品質が向上するという観点から、有機溶剤の含有量としては10〜13質量%が好ましい。
また、本発明の水性ベース塗料においては、本発明の効果を損なわない範囲において、水への溶解度が水100g当たり10g超過90g未満の有機溶剤を更に併用することができ、その含有量としては有機溶剤全体に対して10質量%以下が好ましい。このような水への溶解度を有する有機溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジメチル、シュウ酸ジブチル、ジアセトンアルコール、2−ブタノール、1,6−ヘキサンジオール、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルメチルエーテル等が挙げられる。
(顔料)
本発明の水性ベース塗料においては、着色顔料及び光輝性顔料からなる群から選択される少なくとも1種の顔料が含まれていることが好ましい。前記着色顔料及び前記光輝性顔料としては一般的な水性ベース塗料に用いられるものであれば特に制限はない。前記着色顔料としては、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタン等の無機顔料;アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、インディゴ系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イゾインドリノン系顔料、金属錯体などの有機顔料が挙げられる。また、前記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、スズ、ニッケル、酸化アルミ等の金属又は合金等の着色又は無着色の金属製顔料及びその混合物が挙げられる。また、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト系顔料等の着色又は無着色の扁平顔料も挙げられる。
本発明の水性ベース塗料においては、着色顔料及び光輝性顔料からなる群から選択される少なくとも1種の顔料が含まれていることが好ましい。前記着色顔料及び前記光輝性顔料としては一般的な水性ベース塗料に用いられるものであれば特に制限はない。前記着色顔料としては、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタン等の無機顔料;アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、インディゴ系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イゾインドリノン系顔料、金属錯体などの有機顔料が挙げられる。また、前記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、スズ、ニッケル、酸化アルミ等の金属又は合金等の着色又は無着色の金属製顔料及びその混合物が挙げられる。また、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト系顔料等の着色又は無着色の扁平顔料も挙げられる。
(その他の添加剤)
本発明の水性ベース塗料においては、一般的な水性ベース塗料に用いられる、添加剤、表面調整剤、pH調整剤、ハジキ防止剤、ワキ防止剤等の各種添加剤を配合してもよい。
本発明の水性ベース塗料においては、一般的な水性ベース塗料に用いられる、添加剤、表面調整剤、pH調整剤、ハジキ防止剤、ワキ防止剤等の各種添加剤を配合してもよい。
〔水性ベース塗料〕
本発明の水性ベース塗料は、前記アクリル系コアシェル粒子からなる基材樹脂と、前記水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤と、前記アルカリ膨潤型粘性調整剤と、疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤とを特定の割合で含有する有機溶剤とを特定の割合で含有するものである。このような本発明の水性ベース塗料においては、固形分濃度が30〜50質量%である。塗料の固形分濃度が前記範囲内にあると、塗料の粘度が、高せん断速度下では低く、低せん断速度下では高くなり、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、塗料の固形分濃度が前記下限未満になると、低せん断速度下での塗料の粘度が低くなり、スプレー塗装においてタレが発生し、他方、前記上限を超えると、高せん断速度下での塗料の粘度が高くなり、塗膜の外観品質が低下する。
本発明の水性ベース塗料は、前記アクリル系コアシェル粒子からなる基材樹脂と、前記水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤と、前記アルカリ膨潤型粘性調整剤と、疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤とを特定の割合で含有する有機溶剤とを特定の割合で含有するものである。このような本発明の水性ベース塗料においては、固形分濃度が30〜50質量%である。塗料の固形分濃度が前記範囲内にあると、塗料の粘度が、高せん断速度下では低く、低せん断速度下では高くなり、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能となる。一方、塗料の固形分濃度が前記下限未満になると、低せん断速度下での塗料の粘度が低くなり、スプレー塗装においてタレが発生し、他方、前記上限を超えると、高せん断速度下での塗料の粘度が高くなり、塗膜の外観品質が低下する。
また、本発明に水性ベース塗料においては、高せん断速度下(104s−1)における粘度が0.045Pa・s以下であることが好ましく、0.040Pa・s以下であることがより好ましく、0.035Pa・s以下であることが更に好ましく、0.030Pa・s以下であることが特に好ましい。高せん断速度下における粘度が前記上限を超えると、塗膜の外観品質が低下する傾向にある。
さらに、本発明に水性ベース塗料においては、低せん断速度下(10−1s−1)における粘度が10〜40Pa・sであることが好ましく、12〜38Pa・sであることがより好ましく、14〜35Pa・sであることが特に好ましい。低せん断速度下における粘度が前記下限未満になると、スプレー塗装においてタレが発生する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、塗膜の外観品質が低下する傾向にある。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で使用したコアシェル粒子は以下の方法により調製した。また、シェルの酸価は以下の方法により求めた。
<シェルの酸価の算出>
シェルの酸価(mgKOH/g−シェル)は、コアシェル粒子の調製時に配合したアクリル酸の量から、下記式により求めた。
シェルの酸価=[アクリル酸の配合量/アクリル酸の分子量]
×[KOHの分子量×103/102]×[コアの質量/シェルの質量]
(調製例1)
<コアシェル粒子Aの調製>
〔コア用プレエマルションの調製〕
イオン交換水(36.7g)に、開始剤として過硫酸アンモニウム(0.20g)及び乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム〔花王株式会社製「ラテムルPD−104」〕(18.4g)を添加して溶解した。これに、2−エチルヘキシルアクリレート(23.8g)、n−ブチルメタクリレート(43.7g)、n−ブチルアクリレート(7.4g)、ヒドロキシエチルメタクリレート(29.7g)、スチレン(43.1g)、及び連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン〔花王株式会社製「チオカルコールT−20」〕(4.8g)を逐次に添加して攪拌し、コア用プレエマルションを得た。
シェルの酸価(mgKOH/g−シェル)は、コアシェル粒子の調製時に配合したアクリル酸の量から、下記式により求めた。
シェルの酸価=[アクリル酸の配合量/アクリル酸の分子量]
×[KOHの分子量×103/102]×[コアの質量/シェルの質量]
(調製例1)
<コアシェル粒子Aの調製>
〔コア用プレエマルションの調製〕
イオン交換水(36.7g)に、開始剤として過硫酸アンモニウム(0.20g)及び乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム〔花王株式会社製「ラテムルPD−104」〕(18.4g)を添加して溶解した。これに、2−エチルヘキシルアクリレート(23.8g)、n−ブチルメタクリレート(43.7g)、n−ブチルアクリレート(7.4g)、ヒドロキシエチルメタクリレート(29.7g)、スチレン(43.1g)、及び連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン〔花王株式会社製「チオカルコールT−20」〕(4.8g)を逐次に添加して攪拌し、コア用プレエマルションを得た。
〔シェル用プレエマルションの調製〕
イオン交換水(20.0g)に、開始剤として過硫酸アンモニウム(0.11g)及び乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム〔花王株式会社製「ラテムルPD−104」〕(1.8g)を添加して溶解した。これに、2−エチルヘキシルアクリレート(2.5g)、n−ブチルメタクリレート(4.6g)、n−ブチルアクリレート(0.8g)、ヒドロキシエチルメタクリレート(3.1g)、アクリル酸(1.0g)、スチレン(4.5g)、及び連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン〔花王株式会社製「チオカルコールT−20」〕(0.5g)を逐次に添加して攪拌し、シェル用プレエマルションを得た。
イオン交換水(20.0g)に、開始剤として過硫酸アンモニウム(0.11g)及び乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム〔花王株式会社製「ラテムルPD−104」〕(1.8g)を添加して溶解した。これに、2−エチルヘキシルアクリレート(2.5g)、n−ブチルメタクリレート(4.6g)、n−ブチルアクリレート(0.8g)、ヒドロキシエチルメタクリレート(3.1g)、アクリル酸(1.0g)、スチレン(4.5g)、及び連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン〔花王株式会社製「チオカルコールT−20」〕(0.5g)を逐次に添加して攪拌し、シェル用プレエマルションを得た。
〔コアシェル粒子合成〕
500mlのフラスコにテフロン(登録商標)製の攪拌翼を装着し、イオン交換水(128.5g)を入れた後、過硫酸アンモニウム(0.06g)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム〔花王株式会社製「ラテムルPD−104」〕(3.6g)、及び前記コア用プレエマルション(15.0g、前記コア用プレエマルション全量の約7質量%)を逐次に添加してシード粒子用エマルションを調製し、このシード粒子用エマルションを攪拌しながら80℃に加熱して反応を開始し、シード粒子を合成した。反応開始後、フラスコ内の温度は90℃まで上昇した。反応開始から0.5時間経過後、残りの前記コア用プレエマルションを全量滴下した。滴下終了後、1時間熟成させて非架橋のコア粒子を得た。
500mlのフラスコにテフロン(登録商標)製の攪拌翼を装着し、イオン交換水(128.5g)を入れた後、過硫酸アンモニウム(0.06g)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム〔花王株式会社製「ラテムルPD−104」〕(3.6g)、及び前記コア用プレエマルション(15.0g、前記コア用プレエマルション全量の約7質量%)を逐次に添加してシード粒子用エマルションを調製し、このシード粒子用エマルションを攪拌しながら80℃に加熱して反応を開始し、シード粒子を合成した。反応開始後、フラスコ内の温度は90℃まで上昇した。反応開始から0.5時間経過後、残りの前記コア用プレエマルションを全量滴下した。滴下終了後、1時間熟成させて非架橋のコア粒子を得た。
次に、フラスコ内の温度を80〜90℃に維持しながら、前記シェル用プレエマルションを全量滴下した後、1時間熟成させた。熟成終了後、常温に冷却し、50質量%ジメチルアミノエタノール水溶液(2.4g)を添加して中和し、コアシェル粒子Aを得た。このコアシェル粒子Aのシェルの割合、シェルの酸価、及びコアの架橋の有無を表2に示す。
(調製例2)
<コアシェル粒子Bの調製>
原料の配合量を表1に示す配合量に変更した以外は調製例1と同様にしてコア用プレエマルション及びシェル用プレエマルションを調製した。これらのコア用プレエマルション及びシェル用プレエマルションを用い、50質量%ジメチルアミノエタノール水溶液の配合量を4.8gに変更した以外は調製例1と同様にしてコアシェル粒子Bを調製した。このコアシェル粒子Bのシェルの割合、シェルの酸価、及びコアの架橋の有無を表2に示す。
<コアシェル粒子Bの調製>
原料の配合量を表1に示す配合量に変更した以外は調製例1と同様にしてコア用プレエマルション及びシェル用プレエマルションを調製した。これらのコア用プレエマルション及びシェル用プレエマルションを用い、50質量%ジメチルアミノエタノール水溶液の配合量を4.8gに変更した以外は調製例1と同様にしてコアシェル粒子Bを調製した。このコアシェル粒子Bのシェルの割合、シェルの酸価、及びコアの架橋の有無を表2に示す。
(調製例3)
<コアシェル粒子Cの調製>
調製例1と同様にしてコア用プレエマルションを調製した。また、原料の配合量を表1に示す配合量に変更した以外は調製例1と同様にしてシェル用プレエマルションを調製した。これらのコア用プレエマルション及びシェル用プレエマルションを用い、50質量%ジメチルアミノエタノール水溶液の配合量を4.8gに変更した以外は調製例1と同様にしてコアシェル粒子Cを調製した。このコアシェル粒子Cのシェルの割合、シェルの酸価、及びコアの架橋の有無を表2に示す。
<コアシェル粒子Cの調製>
調製例1と同様にしてコア用プレエマルションを調製した。また、原料の配合量を表1に示す配合量に変更した以外は調製例1と同様にしてシェル用プレエマルションを調製した。これらのコア用プレエマルション及びシェル用プレエマルションを用い、50質量%ジメチルアミノエタノール水溶液の配合量を4.8gに変更した以外は調製例1と同様にしてコアシェル粒子Cを調製した。このコアシェル粒子Cのシェルの割合、シェルの酸価、及びコアの架橋の有無を表2に示す。
(調製例4)
<コアシェル粒子Dの調製>
原料の配合量を表1に示す配合量に変更し、架橋剤としてペンタエリスリトールトリアクリレート(7.4g)を更に添加した以外は調製例1と同様にしてコア用プレエマルションを調製した。また、調製例1と同様にしてシェル用プレエマルションを調製した。これらのコア用プレエマルション及びシェル用プレエマルションを用いた以外は調製例1と同様にしてコアシェル粒子Dを調製した。このコアシェル粒子Dのシェルの割合、シェルの酸価、及びコアの架橋の有無を表2に示す。
<コアシェル粒子Dの調製>
原料の配合量を表1に示す配合量に変更し、架橋剤としてペンタエリスリトールトリアクリレート(7.4g)を更に添加した以外は調製例1と同様にしてコア用プレエマルションを調製した。また、調製例1と同様にしてシェル用プレエマルションを調製した。これらのコア用プレエマルション及びシェル用プレエマルションを用いた以外は調製例1と同様にしてコアシェル粒子Dを調製した。このコアシェル粒子Dのシェルの割合、シェルの酸価、及びコアの架橋の有無を表2に示す。
<固形分濃度NVの測定>
実施例及び比較例で用いた各原材料の固形分濃度は以下の方法により測定した。すなわち、原材料を105℃の熱風炉で3時間乾燥させ、乾燥前後の質量から原材料の固形分濃度NV(単位:%)を算出した。
実施例及び比較例で用いた各原材料の固形分濃度は以下の方法により測定した。すなわち、原材料を105℃の熱風炉で3時間乾燥させ、乾燥前後の質量から原材料の固形分濃度NV(単位:%)を算出した。
(実施例1)
攪拌翼を装着したポリカップに、基体樹脂として調製例1で得られたコアシェル粒子A〔NV:46.0%〕(47.4g)を入れ、硬化剤として水溶性メラミン樹脂〔イミノ型単核体構造の割合:55質量%〕を含有する水溶液〔NV:86.0%〕(10.9g)を添加して室温で15分間以上攪拌した後、イオン交換水(23.6g)、アルカリ膨潤型粘性調整剤としてポリアクリル酸系粘性調整剤〔BASF社製「ViscalexHV30」、NV:30.3%〕(0.62g)、その他の粘性調整剤としてアミド型粘性調整剤〔楠本化成株式会社製「AQH800」、NV:9.2%〕(2.04g)、中和剤としてジメチルアミノエタノール(0.3g)、顔料としてアルミフレーク〔ALTANA社製「STAPA IL Hydrolan2145」を真空乾燥したもの、NV:100%〕(3.5g)、親水性有機溶剤としてブチルセロソルブ〔水への溶解度:水100gに対して∞〕(8.0g)、及び疎水性有機溶剤として2−エチルヘキサノール〔水への溶解度:水100gに対して0g〕(4.0g)を逐次に添加し、NVが35%〔設計値〕の塗料E1を得た。
攪拌翼を装着したポリカップに、基体樹脂として調製例1で得られたコアシェル粒子A〔NV:46.0%〕(47.4g)を入れ、硬化剤として水溶性メラミン樹脂〔イミノ型単核体構造の割合:55質量%〕を含有する水溶液〔NV:86.0%〕(10.9g)を添加して室温で15分間以上攪拌した後、イオン交換水(23.6g)、アルカリ膨潤型粘性調整剤としてポリアクリル酸系粘性調整剤〔BASF社製「ViscalexHV30」、NV:30.3%〕(0.62g)、その他の粘性調整剤としてアミド型粘性調整剤〔楠本化成株式会社製「AQH800」、NV:9.2%〕(2.04g)、中和剤としてジメチルアミノエタノール(0.3g)、顔料としてアルミフレーク〔ALTANA社製「STAPA IL Hydrolan2145」を真空乾燥したもの、NV:100%〕(3.5g)、親水性有機溶剤としてブチルセロソルブ〔水への溶解度:水100gに対して∞〕(8.0g)、及び疎水性有機溶剤として2−エチルヘキサノール〔水への溶解度:水100gに対して0g〕(4.0g)を逐次に添加し、NVが35%〔設計値〕の塗料E1を得た。
(実施例2)
イオン交換水及びアルカリ膨潤型粘性調整剤の配合量を表3に示す配合量に変更し、アミド型粘性調整剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料E2を得た。
イオン交換水及びアルカリ膨潤型粘性調整剤の配合量を表3に示す配合量に変更し、アミド型粘性調整剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料E2を得た。
(実施例3)
基体樹脂、硬化剤、イオン交換水、アルカリ膨潤型粘性調整剤、及びアミド型粘性調整剤の配合量を表3に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが30%〔設計値〕の塗料E3を得た。
基体樹脂、硬化剤、イオン交換水、アルカリ膨潤型粘性調整剤、及びアミド型粘性調整剤の配合量を表3に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが30%〔設計値〕の塗料E3を得た。
(実施例4)
親水性有機溶剤及び疎水性有機溶剤の配合量を表3に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料E4を得た。
親水性有機溶剤及び疎水性有機溶剤の配合量を表3に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料E4を得た。
(実施例5)
ブチルセロソルブの代わりにN−メチル−2−ピロリドン〔水への溶解度:水100gに対して∞〕(8.0g)を用いた以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料E5を得た。
ブチルセロソルブの代わりにN−メチル−2−ピロリドン〔水への溶解度:水100gに対して∞〕(8.0g)を用いた以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料E5を得た。
(実施例6)
ブチルセロソルブの代わりにプロピレングリコールn−メチルエーテル〔水への溶解度:水100gに対して∞〕(8.0g)を用いた以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料E6を得た。
ブチルセロソルブの代わりにプロピレングリコールn−メチルエーテル〔水への溶解度:水100gに対して∞〕(8.0g)を用いた以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料E6を得た。
(実施例7)
2−エチルヘキサノールの配合量を3.0gに変更し、イソブタノール〔水への溶解度:水100gに対して8.7g〕(1.0g)を更に添加した以外は実施例6と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料E7を得た。
2−エチルヘキサノールの配合量を3.0gに変更し、イソブタノール〔水への溶解度:水100gに対して8.7g〕(1.0g)を更に添加した以外は実施例6と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料E7を得た。
(比較例1)
コアシェル粒子Aの代わりに調製例4で得られたコアが架橋されたコアシェル粒子D〔NV:46.0%〕(47.4g)を用いた以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C1を得た。
コアシェル粒子Aの代わりに調製例4で得られたコアが架橋されたコアシェル粒子D〔NV:46.0%〕(47.4g)を用いた以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C1を得た。
(比較例2)
コアシェル粒子Aの代わりに調製例2で得られたシェルの割合が20質量%のコアシェル粒子B〔NV:46.0%〕(47.4g)を用いた以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C2を得た。
コアシェル粒子Aの代わりに調製例2で得られたシェルの割合が20質量%のコアシェル粒子B〔NV:46.0%〕(47.4g)を用いた以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C2を得た。
(比較例3)
コアシェル粒子Aの代わりに調製例3で得られたシェルの酸価が100mgKOH/gのコアシェル粒子C〔NV:46.0%〕(47.4g)を用いた以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C3を得た。
コアシェル粒子Aの代わりに調製例3で得られたシェルの酸価が100mgKOH/gのコアシェル粒子C〔NV:46.0%〕(47.4g)を用いた以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C3を得た。
(比較例4及び5)
イオン交換水、アルカリ膨潤型粘性調整剤及びアミド型粘性調整剤の配合量を表4に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C4及びC5を得た。
イオン交換水、アルカリ膨潤型粘性調整剤及びアミド型粘性調整剤の配合量を表4に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C4及びC5を得た。
(比較例6)
イミノ型単核体構造の割合が55質量%のメラミン樹脂水溶液の代わりにイミノ型単核体構造の割合が48質量%のメラミン樹脂溶液〔オルネクスジャパン株式会社製「サイメル327」、メラミン樹脂中のイミノ型単核体構造の割合:48質量%、溶媒:イソプロパノール、NV:86.0%〕(10.9g)を用い、イオン交換水の配合量を22.1gに変更した以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C6を得た。なお、表4に記載のイソプロパノール〔水への溶解度:水100gに対して∞〕(1.5g)は前記メラミン樹脂溶液中に含まれていたものである。
イミノ型単核体構造の割合が55質量%のメラミン樹脂水溶液の代わりにイミノ型単核体構造の割合が48質量%のメラミン樹脂溶液〔オルネクスジャパン株式会社製「サイメル327」、メラミン樹脂中のイミノ型単核体構造の割合:48質量%、溶媒:イソプロパノール、NV:86.0%〕(10.9g)を用い、イオン交換水の配合量を22.1gに変更した以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C6を得た。なお、表4に記載のイソプロパノール〔水への溶解度:水100gに対して∞〕(1.5g)は前記メラミン樹脂溶液中に含まれていたものである。
(比較例7及び8)
イオン交換水、親水性有機溶剤、及び疎水性有機溶剤の配合量を表5に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C7及びC8を得た。
イオン交換水、親水性有機溶剤、及び疎水性有機溶剤の配合量を表5に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C7及びC8を得た。
(比較例9)
疎水性有機溶剤の配合量を12.0gに変更し、親水性有機溶剤を用いなかった以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C9を得た。
疎水性有機溶剤の配合量を12.0gに変更し、親水性有機溶剤を用いなかった以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C9を得た。
(比較例10)
基体樹脂、硬化剤、イオン交換水、アルカリ膨潤型粘性調整剤、及びアミド型粘性調整剤の配合量を表5に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが25%〔設計値〕の塗料C10を得た。
基体樹脂、硬化剤、イオン交換水、アルカリ膨潤型粘性調整剤、及びアミド型粘性調整剤の配合量を表5に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが25%〔設計値〕の塗料C10を得た。
(比較例11及び12)
イオン交換水、親水性有機溶剤、及び疎水性有機溶剤の配合量を表5に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C11及びC12を得た。
イオン交換水、親水性有機溶剤、及び疎水性有機溶剤の配合量を表5に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にしてNVが35%〔設計値〕の塗料C11及びC12を得た。
<粘度測定>
得られた塗料をレオメータ〔ティー・エイ・インスツルメント社製「ARES−G2」)のコーンプレート(直径:25mm、角度:0.04rad、測定ギャップ:25μm)に挟んで60秒間経過した後、コーンプレートを回転させて、せん断速度を10−1s−1に30秒間保持した。その後、せん断速度を102s−1に急増して30秒間保持し、さらに10−1s−1に急減して120秒間保持した。一旦、コーンプレートの回転を停止し、60秒後に試料をそのまま用いてコーンプレートを回転させ、せん断速度を10−2s−1から103s−1まで段階的に増加させて、粘度のせん断速度依存性を求めた。
得られた塗料をレオメータ〔ティー・エイ・インスツルメント社製「ARES−G2」)のコーンプレート(直径:25mm、角度:0.04rad、測定ギャップ:25μm)に挟んで60秒間経過した後、コーンプレートを回転させて、せん断速度を10−1s−1に30秒間保持した。その後、せん断速度を102s−1に急増して30秒間保持し、さらに10−1s−1に急減して120秒間保持した。一旦、コーンプレートの回転を停止し、60秒後に試料をそのまま用いてコーンプレートを回転させ、せん断速度を10−2s−1から103s−1まで段階的に増加させて、粘度のせん断速度依存性を求めた。
得られた粘度とせん断速度の関係に基づいて、低せん断速度(10−1s−1)下における粘度ηLを求めた。また、高せん断速度(104s−1)下における粘度ηHを下記式により求めた。これらの結果を表3〜表5に示す。
ηH=K×(104)n
式中、K=[log(η2)−log(η1)]/[log(γ2)−log(γ1)]
n=10(−K×log(γ1)+log(η1))
γ1=6.31×102s−1
γ2=103s−1
η1:γ1での粘度
η2:γ2での粘度
である。
ηH=K×(104)n
式中、K=[log(η2)−log(η1)]/[log(γ2)−log(γ1)]
n=10(−K×log(γ1)+log(η1))
γ1=6.31×102s−1
γ2=103s−1
η1:γ1での粘度
η2:γ2での粘度
である。
<耐タレ性評価>
電着塗装膜上に中塗り塗装を施した塗装板(日本ルートサービス株式会社製、大きさ:5cm×15cm)の中央付近に直径5mmの穴を複数個開け、この塗装板に、実施例及び比較例で得られた各塗料を、焼付け後の膜厚が10μm、20μm、30μm、40μmとなるように、温度15℃、相対湿度40%RHの条件下でスプレー塗装を行なった。スプレー塗装後の塗装板を垂直に立てた状態で80℃のオーブンに20分間投入した後、穴端部の位置のタレの有無を観察し、下記の基準で評価した。
A:膜厚が40μmでもタレは生じなかった。
B:膜厚が20μmではタレは生じなかったが、30μmではタレは生じた。
C:膜厚が10μmではタレは生じなかったが、20μmではタレは生じた。
D:膜厚が10μmでもタレは生じた。
電着塗装膜上に中塗り塗装を施した塗装板(日本ルートサービス株式会社製、大きさ:5cm×15cm)の中央付近に直径5mmの穴を複数個開け、この塗装板に、実施例及び比較例で得られた各塗料を、焼付け後の膜厚が10μm、20μm、30μm、40μmとなるように、温度15℃、相対湿度40%RHの条件下でスプレー塗装を行なった。スプレー塗装後の塗装板を垂直に立てた状態で80℃のオーブンに20分間投入した後、穴端部の位置のタレの有無を観察し、下記の基準で評価した。
A:膜厚が40μmでもタレは生じなかった。
B:膜厚が20μmではタレは生じなかったが、30μmではタレは生じた。
C:膜厚が10μmではタレは生じなかったが、20μmではタレは生じた。
D:膜厚が10μmでもタレは生じた。
<外観評価>
実施例及び比較例で得られた各塗料を、電着塗装膜上に中塗り塗装を施した塗装板(日本ルートサービス株式会社製、大きさ:5cm×15cm)に、焼付け後の膜厚が20μmとなるように、温度15℃、相対湿度40%RHの条件下でスプレー塗装を行なった。
スプレー塗装後の塗装板を80℃のオーブンに20分間投入した後、塗膜の外観を観察し、下記の基準で評価した。なお、耐タレ性評価が「D」の塗料については外観評価を実施しなかった。
A:凹凸や塗装ムラはほとんど存在しなかった。
B:凹凸や塗装ムラは少なかった。
C:凹凸や塗装ムラが存在した。
D:凹凸や塗装ムラが目立った。
実施例及び比較例で得られた各塗料を、電着塗装膜上に中塗り塗装を施した塗装板(日本ルートサービス株式会社製、大きさ:5cm×15cm)に、焼付け後の膜厚が20μmとなるように、温度15℃、相対湿度40%RHの条件下でスプレー塗装を行なった。
スプレー塗装後の塗装板を80℃のオーブンに20分間投入した後、塗膜の外観を観察し、下記の基準で評価した。なお、耐タレ性評価が「D」の塗料については外観評価を実施しなかった。
A:凹凸や塗装ムラはほとんど存在しなかった。
B:凹凸や塗装ムラは少なかった。
C:凹凸や塗装ムラが存在した。
D:凹凸や塗装ムラが目立った。
表3に示した結果から明らかなように、基体樹脂として、シェルの割合が5〜10質量%であり、シェルの酸価が30〜50mgKOH/gであり、コアが非架橋であるコアシェル粒子と、硬化剤として、イミノ型単核体構造の割合が50〜55質量%であるメラミン樹脂と、アルカリ膨潤型粘性調整剤を前記基体樹脂と前記硬化剤との合計量100質量部に対して0.5〜1.5質量部と、疎水性有機溶剤25〜40質量%及び親水性有機溶剤60〜75質量%を含有する有機溶剤を塗料全体に対して10〜15質量%とを含有し、固形分濃度が30〜35質量%である本発明の水性ベース塗料(実施例1〜7)は、塗膜の耐タレ性及び外観品質に優れたものであることが確認された。
一方、表4〜表5に示した結果から明らかなように、基体樹脂としてコアが架橋されているコアシェル粒子を用いた場合(比較例1)、アルカリ膨潤型粘性調整剤の含有量が1.5質量部を超える場合(比較例5)、メラミン樹脂中のイミノ型単核体構造の割合が50質量%未満の場合(比較例6)、有機溶剤全体に対する疎水性有機溶剤の割合が40質量%を超える場合(比較例8)、並びに、親水性有機溶剤を含まない場合(比較例9)には、本発明の水性ベース塗料(実施例1〜7)と比較して、塗膜の外観品質が劣ることがわかった。また、基体樹脂としてシェルの割合が10質量%を超えるコアシェル粒子を用いた場合(比較例2)、基体樹脂としてシェルの酸価が50mgKOH/gを超えるコアシェル粒子を用いた場合(比較例3)、アルカリ膨潤型粘性調整剤の含有量が0.5質量部未満の場合(比較例4)、有機溶剤の含有量が15質量%を超える場合(比較例7)、塗料の固形分濃度が30質量%未満の場合(比較例10)、有機溶剤全体に対する疎水性有機溶剤の割合が25質量%未満の場合(比較例11及び12)には、本発明の水性ベース塗料(実施例1〜7)と比較して、塗膜の耐タレ性及び外観品質が劣ることがわかった。
以上の結果から、基体樹脂として、シェルの割合及び酸価が特定の範囲にあり、コアが非架橋のコアシェル粒子を用い、硬化剤として、イミノ型単核体構造の割合が特定の範囲にある水溶性メラミン樹脂を用い、アルカリ膨潤型粘性調整剤を特定量用い、疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤を特定の割合で含有する有機溶剤を特定量用いることによって、固形分濃度が高く、耐タレ性及び外観品質に優れた塗膜を形成することが可能な水性ベース塗料が得られることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、高い固形分濃度を有し、高せん断速度下では粘度が低く、低せん断速度下では粘度が高い水性ベース塗料を得ることが可能となる。
したがって、本発明の水性ベース塗料は、耐タレ性及び塗膜の外観品質に優れていることから、自動車、船舶、航空機等の輸送機器や建築物、電気器具などの外板塗装等におけるスプレー塗装に用いられる水性ベース塗料として有用である。
Claims (3)
- コアシェル粒子中のシェルの占める割合が5〜10質量%であり、シェルの酸価が30〜50mgKOH/gであり、コアが非架橋であるアクリル系コアシェル粒子からなる基体樹脂と、
メラミン樹脂中のイミノ型単核体構造の割合が50〜55質量%である水溶性メラミン樹脂からなる硬化剤を前記基体樹脂100質量部に対して30〜60質量部と、
アルカリ膨潤型粘性調整剤を前記基体樹脂と前記硬化剤との合計量100質量部に対して0.5〜1.5質量部と、
疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤とを含有し、前記疎水性有機溶剤の含有量が有機溶剤全体に対して30〜40質量%である有機溶剤を塗料全体に対して10〜15質量%と、
を含有し、固形分濃度が30〜35質量%であることを特徴とする水性ベース塗料。 - 着色顔料及び光輝性顔料からなる群から選択される少なくとも1種の顔料を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の水性ベース塗料。
- NHCO結合を含有する粘性調整剤を更に含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性ベース塗料。
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JP2017053224A JP2018154751A (ja) | 2017-03-17 | 2017-03-17 | 水性ベース塗料 |
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---|---|---|---|---|
WO2020137796A1 (ja) | 2018-12-27 | 2020-07-02 | 日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社 | 水性塗料組成物及び塗膜形成方法 |
WO2020149169A1 (ja) | 2019-01-15 | 2020-07-23 | 日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社 | 水性塗料組成物及び塗膜形成方法 |
JP2020111669A (ja) * | 2019-01-11 | 2020-07-27 | 株式会社リコー | 記録液、および印刷物 |
KR102401004B1 (ko) * | 2021-10-08 | 2022-05-23 | 주식회사 딜라이트 | 질화붕소를 함유하는 방열성 도료 조성물 및 상기 조성물이 적용된 엘이디(led) 조명 등기구 |
-
2017
- 2017-03-17 JP JP2017053224A patent/JP2018154751A/ja active Pending
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JP7205757B2 (ja) | 2019-01-11 | 2023-01-17 | 株式会社リコー | 記録液、および印刷物 |
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