JP2018154037A - ハードコートフィルム、ハードコート塗料、及びハードコートフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また近年、用途の拡大等によりハードコートフィルムに対する機能的要求はますます高まってきており、上述の従来技術ではその要求に応えるような特性を持ったハードコートフィルムを得ることが困難である。
本発明は、以上のような解明事実に基づきなされたものであり、以下の構成を有する。
透明フィルム上の少なくとも片面に、電離放射線硬化型樹脂と添加剤とを含有するハードコート層が設けられたハードコートフィルムにおいて、前記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含み、前記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、前記添加剤が3〜20重量部の範囲で配合されることを特徴とするハードコートフィルム。
第1の発明において、前記添加剤が、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含むことを特徴とする記載のハードコートフィルム。
第1又は第2の発明において、前記電離放射線硬化型樹脂は、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線または電子線にて硬化可能な多官能アクリレートを含有することを特徴とするハードコートフィルム。
第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記透明フィルムは、シクロオレフィンフィルムであることを特徴とするハードコートフィルム。
電離放射線硬化型樹脂、溶媒、及び添加剤を少なくとも含むハードコート塗料であって、前記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含み、前記添加剤の配合量は、前記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、3〜20重量部の範囲であることを特徴とするハードコート塗料。
第5の発明において、前記添加剤が、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含むことを特徴とするハードコート塗料。
透明フィルム上の少なくとも片面にハードコート層が設けられたハードコートフィルムの製造方法であって、透明フィルム上に、第6の発明に記載のハードコート塗料を塗工し、80〜150℃の温度範囲で乾燥させた後、積算光量200〜600mJ/cm2の範囲で光照射して硬化させることを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
第7の発明において、前記透明フィルムは、シクロオレフィンフィルムであることを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
また、本発明によれば、このようなハードコートフィルムを製造するのに好適なハードコート塗料や、このハードコート塗料を用いるハードコートフィルムの製造方法についても提供することができる。
なお、本発明において、特に断りのない限り、「○○〜△△」とは「○○以上△△以下」を意味するものとする。
本発明に用いることができる上記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含むことが重要である。本発明における上記ハードコート層に、このような添加剤として特定の有機過酸化物を含有することにより、基材フィルム(透明フィルム)とハードコート層との密着性を向上させることができ、特に耐久密着性の向上に効果的である。
上記添加剤の配合量が3重量部未満であると、当該添加剤を配合したことによる密着性の向上効果が得られない。また、上記添加剤の配合量が20重量部を超えると、添加剤が電離放射線硬化型樹脂の硬化を阻害し、好ましい硬度のハードコートフィルムが得られない。
すなわち、本発明の上記ハードコート層を形成するためのハードコート塗料としては、電離放射線硬化型樹脂、溶媒、及び添加剤を少なくとも含み、上記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含み、上記添加剤の配合量は、上記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、3〜20重量部の範囲としたハードコート塗料である。
すなわち、本発明のハードコートフィルムの製造方法は、上記透明フィルム上に、上述のハードコート塗料を塗工し、80〜150℃の温度範囲で乾燥させた後、積算光量200〜600mJ/cm2の範囲で光照射して硬化させることを特徴とするものである。
なお、本発明において、表面強度(耐擦傷性など)を改善する場合には、窒素ガスなどを封入し酸素濃度を1000ppm以下とした条件下で電離放射線を照射することが好ましい。
また、本発明によれば、このような優れた特性を備えるハードコートフィルムを製造するのに好適なハードコート塗料を提供することができ、また、このハードコート塗料を用いるハードコートフィルムの製造方法についても提供することができる。
なお、特に断りのない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
<ハードコート塗料の調製>
ウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂「NKエステルA−9550(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:6、新中村化学社製)を100部、ジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L(商品名)」(化薬アクゾ社製)を7.0部、フッ素系表面調整剤「RS75(商品名)」(DIC株式会社製)を0.1部とし、溶剤組成は、酢酸エチル80部、エチルセロソルブ20部とし、全体の固形分濃度を30%にした後、攪拌混合してハードコート塗料(ハードコート層形成用塗料)を得た。
上記のようにして得られたハードコート塗料を、シクロオレフィンポリマーフィルム「ZEONOR(商品名)」(ゼオン株式会社製)の片面に、バーコーターを用いて塗布し、120℃の乾燥炉で60秒乾燥させ、乾燥後の塗工厚みが3.0μmのハードコート層を形成した。これを塗布面より60mmの高さにセットしたUV照射装置を用い、大気雰囲気下でUV積算光量290mJ/cm2にて硬化させて本実施例のハードコートフィルムを作製した。なお、後記表1中では、上記シクロオレフィンポリマーフィルムを「COP(ゼオノア)」と略記した。
実施例1の「NKエステルA−9550」をウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂「ビスコート#802(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:7、大阪有機化学社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の「NKエステルA−9550」をウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂「アートレジン UN−904(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:10、根上工業社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の「NKエステルA−9550」をウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂「NKオリゴ U−15HA(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:15、新中村化学社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」の添加量を3.0部とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のUV積算光量を190mJ/cm2とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の乾燥温度を75℃とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」の添加量を20部とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」を、パーオキシケタール類有機過酸化物「トリゴノックス22−70E(商品名)」(化薬アクゾ社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」を、アルキルパーエステル類有機過酸化物「カヤカルボンAIC-75(商品名)」(化薬アクゾ社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のUV積算光量を600mJ/cm2とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の乾燥温度を150℃とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の「NKエステルA−9550」をウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂「ライトアクリレートPE-3A」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:3、共栄社化学社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の基材フィルムであるシクロオレフィンポリマーフィルム「ZEONOR(商品名)」を、シクロオレフィンコポリマーフィルム「アートンR5000U」(JSR株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」の添加量を1.0部とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」を光重合開始剤「イルガキュア184(商品名)」(BASF社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
得られた上記各実施例および各比較例のハードコートフィルムを下記の項目、基準で評価し、その結果を纏めて表1に示した。
密着性は、JIS−K5600−5−6に準じて碁盤目剥離試験を行った。積層フィルムのハードコート形成面に、カッターナイフを用いて、碁盤目状に1mm間隔で縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100マスの正方形の升目を刻み、積水化学工業株式会社製の粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付け後、60度方向に剥離し、ハードコート層の残存個数を4段階評価した。同じ箇所で5回、圧着・剥離を行った後に判定を行った。評価基準は下記の通りであり、△以上であれば実用上問題無い。
◎:100〜99個
○:98〜95個
△:94〜50個
×:49〜0個
各実施例、比較例で作製したハードコートフィルムについて、JIS K5600−5−4に準じた試験法により鉛筆硬度を測定した。表面に傷の発生ない硬度を表記した。
実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムについて、JIS−K5600−5−10に準じた試験方法にて、ハードコート層面を、スチールウール#0000を用い、荷重1kgをかけ10往復摩擦し、傷のつき具合を次の基準で評価した。○評価品を耐擦傷性は良好としたが、△評価品も製品として使用可能である。
評価基準
○:傷の発生なし。△:傷が少し発生する。×:傷が無数に発生する。
<耐湿熱密着性>
実施例、及び比較例で作製した各ハードコートフィルムを、湿熱条件下(80℃、90%RH)でサンプル吊り具に仕掛け30日間保存した後、サンプルを取り出し、上述のJIS−K5600−5−6に準じて密着性の評価を行った。評価基準は上記の密着性の場合と同じである。
<耐光密着性>
実施例及び比較例で得られた各ハードコートフィルムを、スガ試験(株)製紫外線オートフェードメーター「U48AU」(紫外線カーボンアークランプ)を用いて、照射照度500W/m2、温度43度、湿度50%RHとし、100時間処理した。その後、各ハードコートフィルムを取り出し、上述のJIS−K5600−5−6に準じて、密着性の評価を行った。評価基準は上記の密着性の場合と同様である。
実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムについて、目視でフィルムを観察し、フィルム変形の有無を判定した。評価基準は下記の通りである。
評価基準
○:フィルム変形無し。△:フィルムが少し変形する。×:フィルムが大きく変形する。
また、本発明においては、前記添加剤の配合量は、前記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して3〜20重量部の範囲が好適であることがわかる。
また、透明フィルム上にハードコート塗料を塗工した後、乾燥温度が80〜150℃の温度範囲であること、積算光量200〜600mJ/cm2の範囲で光照射することが好ましいこともわかる。
Claims (8)
- 透明フィルム上の少なくとも片面に、電離放射線硬化型樹脂と添加剤とを含有するハードコート層が設けられたハードコートフィルムにおいて、
前記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含み、
前記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、前記添加剤が3〜20重量部の範囲で配合されることを特徴とするハードコートフィルム。 - 前記添加剤が、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
- 前記電離放射線硬化型樹脂は、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線または電子線にて硬化可能な多官能アクリレートを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
- 前記透明フィルムは、シクロオレフィンフィルムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハードコートフィルム。
- 電離放射線硬化型樹脂、溶媒、及び添加剤を少なくとも含むハードコート塗料であって、
前記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含み、
前記添加剤の配合量は、前記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、3〜20重量部の範囲であることを特徴とするハードコート塗料。 - 前記添加剤が、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含むことを特徴とする請求項5に記載のハードコート塗料。
- 透明フィルム上の少なくとも片面にハードコート層が設けられたハードコートフィルムの製造方法であって、
透明フィルム上に、請求項6に記載のハードコート塗料を塗工し、80〜150℃の温度範囲で乾燥させた後、積算光量200〜600mJ/cm2の範囲で光照射して硬化させることを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。 - 前記透明フィルムは、シクロオレフィンフィルムであることを特徴とする請求項7に記載のハードコートフィルムの製造方法。
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