JP2010280774A - 活性エネルギー線硬化性組成物及び積層フィルム - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物及び積層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】表面硬度が高く、且つ硬化物の着色が少ないハードコート層を形成でき、プラスチックフィルムのハードコート層として有用エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【解決手段】1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(A)、及び2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(B)を含んでなるプラスチックフィルム用活性エネルギー線硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチック基材の耐久性を改良するのに有用な活性エネルギー線硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、表面硬度が高く、且つ硬化物の着色が少ないハードコート層を形成できる活性エネルギー線硬化性組成物、この硬化性組成物を硬化させて得たハードコート層を有する積層フィルムに関する。
近年、自動車や家電製品等に、プラスチックフィルムは多く用いられている。特に、液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネルに代表される表示装置には、偏光フィルムや光学フィルター等のような機能性光学フィルムが用いられている。また、近年では、成形物にスプレー塗装することで加飾する従来の塗装に代わり、予め印刷されたプラスチックフィルムを成形時にラミネートする、或いは印刷層のみ転写する、インモールド加飾成形方法が多くも用いられてきており、プラスチックフィルムの使用用途は拡大し続けている。これらに用いるプラスチックフィルムには、その用途に応じて、トリアセテートやポリエチレンテレフタレート等が用いられるが、いずれも表面硬度が低く、そのままでは耐久性が不十分である。そこで、プラスチックフィルム表面に、活性エネルギー線硬化性塗料を用いたハードコート層を設けることで、耐久性を向上させる手法が一般的である。例えば、特許文献1を挙げることができる。
しかしながら、近年の表示装置薄型化に伴い、これら機能性光学フィルムも薄膜化が要求されてきており、従来から薄いハードコート層で高い耐久性を求められる傾向にあるが、従来の活性エネルギー線硬化塗料では、十分な硬度を得難かった。また、光重合開始剤を過度に添加することで薄膜でも十分な表面硬度を得る事はできるが、得られる塗膜は着色する傾向にあり、光学用途や加飾用途に用いるには不十分であった。
特開平9−48934号公報
すなわち、本発明の課題は、表面硬度が高く、且つ硬化物の着色が少ないハードコート層を形成できる活性エネルギー線硬化性組成物および該硬化性組成物から形成されたハードコート層を有する積層フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の光重合開始剤を使用した組成物を使用し、プラスチックフィルム上に塗布乾燥し、その後に紫外線照射により硬化させたならば、表面硬度が高く、着色の少ない被膜が形成できることを見出し、ついに本発明に至った。
すなわち、本発明は、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(A)、及び2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(B)を含んでなるプラスチックフィルム用活性エネルギー線硬化性組成物である。
また、本発明は、フィルム上に、該活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなるハードコート層を有する積層フィルムである。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、薄膜における表面硬化性に優れ、表面硬度に優れた硬化物を得られるので、プラスチックフィルムのハードコート層として有用である。そして、得られる硬化物は、着色が少なく透明性にも優れているので、特に光学用途として用いれば、優れた性能を有する光学部材とすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(以下、適宜「本組成物」という)は、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、適宜「A成分」という)と、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(以下、適宜「B成分」という)を含有する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」も同様に、アクリロイルまたはメタクリロイルを意味する。
<1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(A成分)>
本組成物に用いるA成分は、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。活性エネルギー線によって硬化し、硬化物層を形成する主成分である。
A成分のエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基が挙げられ、その中でも硬化性の点より、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。
A成分としては、例えば、ジ(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレート、ウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。以下、それらについて具体的に列記する。
ジ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(繰り返し単位n=2〜15)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(繰り返し単位n=2〜15)ジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(繰り返し単位n=2〜15)ジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−2−エトキシプロピルイソシアヌレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他、具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等から選ばれるビスフェノール類及びまたはその水素添加物と、エピクロルヒドリンの縮合反応で得られるビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させたビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート等のエポキシポリ(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(繰り返し単位n=2〜15)、ポリブチレングリコール(繰り返し単位n=2〜15)等から選ばれるアルカンジオール類とエピクロルヒドリンの縮合反応で得られるアルカンジオール系ポリエポキシ樹脂等のポリエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させたエポキシポリ(メタ)アクリレート類;有機イソシアネート化合物の1種単独又は2種以上の混合物に、分子中に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基、及び1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの1種単独又は2種以上の混合物を反応させたウレタン(メタ)アクリレート類;アルカンジオール、ポリエーテルジオール、ポリブタジエンジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、アミドジオール、スピログリコール化合物等の1種又は2種以上の混合物からなるアルコール類の水酸基に有機イソシアネート化合物を付加し、得られたウレタンプレポリマーのイソシアネート基に、分子中に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基、及び1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレート類;フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等から選ばれる多塩基酸と、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等から選ばれる多価アルコール、及び(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応で得られるポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前述の有機イソシアネートの具体例としては、従来からウレタン(メタ)アクリレートの製造に使用されているものが使用できる。例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類;エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート類;これらのビューレット体、アロハネート体等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、得られる硬化物の表面硬度の観点から2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネートが好ましい。
前述の分子中に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基、及び1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、シクロペンタンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、シクロペンタンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジオールモノ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、デカリンジオールモノ(メタ)アクリレート、デカリンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、デカリンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類;及びこれらのアルキレンオキサイド付加物類;ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のモノエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のモノ(メタ)アクリル酸との付加反応物;ポリカプロラクトンジオール(n=1〜5)のモノ(メタ)アクリル酸エステル等、ジエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸誘導体とから合成されるエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが得られる化合物の粘度と、得られる硬化物の表面硬度の点より好ましい。
これらは単独あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
A成分としては、これらの中でも、得られる硬化物の表面硬度の点より、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,4−トリレンジイソシアネートおよびまたは2,6−トリレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートよりなるウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
<2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(B成分)>
本組成物に用いるB成分は、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンである。B成分は、紫外線等の活性エネルギー線によって効率よく硬化物を形成させる目的で用いられる。B成分を用いることで、薄膜でも良好な硬化性を得ることができ、得られる硬化膜は、表面硬度に優れ、着色が少ない。
本組成物において、B成分の含有量は特に限定されないが、A成分100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.1〜8質量部がより好ましい。B成分の含有量が前記範囲内である場合には、硬化性が良好であり、得られる硬化物は着色が少なく優れた表面硬度を示す傾向にある。
本組成物には、必要に応じてB成分以外の活性エネルギー線開始剤を含むことができる。例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
これらは単独あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
本組成物には、非反応性熱可塑性高分子、有機ベントン、ポリアミド、マイクロゲル、繊維素系樹脂等のようなレオロジー調節剤やシリコーンに代表される表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、垂れ止め剤等の添加剤を適宜配合することができる。
本組成物には、微粒子を適宜添加することができる。微粒子としては、アクリルビーズやウレタンビーズ等の有機フィラー、シリカやチタン等の無機フィラー、及びシランカップリング剤等で表面有機化処理した無機フィラー等が挙げることができる。微粒子を添加することで、重合時の硬化収縮を低減することが可能であるほか、屈折率調整、電気伝導度等を付与することが可能である。これら微粒子は、予め分散されたものを配合しても良いし、配合物に三本ロールやダイノーミル等を用いて分散しても良い。また、分散性を向上するために、カルボン酸系、ポリカルボン酸系、ポリアクリル酸系等の分散剤を用いることができる。
本組成物には、溶剤を適宜配合することができる。溶剤を含むことによって、均一な溶解性、分散安定性、粘度調整、基材に対する塗工作業性、得られる硬化物の膜厚均一性、平滑性、基材に対する密着性の諸物性が改善されたものとなる。
溶剤としては、特に限定はされないが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;スワゾール1000(商品名、丸善石油化学社製)、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル等のエステル系溶剤などがあげられる。
本組成物における溶剤の配合量は、所望する物性により異なるため、限定されるものではない。例えば、本組成物をポリエチレンテレフタレートフィルムに用いる場合には、通常固形分100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、塗装工程の条件に好適であることから、40〜300質量部とすることがより好ましい。
本組成物を製造するには、公知の方法を用いて上記各成分を均一に混合すれば良い。
本組成物は、公知の塗装方法によってフィルムに塗装される。例えばバーコーター塗装、メイヤーバー塗装、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、マイクログラビアコート塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ハケ塗り法、スプレー塗装、シャワーフロー塗装、ディップ塗装、カーテンコート法等である。
本組成物を硬化させる手段としては、活性エネルギー線の照射による。ここでいう活性エネルギー線は、α、β、γ線及び紫外線等のことであり、これらは特に限定されないが、汎用性の観点から紫外線が好ましい。
紫外線の発生源としては、実用性、経済性の面から、一般的に用いられている紫外線ランプが挙げられる。紫外線ランプとしては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、マグネトロンを利用した無電極UVランプ、LED等が挙げられ、いずれでも使用可能である。
本組成物は、活性エネルギー線を照射する際の雰囲気が、空気であっても、窒素、アルゴン等の不活性ガスであっても構わない。その中でも、実用性、経済性の点から、空気雰囲気下で活性エネルギー線照射を行なうことが好ましい。
次に、本発明の被覆物品(以下、適宜「本硬化物」という)について以下に説明する。
本硬化物は、本組成物の硬化被膜を有する物品である。
本硬化物の構造は、基材上に本組成物の硬化物層を有していればよく、基材上に直接硬化物層が形成されていてもよいし、密着性の向上を目的に化学処理やプライマー処理等を行った上に硬化物層が形成されていてもよい。
また、本硬化物は、本組成物の硬化物層上に、さらに、反射防止層、紫外線・赤外線吸収層、選択波長吸収性層、電磁波シールド層、防汚性層等の機能を有する層を設けられていてもよい。
本硬化物に用いられる基材としては、公知のプラスチックフィルムが挙げられる。例えばセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂等のフィルムであって、本組成物の硬化物層からなるハードコート層を有する積層フィルムとすることが好ましい。なお、フィルムは、シート状のものであってもよい。
本硬化物における本組成物の硬化物層の厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜調整すればよい。好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜10μmとなるような厚みである。硬化物層の厚みがこの範囲内にあれば、着色が少なく、充分な表面硬度を有する。
この実施例において、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
<A成分の合成>
(合成例1)
5リットルの4つ口フラスコに、トリレンジイソシアネート(三井化学ポリウレタン(株)製、商品名:コロネートT−100)を174部、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル0.62部、酢酸エチル1247部を入れ、内温60℃になるように加温した。合成触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫0.13部を添加し、攪拌しながら、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亜合成(株)製、商品名:アロニックスM−306)1072部を4時間かけて滴下した。滴下後5時間反応を続行し、多官能ウレタンアクリレートMU−1を得た。
[実施例1]
A成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、商品名;カヤラッドDPHA)100部、B成分として2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(チバスペシャリティケミカルス社製、商品名;イルガキュア127、ロットNo.00245HQ8)5部、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン系表面調整剤(ビック・ケミー社製、商品名:BYK−300)0.3部、希釈溶剤としてメチルイソブチルケトンを233.3部配合し、有効成分30%の硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物を、易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、商品名:ソフトシャインA4100、厚み188mm)の易接着処理面にバーコーター#10を用いて塗装した。引き続き、高圧水銀灯を用い、積算光量300mJ/cm(波長320〜380nmの紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射して硬化性組成物を硬化させることによって、厚み3μmの平滑な硬化性組成物の硬化物層を有する積層フィルムAを得た。
バーコーター#20を用いて塗装した以外は前述サンプル作成方法と同様にして、厚み5μmの平滑な硬化性組成物の硬化物層を有する積層フィルムBを得た。
得られた積層フィルムを用いて、鉛筆硬度、着色性の評価を行い、その結果を表1に示した。
[鉛筆硬度]:得られた積層フィルムAについて、JIS K 5600に準拠し、三菱鉛筆ユニを用いて45度の角度で引っ掻き、傷のつかない最大硬度を鉛筆硬度で判定した。
○:3H以上
×:3H未満
[着色性]:得られた被覆フィルムBについて、瞬間マルチ側光システム(大塚電子社製、商品名:MCPD−3000)を用いてYIを測定し、判定した。
○:YIが1.5未満
×:YIが1.5以上
[実施例2〜3、比較例1〜3]
表1の組成物欄に示す配合及び組成とすること以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、積層フィルムを得て、評価した。
表1中の符号および記号の説明を下記を示す。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製、商品名;カヤラッドDPHA)
TAEI:トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成社製、商品名;アロニックスM−315)
MU−1:合成例1の多官能ウレタンアクリレート
ACMO:アクリロイルモルホリン(興人製、商品名:ACMO)
PI−1:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(チバスペシャリティケミカルス社製、商品名;イルガキュア127)
PI−2:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルス社製、商品名;イルガキュア184)
PI−3:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティケミカルス社製、商品名;イルガキュア907)
2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティケミカルス社製、商品名;イルガキュア907)
SRC:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン系表面調整剤(ビック・ケミー社製、商品名:BYK−300)
MIBK:メチルイソブチルケトン

Claims (2)

  1. 1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(A)、及び2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(B)を含んでなるプラスチックフィルム用活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. フィルム上に、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなるハードコート層を有する積層フィルム。
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