JP2018150389A - 樹脂成型体および積層フィルム - Google Patents

樹脂成型体および積層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2018150389A
JP2018150389A JP2017045185A JP2017045185A JP2018150389A JP 2018150389 A JP2018150389 A JP 2018150389A JP 2017045185 A JP2017045185 A JP 2017045185A JP 2017045185 A JP2017045185 A JP 2017045185A JP 2018150389 A JP2018150389 A JP 2018150389A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filler
filler component
laminated film
resin
molded body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017045185A
Other languages
English (en)
Inventor
忠彦 岩谷
Tadahiko Iwaya
忠彦 岩谷
康之 石田
Yasuyuki Ishida
康之 石田
純也 末廣
Junya Suehiro
純也 末廣
道彦 中野
Michihiko Nakano
道彦 中野
佳彦 尾花
Yoshihiko Obana
佳彦 尾花
一貴 名生
Itsuki Myojo
一貴 名生
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyushu University NUC
Toray Industries Inc
Original Assignee
Kyushu University NUC
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyushu University NUC, Toray Industries Inc filed Critical Kyushu University NUC
Priority to JP2017045185A priority Critical patent/JP2018150389A/ja
Publication of JP2018150389A publication Critical patent/JP2018150389A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】熱拡散性に優れた樹脂成型体および前記樹脂成型体と支持基材を含む積層フィルムを提供する。【解決手段】フィラー成分Aとバインダー成分Bとを含む樹脂成型体であって、前記フィラー成分Aが結晶性フィラーであり、かつ以下の(数式1)で表される配向パラメータLが1.0以上であり、厚み方向の熱拡散度が2.0mm2/s以上であり、フィラー成分Aが占める領域の真円度が0.3以上0.9以下である樹脂成型体、および該樹脂成型体と支持基材とを含む積層フィルム。【数1】【選択図】なし

Description

本発明は熱拡散性に優れた樹脂成型体および前記樹脂成型体と支持基材とを含む積層フィルムに関する。
近年の電子部品の高集積化・高性能化に伴い、生活家電や自動車、住宅など多くのデバイスにマイクロコンピューターが搭載され、その制御によってさまざまな機能・サービスを提供しており、素子の発する熱の発散が性能や寿命の点において非常に重要となっている。特にパーソナルコンピューターやテレビ、液晶ディスプレイなどの画像表示装置においては小型化・薄型化が進むにつれて、効率の良い放熱パスの形成が盛んに求められている。一方で、携帯電話やスマートフォンなどの小型の情報端末では防水・防塵といった密閉性を必要とする機能の追加に伴い、熱を排出する熱伝導性部材の需要が一層高まっている。
このような需要に対して、熱伝導性に優れる金属やカーボンナノチューブなどの材料は、導電性を有するために回路の短絡を誘発する場合があるため、使用できる部分が限定される場合がある。そこで最近では特に、金属窒化物などのセラミック材料の利用に注目が集まっている。
また、前述のような熱伝導性部材に必要な特性として、優れた熱伝導度の他、電気絶縁性や素子同士を、空気を介さず接触させる密着性などが挙げられ、多くの場合、熱伝導性を担うフィラー成分と、絶縁性や粘着性を担う樹脂材料の配合によって設計されるのが一般的である。しかしながら、単に両者を混合しただけでは、十分な熱伝導性を得ることが困難であり、フィラー成分を効果的に拡散、偏在させる技術が必要となる。
例えば、特許文献1には「光、熱、電気等に対する物性が異方性を有する硬化膜」として「形状異方性を有する分散微粒子を含有する塗布液を基体に塗布して塗膜を形成し、電界を用いて前記分散微粒子の長軸方向を前記塗膜の膜厚方向に配向させた後又は配向中に、該塗膜を硬化させて前記分散微粒子の配向した硬化膜」が提案されている。
また、特許文献2には「電場により有機樹脂マトリックス内にフィラーを所定方向に配向させたシート状複合材料」として「有機樹脂マトリックス内に、フィラーが樹枝状に凝集し厚み方向に配向している、シート状複合材料」が、特許文献3には「放熱特性に優れる、ポリマーマトリクス中に熱伝導性フィラーが分散した熱伝導性シート」として「ポリマーマトリクス中に非球状の熱伝導性フィラーが分散した、熱伝導性シートであって、前記熱伝導性フィラーの少なくとも一部が、前記シートの厚さ方向へ配向しており、前記熱伝導性フィラーの前記シートの厚さ方向への配向度が最も大きい部分を配向中心とし、当該配向中心を通りシート面に垂直な軸を配向中心軸とした際に、当該配向中心軸上の1点に向かって前記熱伝導性フィラーが配向して、前記配向中心から前記シートの周縁部に向かうにつれて、前記熱伝導性フィラーの前記シートの厚さ方向への配向度が減少している部分を有する熱伝導性シート」がそれぞれ提案されている。
更に、面内方向への熱伝導性を向上した例として、特許文献4には「補強層と、この補強層の一方の面に形成され、かつ熱伝導性無機フィラー及びバインダーを含む第1の熱伝導層と、前記補強層の他方の面に形成され、かつ熱伝導性無機フィラー及び架橋ゴムを含む第2の熱伝導層とを有する異方熱伝導性フィルム」が提案されている。
一方、製造方法としては導電性フィラーの配向技術として引用文献5には「導電性フィラーを導電性液体に分散した導電性フィラー分散液を基板に塗布して導電性フィラー塗布層を形成し、前記導電性フィラー塗布層を乾燥するまでに塗布基板に電場を印加して、導電性フィラーが基板面に対して水平方向に配向した導電性フィラー配向体を製造する方法」が、引用文献6には「ナノチューブまたはナノ粒子を含有するフィルム前駆体を、支持体を介して、断面が円形の電極線から成る櫛歯電極上に載置させる載置工程と、前記フィルム前駆体が櫛歯電極上に載置されている状態で、該櫛歯電極に交流電圧を印加する加電圧工程と、前記フィルム前駆体をフィルム化させるフィルム形成工程とを含むことを特徴とする、フィルムの面方向に沿って配向されたナノチューブまたはナノ粒子を含有するフィルムの製造方法」がそれぞれ提案されている。
特開2005−218889号公報 特開2007−332224号公報 特開2013−087204号公報 特開2013−103375号公報 特開2015−178067号公報 国際公開第2012/033167号
しかしながら、従来提案されている手法では、熱伝導性は十分とは言えず、更なる機能向上が求められている状況である。例えば引用文献1に記載の直流電界を用いる方法では、フィラー材料が強誘電体でない場合には十分な効果が得られず、シート厚みの増加に伴い必要な電荷が増大するという生産性にも課題がある。
一方、引用文献2および3に記載の熱伝導性シートについて、本発明者らが検証したところ、本発明のようなフィラーの配向方向を揃える効果は確認されず、熱伝導性が不十分であることを確認した。
更に、引用文献4に記載の熱伝導性フィルムのように特定の方位に選択的に熱伝導性を向上させる技術について、本発明者らが検証したところ、一般的な塗布膜の形成手法においては、面内方向の配向配列が促進されやすく、特に厚み方向の熱伝導性が不十分となることを確認した。
一方、引用文献5や引用文献6に記載のフィラー配向技術については、導電性フィラーの配向を前提としたものであり、そのまま電気絶縁性のフィラー配向に流用できるものではない。
そこで本発明の目的は、熱拡散性に優れた樹脂成型体および前記樹脂成型体と支持基材を含む積層フィルムを提供することである。
上記課題の解決にあたり、まず本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは以下の発明を完成させた。すなわち本発明は以下の通りである。
(1)フィラー成分Aとバインダー成分Bとを含む樹脂成型体であって、前記フィラー成分Aが結晶性フィラーであり、かつ以下の(数式1)で表される配向パラメータLが1.0以上であり、厚み方向の熱拡散度が2.0mm2/s以上であり、フィラー成分Aが占める領域の真円度が0.3以上0.9以下であることを特徴とする樹脂成型体。
Figure 2018150389
(2)支持基材の片面にフィラー成分Aとバインダー成分Bとを含む樹脂成型体を有する積層フィルムであって、以下の条件(P)および(Q)を満たすことを特徴とする積層フィルム。
(P)前記フィラー成分Aが結晶性フィラーであり、前記樹脂成型体において以下の(数式1)で表される配向パラメータLが1.0以上である。
Figure 2018150389
(Q)前記樹脂成型体中の前記フィラー成分Aが占める領域の真円度が0.3以上0.9以下である。
(3)以下の条件(R)を満たすことを特徴とする(2)に記載の積層フィルム。
(R)前記樹脂成型体の厚み方向の熱拡散度が2.0mm2/s以上である。
(4)さらに以下の条件(S)を満たすことを特徴とする(2)または(3)に記載の積層フィルム。
(S)前記樹脂成型体中の前記フィラー成分Aの粒子充填率が10%以上50%以下である。
(5)前記フィラー成分Aが窒化アルミニウムであることを特徴とする(2)から(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
本発明によれば、熱伝導性に優れた樹脂成型体および積層フィルムを提供できる。また本発明の積層フィルムは、特に「熱伝導性」と「絶縁性」、「粘着性」を両立することができる。
樹脂成型体および支持基材の断面模式図である。 支持基材から樹脂成型体を剥離する場合の断面模式図である。 2層から成る樹脂成型体および支持基材の断面模式図である。 櫛歯電極の模式図である。
初めに前記樹脂成型体および積層フィルムの熱伝導性の関連する物理量について述べる。熱伝導性、すなわち熱の伝わりやすさの指標として一般に用いられる物理量は、熱伝導率であり、その単位はW/(m・K)にて表される。その測定方法は大きく定常法と非定常法に大別され、それぞれ下記の理論式((数式2)定常法による熱伝導率、(数式3)非定常法による熱伝導率)により算出される。
(λ:熱伝導率、J:熱流束、T:温度、α:熱拡散度、ρ:密度、Cp:比熱容量)
Figure 2018150389
(数式2)定常法による熱伝導率
Figure 2018150389
(数式3)非定常法による熱伝導率
熱拡散度の高い材料においては温度勾配grad Tが小さくなりやすいことから、定常法による測定が難しく、(数式3)を用いた非定常法により特性を見積もるのが一般的である。非定常法にはレーザーフラッシュ法やカロリーメータ法、プローブ法などの手法が属するが、いずれも加熱に対する温度の時間変化、および厚みなどの距離情報から熱拡散度α(m/s)を算出する手法である。一般的な測定法として用いられるフラッシュ法による各パラメータの測定手法はJIS R 1611(2010)にその詳細が記載されている。
測定手法の例として、本発明に記載の熱拡散度αは以下の装置および測定条件にて測定したものを採用している。なお具体的な測定手順については実施例の項に詳細を記載する。
測定装置 : NETZSCH社製 キセノンフラッシュアナライザー LFA447
ソフトウェア: Nanoflash ver 1.28
本発明の樹脂成型体には好ましい熱拡散度の範囲が存在する。具体的には前述の方法にて測定された厚み方向の熱拡散度が2.0mm2/s以上である。この範囲を満たすことにより、優れた熱伝導性を有することを見出した。なお熱拡散度の上限については特に限定されないが、現実的には使用するフィラー材料の特性とその配合比によって限定され、結晶性フィラーを用いた場合には概ね150〜200mm2/sである。
以下、樹脂成型体および積層フィルムの好ましい形態について説明する。
[結晶性フィラーおよび配向パラメータL]
本発明の樹脂成型体はフィラー成分Aを含有し、前記フィラー成分Aが結晶性フィラーである。ここで「結晶性フィラー」とは、該フィラー成分Aを5質量%以上含有する樹脂成型体に対してX線回折法に代表される結晶構造解析を行った際に、結晶面に対応するピークが観察されることを意味する。X線回折法(XRD法)の測定に使用する代表的な構成例を以下に示すが、同等の物理量が得られる手法を用いれば、必ずしも測定方法に限定されるものではない。なお結晶面の種類は、結晶の繰り返し単位である単位格子を基準に結晶内の方向や面を示す「ミラー指数」で示されるのが一般的である。
測定装置 : BRUKER社製 X線回折装置 D8 DISCOVER
ソフトウェア : DIFFRAC.SUITE
測定雰囲気 : 25℃、大気中
入射角 : 0.5°
入射スリット : 0.2 mm
測定モード : 2θ
次に本発明の樹脂成型体は、以下の数式1で示される配向パラメータLについて好ましい範囲を有する。
Figure 2018150389
ここで実測回折強度とは前述のXRD法の測定から求められ、各結晶格子の面方位に帰属されるピークの強度を意味する。すなわち数式1の(理論最大強度方位の実測回折強度)/(理論2番目強度方位の実測回折強度)とは、フィラー成分が有する最大および2番目のピークの強度比の実測値を表している。なお具体的なX線回折チャートの取得方法については実施例の項に後述する。
一方で、理論回折強度とはJSPDSカードチャートから読み取られるピーク強度を意味する。「JCPDSカードチャート」は成分が未分明の試料を分析してそれを同定するに当たって広く用いられている。「JCPDS」とは、“Joint Comittee on Powder Diffraction Standards"の略称で、Inter-national Centre for Diffraction Dataと称される機関の頒布しているX線回折パターンのチャートであって、現在、多数の標準物質のチャートが検索用として保存されている。成分の未分明の試料のX線回折チャートは右の標準物質のチャートと対比され、どの標準物質のチャートと一致するかないしは近似するかが判別され、それによって試料が同定される。「JCPDSカードチャート」を用いて行う同定法は、日本工業規格中の「X線回折分析通則」、「X線回折分析通則解説」や東京工業大学編のセラミックス基礎構造3「X線回折分析」にも示されているとおり、世界的に広く用いられている方法である。例えば未知のフィラー成分に対して前述の構成にてXRD法による解析を行う場合には、得られた回折チャートに対して、ソフトウェア備え付けの機能にてピーク帰属を行うことで、最も近い材料を同定することができる。
このようにして得られた、ピーク強度の理論値のうち、強度が2番目のピーク強度と最大のピーク強度の比率を(理論2番目強度方位の理論回折強度)/(理論最大強度方位の理論回折強度)と表している。
また最短径Rminと最長径Rmaxとはフィラー成分Aの直径のうち最も短い径と最も長い径をそれぞれ意味する。XRD法で測定されるピーク強度は、各フィラー成分の結晶面の大きさに依存することから、特定の結晶面のみが選択的に成長した板状フィラーなどでは、板の端部に相当する結晶面と、板の天面に相当する結晶面ではそのピーク強度が偏って検出されることとなる。そこで配向パラメータLには、フィラーの形状によるピーク強度比を補正する目的で、アスペクト比に相当する(最短径Rmin)/(最長径Rmax)にて数値を補正している。なお最短径Rminと最長径Rmaxの測定方法については後述する。
以上より求められる配向パラメータLは、前述の樹脂成型体中のフィラー成分Aの配向性、すなわち複数のフィラー成分A同士の相対的な向きを規定するパラメータとなる。具体的には1に近い程、向きがランダムであることを意味し、1より大きくなるほど、フィラー成分Aの向きが揃うことを意味している。本発明の樹脂成型体の配向パラメータLは1.0以上であることが好ましく、1.5以上であることが特に好ましい。配向パラメータLが1.0を下回る場合には、フィラー成分Aがランダムに配向するため、十分な熱伝導性が得られない場合がある。なお、配向パラメータLが1を大きく下回る場合ことは、フィラー成分Aが塗布方向に直交する向きで配列していることを意味し、現実的な構造としては起こりえない構造である。なお、パラメータLの上限については、特に限定されないが、算出式の性質上(理論2番目強度方位の実測回折強度)の数値に反比例する形で大きくなるため、概ね50以下であり、数値が概ね50を超える場合には、測定の信号/ノイズ比の影響から計測が困難になる場合がある。
[フィラー成分Aが占める領域の真円度]
本発明の樹脂成型体の断面構造において、前述のフィラー成分Aから成る領域には好ましい形状が存在する。本発明の樹脂成型体を得るためには後述の製造方法のように、電場の印加によりフィラー成分Aを配向させることが好ましい。この時、複数のフィラー成分Aが集合し、連鎖状の凝集構造をとる場合がある。このような凝集構造からなる領域の形状を表すパラメータとして、以下の式で表される真円度を使用する。フィラー成分Aが完全にランダムな分散に分散された場合、真円度はほぼ1となる。
(式)(真円度)=4π(面積)/(周の長さ)。
本発明の樹脂成型体の断面構造において、前述のフィラー成分Aから成る領域には好ましい真円度の範囲が存在する。具体的には樹脂成型体中においてフィラー成分Aが占める領域の真円度が0.3以上0.9以下であることが好ましく、0.4以上0.8以下であることが特に好ましい。真円度が0.3を下回る場合には、フィラー成分Aがバインダー中で分岐した複雑な凝集構造を取るため、結果バインダーの特性である粘着性が十分に得られない場合がある。また真円度が0.9を超える場合には、フィラー成分Aの配向が十分に起こらず、熱伝導性が不足する場合がある。なお後述のフィラー成分Aの粒子充填率が50%を上回る場合には、フィラー成分Aが占める領域が大きくなり観察視野内で完結せず、周の長さを定義することができない場合がある。このような場合、フィラー成分Aが樹脂成型体内の広い範囲で重なって存在しており、そのみかけの周の長さが非常に大きくなっていることを意味する。従って真円度の数値としては0.3を大きく下回っている状態に相当するため、同様にバインダーの特性である粘着性が十分に得られない場合がある。このような状態の真円度については「0.3未満」と記載する。具体的な真円度の解析方法については後述する。
[フィラー成分Aの粒子充填率]
さらに本発明の樹脂成型体の断面構造において、前述のフィラー成分Aから成る領域には好ましい充填率が存在する。ここでは樹脂成型体の断面全体の面積に占める前述のフィラー成分Aから成る領域の面積の割合を断面に投影された粒子充填率(フィラー成分Aの占有面積率から算出したみかけの粒子充填率)として代用する。フィラー成分Aの粒子充填率には好ましい範囲が存在し、10%以上50%以下が好ましく10%以上30%以下が特に好ましい。粒子充填率が10%を下回る場合には十分な熱伝導性を得ることが困難となる場合があり、50%を上回る場合には、樹脂成型体が脆く破断しやすくなる、粘着性が低下するなどの不具合が生じやすくなる場合がある。
[樹脂成型体および積層フィルム]
本発明における樹脂成型体および積層フィルムについて図1から図3を用いて説明する。「樹脂成型体」とは、支持基材2上に層状に形成された硬化膜、もしくは図2のように形成後に支持基材2から剥がすことで、支持基材2から独立した層状の樹脂硬化物を指す。一方、前記樹脂成型体および支持基材を含む一連の層を全て統合したもの3を「積層フィルム」と呼ぶ。「樹脂成型体」は、図3に示すとおり、異なる複数の層から構成されてもよく、例えば後述の好ましい製造方法を繰り返すことにより、支持基材の上に複数の塗布層が形成された場合、支持基材2を除くすべての層を「樹脂成型体」と総称する。支持基材の具体例については後述する。
ここで「層」もしくは「層状」とは、樹脂成型体もしくは積層フィルムの表面側から厚み方向に向かって、厚み方向に隣接する部位と境界面を有することにより区別でき、かつ有限の厚みを有する部位を指す。より具体的には、前記樹脂成型体もしくは積層フィルムの断面を電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、不連続な境界面の有無により区別されるものを指す。本発明の積層フィルムは、前述の物性を示す境界面を有していれば平面状態、または成型された後の曲面形状のいずれであってもよい。
前記積層フィルム全体の厚みは特に限定はないが、20μm以上600μm以下が好ましく、100μm以上300μm以下がより好ましい。一方、樹脂成型体の厚みは1μm以上、500μm以下が好ましい、樹脂成型体の厚みが1μmを下回る場合には熱伝導性シートの強度が不足し、破れやすくなる場合があり、500μmを上回る場合には、前述のフィラーの配向が十分に促進されず十分な熱拡散度が得られない場合がある。
なお前記積層フィルムは本発明の課題としている熱伝導性の他に、成型性、帯電防止性、防汚性、電磁波遮蔽性、接着等の他の機能を有する層を有してもよく、これらの機能が前記樹脂成型体に付与されていてもよい。
[支持基材]
本発明の積層フィルムに用いられる支持基材を構成する材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。より好ましくは、支持基材を構成する樹脂は、成型性の点から熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6およびナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂は、十分な延伸性と追従性を備える樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、強度・耐熱性・平滑性の観点から、ポリエステル樹脂、もしくはポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、芳香族ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂であることがより好ましく、強度・平滑性およびコストの観点からはポリエステル樹脂が特に好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、酸成分およびそのエステルとジオール成分の重縮合によって得られる。具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを挙げることができる。またこれらに酸成分やジオール成分として他のジカルボン酸およびそのエステルやジオール成分を共重合したものであってもよい。これらの中でも透明性、寸法安定性、耐熱性などの点でポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
また、支持基材には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。支持基材は、単層構成、積層構成のいずれであってもよい。
支持基材の表面には、前記樹脂成型体を形成する前に各種の表面処理を施すことも可能である。表面処理の例としては、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が挙げられる。
また、支持基材の表面には、本発明の樹脂成型体とは別に離形層、易接着層、帯電防止層、アンダーコート層、紫外線吸収層などの機能性層をあらかじめ設けることも可能であり、特に粘着シートとして使用する場合には離形層を設けることが好ましい。
[塗料組成物]
本発明の樹脂成型体および積層フィルムは、前述の支持基材上に後述する積層フィルムの製造方法を用いて、塗料組成物を塗布、乾燥、硬化することで、前述の物性を達成可能な構造を持つ樹脂成型体を形成することができる。ここで「塗料組成物」とは、後述のバインダー材料を含む液体であり、前述の支持基材上に塗布し、電場の印加によりフィラー成分の配向を促進した後、必要に応じて溶媒を乾燥工程で揮発・除去した後、硬化することにより樹脂成型体を形成可能な材料を指す。ここで、塗料組成物の「種類」とは、塗料組成物を構成する溶質の種類が一部でも異なる液体を指す。この溶質は、樹脂もしくは塗布プロセス内でそれらを形成可能な材料(以降これを前駆体と呼ぶ)、フィラー、および重合開始剤、硬化剤、触媒、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤からなる。
本発明の樹脂成型体および積層フィルムは、前述の熱伝導性を発現可能な塗料組成物を支持基材上に塗布し、前述の配向パラメータLを満たすよう電場の印加によりフィラー成分の配向を促進することにより形成することが好ましい。
[フィラー成分A]
本発明の樹脂成型体はフィラー成分Aを含むことを特徴とする。ここで、フィラー成分Aは無機粒子、無機繊維、有機粒子、有機繊維のいずれでもよいが、耐久性の観点から無機粒子または無機繊維が好ましい。
フィラー成分Aの種類数としては、1種類以上20種類以下が好ましい。フィラー成分Aとして無機粒子を用いる場合、無機粒子の種類数は1種類以上10種類以下がさらに好ましく、1種類以上4種類以下が特に好ましい。ここで、「無機粒子」とは表面処理を施したものも含む。この表面処理とは、粒子表面に化合物を化学結合(共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、疎水結合等を含む)や吸着(物理吸着、化学吸着を含む)によって導入することを指す(以下、「無機粒子」を「無機フィラー」と表すこともある)。
ここで無機フィラーの種類とは、無機フィラーを構成する元素の種類によって決まり、何らかの表面処理を行う場合には、表面処理される前の粒子を構成する元素の種類によって決まる。例えば、酸化チタン(TiO)と酸化チタンの酸素の一部をアニオンである窒素で置換した窒素ドープ酸化チタン(TiO2−x)とでは、無機フィラーを構成する元素が異なるために、異なる種類の無機フィラーである。また、同一の元素、例えばZnおよびOのみからなる無機フィラー(ZnO)であれば、その数平均粒子径が異なる無機フィラーが複数存在しても、またZnとOとの組成比が異なっていても、これらは同一種類の無機フィラーである。また、例えば酸化数の異なるZnが複数存在しても、無機フィラーを構成する元素が同一である限りは(この例ではZn以外の元素が全て同一である限りは)、これらは同一種類の無機フィラーである。
また、ここでフィラー成分Aの数平均粒子径は、JIS Z8819−2(2001年)に記載の個数基準算術平均長さ径を意味する。粒子成分、粒子材料のいずれにおいても走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡等を用いて一次粒子を観察し、各一次粒子の外接円の直径を粒子径とし、その個数基準平均値から求めた値を指す。積層フィルムの場合には、表面、または断面を観察することにより数平均粒子径を求めることが可能であり、また、塗料組成物の場合には、溶媒で希釈した塗料組成物を滴下、乾燥することによりサンプルを調製して観察することが可能である。
一方、本発明の樹脂成型体を形成するのに適した塗料組成物中に含まれるフィラー材料は、塗工、乾燥、硬化処理もしくは蒸着等の処理において、熱や電離放射線などによりその表面状態を変化させた形で、前記樹脂成型体に含まれてもよい。ここで、本発明にて用いられる塗料組成物中に存在するフィラーを「フィラー材料」、前記塗料組成物を塗工、乾燥、硬化処理もしくは蒸着等の処理により形成された前記樹脂成型体に存在するフィラーを「フィラー成分」という。
無機フィラーは特に限定されないが、金属や半金属の酸化物、窒化物、ホウ素化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩であることが好ましく、2種類の金属、半金属を含む複合酸化物や、格子間に異元素が導入されたり、格子点が異種元素で置換されたり、格子欠陥が導入されていてもよい。
無機フィラーは絶縁性の観点から、ベリリア、窒化アルミニウム(以下、AlNと表示するここともある)、窒化硼素(以下、BNと表示することもある)、炭化珪素、アルミナ、マグネシア、チタニアよりなる群から選ばれる少なくとも一つの金属や半金属が酸化された酸化物フィラーもしくは窒化された窒化物フィラーであることがさらに好ましい。
このようなフィラー成分として、例えば六方晶窒化硼素フィラー“SHOBN”(昭和電工株式会社製)や窒化アルミニウム微粉“トーヤルナイト”(東洋アルミニウム株式会社製)を用いることができる。
特に後述する樹脂成型体の製造方法においては、窒化アルミニウムの配向が特異的に促進される傾向にあるため、フィラー成分Aが窒化アルミニウムであることが特に好ましい。この理由は明らかになっていないが、窒化硼素などと比較した場合、フィラー成分A界面の活性が高く電場中での相互作用を受けやすいためであると推測される。
[バインダー成分B]
本発明の樹脂成型体を形成するのに適した塗料組成物はバインダー材料を含有することが好ましい。ここでバインダーとは反応性部位を有する化合物、もしくはその反応により形成された高次化合物を指す。ここで本発明にて用いられる塗料組成物中に存在するバインダーを「バインダー材料」、前記塗料組成物を塗工、乾燥、硬化処理もしくは蒸着等の処理により形成された前記樹脂成型体に存在するバインダーを「バインダー成分」という。また反応性部位とは、熱または光などの外部エネルギーにより他の成分と反応する部位を指す。このような反応性部位のうち好ましいものとして、反応性の観点からアルコキシシリル基及びアルコキシシリル基が加水分解されたシラノール基や、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
更に本発明の樹脂成型体に粘着性を付与するバインダー材料としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ロジン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などを用いることができる。塗工適性に優れる観点より、アクリル系粘着剤が特に好ましい。
一方、本発明の好ましい製造方法である電場印加によるフィラー配向を行う場合、バインダー材料Bの導電率は十分に低いことが好ましい。具体的には10μS以下が好ましく、1μS以下が特に好ましい。導電率については市販の導電率計(例えば株式会社堀場製作所製 電気伝導率計 ES-71)を用いることで測定することが出来る。
またバインダー材料の粘度が低い方がフィラー材料の配向を損ねにくいためより好ましい。具体的には100Pa・s以下が好ましく、10Pa・s以下が特に好ましい。
上記を満たすバインダー材料として、例えば、日本カーバイド工業株式会社製「ニッセツ」、トーヨーケム株式会社製「オリバイン」、東亞合成株式会社製「アロンタック」、サイデン化学株式会社製「サイビノール」、綜研化学株式会社製「SKダイン」、日本触媒株式会社製「アクリセット」、一方社油脂工業株式会社製「バインゾール」、昭和電工株式会社製「ビニロール」などのアクリル系共重合体や、粘度調整用のアクリル組成物として長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール”(登録商標)シリーズなど)、新中村化学株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、DIC株式会社;(商品名“UNIDIC”(登録商標)など)、東亞合成株式会社;(“アロニックス”(登録商標)シリーズなど)、日油株式会社;(“ブレンマー”(登録商標)シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD”(登録商標)シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズなど)などを挙げることができ、これらの製品を利用することができる。
[その他の添加剤]
本発明の樹脂成型体を作成するのに好ましい塗料組成物は、重合開始剤や硬化剤や触媒を含むことができる。重合開始剤および触媒は、樹脂成型体の硬化を促進するために用いられる。重合開始剤としては、塗料組成物に含まれる成分をアニオン、カチオン、ラジカル重合反応等による重合、縮合または架橋反応を開始あるいは促進できるものが好ましい。
重合開始剤、硬化剤および触媒は種々のものを使用できる。また、重合開始剤、硬化剤および触媒はそれぞれ単独で用いてもよく、複数の重合開始剤、硬化剤および触媒を同時に用いてもよい。さらに、酸性触媒や、熱重合開始剤や光重合開始剤を併用してもよい。酸性触媒の例としては、塩酸水溶液、蟻酸、酢酸などが挙げられる。熱重合開始剤の例としては、過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。また、光重合開始剤の例としては、アルキルフェノン系化合物、含硫黄系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、硬化性の点から、アルキルフェノン系化合物が好ましい。アルキルフェノン系化合物の具体例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−フェニル)−1−ブタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−フェニル)−1−ブタン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタン、1−シクロヒキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−エトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2−フェニル−2−オキソ酢酸)オキシビスエチレン、およびこれらの材料を高分子量化したものなどが挙げられる。
なお、熱重合開始剤や光重合開始剤による重合反応の進行状態は、加える熱量もしくは光量で制御可能であり、逐次塗布により樹脂成型体を形成する場合には、重合の進行を不完全な状態で次の層を塗布することにより、明確な界面を形成せずに、中間的な物性を有する混在層を作ることが可能である。
また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、樹脂成型体を形成するために用いる塗料組成物にレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を加えてもよい。これにより、樹脂成型体はレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を含有することができる。レベリング剤の例としては、アクリル共重合体またはシリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、トリアジン系およびヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が挙げられる。帯電防止剤の例としてはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩が挙げられる。
一方で樹脂成型体を形成するために用いる塗料組成物に、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、溶媒を含むこともできる。ただし乾燥時の配列乱れの観点から、溶媒を含まないことが特に好ましい。ここで「溶媒」とは、塗布後の乾燥工程にて、ほぼ全量を蒸発させ、塗膜から除去することが可能な、常温、常圧で液体である物質を指す。なお常温、常圧で液体であっても、反応部位を有する物質に関しては、バインダー材料として扱う。
ここで、溶媒の種類とは溶媒を構成する分子構造によって決まる。すなわち、同一の元素組成で、かつ官能基の種類と数が同一であっても結合関係が異なるもの(構造異性体)、前記構造異性体ではないが、3次元空間内ではどのような配座をとらせてもぴったりとは重ならないもの(立体異性体)は、種類の異なる溶媒として取り扱う。例えば、2−プロパノールと、n−プロパノールは異なる溶媒として取り扱う。
[樹脂成型体および積層フィルムの製造方法]
本発明の樹脂成型体および積層フィルムの製造方法は、少なくとも前述の塗料組成物を、前述の支持基材上に塗布し、電場の印加によりフィラー材料の配向を促進した後に、硬化することにより形成する製造方法を用いることがより好ましい。
本製造方法において、塗布方法は、前述の塗料組成物を逐次に塗布する場合には、ディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などにより支持基材等に塗布することにより樹脂成型体を形成することが好ましい
本製造方法において、電場を印加に使用する電極は櫛歯状の電極であることが好ましい。櫛歯電極の構成を図4に示す(図4における4は断面が円形である電極線、5は電極を保持する支持体をそれぞれ示している)。櫛歯電極は、断面が円形である電極線を使用し、その材質は特に限定されない。例えば、タングステンやプラチナを用いることができる。本発明によれば、該櫛歯電極に交流電圧を印加するが、この交流電圧は、電極線距離のcmあたり1kV〜6kVであることが好ましく、特に好ましくは、4kVである。また、該印加する交流電圧は、周波数1kHz〜28kHzであることが好ましく、特に好ましくは、周波数4kHzである。この印加電圧および周波数以下では樹脂成型体の配向が不十分となり、十分な熱伝導性が得られない場合がある。また印加電圧および周波数を高くする場合には電源に多大なコストが必要となるため好ましくない場合がある。
一方、従来のような一対または複数対の平行平板電極を用いてその電極間に配向されたフィラー成分の場合では、電極近傍に強い電界が偏ってしまうことから配向に粗密を生じたり、下地基材との境界に位置するフィラー成分の配向性が低下したりしていたが、本発明では、円形断面の電極線から成る櫛歯電極の上面に生じる電界によって配向することから、電極からの距離に影響を抑えて均一に配向され、下地基材の面方向に沿って確実に配向されたフィラー成分を含有する樹脂成型体が得られる。
さらに、櫛歯電極または積層フィルムの少なくともいずれかを、櫛歯電極の長手方向に対して直交方向に揺動させることにより、フィラー成分の配向を確実かつ均一に促進することができる。
次に、本製造方法において、熱またはエネルギー線を照射することによるさらなる硬化操作(硬化工程)を行ってもよい。硬化工程において、塗料組成物を熱で硬化する場合には、室温から100℃以下であることが好ましく、硬化反応の活性化エネルギーの観点から、60℃以上100℃以下がより好ましく、前述のフィラーの配列状態を維持するためには60℃以上80℃以下であることが特に好ましい。
また、活性エネルギー線により硬化する場合には汎用性の点から電子線(EB線)および/または紫外線(UV線)であることが好ましい。また紫外線により硬化する場合は、最表面については酸素阻害を防ぐことができることから酸素濃度ができるだけ低い方が好ましく、窒素雰囲気下(窒素パージ)で硬化する方がより好ましい。酸素濃度が高い場合には、最表面の硬化が阻害され、表面の硬化が不十分となる場合がある。一方、樹脂成型体の内部を形成する層においては、反対に酸素阻害を促すことで、次の塗工層が浸透しやすくなり、前述の中間的な物性を有する混在層を形成しやすくなるため好ましい。
また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させる場合、紫外線の照度が100〜3,000mW/cmが好ましく、より好ましくは200〜2,000mW/cm、さらに好ましくは300〜1,500mW/cmとなる条件で紫外線照射を行うことがよく、紫外線の積算光量が100〜3,000mJ/cmが好ましく、より好ましくは200〜2,000mJ/cm、さらに好ましくは300〜1,500mJ/cmとなる条件で紫外線照射を行うことがよい。ここで、紫外線の照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度で、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計および被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。
[用途例]
本発明の樹脂成型体および積層フィルムは、優れた熱伝導性を有するため、電子機器の放熱用途、例えば生活家電や自動車、住宅など多くのデバイス、特にパーソナルコンピューターやテレビ、液晶ディスプレイなどの画像表示装置や携帯電話やスマートフォンなどの小型の情報端末の基板等に幅広く用いることができる。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
<フィラー材料A>
フィラー材料Aとしてそれぞれ下記の材料を使用した。ここで、フィラー材料A1〜A3はいずれも結晶性フィラーである。フィラー材料Aと、その他材料の組み合わせについては表1に記載する。
フィラー材料A1:窒化アルミニウムフィラー(“トーヤルテックフィラー TFZ−A10P”東洋アルミニウム株式会社製)
フィラー材料A2:窒化アルミニウムフィラー(“トーヤルテックフィラー TFZ−A02P” 東洋アルミニウム株式会社製)
フィラー材料A3:窒化硼素フィラー(“ショウビーエヌ UHP-1K” 昭和電工株式会社製)。
<バインダー材料B>
バインダー材料Bとしてそれぞれ下記の材料を使用した。バインダー材料Bと、その他材料の組み合わせについては表1に記載する。
バインダー材料B1:ウレタンアクリレート(“ビームセットOCA-6”荒川化学株式会社製)
バインダー材料B2:アクリレートモノマー(“KAYARAD DPHA”日本化薬株式会社製)
バインダー材料B3:アクリレートモノマー(“ビスコート #230”大阪有機化学株式会社製)。
<塗料組成物1〜10の調合>
上記の材料を下記の比率で混合し、塗料組成物1〜10を得た。まずフィラー材料A1〜A3とバインダー材料B2またはB3、分散剤および有機溶媒を添加する場合は有機溶媒をスクリュー管瓶(アズワン株式会社製 No.8 胴径Φ40)に取り分けた。続いてニイミ産業株式会社製のジルコニアビーズ“ニイミNZビーズ NZ30”を5.0質量部、上記の材料を取り分けたスクリュー管瓶に添加した後、アズワン株式会社製 ミックスローター VMRC−5を用いて、40rpmの回転速度にて8時間混合を実施した。その後、バインダー材料B1を追加添加し、更に60rpmの回転速度にて4時間混合を実施した。得られた混合液から200メッシュのステンレス網を用いてジルコニアビーズの除去を実施したのち、光開始剤を添加し塗料組成物を得た。
[塗料組成物1]
・フィラー材料A1 10.2質量部
・バインダー材料B1 48.9質量部
・バインダー材料B2 5.4質量部
・分散剤 3.4質量部
(“DISPER BYK 2013” ビック・ケミージャパン株式会社)
・光ラジカル重合開始剤 2.0質量部
(“イルガキュア”(登録商標)754 BASFジャパン株式会社)
・メチルエチルケトン 30.0質量部。
[塗料組成物2]
・フィラー材料A1 14.6質量部
・バインダー材料B1 69.9質量部
・バインダー材料B2 7.8質量部
・分散剤 4.9質量部
(“DISPER BYK 2013” ビック・ケミージャパン株式会社)
・光ラジカル重合開始剤 2.9質量部
(“イルガキュア”(登録商標)754 BASFジャパン株式会社)。
[塗料組成物3]
・フィラー材料A1 14.6質量部
・バインダー材料B1 69.9質量部
・バインダー材料B3 7.8質量部
・分散剤 4.9質量部
(“DISPER BYK 2013” ビック・ケミージャパン株式会社)
・光ラジカル重合開始剤 2.9質量部
(“イルガキュア”(登録商標)754 BASFジャパン株式会社)。
[塗料組成物4]
・フィラー材料A1 14.6質量部
・バインダー材料B1 77.7質量部
・分散剤 4.9質量部
(“DISPER BYK 2013” ビック・ケミージャパン株式会社)
・光ラジカル重合開始剤 2.9質量部
(“イルガキュア”(登録商標)754 BASFジャパン株式会社)。
[塗料組成物5]
・フィラー材料A1 19.4質量部
・バインダー材料B1 65.5質量部
・バインダー材料B2 7.3質量部
・分散剤 4.9質量部
(“DISPER BYK 2013” ビック・ケミージャパン株式会社)
・光ラジカル重合開始剤 2.9質量部
(“イルガキュア”(登録商標)754 BASFジャパン株式会社)。
[塗料組成物6]
・フィラー材料A1 5.8質量部
・バインダー材料B1 77.7質量部
・バインダー材料B2 8.6質量部
・分散剤 4.9質量部
(“DISPER BYK 2013” ビック・ケミージャパン株式会社)
・光ラジカル重合開始剤 2.9質量部
(“イルガキュア”(登録商標)754 BASFジャパン株式会社)。
[塗料組成物7]
・フィラー材料A2 11.6質量部
・バインダー材料B1 72.5質量部
・バインダー材料B3 8.1質量部
・分散剤 4.9質量部
(“DISPER BYK 2013” ビック・ケミージャパン株式会社)
・光ラジカル重合開始剤 2.9質量部
(“イルガキュア”(登録商標)754 BASFジャパン株式会社)。
[塗料組成物8]
・フィラー材料A3 14.6質量部
・バインダー材料B1 69.9質量部
・バインダー材料B2 7.8質量部
・分散剤 4.9質量部
(“DISPER BYK 2010” ビック・ケミージャパン株式会社)
・光ラジカル重合開始剤 2.9質量部
(“イルガキュア”(登録商標)754 BASFジャパン株式会社)。
[塗料組成物9]
・フィラー材料A1 24.3質量部
・バインダー材料B1 61.1質量部
・バインダー材料B2 6.8質量部
・分散剤 4.9質量部
(“DISPER BYK 2013” ビック・ケミージャパン株式会社)
・光ラジカル重合開始剤 2.9質量部
(“イルガキュア”(登録商標)754 BASFジャパン株式会社)。
[塗料組成物10]
・フィラー材料A1 1.9質量部
・バインダー材料B1 81.2質量部
・バインダー材料B2 9.0質量部
・分散剤 4.9質量部
(“DISPER BYK 2013” ビック・ケミージャパン株式会社)
・光ラジカル重合開始剤 2.9質量部
(“イルガキュア”(登録商標)754 BASFジャパン株式会社)。
<積層フィルムの製造方法>
支持基材としてPET樹脂フィルム上に離形性塗料が塗布されている厚み38μmおよび50μmの“セラピール”(登録商標)SY(東レフィルム加工株式会社製)を用いた。なお各実施例・比較例に対応する上記積層フィルムの作成方法、使用する塗料組成物、各層の膜厚を表1に記載した。
「塗布」
支持基材上に塗料組成物を、ワイヤーバーを用い、乾燥後の樹脂成型体の厚みが指定の膜厚になるように番手を調整して塗布し、次いで下記の条件で電場印加工程、硬化工程を行った。
「電場印加」
アクリル板(5cm角)に1cm間隔で溝を設け、そこに電場印加手段として電極線(タングステン、0.06mmφ)を配置し、電極板を作製した。電極線は一本おきに電源と接地に接続し、電極線の上部をパラフィルム(登録商標、ペシニー・プラスチック・パッケージング社製)で覆った。次いで電極板の上部に塗料組成物を塗布した支持基材を配置した。次いで電圧の印加を実施した。実施例1では電圧印加は10分間行い、該電圧印加の開始から5分後に紫外線照射を30分間実施した。電源には、20/20C(トレック社)および一次電圧に50Hzの単巻変圧器であるスライダック(登録商標)を接続したネオンインバータトランス(レシップ社)を使用し、電圧は電極線距離のcmあたり4kV、周波数は4kHzを印加した。その他実施例の電圧印加条件は表2に記載した。
「硬化」
積算光量 : 120mJ/cm
酸素濃度 : 大気雰囲気
以上の方法により実施例1〜9、比較例1〜4の積層フィルムを作成した。
<積層フィルムの評価>
作成した積層フィルムについて、次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表3示す。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例において、1つのサンプルにつき場所を変えて5回測定を行い、その平均値を用いた。なお、樹脂成型体については樹脂成型体のまま測定を行った。
[フラッシュアナライザーによる熱拡散度の測定]
まず作成した積層フィルムから支持基材を剥離または切削することで除去し、樹脂成型体の単膜を得た。次いで、サンプルをホルダーのサイズに合わせて切抜き、更にサンプルの両面にファインケミカルジャパン社製のブラックガードスプレーを用いて、反射防止処理を施した。次いでサンプルおよびサンプルホルダーを装置にセットし、以下の条件にて測定を実施した。
測定装置 : NETZSCH社製 キセノンフラッシュアナライザー LFA447
ソフトウェア : Nanoflash ver 1.28
測定雰囲気 : 25℃、大気中
比重 : 1.0kg/m
比熱容量 : 1.0kg・K
測定モード : SingleLayerおよびIn-Plain
ホルダー : 10.0sq(SingleLayer) および
In-Plane(In-Plane)
解析モード : Cowan+パルス補正 (SingleLayer)
Adiabatic+パルス補正(In−Plane)
測定は1サンプルにつき2ショット行い、初めの1ショット目は不安定となるため除外し、2ショット目の測定値を上記の解析モードにてそれぞれ解析した。解析の妥当性についてはフィッティング率にて判定し、表示されるフィッティング率が95%を下回る場合にはエラー値とし、フィッティング率95%以上の結果のみを採用した。同様の操作を5つのデータが採用されるまで繰り返し、その平均値を熱拡散度とした。なおサンプルホルダー10.0sq、測定モードSingleLayerにて測定される値を厚み方向の熱拡散度、サンプルホルダーIn-Plane、測定モードIn-Planeにて測定される値を面内方向の熱拡散度とした。
[XRD法による配向パラメータLの測定]
作成した積層フィルムを2cm×5cmの短冊に切り抜き、スライドガラスに両面テープを用いて、樹脂成型体面が上になるように固定した。次いで、サンプルステージに積層フィルムを固定した。更に下記の条件にて測定を実施した。
測定装置 : BRUKER社製 X線回折装置 D8 DISCOVER
ソフトウェア : DIFFRAC.SUITE.EVA(ver4.1)
測定雰囲気 : 25℃、大気中
入射角 : 0.5°
入射スリット : 0.2mm
測定モード : 2θ
測定範囲(2θ) :15°から70°
測定間隔 :0.02°
次いで得られた測定チャートを解析ソフト“DIFFRAC.TOPAS(ver4.2)”(BRUKER社製)にて解析し、ピーク解析により(理論最大強度方位の実測回折強度)/(理論2番目強度方位の実測回折強度)を得た。更にサンプル同定を行った後、ソフトウェアに内蔵のデータベースより(理論2番目強度方位の理論回折強度)/(理論最大強度方位の理論回折強度)を抽出した。
更に後述の断面TEM観察により得られた最長径Rmax、および最短径Rminを用いて配向パラメータLを算出した。
[断面TEM観察]
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、樹脂成型体断面に含まれるフィラー成分Aの形状を測定した。フィラー成分Aの形状は、以下の方法に従い測定した。まず樹脂成型体の表面に対して無作為に決定した基準点とその上を通過する直線(基準線)を基準にし、基準点を通り、基準線と成す角が0°、30°、60°、90°120°、150°の6つの直線上で断面の超薄切片を採取した。次いで得られた6つの樹脂成型体の断面の超薄切片を、それぞれTEMにより30万倍の倍率で撮影した。続いて画像処理ソフトEasyAccess Ver6.7.1.23 にて画像をグレースケールに変換し、ホワイトバランスを最明部と最暗部が8bitのトーンカーブに収まるように調整、さらに個別のフィラー成分の境界が明確に見分けられるようにコントラストを調節した。次いでソフトウェア(画像処理ソフトImageJ/開発元:アメリカ国立衛生研究所(NIH))を用いて、前述の境界を境に画素の2値化を行い、Analize Particles(粒子解析)機能により個々のフィラー成分Aのなす領域を抽出し、そこから該当領域の面積をFit Ellipseにて楕円形近似したときのMajorの値を長直径、Minorの値を短直径として求めた。前述の解析をそれぞれの断面の超薄切片に対して個々のフィラー成分A計50個について行った。同様の解析を6つの超薄切片に対して実施し、長直径の最大値を最長径Rmax、短直径の最小値を最短径Rminとした。
[真円度および粒子充填率の測定]
続いて同様の透過型電子顕微鏡(TEM)の断面観察から、フィラー成分Aが占める領域の真円度の算出を実施した。まず積層フィルムの断面の超薄切片をTEMにより3万倍の倍率で撮影し、表示されるスケールバーとの比較から樹脂成型体の厚みを読み取った。そこから樹脂成型体の厚みが画像の短辺の75〜85%に表示されるように倍率を調整し、粒子充填率算出用の画像を得た。次いで、今度は画像の短辺が、読み取った樹脂成型体の厚みの30〜40%になるように倍率を調整し、画像に樹脂成型体の表面が入り込まない様に撮影位置を調整することで、真円度算出用の画像を得た。なお、断面の超薄切片については[断面TEM観察]と同様に6つの超薄切片を採取した。次いで得られた2つの画像について、画像処理ソフトEasyAccess Ver6.7.1.23にて、撮影した画像をグレースケールに変換し、ホワイトバランスを最明部と最暗部が8bitのトーンカーブに収まるように調整し、フィラー成分Aが占める領域の境界が明確に見分けられるようにコントラストを調節した。続いて樹脂成型体表面(図1から3の符号4)が水平となるように回転し、樹脂成型体の断面のみが表示されるようトリミング加工を施した。次にソフトウェア(画像処理ソフトImageJ/開発元:アメリカ国立衛生研究所(NIH))を用いて、前述の境界を境に画素の2値化を行い、Analize Particles(粒子解析)機能により個々のフィラー成分Aのなす領域を抽出した。粒子充填率算出用の画像については、そこから該当領域の占有面積率の合計を算出し、粒子の占有面積率から算出したみかけの粒子充填率(以下、単に粒子充填率という)を求めた。一方、真円度算出用の画像については、Analize Particles(粒子解析)機能をExclude on edge(画像端部を含まない)の条件で使用し、検出された個々の領域のShape Descriptors(形の記述子)のCircularity(真円度)の平均値を求めた。これを6つの断面の超薄切片それぞれについて行い、その平均を粒子充填率、真円度として採用した。
[樹脂成型体の密着力の評価]
作成した積層フィルムの樹脂成型体側の表面に、5cm×5cmの易接着性塗料が塗布されたPET樹脂フィルム“ルミラー”(登録商標)U40(東レ株式会社製、厚み50μm)を、ゴムロールを用いて圧着させた。更に25℃、湿度40%の条件で1時間静置した後、PET樹脂フィルムの端部から力をいれ、剥離を試みた際の剥がれやすさを以下の5段階に分類した。
5:樹脂成型体の剥離が困難。
4:剥離に強い力を必要とする。
3:剥離の際に密着力を感じる。
2:端部より空気を入れると直ちに剥離する。
1:力を必要とせず、直ちに剥離する。
Figure 2018150389
Figure 2018150389
Figure 2018150389
本発明に係る樹脂成型体および積層フィルムは、優れた熱伝導性を有するため、プラスチック成型品、家電製品、建築物や車両内装品などに同様の機能を付与するために用いることができる。
1 樹脂成型体
2 支持基材
3 積層フィルム
4 断面が円形である電極線
5 電極を保持する支持体

Claims (5)

  1. フィラー成分Aとバインダー成分Bとを含む樹脂成型体であって、前記フィラー成分Aが結晶性フィラーであり、かつ以下の(数式1)で表される配向パラメータLが1.0以上であり、厚み方向の熱拡散度が2.0mm2/s以上であり、フィラー成分Aが占める領域の真円度が0.3以上0.9以下であることを特徴とする樹脂成型体。
    Figure 2018150389
  2. 支持基材の片面にフィラー成分Aとバインダー成分Bとを含む樹脂成型体を有する積層フィルムであって、以下の条件(P)および(Q)を満たすことを特徴とする積層フィルム。
    (P)前記フィラー成分Aが結晶性フィラーであり、前記樹脂成型体において以下の(数式1)で表される配向パラメータLが1.0以上である。
    Figure 2018150389

    (Q)前記樹脂成型体中の前記フィラー成分Aが占める領域の真円度が0.3以上0.9以下である。
  3. 以下の条件(R)を満たすことを特徴とする請求項2に記載の積層フィルム。
    (R)前記樹脂成型体の厚み方向の熱拡散度が2.0mm2/s以上である。
  4. さらに以下の条件(S)を満たすことを特徴とする請求項2または3に記載の積層フィルム。
    (S)前記樹脂成型体中の前記フィラー成分Aの粒子充填率が10%以上50%以下である。
  5. 前記フィラー成分Aが窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の積層フィルム。
JP2017045185A 2017-03-09 2017-03-09 樹脂成型体および積層フィルム Pending JP2018150389A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017045185A JP2018150389A (ja) 2017-03-09 2017-03-09 樹脂成型体および積層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017045185A JP2018150389A (ja) 2017-03-09 2017-03-09 樹脂成型体および積層フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018150389A true JP2018150389A (ja) 2018-09-27

Family

ID=63679523

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017045185A Pending JP2018150389A (ja) 2017-03-09 2017-03-09 樹脂成型体および積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018150389A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2021073509A (ja) 積層薄膜、及び積層薄膜の製造方法
JP6473705B2 (ja) ガスバリアフィルムおよび波長変換フィルム
JP4922148B2 (ja) バリア性積層体、バリア性フィルム基板、それらの製造方法、およびデバイス
JP6387625B2 (ja) ガスバリアフィルムの製造方法
KR20120106603A (ko) 투명 도전성 필름 및 터치 패널
JP2011143550A (ja) ガスバリアフィルム
JP2015024511A (ja) 複層フィルム、偏光板保護フィルム、および偏光板
JP5906774B2 (ja) 積層体
JP5453719B2 (ja) ガスバリア性シート
WO2016098658A1 (ja) 積層体
JP6413289B2 (ja) 光学積層体及びその製造方法
JP2020105242A (ja) 樹脂フィルムおよび樹脂フィルムの製造方法
JP2018150389A (ja) 樹脂成型体および積層フィルム
JP2019127531A (ja) 樹脂成型体およびその製造方法、ならびにその方法に用いる塗料組成物
TW201323219A (zh) 透明積層薄膜
JP6185867B2 (ja) 機能性積層材料、機能性積層材料の製造方法、および機能性積層材料を含む有機電界発光装置
JP6217365B2 (ja) 光学積層体、その製造方法、並びにこれを用いた偏光板及び画像表示装置
JP6878833B2 (ja) 積層体
JP5874975B2 (ja) ガスバリア性フィルム
JP5870834B2 (ja) ガスバリア性フィルムの製造方法
JP2020104273A (ja) 樹脂フィルムおよびその製造方法
JP2013043812A (ja) シリカ前駆体材料、この材料を用いたシリカ膜及びガスバリア防眩成形体
JP2015214049A (ja) ガスバリア性フィルム
JP6326979B2 (ja) 積層フィルム及び透明基板
JP6307909B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム及び透明基板