JP2018146421A - 試験装置 - Google Patents

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【課題】タイヤ試験ユニットと車両の挙動を模擬するシミュレータとを組み合わせた試験装置において、車両の挙動を精度良く再現できるものを提供すること。【解決手段】試験装置は、現実のタイヤを模擬路面上で運動させるタイヤ駆動アクチュエータ38及び模擬路面上で運動するタイヤの状態に応じた信号F5を生成する力センサ39を備えるタイヤ試験ユニット1と、総括制御装置6と、を備える。総括制御装置6は、仮想車両に搭載される仮想パワートレインに対するスロットル開度指令信号Thに応じて、仮想パワートレインの仮想出力軸に発生するトルクに相当する車軸トルク信号Tshaftを生成するパワートレインシミュレータ632と、信号F5及び車軸トルク信号Tshaftを入力として用いて、仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによってタイヤ試験ユニット1のタイヤ駆動アクチュエータ38への入力信号を生成する車体シミュレータ633と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、試験装置に関する。より詳しくは、現実のタイヤ及びこのタイヤを用いたタイヤ試験ユニットをシミュレーションに組み込んだ試験装置に関する。
四輪の自動車や自動二輪車等の多くの車両には、少なくとも2つのタイヤが装着される。タイヤの性能は、その材質、形状、空気圧、路面への接触荷重、及び温度等の様々な要因によって変化する。このようなタイヤの性能を評価するタイヤ試験装置として、ベルトやローラ等の模擬路面上でタイヤを回転させながら、そのキャンバー角、スリップ角、及び垂直荷重等を調整しつつ、この際にタイヤに加わる力や転がり抵抗等を測定するものが公知となっている。このようなタイヤ試験装置によれば、タイヤを現実の車両に装着したり、さらにこの実車両をテストコースで実際に走行させたりすることなく、タイヤ単体で性能を評価できるため、試験にかかる時間が短く利便性が高い。
また近年では、上記のようなタイヤ試験装置で現実のタイヤを用いることで得られた情報を入力として、車両モデルを用いたシミュレーションによって車両全体の挙動を再現し、さらにこのシミュレーションによって得られた情報をタイヤ試験装置において現実のタイヤを運動させるアクチュエータにフィードバックする試験装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。このように、現実の装置(上記の例では、現実のタイヤ及びそのタイヤ試験装置)をシミュレーションに組み込んだ試験装置は、HIL(Hardware In the Loop)シミュレータとも呼称されている。
このような試験装置では、車両の挙動を再現するシミュレーションによって得られた情報をタイヤ試験装置に入力することにより、より実走行条件に近い条件でタイヤの試験を行うことができる。
またタイヤは、ゴム、有機繊維、金属等の複合素材で構成され、大きな変化を伴う弾性体であり、路面状態や温度によって性能が大きく変化すること等から、タイヤの挙動を精度良く再現できるタイヤモデルを構築することは困難である。これに対し、上記試験装置によれば、実タイヤから得られた情報を用いて、シミュレーションによって車両の挙動を再現することにより、より実走行条件に近い条件で精密な車両挙動の解析が可能となる。
特許第4266818号 特許第4465506号
ところで例えば特許文献2の試験装置では、モデル上での車両を、6自由度を有する複数の節点と各節点を結合する有限要素法によるはり要素とで構成することにより、車両の上下方向、左右方向、前後方向の運動や、ピッチング方向、ローリング方向及びヨーイング方向の回転等を表現する車両モデルが用いられている。
このように従来の試験装置で用いられる車両モデルは、主に車両の3次元的な運動を再現することに重点が置かれたものが多い。しかしながら現実の車両において、タイヤに作用する力やトルクは、車両に搭載されるパワートレインの挙動によって大きく左右されるが、従来の試験装置では、このようなパワートレインについては十分に考慮されておらず、その分、試験の精度が低下するおそれがある。特に、タイヤが車両の燃費性能に及ぼす影響を測定できるようにするには、パワートレインの挙動が大きく変化する加速時や減速時の車両の挙動を精度良く再現する必要がある。ここでパワートレインとは、エンジンやモータ等の車両の動力発生源で発生した動力を、駆動輪又は駆動輪に連結された軸体に伝達する装置をいい、動力発生源、トルクコンバータ、トランスミッション、プロペラシャフト等の複数の部品によって構成される。
本発明は、タイヤ試験装置と車両の挙動を模擬するシミュレータとを組み合わせた試験装置において、車両の挙動を精度良く再現できるものを提供することを目的とする。
(1)試験装置(例えば、後述の試験装置S,SA)は、現実のタイヤ(例えば、後述のタイヤT)を模擬路面(例えば、後述の模擬路面25a)上で運動させるアクチュエータ(例えば、後述のキャンバー角調整アクチュエータ32、垂直荷重調整アクチュエータ37、タイヤ駆動アクチュエータ38)及び前記模擬路面上で運動する前記タイヤの状態に応じたタイヤ状態信号を生成する状態検出手段(例えば、後述の力センサ39)を備えるタイヤ試験ユニット(例えば、後述のタイヤ試験ユニット1)と、前記タイヤを駆動輪とした仮想車両の挙動を、前記タイヤ状態信号を入力として模擬することにより、前記アクチュエータへの入力信号を生成する制御装置(例えば、後述の総括制御装置6,6A)と、を備える。前記制御装置は、前記仮想車両に搭載される仮想パワートレイン又は実パワートレインに対する指令信号(例えば、スロットル開度指令信号Th又は車速指令信号V_cmd)に応じて、前記仮想パワートレインの仮想出力軸又は前記実パワートレイン(例えば、後述のパワートレインW)の実出力軸(例えば、後述の右出力軸SR)に発生するトルクに相当する車軸トルク信号(例えば、後述の車軸トルク信号Tshaft)を生成するパワートレイン要素(例えば、後述のパワートレインシミュレータ632、パワートレイン試験ユニット7)と、前記タイヤ状態信号及び前記車軸トルク信号を入力として用いて、前記仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによって前記入力信号を生成する車体シミュレータ(例えば、後述の車体シミュレータ633)と、を備えることを特徴とする。
(2)この場合、前記状態検出手段は、前記模擬路面上における前記タイヤの回転速度に応じた実回転速度信号(例えば、後述のタイヤ回転速度検出信号ωtire)を発生する実速度検出器(例えば、後述のタイヤ回転速度センサ41)を備え、前記パワートレイン要素は、前記指令信号及び前記実回転速度信号に応じて前記車軸トルク信号を生成することが好ましい。
(3)この場合、前記パワートレイン要素は、前記指令信号及び前記実回転速度信号を入力として用いて、前記仮想パワートレインの仮想動力発生源から前記仮想出力軸までの挙動を模擬した演算を行うことによって前記車軸トルク信号を生成するパワートレインシミュレータ(例えば、後述のパワートレインシミュレータ632)であることが好ましい。
(4)この場合、前記パワートレインシミュレータは、前記仮想動力発生源を、所定の慣性モーメント(JE)で特徴付けられかつ前記指令信号に応じて定められたトルク(Teng)が入力される慣性体で模擬し、前記仮想出力軸を、所定のばね剛性(K)、減衰係数(C)、及び慣性モーメント(Jshaft)で特徴付けられかつ前記慣性体と所定の入出力特性を有する機械要素を介して連結される軸体で模擬することが好ましい。
(5)この場合、前記機械要素は、前記仮想動力発生源とその入力側で連結された仮想トルクコンバータと、前記仮想トルクコンバータの出力側とその入力側で連結されかつ前記仮想出力軸とその出力側で連結された仮想トランスミッションと、を備えることが好ましい。
(6)この場合、前記実パワートレインは、前記指令信号に応じた動力を発生し、当該動力によって前記実出力軸(例えば、後述の右出力軸SR)を回転させる実動力発生源(例えば、後述のエンジンE)を備え、前記パワートレイン要素は、前記実出力軸に連結された動力計(例えば、後述の右動力計71R)と、前記実出力軸又は前記動力計の回転速度に応じた車軸速度信号(右車軸速度検出信号ωR)を発生する車軸回転速度検出器(例えば、後述の右回転速度検出器73R)と、前記車軸速度信号と前記実回転速度信号とが一致するように前記動力計の回転速度を制御する速度制御装置(例えば、後述の右動力計制御装置75R)と、前記実出力軸に発生するトルクに応じた信号を前記車軸トルク信号として生成する車軸トルク検出器(例えば、後述の右軸トルク検出器74R)と、を備えるパワートレイン試験ユニット(例えば、後述のパワートレイン試験ユニット7)であることが好ましい。
(7)試験装置(例えば、後述の試験装置SB)は、現実の左タイヤ(例えば、後述の左タイヤTL)を左模擬路面上で運動させる左アクチュエータ及び前記左模擬路面上で運動する前記左タイヤの状態に応じた左タイヤ状態信号を生成する左状態検出手段を備える左タイヤ試験ユニット(例えば、後述の左タイヤ試験ユニット1L)と、現実の右タイヤ(例えば、後述の右タイヤTR)を右模擬路面上で運動させる右アクチュエータ及び前記右模擬路面上で運動する前記右タイヤの状態に応じた右タイヤ状態信号を生成する右状態検出手段を備える右タイヤ試験ユニット(例えば、後述の右タイヤ試験ユニット1R)と、前記左及び右タイヤを左右駆動輪とした仮想車両の挙動を、前記左及び右タイヤ状態信号を入力として模擬することにより、前記左及び右アクチュエータへの入力信号を生成する制御装置(例えば、後述の総括制御装置6B)と、を備える。前記制御装置は、前記仮想車両に搭載される仮想パワートレイン又は実パワートレインに対する指令信号に応じて、前記仮想パワートレインの仮想左出力軸及び仮想右出力軸又は前記実パワートレインの実左出力軸及び実右出力軸に発生するトルクに相当する左車軸トルク信号及び右車軸トルク信号を生成するパワートレイン要素(例えば、後述のパワートレインシミュレータ632B)と、前記左及び右タイヤ状態信号並びに前記左及び右車軸トルク信号を入力として用いて、前記仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによって前記入力信号を生成する車体シミュレータ(例えば、後述の車体シミュレータ633B)と、を備えることを特徴とする。
(8)試験装置(例えば、後述の試験装置SC)は、現実の左前タイヤ(例えば、後述の左前タイヤTFL)を左前模擬路面上で運動させる左前アクチュエータ及び前記左前模擬路面上で運動する前記左前タイヤの状態に応じた左前タイヤ状態信号を生成する左前状態検出手段を備える左前タイヤ試験ユニット(例えば、後述の左前タイヤ試験ユニット1FL)と、現実の右前タイヤ(例えば、後述の右前タイヤTFR)を右前模擬路面上で運動させる右前アクチュエータ及び前記右前模擬路面上で運動する前記右前タイヤの状態に応じた右前タイヤ状態信号を生成する右前状態検出手段を備える右前タイヤ試験ユニット(例えば、後述の右前タイヤ試験ユニット1FR)と、現実の左後タイヤ(例えば、後述の左後タイヤTRL)を左後模擬路面上で運動させる左後アクチュエータ及び前記左後模擬路面上で運動する前記左後タイヤの状態に応じた左後タイヤ状態信号を生成する左後状態検出手段を備える左後タイヤ試験ユニット(例えば、後述の左後タイヤ試験ユニット1RL)と、現実の右後タイヤ(例えば、後述の右後タイヤTRR)を右後模擬路面上で運動させる右後アクチュエータ及び前記右後模擬路面上で運動する前記右後タイヤの状態に応じた右後タイヤ状態信号を生成する右後状態検出手段を備える右後タイヤ試験ユニット(例えば、後述の右後タイヤ試験ユニット1RR)と、前記左前、右前、左後、及び右後タイヤを駆動輪とした仮想車両の挙動を、前記左前、右前、左後、及び右後タイヤ状態信号を入力として模擬することにより、前記左前、右前、左後、及び右後アクチュエータへの入力信号を生成する制御装置(例えば、後述の総括制御装置6C)と、を備える。前記制御装置は、前記仮想車両に搭載される仮想パワートレイン又は実パワートレインに対する指令信号に応じて、前記仮想パワートレインの仮想左前出力軸、仮想右前出力軸、仮想左後出力軸、及び仮想右後出力軸又は前記実パワートレインの実左前出力軸、実右前出力軸、実左後出力軸、及び実右後出力軸に発生するトルクに相当する左前車軸トルク信号、右前車軸トルク信号、左後車軸トルク信号、及び右後車軸トルク信号を生成するパワートレイン要素(例えば、後述のパワートレインシミュレータ632C)と、前記左前、右前、左後、及び右後タイヤ状態信号並びに前記左前、右前、左後、及び右後車軸トルク信号を入力として用いて、前記仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによって前記入力信号を生成する車体シミュレータ(例えば、後述の車体シミュレータ633C)と、を備えることを特徴とする。
(1)本発明の試験装置では、タイヤ試験ユニットのアクチュエータへの入力信号を、パワートレイン要素と車体シミュレータとを備える制御装置によって生成する。ここでパワートレイン要素には、仮想車両に搭載される仮想パワートレイン又は実パワートレインに対する指令信号に応じて、仮想パワートレインの仮想出力軸又は実パワートレインの実出力軸に発生するトルクに相当する車軸トルク信号を生成するものを用いる。また車体シミュレータでは、タイヤ試験ユニットにおいて現実のタイヤの状態に応じて生成されたタイヤ状態信号と、上記パワートレイン要素の出力である車軸トルク信号と、を入力として用いて、仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによってアクチュエータへの入力信号を生成する。以上のように本発明では、車体シミュレータにおいて仮想車両の挙動を模擬する際には、現実のタイヤの状態に応じたタイヤ状態信号に加えて、パワートレイン要素に指令信号を入力することによって生成される車軸トルク信号を入力として用いることにより、パワートレインの非線形的な入出力特性を加味し、車両の挙動を精度良く再現することができる。
(2)本発明の試験装置では、実速度検出器によって現実のタイヤの回転速度を検出し、パワートレイン要素では、指令信号に加えて実速度検出器の実回転速度信号に応じて車軸トルク信号を生成する。このようにパワートレイン要素への入力に実回転速度信号を加えることにより、現実のタイヤの回転速度と、パワートレイン要素における仮想出力軸又は実出力軸の回転速度とを一致させることができる。またこれにより、パワートレイン要素では、現実のタイヤの回転速度に応じた適切な車軸トルク信号を生成できるので、車体シミュレータにおける車両の挙動の再現精度をさらに向上できる。
(3)本発明の試験装置では、パワートレインシミュレータで、指令信号及び実回転速度信号を入力として、仮想動力発生源から仮想出力軸までの挙動を模擬した演算を行うことによって車軸トルク信号を生成し、これを車体シミュレータの演算に用いる。これにより、現実のパワートレインを用いることなく演算によって、車体シミュレータにおける車両の挙動の再現精度をさらに向上できる。
(4)本発明の試験装置では、パワートレインシミュレータにおいて、仮想動力発生源を所定の慣性モーメントで特徴付けられた慣性体で模擬し、また仮想出力軸を所定のばね剛性、減衰係数、及び慣性モーメントで特徴付けられかつ上記慣性体と所定の機械要素を介して連結される軸体で模擬する。これにより、車両が仮想する際や減速する際における車体の加速度変化や、パワートレインに含まれる軸要素の振動を再現しながら適切な車軸トルク信号を生成することができる。またこれにより、車体シミュレータにおける車両の挙動の再現精度をさらに向上できる。
(5)本発明の試験装置では、パワートレインシミュレータにおいて、仮想出力軸と慣性体とを、仮想トルクコンバータと仮想トランスミッションとを介して連結する。これにより、パワートレインシミュレータでは、これらトルクコンバータやトランスミッションにおける非線形な振る舞いも再現できるので、車両の挙動の再現精度をさらに向上できる。
(6)本発明の試験装置では、指令信号及び実回転速度信号に応じて車軸トルク信号を生成するパワートレイン要素を、現実のパワートレインを用いたパワートレイン試験ユニットによって構成する。より具体的には、パワートレイン試験ユニットを、現実のパワートレインと、この実パワートレインの実出力軸に連結された動力計と、実出力軸等の回転速度に応じた車軸速度信号を発生する車軸回転速度検出器と、この車軸速度信号と実回転速度信号とが一致するように動力計の回転速度を制御する速度制御装置と、実出力軸に発生するトルクに応じた信号を車軸トルク信号として生成する車軸トルク検出器と、を含んで構成する。本発明の試験装置によれば、実パワートレインを駆動して得られる車軸トルク検出器の検出信号を車軸トルク信号として用いることにより、上述のように演算によってパワートレインの挙動を模擬した場合よりも、車両の挙動の再現精度をさらに向上できる。
(7)本発明の試験装置では、左タイヤ試験ユニット及び右タイヤ試験ユニットへの各々のアクチュエータへの入力信号を、上記(1)の発明と同様の入出力特性を有するパワートレイン要素及び車体シミュレータを備える制御装置によって生成する。本発明の試験装置では、車体シミュレータにおいて仮想車両の挙動を模擬する際には、現実の左右タイヤの状態に応じた左右タイヤ状態信号に加えて、パワートレイン要素に指令信号を入力することによって生成される左右車軸トルク信号を入力として用いることにより、パワートレインの非線形的な入出力特性を加味し、車両の挙動を精度良く再現することができる。また本発明では、左右のタイヤ試験ユニットを用いることにより、前輪駆動(FWD)又は後輪駆動(RWD)の車両における左右のタイヤのバランスをより詳細に再現することができる。
(8)本発明の試験装置では、左前タイヤ試験ユニット、右前タイヤ試験ユニット、左後タイヤ試験ユニット、及び右後タイヤ試験ユニットへの各々のアクチュエータへの入力信号を、上記(7)の発明と同様の入出力特性を備えるパワートレイン要素及び車体シミュレータを備える制御装置によって生成する。本発明の試験装置では、車体シミュレータにおいて仮想車両の挙動を模擬する際には、現実の前後左右タイヤの状態に応じた前後左右タイヤ状態信号に加えて、パワートレイン要素に指令信号を入力することによって生成される前後左右車軸トルク信号を入力として用いることにより、パワートレインの非線形的な入出力特性を加味し、車両の挙動を精度良く再現することができる。また本発明では、前後左右のタイヤ試験ユニットを用いることにより、四輪駆動(AWD)の車両における前後左右のタイヤのバランスをより詳細に再現することができる。
本発明の第1実施形態に係る試験装置の構成を示す図である。 試験装置に設けられる複数のアクチュエータ及び複数のセンサを模式的に示す図である。 模擬路面上におけるスリップ角を示す図である。 模擬路面上におけるキャンバー角を示す図である。 模擬路面上で運動するタイヤに作用する力を示す図である。 総括制御装置の機能ブロック図である。 パワートレインモデルの構成を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る試験装置の構成を示す図である。 パワートレイン試験ユニットの構成を示す図である。 総括制御装置の機能ブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る試験装置の構成を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る試験装置の構成を示す図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る試験装置Sの構成を示す図である。
図2は、試験装置Sに設けられる複数のアクチュエータ及び複数のセンサを模式的に示す図である。
試験装置Sは、複数のアクチュエータを用いて現実のタイヤTに様々な外力を加えることによってタイヤTを運動させるタイヤ試験ユニット1と、タイヤ試験ユニット1を制御する総括制御装置6と、を備える。
試験装置Sは、タイヤ試験ユニット1において現実のタイヤTを用いて得らえた情報を総括制御装置6への入力とし、総括制御装置6ではタイヤTを構成要素の一部とした仮想車両の挙動を、モデルを用いたシミュレーションによって再現し、さらにこのシミュレーションによって得られた情報をタイヤ試験ユニット1にフィードバックする。なお以下では、試験装置Sにおいて想定する仮想車両は、エンジンを動力発生源とした四輪の自動車とするが、仮想車両の車輪の数や動力発生源はこれらに限らない。またタイヤTは、この仮想車両における動力発生源からの動力が伝達する駆動輪でありかつ運転者が操作可能なステアリングによって操舵角を変化させることができる転舵輪である場合について説明するが、仮想車両におけるタイヤTの役割はこれに限らない。
タイヤ試験ユニット1は、ホイールにリム組みされたタイヤTと、タイヤTが接する路面模擬装置2と、タイヤTをそのハブを中心として回転駆動しつつこのタイヤTを路面模擬装置2に対し所定の姿勢で支持するタイヤ支持機構3と、を備える。
路面模擬装置2は、水平な床面に固定された基台21と、この基台21に対し垂直な鉛直方向に沿った回動軸OSAを中心として回動自在に設けられたベルトユニット22と、このベルトユニット22を、回動軸を中心として回動させるスリップ角アクチュエータ23(図2参照)と、スリップ角センサ29(図2参照)と、を備える。
ベルトユニット22は、回転可能に設けられた一対の筒状のベルトドラム24a,24bと、これらベルトドラム24a.24bの外周に架け渡された無端帯状のフラットベルト25と、を備える。フラットベルト25の外周面には、実路面を模した加工が施されている。これにより、フラットベルト25の外周面のうち鉛直上方の面は、タイヤTが接する模擬路面25aとなっている。これらベルトドラム24a,24bの回転軸は、互いに平行でありかつ上記回動軸OSAに対し垂直となっている。
またベルトドラム24aには、その出力軸がベルトドラム24aに連結された路面駆動アクチュエータ26(図2参照)と、路面駆動アクチュエータ26の出力軸の回転速度を検出するベルト回転速度センサ27(図2参照)と、出力軸に発生する軸トルクを検出するベルト軸トルクセンサ28(図2参照)と、が設けられている。路面駆動アクチュエータ26は、総括制御装置6からの指令信号に応じてドラム24aを回転駆動する。これにより、模擬路面25aは、ベルトドラム24aの回転速度に応じた速度で、回動軸OSAに対し垂直な平面内を、路面進行方向FRに沿って流れる。ベルト回転速度センサ27は、出力軸の回転速度、すなわちベルトドラム24aの回転速度を検出し、検出値に応じたベルト回転速度検出信号ωbelを総括制御装置6へ送信する。またベルト軸トルクセンサ28は、出力軸に発生する軸トルクを検出し、検出値に応じたベルト軸トルク検出信号Tbelを総括制御装置6へ送信する。
スリップ角アクチュエータ23は、総括制御装置6からの信号に応じてベルトユニット22を、回動軸OSAを中心として回動させる。路面模擬装置2では、スリップ角アクチュエータ23を用いてベルトユニット22を回動させることにより、図3Aに示すように、模擬路面25a上におけるタイヤTの回転軸Rと垂直なタイヤ進行方向FTと路面進行方向FRとの成す角αであるスリップ角を調整することができる。スリップ角センサ29は、スリップ角に応じたスリップ角検出信号θSAを生成し、総括制御装置6へ送信する。
タイヤ支持機構3は、ベルトユニット22のベルト送り方向Fの両端側の床面に固定された一対の台座31a,31bと、これら台座31a,31bによって両端部が支持された弧状のフレーム33と、このフレーム33によって支持された棒状の支持アーム35と、このアーム35の先端部に設けられた回転駆動ユニット36と、を備える。
フレーム33は、フラットベルト25の鉛直上方を延びる。フレーム33の両端部は、それぞれ、台座31a,31bによってフラットベルト25の延在方向と略垂直な回動軸OCAを中心として回動自在に支持されている。また台座31aには、フレーム33を、回動軸OCAを中心として回動駆動するキャンバー角調整アクチュエータ32(図2参照)と、フレーム33の模擬路面25aに対する角度を検出するキャンバー角センサ34と、が設けられている。キャンバー角調整アクチュエータ32は、総括制御装置6からの指令信号に応じてフレーム33を、回動軸OCAを中心として回動させる。タイヤ支持機構3では、このキャンバー角調整アクチュエータ32を用いてフレーム33及びこれに支持された支持アーム35を回動させることにより、図3Bに示すように、模擬路面25a上におけるタイヤTの回転軸Rと模擬路面25aとの成す角、すなわち模擬路面25aの法線と回転軸Rと垂直な面との成す角βであるキャンバー角を調整することができる。キャンバー角センサ34は、キャンバー角に応じたキャンバー角検出信号θCAを生成し、総括制御装置6へ送信する。
支持アーム35は、模擬路面25aに対し垂直な鉛直方向に沿って延びる。支持アーム35の基端部は、フレーム33によって支持アーム35の延在方向に沿って摺動自在に支持されている。フレーム33には、支持アーム35を、支持アーム35の延在方向に沿って変位させる垂直荷重調整アクチュエータ37(図2参照)が設けられている。垂直荷重調整アクチュエータ37は、総括制御装置6からの指令信号に応じて、支持アーム35を、その延在方向に沿って変位させる。タイヤ支持機構3では、この垂直荷重調整アクチュエータ37を用いて支持アーム35を変位させることにより、タイヤTを模擬路面25aに接触させたり、タイヤTを模擬路面25aに押さえつける力である垂直荷重を調整したりすることができる。
回転駆動ユニット36は、支持アーム35の先端部において、タイヤTを回転自在に支持する。図2に示すように、回転駆動ユニット36は、タイヤ駆動アクチュエータ38と、力センサ39と、タイヤ軸トルクセンサ40と、タイヤ回転速度センサ41と、を備える。
タイヤ駆動アクチュエータ38は、支持アーム35に対し略垂直に延びる出力軸38aを備える。出力軸38aは、タイヤTのハブに連結されている。タイヤ駆動アクチュエータ38は、総括制御装置6からの指令信号に応じてタイヤTを回転駆動する。タイヤ回転速度センサ41は、タイヤ駆動アクチュエータ38の出力軸の回転速度、すなわちタイヤTの回転速度を検出し、検出値に応じたタイヤ回転速度検出信号ωtireを総括制御装置6へ送信する。
力センサ39は、模擬路面25a上で運動するタイヤTに作用する力を検出する。この力センサ39には、例えば、図3Cに示すようにタイヤTに作用する6分力のうちの5つを検出する5分力計が用いられる。より具体的には、力センサ39は、タイヤTの進行方向軸Xに沿った前後力に応じた前後力検出信号Fxと、タイヤTの横方向軸Yに沿った横力に応じた横力検出信号Fyと、タイヤTの縦方向軸Zに沿った垂直荷重に応じた垂直荷重検出信号Fzと、タイヤTの進行方向軸X周りのモーメントに応じたオーバターニング検出信号Mxと、及びタイヤTの縦方向軸周りのモーメントに応じたセルフアライニングトルク検出信号Mzと、を総括制御装置6へ送信する。なお以下では、力センサ39によって生成される上記5つの信号Fx,Fy,Fz,Mx,Mzをまとめて“F5”と表記する。
タイヤ軸トルクセンサ40は、タイヤ駆動アクチュエータ38の出力軸に発生するトルク、すなわちタイヤTの横方向軸周りのモーメントに応じたタイヤ軸トルク検出信号Tshを総括制御装置6へ送信する。
図4は、総括制御装置6の機能ブロック図である。総括制御装置6は、現実のタイヤTによって模擬路面25a上を走行する仮想車両の挙動を、タイヤ試験ユニット1に設けられた複数のセンサの検出信号を入力として模擬することにより、タイヤ試験ユニット1に設けられた複数のアクチュエータへの入力信号を生成し、これら入力信号を各アクチュエータに入力する。
総括制御装置6は、入出力信号をA/D変換するI/Oインターフェース、各種プログラムに従って演算処理を実行するCPU、各種データを記憶するROM及びRAM等の記憶手段、作業者が各種指令を入力するために操作可能な入力手段、並びに演算結果等を作業者が視認可能な態様で表示する表示手段等のハードウェアによって構成されるコンピュータである。また総括制御装置6には、以下で説明する機能を備えるモジュールとして、ステアリング角指令演算部61と、スロットル開度指令演算部62と、車両モデル演算部63と、スリップ角コントローラ65と、垂直荷重コントローラ66と、キャンバー角コントローラ67と、タイヤ速度コントローラ68と、ベルトコントローラ69とが、上記ハードウェアによって構成されている。
ステアリング角指令演算部61は、車両モデル演算部63における演算によってその挙動が再現される仮想車両のステアリング角度に対する指令に相当するステアリング角指令信号θSTを生成する。より具体的には、ステアリング角指令演算部61は、予め定められた車体角指令信号θY_cmdと車両モデル演算部63における演算によって算出される仮想車両の車体ヨー角信号θYとの偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるようにステアリング角指令信号θSTを生成し、車両モデル演算部63へ入力する。
スロットル開度指令演算部62は、車両モデル演算部63における演算によってその挙動が再現される仮想車両のスロットル開度に対する指令に相当するスロットル開度指令信号Thを生成する。より具体的には、スロットル開度指令演算部62は、予め定められた車速指令信号V_cmdと車両モデル演算部63における演算によって算出される仮想車両の車体速度信号Vxとの偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるようにスロットル開度指令信号Thを生成し、車両モデル演算部63へ入力する。
車両モデル演算部63は、ステアリング角指令信号θSTと、スロットル開度指令信号Thと、タイヤ回転速度検出信号ωtireと、力センサ39の5つの検出信号F5と、を入力として用いて、仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによって、タイヤ試験ユニット1の各アクチュエータへの入力信号に対する指令信号に相当するスリップ角指令信号θSA_cmdと、垂直荷重指令信号Fz_cmdと、キャンバー角指令信号θCA_cmdと、タイヤ速度指令信号ωtire_cmdと、を生成する。
より具体的には、車両モデル演算部63では、仮想車両を構成する複数の装置を、仮想ステアリングシステム要素と、仮想パワートレイン要素と、現実のタイヤTと、これら仮想ステアリングシステム要素、仮想パワートレイン要素、及びタイヤT以外の残余装置によって構成される仮想車体要素と、に分けるとともに、各要素の挙動を別々の演算によって再現することにより、仮想車両全体の挙動を再現する。
車両モデル演算部63には、仮想ステアリングシステム要素の挙動を演算によって再現するステアリングシミュレータ631と、仮想パワートレイン要素の挙動を演算によって再現するパワートレインシミュレータ632と、仮想車体要素の挙動を演算によって再現する車体シミュレータ633と、が構成されている。
ステアリングシミュレータ631では、仮想的な運転者によるステアリング操作から仮想車両の転舵輪であるタイヤTのスリップ角までの仮想ステアリングシステム要素の入出力特性を、演算によって再現する。より具体的には、ステアリングシミュレータ631では、ステアリング角指令演算部61によって算出されたステアリング角指令信号θSTが入力されると、上記仮想ステアリングシステム要素の入出力特性を模擬した演算を行うことによってステアリング角指令信号θSTに応じたスリップ角指令信号θSA_cmdを生成し、これをスリップ角コントローラ65へ入力する。
現実のステアリングシステム要素の入出力特性は一般的には非線形である。そこでステアリングシミュレータ631では、このような入出力特性の非線形性を的確に再現できるように、例えば、現実のステアリングシステム要素の入出力特性を測定することによって構築されたマップやテーブルを用いることによって、ステアリング角指令信号θSTに応じたスリップ角指令信号θSA_cmdを生成する。
パワートレインシミュレータ632では、仮想車両における仮想動力発生源である仮想エンジンから仮想車両の駆動輪であるタイヤTのハブに連結される仮想出力軸までの仮想パワートレイン要素の入出力特性を、演算によって再現する。より具体的には、パワートレインシミュレータ632では、スロットル開度指令演算部62によって算出されたスロットル開度指令信号Thと、図示しない処理によって算出された仮想的な動力発生源であるエンジンの回転数ωengと、タイヤ回転速度検出信号ωtireと、を含む複数の入力信号が入力されると、後述のパワートレインモデルを用いて、上記仮想パワートレイン要素における仮想エンジンから仮想出力軸までの挙動を模擬した演算を行うことによってこれら入力信号に応じた車軸トルク信号Tshaftを生成し、これを車体シミュレータ633へ入力する。ここで車軸トルク信号Tshaftとは、上記仮想パワートレイン要素の仮想出力軸に発生するトルクである車軸トルクに対する指令信号に相当する。
図5は、パワートレインシミュレータ632で用いられるパワートレインモデルMの構成を示す図である。図5に示すように、パワートレインモデルMは、仮想エンジンの入出力特性を模擬するエンジン出力モデルMeと、仮想エンジンの仮想クランクシャフトから仮想出力軸までの機械特性を模擬するパワートレイン機械モデルMpと、を組み合わせて構成される。
エンジン出力モデルMeは、スロットル開度指令信号Th及びエンジン回転数ωengを入力として、仮想エンジンの入出力特性を模擬した演算を行うことによって、エンジントルクTengを生成する。なお、現実のエンジンの入出力特性は一般的には非線形である。そこでエンジン出力モデルMeでは、このような入出力特性の非線形性を的確に再現できるように、例えば現実のエンジンの入出力特性を測定することによって構築されたマップやテーブルを用いることによって、スロットル開度指令信号Th及びエンジン回転数ωengに応じたエンジントルクTengを生成する。
パワートレイン機械モデルMpは、エンジントルクTeng及びタイヤ回転速度検出信号ωtireを入力として、仮想パワートレイン要素の機械特性を模擬した演算を行うことによって、車軸トルク信号Tshaftを生成する。パワートレイン機械モデルMpでは、仮想パワートレイン要素を、仮想エンジンと、その入力軸が仮想エンジンの出力軸と連結された仮想トルクコンバータと、その入力軸が仮想トルクコンバータの出力軸と連結された仮想トランスミッションと、この仮想トランスミッションの出力軸と連結された仮想出力軸と、で構成されるものとする。そしてパワートレイン機械モデルMpでは、図5に示すように、仮想エンジンの機械特性をエンジン機械モデルMp1によって再現し、仮想トルクコンバータの機械特性をトルクコンバータ機械モデルMp2によって再現し、仮想トランスミッションの機械特性をトランスミッション機械モデルMp3によって再現し、仮想出力軸の機械特性を出力軸機械モデルMp4によって再現する。
エンジン機械モデルMp1では、仮想エンジンを、所定のエンジン慣性モーメントJEを有しかつエンジン出力モデルMeによって算出されたエンジントルクTengが入力される慣性体として扱うことにより、その機械特性を模擬する。
トルクコンバータ機械モデルMp2では、慣性体が連結される入力軸から仮想トランスミッションの入力軸が連結される出力軸までの仮想トルクコンバータの機械特性を、例えば、予め実機を用いて構築されたマップやテーブル等を用いることによって模擬する。またトルクコンバータ機械モデルMp2では、その入力軸は慣性体に連結されていることから、その回転速度は慣性体の回転速度と等しいものとして扱う。
トランスミッション機械モデルMp3では、仮想トルクコンバータの出力軸が連結される入力軸から仮想出力軸が連結される出力軸までの仮想トランスミッションの機械特性を、例えば、予め実機を用いて構築されたマップやテーブル等を用いることによって模擬する。またトランスミッション機械モデルMp3では、その入力軸は仮想トルクコンバータの出力軸に連結されていることから、その回転速度は仮想トルクコンバータの出力軸の回転速度と等しいものとして扱う。
出力軸機械モデルMp4では、仮想出力軸を、所定の出力軸慣性モーメントJshaftを有し、かつ所定のばね剛性K及び減衰係数Cを有する軸体として扱うことにより、その機械特性を模擬する。出力軸機械モデルMp4では、軸体の入力側は仮想トランスミッションの出力軸に連結されていることから、この軸体の入力側の回転速度は仮想トランスミッションの出力軸の回転速度と等しいものとして扱う。また出力軸機械モデルMp4では、軸体の出力側はタイヤTのハブに連結されていることから、その回転速度はタイヤ回転速度検出信号ωtireと等しいものとして扱う。
パワートレイン機械モデルMpでは、以上のように構成された機械モデルMp1〜Mp4を組み合わせることにより、エンジントルクTeng及びタイヤ回転速度検出信号ωtireに応じた車軸トルク信号Tshaftを生成する。
図4に戻り、車体シミュレータ633では、仮想車両の残余装置、より具体的には、仮想車両の車体、仮想車両のタイヤT以外の残余タイヤ、これらタイヤT及び残余タイヤと車体とを連結するサスペンション要素等の入出力特性を、演算によって再現する。より具体的には、車体シミュレータ633では、力センサ39の5つの検出信号F5と、パワートレインシミュレータ632によって算出された車軸トルク信号Tshaftと、が入力されると、上記残余装置の入出力特性を模擬した演算を行うことによって、仮想車両におけるタイヤTに作用する垂直荷重と、タイヤTのキャンバー角と、タイヤTの回転速度と、仮想車体のヨー角と、仮想車体の速度と、を算出する。また車体シミュレータ633では、算出した垂直荷重を垂直荷重指令信号Fz_cmdとし、キャンバー角をキャンバー角指令信号θCA_cmdとし、回転速度をタイヤ速度指令信号ωtire_cmdとして、各々を垂直荷重コントローラ66、キャンバー角コントローラ67、及びタイヤ速度コントローラ68へ入力する。さらに車体シミュレータ633では、算出した仮想車体のヨー角を車体ヨー角信号θTYとし、仮想車体の速度を車体速度信号Vxとして、各々をステアリング角指令演算部61及びスロットル開度指令演算部62へ入力する。
スリップ角コントローラ65は、車両モデル演算部63によって算出されるスリップ角指令信号θSA_cmdと、スリップ角センサ29から送信されるスリップ角検出信号θSAとの偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるようにスリップ角アクチュエータ23への入力信号を生成し、スリップ角アクチュエータ23へ入力する。
垂直荷重コントローラ66は、車両モデル演算部63によって算出される垂直荷重指令信号Fz_cmdと、力センサ38から送信される垂直荷重検出信号Fzとの偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように垂直荷重調整アクチュエータ37への入力信号を生成し、垂直荷重調整アクチュエータ37へ入力する。
キャンバー角コントローラ67は、車両モデル演算部63によって算出されるキャンバー角指令信号θCA_cmdと、キャンバー角センサ34から送信されるキャンバー角検出信号θCAとの偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるようにキャンバー角調整アクチュエータ32への入力信号を生成し、キャンバー角調整アクチュエータ32へ入力する。
タイヤ速度コントローラ68は、車両モデル演算部63によって算出されるタイヤ速度指令信号ωtire_cmdと、タイヤ回転速度センサ41から送信されるタイヤ回転速度検出信号ωtireとの偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるようにタイヤ駆動アクチュエータ38への入力信号を生成し、タイヤ駆動アクチュエータ38へ入力する。
ベルトコントローラ69は、フラットベルトによって仮想車両に対して予め設定された設定慣性Jsetを実現するような電気慣性制御を行うことにより、路面駆動アクチュエータ26への入力信号を生成する。より具体的には、ベルトコントローラ69は、ベルト軸トルクセンサ28から送信されるベルト軸トルク検出信号Tbelに設定慣性Jsetの逆数を乗じたものを積分することによってベルト回転速度指令信号ωbel_cmdを生成する。またベルトコントローラ69は、生成したベルト回転速度指令信号ωbel_cmdとベルト回転速度センサ27から送信されるベルト回転速度検出信号ωbelとの偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように路面駆動アクチュエータ26への入力信号を生成し、路面駆動アクチュエータ26へ入力する。
本実施形態の試験装置Sによれば、以下の効果を奏する。
(1)試験装置Sでは、タイヤ試験ユニット1の複数のアクチュエータ32,37,38への入力信号を、パワートレインシミュレータ632と車体シミュレータ633とを備える総括制御装置6によって生成する。ここでパワートレインシミュレータ632には、仮想車両に搭載される仮想パワートレインに対するスロットル開度指令信号Thに応じて、仮想パワートレインの仮想出力軸に発生するトルクに相当する車軸トルク信号Tshaftを生成するものを用いる。また車体シミュレータ633では、タイヤ試験ユニット1において現実のタイヤTの状態に応じて生成された力センサ39の検出信号F5と、パワートレインシミュレータ632の出力である車軸トルク信号Tshaftと、を入力として用いて、仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによってアクチュエータ32,37,38への入力信号を生成する。以上のように本発明では、車体シミュレータ633において仮想車両の挙動を模擬する際には、現実のタイヤTの状態に応じた検出信号F5に加えて、パワートレインシミュレータ632にスロットル開度指令信号Thを入力することによって生成される車軸トルク信号Tshaftを入力として用いることにより、パワートレインの非線形的な入出力特性を加味し、車両の挙動を精度良く再現することができる。
(2)試験装置Sでは、タイヤ回転速度センサ41によって現実のタイヤTの回転速度を検出し、パワートレインシミュレータ632では、スロットル開度指令信号Thに加えてタイヤ回転速度検出信号ωtireに応じて車軸トルク信号Tshaftを生成する。このようにパワートレインシミュレータ632への入力にタイヤ回転速度検出信号ωtireを加えることにより、現実のタイヤTの回転速度と、パワートレインシミュレータ632における仮想出力軸の回転速度とを一致させることができる。またこれにより、パワートレインシミュレータ632では、現実のタイヤTの回転速度に応じた適切な車軸トルク信号Tshaftを生成できるので、車体シミュレータ633における車両の挙動の再現精度をさらに向上できる。
(3)試験装置Sのパワートレインシミュレータ632では、スロットル開度指令信号Th及びタイヤ回転速度検出信号ωtireを入力として、仮想動力発生源から仮想出力軸までの挙動を模擬した演算を行うことによって車軸トルク信号Tshaftを生成し、これを車体シミュレータ633の演算に用いる。これにより、現実のパワートレインを用いることなく演算によって、車体シミュレータ633における車両の挙動の再現精度をさらに向上できる。
(4)パワートレインシミュレータ632のエンジン機械モデルMp1では、仮想エンジンを慣性モーメントJEで特徴付けられた慣性体で模擬し、また出力軸機械モデルMp4では、仮想出力軸を所定のばね剛性K、減衰係数C、及び慣性モーメントJshaftで特徴付けられかつ慣性体と所定の機械モデルMp2,Mp3を介して連結される軸体で模擬する。これにより、車両が仮想する際や減速する際における車体の加速度変化や、パワートレインに含まれる軸要素の振動を再現しながら適切な車軸トルク信号Tshaftを生成することができる。またこれにより、車体シミュレータ633における車両の挙動の再現精度をさらに向上できる。
(5)試験装置Sでは、仮想出力軸を模擬した出力軸機械モデルMp4と仮想エンジンを模擬したエンジン機械モデルMp1とを、仮想トルクコンバータの機械特性を模擬したトルクコンバータ機械モデルMp2と仮想トランスミッションの機械特性を模擬したトランスミッション機械モデルMp3とを介して連結する。これにより、パワートレインシミュレータ632では、これら仮想トルクコンバータや仮想トランスミッションにおける非線形な振る舞いも再現できるので、車両の挙動の再現精度をさらに向上できる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の第2実施形態に係る試験装置SAの説明において、第1実施形態に係る試験装置Sと同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図6は、本実施形態に係る試験装置SAの構成を示す図である。試験装置SAは、第1実施形態で説明したように現実のタイヤTを用いたタイヤ試験ユニット1と、現実のパワートレインを用いたパワートレイン試験ユニット7と、これらタイヤ試験ユニット1及びパワートレイン試験ユニット7を制御する総括制御装置6Aと、を備える。第1実施形態の試験装置Sでは、仮想パワートレイン要素の挙動をパワートレインシミュレータ632における演算によって再現した。これに対し本実施形態の試験装置SAでは、パワートレイン試験ユニット7によって現実のパワートレイン要素の挙動を再現する点において、第1実施形態の試験装置Sと異なる。
図7は、現実のパワートレインWを用いたパワートレイン試験ユニット7の構成を示す図である。
パワートレインWは、実動力発生源としてのエンジンEと、パワートレインWが搭載される仮想車両の左駆動輪が接続される左出力軸SLと、この仮想車両の右駆動輪が接続される右出力軸SRと、エンジンEで発生した動力を左出力軸SL及び右出力軸SRに伝達するトルクコンバータ及びトランスミッション等を組み合わせて構成される動力伝達機構PTと、を備える。なお本実施形態では、タイヤ試験ユニット1で用いられる現実のタイヤTは、パワートレインWの右出力軸SRに接続される右駆動輪に相当するものとするが、本発明はこれに限らない。
パワートレイン試験ユニット7は、パワートレインWと、パワートレインWの各出力軸SL,SRに連結された左動力計71L及び右動力計71Rと、各動力計71L,71Rに電力を供給する左インバータ32L及び右インバータ32Rと、各動力計71L,71Rにおける軸の回転速度を検出する左回転速度検出器73L及び右回転速度検出器73Rと、右出力軸SRに発生する軸トルクを検出する軸トルク検出器74Rと、左インバータ72Lへ左トルク電流指令信号を入力する左動力計制御装置75Lと、右インバータ72Rへ右トルク電流指令信号を入力する右動力計制御装置75Rと、パワートレインWのエンジンEを制御するエンジン制御装置76と、を備える。
左回転速度検出器73Lは、左動力計71Lの出力軸の回転速度である左回転速度を検出し、この左回転速度に応じた左車軸速度検出信号ωLを発生する。右回転速度検出器73Rは、右動力計71Rの出力軸の回転速度である右回転速度を検出し、この右回転速度に応じた右車軸速度検出信号ωRを発生する。
右軸トルク検出器74Rは、右出力軸SRに発生する捩れトルクを検出し、この捩れトルクに応じた軸トルク検出信号を発生し、これを車軸トルク信号Tshaftとして総括制御装置6Aへ送信する。
エンジン制御装置76は、第1実施形態の総括制御装置6におけるスロットル開度指令演算部62と同様の手順により、エンジンEのスロットル開度に対する指令に相当するスロットル開度指令信号Thを生成する。より具体的には、エンジン制御装置76は、予め定められた車速指令信号V_cmdと、総括制御装置6Aにおける演算によって算出される仮想車両の車体速度信号Vxとの偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるようにスロットル開度指令信号Thを生成し、現実のエンジンEへ入力する。エンジンEは、このスロットル開度指令信号Thに応じた量の空気と燃料の混合気を燃焼させることによって信号Thに応じた動力を発生する。エンジンEで発生した動力は、動力伝達機構PTを介して各出力軸SL,SRに伝達され、これらを回転させる。
左動力計制御装置75Lは、左車軸速度検出信号ωLと所定の左回転速度に対する目標とが一致するように左回転速度を制御するための左トルク電流指令信号を生成し、これを左インバータ72Lへ入力する。左インバータ72Lは、左トルク電流指令信号に応じた電力を左動力計71Lに供給する。
右動力計制御装置75Rは、右車軸速度検出信号ωRとタイヤ試験ユニット1において検出される現実のタイヤTの回転速度に相当するタイヤ回転速度検出信号ωtireとが一致するように右回転速度を制御するための右トルク電流指令信号を生成し、これを右インバータ72Rへ入力する。
以上のように、パワートレイン試験ユニット7では、総括制御装置6Aによって算出される車体速度信号Vxに基づいて算出したスロットル開度指令信号Thを現実のエンジンEに入力することによって出力軸SL,SRを回転させながら、同時にタイヤ試験ユニット1における現実のタイヤTの回転速度を右回転速度に対する目標として右動力計71Rの回転速度を制御したときに右軸トルク検出器74Rによって生成される車軸トルク信号Tshaftを総括制御装置6Aにフィードバックする。
図8は、総括制御装置6Aの機能ブロック図である。総括制御装置6Aには、ステアリング角指令演算部61と、車両モデル演算部63Aと、スリップ角コントローラ65と、垂直荷重コントローラ66と、キャンバー角コントローラ67と、タイヤ速度コントローラ68と、ベルトコントローラ69とが、上記ハードウェアによって構成されている。
車両モデル演算部63Aは、ステアリング角指令信号θSTと、車軸トルク信号Tshaftと、力センサ39の5つの検出信号F5と、を入力として用いて、仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによって、スリップ角指令信号θSA_cmdと、垂直荷重指令信号Fz_cmdと、キャンバー角指令信号θCA_cmdと、タイヤ速度指令信号ωtire_cmdと、を生成する。
より具体的には、車両モデル演算部63Adeha、仮想車両を構成する複数の装置を、仮想ステアリングシステム要素と、現実のパワートレインW及びタイヤTと、これら仮想ステアリングシステム要素とパワートレインW及びタイヤT以外の残余装置によって構成される仮想車体要素と、に分けるとともに、各要素の挙動を別々の演算によって再現することにより、仮想車両全体の挙動を再現する。
車両モデル演算部63Aには、ステアリングシミュレータ631と、仮想車体要素の挙動を演算によって再現する車体シミュレータ633Aと、が構成されている。
車体シミュレータ633Aでは、仮想車両の残余装置、より具体的には、仮想車両の車体、仮想車両のタイヤT以外の残余タイヤ、これらタイヤT及び残余タイヤと車体とを連結するサスペンション要素等の入出力特性を、演算によって再現する。より具体的には、車体シミュレータ633Aでは、力センサ39の5つの検出信号F5と、パワートレイン試験ユニット7によって得られた車軸トルク信号Tshaftと、が入力されると、上記残余装置の入出力特性を模擬した演算を行うことによって、仮想車両におけるタイヤTに作用する垂直荷重と、タイヤTのキャンバー角と、タイヤTの回転速度と、仮想車体のヨー角と、仮想車体の速度と、を算出する。また車体シミュレータ633Aでは、算出した垂直荷重を垂直荷重指令信号Fz_cmdとし、キャンバー角をキャンバー角指令信号θCA_cmdとし、回転速度をタイヤ速度指令信号ωtire_cmdとして、各々を垂直荷重コントローラ66、キャンバー角コントローラ67、及びタイヤ速度コントローラ68へ入力する。さらに車体シミュレータ633Aでは、算出した仮想車体のヨー角を車体ヨー角信号θTYとし、仮想車体の速度を車体速度信号Vxとして、各々をステアリング角指令演算部61及びパワートレイン試験ユニット7へ入力する。
本実施形態の試験装置SAによれば、以下の効果を奏する。
(6)試験装置SAでは、車速指令信号V_cmd及びタイヤ回転速度検出信号ωtireに応じて車軸トルク信号Tshaftを生成するパワートレイン要素を、現実のパワートレインWを用いたパワートレイン試験ユニット7によって構成する。より具体的には、パワートレイン試験ユニット7を、現実のパワートレインWと、このパワートレインWの右出力軸SRに連結された右動力計71Rと、右動力計71Rの回転速度に応じた右車軸速度検出信号ωRを発生する右回転速度検出器73Rと、この右車軸速度検出信号ωRとタイヤ回転速度検出信号ωtireとが一致するように右動力計71Rの回転速度を制御する右動力計制御装置75Rと、右出力軸SRに発生するトルクに応じた信号を車軸トルク信号Tshaftとして生成する右軸トルク検出器74Rと、を含んで構成する。試験装置SAによれば、現実のパワートレインWを駆動して得られる右軸トルク検出器74Rの検出信号を車軸トルク信号Tshaftとして用いることにより、第1実施形態の試験装置Sのように演算によってパワートレインの挙動を模擬した場合よりも、車両の挙動の再現精度をさらに向上できる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の第2実施形態に係る試験装置SBの説明において、第1実施形態に係る試験装置Sと同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9は、本実施形態に係る試験装置SBの構成を示す図である。
試験装置SBは、現実の左タイヤTLを用いた左タイヤ試験ユニット1Lと、現実の右タイヤTRを用いた右タイヤ試験ユニット1Rと、左及び右タイヤ試験ユニット1L,1Rを制御する総括制御装置6Bと、を備える。第1及び第2実施形態では、試験装置が備えるタイヤ試験ユニットの数は1つとし、またタイヤ試験ユニットで用いられる現実のタイヤは、仮想車両の4つのタイヤのうちの1つとした場合について説明した。これに対し本実施形態の試験装置SBは、2組のタイヤ試験ユニット1L,1Rを備え、各試験ユニット1L,1Rで用いられる現実のタイヤTL,TRは、前輪駆動(FWD)の仮想車両の4つのタイヤのうち、前側の左右のタイヤとする点において、第1実施形態と異なる。
左タイヤ試験ユニット1Lは、現実の左タイヤTLを左模擬路面(図示せず)上で運動させる複数の左アクチュエータ(図示せず)及び左模擬路面上で運動する左タイヤTLの状態に応じた左タイヤ状態信号を生成する複数のセンサ(図示せず)を備える。右タイヤ試験ユニット1Rは、現実の右タイヤTRを右模擬路面(図示せず)上で運動させる複数の右アクチュエータ(図示せず)及び右模擬路面上で運動する右タイヤTRの状態に応じた右タイヤ状態信号を生成する複数のセンサ(図示せず)を備える。なお、これら左タイヤ試験ユニット1L及び右タイヤ試験ユニット1Rの具体的な構成は、それぞれ第1実施形態の試験装置Sにおけるタイヤ試験ユニット1と同じであるので、詳細な説明を省略する。
総括制御装置6Bは、現実のタイヤTL,TRを左右駆動輪として模擬路面上を走行する前輪駆動(FWD)の仮想車両の挙動を、タイヤ試験ユニット1L,1Rに設けられた複数のセンサの検出信号を入力として模擬することにより、タイヤ試験ユニット1L,1Rに設けられた複数のアクチュエータへの入力信号を生成し、これら入力信号を各アクチュエータに入力する。
総括制御装置6Bには、ステアリング角指令演算部61と、スロットル開度指令演算部62と、車両モデル演算部63Bと、左スリップ角コントローラ65Lと、左タイヤコントローラ66Lと、右スリップ角コントローラ65Rと、右タイヤコントローラ66Rと、が構成されている。
車両モデル演算部63Bは、ステアリング角指令信号θSTと、スロットル開度指令信号Thと、左タイヤ試験ユニット1Lから送信される左タイヤ状態信号と、右タイヤ試験ユニット1Rから送信される右タイヤ状態信号と、を入力として用いて、仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによって、タイヤ試験ユニット1L,1Rの各アクチュエータへの入力信号に対する指令信号を生成する。
より具体的には、車両モデル演算部63Bでは、仮想車両を構成する複数の装置を、仮想ステアリングシステム要素と、仮想パワートレイン要素と、現実のタイヤTL,TRと、これら仮想ステアリングシステム要素、仮想パワートレイン要素、及びタイヤTL,TR以外の残余装置によって構成される仮想車体要素と、に分けるとともに、各要素の挙動を別々の演算によって再現することにより、仮想車両全体の挙動を再現する。車両モデル演算部63Bには、ステアリングシミュレータ631Bと、仮想パワートレイン要素の挙動を演算によってパワートレインシミュレータ632Bと、車体シミュレータ633Bと、が構成されている。
ステアリングシミュレータ631Bでは、ステアリング角指令演算部61によって算出されたステアリング角指令信号θSTが入力されると、仮想ステアリングシステム要素の入出力特性を模擬した演算を行うことによってステアリング角指令信号θSTに応じたスリップ角指令信号θSA_cmdを生成し、これを左右スリップ角コントローラ65L,65Rへ入力する。
パワートレインシミュレータ632Bでは、スロットル開度指令演算部62によって算出されたスロットル開度指令信号Thと、図示しない処理によって算出された仮想的な動力発生源であるエンジンの回転数ωengと、左右のタイヤ状態信号と、を含む複数の入力信号が入力されると、図5に示すようなパワートレインモデルを用いて、上記仮想パワートレイン要素における仮想エンジンから左右の仮想出力軸までの挙動を模擬した演算を行うことによってこれら入力信号に応じた左右の車軸トルク信号TshaftL,TshaftRを生成し、これらを車体シミュレータ633Bへ入力する。
車体シミュレータ633Bでは、左右のタイヤ試験ユニット1L,1Rから送信されるタイヤ状態信号と、パワートレインシミュレータ632Bによって算出された車軸トルク信号TshaftL,TshaftRと、が入力されると、残余装置の入出力特性を模擬した演算を行うことによって、仮想車両における左右タイヤTL,TRに作用する垂直荷重と、タイヤTL,TRのキャンバー角と、タイヤTL,TRの回転速度と、仮想車体のヨー角と、仮想車体の速度と、を算出する。また車体シミュレータ633Bでは、算出した左右の垂直荷重、左右のキャンバー角、並びに左右の回転速度を指令信号として、左右のタイヤ試験ユニット1L,1Rのコントローラ66L,66Rへ入力する。
左スリップ角コントローラ65Lは、車両モデル演算部63Bによって算出されるスリップ角指令信号θSA_cmdと、左タイヤ試験ユニット1Lから送信されるスリップ角検出信号との偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように左タイヤ試験ユニット1Lのスリップ角アクチュエータへの入力信号を生成し、同アクチュエータへ入力する。
右スリップ角コントローラ65Rは、車両モデル演算部63Bによって算出されるスリップ角指令信号θSA_cmdと、右タイヤ試験ユニット1Rから送信されるスリップ角検出信号との偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように右タイヤ試験ユニット1Rのスリップ角アクチュエータへの入力信号を生成し、同アクチュエータへ入力する。
左タイヤコントローラ66Lは、車両モデル演算部63Bによって算出される左タイヤの垂直荷重、キャンバー角、及び回転速度に対する指令信号と左タイヤ試験ユニット1Lから送信される左タイヤ状態信号との偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように左タイヤ試験ユニット1Lの各種アクチュエータへの入力信号を生成し、同アクチュエータへ入力する。
右タイヤコントローラ66Rは、車両モデル演算部63Bによって算出される右タイヤの垂直荷重、キャンバー角、及び回転速度に対する指令信号と右タイヤ試験ユニット1Rから送信される右タイヤ状態信号との偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように右タイヤ試験ユニット1Rの各種アクチュエータへの入力信号を生成し、同アクチュエータへ入力する。
本実施形態の試験装置SBによれば、以下の効果を奏する。
(7)試験装置SBでは、左タイヤ試験ユニット1L及び右タイヤ試験ユニット1Rへの各々のアクチュエータへの入力信号を、パワートレインシミュレータ632B及び車体シミュレータ633Bを備える総括制御装置6Bによって生成する。試験装置SBでは、車体シミュレータ633Bにおいて仮想車両の挙動を模擬する際には、現実の左右タイヤTL,TRの状態に応じた左右タイヤ状態信号に加えて、パワートレインシミュレータ632Bにスロットル開度指令信号Thを入力することによって生成される左右の車軸トルク信号TshaftL,TshaftRを入力として用いることにより、パワートレインの非線形的な入出力特性を加味し、車両の挙動を精度良く再現することができる。また試験装置SBでは、左右のタイヤ試験ユニット1L,1Rを用いることにより、FWDの車両における左右のタイヤのバランスをより詳細に再現することができる。
なお上記実施形態では、仮想車両をFWDの車両とし、タイヤTL,TRをこの仮想車両における左右の前輪とした場合について説明したが、本発明はこれに限らない。仮想車両はRWDの車両とし、タイヤTL,TRをこの仮想車両における左右の後輪としてもよい。
また、上記実施形態では、2つの車軸トルク信号TshaftL,TshaftRを、パワートレインシミュレータ632Bを用いて演算によって生成する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。第2実施形態と同様に、パワートレインシミュレータ632Bの代わりに、現実の車両に搭載されるパワートレインを用いたパワートレイン試験ユニットによって、2つの車軸トルク信号TshaftL,TshaftRを生成してもよい。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の第4実施形態に係る試験装置SCの説明において、第1実施形態に係る試験装置Sと同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図10は、本実施形態に係る試験装置SCの構成を示す図である。
試験装置SCは、現実の左前タイヤTFLを用いた左前タイヤ試験ユニット1FLと、現実の右前タイヤTFRを用いた右前タイヤ試験ユニット1FRと、現実の左後タイヤTRLを用いた左後タイヤ試験ユニット1RLと、現実の右後タイヤTRRを用いた右後タイヤ試験ユニット1RRと、これら試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRを制御する総括制御装置6Cと、を備える。本実施形態の試験装置SCは、4組のタイヤ試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRを備え、各試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRで用いられる現実タイヤTFL,TFR,TRL,TRRは、四輪駆動(AWD)の仮想車両の4つのタイヤとする点において、第1実施形態と異なる。
左前タイヤ試験ユニット1FLは、現実の左前タイヤTFLを左前模擬路面(図示せず)上で運動させる複数の左前アクチュエータ(図示せず)及び左前模擬路面上で運動する左前タイヤTFLの状態に応じた左前タイヤ状態信号を生成する複数のセンサ(図示せず)を備える。右前タイヤ試験ユニット1FRは、現実の右前タイヤTFRを右前模擬路面(図示せず)上で運動させる複数の右前アクチュエータ(図示せず)及び右前模擬路面上で運動する右前タイヤTFRの状態に応じた右前タイヤ状態信号を生成する複数のセンサ(図示せず)を備える。左後タイヤ試験ユニット1RLは、現実の左後タイヤTRLを左後模擬路面(図示せず)上で運動させる複数の左後アクチュエータ(図示せず)及び左後模擬路面上で運動する左後タイヤTRLの状態に応じた左後タイヤ状態信号を生成する複数のセンサ(図示せず)を備える。右後タイヤ試験ユニット1RRは、現実の右後タイヤTRRを右後模擬路面(図示せず)上で運動させる複数の右後アクチュエータ(図示せず)及び右後模擬路面上で運動する右後タイヤTRRの状態に応じた右後タイヤ状態信号を生成する複数のセンサ(図示せず)を備える。なお、これらタイヤ試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRの具体的な構成は、それぞれ第1実施形態の試験装置Sにおけるタイヤ試験ユニット1と同じであるので、詳細な説明を省略する。
総括制御装置6Cは、現実のタイヤTFL,TFRを左右の前側駆動輪とし、現実のタイヤTRL,TRRを後側駆動輪として模擬路面上を走行する四輪駆動(AWD)の仮想車両の挙動を、タイヤ試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRに設けられた複数のセンサの検出信号を入力として模擬することにより、タイヤ試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRに設けられた複数のアクチュエータへの入力信号を生成し、これら入力信号を各アクチュエータに入力する。
総括制御装置6Cには、ステアリング角指令演算部61と、スロットル開度指令演算部62と、車両モデル演算部63Cと、左スリップ角コントローラ65Lと、左前タイヤコントローラ66FLと、右スリップ角コントローラ65Rと、右前タイヤコントローラ66FRと、左後タイヤコントローラ66RLと、右後タイヤコントローラ66RRと、が構成されている。
車両モデル演算部63Cは、ステアリング角指令信号θSTと、スロットル開度指令信号Thと、各タイヤ試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRから送信されるタイヤ状態信号と、を入力として用いて、仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによって、タイヤ試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRの各アクチュエータへの入力信号に対する指令信号を生成する。
より具体的には、車両モデル演算部63Cでは、仮想車両を構成する複数の装置を、仮想ステアリングシステム要素と、仮想パワートレイン要素と、現実のタイヤTFL,TFR,TRL,TRRと、これら仮想ステアリングシステム要素、仮想パワートレイン要素、及びタイヤTFL,TFR,TRL,TRR以外の残余装置によって構成される仮想車体要素と、に分けるとともに、各要素の挙動を別々の演算によって再現することにより、仮想車両全体の挙動を再現する。車両モデル演算部63Cには、ステアリングシミュレータ631Cと、仮想パワートレイン要素の挙動を演算によってパワートレインシミュレータ632Cと、車体シミュレータ633Cと、が構成されている。
ステアリングシミュレータ631Cでは、ステアリング角指令演算部61によって算出されたステアリング角指令信号θSTが入力されると、仮想ステアリングシステム要素の入出力特性を模擬した演算を行うことによってステアリング角指令信号θSTに応じたスリップ角指令信号θSA_cmdを生成し、これを左右スリップ角コントローラ65L,65Rへ入力する。
パワートレインシミュレータ632Cでは、スロットル開度指令演算部62によって算出されたスロットル開度指令信号Thと、図示しない処理によって算出された仮想的な動力発生源であるエンジンの回転数ωengと、前後左右のタイヤ状態信号と、を含む複数の入力信号が入力されると、図5に示すようなパワートレインモデルを用いて、上記仮想パワートレイン要素における仮想エンジンから左右の仮想出力軸までの挙動を模擬した演算を行うことによってこれら入力信号に応じた前後左右の車軸トルク信号TshaftFL,TshaftFR,TshaftRL,TshaftRRを生成し、これらを車体シミュレータ633Cへ入力する。
車体シミュレータ633Cでは、左右のタイヤ試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRから送信されるタイヤ状態信号と、パワートレインシミュレータ632Cによって算出された車軸トルク信号TshaftFL,TshaftFR,TshaftRL,TshaftRRと、が入力されると、残余装置の入出力特性を模擬した演算を行うことによって、仮想車両における前後左右タイヤTFL,TFR,TRL,TRRに作用する垂直荷重と、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRのキャンバー角と、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの回転速度と、仮想車体のヨー角と、仮想車体の速度と、を算出する。また車体シミュレータ633Cでは、算出した前後左右の垂直荷重、前後左右のキャンバー角、並びに前後左右の回転速度を指令信号として、前後左右のタイヤ試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRのコントローラ66FL,66FR,66RL,66RRへ入力する。
左スリップ角コントローラ65Lは、車両モデル演算部63Cによって算出されるスリップ角指令信号θSA_cmdと、左前タイヤ試験ユニット1FLから送信されるスリップ角検出信号との偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように左前タイヤ試験ユニット1FLのスリップ角アクチュエータへの入力信号を生成し、同アクチュエータへ入力する。
右スリップ角コントローラ65Rは、車両モデル演算部63Cによって算出されるスリップ角指令信号θSA_cmdと、右前タイヤ試験ユニット1FRから送信されるスリップ角検出信号との偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように右前タイヤ試験ユニット1FRのスリップ角アクチュエータへの入力信号を生成し、同アクチュエータへ入力する。
左前タイヤコントローラ66FLは、車両モデル演算部63Cによって算出される左前タイヤの垂直荷重、キャンバー角、及び回転速度に対する指令信号と左前タイヤ試験ユニット1FLから送信される左前タイヤ状態信号との偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように左前タイヤ試験ユニット1FLの各種アクチュエータへの入力信号を生成し、同アクチュエータへ入力する。
右前タイヤコントローラ66FRは、車両モデル演算部63Cによって算出される右前タイヤの垂直荷重、キャンバー角、及び回転速度に対する指令信号と右前タイヤ試験ユニット1FRから送信される右前タイヤ状態信号との偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように右前タイヤ試験ユニット1FRの各種アクチュエータへの入力信号を生成し、同アクチュエータへ入力する。
左後タイヤコントローラ66RLは、車両モデル演算部63Cによって算出される左後タイヤの垂直荷重、キャンバー角、及び回転速度に対する指令信号と左後タイヤ試験ユニット1RLから送信される左後タイヤ状態信号との偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように左後タイヤ試験ユニット1RLの各種アクチュエータへの入力信号を生成し、同アクチュエータへ入力する。
右後タイヤコントローラ66RRは、車両モデル演算部63Cによって算出される右後タイヤの垂直荷重、キャンバー角、及び回転速度に対する指令信号と右後タイヤ試験ユニット1RRから送信される右後タイヤ状態信号との偏差に基づくPI制御によって、この偏差が無くなるように右後タイヤ試験ユニット1RRの各種アクチュエータへの入力信号を生成し、同アクチュエータへ入力する。
本実施形態の試験装置SCによれば、以下の効果を奏する。
(8)試験装置SCでは、左前タイヤ試験ユニット1FL、右前タイヤ試験ユニット1FR、左後タイヤ試験ユニット1RL、及び右後タイヤ試験ユニット1RRの各々のアクチュエータへの入力信号を、パワートレインシミュレータ632C及び車体シミュレータ633Cを備える総括制御装置6Cによって生成する。試験装置SCでは、車体シミュレータ633Cにおいて仮想車両の挙動を模擬する際には、現実の前後左右タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの状態に応じた前後左右タイヤ状態信号に加えて、パワートレインシミュレータ632Cにスロットル開度指令信号Thを入力することによって生成される前後左右の車軸トルク信号TshaftFL,TshaftFR,TshaftRL,TshaftRRを入力として用いることにより、パワートレインの非線形的な入出力特性を加味し、車両の挙動を精度良く再現することができる。また試験装置SCでは、前後左右のタイヤ試験ユニット1FL,1FR,1RL,1RRを用いることにより、AWDの車両における前後左右のタイヤTFL,TFR,TRL,TRRのバランスをより詳細に再現することができる。
なお、上記実施形態では、4つの車軸トルク信号TshaftFL,TshaftFR,TshaftRL,TshaftRRを、パワートレインシミュレータ632Cを用いて演算によって生成する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。第2実施形態と同様に、パワートレインシミュレータ632Cの代わりに、現実の4輪駆動の車両に搭載されるパワートレインを用いたパワートレイン試験ユニットによって、4つの車軸トルク信号TshaftFL,TshaftFR,TshaftRL,TshaftRRを生成してもよい。
S,SA,SB,SC…試験装置
T,TL,TR,TFL,TFR,TRL,TRR…タイヤ
1,1L,1R,1FL,1FR,1RL,1RR…タイヤ試験ユニット
W…パワートレイン(実パワートレイン)
SR…右出力軸(実出力軸)
25a…模擬路面
32…キャンバー角調整アクチュエータ
37…垂直荷重調整アクチュエータ
38…タイヤ駆動アクチュエータ
39…力センサ(状態検出手段)
41…タイヤ回転速度センサ(実速度検出器)
6,6A,6B,6C…総括制御装置(制御装置)
632,632B,632C…パワートレインシミュレータ(パワートレイン要素)
7…パワートレイン試験ユニット(パワートレイン要素)
633,633B,633C…車体シミュレータ

Claims (8)

  1. 現実のタイヤを模擬路面上で運動させるアクチュエータ及び前記模擬路面上で運動する前記タイヤの状態に応じたタイヤ状態信号を生成する状態検出手段を備えるタイヤ試験ユニットと、
    前記タイヤを駆動輪とした仮想車両の挙動を、前記タイヤ状態信号を入力として模擬することにより、前記アクチュエータへの入力信号を生成する制御装置と、を備える試験装置であって、
    前記制御装置は、
    前記仮想車両に搭載される仮想パワートレイン又は実パワートレインに対する指令信号に応じて、前記仮想パワートレインの仮想出力軸又は前記実パワートレインの実出力軸に発生するトルクに相当する車軸トルク信号を生成するパワートレイン要素と、
    前記タイヤ状態信号及び前記車軸トルク信号を入力として用いて、前記仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによって前記入力信号を生成する車体シミュレータと、を備えることを特徴とする試験装置。
  2. 前記状態検出手段は、前記模擬路面上における前記タイヤの回転速度に応じた実回転速度信号を発生する実速度検出器を備え、
    前記パワートレイン要素は、前記指令信号及び前記実回転速度信号に応じて前記車軸トルク信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
  3. 前記パワートレイン要素は、前記指令信号及び前記実回転速度信号を入力として用いて、前記仮想パワートレインの仮想動力発生源から前記仮想出力軸までの挙動を模擬した演算を行うことによって前記車軸トルク信号を生成するパワートレインシミュレータであることを特徴とする請求項2に記載の試験装置。
  4. 前記パワートレインシミュレータは、
    前記仮想動力発生源を、所定の慣性モーメントで特徴付けられかつ前記指令信号に応じて定められたトルクが入力される慣性体で模擬し、
    前記仮想出力軸を、所定のばね剛性、減衰係数、及び慣性モーメントで特徴付けられかつ前記慣性体と所定の入出力特性を有する機械要素を介して連結される軸体で模擬することを特徴とする請求項3に記載の試験装置。
  5. 前記機械要素は、前記仮想動力発生源とその入力側で連結された仮想トルクコンバータと、前記仮想トルクコンバータの出力側とその入力側で連結されかつ前記仮想出力軸とその出力側で連結された仮想トランスミッションと、を備えることを特徴とする請求項4に記載の試験装置。
  6. 前記実パワートレインは、前記指令信号に応じた動力を発生し、当該動力によって前記実出力軸を回転させる実動力発生源を備え、
    前記パワートレイン要素は、
    前記実出力軸に連結された動力計と、
    前記実出力軸又は前記動力計の回転速度に応じた車軸速度信号を発生する車軸回転速度検出器と、
    前記車軸速度信号と前記実回転速度信号とが一致するように前記動力計の回転速度を制御する速度制御装置と、
    前記実出力軸に発生するトルクに応じた信号を前記車軸トルク信号として生成する車軸トルク検出器と、を備えるパワートレイン試験ユニットであることを特徴とする請求項2に記載の試験装置。
  7. 現実の左タイヤを左模擬路面上で運動させる左アクチュエータ及び前記左模擬路面上で運動する前記左タイヤの状態に応じた左タイヤ状態信号を生成する左状態検出手段を備える左タイヤ試験ユニットと、
    現実の右タイヤを右模擬路面上で運動させる右アクチュエータ及び前記右模擬路面上で運動する前記右タイヤの状態に応じた右タイヤ状態信号を生成する右状態検出手段を備える右タイヤ試験ユニットと、
    前記左及び右タイヤを左右駆動輪とした仮想車両の挙動を、前記左及び右タイヤ状態信号を入力として模擬することにより、前記左及び右アクチュエータへの入力信号を生成する制御装置と、を備える試験装置であって、
    前記制御装置は、
    前記仮想車両に搭載される仮想パワートレイン又は実パワートレインに対する指令信号に応じて、前記仮想パワートレインの仮想左出力軸及び仮想右出力軸又は前記実パワートレインの実左出力軸及び実右出力軸に発生するトルクに相当する左車軸トルク信号及び右車軸トルク信号を生成するパワートレイン要素と、
    前記左及び右タイヤ状態信号並びに前記左及び右車軸トルク信号を入力として用いて、前記仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによって前記入力信号を生成する車体シミュレータと、を備えることを特徴とする試験装置。
  8. 現実の左前タイヤを左前模擬路面上で運動させる左前アクチュエータ及び前記左前模擬路面上で運動する前記左前タイヤの状態に応じた左前タイヤ状態信号を生成する左前状態検出手段を備える左前タイヤ試験ユニットと、
    現実の右前タイヤを右前模擬路面上で運動させる右前アクチュエータ及び前記右前模擬路面上で運動する前記右前タイヤの状態に応じた右前タイヤ状態信号を生成する右前状態検出手段を備える右前タイヤ試験ユニットと、
    現実の左後タイヤを左後模擬路面上で運動させる左後アクチュエータ及び前記左後模擬路面上で運動する前記左後タイヤの状態に応じた左後タイヤ状態信号を生成する左後状態検出手段を備える左後タイヤ試験ユニットと、
    現実の右後タイヤを右後模擬路面上で運動させる右後アクチュエータ及び前記右後模擬路面上で運動する前記右後タイヤの状態に応じた右後タイヤ状態信号を生成する右後状態検出手段を備える右後タイヤ試験ユニットと、
    前記左前、右前、左後、及び右後タイヤを駆動輪とした仮想車両の挙動を、前記左前、右前、左後、及び右後タイヤ状態信号を入力として模擬することにより、前記左前、右前、左後、及び右後アクチュエータへの入力信号を生成する制御装置と、を備える試験装置であって、
    前記制御装置は、
    前記仮想車両に搭載される仮想パワートレイン又は実パワートレインに対する指令信号に応じて、前記仮想パワートレインの仮想左前出力軸、仮想右前出力軸、仮想左後出力軸、及び仮想右後出力軸又は前記実パワートレインの実左前出力軸、実右前出力軸、実左後出力軸、及び実右後出力軸に発生するトルクに相当する左前車軸トルク信号、右前車軸トルク信号、左後車軸トルク信号、及び右後車軸トルク信号を生成するパワートレイン要素と、
    前記左前、右前、左後、及び右後タイヤ状態信号並びに前記左前、右前、左後、及び右後車軸トルク信号を入力として用いて、前記仮想車両の挙動を模擬した演算を行うことによって前記入力信号を生成する車体シミュレータと、を備えることを特徴とする試験装置。
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