JP2018145699A - 柱と梁との接合構造および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】梁端部を支持するサポート部材を不要とし、かつ、梁の上に簡易に上部柱を接続することのできる、柱と梁との接合構造および方法を提供する。【解決手段】柱と梁との接合構造(1)は、柱(11)と、柱の上面から突出する第1の棒材(15)と、第1の棒材から離れて配置され、柱の上面から突出する第2の棒材(16)と、第1の棒材を挿通させる貫通孔(19)を一方端部に有し、該一方端部が柱の上面に載置される第1の梁(13)と、第2の棒材を挿通させる貫通孔(20)を一方端部に有し、該一方端部が柱の上面に載置される第2の梁(14)とを備える。この接合構造において、第1の棒材(15)および第2の棒材(16)は、第1の梁(13)および第2の梁(14)を貫通して突き抜ける長さを有している。【選択図】図1

Description

本発明は、建物の壁の一部を構成するプレキャストコンクリート製の柱と梁との接合構造および方法に関する。
国際公開第2016/098798A1号公報(特許文献1)には、プレキャストコンクリート製の耐力負担壁体の上下端にそれぞれ埋め込み状態で設けられた接合金物と、耐力負担壁体の上下端を繋ぐプレキャストコンクリート製の梁とがボルトによって締結された建物の壁構造が開示されている。接合金物は、耐力負担壁体の壁面に開口し壁厚方向に延びる中空部を有し、この中空部内に、ボルトの頭部またはボルトに螺合するナットが位置する。
特開2005−139811号公報(特許文献2)には、壁または柱材であるプレキャストコンクリート部材から2本のアンカーバーを突設し、梁または床版として載置する上方プレキャストコンクリート部材に、アンカーバーが挿通される鋼管を埋設したプレキャストコンクリート部材の接合構造が開示されている。
国際公開第2016/098798A1号公報 特開2005−139811号公報
特許文献1の壁構造においては、長手方向において隣接する梁同士の接合部は、柱と梁との接合部から少し離れた場所に設けられている。この場合、梁同士の接合作業時、および、梁間のコンクリートが固まるまでの間、柱と梁との接合部から遠い方の梁の端部を下方から支持するサポート部材が必要となる。そのため、より効率的に梁同士の接合を行える技術が望まれていた。
また、特許文献2では、柱とその上に載せられる梁との接合構造が開示されているだけであるため、梁の上にさらに柱などのプレキャストコンクリート部材を接続する場合、別途、梁と上側のプレキャストコンクリート部材とを接続するためのボルト等が必要となる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、梁端部を支持するサポート部材を不要とし、かつ、梁の上に簡易にプレキャストコンクリート部材(上部柱)を接続することのできる、柱と梁との接合構造および方法を提供することである。
この発明のある局面に従う柱と梁との接合構造は、建物の壁の一部を構成するプレキャストコンクリート製の柱と、柱の上面から突出する第1の棒材と、第1の棒材から離れて配置され、柱の上面から突出する第2の棒材と、第1の棒材を挿通させる貫通孔を一方端部に有し、該一方端部が柱の上面に載置されるプレキャストコンクリート製の第1の梁と、第2の棒材を挿通させる貫通孔を一方端部に有し、該一方端部が柱の上面に載置されるプレキャストコンクリート製の第2の梁とを備える。この接合構造において、第1の棒材および第2の棒材は、第1の梁および第2の梁を貫通して突き抜ける長さを有している。
好ましくは、柱と梁との接合構造は、第1の梁および第2の梁の上に載置されるプレキャストコンクリート製の上部柱をさらに備える。上部柱は、第1の梁から突出する第1の棒材に係合する第1係合部材と、第2の梁から突出する第2の棒材に係合する第2係合部材とを含む。
好ましくは、第1の棒材および第2の棒材は、ボルトである。この場合、第1係合部材および第2係合部材は、ボルトに係合するナットであることが望ましい。
第1の棒材および第2の棒材が、ボルトである場合、柱には、第1の棒材に係合する第1のナットと、第2の棒材に係合する第2のナットとが埋め込まれていることが望ましい。
好ましくは、第1の梁および第2の梁に設けられた貫通孔は、ルーズ孔である。この場合、第1の棒材と貫通孔との間の隙間、および、第2の棒材と貫通孔との間の隙間が、充填剤により埋められていることが望ましい。
好ましくは、第1の梁の一方端部の端面と第2の梁の一方端部の端面とは、互いに離れて配置されている。この場合、柱と梁との接合構造は、第1の梁の一方端部の端面から突出する第1の突出部材と、第2の梁の一方端部から突出する第2の突出部材とをさらに備え、第1の突出部材と第2の突出部材とが締結されていることが望ましい。
第1の梁の一方端部の端面と第2の梁の一方端部の端面とが、互いに離れて配置されている場合、柱と梁との接合構造は、第1の梁の一方端部の端面から突出する第1の突出部材と、第2の梁の一方端部から突出する第2の突出部材と、柱の上面から突出する第3の突出部材とをさらに備え、第1の突出部材および第2の突出部材と第3の突出部材とが、締結されていることが望ましい。
好ましくは、第1の梁の一方端部の端面と第2の梁の一方端部の端面との間の空間が、充填剤により埋められている。
この発明の他の局面に従う柱と梁との接合方法は、上方に突出する第1の棒材および第2の棒材を上面に有するプレキャストコンクリート製の柱を立てる工程と、一方端部に貫通孔を有するプレキャストコンクリート製の第1の梁を、該貫通孔に第1の棒材を挿通させて柱の上面に載置する工程と、一方端部に貫通孔を有するプレキャストコンクリート製の第2の梁を、該貫通孔に第2の棒材を挿通させて柱の上面に載置する工程とを備える。この接合方法において、第1の棒材および第2の棒材は、第1の梁および第2の梁を貫通して突き抜ける長さを有している。
好ましくは、柱と梁との接合方法は、プレキャストコンクリート製の上部柱を、第1の梁および第2の梁の上に載置する工程をさらに備える。上部柱は、第1の梁から突出する第1の棒材に係合する第1係合部材と、第2の梁から突出する第2の棒材に係合する第2係合部材とを含む。
本発明によれば、第1の梁の一方端部および第2の梁の一方端部が、柱の上面に載置されるため、従来のサポート部材を不要とすることができる。また、柱の上面から突出する第1の棒材および第2の棒材が、第1の梁および第2の梁を貫通して突き抜ける長さを有しているため、第1の梁および第2の梁の上に簡易にプレキャストコンクリート部材(上部柱)を接続することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る柱と梁との接合構造を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る柱と梁との接合方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における柱の上端部を示す斜視図である。 図2のフローチャートの工程P2を表わす斜視図である。 本発明の実施の形態に係る接合用治具に含まれる一方の柱側位置調整部材が、柱の一方面に取り付けられた状態を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る接合用治具に含まれる一方の柱側位置調整部材が、柱の一方面に取り付けられた状態を示す正面図である。 本発明の実施の形態に係る接合用治具に含まれる一方の柱側位置調整部材が、柱の一方面に取り付けられた状態を示す断面図である。 図2のフローチャートの工程P3を表わす正面図である。 図2のフローチャートの工程P3を表わす断面図である。 図2のフローチャートの工程P3を表わす斜視図である。 本発明の実施の形態に係る接合用治具に含まれる梁側位置調整部材が、第1の梁に取り付けられた状態を示すとともに、図2のフローチャートの工程P4を表わす斜視図である。 本発明の実施の形態に係る接合用治具に含まれる他方の柱側位置調整部材が、柱の他方面に取り付けられる様子を示す断面図である。 図2のフローチャートの工程P5を表わす斜視図である。 本発明の実施の形態に係る接合用治具に含まれる型枠が取り付けられた状態を示すとともに、図2のフローチャートの工程P6を表わす斜視図である。 本発明の実施の形態に係る接合用治具に含まれる位置決め部材が取り付けられた状態を示す斜視図である。 本発明の実施の形態における位置決め部材を示す平面図である。 図2のフローチャートの工程P7、P8を表わす斜視図である。 図2のフローチャートの工程P9を表わす斜視図である。 図2のフローチャートの工程P10を表わす斜視図である。 上部柱を設置した後に、シース管にグラウトを注入する場合に採用し得る接続金具の構造例を模式的に示す断面図である。 図20に示した接続金具の底面を模式的に示す断面図である。 上部柱を設置した後に、シース管にグラウトを注入する場合に採用し得る、梁の上面部の構成例を模式的に示す断面図である。 公知の柱と梁との接合構造と、梁同士の接合構造とを模式的に示す断面図である。 (A)は、公知の柱と梁との接合構造を採用する建物の壁の耐力負担構造を模式的に示す図であり、(B)は、本発明の実施の形態に係る柱と梁との接合構造を採用する建物の壁の耐力負担構造を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
本実施の形態において、建物の壁の一部を構成するプレキャストコンクリート製の柱と、その上に位置するプレキャストコンクリート製の梁との接合構造について説明する。建物の壁は、典型的には界壁であり、プレキャストコンクリート製の柱および梁は、界壁の耐力を負担する。なお、建物の壁は、界壁に限定されず、建物の外壁または単なる仕切壁であってもよい。
この明細書において「柱」とは、矩形状断面を有して上下方向に延びる部材であり、四辺が略同寸法の典型的な柱だけでなく、奥行き寸法よりも幅寸法が大きい壁状の柱を含む。なお、柱の幅方向とは、界壁の横幅方向(左右方向)に一致する方向であり、柱の奥行き方向とは、界壁の厚み方向に一致する方向である。
本実施の形態に係る柱と梁との接合構造の説明に先立ち、図23を参照して、公知の柱と梁との接合構造100について簡単に説明する。
図23に示す下側の柱111および上側の柱112はともに、奥行き寸法よりも幅寸法が大きい壁状の柱である。図23に示す矢印A1は界壁の横幅方向であり、柱111,112の幅方向と同じ方向である。柱111の上端部には、2つの接続金具134が幅方向に互いに離れて設けられている。柱112の下端部には、2つの接続金具135が幅方向に互いに離れて設けられている。
公知の接合構造100において、柱111と柱112との間に、界壁の横幅方向に沿って延在する1本の梁121が配置されている。梁121には、予め、上下に突き抜けた2本のアンカーボルト131が埋め込まれている。各アンカーボルト131の下端は、柱111の接続金具134に受け入れられ、接続金具134内に配置されたナット132が締め付けられる。各アンカーボルト131の上端は、接続金具135に受け入れられ、接続金具135内に配置されたナット133が締め付けられる。これにより、上下の柱111,112と梁121とが強固に接合される。
このような接合構造100では、長手方向において隣接する梁121と梁122との接合部140が、柱111,112と梁121との接合部から少し離れた場所に設けられる。接合部140は、各梁121,122の端面から相手側に向かって延びるガセットプレート141と、これらガセットプレート141を接合する高力ボルト142と、梁121,122間の隙間に打設されたコンクリート143とを含む。接合部140による梁121と梁122との接合は剛接合となる。公知の接合構造100を採用する建物の界壁の耐力負担構造を図24(A)に示す。
ここで、接合部140の作業時には、図24(A)に示されるように、梁122の端部を下方から支持するサポート部材151が必要となる。また、コンクリート打設用の型枠152(図23において想像線で示す)を下方から支持する型枠サポート部材(図示せず)も必要となる。サポート部材151および型枠サポート部材は、コンクリート143が完全に固まるまで取り外すことができない。コンクリート143を打設後、完全に固まるまでの期間、すなわちサポート部材151の存置期間は、約28日である。そのため、公知の接合構造100を採用した場合、約28日間、界壁の施工作業が休止状態となるおそれがある。
これに対し、本実施の形態に係る柱と梁との接合構造1は、図24(B)に示されるように、2本の梁13,14の端部を柱11,12間に配置して、各梁13,14の端部を長ボルト(図示せず)により柱11,12に固定する構造である。つまり、本実施の形態では、梁13の端部および梁14の端部の各々が、柱11,12にピン接合される。これにより、図24(A)に示すサポート部材151および型枠サポート部材が不要となるため、界壁の施工作業をスムーズに行うことができる。
(柱と梁との接合構造の概要)
図1を参照して、柱と梁との接合構造1(以下「接合構造1」と略す)の概要について説明する。
接合構造1は、下側の柱11と、一方端部(図1において右端部)が柱11の上面に載置される第1の梁13と、一方端部(図1において左端部)が柱11の上面に載置される第2の梁14と、第1の梁13および第2の梁14の上に載置される柱(以下「上部柱」という)12とを備える。
柱11、上部柱12、第1の梁13、および第2の梁14は、プレキャストコンクリートにより形成されており、建物の界壁の耐力を負担する。柱11および上部柱12は、図23に示した柱111,112と同様に、奥行き寸法よりも幅寸法が大きい壁状の柱である。図1等に示す矢印A1は界壁の横幅方向であり、柱11および上部柱12の幅方向と同じ方向である。図3等に示す矢印A2は界壁の厚み方向であり、柱11および上部柱12の奥行き方向と同じ方向である。柱11および上部柱12の奥行き方向を、以下「厚み方向」ともいう。
接合構造1は、柱11の上面から突出する第1のボルト15および第2のボルト16を備える。第1のボルト15および第2のボルト16は、柱11の幅方向において互いに離れて配置されている。
第1の梁13および第2の梁14は、ともに、界壁の横幅方向に沿って延び、これらの厚み寸法は、典型的には柱11の奥行き寸法と略同じ寸法である。第1の梁13の一方端部には、第1のボルト15を挿通させるシース管19が埋め込まれている。第2の梁14の一方端部にも同様に、第2のボルト16を挿通させるシース管20が埋め込まれている。第1のボルト15および第2のボルト16は、第1の梁13および第2の梁14を貫通して突き抜ける長さを有する長ボルトである。
なお、以下の説明において、第1の梁13と第2の梁14とを区別する必要のない場合には、これらを単に「梁」という。同様に、第1のボルト15と第2のボルト16とを区別する必要のない場合には、これらを単に「ボルト」という。
第1の梁13の一方端部のシース管19に、柱11から突出する第1のボルト15が挿通され、第2の梁14の一方端部のシース管20に、柱11から突出する第2のボルト16が挿通されることによって、柱11と梁13,14の一方端部とが接続される。なお、梁13,14の一方端部は、ボルト15,16を挿通させるための貫通孔を有していればよく、シース管19,20は必須の構成ではない。
上部柱12の下端部には、幅方向に互いに離れて配置された接続金具23,24が埋め込まれている。接続金具23,24内には、それぞれナット21,22が配置される。接続金具23,24は、作業者によるナット21,22の締結作業を可能とするための開口231,241を有している。一方のナット21は、第1の梁13を突き抜けた第1のボルト15に螺合(係合)する。他方のナット22は、第2の梁14を突き抜けた第2のボルト16に螺合(係合)する。
このように、本実施の形態では、柱11の上面から突出する第1のボルト15および第2のボルト16により、柱11と2本の梁13,14との接続を可能にするとともに、2本の梁13,14と上部柱12との接続も可能にすることができる。そのため、公知の接合構造100に比べて簡易な構造とすることができる。また、梁13,14それぞれの一方端部が、柱11と上部柱12との間に強固に挟み込まれるため、地震等、建物の界壁に負荷が掛かった場合でも、梁13,14の一方端部の浮き上がりを防止することができる。
本実施の形態では、梁13,14に設けられたシース管19,20はルーズ孔である。つまり、シース管19,20の径は、ボルト15,16の径よりも過大である。そのため、公知の接合構造100における梁121の載置時と比べて、梁13,14の載置位置のずれを許容できるため、梁13,14を比較的容易に柱11に載置することができる。
梁13,14を載置した後に、シース管19,20とボルト15,16との隙間に、グラウト25が充填される。これにより、シース管19,20をルーズ孔としても、柱11に対する梁13,14の相対移動を規制することができる。グラウト25は、無収縮モルタルである。
なお、梁13,14においてシース管19,20により構成される貫通孔は、ボルト15,16の径よりも少しでも大きければよく、ルーズ孔でなくてもよい。接合構造1は、梁13,14におけるボルト挿通用の貫通孔が、たとえば製造誤差により規定の径よりも大径に形成された場合にも、好適に適用することができる。
第1の梁13の一方端部の端面と第2の梁14の一方端部の端面とは、互いに離れて配置されている。この場合、第1の梁13には、その端面から第2の梁14側に向かって突出する第1の突出部材26が設けられる。第2の梁14には、その端面から第1の梁13側に向かって突出する第2の突出部材28が設けられる。また、柱11には、その上面から上方に向かって突出する第3の突出部材30が設けられる。第1〜第3の突出部材26,28,30は、典型的には、第1の梁13、第2の梁14、および柱11に一部が予め埋め込まれた板状部材、すなわちガセットプレートである。
第1〜第3の突出部材(以下、「ガセットプレート」という)26,28,30は、たとえば、取り付け部材としての取り付けプレート(図示せず)を介して締結される。これにより、地震の際など、建物の界壁に負荷が掛かった場合でも、梁13,14の水平方向移動を規制することができる。
また、第1の梁13の一方端部の端面と第2の梁14の一方端部の端面との間の空間80には、コンクリート81が充填される。コンクリート81内に第1の突出部材26と第2の突出部材28と第3の突出部材30とが埋められる。そのため、柱11と第1の梁13と第2の梁14との3部材を、より強固に接合することができる。
このような接合構造100によれば、効率的かつ短期間で、柱11と第1の梁13と第2の梁14と上部柱12とを接合することができる。また、上部柱12の上端部を柱11と同様の構成とすることで、上部柱12とその上に位置する梁とを簡易に接合することもできる。
(柱と梁との接合方法)
図2のフローチャートを参照して、柱と梁との接合方法について詳細に説明する。ここでは、図3〜図19をさらに参照しながら、柱と梁との接合構造1の詳細、および、接合構造1に適した接合用治具5の構成例についても説明する。接合用治具5は、後述するように、柱11に対する第1の梁13および第2の梁14の位置を調整するための位置調整部材50と、第1の梁13および第2の梁14の間の空間80の一方面側および他方面側にそれぞれ配置される一対の型枠71,75と、第1の梁13および第2の梁14に跨って配置される位置決め部材90とを含む。
はじめに、建物の基礎等の上に、下側の柱11を立てる(工程P1)。図3は、柱11の上端部を示す斜視図である。柱11の上端部には、2つのナット17,18と、第3の突出部材としてのガセットプレート30の下端部とが埋め込まれている。
ナット17,18は、柱11の上面11aから突出することなく、ナット17,18の孔が上面11aから露出している。ナット17,18は、柱11の幅方向に沿って所定の間隔で配置される。ナット17,18は、たとえば、軸方向に高さを有する高ナットである。柱11の内部で上下方向に延びるボルト(図示せず)に、ナット17,18の下端部が係合することで、ナット17,18の姿勢が、上下に起立した姿勢に保持される。
ガセットプレート30は、板厚方向が柱11の厚み方向と一致するように、縦向きに配置される。ガセットプレート30は、ナット17,18間に位置し、典型的には上面11aの中央位置に設けられる。
図3に示すように、柱11の上端部には、表面11bから突出する2つの突出部41a,41bと、裏面11cから突出する2つの突出部42a,42bとがさらに設けられている。柱11の表面11bは柱11の厚み方向一方面に相当し、柱11の裏面11cは柱11の厚み方向他方面に相当する。
突出部41a,41bは、互いに同じ高さに位置し、柱11の幅方向に沿って所定の間隔で配置される。突出部42a,42bも同様である。幅方向一方側に位置する突出部41a,42aは、柱11を貫通する一本の金属棒(たとえばボルト)の両端部により実現されてもよい。幅方向他方側に位置する突出部41b,42bも同様である。
このような柱11が立てられると、柱11にボルト15,16が装着される(工程P2)。つまり、図4の斜視図に示されるように、柱11に埋め込まれた一方のナット17に第1のボルト15の下端部が螺合し、他方のナット18に第2のボルト16の下端部が螺合する。これにより、ボルト15,16が、柱11の上面11aから突出するように配置される。
このように、ボルト15,16が現場にて柱11に固定される。そのため、予め、柱11にボルト15,16の下端部を埋設しておく形態に比べて、柱11の運搬および施工作業を容易に行うことができる。また、運搬時などに、ボルト15,16が破損することを防止することができる。
また、本実施の形態では、柱11には、ボルト15,16の下端部と螺合するナット17,18が埋め込まれるだけでよいため、公知の接合構造100における柱111側の接続金具134を省くことができる。その結果、部品点数およびコストを抑えることができる。
本実施の形態では、図5の斜視図に示されるように、ボルト15,16の装着後または装着前に、柱側調整部材51が、柱11の表面11bに取り付けられる。柱側調整部材51は、接合用治具5の位置調整部材50の一要素である。
柱側調整部材51については、図5〜図7をさらに参照して説明する。図5〜図7は、柱側調整部材51が柱11の表面11bに取り付けられた状態を示す図である。図6は、図5の矢印VI方向(表面側)から見た正面図である。図7は、図6のVII−VII線に沿う断面図である。
柱側調整部材51は、略L字状断面を有し、柱11の幅方向に沿って延在する。柱側調整部材51は、垂直方向に延びる垂直部52と、垂直部52の上端部が外側に折り曲げられた上端折り曲げ部53と、上端折り曲げ部53を下方から支持する複数の補強リブ54とを有する。上端折り曲げ部53は、垂直部52との角度が略90°となるよう折り曲げられる。
垂直部52には、幅方向に互いに間隔をあけて2つの貫通孔52a,52bが設けられている。柱11の表面11bから突出する突出部41a,41bに貫通孔52a,52bをそれぞれ挿通させることで、柱側調整部材51が柱11の表面11bに取り付けられる。なお、柱側調整部材51を柱11に適切に固定するためには、たとえば、突出部41a,41bに係合し、柱側調整部材51の垂直部52を柱11の表面に押し付ける留め具(たとえばナット)等が用いられる。貫通孔52a,52bは、左右方向に長い長孔であってもよい。
図7に示されるように、取り付け状態において、垂直部52の上端は、柱11の上面11aよりも高い位置に位置する。つまり、垂直部52は、柱11の上面11aの高さよりも上に位置する部分(以下「当接部」という)520を有している。
図5に示されるように、上端折り曲げ部53には、複数の貫通孔が設けられている。上端折り曲げ部53の左端部に2つの貫通孔53aが幅方向に互いに離れて配置され、右端部に2つの貫通孔53bが幅方向に互いに離れて配置されている。また、幅方向中央位置にも、2つの貫通孔53cが幅方向に互いに離れて配置されている。
次に、柱11に第1の梁13の一方端部が載置される(工程P3)。第1の梁13の一方端部の構成例について図8〜図10を参照して説明する。図8は、第1の梁13が柱11の上に準備された状態を示す正面図である。図9は、図8のIX−IX線に沿う断面図である。図10は、第1の梁13が柱11の上面11aに載置された状態を示す斜視図である。
第1の梁13の一方端部は、上面13aと表面13bと裏面13cと端面13dと下面13eとを有する。第1の梁13の表面13bおよび裏面13cはそれぞれ、柱11の表面11bおよび裏面11cと同じ方向を向く面である。
第1の梁13には、上述のように、上下方向に貫通して延びるシース管19が埋め込まれている。これにより、第1の梁13の上面13aおよび下面13eには、シース管19の上端および下端の孔が露出する。また、第1の梁13には、端面13dの下端部分から突出するガセットプレート26が設けられている。本実施の形態では、ガセットプレート26よりも高い位置で、同じ端面13dから突出するガセットプレート27がさらに設けられている。なお、ガセットプレート27は、板厚方向が上下方向に一致するように横向きに配置される例を示したが、ガセットプレート26と同様に、縦向きに配置されてもよい。
第1の梁13の一方端部には、表面13bから突出する複数の突出部43a〜43dが設けられている。突出部43a,43bは互いに同じ高さに位置し、第1の梁13の長手方向(界壁の横幅方向)に沿って所定の間隔で配置される。突出部43c,43dは、突出部43a,43bよりも高い位置で、互いに同じ高さに位置し、第1の梁13の長手方向に沿って所定の間隔で配置される。突出部43a,43b間の間隔および突出部43c,43d間の間隔は同じである。なお、図9に示されるように、第1の梁13の裏面13c側にも、裏面13cから突出する複数の突出部が、表面13b側の突出部43a〜43dと同じ配置パターンで設けられていてもよい。
工程P3においては、図8および図9に示されるように、第1の梁13内のシース管19に第1のボルト15を挿通させながら、第1の梁13を柱11の上面11aにゆっくりと落とす。柱11の表面11b側には柱側調整部材51が取り付けられているため、第1の梁13の表面13bを柱側調整部材51の垂直部52の当接部520に押し当てながら、第1の梁13を柱11の上面11aに載置することができる。これにより、シース管19がルーズ孔であっても、第1の梁13を載置する段階で、第1の梁13の表裏方向(柱11の厚み方向に沿う方向)における位置ずれを抑制することができる。
第1の梁13の長手方向(柱11の幅方向に沿う方向)における位置ずれは、図11に示す梁側調整部材55と柱側調整部材51との相対位置を調整することで実現される。梁側調整部材55もまた、位置調整部材50の一要素である。
梁側調整部材55は、略L字状断面を有しており、垂直方向に延びる垂直部56と、垂直部56の下端部が外側に折り曲げられた下端折り曲げ部57とを有する。下端折り曲げ部57は、垂直部56との角度が略90°となるよう折り曲げられる。
垂直部56には、第1の梁13の表面13bから突出する突出部43a〜43dと同じ配置パターンで配置された複数の貫通孔56a〜56dが設けられている。第1の梁13の表面13bから突出する突出部43a〜43dに貫通孔56a〜56dをそれぞれ挿通させることで、梁側調整部材55が梁13の表面13bに取り付けられる。取り付け状態において、下端折り曲げ部57は、梁13の下面13eよりも高い位置に位置する。
第1の梁13が柱11の上面11aに載置された状態において、柱側調整部材51の上端折り曲げ部53と、梁側調整部材55の下端折り曲げ部57とが面接触する。下端折り曲げ部57には、上下に貫通する2つの貫通孔57aが、第1の梁13の長手方向に沿って互いに間隔をあけて設けられている。貫通孔57a間の間隔は、柱側調整部材51の上端折り曲げ部53の貫通孔53a間の間隔と等しい。
作業者は、梁側調整部材55の貫通孔57aの位置が柱側調整部材51の貫通孔53aの位置と一致するように、調整ピンを貫通孔57aに突き刺し、柱11の幅方向における第1の梁13の位置を微調整しながら調整ピンをこねる。これにより、柱11の幅方向において、柱11に対する第1の梁13の相対位置が適切な位置に調整される。このような調整ピンによる位置調整は、第1の梁13を柱11から若干浮かした状態で行うことが、効率上、望ましい。梁側調整部材55の貫通孔57aおよび柱側調整部材51の貫通孔53aは、調整孔に相当する。
なお、本実施の形態では、位置調整用の貫通孔53a,57aが2個(複数個)ずつ設けられる例を示したが、1個ずつ設けられるだけであってもよい。また、梁側調整部材55の取り付けという観点においては、梁13から突出する突出部は少なくとも2個設けられていればよい。
続いて、柱11の上面11aに、第2の梁14が載置される(工程P4)。第2の梁14の一方端部の構成例について図11を参照して説明する。図11は、第1の梁13および第2の梁14の双方が柱11の上面11aに載置された状態を示す斜視図である。
第2の梁14の一方端部は、上面14aと表面14bと裏面14cと端面14dと下面14eとを有する。第2の梁14の表面14bおよび裏面14cはそれぞれ、柱11の表面11bおよび裏面11cと同じ方向を向く面である。
第2の梁14には、上述のように、上下方向に貫通して延びるシース管20が埋め込まれている。これにより、第2の梁14の上面14aおよび下面14eには、シース管20の上端および下端の孔が露出する。また、第2の梁14には、端面14dの下端部分から突出するガセットプレート28が設けられている。本実施の形態では、ガセットプレート28よりも高い位置で、同じ端面14dから突出するガセットプレート29がさらに設けられている。なお、ガセットプレート29は、板厚方向が上下方向に一致するように横向きに配置される例を示したが、ガセットプレート28と同様に、縦向きに配置されてもよい。
工程P4においても、第2の梁14内のシース管20に第2のボルト16を挿通させながら、第2の梁14を柱11の上面11aにゆっくりと落とす。柱11の表面11b側には柱側調整部材51が取り付けられているため、第2の梁14の表面14bを柱側調整部材51の垂直部52の当接部520に押し当てながら、第2の梁14を柱11の上面11aに載置することができる。これにより、シース管20がルーズ孔であっても、第2の梁14を載置する段階で、第2の梁14の表裏方向(柱11の厚み方向に沿う方向)における位置ずれを抑制することができる。
柱11の上面11aに、第1の梁13および第2の梁14の双方が載置されると、図12に示すように、柱11の裏面11cにも柱側調整部材61が取り付けられる。柱側調整部材61も、位置調整部材50の一要素である。
柱側調整部材61は、上述の柱側調整部材51と略同じ構造を有している。すなわち、柱側調整部材61は、略L字状断面を有しており、垂直方向に延びる垂直部62と、垂直部62の上端部が外側に折り曲げられた上端折り曲げ部63と、上端折り曲げ部63を下方から支持する複数の補強リブ64とを有する。
垂直部62は、柱11の裏面11cから突出する突出部42a,42bに挿通される複数の貫通孔を有する。また、垂直部62は、取り付け状態において、柱11の上面11aの高さよりも上に位置する部分、すなわち当接部を有している。
そのため、柱側調整部材61を柱11の裏面11cに取り付ける際に、図12に示すように、梁13,14の裏面13c,14cに柱側調整部材61の垂直部62の当接部を押し付けることで、梁13,14の僅かな傾き等を調整することができる。柱側調整部材61の垂直部62の下部分が柱11の裏面11cにぴったりと面接触するように取り付けられると、梁13,14の厚み方向における位置が適切な位置に定まるとともに、梁13,14の長手方向が柱11の幅方向に対し平行となる。つまり、梁13,14の表面13b,14bと柱11の表面11bとが面一状となり、梁13,14の裏面13c,14cと柱11の裏面11cとが面一状となる。
次に、第1の梁13の端面13dと第2の梁14の端面14dとの間の空間80に位置する複数のガセットプレートを締結する(工程P5)。工程P5については、図11および図13を参照して説明する。図13は、ガセットプレートの締結構造の一例を示す斜視図である。
図11に示されるように、第1の梁13のガセットプレート26、第2の梁14のガセットプレート28、および、柱11のガセットプレート30は、互いに重なることなく配置されている。本実施の形態では、これら3個のガセットプレート26,28,30が、一対の取り付けプレート31に挟まれて、締結部材(たとえばネジ部材)により固定される。
取り付けプレート31には複数の挿通孔31a,31b,31cが設けられている。挿通孔31aは、第1の梁13のガセットプレート26の貫通孔26aに合わせられ、挿通孔31bは、第2の梁14のガセットプレート28の貫通孔28aに合わせられ、2つの挿通孔31cは、柱11のガセットプレート30の2つの貫通孔30aに合わせられる。
図示した例では、第2の梁14側には、第1の梁13のように梁側調整部材を固定するための突出部が設けられていないが、第2の梁14に固定されたガセットプレート28の貫通孔28aが、取り付けプレート31の挿通孔31bと合わさるように第2の梁14の長手方向位置を微調整することができる。これにより、第1の梁13と第2の梁14との間隔を、予め定められた適切な距離とすることができる。
なお、第1の梁13と同様に、第2の梁14の表面14bにも梁側調整部材を取り付けて、この梁側調整部材と柱側調整部材51とを用いて第2の梁14の長手方向位置を調整してもよい。つまり、位置調整部材50は、柱側調整部材51,61と、第1の梁13に取り付けられる梁側調整部材55と、第2の梁14に取り付けられる梁側調整部材(図示せず)とにより構成されてもよい。
3個のガセットプレート26,28,30の貫通孔26a,28a,30aと取り付けプレート31の複数の挿通孔31a,31b,31cとに締結部材が挿通されることで、ガセットプレート26,28,30同士が締結される。各挿通孔31a,31b,31cの内壁面には、ネジ部材と螺合する螺旋溝が設けられていてもよい。
図11に示されるように、相対的に上に位置するガセットプレート27,29も、互いに重なることなく配置されている。ガセットプレート27,29は、一対の取り付けプレート32に挟まれて、締結部材により固定される。
取り付けプレート32の複数の挿通孔32a,32bの位置が、第1の梁13から突出するガセットプレート27の貫通孔27aおよび第2の梁14から突出するガセットプレート29の貫通孔29aの位置に合わせられる。各位置の孔にネジ部材が挿通されることで、ガセットプレート27,29同士が締結される。各挿通孔32a,32bの内壁面には、ネジ部材と螺合する螺旋溝が設けられていてもよい。
ガセットプレートの締結作業の後または前に、第1の梁13から梁側調整部材55が取り外される。なお、本実施の形態では、複数のガセットプレートが取り付けプレートを介して(間接的に)締結される例を示したが、複数のガセットプレートを互いに重なるように配置し、ガセットプレート同士が直接締結されてもよい。
次に、図1に示したコンクリート81打設用の型枠を取り付ける(工程P6)。この工程P6については、図14を参照して説明する。図14は、第1の梁13と第2の梁14との間の空間80の一方面および他方面を覆うように、一対の型枠71,75が配置された状態を示す斜視図である。
表面側の型枠71の下端は柱側調整部材51に固定され、型枠75の下端は柱側調整部材61に固定されている。
型枠71は、下端および上端に、取り付け用フランジ72,73を有している。また、型枠71は、フランジ72,73間を上下に延びる補強リブ74を有している。型枠71の下端のフランジ72は、柱側調整部材51の折り曲げ部53の上に載せられる。フランジ72は、折り曲げ部53の貫通孔53cに対応する位置に、上下方向に貫通する貫通孔72aを有している。型枠71の下端は、双方の貫通孔53c,72aに挿通される留め具(たとえば固定ピン)によって、柱側調整部材51に固定される。
裏面側の型枠75も、型枠71と同じ構造を有している。すなわち、型枠71は、下端および上端にそれぞれ設けられた取り付け用フランジ76,77と、フランジ76,77間を上下に延びる補強リブを有している。型枠75の下端は、そのフランジ76に設けられた貫通孔と、柱側調整部材61の折り曲げ部63に設けられた貫通孔とに留め具が挿通されることによって、柱側調整部材61に固定される。
このように、柱側調整部材51,61は、位置調整部材50の一要素であるとともに、型枠71,75の下端を柱11に取り付けるための取り付け部材でもある。
型枠71,75が柱側調整部材51,61にそれぞれ固定されると、図15に示すように、第1の梁13および第2の梁14の上面13a,14aに、位置決め部材90を載置する。図15は、梁13,14の上に位置決め部材90が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図15に示されるように、位置決め部材90は、平坦な薄板により形成されており、第1の梁13および第2の梁14に跨って配置される。位置決め部材90の平面図を図16に示す。
図15および図16を参照して、位置決め部材90は、主に、第1のボルト15を受入れる円形の(第1の)孔91と、第2のボルト16を受入れる円形の(第2の)孔92と、孔91の付近に配置された複数の注入孔93と、孔92の付近に配置された複数の注入孔94と、空間80を露出させる略矩形形状の開口部95とを含む。
孔91,92の径は、シース管19,20の内径よりも小さく、ボルト15,16の径と略等しい。図16に示されるように、位置決め部材90において、ボルト15,16挿通用の孔91,92は、互いに所定の距離だけ離れて配置されている。つまり、孔91,92は、それぞれの中心間の距離が規定の距離Lとなるように配置されている。 位置決め部材90を第1の梁13および第2の梁14の上に載置する際に、位置決め部材90の孔91,92にボルト15,16がそれぞれ通るように、ボルト15,16の先端部(梁13,14から突き抜けた部分)の位置を調整する。これにより、第1の梁13のシース管19に挿通された第1のボルト15、および、第2の梁14のシース管20に挿通された第2のボルト16の少なくとも一方が歪んでいたとしても、第1のボルト15の軸心と第2のボルト16の軸心との距離を、規定の距離Lとすることができる。また、理想的には、ボルト15,16をシース管19,20の略中心に位置させることができる。
位置決め部材90は、開口部95の一方側(柱11の表面側)の辺に隣接する張り出し部97と、開口部95の他方側(柱11の裏面側)の辺に隣接する張り出し部98とをさらに含む。張り出し部97,98は、第1の梁13の上面13aに当接する部分と、第2の梁14の上面14aに当接する部分とを接続する接続部でもある。
孔91,92にボルト15,16が挿通されて、位置決め部材90が梁13,14の上に載せられると、張り出し部97は、型枠71の上端のフランジ73と当接し、張り出し部98は、型枠75の上端のフランジ77と当接する。
張り出し部97には、フランジ73の貫通孔73aに対応する位置に貫通孔97aが設けられており、貫通孔73a,97aに挿通される留め具によって張り出し部97とフランジ73とが固定される。同様に、張り出し部98には、フランジ77の貫通孔77aに対応する位置に貫通孔98aが設けられており、貫通孔77a,98aに挿通される留め具によって張り出し部98とフランジ77とが固定される。これにより、型枠71,75の上端が位置決め部材90により保持される。すなわち、型枠71の上端および下端が、位置決め部材90および柱側調整部材51によりそれぞれ保持され、型枠75の上端および下端が、位置決め部材90および柱側調整部材61によりそれぞれ保持される。
このようにして位置決め部材90が梁13,14の上に載置されると、位置決め部材90の注入孔93,94から、充填剤としてのグラウトをシース管19,20に注入する(工程P7)。
図14等に示されるように、シース管19は第1の梁13の上面13aまで至っておらず、第1の梁13は、シース管19の上端縁の位置から上方に向かって拡径する拡径穴45を有していることが望ましい。同様に、シース管20は第2の梁14の上面14aまで至っておらず、第2の梁14は、シース管20の上端縁の位置から上方に向かって拡径する拡径穴46を有していることが望ましい。
複数の注入孔93は、第1の梁13の拡径穴45に対面する位置に配置され、複数の注入孔94は、第2の梁14の拡径穴46に対面する位置に配置される。なお、複数の注入孔93のうちの少なくとも1つは空気抜き用の孔となる。複数の注入孔94についても同様である。
梁13,14がそれぞれ拡径穴45,46を有するため、シース管19,20へのグラウトの注入作業を行い易くすることができる。注入孔93からグラウトが注入されることで、図1に示されるように、第1の梁13のシース管19と第1のボルト15との隙間がグラウト25により埋められる。注入孔94からグラウトが注入されることで、第2の梁14のシース管20と第2のボルト16との隙間がグラウト25により埋められる。
次に、第1の梁13と第2の梁14との間の空間80に、コンクリートを打設する(工程P8)。つまり、位置決め部材90の開口部95から、コンクリートを流し入れる。これにより、図1に示されるように、空間80がコンクリート81により埋められる。図17には、グラウトおよびコンクリートの施工が完了した状態が示される。
このように、位置決め部材90は、ボルト15,16間の距離を所定の距離に調整する位置決め機能だけでなく、型枠71,75を保持する機能を有する。また、位置決め部材90は、充填剤(グラウトおよびコンクリート)の流入口となる注入孔93,94および開口部95をも有している。したがって、接合用治具5が位置決め部材90を含むことにより、柱11と梁13,14との接合作業を容易かつ効率的に行うことが可能となる。
一定期間が経過して、グラウト25およびコンクリート81が固まると、型枠71,75を含む接合用治具5が取り外される(工程P9)。この工程P5では、位置決め部材90、型枠71,75、および、柱側調整部材51,61が取り外される。接合用治具5が取り外された状態を図18に示す。
なお、図18に示されるように、梁側調整部材55の取り付けに用いられた突出部43a〜43dは、第1の梁13に交差する別の梁82の固定に利用されてもよい。言い換えると、第1の梁13の表面13bと別の梁82の端面とを接続するために第1の梁13に設けられた突出部43a〜43dが、梁側調整部材55の取り付けに利用されてもよい。
本実施の形態では、空間80内に配置されたガセットプレート25〜30および取り付けプレート31,32が、コンクリート81に埋められるため、柱11と第1の梁13と第2の梁14との3部材をより強固に接合することができる。
次に、上部柱12を、第1の梁13および第2の梁14の上に載置する(工程P10)。本実施の形態では、一つ前の工程P9の段階で、柱11の上には、第1の梁13と第2の梁14とコンクリート81とにより一体的に形成された横材が交差した状態となる。また、第1の梁13および第2の梁14から第1のボルト15および第2のボルト16がそれぞれ突き出た状態となる。このような状態は、公知の接合構造100において、2本のボルト131が予め埋め込まれた一つの梁121が、柱111に接続された状態に近似する。そのため、この工程P10では、公知の接合構造100における接合方法と同様の作業が行われる。
すなわち、工程P10では、梁13,梁14からそれぞれ突出するボルト15,16を、上部柱12の下端に設けられた接続金具23,24の孔に挿通させながら、上部柱12を梁13,14の上にゆっくりと落とす。接続金具23,24の開口231,241は、たとえば上部柱12の側面側に設けられている。上部柱12が梁13,14の上に載置されると、接続金具23,24の開口231,241から工具を差し込み、ボルト15,16にナット21,22を締め付ける。これにより、梁13,14と上部柱12とが強固に固定される。
このように、本実施の形態では、柱11に接続されるボルト15,16が、梁13,14を貫通して突き抜ける長さを有するため、梁13,14と上部柱12との接合のために新たなボルト(締結部材)を設ける必要がない。したがって、柱11と上部柱12と第1の梁13と第2の梁14との接合を、効率的に行うことができる。
また、本実施の形態では、位置決め部材90によりボルト15,16間の距離が所定の距離となるように位置決めされた後に、シース管19,20とボルト15,16との隙間がグラウト25により埋められる。そのため、シース管19,20がルーズ孔であっても、ボルト15,16の歪みが矯正されるため、上部柱12の接続金具23,24に設けられた挿通孔に、ボルト15,16をスムーズに通すことができる。その結果、梁13,14と上部柱12との接合を容易に行うことができる。
コンクリート81は1〜2日で固まるため、1〜2日経てば、次の作業(工程P10)を実行できる。そのため、公知の接合構造100に比べて、極めて短期間で建物の界壁を施工することができる。
また、本実施の形態では、接合用治具5を用いるため、シース管19,20をルーズ孔としても、柱11に対する梁13,14の位置調整、および、ボルト15,16の位置決めを行うことができる。また、接合用治具5を構成する部材、すなわち、柱側調整部材51,61、梁側調整部材55、型枠71,75、および、位置決め部材90は、取り付け対象に対して着脱可能であるため、接合用治具5を使い回しすることができる。
なお、本実施の形態では、上部柱12を梁13,14の上に載置する前に、シース管19,20にグラウトを注入することとしたが、上部柱12を梁13,14の上に載置した後にグラウトが注入されてもよい。たとえば、図20および図21に示されるように、接続金具24の底面240に、ボルト16を受入れる挿通孔24aと、挿通孔24aから離間する複数の注入孔24bとが設けられている。この場合、接続金具24の開口241からグラウト注入用の管を差し込んで、注入孔24bからシース管20にグラウトを注入することができる。
あるいは、図22に示されるように、梁14の上面側に傾斜面を設け、上部柱12の下端面と梁14の傾斜面との間に形成された隙間47から、シース管20にグラウトを注入できるようにしてもよい。
(変形例)
本実施の形態では、柱11には、ボルト15,16を装着するためのナット17,18が埋め込まれていることとしたが、柱11には、予めボルト15,16の下端部が埋め込まれていてもよい。
本実施の形態では、柱11に装着される2本の棒材がボルト15,16であることとしたが、ボルトに限定されない。この場合、柱11および上部柱12には、第1の棒材および第2の棒材にそれぞれ係合する第1係合部材および第2係合部材が設けられていればよい。
また、第1の梁13の端面13dと第2の梁14の端面14dとが、当接または近接して配置されてもよい。その場合、上述のガセットプレートおよびコンクリート81を不要としてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,100 柱と梁との接合構造、5 接合用治具、11,12,111,112 柱、12 上部柱、13,14,82,121,122 梁、15,16,131 ボルト、17,18,21,22,132,133 ナット、19,20 シース管、23,24,134,135 接続金具、24b,93,94 注入孔、25〜30,141 ガセットプレート、25 グラウト、31,32 取り付けプレート、41a,42a,41b,42b,43a〜43d 突出部、45,46 拡径穴、47 隙間、50 位置調整部材、51,61 柱側調整部材、55 梁側調整部材、71,75,152 型枠、80 空間、81,143 コンクリート、90 位置決め部材、91,92 孔、95 開口部、97,98 張り出し部、140 接合部、142 高力ボルト、151 サポート部材、520 当接部。

Claims (11)

  1. 建物の壁の一部を構成するプレキャストコンクリート製の柱と、
    前記柱の上面から突出する第1の棒材と、
    前記第1の棒材から離れて配置され、前記柱の上面から突出する第2の棒材と、
    前記第1の棒材を挿通させる貫通孔を一方端部に有し、該一方端部が前記柱の上面に載置されるプレキャストコンクリート製の第1の梁と、
    前記第2の棒材を挿通させる貫通孔を一方端部に有し、該一方端部が前記柱の上面に載置されるプレキャストコンクリート製の第2の梁とを備え、
    前記第1の棒材および前記第2の棒材は、前記第1の梁および前記第2の梁を貫通して突き抜ける長さを有している、柱と梁との接合構造。
  2. 前記第1の梁および前記第2の梁の上に載置されるプレキャストコンクリート製の上部柱をさらに備え、
    前記上部柱は、前記第1の梁から突出する前記第1の棒材に係合する第1係合部材と、前記第2の梁から突出する前記第2の棒材に係合する第2係合部材とを含む、請求項1に記載の柱と梁との接合構造。
  3. 前記第1の棒材および前記第2の棒材は、ボルトであり、
    前記第1係合部材および前記第2係合部材は、前記ボルトに係合するナットである、請求項2に記載の柱と梁との接合構造。
  4. 前記第1の棒材および前記第2の棒材は、ボルトであり、
    前記柱には、前記第1の棒材に係合する第1のナットと、前記第2の棒材に係合する第2のナットとが埋め込まれている、請求項1または2に記載の柱と梁との接合構造。
  5. 前記第1の梁および前記第2の梁に設けられた前記貫通孔は、ルーズ孔であり、
    前記第1の棒材と前記貫通孔との間の隙間、および、前記第2の棒材と前記貫通孔との間の隙間が、充填剤により埋められている、請求項1〜4のいずれかに記載の柱と梁との接合構造。
  6. 前記第1の梁の一方端部の端面と前記第2の梁の一方端部の端面とは、互いに離れて配置されており、
    前記第1の梁の一方端部の端面から突出する第1の突出部材と、前記第2の梁の一方端部から突出する第2の突出部材とをさらに備え、
    前記第1の突出部材と前記第2の突出部材とが締結されている、請求項1〜5のいずれかに記載の柱と梁との接合構造。
  7. 前記第1の梁の一方端部の端面と前記第2の梁の一方端部の端面とは、互いに離れて配置されており、
    前記第1の梁の一方端部の端面から突出する第1の突出部材と、前記第2の梁の一方端部から突出する第2の突出部材と、前記柱の上面から突出する第3の突出部材とをさらに備え、
    前記第1の突出部材および前記第2の突出部材と前記第3の突出部材とが、締結されている、請求項1〜5のいずれかに記載の柱と梁との接合構造。
  8. 前記第1の梁の一方端部の端面と前記第2の梁の一方端部の端面との間の空間が、充填剤により埋められている、請求項6または7に記載の柱と梁との接合構造。
  9. 上方に突出する第1の棒材および第2の棒材を上面に有するプレキャストコンクリート製の柱を立てる工程と、
    一方端部に貫通孔を有するプレキャストコンクリート製の第1の梁を、該貫通孔に前記第1の棒材を挿通させて前記柱の上面に載置する工程と、
    一方端部に貫通孔を有するプレキャストコンクリート製の第2の梁を、該貫通孔に前記第2の棒材を挿通させて前記柱の上面に載置する工程とを備え、
    前記第1の棒材および前記第2の棒材は、前記第1の梁および前記第2の梁を貫通して突き抜ける長さを有している、柱と梁との接合方法。
  10. 前記第1の棒材および前記第2の棒材は、ボルトであり、
    前記柱には、前記第1の棒材に係合する第1のナットと、前記第2の棒材に係合する第2のナットとが埋め込まれている、請求項9に記載の柱と梁との接合方法。
  11. プレキャストコンクリート製の上部柱を、前記第1の梁および前記第2の梁の上に載置する工程をさらに備え、
    前記上部柱は、前記第1の梁から突出する前記第1の棒材に係合する第1係合部材と、前記第2の梁から突出する前記第2の棒材に係合する第2係合部材とを含む、請求項9または10に記載の柱と梁との接合方法。
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