JP2018145442A - ニトリル基含有コポリマーゴム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ニトリル基含有コポリマーゴムおよびそれらの調製、ニトリル基含有コポリマーゴムを含む加硫可能な混合物およびそれらの製造、ならびにニトリル基含有コポリマーゴムをベースとする加硫物およびそれらの製造、ならびに工業用材料としてのそれらの使用に関する。【解決手段】本発明は、良好な低温安定性と耐油性とをバランスよく有し、従来技術の欠点を克服する、ニトリル基含有コポリマーゴムを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ニトリル基含有コポリマーゴム、それらの調製、ニトリル基含有コポリマーゴムを含む加硫可能な混合物およびそれらの製造、ならびにニトリル基含有コポリマーゴムをベースとする加硫物およびそれらの製造、ならびに工業用材料としてのそれらの使用に関する。
ニトリル基含有コポリマーゴム(ニトリルゴム、略して「NBR」)とは、少なくとも1種のα,β−エチレン性不飽和ニトリル、少なくとも1種の共役ジエン、および任意選択的に1種または複数の追加の共重合性モノマーのコポリマー、ターポリマー、または四元ポリマーであるゴムを意味していると理解されたい。これには、部分的もしくは全面的に水素化されたニトリル基含有コポリマーゴム(「HNBR」)も明確に含まれている。水素化されたニトリル基含有コポリマーゴムとは、重合されたジエン単位のC=C二重結合の全部または一部が水素化された、それらに相当するコポリマー、ターポリマー、または四元ポリマーを意味していると理解されたい。
NBRおよびHNBRのいずれもが、長年にわたって、特殊エラストマー分野において確たる地位を占めてきた。それらは、優れた耐油性、良好な熱安定性、ならびに優れた耐オゾン性および耐薬品性(後者では、NBRの場合よりもHNMBRの場合の方がさらにより優れている)の形態において優れた性能プロファイルを有している。NBRおよびHNBRはさらに、極めて良好な機械的および実用性能も有している。この理由から、それらは、広く各種の異なった利用分野において広く使用されており、たとえば、自動車分野におけるガスケット、ホース、ベルトおよび制振要素の製造のため、さらには石油製造分野におけるステーター、油井シールおよびバルブシールのため、さらには電気産業、機械工学および造船における無数の部品のために使用されている。HNBRの主要な用途の1つが伝動ベルトである。自動車産業においては、より軽量で、よりコンパクトな設計のエンジンを可能とするために、金属チェーンまたは外部伝動よりも内部ベルトを使用する方向への傾向が存在している。それらのベルトは、エンジンオイルの中で直接作動し、エンジン空間の中で達しうる最高の温度は150℃にもなる。エンジンを問題なく運転させるために、そのベルトは、最低限のオイル膨潤性しか有することができない。それと同時に、そのベルトが、−35℃に達する極めて良好な低温可撓性を有しているのが望ましい。後者は、低温でエンジンを始動させたときに、ベルトが破断することを防止する。数多くの各種のタイプのHNBRが市場で入手可能であり、それらは、使用分野に応じて、各種のモノマー、分子量、多分散性、ならびに機械的性質および物理的性質を特徴として備えている。標準的なタイプに加えて、特定のターモノマーの内容または特別な官能化を特徴とする特殊タイプへの要望が増大しつつある。
たとえば、(特許文献1)には、ジエンモノマー、ニトリルモノマー、および各種のターモノマー、たとえば、カルボン酸およびそれらのエステルを含む加硫可能なポリマー組成物が開示されており、それは、ポリアミン架橋剤と特定の架橋促進剤との特定な組合せを特徴としている。そのようなポリマー組成物をベースとするポリマー加硫物、およびそのようなポリマー加硫物を製造するための方法、特に成形物が記載されている。
(特許文献2)には、5重量%〜60重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位、架橋性モノマーとしての0.1重量%〜20重量%のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル、11重量%〜50重量%の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルのモノマー単位、および20重量%〜83.9重量%の少なくとも部分的に水素化された共役ジエンモノマー単位を含む、ニトリル基を含む高度に飽和された四元ジエンゴムが開示されており、改良された低温安定性を有している。
(特許文献3)には、10重量%〜40重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位、10重量%〜60重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単位、たとえばアクリル酸ブチルおよびアクリル酸エチルヘキシル、ならびに20重量%〜70重量%の共役ジエン単位を有する、ニトリル基を含む高度に飽和されたターポリマーゴムが開示されており、それは、バランスのとれた物性を有する加硫物を与える。
(特許文献4)には、(a)10重量%〜40重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位、(b)10重量%〜60重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単位、(c)0.01重量%〜21重量%の共役ジエン単位、および14重量%〜69.99重量%の飽和された共役ジエン単位を含む、高度に飽和されたニトリル基含有コポリマーゴムが開示されており、ここでモノマー単位(c)と(d)との総合計が20重量%〜70重量%であり、およびモノマー単位(d)/[(c)+(d)]の比率が、少なくとも70重量%であり、かつ外挿されたガラス転移開始点温度(Tig)と外挿されたガラス転移終点温度(Teg)との差が10℃以下である。そのコポリマーゴムからの加硫製品は、良好な冷時安定性および耐油性、ならびに良好な動的性質を有している。
さらに、(特許文献5)には、(a)0重量%〜20重量%の1,3−ブタジエン単位、(b)0重量%〜50重量%の飽和された1,3−ブタジエン単位、(c)40重量%〜50重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位、および(d)10重量%〜35重量%で、少なくとも8モル%のその他のモノマー単位を含むターポリマーが開示されており、ここで1,3−ブタジエン単位(a)と飽和された1,3−ブタジエン単位(b)との総合計が、30重量%〜50重量%の範囲である。この高度に飽和されたニトリル基含有コポリマーゴムは、その加硫製品において良好な耐油性を有している。3重量%および8重量%のアクリル酸ブチルという低いターモノマー含量を有するターポリマーの例が、比較例として開示されている。
(特許文献6)には、(a)10.0重量%〜40.0重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位、(b)5.5重量%〜10.0重量%のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単位、(c)11.0重量%〜30.0重量%の2〜8個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基を含む(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単位、および(d)20.0重量%〜73.5重量%の共役ジエン単位を含む高度に飽和されたニトリル基含有コポリマーゴムが開示されており、その共役ジエン単位の少なくとも一部が水素化されている。
Liらは、(非特許文献1)において、XNBRの上へのポリエチレングリコールモノアルキルエーテルのグラフト重合を開示している。ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルをグラフト重合させると、ガラス転移温度が下がる。加硫物の耐油性については、何の情報も存在しない。
既存のタイプのニトリル基含有コポリマーゴムは、最低限のオイル膨潤性および極めて良好な低温可撓性に関する要件を部分的にしか満たさず、その理由は、オイル膨潤性および低温可撓性(ガラス転移温度Tg)を相互に独立して調節することは不可能だからである。典型的には、HNBRにおいては、ACN含量と、ガラス転移温度と、オイル膨潤性との間では相関性がある。このことは、ACN含量が高くなる、すなわち極性が上がると、オイル膨潤性が低下することを意味している。しかしながら、それと同時に、ガラス転移温度の上昇がある。各種のターモノマーを組み込むことによってオイル膨潤性を一定に保ちながらガラス転移温度を下げる、あるいはガラス転移温度を一定に保ちながらオイル膨潤性を低下させようとする従来の試みは、不成功に終わっている。したがって、公知のターポリマーでは、特定の末端用途にはまだ不満足である。
欧州特許出願公開第2145920A1号明細書 欧州特許出願公開第2392599A1号明細書 欧州特許出願公開第1852447A1号明細書 欧州特許出願公開第1247835A号明細書 欧州特許出願公開第1243602A号明細書 特開2012−031311A号公報
J.Polym.Res.,2012,19,9853
したがって、本発明が取り組む問題の1つは、良好な低温安定性と耐油性とをバランスよく有し、従来技術の欠点を克服する、ニトリル基含有コポリマーゴムを提供することであった。
その問題の解決策および本発明の主題は、ニトリル基含有コポリマーゴムであって、
a)10重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜50重量%、より好ましくは34重量%〜43重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位、
b)31重量%〜89.0重量%、好ましくは42重量%〜78.75重量%、より好ましくは49重量%〜64.5重量%の共役ジエン単位、および
c)1重量%〜9重量%、好ましくは1.25重量%〜8重量%、より好ましくは1.5重量%〜8重量%の少なくとも1種のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステル単位
を含むニトリル基含有コポリマーゴムである。
それに代わる本発明の実施形態においては、その共役ジエン単位の少なくとも一部が水素化されている。
この時点において、本発明の範囲には、これまでに述べたおよび以降において記述される、一般的な項目または好ましい範囲における成分、値および/またはプロセスパラメーターの範囲のすべての可能な組合せが含まれることに留意すべきである。
「コポリマー」という用語には、2つ以上のモノマー単位を有するポリマーが包含される。本発明の1つの実施形態においては、そのコポリマーが、もっぱら、たとえば先に述べた3種のモノマーのタイプ(a)、(b)および(c)から誘導され、そのため、それはターポリマーである。「コポリマー」という用語には同様に、たとえば、先に述べた3種のモノマーのタイプ(a)、(b)および(c)と、さらなるモノマー単位とから誘導される、四元ポリマーもさらに包含される。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル
使用されるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位(a)を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリルは、公知のいかなるα,β−エチレン性不飽和ニトリルであってもよい。好ましいのは、以下のものである:(C〜C)−α,β−エチレン性不飽和ニトリル、たとえばアクリロニトリル、α−ハロアクリロニトリル、たとえばα−クロロアクリロニトリルおよびα−ブロモアクリロニトリル、α−アルキルアクリロニトリル、たとえばメタクリロニトリル、エタクリロニトリル、または2種以上のα,β−エチレン性不飽和ニトリルの混合物。特に好ましいのは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはそれらの混合物である。極めて特に好ましいのは、アクリロニトリルである。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位(a)の量は、全部のモノマー単位を合計した100重量%の量を基準にして、典型的には10重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜50重量%、より好ましくは34重量%〜43重量%の範囲である。
共役ジエン
共役ジエン単位(b)を形成する共役ジエンは、いかなるタイプであってもよく、特には共役のC〜C12ジエンである。特に好ましいのは、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、またはそれらの混合物である。特に好ましいのは、1,3−ブタジエンおよびイソプレンまたはそれらの混合物である。極めて特に好ましいのは1,3−ブタジエンである。
共役ジエンの量は、全部のモノマー単位を合計した100重量%の量を基準にして、典型的には31重量%〜89.0重量%、好ましくは42重量%〜78.75重量%、より好ましくは49重量%〜64.5重量%の範囲である。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステル単位
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位および共役ジエン単位に加えて、ニトリル基含有コポリマーゴムには、第三の単位として、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステル単位が含まれる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステル単位は、たとえば、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸エステルは、本発明に関連して「アクリル酸エステル」および「メタクリル酸エステル」を表す]から誘導されたもの、およびそれらの誘導体または混合物であってよい。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステル単位のために好適なモノマーは、以下のものである:
(メタ)アクリル酸アルキル、特にC〜C20−(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、アクリル酸2−プロピルヘプチル、および(メタ)アクリル酸n−ドデシル、
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、特に、(メタ)アクリル酸C〜C18−アルコキシアルキル、好ましくは(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、および(メタ)アクリル酸エトキシメチル、
(メタ)アクリル酸アリール、特に(メタ)アクリル酸C〜C14−アリール、好ましくは(メタ)アクリル酸C〜C10−アリール、
(メタ)アクリル酸シクロアルキル、特に(メタ)アクリル酸C〜C12−シクロアルキル、好ましくは(メタ)アクリル酸C〜C12−シクロアルキル、
(メタ)アクリル酸シアノアルキル、特に(メタ)アクリル酸C〜C18−シアノアルキル、好ましくは(メタ)アクリル酸α−シアノエチル、(メタ)アクリル酸β−シアノエチル、および(メタ)アクリル酸シアノブチル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、特に(メタ)アクリル酸C〜C18−ヒドロキシアルキル、好ましくは(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、および(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、
ベンジル基を含むフッ素−置換された(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは(メタ)アクリル酸フルオロベンジル、
フルオロアルキル基を含む(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、ならびに
アミノアルキル基を含む(メタ)アクリル酸エステル、たとえばアクリル酸ジメチルアミノメチルおよびアクリル酸ジエチルアミノエチル。
さらに好ましいα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステル単位は、以下のものから誘導されるものである:ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレン−プロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、好ましくは1〜20個の繰り返しエチレングリコール単位を有するメトキシもしくはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、好ましくは1〜5個の繰り返しエチレングリコール単位を有するメトキシもしくはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート。
それらのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステルは、たとえばGEOからBisomer(登録商標)の商品名、またはMiwonからMiramer(登録商標)の商品名で、市場で購入することができる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステルの量は、全部のモノマー単位を合計した100重量%の量を基準にして、典型的には1重量%〜9重量%、好ましくは1.25重量%〜8重量%、より好ましくは1.5重量%〜8重量%の範囲である。
好ましい本発明のニトリル基含有コポリマーゴムに含まれるのは、以下のものである:α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位(a)として、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル、より好ましくはアクリロニトリル、共役ジエン単位(b)として、イソプレンまたは1,3−ブタジエン、より好ましくは1,3−ブタジエン、およびα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステル単位(c)として、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メトキシエチル、またはポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、より好ましくは5個の繰り返しエチレングリコール単位を有する、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート。
さらに、そのニトリル基含有コポリマーゴムには、1種または複数のさらなる共重合性モノマーが、0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%の量で含まれていてもよい。その場合においては、他のモノマー単位の量を適切に減らし、合計が常に100重量%になるようにする。使用することが可能なさらなる共重合性モノマーとしては、たとえば以下のものが挙げられる:
・ 芳香族ビニルモノマー、好ましくはスチレン、α,β−スチレン、α−メチルスチレン、およびビニルピリジン、
・ フッ素化ビニルモノマー、好ましくはフルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−フルオロメチルスチレン、ビニルペンタフルオロベンゾエート、ジフルオロエチレン、およびテトラフルオロエチレンなど、
・ α−オレフィン、好ましくはC〜C12オレフィン、たとえばエチレン、1−ブテン、4−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、または1−オクテン、
・ 非共役ジエン、好ましくはC〜C12ジエン、たとえば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、4−シアノシクロヘキセン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなど、
・ アルキン、たとえば1−ブチンまたは2−ブチン、
・ α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、またはケイ皮酸、
・ α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、好ましくはマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、
・ α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル、たとえば
○ アルキル、特にC〜C18−アルキル、好ましくはn−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシル、より好ましくはマレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノ−n−ブチル、シトラコン酸モノ−n−ブチル、イタコン酸モノ−n−ブチル;
○ アルコキシアルキル、特にC〜C18−アルコキシアルキル、好ましくはC〜C12−アルコキシアルキル;
○ ヒドロキシアルキル、特にC〜C18−ヒドロキシアルキル、好ましくはC〜C12−ヒドロキシアルキル;
○ シクロアルキル、特にC〜C18−シクロアルキル、好ましくはC〜C12−シクロアルキル、より好ましくはマレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチル、フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチル、シトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、シトラコン酸モノシクロヘプチル、イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、およびイタコン酸モノシクロヘプチル;
○ アルキルシクロアルキル、特にC〜C12−アルキルシクロアルキル、好ましくはC〜C10−アルキルシクロアルキル、より好ましくはマレイン酸モノメチルシクロペンチルおよびマレイン酸モノエチルシクロヘキシル、フマル酸モノメチルシクロペンチルおよびフマル酸モノエチルシクロヘキシル、シトラコン酸モノメチルシクロペンチルおよびシトラコン酸モノエチルシクロヘキシル;イタコン酸モノメチルシクロペンチルおよびイタコン酸モノエチルシクロヘキシル;
○ アリール、特にC〜C14−アリール、モノエステル、好ましくはマレイン酸モノアリール、フマル酸モノアリール、シトラコン酸モノアリールまたはイタコン酸モノアリール、より好ましくはマレイン酸モノフェニルまたはマレイン酸モノベンジル、フマル酸モノフェニルまたはフマル酸モノベンジル、シトラコン酸モノフェニルまたはシトラコン酸モノベンジル、イタコン酸モノフェニルまたはイタコン酸モノベンジル、またはそれらの混合物;
○ 不飽和ポリアルキルポリカルボン酸エステル、たとえばマレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、またはイタコン酸ジエチル;または
○ アミノ基を含むα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル、たとえばアクリル酸ジメチルアミノメチルまたはアクリル酸ジエチルアミノエチル;
・ 共重合性抗酸化剤、たとえばN−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリン、または
・ 架橋性モノマー、たとえばジビニル成分、たとえばジビニルベンゼン;ジ(メタ)アクリル系エステル、たとえばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、またはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、またはトリ(メタ)アクリル系エステル、たとえばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;自己架橋性モノマー、たとえばN−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはN,N’−ジメチロール(メタ)アクリルアミド。
本発明のニトリル基含有コポリマーゴムは、典型的には10000〜2000000g/mol、好ましくは50000〜1000000g/mol、より好ましくは100000〜500000g/mol、最も好ましくは150000〜300000g/molの数平均分子量(Mn)を有している。
本発明のニトリル基含有コポリマーゴムは、典型的には1.5〜6、好ましくは2〜5、より好ましくは2.5〜4の多分散性指数(PDI=M/M、ここでMは重量平均分子量である)を有している。
本発明のニトリル基含有コポリマーゴムは、典型的には10〜150、好ましくは20〜120、より好ましくは25〜100のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有している。
本発明のニトリル基含有コポリマーゴムは、以下の性質を特徴としている:
・ 本明細書で特定した試験方法により測定されるガラス転移温度が、−20℃未満、好ましくは−23℃未満、より好ましくは−25℃未満であるか、または
・ 本明細書で特定した試験方法により測定されるオイル膨潤性が、20%以下、好ましくは18%以下、より好ましくは15%以下であるか、または
・ 本明細書で特定した試験方法により測定されるガラス転移温度が−20℃未満、好ましくは−23℃未満、より好ましくは−25℃未満であり、かつ本明細書で特定した試験方法により測定されるオイル膨潤性が、20%以下、好ましくは18%以下、より好ましくは15%以下である。
ニトリル基含有コポリマーゴムを調製するための方法
上述のモノマーを重合させることにより上述のニトリル基含有コポリマーゴムを調製するための方法は、文献に詳細に記載されており、特別な制約はない(たとえば、Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry],vol.14/1,30,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1961)。一般的には、その方法は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位、共役ジエン単位、およびα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステルを、必要に応じて共重合させるものである。使用される重合方法は、各種公知の乳化重合法、懸濁重合法、バルク重合法、および溶液重合法であってよい。好ましいのは、乳化重合法である。乳化重合とは、通常そこで使用される反応媒体が水であるような、それ自体公知の方法を意味していると特に理解されたい(特に、Roempp Lexikon der Chemie[Roempp’s Chemistry Lexicon],volume 2,10th edition,1997;P.A.Lovell,M.S.El−Aasser,Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers,John Wiley&Sons,ISBN:0471 96746 7;H.Gerrens,Fortschr.Hochpolym.Forsch.1,234(1959)を参照されたい)。本発明のターポリマーが得られるようなターモノマーの組み込み比率は、当業者が直接的に調節することができる。
メタセシス
ニトリル基含有コポリマーゴムを調製した後で、メタセシス反応によってそのニトリル基含有コポリマーゴムの分子量を低減させたり、メタセシス反応とそれに続けての水素化を行ったり、水素化のみを行ったりすることも可能である。これらのメタセシス反応または水素化反応は、当業者には十分に公知であり、文献にも記載されている。メタセシスは、たとえば国際公開第A−02/100941号パンフレットおよび国際公開第A−02/100905号パンフレットからも公知であり、分子量を低下させるのに使用することができる。
水素化
また別の実施形態においては、ニトリル基含有コポリマーゴムの共重合をさせた後に、それを少なくとも部分的に水素化させることもまた可能である(水素付加反応)。そのように少なくとも部分的に水素化されたニトリル基含有コポリマーゴムにおいては、共役ジエンから誘導された繰り返し単位のC=C二重結合の少なくとも一部が、具体的に水素化されている。また別の実施形態においては、その共役ジエン単位(b)の水素化のレベルが、好ましくは50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上である。
ニトリル基含有コポリマーゴムの水素化は公知であり、たとえば以下の特許に記載されている:米国特許第A 3 700 637号明細書、独国特許出願公開第A 2 539 132号明細書、独国特許出願公開第A 3 046 008号明細書、独国特許出願公開第A3 046 251号明細書、独国特許出願公開第A 3 227 650号明細書、独国特許出願公開第A 3 329 974号明細書、欧州特許出願公開第A−111 412号明細書、仏国特許第B 2 540 503号明細書。水素化されたニトリル基含有コポリマーゴムは、高い破壊強度、低い摩耗性、加圧および引張応力後の一貫した低変形性、良好な耐油性を特色としているが、特に、熱的および酸化的作用に対する安定性が優れている。
ニトリル基含有コポリマーゴムを含む加硫可能な混合物
本発明はさらに、ニトリル基含有コポリマーゴムおよび少なくとも1種の架橋剤を含む加硫可能な混合物も提供する。好ましい実施形態は、少なくとも1種の充填剤をさらに含む加硫可能な混合物に関する。
その他の任意成分:
任意選択的に、このタイプの加硫可能な混合物にはさらに、ゴムのための1種または複数の、当業者にはよく知られている添加剤および繊維質物質が含まれていてもよい。そのようなものとしては、以下のものが挙げられる:老化安定剤、加硫戻り安定剤(reversion stabilizer)、光安定剤、オゾン劣化防止剤、加工助剤、可塑剤、鉱油、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、樹脂、エクステンダー、充填剤、カーボンブラック、シリカ、ヒュームドシリカ、天然物質、たとえばクレー、カオリン、ウォラストナイト、有機酸、加硫抑制剤、金属酸化物、アラミド繊維、不飽和カルボン酸の塩、たとえば亜鉛ジアクリレート(ZDA)および亜鉛ジメチルアクリレート(ZDMA)、液状アクリル酸エステル、ならびにさらなる充填剤−活性剤、たとえばトリエタノールアミン、トリメチロールプロパンポリエチレングリコール、ヘキサントリオール、脂肪族トリアルコキシシラン、またはゴム工業で公知のその他の添加剤(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,vol A 23,“Chemicals and Additives”,p.366−417)。
有用な架橋剤としては、たとえば、以下のものが挙げられる:ペルオキシド系架橋剤たとえば、ビス(2,4−ジクロロベンジル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(4−クロロベンゾイル)ペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブテン、4,4−ジ−tert−ブチルペルオキシノニルバレレート、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン。
それらのペルオキシド系架橋剤と同様に、架橋収率を向上させるのに役立つ可能性がある、さらなる添加物を使用するのも有利となりうる:それらの好適な例としては、以下のものが挙げられる:トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリテート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、亜鉛ジアクリレート、亜鉛ジメタクリレート、1,2−ポリブタジエン、またはN,N’−m−フェニレンビスマレイミド。
その架橋剤の全量は、ニトリル基含有コポリマーゴムを基準にして、典型的には1〜20phrの範囲、好ましくは1.5〜15phrの範囲、より好ましくは2〜10phrの範囲である。
使用される架橋剤はさらに、元素で可溶性もしくは不溶性の形態にある硫黄、または硫黄供与体であってもよい。
有用な硫黄供与体としては、たとえば以下のものを挙げることができる:ジモルホリルジスルフィド(DTDM)、2−モルホリノジチオベンゾチアゾール(MBSS)、カプロラクタムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、およびテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)。
本発明のニトリル基含有コポリマーゴムを硫黄加硫する場合においてもまた、その架橋収率を向上させるのに役立つ可能性があるさらなる添加物を使用することが可能である。原理的には、その架橋は、硫黄または硫黄供与体を単独で用いて実施することも可能である。
逆に、本発明のニトリル基含有コポリマーゴムの架橋を、前述の添加剤のみの存在下に、すなわち、元素の硫黄または硫黄供与体を添加することなく、実施することもまた可能である。
架橋収率を向上させるのに役立つ可能性がある好適な添加物としては、たとえば以下のものが挙げられる:ジチオカルバミン酸塩、チウラム、チアゾール、スルフェンアミド、キサントゲン酸塩、グアニジン誘導体、カプロラクタム、およびチオ尿素誘導体。
使用されるジチオカルバミン酸塩は、たとえば以下のものであってよい:ジメチルジチオカルバミン酸アンモニウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SDBC)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDMC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZEPC)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZBEC)、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛(Z5MC)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、およびジイソノニルジチオカルバミン酸亜鉛。
使用されるチウラムは、たとえば以下のものであってよい:テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジメチルジフェニルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、およびテトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)。
使用されるチアゾールは、たとえば以下のものであってよい:2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、亜鉛メルカプトベンゾチアゾール(ZMBT)、および銅2−メルカプトベンゾチアゾール。
使用されるスルフェンアミド誘導体は、たとえば以下のものであってよい:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(DCBS)、2−モルホリノチオベンゾチアゾール(MBS)、N−オキシジエチレンチオカルバミル−N−tert−ブチルスルフェンアミド、およびオキシジエチレンチオカルバミル−N−オキシエチレンスルフェンアミド。
使用されるキサントゲン酸塩は、たとえば以下のものであってよい:ジブチルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルジブチルキサントゲン酸亜鉛、およびジブチルキサントゲン酸亜鉛。
使用されるグアニジン誘導体は、たとえば以下のものであってよい:ジフェニルグアニジン(DPG)、ジ−o−トリルグアニジン(DOTG)、およびo−トリルビグアニジエン(OTBG)。
使用されるジチオリン酸塩は、たとえば以下のものであってよい:ジアルキルジチオリン酸亜鉛(アルキル基の鎖長:C〜C16)、ジアルキルジチオリン酸銅(アルキル基の鎖長:C〜C16)、およびジチオホスフォリルポリスルフィド。
使用されるカプロラクタムは、たとえば、ジチオビスカプロラクタムであってよい。
使用されるチオ尿素誘導体は、たとえば以下のものであってよい:N,N’−ジフェニルチオ尿素(DPTU)、ジエチルチオ尿素(DETU)、およびエチレンチオ尿素(ETU)。
同様に添加物として好適なものとしては、たとえば以下のものが挙げられる:亜鉛ジアミンジイソシアネート、ヘキサメチレンテトラミン、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および環状ジスルファン。
上述の添加物およびさらには架橋剤は、個別に使用しても、あるいは混合物として使用してもよい。ニトリル基含有コポリマーゴムを架橋させるためには、以下の物質を使用するのが好ましい:硫黄、2−メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジモルホリルジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、およびジチオビスカプロラクタム。
架橋剤および上述の添加物はそれぞれ、ニトリル基含有コポリマーゴムを基準にして、約0.05〜10phr、好ましくは0.1〜8phr、特には0.5〜5phrの量(それぞれの場合において、活性物質を基準にした単回の使用量)で使用することができる。
硫黄架橋においては、架橋剤と上述の添加物に加えて、たとえば以下に挙げるさらなる無機物質または有機物質を同様に使用することもまた推奨されよう:酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、飽和もしくは不飽和の有機脂肪酸およびそれらの亜鉛塩、ポリアルコール、アミノアルコールたとえば、トリエタノールアミン、およびアミン、たとえば、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルエチルアミン、ポリアミン、およびポリエーテルアミン。
ポリアミンを用いた架橋の場合においては、たとえば、追加のモノマー単位の遊離のカルボキシル基が転化される。ポリアミンは、特定のものになんら限定されることはないが、ただし、その架橋剤が少なくとも2個以上のアミノ基を有しているか、またはインサイチューで2個以上のアミノ基を発生させる物質でなければならない。脂肪族もしくは芳香族の炭化水素の複数の水素がアミノ基またはヒドラジド構造(「−CONHNH」で表され、ここでCOはカルボニル基である)で置換されている架橋剤が好ましい。ポリアミン架橋剤の例としては、たとえば以下のものが挙げられる:
・ 脂肪族ポリアミン、好ましくはヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、テトラメチレンペンタアミン、ヘキサメチレンジアミン−シンナムアルデヒドアダクト、またはヘキサメチレンジアミンジベンゾエート塩;
・ 芳香族ポリアミン、好ましくは2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェニル−1,1’−ジイルジオキシ)ジアニリン;
・ または4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン);
・ 少なくとも2つのヒドラジン構造を有する物質、好ましくはイソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、またはセバシン酸ジヒドラジド。
特に好ましいポリアミンは、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンモノカルバメート、および(4,4’−イソプロピリデンジフェニル−1,1’−ジイルジオキシ)ジアニリンである。加硫可能な混合物の中でのポリアミン架橋剤の量は、100重量%のポリマーを基準にして、典型的には0.2重量%〜20重量%の範囲、好ましくは1重量%〜15重量%の範囲、より好ましくは1.5重量%〜10重量%の範囲である。
ニトリル基含有コポリマーゴムを含む加硫可能な混合物を製造するための方法
本発明はさらに、ニトリル基含有コポリマーゴムを、少なくとも1種の架橋剤および任意選択的に存在するさらなる成分と混合することによる、ニトリル基含有コポリマーゴムを含む加硫可能な混合物を製造するための方法も提供する。この混合操作は、ゴム産業において慣用されるあらゆる混合ユニット、たとえばインターナルミキサー、Banburyミキサー、またはローラーで実施することができる。当業者であれば、適切な試験をすることによって、計量添加の順序を何の問題もなく決めることができる。
たとえば、可能な手順のための2つの変形形態を、以下に記載する。
方法A:インターナルミキサー中での製造
好ましいのは、「かみ合いタイプ(intermeshing)」のローター構造を有するインターナルミキサーである。
開始時には、ベールの形態にあるニトリル基含有コポリマーゴムをインターナルミキサーに仕込み、そのベールを微粉砕させる。適切な混合時間の後に、充填剤および添加剤を加える。その混合は温度制御下で実施するが、ただし、混合物が、130℃〜150℃の範囲の温度に適切な時間滞留するようにする。さらなる適切な混合時間の後に、さらなる混合物構成成分、たとえば、任意選択的にステアリン酸、抗酸化剤、可塑剤、白色顔料(たとえば二酸化チタン)、染料、およびその他の加工活性化剤を添加する。さらなる適切な混合時間の後に、インターナルミキサーのガス抜きをし、シャフトをきれいにする。さらなる適切な時間の後に、インターナルミキサーを空にして、加硫可能な混合物を得る。適切な時間とは、数秒〜数分を意味していると理解されたい。そのようにして製造された加硫可能な混合物は、慣用される方法、たとえばムーニー粘度、ムーニースコーチ、またはレオメーター試験によって評価することができる。
方法B:ロール上での製造
混合ユニットとしてロールを使用するのであれば、同様の方法および順序で、計量仕込みを進行させることが可能である。
ニトリル基含有コポリマーゴムを含む加硫物を製造するための方法
本発明はさらに、ニトリル基含有コポリマーゴム(加硫)を含む加硫物を製造するための方法も提供し、その特徴は、ニトリル基含有コポリマーゴムを含む加硫可能な混合物を、好ましくは100℃〜250℃の範囲の温度、より好ましくは150℃〜200℃の範囲の温度、最も好ましくは160℃〜200℃で加硫にかける点にある。この目的のためには、加硫可能な混合物を、カレンダー、ロール、またはエクストルーダーを用いてさらに加工する。次いで、その予備成形した物質を、プレス、オートクレーブ、加熱空気系、または自動マット加硫系(automatic mat vulcanization system、「Auma」)と呼ばれる系の中で加硫し、そこでの有用な温度は、120℃〜200℃、好ましくは140℃〜190℃の範囲であることが見いだされた。その加硫時間は、典型的には1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。加硫物の形状およびサイズによっては、完全な加硫を得るために、再加熱による第二の加硫が必要になることもある。
加硫物
本発明はさらに、そのようにして得ることが可能な、ニトリル基含有コポリマーゴムをベースとする加硫物を提供する。それらの加硫物は成形物品の形態を取っていてよく、それは、たとえば、ベルト、ローラー、靴の構成要素、ガスケット、ホース、制動要素、ステーター、またはケーブルシース、好ましくは伝動ベルトとして使用することができる。加硫物を製造するための上述の方法は、各種の成形物を製造するのに使用することができる。
使用
本発明はさらに、成形物体の製造、好ましくは押出し成形または射出成形によって製造されるもののための、本発明のニトリル基含有コポリマーゴムをベースとする加硫物の使用もまた提供する。
成形物
本発明はさらに、本発明のニトリル基含有コポリマーゴムをベースとする成形物も提供する。たとえばこの目的のために使用することが可能な方法、たとえば、型込め成形、射出成形、または押出し成形の方法、ならびにそれらに対応する射出成形装置またはエクストルーダーは、当業者には十分公知である。これらの成形物の製造においては、本発明のニトリル基含有コポリマーゴムに、当業者には公知であり、慣用される技術知識を使用して適切に選択されなければならない標準的な助剤を補助的に使用することも可能であり、そのようなものとしてはたとえば以下のものが挙げられる:充填剤、充填剤−活性剤、加硫促進剤、架橋剤、オゾン劣化防止剤、抗酸化剤、加工オイル、エクステンダーオイル、可塑剤、活性剤、またはスコーチ防止剤。
本発明の特別な利点は、本発明のニトリル基含有コポリマーゴムが、同一のアクリロニトリル含量を有する従来からのタイプに比較して、同一の耐油性を備えながらも、より低いガラス転移温度を有しているという点にある。
実施例:
試験方法:
RDB含量(残存二重結合含量)(単位:%)は、次のようなFT−IR測定法によって求める:水素化の前、途中、および後のニトリル基含有コポリマーゴムのIRスペクトルを、Thermo Nicolet FT−IRスペクトロメーター、AVATAR 360タイプのIR装置の手段により記録する。この目的のためには、ニトリル基含有コポリマーゴムのモノクロロベンゼン溶液を、NaCl板の上に塗布し、乾燥させて膜とし、分析する。水素化のレベルは、ASTM D 567095法によるFT−IR分析の手段によって求める。
ムーニー粘度(ML1+4、100℃)の値は、それぞれの場合において、DIN 53523/3に従い、剪断円板粘度計の手段により求める。
分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求めた。以下のもので構成されたモジュラーシステムを使用した:Shodex RI−71示差屈折計、S 5200オートサンプラー(SFD製)、カラムオーブン(ERC−125)、Shimadzu LC 10ATポンプ、およびPolymer Labs製の3本の「mixed−B」カラムのカラム組合せ。使用した溶媒は、テトラヒドロフランであり、表示される分子量は、PSS(Mainz)製のポリスチレン標準をベースとしたものである。測定は40℃で実施し、流量は、テトラヒドロフラン中1mL/分であった。
数平均分子量M、質量平均分子量、およびそれらから得られる多分散性指数PDIのような分子パラメーターは、Waters製の「Empower 2 data base」ソフトウェアの手段によって、RI信号から求めた。
ニトリル基含有コポリマーゴム中のACN含量を求めるための窒素含量は、LECO TruSpec製のQS 01960で測定した。CHN分析計の中、純酸素中約950℃でサンプルの燃焼を秤量し、燃焼ガスを分割し、分解された成分を吸収させ、TCD(熱伝導率測定セル)によってNを検出する。
個々のポリマーの微細構造およびターモノマー含量は、1H NMRの手段により測定した(装置:Bruker DPX400、TopSpin 1.3ソフトウェア使用、測定周波数:400MHz、溶媒:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2)。
ゴム混合物の加硫特性は、ムービングダイレオメーター(MDR 2000E)を用い、加硫時間の関数としてトルクを測定することによって求めた(測定角度:0.5度、振動数:1.7Hz、180℃、30分)。
引張試験のために、加硫可能な混合物を180℃で加硫させることによって、2mmのプラックを作成した。それらのプラックからダンベル形状の試験片を打ち抜き、ASTM D2240−81に従って引張強度および伸びを測定した。
硬度は、ASTM D2240−81に従い、硬度計を用いて測定した。
ニトリル基含有コポリマーゴムのガラス転移温度は、DSC測定法を用いて求めた。この目的のためには、10〜15mgのサンプルをアルミニウムボートの上に秤込み、封入した。Mettler Toledo DSC 821e/STAR SW 11.00 DSC装置の中で、そのボートを、−100℃から100℃まで、20K/分の加熱速度で2回昇温させた。ガラス転移温度は、その2回目の加熱曲線から、平均値を求めるための標準的な方法により求めた。加硫物のガラス転移温度も、DSC測定法を用いて求めた。この目的のためには、10〜15mgのサンプルをアルミニウムボートの上に秤込み、封入した。TA Instruments製のDSC装置の中で、そのボートを、−150℃から150℃まで、10K/分の加熱速度で2回昇温させた。ガラス転移温度は、その2回目の加熱曲線から、平均値を求めるための標準的な方法により求めた。
オイル膨潤性を測定するためには、引張試験のために使用したダンベル形状の試験片を、密封容器中でIRM 903オイルの中に、150℃で7日間保存した。その後で、サンプルの寸法と重量を測定し、体積膨潤度と質量の増加を求めた。次いで、ASTM D2240−81に従って、引張強度および伸びを測定した。
以下の表において用いた略称は次の意味合いを有する。
「RT」:室温(23±2℃)
「Smin」:架橋等温式の最小トルク
「Smax」:架橋等温式の最大トルク
「デルタS」:「Smax−Smin」
「TS1」:ムーニー粘度が最小に達した後、ムーニー粘度が1単位上昇するまでの時間(出発点と比較)
「TS2」:ムーニー粘度が最小に達した後、ムーニー粘度が2単位上昇するまでの時間(出発点と比較)
「t50」:Smaxの50%に達した時間
「t90」:Smaxの90%に達した時間
「t95」:Smaxの95%に達した時間
「M10」:10%伸び時のモジュラス(RTで測定)
「M25」:25%伸び時のモジュラス(RTで測定)
「M50」:50%伸び時のモジュラス(RTで測定)
「M100」:100%伸び時のモジュラス(RTで測定)
「M300」:300%伸び時のモジュラス(RTで測定)
「EB」:破断時伸び(RTで測定)
「TS」:引張強度(RTで測定)
「H」:硬度(RTで測定)
実施例においては以下の物質を使用した:
以下の化学薬品は、それぞれの場合において特定した会社からの商品として購入するか、または特定した会社の製造プラント由来のものである。
「プレミックス溶液Fe(II)SO」:400gの水中、0.986gのFe(II)SO・7HOおよび2.0gのRongalit(登録商標)Cを含む。
Rongalit C(登録商標):スルフィン酸のナトリウム塩誘導体(BASF SEからの商品)
t−DDM:三級ドデシルメルカプタン(LANXESS Deutschland GmbHからの商品)
Disponil(登録商標)SDS G:ラウリル硫酸ナトリウム(Cognis GmbHからの商品)
Trigonox(登録商標)NT50:p−メンタンヒドロペルオキシド(Akzo−Degussaからの商品)
不均化された樹脂酸のNa塩:Arizona Chemical GmbH、CAS 61790−51−0
PEG5:ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、分子量300g/mol;Sigma−Aldrich
MEA:アクリル酸2−メトキシエチル、Alfa Aesar
NaCO:Merck KGaAからの商品
ジエチルヒロドキシルアミン:Merck KGaAからの商品
Vulkanox(登録商標)BKF:2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチル−フェノール)(Lanxess Deutschland GmbHからの商品)
重合中または加硫可能な組成物中で使用されたその他の物質:
Corax(登録商標)N330:カーボンブラック、Orion Engineered Carbonsから市販
Rhenofit(登録商標)DDA:オクチル化ジフェニルアミンをベースとする70%マスターバッチ、Rheinchemie製
Vulkanox(登録商標)ZMB2/C5:4−および5−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、Lanxessから市販
Perkadox(登録商標)14−40:ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(シリカ上、40%担持)、Akzo Nobel Polymer Chemicals BVから市販
TAIC:トリアリルイソシアヌレート、70%マスターバッチ、Kettlitz Chemie GmbH&Co KGから市販
Maglite(登録商標):酸化マグネシウム、CP Hallから市販
Corax(登録商標)N774:カーボンブラック、Orion Engineered Carbonsから市販
Technora繊維、3mm:パラアミド繊維、Teijinから市販
Uniplex 546:トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、Lanxessから市販
Luvomaxx CPDA:4,4’−ビス−(1,1−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、Lehmann&Vossから市販
I.ニトリル基含有コポリマーゴム(NBR)1〜3の調製(本発明実施例)
下記の実施例シリーズで使用されたNBR1、2および3は、表1に記載された基本配合に従って製造され、原料はすべて、モノマー混合物の100重量%を基準にした重量%で記載されている。表1にはさらに、それぞれの重合条件も明記している。
Figure 2018145442
ニトリル基含有コポリマーゴムは、攪拌機付きの20Lオートクレーブ(NBR1)または5Lオートクレーブ(NBR2およびNBR3)の中で、バッチ法により調製した。それぞれのオートクレーブバッチにおいて、5.4kg(NBR1)または1.3kg(NBR2およびNBR3)のモノマー混合物と、全量で10.5kg(NBR1)または2.5kg(NBR2およびNBR3)の水とを使用し、同様に、Fe(II)を基準にして等モル量のEDTAを使用した。水の量のうちの2.2kgまたは9.4kgは、オートクレーブの中に乳化剤と共に最初に仕込み、窒素気流を用いてパージした。その後で、安定剤を除去したモノマーおよび表1に規定された量のt−DDM分子量調節剤を添加し、反応器を閉じた。反応器の内容物を所定の温度に上げてから、そのプレミックス溶液およびパラ−メンタンヒドロペルオキシド(Trigonox(登録商標)NT50)を添加することによって重合を開始させた。
転化率を重量分析することにより、重合の進行をモニターした。表1に記載した転化率に達したら、ジエチルヒドロキシルアミンの水溶液を添加することにより重合を停止させた。水蒸気蒸留の手段によって、未転化モノマーおよびその他の揮発性成分を除去した。その乾燥させたNBRゴムは、ムーニー粘度、ACN含量、およびガラス転移温度により特性解析し、ターモノマーの含量を1H NMR分析により求めた(表2)。
Figure 2018145442
II.水素化ニトリル基含有コポリマーゴム(HNBR)の調製
水素化の手順
以下の水素化は、上で合成したニトリル基含有コポリマーゴム(NBR)1〜3を使用して実施した。
脱水モノクロロベンゼン(MCB)はVWRから購入し、そのまま使用した。水素化実験の結果を表2にまとめた。
水素化1〜3は、10Lの高圧反応器の中で、以下の条件下で実施した。
溶媒:モノクロロベンゼン
固形分濃度:MCB(518g)中13重量%のNBRターポリマー
反応器温度:137〜140℃
反応時間:最長4時間まで
触媒および仕込み量:Wilkinson触媒:112.2g(0.065phr);
助触媒:トリフェニルホスフィン:11.7g(1.0phr)
水素圧(pH):8.4MPa
攪拌機速度:600rpm
NBRターポリマーを含むポリマー溶液を、激しい撹拌下に、H(23℃、2MPa)を用いて3回脱気させる。反応器の温度を上げて100℃とし、H圧を6MPaとした。Wilkinson触媒(112.2g)およびトリフェニルホスフィン(11.7g)からなる123.9gのクロロベンゼン溶液を加え、圧力を上げて8.4MPaとしたが、その間反応器の温度は138℃に調節した。反応の間、両方のパラメーターは一定に維持した。反応の進行は、IR分光光度法の手段によるニトリル基含有コポリマーゴムの残存二重結合含量(RDB)の測定の手段によってモニターした。4時間以内か、および/またはRDB含量が1%未満となるかの後に、水素圧を解放することによって反応を停止させた。IRの手段によって求めた最終的なRDBの値を、H NMR分光光度法の手段によりチェックした。
III.水素化されたニトリル基含有コポリマーゴムの加硫物の製造:
加硫可能な混合物の製造:
HNBR1:水素化ニトリル−ブタジエン−アクリル酸メトキシエチルターポリマー、ACN含量:33.6%、アクリル酸メトキシエチル(MEA)含量:4.8%、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):67。
HNBR2:水素化ニトリル−ブタジエン−アクリル酸メトキシエチルターポリマー、ACN含量:34.6%、ポリエチレングリコールアクリレート(PEG5)含量:4.1%、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):88。
HNBR3:水素化ニトリル−ブタジエン−アクリル酸メトキシエチルターポリマー、ACN含量:33.6%、アクリル酸メトキシエチル(MEA)含量:7.7%、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):72。
HNBR4(Therban 3407):市販品の水素化ニトリル−ブタジエンコポリマー、ACN含量:34%、残存二重結合含量:0.9%未満、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):70。
Figure 2018145442
ゴム混合物はすべて、ミキシングロールミル上で製造した。ロールの直径は80mm、長さは200mmであった。ロールは予熱して40℃としておいた。フロントロールの速度が16.5rpm、リアロールのそれが20rpmであったため、1:1.2の摩擦が得られた。
最初にゴムを仕込み、1分間混合させて、滑らかなミルドシードを形成させた。次いで、最初にカーボンブラック、次いで添加剤類、および最後に架橋用薬剤を混ぜ込んだ。混合時間は全部で、5〜8分であった。
Figure 2018145442
180℃で10分間加硫させることによって、さらなる測定を実施するための成形物を作成した。
Figure 2018145442
Figure 2018145442
Figure 2018145442
Figure 2018145442
Figure 2018145442
Figure 2018145442
オイル膨潤性(ΔV)は、ガラス転移温度(Tg)の場合とまったく同様に、本発明のコポリマーゴム1〜3をベースとする加硫物では、本発明ではないHNBR4をベースとする加硫物と比較して、明らかに低下している。

Claims (14)

  1. ニトリル基含有コポリマーゴムであって、
    a)10重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜50重量%、より好ましくは34重量%〜43重量%のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単位、
    b)31重量%〜89.0重量%、より好ましくは42重量%〜78.75重量%、最も好ましくは49重量%〜64.5重量%の共役ジエン単位、および
    c)1重量%〜9重量%、好ましくは1.25重量%〜8重量%、より好ましくは1.5重量%〜8重量%の少なくとも1種のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステル単位
    を含むニトリル基含有コポリマーゴムにおいて、
    ・ 本明細書で特定した試験方法により測定されるガラス転移温度が、−20℃未満、好ましくは−23℃未満、より好ましくは−25℃未満であり、かつ
    ・ 本明細書で特定した試験方法により測定されるオイル膨潤性が、20%以下、好ましくは18%以下、より好ましくは15%以下である
    ことを特徴とするニトリル基含有コポリマーゴム。
  2. 前記共役ジエン単位(b)の水素化のレベルが、50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のニトリル基含有コポリマーゴム。
  3. 前記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位(a)が、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、またはそれらの混合物、最も好ましくはアクリロニトリルであることを特徴とする、請求項1または2に記載のニトリル基含有コポリマーゴム。
  4. 前記共役ジエン単位(b)が、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、またはそれらの混合物、好ましくは1,3−ブタジエンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のニトリル基含有コポリマーゴム。
  5. 前記α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸モノエステル(c)が、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、またはポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、好ましくは1〜20個の繰り返しエチレングリコール単位を有するメトキシもしくはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、好ましくは1〜5個の繰り返しエチレングリコール単位を有するメトキシもしくはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のニトリル基含有コポリマーゴム。
  6. 乳化重合によって実施されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のニトリル基含有コポリマーゴムを調製するための方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のニトリル基含有コポリマーゴムおよび少なくとも1種の架橋剤を含む加硫可能な混合物。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のニトリル基含有コポリマーゴムを少なくとも1種の架橋剤と混合することによる、請求項7に記載の加硫可能な混合物を製造するための方法。
  9. 請求項7に記載の加硫可能な混合物を、好ましくは100℃〜200℃の範囲の温度、より好ましくは120℃〜200℃の範囲の温度、最も好ましくは130℃〜200℃で加硫にかけることを特徴とする、ニトリル基含有コポリマーゴムをベースとする加硫物を製造するための方法。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のニトリル基含有コポリマーゴムをベースとする加硫物。
  11. 好ましくは押出し成形法および射出成形法によって成形物を製造するための、請求項1〜5のいずれか一項に記載のニトリル基含有コポリマーゴムの使用。
  12. ベルト、ローラー、靴の構成要素、ガスケット、ホース、制動要素、ステーター、またはケーブルシース、好ましくは伝動ベルトを製造するための、請求項9に記載のニトリル基含有コポリマーゴムの使用。
  13. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のニトリル基含有コポリマーゴムをベースとする成形物。
  14. 請求項9に従って得ることが可能な成形物。
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