JP2018145129A - 脂質代謝改善用組成物及び脂質代謝改善用食品 - Google Patents

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Noriaki Shirasaka
憲章 白坂
照佳 田中
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照佳 田中
福田 泰久
Yasuhisa Fukuda
泰久 福田
信久 川口
Nobuhisa Kawaguchi
信久 川口
史江 沼田
Fumie Numata
史江 沼田
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【課題】脂質代謝異常を呈する疾患に対して予防及び治療効果を有する脂質代謝改善用組成物及び脂質代謝改善用食品を提供することを目的とする。
【解決手段】式(I)
【化1】
Figure 2018145129

(式中、Rは、水素原子又はメトキシ基である。)
で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を有効成分として含む脂質代謝改善用組成物である。
【選択図】図1

Description

本発明は、脂質代謝改善用組成物及び脂質代謝改善用食品に関する。
近年、日本人は肥満や高血圧、高脂血症、糖尿病等の生活習慣病を発症するリスクが増加する傾向にある。これら生活習慣病が進行すると、動脈硬化が進み、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、閉塞性動脈硬化症(ASO)等重大な病気を引き起こし、いくつかの生活習慣病や因子が重なると、心臓病や脳卒中が生じる危険性が高くなることが知られている。生活習慣病の原因として日本人の和食離れ、肉食に偏りがちな食の欧米化が考えられる。生活習慣病の予防及び治療法としてまず適度な運動や食事制限が挙げられるが、運動や食事制限は、継続して実施することが重要であるため、成功率が低いというのが現状である。また、過度の食事制限は栄養障害や栄養失調につながるといった危険性がある。したがって、日常生活において簡単かつ安全に摂取することができる脂質代謝改善作用をもつ食品素材の探索が嘱望されている。特に、エストロゲン欠乏によるインスリン抵抗性の惹起や脂肪細胞の炎症により発症する閉経後肥満は、老齢人口の増加に伴いその患者数が増加しており、安全で有効な予防食品の開発が嘱望されている。
近年、予防医学の観点から、ヒトの健康状態や食品機能を科学的に研究する機能性食品、特にその有効成分の研究が盛んになされている。特に大豆タンパク質や大豆イソフラボノイドの脂質代謝改善作用に関しての報告がある(特許文献1等)。一方、シリンガ酸はキノコ菌糸体やアサイーオイルに含有される低分子化合物であるが、シリンガ酸及びそれを含有する食品素材の生埋活性についての報告は少ない。
特開2003−26571号公報
そこで本発明は、脂質代謝異常を呈する疾患に対して予防及び治療効果を有する脂質代謝改善用組成物及び脂質代謝改善用食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、キノコ菌糸体やアサイーオイル等に含まれるシリンガ酸、及びその類似体であるバニリン酸が、脂質代謝改善作用を有することを新たに見出し、発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
[1]式(I)
Figure 2018145129
(式中、Rは、水素原子又はメトキシ基である。)
で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を有効成分として含む脂質代謝改善用組成物。
[2]式(I)で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を、組成物全量を100質量部として、0.1〜20質量部含む、[1]に記載の脂質代謝改善用組成物。
[3]キノコ廃培地の抽出物又はその処理物である、[1]又は[2]に記載の脂質代謝改善用組成物。
[4]脂質代謝改善が、脂質代謝異常を呈する疾患の予防又は治療である、[1]〜[3]のいずれかに記載の脂質代謝改善用組成物。
[5]式(I)
Figure 2018145129
(式中、Rは、水素原子又はメトキシ基である。)
で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を含む脂質代謝改善用食品。
[6]脂質代謝改善が、脂質代謝異常を呈する疾患の予防又は治療である、[5]に記載の脂質代謝改善用食品。
本発明によれば、脂質代謝異常を呈する疾患を効果的に予防・治療することができる。
図1Aは、シリンガ酸(SA)の経口摂取が体重に与える影響を示すグラフである。図1Bは、シリンガ酸(SA)の経口摂取が摂餌量に与える影響を示すグラフである。 図2Aは、シリンガ酸(SA)の経口摂取が脂肪量に与える影響(CT解析)を示す写真である。図2Bは、シリンガ酸(SA)の経口摂取が脂肪量に与える影響(CT解析)を示すグラフである。 図3は、シリンガ酸(SA)の経口摂取が肝臓脂質量(肝臓トリグリセリド濃度)に与える影響を示すグラフである。 図4は、各試料の抽出物におけるシリンガ酸及びバニリン酸の含有量を示すグラフである。
以下、実施の形態に基づき本発明を詳細に説明する。
本実施形態に係る組成物は、式(I)
Figure 2018145129
(式中、Rは、水素原子又はメトキシ基である。)で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を有効成分として含む。Rがメトキシ基である式(I)の化合物はシリンガ酸に、Rが水素原子である式(I)の化合物はバニリン酸にそれぞれ対応する。
シリンガ酸は、アサイー(Euterpe oleracea)やシイタケ菌糸体(Lentinula edodes)に含まれるフェノール誘導体であり、これらの天然物から通常の方法を用いて抽出することができる。また、バニリン酸は、シリンガ酸と同様に、トウキ(Angelica acutiloba)、アサイー、シイタケ菌糸体等の多くの食用植物中に含まれるフェノール誘導体であり、これらの天然物から通常の方法を用いて抽出することができる。あるいは、細菌を培養し抽出する方法(特開平11−69990号公報、特表2003−520580号公報)、パルプ廃材等のリグニンから超臨界水処理による加水分解を行う方法(特開平11−292799号公報)、草食動物の糞を亜臨界状態の水で処理する方法(特開2007−291065号公報)によって、シリンガ酸、バニリン酸を工業的に製造してもよい。
また、シリンガ酸及び/又はバニリン酸を含むキノコや穀物由来の各種原料の抽出物又はその処理物を、本実施形態に係る脂質代謝改善用組成物として用いることができる。特に、キノコ廃培地の抽出物又はその処理物は、シリンガ酸及び/又はバニリン酸を多く含むため好ましく用いることができる。ここで、処理物とは、抽出物に分離、精製、単離等の各種処理の少なくとも1つを施したものである。
抽出物は、キノコ廃培地等の原料をメタノール等の抽出溶媒を用いて抽出することにより得ることができる。抽出温度は、好ましくは室温ないし沸点の範囲内であり、例えば20〜60℃である。抽出時間は、抽出温度等により異なるが、好ましくは1〜36時間であり、さらに好ましくは12〜24時間である。
抽出溶媒としては、水;脂肪族炭化水素類、例えばヘキサン;クロロホルム;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール;エステル類、例えば酢酸エチル等の酢酸エステル;エーテル類、例えばエチルエーテル、ジオキサン;ケトン類、例えばアセトン等が挙げられる。抽出物を一旦溶媒除去して乾燥物として用いる場合には、前述した任意の溶媒を単独で又は混合して用いることができる。一方、抽出物を溶媒に溶解した状態で用いる場合には、人体に対して有害な作用を示さない溶媒を用いる必要があり、この場合には、水、エタノール又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
抽出物としては、例えば、キノコ廃培地等の各種原料のメタノール抽出物、該抽出物を酢酸エステルと塩基性水溶液とで分配して得られた水溶液抽出物、及び、該水溶液抽出物をさらに酸性条件下で酢酸エステルを用いて抽出したもの等が挙げられる。
抽出物は、必要に応じて、布、ステンレスフィルター、濾紙、濾過滅菌用フィルター等で濾過して不溶物、不純物等を除去してもよい。また、濾過後の抽出液に、スプレードライ処理、フリーズドライ処理、超臨界処理等の処理を施してもよい。
抽出物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、吸着・逆相分配クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、透析等の各種精製手段により処理し、さらに活性を高めた処理物としてもよい。
このような抽出物又はその処理物は、一例として、下記「2.脂質代謝改善用組成物(シリンガ酸及びバニリン酸を含む抽出物)の調製」に記載した方法により得ることができる。
式(I)で示される化合物の塩としては、生理的に許容されるものであれば、特に限定されることなく種々の塩を用いることができる。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩等を挙げることができる。好ましくはアルカリ金属塩であり、カリウム塩であることが特に好ましい。また、結晶水付加物であってもよい。
式(I)で示される化合物のエステルとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を挙げることができる。
また、式(I)で示される化合物の配糖体も有効成分として用いることができる。配糖体の糖残基としては、ウロン酸残基、グルクロン酸残基、グルコース残基、アラビノース残基、マルトース残基、グルコピラノシルグルコピラノシヅロン酸残基、オリゴガラクツロン酸残基等が挙げられる。好ましくは、グルコース残基及びグルコピラノシルグルコピラノシヅロン酸残基である。配糖体の製造方法は特に限定されるものではなく、従来知られた方法に準じて製造することができる。例えば、グルコシダーゼやグルクロニダーゼ等の酵素を用い、式(I)で示される酸と糖とを非アルコール性溶媒中で反応させる方法や、式(I)で示される酸の水酸基を予めアシル基等で保護した後、カルボキシル基を塩化チオニル等の塩素化剤で塩素化して酸クロリドとし、これを同様に予め水酸基をアセチル基等のアシル基で保護した糖部分と酸化銀等を触媒として反応させ、その後、接触還元により保護基をはずすことによって得ることができる。
本実施形態に係る組成物は、式(I)で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体のいずれか一種が単独で含まれていてもよいし、二種以上が混合状態で含まれていてもよい。例えば、シリンガ酸及びバニリン酸を混合状態で含有するキノコ廃培地の抽出物をそのまま利用することができる。
本実施形態に係る組成物は、脂質代謝を改善する機能を有する。本実施形態に係る組成物は、脂質代謝異常を呈する疾患を効果的に予防・治療することができる。ここで、「脂質代謝異常」とは、脂質の代謝経路になんらかの異常をきたし、血中濃度が適切な範囲に保たれない状態(多くは、血中濃度が適正範囲を超えた状態)を意味する。
上記脂質代謝異常を呈する疾患としては、例えば、高脂血症(高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症、食後高脂血症等)、肥満(例えば内臓脂肪蓄積、皮下脂肪蓄積)、閉経後肥満、脂肪肝、高血圧症、動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症(ASO)、糖尿病、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満を共通の要因として、高血糖、脂質異常、高血圧の2つ以上を呈する病態)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
脂質代謝改善用組成物における式(I)に示される化合物等の有効成分の含有量は、脂質代謝の改善機能を発揮させる観点から適宜設定することができる。具体的には、式(I)で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を、組成物全量を100質量部として、0.1〜20質量部含むことが好ましい。特に好ましくは、1〜10質量部である。また、本実施形態に係る組成物を、脂質代謝を改善する目的でヒトに摂取させる場合、式(I)で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体の摂取量が、10μg〜5g/日/kg体重となるように有効成分の含有量を設定することが好ましいが、これに限定されるものではない。
脂質代謝改善用組成物には、式(I)で示される化合物等の前記必須成分以外に、種々の任意成分を含有することができる。このような成分として、例えば、賦形剤、矯味剤、矯臭剤、結合剤、甘味剤、酸味剤、分散剤、乳化剤、着色剤、保存料、抗酸化剤、安定剤等を挙げることができる。
さらに、式(I)で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を含む食品は、脂質代謝改善機能を有する食品として用いることができる。このような食品としては、各種飲料、調味料、アルコール飲料、ゼリー、菓子等、どのような形態でもよく、菓子類の中でも、保存性に優れたハードキャンディ、ソフトキャンディ、グミキャンディ、タブレット等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、式(I)で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を0.01〜10mg/g程度の濃度で含むアサイーオイル、チャーガ、キノコ菌糸体等の食品を脂質代謝改善用の機能性食品として摂取することができる。
式(I)で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体は安全性に優れたものであるので、ヒトに対してだけでなく、非ヒト動物、例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー等の哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類等の治療剤又は飼料に配合してもよい。飼料としては、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ニワトリ等に用いる家畜用飼料、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、ウナギ、タイ、ハマチ、エビ等に用いる魚介類用飼料、イヌ、ネコ、小鳥、リス等に用いるペットフード等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[1.シリンガ酸の脂質代謝改善作用]
(1)薬剤
シリンガ酸(>97%純度)は、東京化成工業(株)から購入した。
(2)マウスの選択及び群分け
卵巣摘出マウスを脂質代謝異常モデルマウスとして用いた。9週齢の雌性ddYマウスに卵巣摘出手術(OVX)を実施した群、ならびに偽手術(sham)を実施した群を、それぞれ1週間の子備飼育後、一般状態に異常がみられなかったマウスを選択し、OVX及び偽手術それぞれをシリンガ酸摂取群(SA)又は非摂取群(コントロール)の2群に分け、計4群に分けた。
(3)試験方法及び結果
普通飼料は表1で示した組成で作成し、シリンガ酸含飼料は表1で示した飼料に100mg/kg/体重の用量となるように飼料に混ぜて調製した。飼料又は水は各々自由摂取させた。体重及び摂餌量は週に一度測定した。結果を図1に示す。
Figure 2018145129
投与12週目にイソフルランによる麻酔下でComputed Tomography(CT)法を用いて内臓脂肪量、皮下脂肪量及び総脂肪量を測定した。結果を図2A及びBに示す。
またマウスにシリンガ酸含飼料又は普通飼料を12週間摂取させた後、3種混合麻酔薬(塩酸メデトミジン+ミダゾラム+酒石酸ブトルファノール)で麻酔下腹部大動脈より全採血して安楽死させ、肝臓を摘出し、分析するまで−80℃で保存した。
採取した血液を遠心分離して血清として分析をするまで−80℃で保存した。得られた血清におけるトリグリセリド濃度及びグルコース濃度を、それぞれ市販の酵素法キットであるトリグリセリドE−テリストワコー、リン脂質CIIテストワコー(いずれも和光純薬工業株式会社)を用いて測定した。結果を表2に示す。
Figure 2018145129
摘出した肝臓はBlign&Dyerの方法により脂質を抽出し、遠心エバポレーターにより溶媒を除去後、イソプロパノールで再溶解させたものを分析に用いた。肝臓中のトリグリセリド濃度は上記の市販キットを用いて測定した。結果を図3に示す。
全てのデータは平均値±標準誤差で示した。有意差検定を行い、P<0.05で有意差ありと判定した。
図1に示すように、OVXマウスは偽手術マウスと比較し有意に体重を増加させたが、偽手術及びOVXマウスにシリンガ酸を摂取させても体重及び摂餌量に変化は認められなかった。
図2A及びBに示すように、投与12週目に行ったCT解析において、OVXにより増加する内臓脂肪量、皮下脂肪量及び総脂肪量はシリンガ酸の摂取により有意に抑制された。尚、図2Aにおいて、最も暗い部分が内臓脂肪であり、皮下脂肪は最も外側近傍に存在する。
表2に示すように、シリンガ酸を摂取したOVXマウスの血清トリグリセリド濃度やグルコース濃度は、そのコントロール群に対して有意に低かった。
図3に示すように、シリンガ酸を摂取したOVXマウスの肝臓トリグリセリド濃度は、そのコントロール群に対して有意に低かった。
さらに、シリンガ酸のin vivoにおけるエストロゲン様活性を子宮重量の測定によって行った。シリンガ酸摂取群と非摂取群の子宮重量にほとんど差がなかった。また、シリンガ酸はエストロゲンレセプターとの結合活性が全くないことから(文献:Simoncini T, Lenzi E, Zoechling A, Gopal S, Goglia L, Russo E, Polak K, Casarosa E, Jungbauer A, Genazzani AD, Genazzani AR (2011) Estrogen-like effects of wine extracts on nitric oxide synthesis in human endothelial cells. Maturitas 70: 169-175)、シリンガ酸はエストロゲンレセプター非依存的経路でOVXマウスの脂肪細胞を標的に脂質代謝を改善することが示唆された。
以上の結果から、シリンガ酸は、脂質代謝異常を呈する疾患の予防と改善に効果的であることが示唆された。
[2.脂質代謝改善用組成物(シリンガ酸及びバニリン酸を含む抽出物)の調製]
以下の工程に従ってシリンガ酸及びバニリン酸の抽出を行った。
(1)50ml容ネジ口試験管に入れた試料をオートクレーブ処理(121℃、20分間)した。これにメタノール(40〜50ml)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1ml)をこの順で加え、時々撹拌及び超音波処理を行いながら50℃で一晩(又は2時間)抽出し、得られた抽出液を濾過し、濾液をエバポレーターにて濃縮した。
(2)得られた残渣に、酢酸エチル(5ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液3ml及び蒸留水2mlを加えてボルテックスミキサーを用いて撹拌し、酢酸エチルと水とで二層分配した。
(3)得られた水層(下層)に、酢酸エチル(5ml)を加え、ボルテックスミキサーを用いて撹拌し、酢酸エチルと水とで二層分配した。
(4)得られた水層(下層)に濃塩酸(1ml)を加えてpH3以下とし、これに酢酸エチル(5ml)を加えて、ボルテックスミキサーを用いて撹拌し、酢酸エチルと水とで二層分配した。
(5)得られた酢酸エチル層(上層)をエバポレーターで濃縮して残渣として抽出物を得た。
得られた抽出物をメタノール(1ml)に溶解させてHPLC分析を行った。この時沈殿が生じた場合には遠心除去を行った。HPLC分析の条件は以下の通りである。
カラム:COSMOSIL 5C18AR−II(ナカライテスク社)
流速:0.5ml/分
移動相:0〜45分 :10%メタノール/水から50%メタノール/水への直線勾配
45〜50分:50%メタノール/水から80%メタノールへの直線勾配
50〜80分:80%メタノール/水。
小麦フスマ1〜2gを試料として用いて上記工程により抽出物を得た。シリンガ酸の標準試料との比較により保持時間26分にシリンガ酸のピークが観察された。
表3に示す量の各試料を用いて上記工程により抽出物を得た。それぞれの抽出物を上記条件にてHLPC分析することにより得られた結果を図4に示す。
Figure 2018145129
図4に示すように、各種原料に基づいて、有効量のシリンガ酸及びバニリン酸を含む抽出物が得られた。特に、キノコ廃培地を利用して、シリンガ酸及びバニリン酸を高濃度で含む抽出物を得ることができた。これらの抽出物は、脂質代謝改善用の組成物として好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. 式(I)
    Figure 2018145129
    (式中、Rは、水素原子又はメトキシ基である。)
    で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を有効成分として含む脂質代謝改善用組成物。
  2. 式(I)で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を、組成物全量を100質量部として、0.1〜20質量部含む、請求項1に記載の脂質代謝改善用組成物。
  3. キノコ廃培地の抽出物又はその処理物である、請求項1又は2に記載の脂質代謝改善用組成物。
  4. 脂質代謝改善が、脂質代謝異常を呈する疾患の予防又は治療である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂質代謝改善用組成物。
  5. 式(I)
    Figure 2018145129
    (式中、Rは、水素原子又はメトキシ基である。)
    で示される化合物、その塩もしくはエステル、又はそれらの配糖体を含む脂質代謝改善用食品。
  6. 脂質代謝改善が、脂質代謝異常を呈する疾患の予防又は治療である、請求項5に記載の脂質代謝改善用食品。
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