JP2017160129A - 抗悪性腫瘍組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】新たな抗悪性腫瘍効果を有する組成物を提供する。
【解決手段】アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分として含有する抗悪性腫瘍組成物。
【選択図】図1
【解決手段】アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分として含有する抗悪性腫瘍組成物。
【選択図】図1
Description
本発明は、抗悪性腫瘍組成物に関する。
「悪性腫瘍(Malignant tumor)」は、一般に癌として知られている。その発生部位に由来して悪性腫瘍と癌の用語は区別して使用されている。悪性腫瘍の中でも特に上皮由来の悪性腫瘍を「癌腫(上皮腫瘍(Carcinoma))と呼ぶ。
悪性腫瘍の発生の仕組みは、必ずしも解明されているとはいえない。しかし、何らかの遺伝子の変化をきっかけとして、細胞の異常増殖をきたすことが明らかになってきている。この異常増殖が、身体に悪影響を及ぼし、場合によっては患者を死に至らしめる。また異常増殖の原発病巣を外科手術等によって除去しても浸潤・転移し、患者の生命を脅かす場合がある。
悪性腫瘍の発生の仕組みは、必ずしも解明されているとはいえない。しかし、何らかの遺伝子の変化をきっかけとして、細胞の異常増殖をきたすことが明らかになってきている。この異常増殖が、身体に悪影響を及ぼし、場合によっては患者を死に至らしめる。また異常増殖の原発病巣を外科手術等によって除去しても浸潤・転移し、患者の生命を脅かす場合がある。
悪性腫瘍の治療は、一般的には外科手術、化学療法、放射線療法、免疫化学療法が主流となっている。特に化学療法は、悪性腫瘍のタイプや部位に応じて様々な薬剤が開発され、効果を上げている。しかしいずれの薬剤も強い副作用が問題となっている。
このため、副作用の少ない薬剤を目指してさまざまな化合物の探索が行われている。その中の一つにアスコルビン酸の誘導体がある。特許文献1には、L−アスコルビン酸−2−リン酸が癌の転移を抑制することが記載されている。
特許文献2には、持続性L−アスコルビン酸−2−リン酸とレバミゾールを含む組成物が、癌転移を抑制することが記載され、これを用いた癌治療剤が提案されている。
特許文献3にはL−アスコルビン酸の2位にエステル結合又はエーテル結合を有し、少なくとも5位又は6位に疎水基を有するL−アスコルビン酸誘導体が癌治療剤として有用であることが記載されている。
特許文献4には2位にエステル結合又はエーテル結合を有し、少なくとも5位又は6位のいずれかに適度な疎水性を有する基により置換されたL−アスコルビン酸誘導体と抗悪性腫瘍剤を併用することで副作用のない化学療法剤が提供できることが記載されている。これらの提案については、いまだに具体的な抗悪性腫瘍剤として実用化されていない。
特許文献2には、持続性L−アスコルビン酸−2−リン酸とレバミゾールを含む組成物が、癌転移を抑制することが記載され、これを用いた癌治療剤が提案されている。
特許文献3にはL−アスコルビン酸の2位にエステル結合又はエーテル結合を有し、少なくとも5位又は6位に疎水基を有するL−アスコルビン酸誘導体が癌治療剤として有用であることが記載されている。
特許文献4には2位にエステル結合又はエーテル結合を有し、少なくとも5位又は6位のいずれかに適度な疎水性を有する基により置換されたL−アスコルビン酸誘導体と抗悪性腫瘍剤を併用することで副作用のない化学療法剤が提供できることが記載されている。これらの提案については、いまだに具体的な抗悪性腫瘍剤として実用化されていない。
本発明者は、アスコルビン酸の誘導体であるアスコルビン酸2−グルコシドの栄養学的研究を行う過程で、当該化合物が培養悪性腫瘍細胞に対して殺細胞効果を有することを見いだして本発明を完成させた。
本発明は、アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分とする抗悪性腫瘍組成物を提供することを課題とする。
本発明は、アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分とする抗悪性腫瘍組成物を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の構成は次のとおりである。
(1)アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分として含有する抗悪性腫瘍組成物。
(2)さらにα−グルコシダーゼ阻害作用を有する物質を含有する(1)に記載の抗悪性腫瘍組成物。
(3)α−グルコシダーゼ阻害作用を有する物質が1−デオキシノジリマイシンである(2)に記載の抗悪性腫瘍組成物。
(4)1−デオキシノジリマイシンが桑の葉抽出物由来である(3)に記載の抗悪性腫瘍組成物。
(5)アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分としてL−アスコルビン酸換算で1質量%以上を含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の抗悪性腫瘍組成物。
(6)経口剤である(1)〜(5)のいずれかに記載の抗悪性腫瘍組成物。
(7)悪性腫瘍が大腸に発生する腫瘍である(1)〜(6)のいずれかに記載の抗悪性腫瘍組成物。
(8)悪性腫瘍の治療又は予防の用に供される(7)に記載の抗悪性腫瘍組成物からなるサプリメント。
(1)アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分として含有する抗悪性腫瘍組成物。
(2)さらにα−グルコシダーゼ阻害作用を有する物質を含有する(1)に記載の抗悪性腫瘍組成物。
(3)α−グルコシダーゼ阻害作用を有する物質が1−デオキシノジリマイシンである(2)に記載の抗悪性腫瘍組成物。
(4)1−デオキシノジリマイシンが桑の葉抽出物由来である(3)に記載の抗悪性腫瘍組成物。
(5)アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分としてL−アスコルビン酸換算で1質量%以上を含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の抗悪性腫瘍組成物。
(6)経口剤である(1)〜(5)のいずれかに記載の抗悪性腫瘍組成物。
(7)悪性腫瘍が大腸に発生する腫瘍である(1)〜(6)のいずれかに記載の抗悪性腫瘍組成物。
(8)悪性腫瘍の治療又は予防の用に供される(7)に記載の抗悪性腫瘍組成物からなるサプリメント。
本発明により、新たな抗悪性腫瘍組成物が提供される。アスコルビン酸2−グルコシドは安全性の高いアスコルビン酸誘導体であり、副作用の心配のない抗悪性腫瘍組成物が提供される。さらに本発明の組成物はアスコルビン酸2−グルコシドの分解を阻害する作用を有する桑の葉エキスを含むため、アスコルビン酸2−グルコシドの抗腫瘍効果が長時間保持されるため経口投与で大腸に発生する悪性腫瘍に効果を示す。
本発明は、アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分として含有する抗悪性腫瘍組成物に係る発明である。
本発明に使用するアスコルビン酸2−グルコシドはAA−2GあるいはAA2Gと略されることがある。本願明細書においてもAA−2G又はAA2Gと略記することがある。AA−2Gは、L−アスコルビン(ビタミンC)の構造中の酸化還元に係る2位の水酸基にグルコースがα−配位で結合した化合物であり、酸素の攻撃を受けないため通常のビタミンCと異なり、酸化、熱、光、水、重金属に対して極めて安定である。またAA−2Gは、生体に適用する(皮膚への塗布、服用など)と細胞や組織に存在する酵素によってビタミンCとグルコースに分解され、それぞれ栄養素としての本来の作用を発揮する。またAA−2Gは、体内に有害物を作らない物質であり、このため化粧品や食品添加物として広く利用されている。
さらにAA−2Gを用いた研究によりビタミンCとしての作用に加えてサイトカインの誘導作用、抗体産生増強作用、神経突起伸長作用を有することが知られている。しかし抗悪性腫瘍作用は知られていない。
本発明に使用するアスコルビン酸2−グルコシドはAA−2GあるいはAA2Gと略されることがある。本願明細書においてもAA−2G又はAA2Gと略記することがある。AA−2Gは、L−アスコルビン(ビタミンC)の構造中の酸化還元に係る2位の水酸基にグルコースがα−配位で結合した化合物であり、酸素の攻撃を受けないため通常のビタミンCと異なり、酸化、熱、光、水、重金属に対して極めて安定である。またAA−2Gは、生体に適用する(皮膚への塗布、服用など)と細胞や組織に存在する酵素によってビタミンCとグルコースに分解され、それぞれ栄養素としての本来の作用を発揮する。またAA−2Gは、体内に有害物を作らない物質であり、このため化粧品や食品添加物として広く利用されている。
さらにAA−2Gを用いた研究によりビタミンCとしての作用に加えてサイトカインの誘導作用、抗体産生増強作用、神経突起伸長作用を有することが知られている。しかし抗悪性腫瘍作用は知られていない。
AA−2Gは、L−アスコルビン酸への糖転移反応によって合成しうるが、市販品を利用できる。AA−2Gは、株式会社林原より「アスコフレッシュ」の商品名で市販されており、本発明にはこれを用いることができる。
AA−2Gは上記したように細胞や組織内において安定な化合物であるが、経口投与すると胃や腸内粘膜に存在するα−グルコシダーゼにより分解されてL−アスコルビン酸となるため、単なる経口投与では抗腫瘍作用を発揮できない場合がある。このような場合にはα−グルコシダーゼ阻害剤を併用することで、抗腫瘍効果を発揮させることができる。
α−グルコシダーゼ阻害剤としては、どのようなものであっても使用可能であるが、例えば、1−デオキシノジリマイシンが挙げられる。1−デオキシノジリマイシンは桑葉等に含まれている。即ち、本発明の目的には、この桑の葉エキスから精製した1−デオキシンノジリマイシンや桑の葉エキスが本発明に適するα−グルコシダーゼ阻害剤である。特に好ましいものとしては、桑の葉エキスを例示できる。本発明でいう桑の葉エキスとは、桑の葉を溶剤で抽出した抽出物、該抽出物から溶剤を除去した溶媒除去物、抽出物乃至は溶媒除去物を分画精製した分画物の総称を意味する。抽出物としては、極性の高い溶剤によって抽出された抽出物の溶剤除去物が特に好ましく例示できる。極性の高い溶剤としては、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、蟻酸メチルなどのエステル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、1,3−ブタンジオール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、水などが好ましく例示できる。これらの内では、アルコール及び/又は水が特に好ましい。
桑の葉エキスは、1−デオキシノジリマイシン含有量で規格化されたものが健康食品やサプリメントの原料として販売されており、これを使用することが好ましい。このような桑の葉エキスは「DNJエキスパウダー」(トヨタマ健康食品株式会社)を例示できる。
α−グルコシダーゼ阻害剤としては、どのようなものであっても使用可能であるが、例えば、1−デオキシノジリマイシンが挙げられる。1−デオキシノジリマイシンは桑葉等に含まれている。即ち、本発明の目的には、この桑の葉エキスから精製した1−デオキシンノジリマイシンや桑の葉エキスが本発明に適するα−グルコシダーゼ阻害剤である。特に好ましいものとしては、桑の葉エキスを例示できる。本発明でいう桑の葉エキスとは、桑の葉を溶剤で抽出した抽出物、該抽出物から溶剤を除去した溶媒除去物、抽出物乃至は溶媒除去物を分画精製した分画物の総称を意味する。抽出物としては、極性の高い溶剤によって抽出された抽出物の溶剤除去物が特に好ましく例示できる。極性の高い溶剤としては、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、蟻酸メチルなどのエステル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、1,3−ブタンジオール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、水などが好ましく例示できる。これらの内では、アルコール及び/又は水が特に好ましい。
桑の葉エキスは、1−デオキシノジリマイシン含有量で規格化されたものが健康食品やサプリメントの原料として販売されており、これを使用することが好ましい。このような桑の葉エキスは「DNJエキスパウダー」(トヨタマ健康食品株式会社)を例示できる。
本発明の抗悪性腫瘍組成物は、医薬品としてあるいは動物用医薬として利用することができる。また抗悪性腫瘍の予防の用に供される健康食品やサプリメントとして利用することができる。ヒトに投与する場合は、公知の方法により助剤や賦形剤とともに任意の形態に製剤化して経口摂取(投与)できる。製剤としては顆粒剤、錠剤、カプセル剤を例示することができる。
なお製剤化に当たっては、本発明の組成物の目的を阻害しない範囲で各種成分を添加して使用することができる。具体的には、へミセルロース、リグニン、グアーガム、コンニャクマンナン、イサゴール、アルギン酸、寒天、カラギーナン、キチン、カルボキシルメチルセルロース、ポリデキストロースなどの野菜以外からとれる食物繊維や増粘剤、食用油、カルシウム、鉄、ナトリウム、亜鉛、銅、カリウム、リン、マグネシウム、ヨウ素、マンガン、セレンなどのミネラル;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、葉酸、パントテン酸などの脂溶性又は水溶性のビタミン群、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、リン脂質、アラビアガム、キサンタンガム、トラガカントガム、ローカストビーンガムなどの乳化剤や分散剤、増量剤、賦形剤、保存料・酸化防止剤、風味調整剤や香料、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、グリシン、コハク酸、乳酸ナトリウムなどの呈味料、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、アジピン酸、フマル酸、リンゴ酸などの酸味料、マルチトール、アスパルテームなどの低カロリー甘味料、着色剤などである。
摂取(投与)量は、摂取(投与)方法と、対象者の年齢、病状や一般症状によって変化し得るが、成人では体重1kgあたり、AA−2Gを1日の有効成分として0.1〜500mgを摂取できる量を配合することが適切である。またさらにα−グルコシダーゼ阻害作用を有する物質を配合する場合は、1−デオキシノジリマイシンとして、0.00001〜0.01mgを配合する。桑の葉エキスは通常0.4%以上の1−デオキシノジリマイシンを含有しており、本発明の目的で、桑の葉エキスを配合する場合は、1日当たりの配合量として0.025mg〜200mgを配合すれば良い。
<マウス大腸がん細胞を用いた抗癌効果の評価>
[細胞培養試験]
マウス大腸がん細胞(Colon−26)は、理化学研究所バイオリソースセンターから入手した。細胞の培養には10%ウシ胎児血清とペニシリン・ストレプトマイシン1%を含むRPMI1640を培地として用いた。また、培養は37℃、5%CO2条件下で行った。細胞数は、トリパンブルーで染色後生細胞を、細胞数計測装置を用いて測定した。
[細胞培養試験]
マウス大腸がん細胞(Colon−26)は、理化学研究所バイオリソースセンターから入手した。細胞の培養には10%ウシ胎児血清とペニシリン・ストレプトマイシン1%を含むRPMI1640を培地として用いた。また、培養は37℃、5%CO2条件下で行った。細胞数は、トリパンブルーで染色後生細胞を、細胞数計測装置を用いて測定した。
(1)インビトロによる抗悪性腫瘍活性評価
L−アスコルビン酸及びAA−2Gの水溶液を調製し、これを用いて試験を行った。
抗悪性腫瘍活性は次のように測定した。継代培養によって80%以上のコンフルエント状態になった細胞を2×105cells/mLになるように調製し、調製後96穴プレートの各ウェルに100μLずつ播種し、24時間培養した。培養後、AA−2GのDMSOで溶解し、これを培地に0.3%添加し、各被験物質の最終濃度を0−800μg/mLとし、24時間培養した。その後、各ウェルにCell Counting Kit−8を10μL添加し、インキュベーターで1−2時間反応させた。反応後、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度(450nm)を測定し、次式にて、細胞阻害率(%)を求めた(n=8)。
L−アスコルビン酸及びAA−2Gの水溶液を調製し、これを用いて試験を行った。
抗悪性腫瘍活性は次のように測定した。継代培養によって80%以上のコンフルエント状態になった細胞を2×105cells/mLになるように調製し、調製後96穴プレートの各ウェルに100μLずつ播種し、24時間培養した。培養後、AA−2GのDMSOで溶解し、これを培地に0.3%添加し、各被験物質の最終濃度を0−800μg/mLとし、24時間培養した。その後、各ウェルにCell Counting Kit−8を10μL添加し、インキュベーターで1−2時間反応させた。反応後、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度(450nm)を測定し、次式にて、細胞阻害率(%)を求めた(n=8)。
生存率(%)=[(As−Ab1)/(Ac−Ab1)]×100
As=試料添加の吸光度、Ab1=培地ブランクの吸光度
Ac=試料無添加の吸光度
細胞の阻害率(%)=100−細胞生存率
As=試料添加の吸光度、Ab1=培地ブランクの吸光度
Ac=試料無添加の吸光度
細胞の阻害率(%)=100−細胞生存率
(2)結果
図1にAA−2G、図2にL−アスコルビン酸の試験結果をそれぞれ示す。図1、図2から明らかなように、L−アスコルビン酸も培養細胞に対しては、弱い生育阻害作用を有するが、その効果はきわめて弱い。一方、AA−2Gは、本200μM以上の濃度で細胞生育阻害率80%以上を示すことがわかった。
AA−2Gがこのような強い細胞生育阻害を示すことはまったく知られていなかった。
図1にAA−2G、図2にL−アスコルビン酸の試験結果をそれぞれ示す。図1、図2から明らかなように、L−アスコルビン酸も培養細胞に対しては、弱い生育阻害作用を有するが、その効果はきわめて弱い。一方、AA−2Gは、本200μM以上の濃度で細胞生育阻害率80%以上を示すことがわかった。
AA−2Gがこのような強い細胞生育阻害を示すことはまったく知られていなかった。
(3)動物試験による抗悪性腫瘍作用効果試験
1)方法
<マウス大腸癌モデルの作成>
4齢ICR系マウス(日本チャールスリバー)にアゾキシメタン(AMO)10mg/kgを皮下注射した。なおAMO注射1週間経過後、2%のデキストラン硫酸ナトリウムを飲用水に混入して投与した。AMOは、発がん物質として知られており、マウス大腸に特異的に腫瘍を発生させる。マウスの飼育は、AIN93G(オリエンタル酵母株式会社)及び水を自由摂取させた。投与試験食の組成を下記表1に示す。
1)方法
<マウス大腸癌モデルの作成>
4齢ICR系マウス(日本チャールスリバー)にアゾキシメタン(AMO)10mg/kgを皮下注射した。なおAMO注射1週間経過後、2%のデキストラン硫酸ナトリウムを飲用水に混入して投与した。AMOは、発がん物質として知られており、マウス大腸に特異的に腫瘍を発生させる。マウスの飼育は、AIN93G(オリエンタル酵母株式会社)及び水を自由摂取させた。投与試験食の組成を下記表1に示す。
<試験系>
AMO注射後4ヶ月経過後のマウスを、AIN93G(オリエンタル酵母株式会社)食群(AIN群)、及びAIN93にAA2Gを1.92%(アスコルビン酸として1%)添加食群(AA2G群)、AIN93にアスコルビン酸1%食群(VC群)に、それぞれ5匹ずつ分けた。
各食群への試験試料の投与はAIN93G投与群に対するペアフィーディングとし、1ヶ月間飼育した。
AMO注射後4ヶ月経過後のマウスを、AIN93G(オリエンタル酵母株式会社)食群(AIN群)、及びAIN93にAA2Gを1.92%(アスコルビン酸として1%)添加食群(AA2G群)、AIN93にアスコルビン酸1%食群(VC群)に、それぞれ5匹ずつ分けた。
各食群への試験試料の投与はAIN93G投与群に対するペアフィーディングとし、1ヶ月間飼育した。
<評価方法>
マウスをイソフルラン麻酔下で放血致死させ、解剖して大腸を採取し、縦に切開し、目視にて発生した腫瘍の数、および腫瘍径を測定した。
測定した腫瘍径から次の計算式で腫瘍体積を算出した。
腫瘍体積(mm3)=長径(mm)×短径(mm)×短径(mm)/2
個体ごとの腫瘍体積の合計量を求め、Fisherの最小有意差法で有意性を判定した。
マウスをイソフルラン麻酔下で放血致死させ、解剖して大腸を採取し、縦に切開し、目視にて発生した腫瘍の数、および腫瘍径を測定した。
測定した腫瘍径から次の計算式で腫瘍体積を算出した。
腫瘍体積(mm3)=長径(mm)×短径(mm)×短径(mm)/2
個体ごとの腫瘍体積の合計量を求め、Fisherの最小有意差法で有意性を判定した。
2)結果および考察
図3に各群の腫瘍体積量を示す。腸管内に発生した腫瘍体積は、AIN群と比較して、AA−2G群において有意に低下した。VC群は、AIN群との差が認められなかった。
経口投与した場合、AA−2Gは、小腸粘膜に存在するα−グルコシダーゼで分解されて、L−アスコルビン酸とグルコースとなって吸収されるため、本来であればVC群と同じ結果となるはずである。しかしα−グルコシダーゼ阻害作用を有する桑の葉エキスを併用することによって加水分解されずに大腸に到達し、AA−2Gの抗腫瘍作用を発揮したことが考えられた。
すなわち本発明の組成物は、動物を用いた試験において抗悪性腫瘍効果を発揮していることが確認された。
図3に各群の腫瘍体積量を示す。腸管内に発生した腫瘍体積は、AIN群と比較して、AA−2G群において有意に低下した。VC群は、AIN群との差が認められなかった。
経口投与した場合、AA−2Gは、小腸粘膜に存在するα−グルコシダーゼで分解されて、L−アスコルビン酸とグルコースとなって吸収されるため、本来であればVC群と同じ結果となるはずである。しかしα−グルコシダーゼ阻害作用を有する桑の葉エキスを併用することによって加水分解されずに大腸に到達し、AA−2Gの抗腫瘍作用を発揮したことが考えられた。
すなわち本発明の組成物は、動物を用いた試験において抗悪性腫瘍効果を発揮していることが確認された。
Claims (8)
- アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分として含有する抗悪性腫瘍組成物。
- さらにα−グルコシダーゼ阻害作用を有する物質を含有する請求項1に記載の抗悪性腫瘍組成物。
- α−グルコシダーゼ阻害作用を有する物質が1−デオキシノジリマイシンである請求項2に記載の抗悪性腫瘍組成物。
- 1−デオキシノジリマイシンが桑の葉抽出物由来である請求項3に記載の抗悪性腫瘍組成物。
- アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分としてL−アスコルビン酸換算で1質量%以上を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の抗悪性腫瘍組成物。
- 経口剤である請求項1〜5のいずれかに記載の抗悪性腫瘍組成物。
- 悪性腫瘍が大腸に発生する腫瘍である請求項1〜6のいずれかに記載の抗悪性腫瘍組成物。
- 悪性腫瘍の治療又は予防の用に供される請求項7に記載の抗悪性腫瘍組成物からなるサプリメント。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020138269A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | サントリーホールディングス株式会社 | 容器詰茶飲料 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020138269A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | サントリーホールディングス株式会社 | 容器詰茶飲料 |
JP2020103225A (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-09 | サントリーホールディングス株式会社 | 容器詰茶飲料 |
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