JP2018145045A - 保水性ポーラスコンクリート及び耐熱構造物 - Google Patents

保水性ポーラスコンクリート及び耐熱構造物 Download PDF

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Abstract

【課題】周辺の温度が高温と低温を繰り返し、かつ、このような状況が長期に亘る場合において、爆裂や強度低下等の劣化が起こりにくい、耐熱性に優れた保水性ポーラスコンクリートの提供。【解決手段】ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、火成岩からなる粗骨材、水、及び、セメント分散剤を含む混合物からなるポーラスコンクリート本体、並びに、上記ポーラスコンクリート本体の連続空隙内に存在する保水性セメントミルクを含む保水性ポーラスコンクリート。細骨材は最大粒度が2.5mm未満であり、粗骨材は、2.5mm以上の粒度を有する骨材であり、5〜15mmの粒度範囲の骨材の割合が50%以上であり、前記セメント100質量部に対して、フラッシアイが10〜80質量%であり、細骨材が40〜110質量部、水の量が35〜45質量部である、保水性ポーラスコンクリート【選択図】なし

Description

本発明は、保水性ポーラスコンクリート及び耐熱構造物に関する。
焼却炉や、工場におけるヒーター等の熱源の周辺は、その温度が高温と低温(常温)を繰り返し、かつ、このような状況が長期に亘る場合がある。
このため、これらの熱源の周辺の構造物に用いられるコンクリート等の水硬性組成物には、優れた耐熱性が求められている。
耐熱性に優れた水硬性組成物として、特許文献1には、ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、火成岩からなる粗骨材、ポリプロピレン繊維、水、及び、減水剤を含むことを特徴とする水硬性組成物が記載されている。
一方、大きな透水性と、一定以上の強度を有するポーラスコンクリートとして、特許文献2には、セメント及び必要に応じて添加されるその他の材料からなる粉体と、該粉体に対する重量比が0〜300%となるような粒径が5mm未満の細骨材と、該粉体に対する重量比が8〜30%の水と、該粉体に対する重量比が1〜5%の界面活性剤とからなる未固化状態のペーストを、粗骨材100%に対してその容積比が30〜50%となるように、粒径が5mm以上の粗骨材に被覆させてなる粒体を用い、該粒体を相互に付着させて硬化したものからなり、透水係数が1.7cm/sec以上、圧縮強度が120kgf/cm2 以上であることを特徴とするポーラスコンクリートが記載されている。
特開2016−160161号公報 特開平7−206537号公報
本発明の目的は、周辺の温度が高温と低温を繰り返し、かつ、このような状況が長期に亘る場合において、爆裂や強度低下等の劣化が起こりにくい、耐熱性に優れた保水性ポーラスコンクリートを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、火成岩からなる粗骨材、水、及び、セメント分散剤を含む混合物からなるポーラスコンクリート本体、並びに、上記ポーラスコンクリート本体の連続空隙内に存在する保水性セメントミルクを含む保水性ポーラスコンクリートによれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1] ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、火成岩からなる粗骨材、水、及び、セメント分散剤を含む混合物からなるポーラスコンクリート本体、並びに、上記ポーラスコンクリート本体の連続空隙内に存在する保水性セメントミルクを含むことを特徴とする保水性ポーラスコンクリート。
[2] 上記細骨材は、最大粒度が2.5mm未満の骨材であり、上記粗骨材は、2.5mm以上の粒度を有する骨材であって、かつ、5〜15mmの粒度範囲内の骨材の割合が50質量%以上である粒度分布を有する骨材であり、上記ポルトランドセメント100質量部に対して、上記フライアッシュの量が10〜80質量部、上記細骨材の量が40〜110質量部、上記水の量が35〜45質量部、上記セメント分散剤の量が0.5〜3.0質量部であり、上記粗骨材100体積%に対する上記粗骨材以外の材料からなるモルタルの容積比が、25〜50%であり、空隙率が25〜35体積%である、前記[1]に記載の保水性ポーラスコンクリート。
[3] 保水量が0.1g/cm以上である前記[1]又は[2]に記載の保水性ポーラスコンクリート。
[4] 上記細骨材及び上記粗骨材を構成する各火成岩が、玄武岩または安山岩である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の保水性ポーラスコンクリート。
[5] 上記保水性セメントミルクが、セメント、水、並びに、パーライト及び軽量気泡コンクリートからなる群より選ばれる1種以上からなる保水材を含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載の保水性ポーラスコンクリート。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載の保水性ポーラスコンクリートによって、表面を含む部分が形成されていることを特徴とする耐熱構造物。
[7] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載の保水性ポーラスコンクリートを製造するための方法であって、上記ポーラスコンクリート本体を構成する各材料を混練して、上記粗骨材に、粗骨材以外の材料からなるモルタルを被覆させてなる未硬化の粒体を得る混練工程と、上記未硬化の粒体に振動を加えて、上記未硬化の粒体を相互に付着させて、未硬化のポーラスコンクリート本体を得る振動工程と、上記未硬化のポーラスコンクリート本体を養生して、硬化したポーラスコンクリート本体を得る養生工程と、上記硬化したポーラスコンクリート本体の連続空隙内に上記保水性セメントミルクを充填させて、上記保水性ポーラスコンクリートを得る充填工程、を含むことを特徴とする保水性ポーラスコンクリートの製造方法。
本発明の保水性ポーラスコンクリートは、周辺の温度が高温と低温(常温)を繰り返し、かつ、このような状況が長期に亘る場合において、爆裂や強度低下等の劣化が起こりにくい、耐熱性に優れたものである。
本発明の保水性ポーラスコンクリートは、ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、火成岩からなる粗骨材、水、及び、セメント分散剤を含む混合物からなるポーラスコンクリート本体、並びに、上記ポーラスコンクリート本体の連続空隙内に存在する保水性セメントミルクを含むものである。
以下、各原料について詳しく説明する。
本発明で用いられるポルトランドセメントとしては、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント等が挙げられる。中でも、強度発現性および流動性の観点から、普通ポルトランドセメントまたは中庸熱ポルトランドセメントが好ましく、普通ポルトランドセメントがより好ましい。
本発明で用いられるフライアッシュとしては、特に限定されるものではなく、例えば、「JIS A 6201」に規定するフライアッシュI種、II種、III種及びIV種等が挙げられる。中でも、品質の安定性の観点から、フライアッシュI種またはII種が好ましい。
本発明において、ポルトランドセメント100質量部に対するフライアッシュの量は、好ましくは10〜80質量部、より好ましくは25〜70質量部、特に好ましくは40〜60質量部である。該量が10質量部以上であれば、保水性ポーラスコンクリートの耐熱性がより向上する。また、保水性ポーラスコンクリートのアルカリ骨材反応が起こりにくくなる。該量が80質量部以下であれば、強度発現性が向上する。
本発明で用いられる細骨材及び粗骨材は、火成岩からなるものである。火成岩からなる細骨材及び粗骨材を用いることで、高温の環境下において、爆裂による硬化体の損傷等を防ぐことができる。
火成岩としては、例えば、玄武岩、安山岩、流紋岩、斑レイ岩、閃緑岩、及び花崗岩等が挙げられる。中でも、保水性ポーラスコンクリートの耐熱性の観点から、玄武岩または安山岩が好ましく、玄武岩がより好ましい。
本発明で用いられる火成岩からなる細骨材の最大粒度は、好ましくは2.5mm未満である。
本発明において、ポルトランドセメント100質量部に対する細骨材の量は、好ましくは40〜110質量部、より好ましくは50〜100質量部、特に好ましくは60〜90質量部である。該量が上記数値範囲内であれば、ポーラスコンクリート本体の硬化前の施工性、並びに、保水性ポーラスコンクリートの耐熱性及び強度が向上する。
なお、本明細書中、「粒度」とは、ふるいの目開き寸法に対応する大きさを意味する。
本発明で用いられる火成岩からなる粗骨材は、2.5mm以上の粒度を有する骨材であって、かつ、5〜15mm(好ましくは5〜13mm)の粒度範囲内の骨材の割合が50質量%以上(好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上)である粒度分布を有するものが好適である。上記粒度分布を有する粗骨材を用いることで、保水性ポーラスコンクリートの耐熱性がより向上する。
本発明において、ポルトランドセメント100質量部に対する粗骨材の量は、特に限定されるものではなく、粗骨材100体積%に対する粗骨材以外の材料からなるモルタルの容積比が25〜50%(後述)となる量であればよいが、好ましくは500〜1,500質量部、より好ましくは600〜1,300質量部、特に好ましくは700〜1,200質量部である。該量が上記数値範囲内であれば、ポーラスコンクリート本体の硬化前の施工性、並びに、保水性ポーラスコンクリートの耐熱性及び強度がより向上する。
本発明で用いられる水としては、水道水等を使用することができる。
本発明において、ポルトランドセメント100質量部に対する水の量は、好ましくは35〜45質量部、より好ましくは36〜44質量部、特に好ましくは37〜43質量部である。該量が35質量部以上であれば、ポーラスコンクリートの混練時の作業性がより向上する。該量が45質量部以下であれば、強度発現性がより向上する。また、粗骨材以外の材料からなるモルタルの量が、保水性ポーラスコンクリート上部において不足するため、該上部の強度が低下する。
また、水の量と、ポルトランドセメントとフライアッシュの合計量の質量比(水/(ポルトランドセメント+フライアッシュ)の質量比)は、好ましくは0.10〜0.40、より好ましくは0.15〜0.35、特に好ましくは0.20〜0.30である。該比が0.10以上であれば、ポーラスコンクリートの混練時の作業性がより向上する。該比が0.40以下であれば、強度発現性がより向上する。
本発明で用いられるセメント分散剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、またはポリカルボン酸系等の、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤または高性能AE減水剤等が挙げられる。中でも、ポーラスコンクリートの流動性、施工性、及び強度発現性の観点から、AE減水剤又は高性能AE減水剤が好ましく、高性能AE減水剤がより好ましい。
本発明において、ポルトランドセメント100質量部に対するセメント分散剤(通常、液状)の量は、好ましくは0.5〜3.0質量部、より好ましくは1.0〜2.8質量部、特に好ましくは1.5〜2.5質量部である。該量が0.5質量部以上であれば、減水性能がより向上し、ポーラスコンクリートの混練時及び打設時の作業性がより向上する。該量が3.0質量部以下であれば、強度発現性がより向上する。
本発明の保水性ポーラスコンクリートにおいて、上述した粗骨材100体積%に対する粗骨材以外の材料(ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、水、及び、セメント分散剤)からなるモルタルの容積比は、好ましくは25〜50%、より好ましくは27〜45%、特に好ましくは28〜42%である。該比が25%以上であれば、粗骨材の表面部分が、粗骨材以外の材料からなるモルタルによって十分に被覆されるため、強度発現性がより向上する。該比が50%以下であれば、保水性ポーラスコンクリートの空隙率がより大きくなる。
本発明の保水性ポーラスコンクリートの空隙率は、好ましくは25〜35体積%、より好ましくは26〜34体積%、特に好ましくは27〜33体積%である。空隙率が25体積%以上であれば、連続空隙内に存在する保水性セメントミルクの量がより多くなり、保水性ポーラスコンクリートの耐熱性がより向上する。空隙率が35体積%以下であれば、保水性ポーラスコンクリートの強度がより向上する。
本明細書中、「空隙率」とは、ポーラスコンクリート本体の体積に占める連続空隙の割合をいう。また、「連続空隙」とは、ポーラスコンクリート本体の表面から内部にまで連続的に形成されている空隙を意味する。本発明の保水性ポーラスコンクリートは、多数の連続空隙を有しているポーラスコンクリート本体を含むものであり、ポーラスコンクリート本体の連続空隙内に保水性セメントミルクを蓄えることで、耐熱性が向上したものである。
空隙率は、硬化したポーラスコンクリート本体について、公益社団法人日本コンクリート工学協会「ポーラスコンクリートの設計・施工法の確立に関する研究委員会」報告書(2003.5)の「ポーラスコンクリートの空隙率試験方法(案)」に準拠して測定することができる。
なお、ポーラスコンクリートの表面から連続的に形成されておらず、保水性セメントミルクが浸入できない空洞(独立空隙)は、上記空隙率には含まれないものとする。
本発明の保水性ポーラスコンクリートの保水量は、好ましくは0.1g/cm以上、より好ましくは0.15g/cm以上である。該量が0.1g/cm以上であれば、保水性ポーラスコンクリートの耐熱性がより向上する。
保水量は、円柱状の供試体(例えば、φ10×20cmの供試体)の湿潤質量(Wt)と乾燥質量(Wd)を測定し、下記式(1)を用いて算出することができる。
保水量(g/cm)=(Wt−Wd)/(供試体の直径×高さ) ・・・(1)
ここで、湿潤質量(Wt)とは、供試体を、20℃の条件下で24時間水中に浸漬させた後、供試体の表面に付着した水滴を除去した状態で測定された供試体の質量をいう。乾燥質量(Wd)とは、湿潤質量(Wt)の測定後に、供試体を60℃の条件下で24時間乾燥させて得られる供試体の質量をいう。
本発明で用いられる保水性セメントミルクは、セメント、水、並びに、パーライト及び軽量気泡コンクリートからなる群より選ばれる1種以上からなる保水材を含むものである。
セメントとしては、上述した各種ポルトランドセメントや、エコセメント等を使用することができる。
保水性セメントミルクにおける、水とセメントの質量比(水/セメント)は、好ましくは1.0〜4.0、より好ましくは1.5〜3.0、特に好ましくは2.0〜2.5である。該質量比が1.0以上であれば、ポーラスコンクリート本体の連続空隙内に、保水性セメントミルクを充填することがより容易になる。また、保水量がより大きくなり、保水性ポーラスコンクリートの耐熱性がより向上する。該質量比が4.0以下であれば、充填した保水性セメントミルクがポーラスコンクリート本体の連続空隙内から流出しにくくなる。
保水性セメントミルクにおいて、セメント100質量部に対する保水材の量は、好ましくは50〜300質量部、より好ましくは100〜200質量部、特に好ましくは120〜180質量部である。該量が50質量部以上であれば、保水量がより大きくなり、保水性ポーラスコンクリートの耐熱性がより向上する。該量が300質量部以下であれば、ポーラスコンクリート本体の連続空隙内に、保水性セメントミルクを充填することがより容易になる。
ポーラスコンクリート本体の連続空隙内に、保水性セメントミルクを充填する作業性を向上させる観点から、保水性セメントミルクは、セメント分散剤を含んでいてもよい。
セメント分散剤としては、上述したセメント分散剤と同様のものを使用することができる。
保水性セメントミルクにおいて、セメント100質量部に対するセメント分散剤(通常、液状)の量は、好ましくは0.1〜2.0質量部、より好ましくは0.15〜1.0質量部、特に好ましくは0.2〜0.5質量部である。該量が0.1質量部以上であれば、保水性セメントミルクを充填する作業性が向上する。該量が3.0質量部以下であれば、過剰な使用によるコストの上昇を抑えることができる。
保水性セメントミルクの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、各材料を一括してミキサに投入して混練する方法等が挙げられる。
本発明の保水性ポーラスコンクリートによれば、保水性ポーラスコンクリートが高温に晒された場合に、保水性セメントミルクに保持された水分の気化熱によって、保水性ポーラスコンクリートの温度上昇を抑制することができる。このため、周辺の温度が高温(例えば、摂氏数百度程度)と低温(例えば、気温;0〜40℃程度)を数時間〜数週間単位で繰り返し、かつ、繰り返しの回数が多数(例えば、数百回〜1,000回程度)であっても、爆裂等による損傷が生じにくく、また、強度の低下が起こりにくい。本発明の保水性ポーラスコンクリートは耐熱性に優れていることから、耐熱構造物の表面を含む部分等に好適に使用することができる。
本発明の保水性ポーラスコンクリートの製造方法としては、例えば、ポーラスコンクリート本体を構成する各材料を混練して、上述した粗骨材に、該粗骨材以外の材料(ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、水、及び、セメント分散剤)からなるモルタルを被覆させてなる未硬化の粒体を得る混練工程と、得られた未硬化の粒体に振動を加えて、未硬化の粒体を相互に付着させて、未硬化のポーラスコンクリート本体を得る振動工程と、得られた未硬化のポーラスコンクリート本体を養生して、硬化したポーラスコンクリート本体を得る養生工程と、硬化したポーラスコンクリート本体の連続空隙内に上述した保水性セメントミルクを充填させて、保水性ポーラスコンクリートを得る充填工程、を含む方法が挙げられる。
混練工程において、混練に用いるミキサは、特に限定されるものではなく、例えば、オムニミキサ、パン型ミキサ、2軸ミキサ等が挙げられる。
また、各材料の混練方法は、特に限定されるものではなく、例えば、水とセメント分散剤以外の材料をミキサ内に一括して投入して空練りし、次いで、水とセメント分散剤を添加して混練してもよく、各材料を一括してミキサに投入して混練してもよい。混練によって、粗骨材の表面部分が、該粗骨材以外の材料からなるモルタルによって被覆された未硬化の粒体を得ることができる。
振動工程において、モルタルを被覆させてなる未硬化の粒体に振動を加えることで、未硬化の粒体が相互に付着し、未硬化のポーラスコンクリート本体を得ることができる。
養生工程において、未硬化のポーラスコンクリート本体を養生する方法は、特に限定されるものではなく、コンクリート製造における一般的な養生方法を用いることができる。
充填工程において、保水性セメントミルクを充填させる方法としては、例えば、以下の(a)〜(c)の方法が挙げられる。
(a)保水性セメントミルクを、型枠内の硬化したポーラスコンクリート本体の上面から連続空隙内に、振動を付与しつつ流し込む方法(b)保水性セメントミルクを、型枠内の硬化したポーラスコンクリート本体の上面から連続空隙内に流し込む方法(c)保水性セメントミルクの中に、脱型したポーラスコンクリート本体を沈降させる方法
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
使用材料は、以下に示すとおりである。
[使用材料]
(1)普通ポルトランドセメント:太平洋セメント社製(比重:3.16)
(2)フライアッシュ:フライアッシュI種(ブレーン比表面積:3,840cm/g、比重:2.3)
(3)細骨材:玄武岩砕砂(比重:2.7;最大粒度:2.5mm未満)
(4)保水材A:パーライト廃材粉体(ブレーン比表面積:17,970cm/g)
(5)保水材B:軽量気泡コンクリート(ALC)廃材粉体(ブレーン比表面積:2,020cm/g)
(6)粗骨材A:玄武岩砕石6号(比重2.7、粒度5〜13mmの粒度範囲内の骨材の割合が95質量%以上のもの)
(7)粗骨材B:玄武岩砕石2005(比重2.7、粒度5〜15mmの粒度範囲内の骨材の割合が70質量%のもの)
(8)高性能AE減水剤(表1中、「減水剤」と示す。):マスターグレニウムSP8SV(BASFジャパン社製)
(9)高性能減水剤:マイティ100(花王社製)
(10)水:上水道水
[実施例1]
普通ポルトランドセメント、フライアッシュ、細骨材、及び粗骨材Aを、強制練りミキサ水平2軸形に投入し、15秒間空練りを行った後、水及び高性能AE減水剤を投入して2分間混練を行った。
上記各材料の配合を表1に示す。また、粗骨材100体積%に対する粗骨材以外の材料(普通ポルトランドセメント、フライアッシュ、細骨材、水及び高性能AE減水剤)からなるモルタルの容積比を表1に示す。
混練後、得られたポーラスコンクリートをφ10×20cmの型枠に投入し、3,000rpmのバイブレーターを用いて振動締め固めを行った後、20℃の環境下で7日間静置した。
一方、水、高性能減水剤、普通ポルトランドセメント、及び、保水材Aを、表2に示す配合で万能混合撹拌機に投入し、2分間混練することで保水性セメントミルクAを作製した。
作製した保水性セメントミルクAを、型枠内のポーラスコンクリートの上面から流し込み、ポーラスコンクリートの連続空隙内に充填させた。24時間後、脱型し、20℃で28日間水中養生し、供試体を得た。
得られた供試体に対して、以下の(a)〜(c)に記載された試験を行った。
(a)保水量試験
得られた供試体を、20℃の恒温水槽において24時間水中に浸漬させた後、供試体の表面に付着した水滴を、ウエスを用いて軽く拭き取り、供試体の湿潤質量(Wt)を測定した。その後、供試体を乾燥炉に入れて、60℃で24時間乾燥させた後、供試体の乾燥質量(Wd)を測定した。次いで、下記式(1)を用いて供試体の保水量を算出した。
保水量(g/cm)=(Wt−Wd)/(供試体の直径×高さ) ・・・(1)
(b)高温度履歴繰り返し試験
得られた供試体を耐火炉に入れて、供試体の周辺温度を40℃から980℃となるまで1分程度で昇温した後、980℃の温度を15分間維持した。次いで、供試体の周辺温度が40℃となるまで自然冷却した。冷却後、水中に120分間浸漬した。これを、表3に示す回数となるまで繰り返した後、供試体の表面の損傷について目視観察によって評価を行った。
また、得られた供試体の内部に熱電対を埋設し、供試体の中心における最高温度を測定した。
(c)圧縮強度試験
高温度履歴繰り返し試験を行う前の供試体、および高温度履歴繰り返し試験を1,000回行った後の供試体について、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準拠して、コンクリートの圧縮強度を測定した。
得られた測定結果から、残存圧縮強度比({(高温度履歴繰り返し試験を行った後の供試体の圧縮強度/高温度履歴繰り返し試験を行う前の供試体の圧縮強度)×100}(%))を算出した。
また、保水性セメントミルクをポーラスコンクリートの連続空隙内に充填させる前の供試体について、公益社団法人日本コンクリート工学協会「ポーラスコンクリートの設計・施工法の確立に関する研究委員会」報告書(2003.5)の「ポーラスコンクリートの空隙率試験方法(案)」に準拠して、ポーラスコンクリートの空隙率を測定した。
結果を表3〜4に示す。
[実施例2]
保水材Aの代わりに保水材Bを使用した保水性セメントミルクBを用いる以外は実施例1と同様にして供試体を得た。
得られた供試体に対して、実施例1と同様に(a)〜(c)に記載された試験を行った。
[実施例3]
粗骨材Aの代わりに粗骨材Bを使用し、表1に示す配合に従う以外は実施例1と同様にして供試体を得た。
得られた供試体に対して、実施例1と同様に(a)〜(c)に記載された試験を行った。
[実施例4]
保水材Aの代わりに保水材Bを使用した保水性セメントミルクBを用いる以外は実施例3と同様にして供試体を得た。
得られた供試体に対して、実施例1と同様に(a)〜(c)に記載された試験を行った。
[比較例1]
保水性セメントミルクAを使用しない以外は実施例1と同様にして供試体を得た。
得られた供試体に対して、実施例1と同様に(a)〜(c)に記載された試験を行った。
[比較例2]
保水性セメントミルクAを使用しない以外は実施例3と同様にして供試体を得た。
得られた供試体に対して、実施例1と同様に(a)〜(c)に記載された試験を行った。
結果を表3〜4に示す。
Figure 2018145045
Figure 2018145045
Figure 2018145045
Figure 2018145045
表3〜4から、本発明の保水性ポーラスコンクリート(実施例1〜4)は、比較例1〜2と比べて高温度履歴を繰り返しても硬化体の損傷が起こりにくく、耐熱性に優れていることがわかる。
また、本発明の保水性ポーラスコンクリート(実施例1〜4)は、残存圧縮強度比が95〜97%であり、強度の低下が起こりにくいことがわかる。

Claims (7)

  1. ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、火成岩からなる粗骨材、水、及び、セメント分散剤を含む混合物からなるポーラスコンクリート本体、並びに、上記ポーラスコンクリート本体の連続空隙内に存在する保水性セメントミルクを含むことを特徴とする保水性ポーラスコンクリート。
  2. 上記細骨材は、最大粒度が2.5mm未満の骨材であり、
    上記粗骨材は、2.5mm以上の粒度を有する骨材であって、かつ、5〜15mmの粒度範囲内の骨材の割合が50質量%以上である粒度分布を有する骨材であり、
    上記ポルトランドセメント100質量部に対して、上記フライアッシュの量が10〜80質量部、上記細骨材の量が40〜110質量部、上記水の量が35〜45質量部、上記セメント分散剤の量が0.5〜3.0質量部であり、
    上記粗骨材100体積%に対する上記粗骨材以外の材料からなるモルタルの容積比が、25〜50%であり、
    空隙率が25〜35体積%である、請求項1に記載の保水性ポーラスコンクリート。
  3. 保水量が0.1g/cm以上である請求項1又は2に記載の保水性ポーラスコンクリート。
  4. 上記細骨材及び上記粗骨材を構成する各火成岩が、玄武岩または安山岩である請求項1〜3のいずれか1項に記載の保水性ポーラスコンクリート。
  5. 上記保水性セメントミルクが、セメント、水、並びに、パーライト及び軽量気泡コンクリートからなる群より選ばれる1種以上からなる保水材を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の保水性ポーラスコンクリート。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の保水性ポーラスコンクリートによって、表面を含む部分が形成されていることを特徴とする耐熱構造物。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の保水性ポーラスコンクリートを製造するための方法であって、
    上記ポーラスコンクリート本体を構成する各材料を混練して、上記粗骨材に、粗骨材以外の材料からなるモルタルを被覆させてなる未硬化の粒体を得る混練工程と、
    上記未硬化の粒体に振動を加えて、上記未硬化の粒体を相互に付着させて、未硬化のポーラスコンクリート本体を得る振動工程と、
    上記未硬化のポーラスコンクリート本体を養生して、硬化したポーラスコンクリート本体を得る養生工程と、
    上記硬化したポーラスコンクリート本体の連続空隙内に上記保水性セメントミルクを充填させて、上記保水性ポーラスコンクリートを得る充填工程、
    を含むことを特徴とする保水性ポーラスコンクリートの製造方法。
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