JP6824071B2 - ポーラスコンクリート及び耐熱構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポーラスコンクリート及び耐熱構造物に関する。
焼却炉や、工場におけるヒーター等の熱源の周辺は、その温度が高温と低温(常温)を繰り返し、かつ、このような状況が長期に亘る場合がある。
このため、これらの熱源の周辺の構造物に用いられるコンクリート等の水硬性組成物には、優れた耐熱性が求められている。
耐熱性に優れた水硬性組成物として、特許文献1には、ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、火成岩からなる粗骨材、ポリプロピレン繊維、水、及び、減水剤を含むことを特徴とする水硬性組成物が記載されている。
一方、大きな透水性と、一定以上の強度を有するポーラスコンクリートとして、特許文献2には、セメント及び必要に応じて添加されるその他の材料からなる粉体と、該粉体に対する重量比が0〜300%となるような粒径が5mm未満の細骨材と、該粉体に対する重量比が8〜30%の水と、該粉体に対する重量比が1〜5%の界面活性剤とからなる未固化状態のペーストを、粗骨材100%に対してその容積比が30〜50%となるように、粒径が5mm以上の粗骨材に被覆させてなる粒体を用い、該粒体を相互に付着させて硬化したものからなり、透水係数が1.7cm/sec以上、圧縮強度が120kgf/cm2 以上であることを特徴とするポーラスコンクリートが記載されている。
特開2016−160161号公報 特開平7−206537号公報
本発明の目的は、周辺の温度が高温と低温を繰り返し、かつ、このような状況が長期に亘る場合において、爆裂や強度低下等の劣化が起こりにくい、耐熱性に優れたポーラスコンクリートを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポルトランドセメント、フライアッシュ、特定の細骨材、特定の粗骨材、水、及び、セメント分散剤を特定の配合で含み、上記粗骨材100体積%に対する上記粗骨材以外の材料からなるモルタルの容積比が、30〜50%であり、空隙率が20〜30体積%であり、保水量が0.2g/cm以上であるポーラスコンクリートによれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
[1] ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、火成岩からなる粗骨材、水、及び、セメント分散剤を含むポーラスコンクリートであって、上記細骨材は、最大粒度が2.5mm未満の骨材であり、上記粗骨材は、2.5mm以上の粒度を有する骨材であって、かつ、2.5〜5mmの粒度範囲内の骨材の割合が80質量%以上である粒度分布を有する骨材であり、上記ポルトランドセメント100質量部に対して、上記フライアッシュの量が10〜80質量部、上記細骨材の量が40〜110質量部、上記水の量が35〜45質量部、上記セメント分散剤の量が0.5〜3.0質量部であり、上記粗骨材100体積%に対する上記粗骨材以外の材料からなるモルタルの容積比が、30〜50%であり、空隙率が20〜30体積%であり、保水量が0.20g/cm以上であることを特徴とするポーラスコンクリート。
[2] 上記細骨材及び上記粗骨材を構成する各火成岩が、玄武岩または安山岩である前記[1]に記載のポーラスコンクリート。
[3] 前記[1]又は[2]に記載のポーラスコンクリートによって、表面を含む部分が形成されていることを特徴とする耐熱構造物。
[4] 前記[1]又は[2]に記載のポーラスコンクリートを製造するための方法であって、上記ポーラスコンクリートを構成する各材料を混練して、上記粗骨材に、粗骨材以外の材料からなるモルタルを被覆させてなる未硬化の粒体を得る混練工程と、上記未硬化の粒体に振動を加えて、上記未硬化の粒体を相互に付着させて、ポーラスコンクリートを得る振動工程と、上記ポーラスコンクリートに水を含ませる水供給工程、を含むことを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
本発明のポーラスコンクリートは、周辺の温度が高温と低温(常温)を繰り返し、かつ、このような状況が長期に亘る場合において、爆裂や強度低下等の劣化が起こりにくい、耐熱性に優れたものである。
本発明のポーラスコンクリートは、ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、火成岩からなる粗骨材、水、及び、セメント分散剤を含むポーラスコンクリートであって、上記細骨材は、最大粒度が2.5mm未満の骨材であり、上記粗骨材は、2.5mm以上の粒度を有する骨材であって、かつ、2.5〜5mmの粒度範囲内の骨材の割合が80質量%以上である粒度分布を有する骨材であり、上記ポルトランドセメント100質量部に対して、上記フライアッシュの量が10〜80質量部、上記細骨材の量が40〜110質量部、上記水の量が35〜45質量部、上記セメント分散剤の量が0.5〜3.0質量部であり、上記粗骨材100体積%に対する上記粗骨材以外の材料からなるモルタルの容積比が、30〜50%であり、空隙率が20〜30体積%であり、保水量が0.2g/cm以上であるものである。
なお、本明細書中、「ポーラスコンクリート」の語は、硬化前のポーラスコンクリート、および、ポーラスコンクリートが硬化してなる硬化体を包含するものである。
以下、各原料について詳しく説明する。
本発明で用いられるポルトランドセメントとしては、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント等が挙げられる。中でも、強度発現性および流動性の観点から、普通ポルトランドセメントまたは中庸熱ポルトランドセメントが好ましく、普通ポルトランドセメントがより好ましい。
本発明で用いられるフライアッシュとしては、特に限定されるものではなく、例えば、「JIS A 6201」に規定するフライアッシュI種、II種、III種及びIV種等が挙げられる。中でも、品質の安定性の観点から、フライアッシュI種またはII種が好ましい。
本発明において、ポルトランドセメント100質量部に対するフライアッシュの量は、10〜80質量部、好ましくは25〜70質量部、より好ましくは40〜60質量部である。該量が10質量部未満であると、ポーラスコンクリートの硬化体の耐熱性が低下する。また、ポーラスコンクリートのアルカリ骨材反応が起こりやすくなる。該量が80質量部を超えると、強度発現性が低下する。
本発明で用いられる細骨材及び粗骨材は、火成岩からなるものである。火成岩からなる細骨材及び粗骨材を用いることで、高温の環境下において、爆裂による硬化体の損傷等を防ぐことができる。
火成岩としては、例えば、玄武岩、安山岩、流紋岩、斑レイ岩、閃緑岩、及び花崗岩等が挙げられる。中でも、ポーラスコンクリートの硬化体の耐熱性の観点から、玄武岩または安山岩が好ましく、玄武岩がより好ましい。
本発明で用いられる火成岩からなる細骨材の最大粒度は、2.5mm未満である。
本発明において、ポルトランドセメント100質量部に対する細骨材の量は、40〜110質量部、好ましくは50〜100質量部、より好ましくは60〜90質量部である。該量が上記数値範囲内であれば、ポーラスコンクリートの硬化前の施工性、並びに、該硬化体の耐熱性、及び、強度が向上する。
なお、本明細書中、「粒度」とは、ふるいの目開き寸法に対応する大きさを意味する。
本発明で用いられる火成岩からなる粗骨材は、2.5mm以上の粒度を有する骨材であって、かつ、2.5〜5mmの粒度範囲内の骨材の割合が80質量%以上である粒度分布を有するものである。上記粒度分布を有する粗骨材を用いることで、ポーラスコンクリートの硬化体の耐熱性が向上する。
本発明において、ポルトランドセメント100質量部に対する粗骨材の量は、特に限定されるものではなく、粗骨材100体積%に対する粗骨材以外の材料からなるモルタルの容積比が30〜50%(後述)となる量であればよいが、好ましくは200〜1,200質量部、より好ましくは300〜1,000質量部、特に好ましくは400〜900質量部である。該量が上記数値範囲内であれば、ポーラスコンクリートの硬化前の施工性、並びに、該硬化体の耐熱性、及び、強度が向上する。
本発明で用いられる水としては、水道水等を使用することができる。
本発明において、ポルトランドセメント100質量部に対する水の量は、35〜45質量部、好ましくは36〜44質量部、より好ましくは37〜43質量部である。該量が35質量部未満であると、ポーラスコンクリートの混練時の作業性が低下する。該量が45質量部を超えると、強度発現性が低下する。また、粗骨材以外の材料からなるモルタルの量が、硬化体上部において不足するため該上部の強度が低下する。
また、水の量と、ポルトランドセメントとフライアッシュの合計量の質量比(水/(ポルトランドセメント+フライアッシュ)の質量比)は、好ましくは0.10〜0.40、より好ましくは0.15〜0.35、特に好ましくは0.20〜0.30である。該比が0.10以上であれば、ポーラスコンクリートの混練時の作業性が向上する。該比が0.40以下であれば、強度発現性が向上する。
本発明で用いられるセメント分散剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、またはポリカルボン酸系等の、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤または高性能AE減水剤等が挙げられる。中でも、ポーラスコンクリートの流動性、施工性、及び強度発現性の観点から、AE減水剤又は高性能AE減水剤が好ましく、高性能AE減水剤がより好ましい。
本発明において、ポルトランドセメント100質量部に対するセメント分散剤(通常、液状)の量は、0.5〜3.0質量部、好ましくは1.0〜2.5質量部、より好ましくは1.5〜2.0質量部である。該量が0.5質量部未満であると、減水性能が低下し、ポーラスコンクリートの混練時及び打設時の作業性が低下する。該量が3.0質量部を超えると、強度発現性が低下する。
本発明のポーラスコンクリートにおいて、上述した粗骨材100体積%に対する粗骨材以外の材料(ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、水、及び、セメント分散剤)からなるモルタルの容積比は、30〜50%、好ましくは35〜45%、より好ましくは38〜42%である。該比が30%未満であると、粗骨材の表面部分が、粗骨材以外の材料からなるモルタルによって十分に被覆されないため、硬化後のポーラスコンクリートの強度が低下する。該比が50%を超えると、ポーラスコンクリートの空隙率が低下する。
本発明のポーラスコンクリートの空隙率は、20〜30体積%、好ましくは21〜26体積%、より好ましくは22〜24体積%である。該空隙率が20体積%未満であると、ポーラスコンクリートの硬化体の耐熱性が低下する。該空隙率が30体積%を超えると、硬化体の強度が低下する。
本明細書中、「空隙率」とは、ポーラスコンクリートの体積に占める連続空隙の割合をいう。また、「連続空隙」とは、ポーラスコンクリートの表面から内部にまで連続的に形成されている空隙を意味する。本発明のポーラスコンクリートは、多数の連続空隙を有しているため、水分を内部に蓄えることができ、耐熱性に優れたものである。
硬化後のポーラスコンクリートの空隙率は、公益社団法人日本コンクリート工学協会「ポーラスコンクリートの設計・施工法の確立に関する研究委員会」報告書(2003.5)の「ポーラスコンクリートの空隙率試験方法(案)」に準拠して測定することができる。
なお、ポーラスコンクリートの表面から連続的に形成されておらず、水が浸入できない空洞(独立空隙)は、上記空隙率には含まれないものとする。
本発明のポーラスコンクリートの保水量は、0.20g/cm以上、好ましくは0.21g/cm以上である。該量が0.20g/cm未満であると、ポーラスコンクリートの硬化体の耐熱性が低下する。
保水量は、円柱状の供試体(例えば、φ10×20cmの供試体)の湿潤質量(Wt)と乾燥質量(Wd)を測定し、下記式(1)を用いて算出することができる。
保水量(g/cm)=(Wt−Wd)/(供試体の直径×高さ) ・・・(1)
ここで、湿潤質量(Wt)とは、供試体を、20℃の条件下で24時間水中に浸漬させた後、供試体の表面に付着した水滴を除去した状態で測定された供試体の質量をいう。乾燥質量(Wd)とは、湿潤質量(Wt)の測定後に、供試体を60℃の条件下で24時間乾燥させて得られる供試体の質量をいう。
本発明のポーラスコンクリートを硬化してなる硬化体によれば、ポーラスコンクリートが高熱に晒された場合に、ポーラスコンクリートの連続空隙内に保持された水分の気化熱によって、ポーラスコンクリートの温度上昇を抑制することができる。このため、周辺の温度が高温(例えば、摂氏数百度程度)と低温(例えば、気温;0〜40℃程度)を数時間〜数週間単位で繰り返し、かつ、繰り返しの回数が多数(例えば、数百回〜1,000回程度)であっても、爆裂等による損傷が生じにくく、また、強度の低下が起こりにくいものである。
また、本発明のポーラスコンクリートは耐熱性に優れていることから、耐熱構造物の表面を含む部分等に好適に使用することができる。
本発明のポーラスコンクリートの製造方法としては、例えば、ポーラスコンクリートを構成する各材料を混練して、上述した粗骨材に、該粗骨材以外の材料(ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、水、及び、セメント分散剤)からなるモルタルを被覆させてなる未硬化の粒体を得る混練工程と、得られた未硬化の粒体に振動を加えて、未硬化の粒体を相互に付着させて、ポーラスコンクリートを得る振動工程と、得られたポーラスコンクリートに水を含ませる水供給工程を含む方法が挙げられる。
混練工程において、混練に用いるミキサは、特に限定されるものではなく、例えば、オムニミキサ、パン型ミキサ、2軸ミキサ等が挙げられる。
また、各材料の混練方法は、特に限定されるものではなく、例えば、水とセメント分散剤以外の材料をミキサ内に一括して投入して空練りし、次いで、水とセメント分散剤を添加して混練する方法や、各材料を一括してミキサに投入して混練する方法等が挙げられる。混練によって、粗骨材の表面部分が、該粗骨材以外の材料からなるモルタルによって被覆された未硬化の粒体を得ることができる。
振動工程において、モルタルを被覆させてなる未硬化の粒体に振動を加えて締め固めることで、未硬化の粒体が相互に付着し、ポーラスコンクリートを得ることができる。
水供給工程における、ポーラスコンクリートに水を含ませる方法の例としては、ポーラスコンクリートを水中に浸漬する方法やポーラスコンクリートに水を散布する方法等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
使用材料は、以下に示すとおりである。
[使用材料]
(1)普通ポルトランドセメント:太平洋セメント社製(比重:3.16)
(2)フライアッシュ:フライアッシュI種(比重:2.3、ブレーン比表面積:3,840cm/g)
(3)細骨材:玄武岩砕砂(比重:2.7;最大粒度:2.5mm未満)
(4)粗骨材A:玄武岩砕石7号(比重2.7、2.5〜5mmの粒度範囲内の骨材の割合が95質量%以上のもの)
(5)粗骨材B:玄武岩砕石6号(比重2.7、5mmを超えかつ13mm以下の粒度範囲内の骨材の割合が95質量%以上のもの)
(6)高性能AE減水剤(表1中、減水剤と示す。):マスターグレニウムSP8SV(BASFジャパン社製)
(7)水:上水道水
[実施例1]
普通ポルトランドセメント、フライアッシュ、細骨材、及び粗骨材Aを、強制練りミキサ水平2軸形に投入し、15秒間空練りを行った後、水及び高性能AE減水剤を投入して2分間混練を行った。
上記各材料の配合を表1に示す。また、粗骨材100体積%に対する粗骨材以外の材料(普通ポルトランドセメント、フライアッシュ、細骨材、水及び高性能AE減水剤)からなるモルタルの容積比を表1に示す。
混練後、得られたポーラスコンクリートをφ10×20cmの型枠に投入し、3,000rpmのバイブレーターを用いて振動締め固めを行った後、20℃で24時間前置きし、次いで、脱型を行った。脱型後、ポーラスコンクリートを20℃で7日間水中養生した後、さらに20℃で21日間気中養生し、次いで、20℃の恒温水槽において24時間水中に浸漬させて、供試体(本発明のポーラスコンクリート)を得た。
得られた供試体に対して、以下の(a)〜(d)に記載された試験を行った。
(a)保水量試験
得られた供試体の表面に付着した水滴を、ウエスを用いて軽く拭き取り、供試体の湿潤質量(Wt)を測定した。その後、供試体を乾燥炉に入れて、60℃で24時間乾燥させた後、供試体の乾燥質量(Wd)を測定した。次いで、下記式(1)を用いて供試体の保水量を算出した。
保水量(g/cm)=(Wt−Wd)/(供試体の直径×高さ) ・・・(1)
(b)高温度履歴繰り返し試験
得られた供試体を耐火炉に入れて、供試体の周辺温度を40℃から980℃となるまで1分程度で昇温した後、980℃の温度を15分間維持した。次いで、供試体の周辺温度が40℃となるまで自然冷却した。冷却後、水中に120分間浸漬した。これを、表2に示す回数となるまで繰り返した後、供試体の表面の損傷について目視観察によって評価を行った。
また、得られた供試体の内部に熱電対を埋設し、供試体の中心における最高温度を測定した。
(c)圧縮強度試験
高温度履歴繰り返し試験を行う前の供試体、および高温度履歴繰り返し試験を1,000回行った後の供試体について、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準拠して、コンクリートの圧縮強度を測定した。
得られた測定結果から、残存圧縮強度比({(高温度履歴繰り返し試験を行った後の供試体の圧縮強度/高温度履歴繰り返し試験を行う前の供試体の圧縮強度)×100}(%))を算出した。
(d)空隙率の測定
得られた供試体について、公益社団法人日本コンクリート工学協会「ポーラスコンクリートの設計・施工法の確立に関する研究委員会」報告書(2003.5)の「ポーラスコンクリートの空隙率試験方法(案)」に準拠して、硬化後のポーラスコンクリートの空隙率を測定した。
結果を表2に示す。
[比較例1]
粗骨材Aの代わりに粗骨材Bを用いる以外は、実施例1と同様にして、ポーラスコンクリートの供試体を得た。
実施例1と同様に、得られた供試体に対して、上記(a)〜(d)に記載された試験を行った。
[比較例2]
20℃の恒温水槽において24時間水中に浸漬させることを行わない以外は、実施例1と同様にして、ポーラスコンクリートの供試体を得た。
得られた供試体に対して、以下の(a)に記載された試験、及び、上記(b)〜(d)に記載された試験を行った。ただし、(b)高温度履歴繰り返し試験では、冷却後、水中に120分間浸漬せずに行った。
(a)保水量試験
供試体の湿潤質量(Wt)を測定した後、供試体を乾燥炉に入れて、60℃で24時間乾燥させた後、供試体の乾燥質量(Wd)を測定した。次いで、下記式(2)を用いて供試体の保水量を算出した。
保水量(g/cm)=(Wt−Wd)/(供試体の直径×高さ) ・・・(2)
Figure 0006824071
Figure 0006824071
表2から、本発明のポーラスコンクリート(実施例1)の硬化体は、比較例1〜2と比べて高温度履歴を繰り返しても硬化体の損傷が起こりにくく、耐熱性に優れていることがわかる。
また、本発明のポーラスコンクリート(実施例1)の硬化体は、残存圧縮強度比が98%であり、強度の低下が起こりにくいことがわかる。

Claims (4)

  1. ポルトランドセメント、フライアッシュ、火成岩からなる細骨材、火成岩からなる粗骨材、水、及び、セメント分散剤を含むポーラスコンクリートであって、
    上記細骨材は、最大粒度が2.5mm未満の骨材であり、
    上記粗骨材は、2.5mm以上の粒度を有する骨材であって、かつ、2.5〜5mmの粒度範囲内の骨材の割合が80質量%以上である粒度分布を有する骨材であり、
    上記ポルトランドセメント100質量部に対して、上記フライアッシュの量が10〜80質量部、上記細骨材の量が40〜110質量部、上記水の量が35〜45質量部、上記セメント分散剤の量が0.5〜3.0質量部であり、
    上記粗骨材100体積%に対する上記粗骨材以外の材料からなるモルタルの容積比が、30〜50%であり、
    空隙率が20〜30体積%であり、
    保水量が0.20g/cm以上であることを特徴とするポーラスコンクリート。
  2. 上記細骨材及び上記粗骨材を構成する各火成岩が、玄武岩または安山岩である請求項1に記載のポーラスコンクリート。
  3. 請求項1又は2に記載のポーラスコンクリートによって、表面を含む部分が形成されていることを特徴とする耐熱構造物。
  4. 請求項1又は2に記載のポーラスコンクリートを製造するための方法であって、
    上記ポーラスコンクリートを構成する各材料を混練して、上記粗骨材に、粗骨材以外の材料からなるモルタルを被覆させてなる未硬化の粒体を得る混練工程と、
    上記未硬化の粒体に振動を加えて、上記未硬化の粒体を相互に付着させて、上記ポーラスコンクリートを得る振動工程と、
    上記ポーラスコンクリートに水を含ませる水供給工程、
    を含むことを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
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