JP2018144308A - 3次元プリンター造形用フィラメント - Google Patents
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Abstract
【課題】造形時の臭気が極めて少なく、加水分解による靱性の低下がなく、軽量かつ柔軟な造形品の製造が可能な3次元プリンター造形用フィラメントを提供すること。【解決手段】メルトマスフローレイト(MFR;JIS K7210−1(2014年)準拠、230℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10minのポリプロピレン樹脂(A)20〜90重量部、オレフィン系共重合体ゴム(B)10〜80重量部(ただし、成分(A)と成分(B)の合計量が100重量部である。)、及び軟化剤(C)20〜150重量部を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする3次元プリンター造形用フィラメント。【選択図】なし
Description
本発明は、3次元プリンター造形用フィラメントおよび該フィラメントを用いて造形された造形物に関する。
従来、熱溶解積層方式の造形材料として、流動性や造形性の観点から、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)やポリ乳酸(PLA樹脂)等の熱可塑性樹脂が提案されている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、ABS樹脂の場合、造形時に刺激臭が発生するという問題があり、PLA樹脂の場合、造形時の臭気はABS樹脂よりも比較的少ないが、依然として樹脂特有の甘い臭気が発生する。また、PLA樹脂は加水分解性を有しており、樹脂自体が吸湿することによって、フィラメントの靱性が低下して容易に折れるトラブルがあり、造形が困難となる場合がある。さらに、ABS樹脂やPLA樹脂は、高比重でかつ硬質な材料であるため、得られる造形品の特性が限定されるという問題がある。
本発明は、造形時の臭気が極めて少なく、加水分解による靱性の低下がなく、軽量かつ柔軟な造形品の製造が可能な3次元プリンター造形用フィラメントを提供することを課題とする。
なお、ポリプロピレンを用いた場合、造形時の臭気が少なく、加水分解しない材料が期待できるが、成形収縮率が大きく、得られる造形品の形状及び寸法への精度は低いという問題がある。そこで、本発明は、成形収縮率が小さく、得られる造形品の形状及び寸法への精度が高い材料からなり、造形性に優れた3次元プリンター造形用フィラメントを提供することも課題とする。
本発明の3次元プリンター造形用フィラメントは、メルトマスフローレイト(MFR;JIS K7210−1(2014年)準拠、230℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10minのポリプロピレン樹脂(A)20〜90重量部、オレフィン系共重合体ゴム(B)10〜80重量部(ただし、成分(A)と成分(B)の合計量が100重量部である。)、及び軟化剤(C)20〜150重量部を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする。
本発明によれば、特定のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を用いることで、造形時の臭気が極めて少なく、加水分解によるフィラメントの靱性低下がなく、軽量かつ柔軟な造形品の製造が可能な3次元プリンター造形用フィラメントを提供することができる。また、本発明によれば、特定のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を用いることで、造形性に優れた3次元プリンター造形用フィラメントを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る3次元プリンター造形用フィラメント(以下単に「フィラメント」ともいう。)は、メルトマスフローレイト(MFR;JIS K7210−1(2014年)準拠、230℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10minのポリプロピレン樹脂(A)20〜90重量部、オレフィン系共重合体ゴム(B)10〜80重量部(ただし、成分Aと成分Bの合計量が100重量部である。)、及び軟化剤(C)20〜150重量部を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする。
本発明に係る3次元プリンター造形用フィラメント(以下単に「フィラメント」ともいう。)は、メルトマスフローレイト(MFR;JIS K7210−1(2014年)準拠、230℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10minのポリプロピレン樹脂(A)20〜90重量部、オレフィン系共重合体ゴム(B)10〜80重量部(ただし、成分Aと成分Bの合計量が100重量部である。)、及び軟化剤(C)20〜150重量部を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする。
<ポリプロピレン樹脂(A)>
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂(A)は、メルトマスフローレイト(MFR;JIS K7210−1(2014年)準拠、230℃、2.16kg荷重)が、0.1〜30g/10min、好ましくは0.5〜20g/10分のポリプロピレン樹脂であり、具体的には以下のような重合体または共重合体などが挙げられる。
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂(A)は、メルトマスフローレイト(MFR;JIS K7210−1(2014年)準拠、230℃、2.16kg荷重)が、0.1〜30g/10min、好ましくは0.5〜20g/10分のポリプロピレン樹脂であり、具体的には以下のような重合体または共重合体などが挙げられる。
(1)プロピレンの単独重合体
(2)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(3)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
上記α−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの炭素数2または4〜20のα−オレフィンが挙げられる。
(2)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(3)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
上記α−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの炭素数2または4〜20のα−オレフィンが挙げられる。
上記ポリプロピレン樹脂(A)としては、上記プロピレン単独重合体(1)が好ましい。上記ポリプロピレン樹脂(A)は、単独で用いることもできるし、あるいは組合せて用いることもできる。
本発明では、ポリプロピレン樹脂(A)のメルトマスフローレイトが前記範囲にある場合、成形性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物において、ポリプロピレン樹脂(A)は、ポリプロピレン樹脂(A)およびオレフィン系共重合体ゴム(B)の合計量100重量部に対して20〜90重量部、好ましくは25〜80重量部の割合で用いる。ポリプロピレン樹脂(A)を前記配合割合で用いると、造形時の臭気が極めて少なく、加水分解による靭性の低下がなく、造形性に優れたフィラメントが得られる。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物において、ポリプロピレン樹脂(A)は、ポリプロピレン樹脂(A)およびオレフィン系共重合体ゴム(B)の合計量100重量部に対して20〜90重量部、好ましくは25〜80重量部の割合で用いる。ポリプロピレン樹脂(A)を前記配合割合で用いると、造形時の臭気が極めて少なく、加水分解による靭性の低下がなく、造形性に優れたフィラメントが得られる。
<オレフィン系共重合体ゴム(B)>
本発明で用いられるオレフィン系共重合体ゴム(B)としては、炭素数2〜20のα−オレフィン含量が50モル%以上の無定形ランダムな弾性共重合体が挙げられる。このような無定形ランダムな弾性共重合体としては、2種以上のα−オレフィンからなるα−オレフィン共重合体、2種以上のα−オレフィンと非共役ジエンとからなるα−オレフィン・非共役ジエン共重合体などがあり、具体的には以下のようなゴムなどが挙げられる。
本発明で用いられるオレフィン系共重合体ゴム(B)としては、炭素数2〜20のα−オレフィン含量が50モル%以上の無定形ランダムな弾性共重合体が挙げられる。このような無定形ランダムな弾性共重合体としては、2種以上のα−オレフィンからなるα−オレフィン共重合体、2種以上のα−オレフィンと非共役ジエンとからなるα−オレフィン・非共役ジエン共重合体などがあり、具体的には以下のようなゴムなどが挙げられる。
(1)エチレン・他のα−オレフィン共重合体ゴム〔エチレン/他のα−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50〕
(2)エチレン・他のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム〔エチレン/他のα−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50〕
(3)プロピレン・他のα−オレフィン共重合体ゴム〔プロピレン/他のα−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50〕
(4)ブテン・他のα−オレフィン共重合体ゴム〔ブテン/他のα−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50〕
上記α−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。上記非共役ジエンとしては、具体的にはジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。
(2)エチレン・他のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム〔エチレン/他のα−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50〕
(3)プロピレン・他のα−オレフィン共重合体ゴム〔プロピレン/他のα−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50〕
(4)ブテン・他のα−オレフィン共重合体ゴム〔ブテン/他のα−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50〕
上記α−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。上記非共役ジエンとしては、具体的にはジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。
非共役ジエンが共重合している上記(2)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのヨウ素価は25以下が好ましい。
前記(1)〜(4)の共重合体ゴムは、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕が10〜250、好ましくは30〜150であるものが望ましい。
前記(1)〜(4)の共重合体ゴムは、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕が10〜250、好ましくは30〜150であるものが望ましい。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物において、オレフィン系共重合体ゴム(B)は、ポリプロピレン樹脂(A)およびオレフィン系共重合体ゴム(B)の合計量100重量部に対して10〜80重量部、好ましくは20〜75重量部の割合で用いる。オレフィン系共重合体ゴム(B)を前記配合割合で用いると、造形性に優れるとともに、軽量かつ柔軟な造形品の製造が可能なフィラメントが得られる。
本発明では、本発明の目的を損なわない範囲で、オレフィン系共重合体ゴム(B)と、オレフィン系共重合体ゴム(B)以外のゴム、例えばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、ポリイソブチレンゴムなどとを組合せて用いることもできる。
<軟化剤(C)>
本発明で用いられる軟化剤(C)としては、通常ゴムに使用される軟化剤が適当である。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、椰子油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-水酸化ステアリン酸、モンタン酸、オレイン酸、エルカ酸等の脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエンまたはその変性物あるいは水添物、液状チオコールなどが挙げられる。
本発明で用いられる軟化剤(C)としては、通常ゴムに使用される軟化剤が適当である。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、椰子油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-水酸化ステアリン酸、モンタン酸、オレイン酸、エルカ酸等の脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエンまたはその変性物あるいは水添物、液状チオコールなどが挙げられる。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物において、軟化剤(C)は、ポリプロピレン樹脂(A)およびオレフィン系共重合体ゴム(B)の合計量100重量部に対して20〜150重量部、好ましくは25〜100重量部、さらに好ましくは30〜80重量部の割合で用いる。軟化剤(C)を前記配合割合で用いると、柔軟性に優れた造形品を提供し得るフィラメントが得られる。
<その他の成分>
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、充填材、着色剤、滑剤などの添加剤を配合することができる。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、充填材、着色剤、滑剤などの添加剤を配合することができる。
<オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の調製>
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、ポリプロピレン樹脂(A)、オレフィン系共重合体ゴム(B)および軟化剤(C)を前記特定の割合で配合し、架橋することにより調製することができる。架橋は有機過酸化物の存在下で動的な熱処理を行うことが好ましい。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、ポリプロピレン樹脂(A)、オレフィン系共重合体ゴム(B)および軟化剤(C)を前記特定の割合で配合し、架橋することにより調製することができる。架橋は有機過酸化物の存在下で動的な熱処理を行うことが好ましい。
前記有機過酸化物としては、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
これらの中では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、中でも1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサンが特に好ましい。
有機過酸化物は、ポリプロピレン樹脂(A)およびオレフィン系共重合体ゴム(B)の合計量100重量部に対して0.01〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部の割合で用いられる。
前記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいは、ジビニルベンゼンのような多官能性ビニルモノマー;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー;トリアリルシアヌレートのような多官能アリル化合物を配合することもできる。
有機過酸化物による架橋処理に際し、上記化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。上記化合物の中ではジビニルベンゼンが特に好ましい。ジビニルベンゼンは取扱い易く、被架橋処理物の主成分であるポリプロピレン樹脂(A)およびオレフィン系共重合体ゴム(B)との相溶性が良好であり、かつ有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質となり、流動性と物性とのバランスのとれたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
前記架橋助剤または多官能性ビニルモノマーは、被架橋処理物全体に対して0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜2重量%の割合で用いられる。架橋助剤または多官能性ビニルモノマーの配合割合が前記範囲にある場合、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物において、架橋助剤および多官能性ビニルモノマーが未反応のモノマーとして残存することがないため、加工成形の際に熱履歴による物性の変化が生じることがなく、しかも流動性に優れている。
前記動的な熱処理は、前記各成分を融解状態で混練することにより行われる。この動的な熱処理は、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー等)、一軸または二軸押出機などの混練装置を用いて行われるが、非開放型の混練装置中で行うことが好ましい。また、動的な熱処理は、窒素等の不活性ガス中で行うことが好ましい。
また、前記混練は、使用する有機ペルオキシドの半減期が1分未満となる温度で行うことが望ましい。混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170〜240℃であり、混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜5分間である。また、混練の際に加えられる剪断力は、通常剪断速度で10〜104sec-1、好ましくは102〜104sec-1の範囲内で決定される。
本発明で使用する成分は、前記各物性値が前記一般的な範囲にあるものを使用できるが、前記物性値がすべて好ましい範囲にある成分が最も好ましい。しかし、特定の物性値が好ましい範囲にあり、かつ他の物性値が一般的な範囲にある成分も好ましいものとして使用できる。また、本発明で使用する成分は、配合割合が前記一般的な範囲で配合することができるが、配合割合がすべて好ましい範囲で配合するのが最も好ましい。しかし、特定の成分の配合割合が好ましい範囲にあり、かつ他の成分の配合割合が一般的な範囲にある場合も好ましい。
<3次元プリンター造形用フィラメント>
本発明の3次元プリンター造形用フィラメントは、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を溶融紡糸し、更に延伸することにより製造される。溶融紡糸には、公知の溶融紡糸方法を採用することができる。また、延伸についても同様である。
本発明の3次元プリンター造形用フィラメントは、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を溶融紡糸し、更に延伸することにより製造される。溶融紡糸には、公知の溶融紡糸方法を採用することができる。また、延伸についても同様である。
本発明のフィラメントの製造方法としては、例えば、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を、単軸押出機もしくは二軸押出機のダイス孔より溶融ストランドを押出成形し、冷却水槽に導きストランド得る押出工程と、ストランドを延伸する延伸工程と、延伸したフィラメントを巻き取る巻取工程とを含む方法を挙げることができる。
押出は、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の融点(Tm)〜融点(Tm)+130℃の範囲の温度で行い、ダイスから吐出された溶融ストランドを水槽中に浸漬させて冷却する。その水温は、目的とするフィラメントの直径にもよるが、好ましくは5〜60℃、より好ましくは7〜50℃、さらに好ましくは10〜40℃の範囲である。水温が高いと、ストランドの冷却不足が生じ、軟らかいまま次の延伸行程へ導入されるため、引取ロール(延伸ロール)での巻き取り不良を引き起こす場合がある。
本発明における延伸とは、フィラメントを材料の融点以下の温度で機械的に引き伸ばし、引張方向と平行に分子鎖を配向させる操作をいう。この操作により引張強さは著しく向上し、靱性を増す。延伸工程の後、延伸温度以上に再加熱すると元の寸法に収縮しようとする性質が表れるため、寸法や強度の安定性をはかるために、延伸温度よりやや低い温度で熱処理(熱固定、ヒートセット)を行うことがある。
本発明では、押出工程で得られたストランドを、特定の温度に加熱して延伸を行う。延伸は、入口側の引取ロールと出口側の引取ロールとの速度比(延伸倍率)によって行い、このときの延伸倍率は好ましくは2〜15倍である。延伸時の加熱方法は、温水槽、オーブン、熱ロール等のいずれを用いてもよく何ら制限はないが、より均一に加熱延伸するには温水槽がより好ましい。
温水槽を用いた延伸としては、水温調節可能な長さと深さを有する水槽と、その前後に引取ロールを配置することにより実現可能である。オーブンを用いた延伸としては、電気式ヒーター(赤外線ヒーター)を熱源として引取方向に配置して温度調節を行う長さ数mのオーブンと、その前後に引取ロールを配置することにより実現可能である。また、熱ロールを用いた延伸としては、水配管、油配管、および、内部に配置された電気ヒーターなどにより温度調節された複数の引取ロールを設置し、ロールの回転速度を調節することにより実現可能である。
延伸時の温度条件としては、温水槽、オーブン、熱ロール等いずれの装置及び方法を選択してもほぼ同じであり、延伸前のフィラメントの表面温度がオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移温度(Tg)〜融点(Tm)の範囲が好ましく、Tg〜Tm−30℃の範囲がより好ましく、Tg〜Tm−60℃の範囲がさらに好ましい。表面温度がTgに満たない場合は、延伸切れが起こったり、2倍以上の延伸が不可能となったりする場合がある。逆にTmを越える場合は、延伸による強度発現の効果が少なくなる。
延伸倍率は、通常2〜15倍、好ましくは3〜12倍、より好ましくは4〜10倍である。延伸倍率が2倍に満たない場合は、延伸操作による強度発現が不充分となる場合がある。逆に、15倍を超える延伸倍率では、延伸切れを起こしやすくなったり、ボイドを生じて白化したり、フィラメントが縦割れやすくなるなどのトラブルが発生する場合がある。
2〜15倍の延伸を行う方法としては、1段で行う方法の他に、これらを適宜組み合わせて、2段、3段〜多段の構成とし、各段で小倍率の延伸を行い、全体の延伸倍率を2〜15倍とする方法でもよい。
多段の延伸を行う場合には、例えば、1段目で1.1〜10倍、2段目で1.5〜12倍というように、順次延伸倍率を変化させ、全体的な延伸倍率が2〜15倍となるようにし、同時に加熱温度条件は上記温度範囲において、1段目を一番低く、段数を増す毎に順次温度を高くする方法が好ましい。
本発明では、延伸したフィラメントを更に熱処理(熱固定)し、高温下での物性変化(例えば、収縮)を抑制することができる。オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移温度(Tg)〜融点(Tm)の間の温度で熱処理する方法としては、好ましくは20〜140℃、より好ましくは30〜120℃に設定した加熱槽に導き、熱処理(熱固定)を行った後、冷却槽にて冷却する方法が挙げられる。熱処理には、延伸操作の場合と同様に、水槽、オーブン、熱ロール等いずれの方法を用いてもよく何ら制限はない。また、冷却には、水冷、空冷いずれの方法でも良く、何ら制限はない。
最後に、延伸したフィラメントを巻取機により専用のカートリッジ、ボビン及びコーン状で巻き取り、フィラメントの巻物を得ることができる。
最後に、延伸したフィラメントを巻取機により専用のカートリッジ、ボビン及びコーン状で巻き取り、フィラメントの巻物を得ることができる。
本発明の3次元プリンター造形用フィラメントの直径は、熱溶解積層方式の設計仕様や造形に使用するシステム能力などにも依るが、通常は1.0mm以上、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは1.6mm以上である。一方で上限は4.0mm以下、好ましくは3.5mm以下、より好ましくは3.0mm以下である。
本発明の3次元プリンター造形用フィラメントの真円度は、0.93以上、好ましくは0.95以上であり、上限は1.0である。なお、本発明における真円度は、後述する実施例に記載の方法により測定されるものである。
上記のような直径および真円度を有するフィラメントは、造形性に優れているため、外観や表面性状等に優れた造形品を安定して製造することができる。
上記のような直径および真円度を有するフィラメントは、造形性に優れているため、外観や表面性状等に優れた造形品を安定して製造することができる。
<造形品>
本発明の造形品は、本発明のフィラメントを用いて3次元プリンターで造形されたものである。本発明のフィラメントを用いることにより、造形時における臭気が極めて少なく、軽量かつ柔軟で、さらに美観や表面平滑性等に優れ、層間の剥離が起こり難い造形品を製造することができる。
本発明の造形品は、本発明のフィラメントを用いて3次元プリンターで造形されたものである。本発明のフィラメントを用いることにより、造形時における臭気が極めて少なく、軽量かつ柔軟で、さらに美観や表面平滑性等に優れ、層間の剥離が起こり難い造形品を製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<原材料>
実施例および比較例で用いた原材料およびその物性は以下のとおりである。
<原材料>
実施例および比較例で用いた原材料およびその物性は以下のとおりである。
≪ポリプロピレン樹脂(A)≫
(A−1)プロピレンホモポリマー
MFR:1g/10min(JIS K7210−1準拠、230℃、2.16kg荷重)
(A−2)プロピレンホモポリマー
MFR:15g/10min(JIS K7210−1準拠、230℃、2.16kg荷重)
(A−3)プロピレンホモポリマー;プライムポリマー社製「J105G」
MFR:9g/10min(JIS K7210−1準拠、230℃、2.16kg荷重)
≪オレフィン系共重合体ゴム(B)≫
(B−1)エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム
エチレン含有量:78モル%
ヨウ素価:14
ムーニー粘度(JIS K6395準拠、ML1+4、100℃):72
≪軟化剤(C)≫
(C−1)鉱物油系プロセスオイル;出光興産社製「PW−380」
≪有機過酸化物(D)≫
(D−1)2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン
<フィラメント紡糸装置及びフィラメント製造条件>
実施例および比較例においてフィラメントを製造した際の装置および製造条件は以下のとおりである。
口径30mm単軸押出機
ダイス孔径:3.0mm
シリンダー設定温度:
実施例1〜3;200〜220℃
比較例1;210〜230℃
比較例2;220〜240℃
比較例3;180〜200℃
スクリュー回転数:20rpm
ギヤポンプ回転数:5.0〜12.0rpm(2.2cc/min)、
ギヤポンプの回転数により吐出量を決定
冷却槽温度:10℃(チラー水循環)
温水槽温度:
実施例1〜3;20℃
比較例1;20℃
比較例2及び3;40℃
延伸倍率:連結するロール速度の差異により設定
熱固定:最終段前ロール速度〜最終段ロール速度の差異により決定(=リラックス率、%)
熱固定温度:最終段前ロール〜最終段ロール間を通糸する熱風オーブンによる(℃)
<評価>
実施例および比較例における各種物性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
(A−1)プロピレンホモポリマー
MFR:1g/10min(JIS K7210−1準拠、230℃、2.16kg荷重)
(A−2)プロピレンホモポリマー
MFR:15g/10min(JIS K7210−1準拠、230℃、2.16kg荷重)
(A−3)プロピレンホモポリマー;プライムポリマー社製「J105G」
MFR:9g/10min(JIS K7210−1準拠、230℃、2.16kg荷重)
≪オレフィン系共重合体ゴム(B)≫
(B−1)エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム
エチレン含有量:78モル%
ヨウ素価:14
ムーニー粘度(JIS K6395準拠、ML1+4、100℃):72
≪軟化剤(C)≫
(C−1)鉱物油系プロセスオイル;出光興産社製「PW−380」
≪有機過酸化物(D)≫
(D−1)2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン
<フィラメント紡糸装置及びフィラメント製造条件>
実施例および比較例においてフィラメントを製造した際の装置および製造条件は以下のとおりである。
口径30mm単軸押出機
ダイス孔径:3.0mm
シリンダー設定温度:
実施例1〜3;200〜220℃
比較例1;210〜230℃
比較例2;220〜240℃
比較例3;180〜200℃
スクリュー回転数:20rpm
ギヤポンプ回転数:5.0〜12.0rpm(2.2cc/min)、
ギヤポンプの回転数により吐出量を決定
冷却槽温度:10℃(チラー水循環)
温水槽温度:
実施例1〜3;20℃
比較例1;20℃
比較例2及び3;40℃
延伸倍率:連結するロール速度の差異により設定
熱固定:最終段前ロール速度〜最終段ロール速度の差異により決定(=リラックス率、%)
熱固定温度:最終段前ロール〜最終段ロール間を通糸する熱風オーブンによる(℃)
<評価>
実施例および比較例における各種物性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
≪樹脂物性≫
・密度;ASTM D1505に準拠した密度勾配管法によって測定した。
<フィラメント物性>
・直径
フィラメントを10cm間隔にて20点、ノギスで直径を測定してその平均値とした。
・密度;ASTM D1505に準拠した密度勾配管法によって測定した。
<フィラメント物性>
・直径
フィラメントを10cm間隔にて20点、ノギスで直径を測定してその平均値とした。
・真円度
フィラメントを10cm間隔にて20点、ノギスで長径と短径を測定し、それぞれの測定点について短径/長径の比率を求めた。測定した20点での短径/長径の比率の平均値を真円度とした。真円度が1.0に近いほど、フィラメントの断面が真円状に近い。
フィラメントを10cm間隔にて20点、ノギスで長径と短径を測定し、それぞれの測定点について短径/長径の比率を求めた。測定した20点での短径/長径の比率の平均値を真円度とした。真円度が1.0に近いほど、フィラメントの断面が真円状に近い。
・耐折り曲げ性
フィラメントを23℃、相対湿度45%、及び23℃、相対湿度90%の各条件下で2週間調整した後、長さ20cmの両端部を両手で掴み、両端部が重なり合うように中央点から180度に折り曲げ、楕円型のフィラメントとした。その後、両端部が重なり合った箇所を左手で固定し、右手で両端部の重なり合った箇所から中央点にかけて上/下2本のフィラメントが重なり合うように力を入れて押さえた。2本のフィラメントが直線状に並ぶまでの間に、中央点又は他の箇所でフィラメントが折れ、2本に分離したかどうかを測定した。上記の測定を10回繰り返し行い、フィラメントが折れた回数を耐折り曲げ性とした。
フィラメントを23℃、相対湿度45%、及び23℃、相対湿度90%の各条件下で2週間調整した後、長さ20cmの両端部を両手で掴み、両端部が重なり合うように中央点から180度に折り曲げ、楕円型のフィラメントとした。その後、両端部が重なり合った箇所を左手で固定し、右手で両端部の重なり合った箇所から中央点にかけて上/下2本のフィラメントが重なり合うように力を入れて押さえた。2本のフィラメントが直線状に並ぶまでの間に、中央点又は他の箇所でフィラメントが折れ、2本に分離したかどうかを測定した。上記の測定を10回繰り返し行い、フィラメントが折れた回数を耐折り曲げ性とした。
上記の測定方法において、23℃、相対湿度45%の条件下で調整したフィラメントが折れた回数よりも、23℃、相対湿度90%の条件下で調整したフィラメントの折れた回数が上回る場合は、樹脂組成物が加水分解によって靱性が低下した現象を示唆している。
・引張弾性率
フィラメントを23℃、相対湿度45%の条件下で調整し、引張試験機(島津製作所社製オートグラフAG−500C)を使用して、JIS K7161−1に準拠した測定を行った。試験速度は300mm/min、チェック間距離は100mm、標線間距離を50mmとし、垂直応力(単位:N)と垂直ひずみ(単位:%)との関係を示したグラフ(Stress−Streinカーブ)を作成して、引張弾性率(単位:MPa)を求めた。測定は5回行い、その平均値とした。一般的に引張弾性率が低い樹脂材料ほど、柔軟性の特性があるといえる。
フィラメントを23℃、相対湿度45%の条件下で調整し、引張試験機(島津製作所社製オートグラフAG−500C)を使用して、JIS K7161−1に準拠した測定を行った。試験速度は300mm/min、チェック間距離は100mm、標線間距離を50mmとし、垂直応力(単位:N)と垂直ひずみ(単位:%)との関係を示したグラフ(Stress−Streinカーブ)を作成して、引張弾性率(単位:MPa)を求めた。測定は5回行い、その平均値とした。一般的に引張弾性率が低い樹脂材料ほど、柔軟性の特性があるといえる。
≪造形評価≫
・臭気
造形時に発生する臭気の有無について、官能評価を行った。臭気が発生したものには「有り」とし、臭気が発生しなかった場合には「無し」として評価した。
・臭気
造形時に発生する臭気の有無について、官能評価を行った。臭気が発生したものには「有り」とし、臭気が発生しなかった場合には「無し」として評価した。
・糸引き
得られた造形品を目視で観察した。造形品の表面に細い糸状(繊維)の樹脂が付着していないものは「無し」とし、造形品の表面に細い糸状(繊維)の樹脂が付着している場合は「有り」として評価した。
得られた造形品を目視で観察した。造形品の表面に細い糸状(繊維)の樹脂が付着していないものは「無し」とし、造形品の表面に細い糸状(繊維)の樹脂が付着している場合は「有り」として評価した。
・焼け
得られた造形品を目視で観察した。造形品の表面に樹脂の焼けに起因する黒点やコゲが認められないものは「無し」とし、造形品の表面に樹脂の焼けに起因する黒点やコゲが確認された場合には「有り」として評価した。
得られた造形品を目視で観察した。造形品の表面に樹脂の焼けに起因する黒点やコゲが認められないものは「無し」とし、造形品の表面に樹脂の焼けに起因する黒点やコゲが確認された場合には「有り」として評価した。
・表面平滑性
得られた造形品の表面をヒトの爪でなぞり、以下の指標で表面平滑性を評価した。
○;造形品の表面をヒトの爪でなぞった時に、引っ掛かる箇所が無かった。
×;造形品の表面をヒトの爪でなぞった時に、引っ掛かる箇所が確認された。
得られた造形品の表面をヒトの爪でなぞり、以下の指標で表面平滑性を評価した。
○;造形品の表面をヒトの爪でなぞった時に、引っ掛かる箇所が無かった。
×;造形品の表面をヒトの爪でなぞった時に、引っ掛かる箇所が確認された。
・層間接着性
得られた造形品について、手で引っ張る操作により層間の剥離を試み、以下の基準で層間接着性を評価した。
〇;層間での剥離は無かった。
×;層間での剥離が認められた。
得られた造形品について、手で引っ張る操作により層間の剥離を試み、以下の基準で層間接着性を評価した。
〇;層間での剥離は無かった。
×;層間での剥離が認められた。
[実施例1]
プロピレンホモポリマー(A−1)のペレット70重量部と、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)のペレット30重量部と、鉱物油系プロセスオイル(C−1)30重量部と、さらに2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン(D−1)0.2重量部と、ジビニルベンゼン0.2重量部とを充分に混合し、L/D=30かつスクリュー径50mmの二軸押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で押出してオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。樹脂物性を表1に示す。
プロピレンホモポリマー(A−1)のペレット70重量部と、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)のペレット30重量部と、鉱物油系プロセスオイル(C−1)30重量部と、さらに2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン(D−1)0.2重量部と、ジビニルベンゼン0.2重量部とを充分に混合し、L/D=30かつスクリュー径50mmの二軸押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で押出してオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。樹脂物性を表1に示す。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表1に示す。
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度220℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表1に示す。
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度220℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表1に示す。
[実施例2]
実施例1におけるプロピレンホモポリマー(A−1)に代えてプロピレンホモポリマー(A−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。樹脂物性を表1に示す。
実施例1におけるプロピレンホモポリマー(A−1)に代えてプロピレンホモポリマー(A−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。樹脂物性を表1に示す。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表1に示す。
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度220℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表1に示す。
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度220℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表1に示す。
[実施例3]
実施例1におけるプロピレンホモポリマー(A−1)のペレット70重量部に代えてプロピレンホモポリマー(A−2)のペレット30重量部を用い、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)のペレットを30重量部から70重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。樹脂物性を表1に示す。
実施例1におけるプロピレンホモポリマー(A−1)のペレット70重量部に代えてプロピレンホモポリマー(A−2)のペレット30重量部を用い、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)のペレットを30重量部から70重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。樹脂物性を表1に示す。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表1に示す。
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度220℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表1に示す。
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度220℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表1に示す。
[比較例1]
プロピレンホモポリマー(A−3)のペレットを用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表2に示す。
プロピレンホモポリマー(A−3)のペレットを用いて、上記フィラメント紡糸装置及び製造条件によりフィラメントを得た。フィラメント物性を表2に示す。
製造したフィラメントを、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度230℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表2に示す。
[比較例2]
ABS樹脂製の市販フィラメント(三菱化学メディア社製「Verbatim」、ナチュラル)を、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度230℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表2に示す。
ABS樹脂製の市販フィラメント(三菱化学メディア社製「Verbatim」、ナチュラル)を、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度230℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は80℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表2に示す。
[比較例3]
PLA樹脂製の市販フィラメント(Polymaker社製「PolyPuls」、ホワイト)を、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度220℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は60℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表2に示す。
PLA樹脂製の市販フィラメント(Polymaker社製「PolyPuls」、ホワイト)を、武藤工業社製「MF−1100」に装着して造形を行い、底面の直径φ65mm、高さ105mm、開口部の直径φ95mm、壁面厚み1.3mmのコップ型の造形品を作製した。ノズル温度220℃、吐出径0.4mm、積層ピッチ0.2mmとし、テーブル加熱温度は60℃で行った。得られたコップ型の造形品の造形評価を表2に示す。
Claims (6)
- メルトマスフローレイト(MFR;JIS K7210−1(2014年)準拠、230℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10minのポリプロピレン樹脂(A)20〜90重量部、オレフィン系共重合体ゴム(B)10〜80重量部(ただし、成分(A)と成分(B)の合計量が100重量部である。)、及び軟化剤(C)20〜150重量部を含むオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする3次元プリンター造形用フィラメント。
- 前記プロピレン樹脂(A)が、プロピレンの単独重合体、プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体、及びプロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体からなる群より選ばれる1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の3次元プリンター造形用フィラメント。
- 前記オレフィン系共重合体ゴム(B)が、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体ゴム、エチレンと他のα−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体ゴム、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体ゴム、及び、ブテンと他のα−オレフィンとの共重合体ゴムからなる群より選ばれる1種以上のゴムであることを特徴とする請求項1または2に記載の3次元プリンター造形用フィラメント。
- フィラメントの直径が1.0〜4.0mmであり、かつフィラメントの真円度が0.93以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の3次元プリンター造形用フィラメント。
- 熱溶解積層方式の3次元プリンター造形に用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の3次元プリンター造形用フィラメント。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の3次元プリンター造形用フィラメントからなる造形物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017040206A JP2018144308A (ja) | 2017-03-03 | 2017-03-03 | 3次元プリンター造形用フィラメント |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017040206A JP2018144308A (ja) | 2017-03-03 | 2017-03-03 | 3次元プリンター造形用フィラメント |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018144308A true JP2018144308A (ja) | 2018-09-20 |
Family
ID=63590414
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017040206A Pending JP2018144308A (ja) | 2017-03-03 | 2017-03-03 | 3次元プリンター造形用フィラメント |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018144308A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021111804A1 (ja) | 2019-12-02 | 2021-06-10 | 花王株式会社 | 溶融紡糸用樹脂組成物及びその製造方法、並びに繊維の製造方法 |
WO2024048380A1 (ja) * | 2022-08-29 | 2024-03-07 | 株式会社Adeka | 難燃性積層造形物の製造方法および難燃性積層造形物 |
-
2017
- 2017-03-03 JP JP2017040206A patent/JP2018144308A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021111804A1 (ja) | 2019-12-02 | 2021-06-10 | 花王株式会社 | 溶融紡糸用樹脂組成物及びその製造方法、並びに繊維の製造方法 |
KR20220034241A (ko) | 2019-12-02 | 2022-03-17 | 카오카부시키가이샤 | 용융 방사용 수지 조성물 및 그 제조 방법, 그리고 섬유의 제조 방법 |
WO2024048380A1 (ja) * | 2022-08-29 | 2024-03-07 | 株式会社Adeka | 難燃性積層造形物の製造方法および難燃性積層造形物 |
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