JP2018144285A - ガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体およびその製造方法 - Google Patents

ガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機EL表示素子のような水分に脆弱なデバイスをフレキシブル化するために利用可能なポリイミド層/無機基板積層体を提供する。【解決手段】ポリイミド層と無機基板の積層体を準備し、ポリイミド層の含水分量が1質量%以下、好ましくは該ポリイミド層の25℃60%RHにおける平衡水分率の50%以下となるように制御する工程を経て、積層体のポリイミド層上にガスバリア層を形成する事により、少なくとも、無機基板、含水率が1.0質量%以下のポリイミド層、ガスバリア層を含み、好ましくは450℃における脱ガス量が小さいガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体を得る。得られた積層体から剥離されたガスバリア層付きポリイミドフィルムは良好なガスバリア性能を維持する。【選択図】なし

Description

本発明は、無機物からなる支持体層とポリイミド層とから構成されてなる積層体であり、さらにポリイミド層上にガスバリア層を有するガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体であり、さらに、それら積層体の製造方法である。
さらに、本発明のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体はガスバリア層上に、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子など薄膜からなり、微細な加工が必要となるデバイスを形成し、ポリイミド層を無機基板から剥離することによりフレキシブルな電子デバイスを得る、そのような用途に用いられるガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体である。
液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示デバイスは、テレビジョンのような大型ディスプレイや、携帯電話、パソコン、スマートフォンなどの小型ディスプレイ等、各種機器、設備における情報表示用途に使用されている。一例として有機EL表示装置は、一般には支持基材であるガラス基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFT)を形成し、電極、発光層、電極を順次形成し、最後に別途ガラス基板や多層薄膜等で気密封止して作られる。
ここで、支持基材であるガラス基板を従来のガラス基板からフレキシブルな樹脂基材へと置き換えることができれば、表示デバイスの薄型・軽量・フレキシブル化が実現でき、表示デバイスの用途を更に広げ、より大きな市場の獲得が期待できる。しかしながら、従来の表示デバイスを製造するための設備は、リジッドな板材であるガラス基板を支持体に用いる前提で設計されており、フレキシブルなフィルム基板を取り扱うことは出来ない。かかる課題に対処するため、様々な手法による技術開発が行われてきた。
非特許文献1には、ガラス基板やSiウェハ基板などのリジッド基板上にデバイスを作製し、その後にデバイス層をリジッド基板から剥離してフィルム基板へ転写する方法が開示されている。かかる技術は比較的古くから検討されているが、転写時にデバイスを破損するケースが少なくない。これは転写時にリジッド基板からデバイス層を剥離する高低に困難性があるためである。
非特許文献2には、Roll to Roll 工程によりフィルム上に直接デバイスを作製する方法が開示されている。Roll to Roll プロセスは、フレキシブルで巻き取りが可能なフィルム材料を基板に用いた製品においては理想的な手法で有り、事実フレキシブルプリント配線板やTAB、ないしCOFなどのフィルム半導体パッケージの量産においては実用化されている。しかしながら、ディスプレイ装置のような高精細な微細加工を必要とされる用途においては、極めて高いアライメント精度を大面積で確保する必要があるため装置が極めて大がかりで高価となる問題がある。
非特許文献3には、ガラス基板やSiウェハ基板といったリジッド基板を支持体に用い、支持体上に高分子フィルム層を形成し、高分子フィルム上にてデバイスを形成した後にリジッド基板から高分子フィルム事デバイスを剥離することによりフレキシブルデバイスを得る方法が開示されている。かかるプロセスは、従来の表示デバイスや半導体デバイスの製造に用いる装置を適用できるという点で優れた手法であるが、転写法と同様に、デバイス層を支持体から剥離する工程に困難性がある。まずリジッドな支持体上に直接的に高分子フィルム層を形成するには、高分子の溶液ないしは高分子前駆体の溶液を、支持体に塗布・乾燥・硬化する必要があるが、経験的にこのような手法で形成されたフィルム層は比較的脆くなりやすく、剥離時に破損するリスクが大きい。さらに、支持体と高分子フィルム層との接着性を制御することが困難であり、接着力が強すぎると、剥離の際にフィルムが破損するリスクが高くなる。
かかる問題に対処するために、支持体表面に所謂剥離層を形成することによって、高分子フィルム層の接着力を低く制御し、剥離時のフィルム破損を避けようとする技術が提案されている。
特許文献1には、フレキシブル電子デバイスに適用される基板構造であって、支持基板、支持基板を第1の面積で覆う剥離層、ならびに、前記剥離層および前記キャリアを第2の面積で覆うフレキシブル基板を含み、前記第2の面積が前記第1の面積より大きく、かつ、前記フレキシブル基板が、前記剥離層の前記キャリアに対する密着度よりも高い密着度を有する、基板構造なる技術が開示されており、具体例としてガラス基板にパリレンないし環状オレフィンからなる第1の層を形成した後にポリイミド前駆体ないしポリイミド樹脂溶液を塗布・乾燥・硬化して支持体上で直接ポリイミドフィルムを第2の層として形成し、さらにデバイスを形成して第1の層と第2の層の間で剥離する技術が例示されている。すなわち第1の層であるパリレンないし環状オレフィン樹脂層を剥離層として用いた事例である。本技術においてはパリレンないし環状オレフィン樹脂の耐熱性が不十分であるために、用いる事ができるポリイミド樹脂は低温形成が可能なタイプに限定され、デバイス形成プロセスにおいても高温を用いる事はできない。
特許文献2には、支持基板の上層に樹脂フィルム(a)を形成する工程と、樹脂フィルム(a)の上層に半導体素子を形成する工程と、半導体素子を形成した樹脂フィルム(a)から支持基板を剥離する工程とを含む半導体装置の製造方法であって、樹脂フィルム(a)は、膜厚が1μm以上30μm以下であり、波長400nm以上800nm以下の可視光の透過率が80%以上であり、3%重量減少温度が300℃以上であり、融点が280℃以上であり、ガラス転移温度が250℃以上であり、 前記樹脂フィルム(a)は、下記式(I)にて示されるポリベンゾオキサゾール、及び下記式(v)にて示される脂環式構造を有するポリイミドからなる群から選択される少なくとも1つの高分子材料を含む、前記半導体装置の製造方法が開示されており、さらに好ましくは、支持基板と樹脂フィルム(a)との間に樹脂層(b)を形成する工程をさらに含む半導体装置の製造方法が記載されている。すなわちここに樹脂層(b)が剥離層として機能する。本技術で用いられている高分子フィルム層は所謂透明耐熱フィルムと呼ばれるところの、無色性と耐熱性の両方を満足する高分子フィルムである。かかるタイプの高分子材料は300℃を越えるプロセスに暴露されると着色が顕著になる。また線膨張係数が比較的大きいため、デバイス形成後の平面性に問題が出ることが多い。またポリベンゾオキサゾールをフィルム材料として用いる場合は、フィルム形成温度が極めて高いため、剥離層に用いる事が出来る高分子材料は極めて限定されてしまう、さらにポリベンゾオキサゾール樹脂によるフィルムは脆いためにフレキシブルデバイスの基板として適しているとは云えない。
特許文献3には、第一ポリイミド層と第二ポリイミド層とが直接積層された積層フィルムと支持体とを、前記積層フィルムの第一ポリイミド層面と前記支持体の一面とを接着層を介して貼り合わせた後に、積層フィルム上に所定の表示部を形成し、その後、第一ポリイミド層と第二ポリイミド層との境界面で分離して、第二ポリイミド層からなるポリイミド基材上に表示部を備えた表示装置を得ることを特徴とする表示装置の製造方法が開示されている。すなわち、あらかじめ、剥離層として機能するポリイミド層とフレキシブル基板となる第2のポリイミド層からなる二層構造のフィルムを製作し、その後に剥離層と支持基板とを接着することにより、剥離層を挟んだ構造を実現する技術である。
本技術においては、剥離層として機能するフィルム、すなわち接着性に乏しいフィルムと支持基板とを接着する必要がある点が第1の困難性である。支持体と比較的容易に接着できる剥離層の場合、フレキシブル基板との間の接着性も高くなるために肝心の剥離工程に困難性を生じてしまう。またさらに、支持体との接着性が乏しい剥離層の場合には、剥離層とフレキシブル基板との接着性も低いため、支持体と貼り合わせる以前に、剥離層とフレキシブル基板とが剥離してしまうリスクが非常に高いと云わざるを得ない。
特許文献4には、ガラス板、セラミック板、シリコンウエハから選ばれた一種の無機層と、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造(骨格)またはフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られる、線膨張係数がフィルムの長さ方向と幅方向でいずれも−5ppm/℃〜+10ppm/℃であるプラズマ処理されたポリイミドフィルムとが、接着剤層を介することなく積層された積層体であって、無機層とポリイミドフィルムの間にシランカップリング層を有し、積層体のフィルムと無機層との180度剥離強度が0.5N/cm以上3N/cm以下であることを特徴とする積層体が開示されている。かかる技術においては、無機層を支持基板とし、ポリイミドフィルムの上に電子デバイスを形成後に、フィルムを支持基板から剥離することにより、フレキシブルな電子デバイスを実現可能である。
特許4834758号公報 特許5408848号公報 特許5898328号公報 特許5126555号公報
T.Shimoda el al., in IEDM Tech. Dig.,pp289-292, (1999) Mitani et al., Jpn. J. Appl. Phys. 47, pp8708, (2008) Ian French el al., SID 05 Digest, pp1634-1637, (2005)
一方でポリイミド樹脂は、高分子フィルムの中では、比較的、吸湿性ないし吸水性が高いことが知られている。これまでに述べてきたフレキシブル樹脂層とガラスなどの無機基板との積層体では、ポリイミドの吸湿性に関して全く対処されていなかった。
ポリイミドの吸湿性は、様々なトラブルの原因となる可能性がある。たとえば、吸湿したポリイミド層の上に非透湿性の物質からなるデバイスを形成した場合には、外部から熱が加わった場合、あるいはデバイス自体が発熱した場合にポリイミドフィルムに含まれる水分が突発的にガス化し、デバイス層にダメージを与えたり、あるいはデバイス層とポリイミドフィルムとの間にガス溜まり、所謂ブリスターを生成してデバイス層をポリイミドフィルムから剥離させるようなトラブルが懸念される。そのため、かかるポリイミドと無機基板の積層体において、ポリイミドの吸湿状態をコントロールすることは極めて重要である。
次世代のフラットパネルディスプレイとして有力視されている有機EL表示素子は水分に対して脆弱である事が知られており、有機EL表示素子においては素子の周囲を水蒸気透過性の低い材料で構成することが技術常識となっている。
一方で、薄型の表示素子である有機EL表示素子のフレキシブル化への要望は強く、ポリイミドフィルム上での有機EL表示素子形成には大きな需要が見込まれる。しかしながら、先に述べたようにポリイミドフィルムは吸湿性が大きく、一定の水分透過性を有するため有機EL表示素氏用基板材料としては必ずしも適する物とは云えない。
本発明者等はかかる状況に鑑み鋭意研究を行った結果、特定の条件を満たすポリイミドフィルムと無機基板の積層体において、ポリイミドフィルムにガスバリア層を付与することにより、フレキシブル有機EL表示素子形成に利用可能なポリイミド/無機基板積層体を見出し、以下の発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の構成である。
[1] 無機基板、ポリイミド層、ガスバリア層の順で積層された層構成を少なくとも有するガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体において、前記ポリイミド層の含水率が、該ポリイミド層の25℃60%RHにおける平衡水分率の50%以下であることを特長とするガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
[2] 前記ポリイミド層の含水率が、該ポリイミド層の25℃60%RHにおける平衡水分率の20%以下であることを特長とする[1]に記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
[3] 前記ポリイミド層の含水率が、該ポリイミド層の25℃60%RHにおける平衡水分率の10%以下であることを特長とする[1]または[2]に記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
[4] 前記ポリイミド層の450℃におけるアウトガス量が1000ppm以下であることを特長とする[1]から[3]のいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
[5] 前記ガスバリア層付きポリイミド層の40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が、0.01g/m・day以下であることを特長とする[1]から[4]のいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
[6] ポリイミド層と無機基板の積層体を準備する工程、前記積層体のポリイミド層の含水率を1.0質量%に制御する前処理工程、前記積層体のポリイミド層上にガスバリア層を形成する工程、を少なくとも含む事を特長とする[1]から[5]のいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法。
本発明では、好ましくは以下の構成を有する。
[7] 前記ガスバリア層付きポリイミド層の酸素透過率が、1.0ml/m・day・atm以下であることを特長とする[1]から[5]のいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
[8] 前記積層体のポリイミド層の含水率を1.0質量%に制御する前処理工程が、ポリイミド層形成後のポリイミド/無機基板積層体を、温度(K:絶対温度)の自乗×時間(分)が500000以上となる条件に暴露することである[6]に記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法。
[9]前記ガスバリア層が金属薄膜である事を特長とする[1]〜[5]、[7]おいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法および[6]または[7]に記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法。
[10]前記ガスバリア層が金属酸化物薄膜である事を特長とする[1]〜[5]、[7]おいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法および[6]または[7]に記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法。
[11]前記ガスバリア層が金属窒化物薄膜である事を特長とする[1]〜[5]、[7]おいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法および[6]または[7]に記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法。
[12]前記ガスバリア層が金属窒化物と金属酸化物の複合薄膜である事を特長とする[1]〜[5]、[7]おいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法および[6]または[7]に記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法。
本発明では、ポリイミド層の含水率を該ポリイミド層の25℃60%RHにおける平衡水分率の50%以下に抑えることで、前記のデバイスや表示素子形成時に発生する、水分のガス化による不具合を抑制することができる。さらにポリイミド層の含水率は、該ポリイミド層の25℃60%RHにおける平衡水分率の20%以下であることが好ましく、さらには10%以下であることがなお好ましい。
また絶対量としてはポリイミド層の0.2質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がなお好ましく、お。お5質量%以下がさらに好ましい。
水分同様に高温でのポリイミド分解物も同様にデバイスや表示素子形成時の不具合発生源となる可能性があるため、450℃におけるアウトガス量は1000ppm以下に抑えることが好ましい。より好ましくは、10ppm〜500ppmの範囲である。
さらに本発明では、前記ガスバリア層付きポリイミド層の40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が、0.3g/m/day以下であることが好ましく、さらに0.1g/m/day以下であることが好ましく、さらに0.03g/m/dayであることが好ましく、さらに0.01g/m/dayであることが好ましく、さらに0.003g/m/dayであることが好ましい。ここにガスバリア層付きポリイミド層の水蒸気透過率はガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体からガスバリア層付きポリイミド層を剥離した後に測定された値である。
さらに、
無機基板とガスバリア層の間に位置するポリイミド層は、ガスバリア層形成前に所定の加熱工程を設定することによりポリイミド層の含水率を1質量%以下、好ましくは該ポリイミド層の25℃60%RHにおける平衡水分率の50%以下、さらに好ましくは平衡水分率の20%以下、さらに好ましくは10%以下に制御することで表示素子等の電子デバイス形成時のポリイミド層に存在する水分のガス化が原因となる不具合を抑制し、ガスバリア層の性能をデバイス形成中からデバイスをポリイミドフィルム層ごと無機基板から剥離して電子デバイスとした後まで良好に保持することができる。
本発明の積層体を使用すれば、フレキシブルな有機EL表示素子を作製可能である。すなわち、ガラス基板やSiウェハ基板といったリジッドな無機基板を用い、無機基板上に乾燥処理による含水率の低いポリイミドを形成し、さらにポリイミド表面にはガスバリア層を形成した積層体を使用することで、その上に有機EL表示素子を安定に形成することが可能である。また、有機EL表示素子を形成した後に無機基板からガスバリア層を含むポリイミド層毎デバイスを剥離することにより、フレキシブルな有機EL表示素子を作製可能である。得られたフレキシブルな有機EL表示素子は、ポリイミド層上に形成されたガスバリア層のガスバリア性能が無機基板からの剥離後も良好な状態で維持されるため、優れた耐久性と長い寿命を保つことが期待される。
図1は、本発明の積層体の上にデバイスを形成した例である。
101:ポリイミド層
103:ガスバリア層
105:デバイス
10:支持基板(無機基板)
本発明の積層体においては支持基板として無機基板を用いる。無機基板とは無機物からなる板状物であって、例えば、ガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属板等を例示できる。またガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属板から選択される2種以上が積層された複合基板も使用できる。さらにガラス、セラミック、金属から選択される一種以上の材料が、他の無機材料中ないし有機材料中に粉体的に分散している複合体を例示できる。さらにガラス、セラミック、金属から選択される一種以上の繊維状物が他の無機材料中、ないし有機材料中に複合化された繊維強化コンポジット構造を有する基板材料などを例示することができる。
本発明における無機基板であるガラス板およびガラスを含み基板材料に用いられるガラスとしては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラス等を例示できる。本発明では、これらの中でも、特に線膨張係数が5ppm/K以下のものが望ましく、市販品であれば、液晶表示素子用ガラスであるコーニング社製の「コーニング(登録商標)7059」や「コーニング(登録商標)1737」、「EAGLE XG」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA10G」、SCHOTT社製の「AF32」などを用いる事が望ましい。
本発明における無機基板であるセラミック板としては、アルミナ、ムライト、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、結晶化ガラス、コーデュライト、リシア輝石、Pb−BSG+CaZrO3+Al2O3、結晶化ガラス+Al2O3、結晶化Ca−ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス+石英、ホウケイ酸ガラス+Al2O3、Pb+ホウケイ酸ガラス+Al2O3、ガラスセラミック、ゼロデュア材などの基板用セラミックス、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、アルミナ、マグネシア、ステアタイト、BaTi4O9、BaTi4O9+CaZrO3、BaSrCaZrTiO3、Ba(TiZr)O3、PMN−PTやPFN−PFWなどのキャパシタ材料、PbNb2O6、Pb0.5Be0.5Nb2O6、PbTiO3、BaTiO3、PZT、0.855PZT−95PT−0.5BT、0.873PZT−0.97PT−0.3BT、PLZTなどの圧電材料等から選択される一種以上の材料からなるセラミック板を例示できる。
本発明における金属板を構成する金属材料としては、W、Mo、Pt、Fe、Ni、Auといった単一元素金属、インコネル、モネル、ニモニック、炭素銅、Fe−Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、といった合金等が含まれる。また、これら金属に、他の金属層、セラミック層を付加してなる多層金属板も含まれる。この場合、付加層との全体のCTEが低ければ、主金属層にCu、Alなども用いられる。付加金属層として使用される金属としては、ポリイミドフィルムとの密着性を強固にするもの、拡散がないこと、耐薬品性や耐熱性が良いこと等の特性を有するものであれば限定されるものではないが、クロム、ニッケル、TiN、Mo含有Cuが好適な例として挙げられる。
本発明に於ける半導体ウェハとしては、シリコンウエハ、炭化珪素ウェハ、化合物半導体ウエハ等を用いることができ、シリコンウエハとしては単結晶ないし多結晶のシリコンを薄板上に加工した物であり、n型或はp型にドーピングされたシリコンウエハ、イントリンシックシリコンウエハ等の全てが含まれ、また、シリコンウエハの表面に酸化シリコン層や各種薄膜が堆積されたシリコンウエハも含まれ、シリコンウエハ以外にも、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、アルミニウム−ガリウム−インジウム、窒素−リン−ヒ素−アンチモン、SiC、InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs、LT、LN、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カドミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛) などの半導体ウエハ、化合物半導体ウエハなどを用いることが出来る。
これら支持体となる無機基板には、UVオゾン処理、真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理、イトロ処理、UVオゾン処理、活性ガスへの暴露処理などの活性化処理を行うことができる。これらの処理は主には無機基板表面の有機物等の付着汚染物を除去するクリーニング効果とともに、無機基板表面を活性化してポリイミド層との接着性を改善する効果を有する。
本発明におけるポリイミドとはイミド結合による多量体である。一般にポリイミドはテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの縮合物として得られる。一般的なポリイミドの製法としては、溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液を、支持体に塗布、乾燥して前駆体フィルムとし、さらに加熱ないし触媒の作用によりイミド化反応を生じせしめてポリイミドに転化させる方法が知られている。ポリイミドをフィルム化する際には前駆体フィルムを支持体から剥離してイミド化する方法が一般的である。また、支持体を被覆する用途においては剥離せずにイミド化する手法も知られている。支持体上に前駆体溶液を塗布乾燥し、支持体上でイミド化する方法は、ポリイミドフィルムをフレキシブルデバイスの基板として用いる用途にて実用化が検討されているところである。
本発明におけるテトラカルボン酸二無水物としては好ましくは芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環族テトラカルボン酸二無水物を用いる事ができる。耐熱性の観点からは芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、光透過性の観点からは脂環族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。テトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明における芳香族テトラカルボン酸としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物等が挙げられる。本発明ではピロメリット酸二無水物の使用が好ましい。
本発明における脂環族テトラカルボン酸類としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸等の脂環族テトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、2個の無水物構造を有する二無水物(例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物等)が好適である。なお、脂環族テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環式テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
本発明におけるジアミン類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類等を用いることができる。耐熱性の観点からは、芳香族ジアミン類が好ましく、芳香族ジアミン類の中では、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を用いる事ができる。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を用いると、高い耐熱性とともに、高弾性率、低熱収縮性、低線膨張係数を発現させることが可能になる。ジアミン類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
本発明におけるジアミン類の内、芳香族ジアミン類としては、例えば、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスアニリン)、1,4−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てが、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明における脂肪族ジアミン類としては、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン等が挙げられる。
本発明における脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
本発明におけるベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類としては、例えば、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2,2’−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2’−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール等が挙げられる。
本発明において、好ましく用いられるポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとの縮合物からなるフィルムであることが好ましく、さらに、
(a)芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくともベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンを含むジアミンとの縮合物のフィルム、
(b)芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくとも分子内にエーテル結合を有するジアミンを含むジアミンとの縮合物のフィルム、
(c)芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくともフェニレンジアミンを含むジアミンとの縮合物のフィルム、
(d)ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとの縮合物のフィルム、
から選択される少なくとも一種のポリイミドフィルムからなることが好ましい。
本発明におけるポリイミドの膜厚は、特に限定されるものではないが、0.5μm〜200μmが好ましく、更に好ましくは、3μm〜50μmである。0.5μm以下では、膜厚の制御が困難であり、一部ポリイミドが欠損する部分ができる可能性がある。このため第2のポリイミド層を剥離することが困難となる場合が生じる。一方で200μm以上では、作製に時間がかかり、フィルムの膜厚斑を制御することが困難になる場合がある。ポリイミド層の膜厚斑は5%以下である事が必須であり、さらに4%以下である事が好ましく、なおさらに3%以下である事が好ましい。
本発明のテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの縮合物のフィルム、すなわちポリイミドフィルムは溶液成膜法で得ることができる。ポリイミドの溶液成膜法は、ステンレス鋼のロールないしはエンドレスベルト、あるいは、PETなどの高分子フィルムを、長尺ないしエンドレスの支持体として用い、支持体上にポリイミド樹脂の前駆体溶液を塗布し、乾燥後に支持体から剥離してポリイミド前駆体フィルムとし、好ましくはフィルムの両端をクリップないしピンにて把持して、搬送しつつ、さらに熱処理を加えてポリイミド前駆体をポリイミドへと化学反応させてポリイミドフィルムを得る方法である。かかる手法を用いて得られるポリイミドフィルムは、膜厚斑が5%以下、好ましくは3.6%以下、さらに好ましくは2.4%以下であり、引張破断強度が90MPa以上、好ましくは180MPa以上、さらに好ましくは350MPa以上、なお好ましくは450MPa以上のポリイミドフィルムとなる。
本発明では、ポリイミド層の性状調整のために、ポリイミドに無機物を含有せしめることが可能であるが、必要最低限に留めるべきである。一般に高分子をフィルム化する際には滑剤と呼ばれる無機粒子を少量添加し、フィルム表面に積極的に微小な凸部を生成せしめ、フィルムとフィルムないしフィルムと平滑面が重なった際に、その間に空気層を巻き込むことによりフィルムの滑り性を発現させる。本発明において、ポリイミド層に含まれる酸化珪素成分は好ましくは6000ppm以下、好ましくは4500ppm以下、更に好ましくは1800ppm以下、なおさらに好ましくは900ppm以下に留めることが好ましい。過剰な滑剤の添加は、フィルム表面の粗度を大きくし、第2のポリイミド層の剥離性を阻害する場合がある。
本発明において支持体である無機基板とポリイミド層との接着手段としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの公知の接着剤、粘着剤を用いることができる。しかしながら、本発明で好ましい接着手段は、膜厚が5μm以下の、極薄い、接着・粘着層による接着手段、ないしは、好ましくは実質的に接着剤・粘着剤を用いない、接着手段が好ましい。
本発明ではこのような接着手段としてシランカップリング剤を用いる方法を使用できる。すなわち、本発明では、無機基板と、ポリイミド層との間にシランカップリング剤層を有する事が好ましい。
本発明におけるシランカップリング剤は、無機板とポリイミド層との間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の接着力を高める作用を有する化合物を云う。
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
本発明で用いることのできるシランカップリング剤としては、上記のほかにn−プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ドデシルリクロロシラン、ドデシルトリメトキシラン、エチルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリアセトキシメチルシラン、トリクロロヘキシルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクタデシルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロテトラデシルシラン、トリメトキシプロピルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリクロロ−2−シアノエチルシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、などを使用することもできる。
また、シランカップリング剤の中に他のアルコキシラン類、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどを適宜加えても良い。また、シランカップリング剤の中に他のアルコキシラン類、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどを適宜加えた場合、あるいは、加えない場合も含めて、混合、加熱操作を加えて、反応を若干進めてから、使用しても良い。
かかるシランカップリング剤の中で、本発明にて好ましく用いられるシランカップリング剤はカップリング剤の、一分子あたりに一個の珪素原子を有する化学構造のシランカップリング剤が好ましい。
本発明では、特に好ましいシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
なお本発明では必要に応じて、リン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を併用しても良い。
本発明におけるシランカップリング剤の塗布方法は特に限定されず、一般的な湿式塗工法または気相での塗工法を用いる事が出来る。湿式塗工法としては、シランカップリング剤の原液ないし溶剤溶液、好ましくはアルコール溶液などを用いて、スピンコート、キャピラリーコート、バーコート、アプリケータ、ダイコート、コンマコート、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、スプレーコート、噴霧コート等の手法を用いることができる。
本発明ではこのシランカップリング剤塗布方法として、好ましくは気相を介する気相塗布法を用いる事ができる。気相塗布法とは、気化させたシランカップリング剤に無機基板を暴露することにより塗布を行う。シランカップリング剤塗布をシランカップリング剤処理と言い換えても良い。気化とはシランカップリング剤の蒸気、すなわち実質的に気体状態のシランカップリング剤あるいは、微粒子状態のシランカップリング剤が存在する状態を指す。暴露とは、前記の気化したはシランカップリング剤を含んだ気体あるいは真空状態に有機系高分子フィルムが接触していることを言う。
シランカップリング剤の蒸気は、液体状態のシランカップリング剤を30℃〜シランカップリング剤の沸点までの温度に加温することによって容易に得ることが出来る。シランカップリング剤の上記は沸点以下であっても生成する。シランカップリング剤の微粒子が共存する状態も利用できる。また、温度圧力の操作によって、蒸気密度を高める操作を行っても良い。シランカップリング剤の沸点は、化学構造によって異なるが、概ね100〜250℃の範囲である。ただし200℃以上の加熱は、シランカップリング剤の有機基側の副反応を招く恐れがあるため好ましくない。
シランカップリング剤を加温する環境は、加圧下、常圧下、減圧下のいずれでも構わないが、シランカップリング剤の気化を促進する場合には概ね常圧下ないし減圧下が好ましい。シランカップリング剤は可燃性液体に分類されることが多いため、密閉容器内にて、好ましくは容器内を不活性ガスで置換した後に気化作業を行うことが好ましい。
一方、生産効率向上および生産設備価格低減の観点からは、真空を使わない環境でのシランカップリング剤塗布が望ましい。例えば、チャンバー内に常圧下にて有機系高分子フィルムをセットし、チャンバー内を気化したシランカップリング剤を含む概ね常圧のキャリアガスを満たしてシランカップリング剤を堆積してから、再び気化したシランカップリング剤の無い状態に戻すまで、概略大気圧のままで行うことができる。
本発明のポリイミド層となるポリイミドフィルムの、少なくとも無機基板と貼り合わせる側には、UVオゾン処理、真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理、イトロ処理、酸処理、アルカリ処理、活性ガスへの暴露処理などの活性化処理を行うことができる。これらの処理は主にはポリイミドフィルム表面の有機物等の付着汚染物を除去するクリーニング効果とともに、ポリイミドフィルム表面を活性化して無機基板との接着性を改善する効果を有する。
無機基板とポリイミド層を、シランカップリング材を介して積層したポリイミド/無機基板積相体の製造方法としては、シランカップリング剤を塗布した無機基板とポリイミドフィルムを重ね合わるか、或いは無機基板とシランカップリング剤を塗布したポリイミドフィルムを重ね合わせ、両者を加圧によって積層することが好ましい。また、無機基板とポリイミド層の両方をシランカップリング材処理をしても良い。加圧方法としては、大気中での常温或いは熱をかけながら行う通常のプレスや、真空中でのプレスが上げられる。好ましい圧力としては、0.5MPaから20MPa更に好ましくは 2から10MPaである。圧力が高いと、基板を破損する恐れがあり、圧力が低いと、密着しない部分が出る場合がある。好ましい温度範囲としては0℃から550℃、更に好ましくは10℃から300℃である。温度が高過ぎると、フィルムや無機基板を劣化させる可能性がある。真空中でプレスする場合は、真空度は通常の油回転ポンプによる真空で充分であり、10Torr以下程度あれば充分である。
また、一旦積層した後、熱処理によって、密着安定化させることもできる。この際の熱処理温度としては、50℃〜550℃の範囲で行うことが好ましい。より好ましくは、100℃〜500℃の範囲である。熱処理によって密着安定性を向上するができる。50℃以下であると、密着安定性向上の効果が小さく、550℃を超えるとポリイミドフィルムの熱劣化が進む傾向にある。
また、ポリイミド/無機基板積相体の製造方法として、無機基板の上に、前記ポリイミド或いはポリイミドの前駆体を有機溶媒に溶解させた溶液を流涎したのち、加熱処理によってポリイミド層を形成する方法もとることもできる。溶媒は、ポリイミド或いはポリイミドの前駆体を溶解可能であればよく、非プロトン性極性溶媒などを好適に用いることができる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミドなどのN,N−ジ低級アルキルカルボキシルアミド類、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、ジグライム、m−クレゾール、ヘキサメチルホスホルアミド、N−アセチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、p−クロロフェノールなどが挙げられる。なお、溶媒は2種以上の混合物であってもよい。
ポリイミド前駆体をイミド化するための加熱処理の条件としては、特に限定されるものではないが、少なくとも150℃〜200℃、より好ましくは160℃から190℃の温度範囲で10分間以上、好ましくは30分間以上、特に好ましくは60分間以上加熱処理した後で、最高温度が400℃〜550℃、好ましくは430℃〜530℃、より好ましくは460℃〜530℃の温度範囲で加熱処理することが好ましい。なお、200℃以上の温度で加熱処理する時間(最高温度で加熱処理する時間も含む)は適宜決めることができ、特に限定されない。この処理によって、溶媒を蒸発させつつ、ポリイミドを形成させることができ、良好なポリイミド/無機基板積相体を製造することができる。
また、前記ポリイミド或いはポリイミドの前駆体を有機溶媒に溶解させた溶液を無機基板上に塗布し、場合によっては、一部乾燥し、その上にポリイミドフィルムを積層し、その後乾燥する方法も可能である。また、前記ポリイミド或いはポリイミドの前駆体を有機溶媒に溶解させた溶液を無機基板上に塗布し、場合によっては、一部乾燥し、さらに別の種類のポリイミド或いはポリイミドの前駆体を有機溶媒に溶解させた溶液を無機基板上に塗布し、その後乾燥するなど公知の手法をとることもできる。
本発明のポリイミド/無機基板積層体において、ポリイミド層にはガスバリア層を伴うことが必須である。また、ガスバリア層を形成する前に特定の前処理を行う事により、ポリイミド中の水分並びにアウトガス成分を除去ないし低減することが好ましい。かかる前処理を行わずにガスバリア層を形成すると、その後のデバイス形成工程や表示素子形成時に、ポリイミド層が部分的に剥がれてウキ(ブリスター)を生じるなどの不具合が発生しやすくなる。また、そのような不具合が発生した場合には、無機基板から剥離したガスバリア層付きポリイミド層(ガスバリア層付きポリイミドフィルム)の水蒸気透過率が高くなり、所定のガスバリア性能を発揮できない場合がある。
本発明に於けるガスバリア層とは、水蒸気バリア、酸素バリア、硫化水素バリア等のガスバリア機能を有する層である。ガスバリア層としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、窒化シリコン等の金属窒化物、酸窒化シリコン、酸窒化アルミニウム等の金属酸窒化物、等からなる薄膜やこれらの交互積層膜等がある。
[ガスバリア膜層]
ガスバリアフィルム積層体が有するガスバリア膜層は、好ましくは、金属膜、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化物と窒化物との複合膜から選択される一種以上の成分を主成分とする膜であり、単独膜または複合膜である。本発明のガスバリア膜は蒸着法、スパッタリング法、またはCVD法で形成されることが好ましい。
ガスバリア膜層の厚みは、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.03〜1.5μm、さらに好ましくは0.1〜1.2μmである。かかる厚み範囲では、膜厚均一性が良好となるとともに、ガス分子の拡散行程が長くなってガスバリア性能に優れる。ガスバリア層の厚さが所定の範囲以下であると必要なガスバリア性能が得られない場合がある。
ガスバリア膜層の形成方法には、特に制限はなく、例えば、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法、分子線エピタキシ法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、等で形成され、ガスバリア層の材料に応じて適宜好ましい手法が選択されて用いられる。
金属薄膜の場合には蒸着法、スパッタリング法が好ましく用いられる。
また特定の金属酸化物膜の場合には電子ビーム蒸着法が好ましく用いられる。例えが酸化珪素と酸化アルミニウムの複合膜の形成には電子ビーム蒸着を用いる事ができる。
金属酸化物、金属窒化物、金属酸化物と窒化物との複合膜等においては、スパッタリング法、またはプラズマCVD法を好ましく用いる事ができる。CVD法は化学的気相堆積法とも呼ばれ、作製したい薄膜材料の構成元素を含む化合物の、1種類以上の原料ガスを基材上に供給し、気相または基材表面での化学反応により薄膜を作製する方法であり、プラズマCVD法は、反応ガスをプラズマ状態にし、活性なラジカルやイオンを生成させ、活性環境下で化学反応を行わせる方法である。
本発明において、特に光線透過性を必要としない電子デバイスにおいては、ガスバリア層として金属薄膜を用いる事ができる。本発明において好ましく用いられるガスバリア性金属としては、鉄合金、銅、銅合金、銀、金、白金、ルテニウム、パラジウム、クロム、モリブデン、タングステン、ニッケルクロム合金、アルミニウム、チタニウム、インバー合金、モネル合金などを用いる事ができる。金属薄膜の形成にはスパッタリング法、蒸着法を好ましく用いる事ができる。また金属薄膜は単層に限らず、二層ないしそれ以上の複層でも良い。ポリイミドと接着製の良いアンカー層と、ガスバリア性に優れる薄膜とを重ねて形成する手法は、かかる場合に常套手段として用いられる。
CVD法によるガスバリア膜層の形成に用いる原料ガスとしては、有機金属化合物が好ましく、例えば、珪素を含有する有機珪素化合物、アルミニウムを含有する有機アルミニウム化合物などを用いることができる。これら原料ガスの中でも、化合物の取り扱い性、および得られるガスバリア膜層に柔軟性や高いガスバリア性を付与できるなどの観点から、有機珪素化合物を用いることがより好ましい。
有機珪素化合物としては、例えば、HMDSO、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどが挙げられる。
これらの有機珪素化合物の中でも、化合物の取り扱い性、および得られる薄膜層のガスバリア性などの特性の観点から、HMDSO、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、テトラエトキシシランが特に好ましい。これらの有機珪素化合物などの原料は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウムなどが挙げられる。
前記原料ガスに加えて反応ガスを用いることができる。反応ガスとしては、前記原料ガスおよびそのラジカルと反応して酸化物、窒化物などの化合物となるガスを使用することができる。反応ガスとしては、例えば、酸素、窒素、アンモニア、オゾンなどを用いることができる。これらの反応ガスは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
成膜のためのガスとして、前記原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜のためのガスとして、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガスおよび放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノンなどの希ガスなどを用いることができる。
本発明のガスバリアフィルム積層体の表面(樹脂フィルム表面、有機膜層表面、ガスバリア膜層表面)に、付着性を向上する目的でコロナ処理、プラズマ処理などの表面改質処理を施してもよい。
本発明におけるガスバリア層付きポリイミド層(ガスバリア層付きポリイミドフィルム)のガスバリア性能は、水蒸気透過率を代表特性として評価することが出来る。
本発明におけるガスバリア層付きポリイミドフィルム層の水蒸気透過率(温度:40±0.5℃、相対湿度:90±5%RH)が、0.3g/m2/day以下の高いガスバリア性を有しており。好ましくは成膜条件などを最適化することで0.1g/m2/day以下、好ましくは0.03g/m2/day以下が実現でき、さらに好ましくは0.01g/m2/day以下が達成される。なお好ましくは0.003g/m2/day以下、なおさらに好ましくは0.001g/m2/day以下のガスバリアフィルムを用いる事ができる。なおガスバリア性能は、ガスバリア層付きポリイミド層を無機基板から剥離した後に測定される。
ガスバリア層を形成する前のポリイミド/無機基板積層体の前処理方法としては、特に限定されるものではないが、熱によって、気化する成分を蒸発させる方法が最も簡便である。熱処理温度は100℃〜550℃の範囲が好ましく、特に好ましくは120℃〜530℃の範囲である。さらに好ましくは、250℃〜500℃の範囲である。温度が低いと、十分に水分並びにアウトガスが抜け切らずポリイミド中に残存する傾向にある。また温度が高すぎるとポリイミドの熱劣化が進み、返ってアウトガスが増加する場合もあり好ましくない。前処理時の相対湿度は好ましくは10%RH以下、より好ましくは5%RH以下である。相対湿度が高いと水分の除去が困難となる。大気環境下で前処理することも可能であるが、より好ましくは不活性ガス雰囲気下、或いは真空条件下で前処理を行う事が好ましい。特に450℃以上の温度で処理する場合は、不活性ガス雰囲気下、或いは真空条件化での処理が好ましい。前処理時間は、1分から10時間の範囲であり、より好ましくは3分から3時間の範囲である。必要とされる前処理時間は温度により事なる。本発明では温度(K:絶対温度)の自乗×時間(分)が500000以上となる条件での前処理が好ましく、さらに温度(K:絶対温度)の自乗×時間(分)が800000以上となる条件での前処理が好ましい。
前処理時間が短いと必要な効果が得られず、また前処理時間が長すぎるとポリイミド層の熱劣化が顕著になり、剥離後のポリイミド層(ポリイミドフィルム)が脆くなる場合がある。
本発明では、ガスバリア層を形成したポリイミド層の上にデバイスが形成されている事が好ましい。
ここに本発明におけるデバイスとは、電気配線を担う配線基板、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、電気二重層キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路、他、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、一次電池、二次電池、薄膜トランジスタ、量子ドット、量子細線、量子細線トランジスタ、単電子トランジスタ、あるいは単電子メモリなどを云う。
本発明におけるデバイスは電気配線層を含む事が好ましい。また本発明におけるデバイスは半導体素子を含む事が好ましい。
また特に本発明の積層体は、ポリイミド層の上にガスバリア層を形成していることを特長としており、上に形成したデバイスに対して、ポリイミド層を透過する水分等の影響を抑えることが可能である。そのため、水に弱いデバイス、例えば有機ELデバイスや太陽電池、などにフレキシブル性を持たせるための基板として適している。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法、処理方法、操作方法などは以下の通りである。
<ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)>
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
<ポリイミド層の膜厚>
ポリイミド層については、積層体断面のSEM断面観察により求めた。なお、特に断りの無い限り、各ポリイミド層の端部から1mm以上内側の領域において、無作為に選択した5点の膜厚の平均値をポリイミド層の膜厚とした。
第2のポリイミド層においては、ラミネート前のポリイミドフィルムないしは第2のポリイミド層を積層体から90度剥離した後のフィルムの無作為に選択した10点の算術平均値を求め、膜厚とした。また、任意の10点の膜厚の最大値、最小値、算術平均値から、以下の式により膜厚斑[%]を算出した。
膜厚斑=100×(最大値−最小値)/算術平均値 [%]
なお第2のポリイミド層であるポリイミドフィルムの厚さは触針式膜厚計で測定される。
また、良好に剥離できた場合には、剥離後のポリイミドフィルム、膜厚斑と、ラミネート前のポリイミドフィルムの膜厚および膜厚斑はほぼ一致した。
<熱分解温度>
積層板から剥離したポリイミド層(ポリイミドフィルム)を試料とし、150℃にて30分間乾燥した後に、下記条件で熱天秤測定(TGA)を行い、試料の質量が5%減る温度を熱分解温度とした。
装置名 : MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン : アルミパン(非気密型)
試料質量 : 10mg
昇温開始温度 : 30℃
昇温速度 : 20℃/min
雰囲気 : アルゴン
<90度剥離強度>
JIS K6854−1:1999に規定される90度剥離法に従って測定した。
装置名 : 島津製作所社製 オートグラフAG−IS
測定温度 : 室温
剥離速度 : 100mm/min
雰囲気 : 大気
測定サンプル幅 : 10mm
<線膨張係数>
ポリイミド層(フィルム)として得られた試料において、下記条件にて伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。
機器名 : MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ : 20mm
試料幅 : 2mm
昇温開始温度 : 25℃
昇温終了温度 : 400℃
昇温速度 : 5℃/min
雰囲気 : アルゴン
<含水率%>
積層板から剥離したポリイミド層(ポリイミドフィルム)を試料とし、150℃まで温度を上げて30分間乾燥する際の試料の質量減少率(%)を、下記条件で熱天秤測定(TGA)を行い、含水率(%)とした。
装置名 : MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン : アルミパン(非気密型)
試料質量 : 10mg
昇温開始温度 : 30℃
温度開始前保持時間 : 1分
昇温速度 : 50℃/min
雰囲気 : アルゴン
<平衡水分率%>
25℃湿度60%の環境に72時間静置したポリイミドフィルムを試料とし、150℃まで温度を上げて30分間乾燥する際の試料の質量減少率(%)を、下記条件で熱天秤測定(TGA)を行い、平行水分率(%)とした。
装置名 : MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン : アルミパン(非気密型)
試料質量 : 10mg
昇温開始温度 : 30℃
温度開始前保持時間 : 1分
昇温速度 : 50℃/min
雰囲気 : アルゴン
<アウトガス量ppm>
積層板から剥離したポリイミド層(ポリイミドフィルム)を試料とし、切片約0.05mgを、ガスクロマトグラフィー/質量分析装置(GC/MS)にかけることにより求めた。条件は以下の通りである。tenax管(内径4mm:GLサイエンス社製)に、加熱発生ガス濃縮導入装置(TCT CP−4020:GLサイエンス社製)にセットした。tenax管を450℃、60分間加熱し、Heパージにて発生ガスをGC/MS(HP−6890/HP−5973:Agilent社製)へ導入した。検出成分は全てトルエン換算にて定量を行なった。
<ガスバリア層の膜厚>
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、ガスバリアフィルム積層体の断層面観察を行い、ガスバリア膜層と有機膜層の膜厚を測定した。
<水蒸気透過率(WVTR)>
水蒸気透過度測定装置(MOCON社製「PERMATRAN-W 3/34 G」)を用い、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で、水蒸気透過度を測定した。なお、水蒸気透過度の測定は、ポリイミド層側からガスバリア層側に水蒸気が透過する方向で行った。
<酸素透過率>
酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/21 L」)を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で、酸素透過率を測定した。なお、酸素透過率の測定は、ポリイミド層側からガスバリア層側に酸素が透過する方向で行った。
<製造例>
[ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液PV1の製造]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物217質量部、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液[PV1」を得た。
[ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液PV2の製造]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、テトラカルボン酸二無水物として3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物398質量部、パラフェニレンジアミン132質量部、4,4'ジアミノジフェニルエーテル30質量部を4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液[PV2]を得た。
[ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液PV3の製造]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、ピロメリット酸無水物545質量部、4,4'ジアミノジフェニルエーテル500質量部を8000質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、温度を20℃以下に保ちながら同様に反応させてポリアミド酸溶液[PV3]を得た。
[ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液PV4の製造]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、ピロメリット酸二無水物545質量部、パラフェニレンジアミン153質量部、4,4'ジアミノジフェニルエーテル200質量部を8000質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、温度を20℃以下に保ちながら同様に反応させてポリアミド酸溶液[PV4]を得た。
[ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液PV5の製造]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、反応容器に窒素雰囲気下、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル155.9質量部とN,N-ジメチルアセトアミド1200質量部を仕込んで溶解させた後、反応容器を冷却しながらシクロブタンテトラカルボン酸二無水物142.9質量部を固体のまま分割添加し、室温で5時間攪拌した。その後N,N-ジメチルアセトアミド1000質量部で希釈し、還元粘度4.20dl/gのポリアミド酸溶液[PV5]を得た。
[ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液PV6の製造]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、反応容器に窒素雰囲気下、2,2’-ジトリフルオロメチル-4,4’-ジアミノビフェニル176.5質量部とN,N-ジメチルアセトアミド1200質量部を仕込んで溶解させた後、反応容器を冷却しながら1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物122.9質量部を固体のまま分割添加し、室温で18時間攪拌した。その後N,N-ジメチルアセトアミド500質量部で希釈し、還元粘度3.26dl/gのポリアミド酸溶液[PV6]を得た。
[ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液PV7の製造]
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、テトラカルボン酸二無水物として3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物398質量部、パラフェニレンジアミン148質量部、4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液[PV7]を得た。
<ポリイミドフィルムの製造>
製造例にて得られたポリアミド酸溶液[PV1]を脱泡後にコンマコーターを用いて、東洋紡株式会社製ポリエステルフィルムA4100の平滑面に塗布し、連続式乾燥機にて乾燥温度を95℃にて5分、115℃にて5分間乾燥しポリアミド酸フィルムとした。次いで得られたポリアミド酸フィルムをポリエステルフィルムから剥離し、フィルムの両端をピンにて把持し、連続式の熱処理炉にて250℃にて3分、490℃にて3分間熱処理を行ない、室温まで冷却してポリイミドフィルム[PF1a]を得た。得られたポリイミドフィルムの評価結果を表1に示す。表中の「フィルム成膜」はこの方法によって得られたポリイミドフィルムを用いた事を示す。
以下同様にポリアミド酸溶液、成膜方法、塗布膜厚、乾燥、熱処理条件,を代えて溶液成膜を行い表1に示すポリイミドフィルムを得た。結果を表1に示す。
<無機基板(支持体)>
ガラス基板[G1]として235mm×185mm、厚さ 0.7mmの日本電気硝子製OA10Gを用いた。
ガラス基板[G2]として235mmX185mm、厚さ 0.7mmの青板ガラスを用いた。
シリコンウエハ[SW]として、直径200mm、厚さ 0.7mmの片面鏡面仕上げウエハを用いた。
<UV/オゾン処理>
ランテクニカルサービス社製UV/オゾン洗浄改質装置SKR1102N-03を用い、ランプと無機基板との距離を30mmとして無機基板に1分間のUV/オゾン処理を行った。なお結果を示す表においてはUVO3と略記する。
<シランカップリング剤処理>
ホットプレートと無機基板の支持台とを備えたチャンバーをクリーンな乾燥窒素で置換した後、UV/オゾン処理を行った無機基板を支持台に設置し、無機基板の200mm下方に液面が位置するようにシランカップリング剤(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を満たしたシャーレを置き、シャーレをホットプレートにて100℃に加熱し、無機基板の下面をシランカップリング剤蒸気に3分間暴露した後にチャンバーから取り出し、クリーンベンチ内に設置し、120℃に調温されたホットプレートに無機基板の暴露面とは逆側を熱板に接するように乗せ、1分間の熱処理を行い、シランカップリング剤処理とした。
<プラズマ処理>
<フィルムのプラズマ処理>
ポリイミドフィルムを所定サイズに裁断し、枚葉式の真空プラズマ装置により処理を行った。真空プラズマ処理としては、平行平板型の電極を使ったRIEモード、RFプラズマによる処理を採用し、真空チャンバー内に窒素ガスを導入し、13.54MHzの高周波電力を導入するようにし、処理時間は3分間とした。
<コロナ処理>
アルミニウム製のバー型電極を用い、電極とフィルム間のギャップを0.5mmとし、春日電機社製の高周波電源装置を用い、表面処理エネルギー換算値が0.20(KW/m2・min)、発振周波数は45KHz±3KHzにて、大気中にてコロナ処理を行った。
<ガスバリア層の形成例1:窒化珪素薄膜>
一般的なプラズマCVD装置を用いて、以下の手法によりガスバリア層を形成した。原料ガスとしてシランガス(SiH4),アンモニアガス(NH3),窒素ガス(N2),および水素ガス(H2)を用いた。各種ガスの供給量は、シランガスが100sccm、アンモニアガスが200sccm、窒素ガスが500sccm、水素ガスが500sccmとした成膜圧力は60Paとした。供給するプラズマは、13.58MHzで3000Wとした。成膜中は、ガラス板(基板ホルダ)に、周波数400kHzで500Wのバイアス電力を供給した。
<ガスバリア層の形成例2:窒化珪素と酸化珪素の複合膜>
ガスバリア層の形成例1において得られた薄膜表面に大気圧プラズマ処理を行い、窒化珪素の一部を酸化珪素に置換し、窒化珪素と酸化珪素の複合膜を得た。
<ガスバリア層の形成例3:参加珪素と参加アルミニウムの複合膜>
蒸着元として酸化アルミニウムと酸化珪素を用いた二元電子ビーム蒸着法にて酸化珪素と酸化アルミニウムの複合膜の層を形成した。
<ガスバリア層の形成例4:モリブデン薄膜>
ガス導入機構とシャッターのあるマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に被膜形成基板をセットし、チャンバー内に5mTorrとなるようにアルゴンガスを導入し、金属モリブデンターゲットを用い、DC電力印加によるスパッタリングを行いモリブデン薄膜を形成した。
<ガスバリア層の形成例5:クロム薄膜>
ガス導入機構とシャッターのあるマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に被膜形成基板をセットし、チャンバー内に5mTorrとなるようにアルゴンガスを導入し、金属クロムターゲットを用い、DC電力印加によるスパッタリングを行いクロム薄膜を形成した。
なお、表1〜表3中の略語は以下の通りである。
PMDA:ピロメリット酸二無水物、
BPDA:3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
CBA:シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、
CHA:1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、
ODA:4,4'ジアミノジフェニルエーテル、
PDA:フェニレンジアミン、
DAMBO:5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、
BPA:2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、
FA:2,2’-ジトリフルオロメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、
CTE :線膨張係数、
UVO3:UVオゾン処理
<実施例1>
ポリイミド層となるポリイミドフィルム[PF1a]に、プラズマ処理を行い、シランカップリング剤処理を行った無機基板のシランカップリング剤処理面に重なるようにポリイミドフィルムを重ね、ロールラミネータにて仮圧着した後、クリーンベンチ内に設置し、150℃に調温されたホットプレートに無機基板側を熱板に接するように乗せ、3分間熱処理を行い、ポリイミド層を得た。得られたポリイミド層/無機基板の積層体は、温度20〜25℃、相対湿度65±30%の環境下で保管した。
次いで、含水率制御として、ガスバリア層形成前に、窒素置換した450℃のイナートオーブンで5分間の熱処理を行い、イナートオーブンから取り出し室温まで冷えないうちに(3分間以内に)ガスバリア層を形成する真空装置にセットし、直ちに減圧した。所定の真空度に達したことを確認した後にポリイミド層の表面に、ガスバリア層として窒化珪素薄膜を形成した
得られたガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体を、500℃1時間の加熱試験を行い、目視観察により、加熱試験後の外観検査を行った。次いでガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の無機基板から剥離したガスバリア層付きポリイミド層(ガスバリア付きポリイミドフィルム)を評価した。結果を表2に示す。
<実施例2〜23、比較例1〜2>
以下、無機基板、ポリイミド層、ガスバリア層、各々の処理条件、等を適宜替えて実験を行い表2,表3.表4、表5、表6に示す実施例2〜実施例13、比較例1〜2のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層を得た。各々のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の無機基板から剥離したガスバリア層付きポリイミド層(ガスバリア付きポリイミドフィルム)を評価した。結果を表2、表3、表4、表5、表6に示す。
なお加熱試験後の外観において「ウキ」は、ポリイミド層の一部が無機基板から剥がれ、バブル状に膨れた状態(ブリスターとも呼ばれる)を示す。
<有機EL表示素子の試作>
実施例1の積相体のガスバリア層の表面に、10−5Paオーダーの真空度にて各薄膜を蒸着して積層した。先ず成膜温度350℃にて、膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極を形成した。その後、ITO上にN,N'-ジ(1−ナフチル)−N,N'-ジフェニルベンジジン)を30nmの厚さに形成し、この上に、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼンを10nmの厚さに形成した。次に、下記の化合物1と4,4'-ビス(N-カルバゾリル)-1,1'-ビフェニルを異なる蒸着源から共蒸着し、20nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、化合物1の濃度は10重量%とした。次に、1,3,5−トリス(1−フェニル−1H-ベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼンを40nmの厚さに形成し、この上にフッ化リチウムを0.8nm真空蒸着した。さらに、同様にITOを形成し陰極とした。その上からさらにガスバリア層を形成した。最後にガラス板から剥がすことで、フレキシブルな有機EL素子を作製した。電流密度−電圧−輝度特性として、480nmに発光極大波長を持ち、最大外部量子効率6.1%の発光素子を得た。試作後60日後も発光することを確認した。このように、本発明の積層体を用いてフレキシブル有機EL素子を作製可能であった。
以上、示してきたように、本発明の積層体は、ガスバリア性に優れ、特に水蒸気バリア性に優れ、水分に弱いと云われている有機EL表示素子などの薄膜デバイスを作製するための基板として好適に利用できる。
本発明の積層体を仮支持基板に用いたプロセスで有機EL表示素子を作製し、無機基板からポリイミド層ごと有機EL表示素子を剥離すれば、フレキシブルな自発光表示素子が実現される。よって産業上の有用性は極めて高いと云える。

Claims (6)

  1. 無機基板、ポリイミド層、ガスバリア層の順で積層された層構成を少なくとも有するガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体において、該ポリイミド層の25℃60%RHにおける平衡水分率の50%以下であることを特長とするガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
  2. 前記ポリイミド層の含水率が、該ポリイミド層の25℃60%RHにおける平衡水分率の20%以下であることを特長とする請求項1に記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
  3. 前記ポリイミド層の含水率が、該ポリイミド層の25℃60%RHにおける平衡水分率の10%以下であることを特長とする請求項1または2に記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
  4. 前記ポリイミド層の450℃におけるアウトガス量が1000ppm以下であることを特長とする請求項1から3のいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
  5. 前記ガスバリア層付きポリイミド層の40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が、0.3g/m/day以下であることを特長とする請求項1から4のいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体。
  6. ポリイミド層と無機基板の積層体を準備する工程、
    前記積層体のポリイミド層の含水率を1.0質量%に制御する前処理工程、
    前記積層体のポリイミド層上にガスバリア層を形成する工程、
    を少なくとも含む事を特長とする請求項1から5のいずれかに記載のガスバリア層付きポリイミド/無機基板積層体の製造方法。
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