JP2018140804A - 液体吐出容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】吐出管にかかる負荷を抑えつつ、吐出弁の外面と吐出管の内面との間のシール性を確保する。【解決手段】吐出管50の内面には、上下方向に突出するとともに、全周にわたって連続して延び、弾性変形可能に形成されたシール突部58が形成され、シール突部58は、吐出弁51に弾性変形させられた状態で全周にわたって当接している。【選択図】図2

Description

本発明は、液体吐出容器に関する。
液体吐出容器として、例えば下記特許文献1に示されるように、内容液が収容される容器本体と、下端の吸込口が容器本体内に配置されるとともに、容器本体に固定されたシリンダと、シリンダに回動可能に取り付けられた回動環と、上部に吐出弁が設けられ、かつ下部開口がシリンダ内に位置する吐出管と、シリンダ内に配置されるとともに、吐出管に液密に上下摺動可能に外嵌され、付勢機構により下方に付勢された筒状のプランジャと、回動環とプランジャとの間に設けられ、回動環のシリンダに対する回転動作をプランジャのシリンダに対する上昇動作に変換する変換機構と、吐出弁に装着され、内容液の吐出口が形成された吐出ヘッドと、吸込口に配設され、容器本体内の内容液のシリンダ内への流入を許容し、かつシリンダ内の内容液の容器本体内への流出を阻止する吸込弁と、シリンダ、吸込弁、吐出管、およびプランジャによって囲まれ、吸込弁を通して容器本体内からシリンダ内に流入した内容液が溜められる加圧室と、を備える構成が知られている。
特開2015−227196号公報
しかしながら、前記従来の液体吐出容器では、吐出弁の下端部を吐出管内に圧入することで、吐出弁の外面と吐出管の内面との間のシール性を確保していたので、吐出管には常に径方向外側に向けた押圧力が加えられていて、時間の経過に伴い吐出管に例えば損傷による液漏れ等の問題が生じるおそれがあった。
そこで、本発明は、吐出管にかかる負荷を抑えつつ、吐出弁の外面と吐出管の内面との間のシール性を確保することができる液体吐出容器を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の液体吐出容器は、内容液が収容される容器本体と、下端の吸込口が前記容器本体内に配置されるとともに、前記容器本体に固定されたシリンダと、前記シリンダに回動可能に取り付けられた回動環と、上部に吐出弁が設けられ、かつ下部開口が前記シリンダ内に位置する吐出管と、前記シリンダ内に配置されるとともに、前記吐出管に液密に上下摺動可能に外嵌され、付勢機構により下方に付勢された筒状のプランジャと、前記回動環と前記プランジャとの間に設けられ、前記回動環の前記シリンダに対する回転動作を前記プランジャの前記シリンダに対する上昇動作に変換する変換機構と、前記吐出弁に装着され、内容液の吐出口が形成された吐出ヘッドと、前記吸込口に配設され、前記容器本体内の内容液の前記シリンダ内への流入を許容し、かつ前記シリンダ内の内容液の前記容器本体内への流出を阻止する吸込弁と、前記シリンダ、前記吸込弁、前記吐出管、および前記プランジャによって囲まれ、前記吸込弁を通して前記容器本体内から前記シリンダ内に流入した内容液が溜められる加圧室と、を備え、前記吐出管の内面には、上下方向に突出するとともに、全周にわたって連続して延び、弾性変形可能に形成されたシール突部が形成され、前記シール突部は、前記吐出弁に弾性変形させられた状態で全周にわたって当接していることを特徴とする。
本発明では、吐出管のシール突部が、吐出管の内面から上下方向に突出するとともに、吐出弁に弾性変形させられた状態で全周にわたって当接しているので、吐出弁をシール突部に上下方向に当接させることで、吐出弁から吐出管に径方向の外側に向けた力が加えられるのを抑制すること可能になり、吐出管にかかる負荷を抑えつつ、吐出弁の外面と吐出管の内面との間のシール性を確保することができる。
また、シール突部が吐出管と一体に形成されていることから、部品点数が増大することがないため、液体吐出容器の組み立て工数およびコストの増大を防ぐことができる。
ここで、前記シール突部が、前記吐出弁により径方向外側に向けて押込まれ、このシール突部の先端部が、前記吐出管の内面に当接してもよい。
この場合、吐出弁により径方向外側に向けて押込まれたシール突部の先端部が、吐出管の内面に当接しているので、例えば加圧室の内圧が上昇したときに、シール突部の先端部が過度に大きく変形するのを抑制することが可能になり、加圧室の内容液が、シール突部を超えて吐出管の外部に漏出するのを防ぐことができる。
また、前記吐出弁の下端部は、前記吐出管内に挿入され、前記吐出弁の下端部の外面と、前記吐出管の内面と、の間に径方向の隙間が設けられてもよい。
この場合、吐出弁の下端部の外面と、吐出管の内面と、の間に径方向の隙間が設けられているので、吐出管に径方向外側に向けた押圧力が加えられるのを防ぐことが可能になり、時間の経過に伴って吐出管に損傷が生ずるのを確実に抑えることができる。
また、前記吐出弁の外面および前記吐出管の内面のうちの少なくとも一方において、前記シール突部が配設された位置よりも上方に位置する部分に、他方に係合する係合部が形成されてもよい。
この場合、吐出弁の外面および吐出管の内面のうちの少なくとも一方に、他方に係合する係合部が形成されているので、吐出弁および吐出管のみを組み合わせた状態に保つことが可能になり、例えば液体吐出容器を組み立てる過程で、吐出弁と吐出管とを互いに組み合わせた後に、この組立体に他の部材を組付けること等が可能になり、液体吐出容器を容易に組み立てることができる。
しかも、係合部が、吐出弁の外面および吐出管の内面のうちの少なくとも一方において、シール突部が配設された位置よりも上方に位置する部分に形成されているので、係合部により、吐出管に例えば径方向外側に向けた押圧力が加えられたこと等に起因して、時間の経過に伴い仮に、吐出管のうち係合部が位置する部分に損傷が生じたとしても、加圧室の内容液がシール突部により堰き止められることとなり、吐出管の外部に漏出するのを防ぐことができる。
この発明によれば、吐出管にかかる負荷を抑えつつ、吐出弁の外面と吐出管の内面との間のシール性を確保することができる。
本発明に係る液体吐出容器の第1実施形態を示す半縦断面図である。 図1の液体吐出容器の一部拡大図である。 図1に示す状態から回動環を回動し始めた状態を示す図である。 図3に示す状態から回動環の回動が終了した状態を示す図である。 図4に示す状態から吐出ヘッドを押し下げている状態を示す図である。 本発明に係る液体吐出容器の第2実施形態の要部を示す半縦断面図である。 本発明に係る液体吐出容器の変形例の要部を示す半縦断面図である。
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
図1に示すように、液体吐出容器1は、有底筒状に形成され、内容液が収容される容器本体10を備えている。容器本体10は、外周面に雄ねじが設けられた口部12、胴部11、および底部を備える有底筒状に形成されている。
以下、容器本体10における横断面の中央を通る中心軸を容器軸Oといい、この容器軸O方向に沿って口部12側を上側、底部側を下側といい、容器軸O方向に沿った方向を上下方向という。また、容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
容器本体10の口部12にシリンダ20が固定されている。シリンダ20の下端に形成された吸込口21aは、容器本体10内に配置されている。図示の例では、シリンダ20は、容器軸Oと同軸に配置された多段の筒状に形成され、下方から上方に向けて第1筒部21、第2筒部22、第3筒部23、および第4筒部24がこの順に連設されており、これらの筒部21〜24は上側に位置するものほど内径および外径が大きくなっている。
第4筒部24の上下方向における略中央から、ネジ筒部25が径方向外側に向けて突出し、かつ下方に向けて延びている。ネジ筒部25の内周面には雌ねじが設けられており、シリンダ20は、ネジ筒部25を容器本体10の口部12に螺合することで容器本体10に固定されている。口部12の上端開口縁とネジ筒部25との間にはパッキン13が配設されている。
第1筒部21の上端部と第2筒部22の下端部とは、環状の弁座部26を介して連結されている。弁座部26は容器軸Oと同軸に配置されている。
第1筒部21の内側が前記吸込口21aとなっていて、この第1筒部21の内側に、吸込管28の上端部が嵌合されている。吸込管28の下端開口は、容器本体10内の底部に位置している。吸込口21aに、容器本体10内の内容液のシリンダ20内への流入を許容し、かつシリンダ20内の内容液の容器本体10内への流出を阻止する吸込弁29が配設されている。吸込弁29は、弁座部26の上面に上方に向けて離反可能に当接した弁体29aを有している。
第3筒部23の下端部には、径方向に貫く等圧孔27が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
シリンダ20は、第2筒部22内に嵌合された筒状のスリーブ30を備えている。スリーブ30は、下部に位置する大径筒部30aと、大径筒部30aの上端から上方に向けて延び、かつ大径筒部30aより内径が小さい小径筒部30bと、小径筒部30bの上端から上方に向けて延び、かつ小径筒部30bより内径が大きいシール筒部30cと、を備えている。小径筒部30bの上端部は、径方向外側に向けて屈曲し、第2筒部22の上端開口縁上に係止されている。シール筒部30cは、第3筒部23の内周面から径方向内側に離間している。
図示の例では、シール筒部30cの上端開口縁、および第3筒部23の上端開口縁それぞれの上下方向の位置が互いに一致している。シール筒部30cの上端部には、複数の溝部30dが周方向に間隔をあけて形成されている。溝部30dは、シール筒部30cを径方向に貫き、かつ上方に向けて開口している。
第4筒部24のほぼ上半分の内周面には、断面半円形の縦溝31が周方向に等間隔をあけて複数設けられており、第4筒部24の外周面には第1突部24aが設けられている。第4筒部24には、容器軸Oと同軸に配置された回動環40が周方向に回動可能で上下方向に移動不能に外装されている。つまり回動環40は、シリンダ20に対して容器軸O回りに回動可能に配設されている。
回動環40の上端部には、上端に位置するネック筒部41aと、ネック筒部41aより大径に形成されるとともに、ネック筒部41aの下端に連なる取付筒部41bと、が備えられている。取付筒部41bの内側に、下部開口がシリンダ20内に位置する吐出管50の上端部が配置されている。
吐出管50は、例えばポリプロピレン若しくはポリエチレン等の樹脂材料で形成され、容器軸Oと同軸に配置されるとともに、後述する中継部材42の頂板部46の内側、およびシリンダ20の内側に一体に挿入されている。吐出管50のうち、上端部は頂板部46から上方に突出し、下部はシリンダ20の内側に挿入されており、下部開口の位置する下端縁がシリンダ20の第3筒部23の内側に位置している。
吐出管50は、図2に示されるように、頂板部46から下方に向けて延びる本体部50aと、本体部50aの上端部から径方向外側に向けて延びるフランジ部50bと、フランジ部50bの外周縁部から上方に向けて延びる連結管50cと、を備えている。フランジ部50bが、頂板部46の上面に載置されていて、フランジ部50bおよび連結管50cが、頂板部46の上方に位置した吐出管50の上端部となっている。フランジ部50bが、頂板部46の上面に載置されることにより、吐出管50は、回動環40に中継部材42を介して取り付けられている。吐出管50の上部に吐出弁51が設けられている。
吐出弁51は、吐出管50の上部開口を閉塞している。吐出弁51は、吐出管50に上方付勢状態で下降移動可能に配設され、かつ上端部52aに吐出ヘッド56が装着された出口筒52と、吐出管50に固定され、かつ下端部53aが吐出管50内に挿入された入口筒53と、出口筒52内と入口筒53内との連通を遮断し、かつ出口筒52の入口筒53に対する下降移動時に、入口筒53内と出口筒52内とを連通させる弁体54と、出口筒52を上方付勢するスプリング55と、を備える。
入口筒53は、吐出管50の本体部50aの上端部内に挿入された下端部53aと、下端部53aより大径に形成されるとともに、下端部53aの上端に連なる上部53bと、上部53bの上端部から径方向外側に向けて突出するフランジ部53cと、を備える。
入口筒53の下端部53aのうち、下端開口縁に連なる最下部の外面に、上方から下方に向かうに従い漸次縮径したテーパー部53eが形成されている。入口筒53の下端部53aの外面と、吐出管50の内面と、の間には、径方向の隙間が設けられている。なお、入口筒53の下端部53aの外面と、吐出管50の内面と、を互いに当接させてもよい。
上部53bは、吐出管50の本体部50aから上方に突出し、その外面は、吐出管50の連結管50cの内面と径方向で対向している。入口筒53における下端部53aと上部53bとの接続部分は環状の段部53dとされ、段部53dの下面、および吐出管50の本体部50aの上端開口縁が、上下方向に互いに対向している。図示の例では、段部53dの下面と、吐出管50の本体部50aの上端開口縁と、の間に、上下方向の隙間が設けられている。なお、段部53dの下面と、吐出管50の本体部50aの上端開口縁と、を互いに当接させてもよい。
入口筒53のフランジ部53cの下面における外周縁部と、連結管50cの上端開口縁と、の間に、パッキン101が配設されている。
ここで、吐出管50には、連結管50cの内面とフランジ部50bの上面とを連結するリブ50dが形成されている。リブ50dは、表裏面が周方向を向く板状に形成されている。リブ50dにおける径方向の内端縁は、本体部50aの上端開口縁より径方向外側に位置し、入口筒53の上部53bの外面に当接若しくは近接している。リブ50dは、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
出口筒52は、入口筒53から上方に突出した上端部52aと、入口筒53の上部53bの内側に配置された下部52bと、を備える。下部52bの外面と、入口筒53の上部53bの内面と、の間には、入口筒53の下端部53aの内側を通して、吐出管50の本体部50a内に連通する連絡隙間125が設けられている。出口筒52の上端部52aは有底筒状に形成されている。上端部52aに、その内側と連絡隙間125とを連通可能な連通孔118が形成されている。
弁体54は環状に形成され、その内側に出口筒52が密に嵌合され、弁体54の内周面が、出口筒52の連通孔118を閉塞している。弁体54の下面における外周部は、入口筒53のフランジ部53cの上面に載置されている。
ここで、出口筒52の下部52bには、下方に向けて開口し、かつ容器軸Oと同軸に配置された環状溝が形成されている。この環状溝内にスプリング55の上部が挿入されて支持され、スプリング55の下端が、入口筒53の段部53dの上面に支持されている。
以上の構成において、出口筒52を、スプリング55の上方付勢力に抗して入口筒53に対して下降移動させると、出口筒52が、弁体54の内周縁部を下方に向けて弾性変形させることで、出口筒52の連通孔118が開放される。これにより、吐出管50の本体部50a内と、出口筒52の上端部52a内と、が、入口筒53の下端部53a内、連絡隙間125、および連通孔118を通して連通する。なお、吐出弁51は、このような作用が奏される構成であれば適宜変更してもよい。
ここで、吐出管50および吐出弁51は、有頂筒状の加締め金具102により一体に固定されている。加締め金具102の頂壁は、環状に形成されるとともに、容器軸Oと同軸に配置されている。この頂壁の内側に、出口筒52の上端部52aが下方に向けて摺動可能に嵌合されている。加締め金具102のうち、周壁内に吐出管50の連結管50cが嵌合され、頂壁の下面に弁体54の上面が圧接している。加締め金具102の周壁が、回動環40の取付筒部41bの内側に配置されている。加締め金具102の周壁の下端は、吐出管50のリブ50dの上端より下方に位置している。
そして本実施形態では、吐出管50の内面に、上下方向に突出するとともに、全周にわたって連続して延び、弾性変形可能に形成されたシール突部58が形成され、シール突部58が、入口筒53に弾性変形させられた状態で全周にわたって当接している。シール突部58は、吐出管50と一体に形成されている。
図示の例では、吐出管50の本体部50aの内面に、上方を向き、かつ入口筒53のテーパー部53eに下方から対向する段部50eが形成されており、シール突部58は、この段部50eから上方に突出している。シール突部58は、段部50eにおける径方向の内端部に配置されている。シール突部58は、環状に形成され容器軸Oと同軸に配置されている。
シール突部58は、入口筒53によりシール突部58の上方から径方向外側に向けて押込まれ、このシール突部58の先端部が、吐出管50の内面に当接している。図示の例では、シール突部58は、入口筒53のテーパー部53eにより径方向外側に向けて押込まれ、シール突部58の先端部が、吐出管50の内面のうち、段部50eの径方向の外端部に連なる部分に当接している。シール突部58は、段部50eの径方向の外端部と非接触となっている。なお、シール突部58は、入口筒53により押込まれる前には、吐出管50の段部50eから上方にほぼ真っ直ぐ延びている。
入口筒53の外面および吐出管50の内面のうちの少なくとも一方において、シール突部58が配設された位置よりも上方に位置する部分に、他方に係合する係合部59が形成されている。係合部59は、前記他方に径方向に圧接している。係合部59は、吐出管50のリブ50dにおける径方向の内端縁の上下方向の中間部に形成されている。係合部59は、複数のリブ50dの全てに形成されている。係合部59は、入口筒53の上部53bの外面に径方向に圧接している。なお、係合部59は、吐出弁51に圧接しなくてもよい。係合部59は、リブ50dにおける径方向の内端縁から径方向内側に向けて突出する突曲面状に形成されている。係合部59は、加締め金具102の周壁より下方に位置している。なお、入口筒53の外面、または吐出管50の内面に係合部59を形成しなくてもよい。
吐出ヘッド56には、内容液の吐出口56aが形成されるとともに、回動環40のネック筒部41a内に挿入された装着筒部56bが備えられている。装着筒部56b内に、出口筒52の上端部52aが嵌合されている。吐出口56aは、吐出ヘッド56内に設けられた流路を通して出口筒52の上端部52a内に連通している。
シリンダ20内には、図1に示されるように、容器軸Oと同軸に配置された筒状のプランジャ60が配設されている。プランジャ60は、吐出管50に液密に上下摺動可能に外嵌されている。プランジャ60は、駆動筒部61とスカート部62とを備えている。
駆動筒部61は、下筒部63と、下筒部63より径方向外側に位置する上筒部64と、これらを連結する環板部65と、を備える。環板部65の内周縁部は、下筒部63から径方向内側に突出し、その内端縁が上下両方向に延びている。
下筒部63の外径は、スリーブ30の小径筒部30bの内径よりも小さい。下筒部63の外周面には、下方に向けて開口するとともに上下方向に延在する連通溝63aが形成されている。
なお、連通溝63aは、下筒部63の外周面に1つのみ形成してもよく、また、周方向に互いに間隔をあけて複数形成してもよい。以下では、下筒部63において連通溝63aが形成されている部分を下筒部63の下側部分と称し、下筒部63において前記下側部分よりも上側の部分を上側部分と称する。
下筒部63内に、スカート部62が嵌合されている。スカート部62は、下筒部63内に嵌合された支持筒部66と、支持筒部66の下端部から径方向外側に向けて突出するとともに、下方に向けて延びるシール脚筒部67と、支持筒部66の下端部から下方に向けて延びる押さえ脚部68と、を備える。
支持筒部66の内径は、環板部65の内径と同等で、かつ吐出管50の外径よりも僅かに大きい。支持筒部66の上端開口縁における内周縁部と、環板部65の前記内端縁の下端と、の間には、ゴム製のシールリング69が配設されている。シールリング69は、駆動筒部61とスカート部62と吐出管50との間を液密にシールしつつ、吐出管50の外周面を液密に摺動する。
シール脚筒部67は、駆動筒部61の下筒部63から下方に突出している。シール脚筒部67の外径は、下筒部63の外径と同等になっている。シール脚筒部67の下端部は、下方に向かうに従い漸次拡径したテーパー筒部67aとされている。テーパー筒部67aの下端縁の外径は、スリーブ30の大径筒部30aの内径よりも小さく、テーパー筒部67aと大径筒部30aとの間には径方向の隙間が設けられている。テーパー筒部67aの下端縁の外径は、スリーブ30の小径筒部30bの内径と同等か若干大きくなっている。テーパー筒部67aは、小径筒部30bの内周面を摺動する。
押さえ脚部68は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。各押さえ脚部68は、プランジャ60が最下限位置に位置した時に吸込弁29の弁体29aの上面を押圧する。これにより、弁体29aが、押さえ脚部68と弁座部26とにより上下方向で挟まれ、弁体29aの移動が規制される。
そして、シリンダ20と吸込弁29と吐出管50とプランジャ60とによって囲まれた空間は、吸込弁29を通して容器本体10内からシリンダ20内に流入した内容液が溜められる加圧室93となっている。
回動環40とプランジャ60との間には、回動環40のシリンダ20に対する回転動作をプランジャ60のシリンダ20に対する上昇動作に変換する変換機構75が設けられている。以下、この変換機構75について説明する。
プランジャ60のうち、シリンダ20の第4筒部24内に位置する上筒部64の外周面には、周方向に互いに間隔をあけて配置され上下方向に延びる複数の垂直溝70bと、周方向で互いに隣り合う垂直溝70bの上端と下端とを連結する傾斜溝70aと、を備える断面半円形のカム溝70が、周方向の全周にわたって形成されている。
このカム溝70、およびシリンダ20の縦溝31には、ボール71が一体に回動可能に係合している。すなわち、ボール71の半分はカム溝70に挿入され、残りの半分が縦溝31に挿入されている。
プランジャ60は、中継部材42を介して回動環40に相対回転不能で上下方向に相対移動可能に連結されている。
中継部材42は、シリンダ20の第4筒部24を径方向外側から囲む外側筒部43と、外側筒部43の径方向内側に配置された内側筒部44と、外側筒部43および内側筒部44の各上端同士を連結する環状の頂板部46と、頂板部46から上方に突出した上筒部45と、を備える。
頂板部46の内周縁部は、内側筒部44から径方向内側に突出している。頂板部46の上面における内周縁部に、図2に示されるように、吐出管50のフランジ部50bが載置されている。
図1に示されるように、外側筒部43の内周面には、第4筒部24の外周面に形成された第1突部24aに、第1突部24aの下方から係合する第2突部43aが形成されている。
上筒部45は、外側筒部43より小径で、かつ内側筒部44より大径となっている。上筒部45の外周面には、回動環40の内面に形成された第1溝部40aに係合する第3突部45aが形成されている。回動環40の第1溝部40aに、中継部材42の第3突部45aが係合することによって、回動環40および中継部材42の相対的な周方向の回転移動が規制される。
内側筒部44の外周面には、駆動筒部61の上筒部64の内周面に形成された第2溝部64aに係合する第4突部44aが形成されている。第4突部44aは、第2溝部64aに相対的に下方移動可能に係合されている。プランジャ60の第2溝部64aに、中継部材42の第4突部44aが係合することによって、プランジャ60および中継部材42の相対的な周方向の回転移動が規制された状態で、プランジャ60の中継部材42に対する上昇移動が許容される。
プランジャ60は、中継部材42との間に介装されたスプリング(付勢機構)47によって下方に付勢されている。従って、前記ボール71は、回動環40を回動操作する間において常に、シリンダ20の縦溝31の下端と、カム溝70の上壁面と、により上下方向に挟まれる。
以上の構成において、ボール71が傾斜溝70aの上端に係合している状態で、回動環40を容器本体10に対して回転させると、図3に示すように、ボール71がそのままの高さ位置で傾斜溝70aに沿って該傾斜溝70aを相対的に下っていく状態となるので、プランジャ60が上昇する。この際、プランジャ60がスプリング47を圧縮する。
そして、図4に示すように、回動環40のさらなる回転に伴って、ボール71がそのままの高さ位置でカム溝70の傾斜溝70aの下端から垂直溝70bの下端に移行すると、スプリング47の弾性復元力によってプランジャ60は下降可能となる。プランジャ60が下降すると、ボール71は垂直溝70bを相対的に上昇することとなり、最終的に隣接する傾斜溝70aの上端に達する。
このようにプランジャ60が、回動環40に対して相対回転不能で上下方向に相対移動可能に配設され、シリンダ20とプランジャ60とが、縦溝31とカム溝70とボール71とで構成されたカム機構を介して連結されているので、回動環40を容器本体10に対して回転させることによって、プランジャ60をスプリング47の下方付勢力に抗して上昇させることができ、その後、スプリング47の弾性復元力によってプランジャ60を下降させることができる。
なお上述したように、ボール71は、同じ高さ位置を維持したまま、回動環40の回転操作に伴って、傾斜溝70aおよび垂直溝70bからなるカム溝70が相対的に移動するため、プランジャ60がシリンダ20に対して上下動する。
中継部材42の頂板部46において、外側筒部43と上筒部45との間に位置する部分に、上下方向に貫く空気孔46aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。スプリング47の上端部は、頂板部46の下面における内周縁部に支持され、スプリング47の下端部は、プランジャ60の環板部65の上面に支持されている。なお、スプリング47の下端部の内側に、環板部65の前記内端縁のうち上方に突出した部分が挿入されている。
図1に示すように、シリンダ20の第3筒部23の上端部には、等圧弁80が配置されている。
等圧弁80は、円環状に形成されるとともに容器軸Oと同軸に配置されている。等圧弁80は、下面が第3筒部23およびシール筒部30cそれぞれの上端開口縁に支持された弁本体84と、シール筒部30cに対して離反可能に当接した第1弁部81と、下筒部63の外周面上を摺動する第2弁部82と、プランジャ60に対して離反可能に当接した第3弁部83と、を備えている。なお、等圧弁80は例えば軟質樹脂やゴム等の弾性材料で形成される。
シリンダ20とプランジャ60との間には、等圧弁80を間に挟んで下側に液圧逃がし通路91が形成され、上側に空気流入通路92が形成されている。
液圧逃がし通路91は、プランジャ60のテーパー筒部67aがスリーブ30の大径筒部30aと径方向で対向している時に加圧室93に連通し、図3および図4に示すように、テーパー筒部67aが小径筒部30bに圧接している時に加圧室93との連通が遮断される。すなわち、液圧逃がし通路91は、シリンダ20の内周面とプランジャ60の外周面との間に設けられ、プランジャ60が最下限位置に位置した時には加圧室93に連通し、プランジャ60が最下限位置より上方に位置した時には加圧室93との連通が遮断される。液圧逃がし通路91は、第3筒部23に形成された等圧孔27を通して容器本体10内と連通可能とされている。
図1に示すように、空気流入通路92は、シリンダ20の内周面とプランジャ60の外周面との間に設けられ、プランジャ60の駆動筒部61とシリンダ20の第4筒部24との間の隙間、カム溝70、シリンダ20の縦溝31、および中継部材42の空気孔46a等を通して外部に連通して外気導入可能となっている。
第1弁部81は、弁本体84から下方に延びるとともに容器軸Oと同軸に配置された筒状となっている。第1弁部81の下端部は、スリーブ30のシール筒部30cの外周面に離反可能に当接し、等圧孔27を開放可能に閉塞している。等圧孔27は、第1弁部81の下端部がシール筒部30cの外周面から離反したときに、容器本体10内と液圧逃がし通路91とを連通する。
図示の例では、第1弁部81の下端部は、シール筒部30cの外周面において、溝部30dよりも下側に位置する部分に当接している。第1弁部81は、液圧逃がし通路91内の圧力と容器本体10内の圧力との差によって動作して容器本体10内から液圧逃がし通路91への流通を阻止し、液圧逃がし通路91から容器本体10内への流通のみを許容する逆止弁として機能する。
第2弁部82は、弁本体84の内周面に形成されるとともに、径方向内側に向けて突出し、全周にわたって連続して延びる環状突部となっている。第2弁部82は、例えば上下方向に間隔をあけて2つ形成されてもよい。第2弁部82は、駆動筒部61の下筒部63の上側部分に液密に摺動可能に外嵌されている。第2弁部82が、下筒部63の下側部分を摺動する時には、下筒部63の外周側において第2弁部82に対して上方に位置する部分と下方に位置する部分とが前記連通溝63aを通して連通する。すなわち、第2弁部82は、下筒部63の上側部分を摺動する時は閉弁状態であり、下筒部63の下側部分を摺動する時は開弁状態となる。
第3弁部83は、弁本体84において第1弁部81よりも径方向内側に位置する部分から下方に向けて延びている。第3弁部83は、容器軸Oと同軸に配置された筒状に形成されている。第3弁部83の下端部は、駆動筒部61の下筒部63の上側部分、およびスカート部62のシール脚筒部67に、液密に摺動可能に外嵌されている。第3弁部83の下端部が、下筒部63の下側部分を摺動する時には、下筒部63の外周側において第3弁部83に対して上方に位置する部分と下方に位置する部分とが前記連通溝63aを通して連通する。すなわち、第3弁部83は、下筒部63の上側部分およびシール脚筒部67を摺動する時は閉弁状態であり、下筒部63の下側部分を摺動する時は開弁状態となる。
第3弁部83は、第2弁部82が開弁状態にあるときに、液圧逃がし通路91内の圧力と空気流入通路92内の圧力との差によって開閉するようになっていて、液圧逃がし通路91から空気流入通路92への流通を阻止し、空気流入通路92から液圧逃がし通路91への流通のみを許容する逆止弁として機能する。
このように等圧弁80は、液圧逃がし通路91と空気流入通路92との間に設けられ、等圧孔27を開閉するとともに、プランジャ60の外周面を上下摺動することにより、液圧逃がし通路91と空気流入通路92との連通、およびその遮断を切り替える。
また、本実施形態では、シリンダ20との間で等圧弁80を上下方向に挟み等圧弁80をシリンダ20に固定する固定具86が備えられている。図示の例では、固定具86は、容器軸Oと同軸に配置された円環状に形成され、シリンダ20の内面との間で等圧弁80を上下方向に挟んでいる。
(液体吐出容器の作用)
次に、上記のように構成された液体吐出容器1の作用を説明する。
<非加圧状態>
図1に示すように、液体吐出容器1の非使用時の状態である非加圧状態においては、吸込弁29および吐出弁51が閉弁状態になっており、プランジャ60が最下限位置に位置しているとともに、押さえ脚部68が吸込弁29の弁体29aの上面を押圧している。また、液圧逃がし通路91は加圧室93に連通している。
等圧弁80の第1弁部81は、シリンダ20におけるスリーブ30のシール筒部30cに圧接して液圧逃がし通路91と容器本体10内との連通を遮断している。第2弁部82および第3弁部83は、いずれもプランジャ60における下筒部63の上側部分に圧接して液圧逃がし通路91と空気流入通路92との連通を遮断している。
なお、吐出弁51は、吐出ヘッド56を押し下げない限り、閉弁状態に維持される。
<ポンプアップ操作 − 前半>
前記非加圧状態から回動環40を容器本体10に対して周方向に回転させると、プランジャ60がスプリング47を圧縮しながら上昇する。すると、プランジャ60の上昇により押さえ脚部68は吸込弁29の弁体29aから上方に離間し、弁体29aは開弁可能になる。
ここで、最下限位置からプランジャ60のテーパー筒部67aがスリーブ30の小径筒部30bに圧接する直前までのプランジャ60の移動範囲を、以下、下部移動域と称する。この下部移動域においては、等圧弁80の第2弁部82および第3弁部83は両方ともプランジャ60の下筒部63の上側部分に圧接しており、液圧逃がし通路91と空気流入通路92との連通を遮断し続ける。
そして、図3に示すように、プランジャ60が下部移動域を超えて、プランジャ60のテーパー筒部67aがスリーブ30の小径筒部30bに圧接すると、それ以後のプランジャ60の上昇に伴い加圧室93が負圧となり、この負圧によって吸込弁29の弁体29aが弁座部26から上方に離間して開弁する。
その結果、容器本体10内の内容液が、吸込管28の下端開口から吸い上げられ、この吸込管28を通った後、吸込口21aから加圧室93内に流入する。
この際、等圧弁80の第2弁部82は、プランジャ60の下筒部63の上側部分に圧接し続けるため、液圧逃がし通路91と空気流入通路92との連通が遮断された状態に保たれる。
なお、テーパー筒部67aがスリーブ30の小径筒部30bに圧接し始めるのとほぼ同時に、等圧弁80の第3弁部83の下端部が下筒部63の下側部分を摺動し、第3弁部83が開弁状態になる。また、テーパー筒部67aは、プランジャ60が最上限位置に至るまで、すなわちポンプアップが完了するまで、スリーブ30の小径筒部30bに圧接し続ける。
そして、内容液のポンプアップに伴い、容器本体10内は減圧されて負圧になり、この負圧によって等圧弁80の第1弁部81がスリーブ30のシール筒部30cから離間して開弁し、液圧逃がし通路91内の内容液が等圧孔27から容器本体10内に流入する。
<ポンプアップ操作 − 後半>
回動環40の回転によりボール71がカム溝70における傾斜溝70aの下端近傍に達すると、プランジャ60の下筒部63の上側部分が等圧弁80の第2弁部82から上方に離脱して下筒部63の下側部分を第2弁部82が摺動するとともに、プランジャ60のスカート部62のシール脚筒部67が第3弁部83の下端部に圧接し始める。
ここで、この位置から最上限位置までのプランジャ60の移動範囲を、以下、上部移動域と称する。
この上部移動域においては、等圧弁80の第2弁部82は開弁状態となり、第3弁部83は、空気流入通路92から液圧逃がし通路91への流通を許容しその逆方向の流通を阻止する逆止弁として機能する。
ところで、前述したように液圧逃がし通路91は、容器本体10内に連通して負圧になっているので、この負圧により第3弁部83は、シール脚筒部67から離間して開弁状態となる。その結果、空気流入通路92が、液圧逃がし通路91および等圧孔27を通して容器本体10内に連通し、大気がこれらの通路を通って容器本体10内に流入し、容器本体10内が大気圧になる。この状態はプランジャ60が最上限位置に至るまで継続する。
そして、図4に示すように、ボール71が傾斜溝70aの下端、すなわち垂直溝70bの下端に達すると、回動環40の回転は停止され、プランジャ60が最上限位置に位置することとなる。これにより、内容液のポンプアップは完了し、吸込弁29の弁体29aが弁座部26に着座して吸込弁29は閉弁する。
また、ポンプアップ完了と同時に、等圧弁80の第1弁部81がシール筒部30cに圧接して閉弁し、第3弁部83がシール脚筒部67に圧接して閉弁する。従って、この状態で液体吐出容器1を横転させたとしても内容液が液体吐出容器1の外へ漏洩することはない。
なお、吐出弁51が閉弁されている限り加圧室93は内容液で充填されているため密閉空間となるので、スプリング47の弾性復元力がプランジャ60に作用していても、このままではプランジャ60が下降することはない。
<吐出操作>
前述のように内容液をポンプアップした後、図5に示すように、吐出ヘッド56を押し下げると、吐出弁51の出口筒52が、スプリング55の上方付勢力に抗して入口筒53に対して下降移動する。この際、出口筒52が、弁体54の内周縁部を下方に向けて弾性変形させることで、出口筒52の連通孔118が開放される。これにより、吐出口56aと加圧室93とが、出口筒52の上端部52a内、連通孔118、連絡隙間125、入口筒53の下端部53a内、および吐出管50の本体部50a内を通して連通する。
その結果、スプリング47の弾性復元力によりプランジャ60が下降し、加圧室93内の内容液が吐出口56aから吐出される。なお、プランジャ60の下降時、ボール71はカム溝70の垂直溝70bをプランジャ60に対して相対的に上昇する。
プランジャ60の最下限位置に向けた下降に伴い、液圧逃がし通路91内は負圧になるが、この負圧により等圧弁80の第3弁部83はシール脚筒部67から離間し開弁状態となるので、空気流入通路92から液圧逃がし通路91に大気が流入する。
プランジャ60が下降して下筒部63の上側部分が等圧弁80の第2弁部82に圧接し始めると、すなわちプランジャ60が上部移動域を脱すると液圧逃がし通路91は密閉されるので、それ以降はプランジャ60のテーパー筒部67aがスリーブ30の小径筒部30bから離脱するまでの間、すなわち下部移動域に達するまでの間、プランジャ60の下降に伴い液圧逃がし通路91は減圧されて若干負圧化する。
<吐出終了>
吐出ヘッド56の押し下げ操作によりプランジャ60が下降し、図1に示すように、プランジャ60のテーパー筒部67aがスリーブ30の小径筒部30bから下方に離脱して大径筒部30aの径方向内側に位置すると、すなわちプランジャ60が下部移動域に到達すると、液圧逃がし通路91が加圧室93に連通するため液圧逃がし通路91内に加圧室93内の正圧が伝達される。
その結果、液圧逃がし通路91内の圧力が容器本体10内の圧力よりも大きくなり、等圧弁80の第1弁部81が、スリーブ30のシール筒部30cから離間し、加圧室93内の内容液(内圧)が、液圧逃がし通路91および等圧孔27を通って容器本体10内に流入し、これに伴い加圧室93内の圧力が減圧されて、吐出口56aからの内容液の吐出が止まる。
以上により、液体吐出容器1からの内容液の吐出が終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る液体吐出容器1によれば、吐出管50のシール突部58が、吐出管50の内面から上下方向に突出するとともに、入口筒53に弾性変形させられた状態で全周にわたって当接しているので、入口筒53をシール突部58に上下方向に当接させることで、入口筒53から吐出管50に径方向の外側に向けた力が加えられるのを抑制すること可能になり、吐出管50にかかる負荷を抑えつつ、入口筒53の外面と吐出管50の内面との間のシール性を確保することができる。
また、シール突部58が吐出管50と一体に形成されていることから、部品点数が増大することがないため、液体吐出容器1の組み立て工数およびコストの増大を防ぐことができる。
ここで、容器本体10内に収容される内容液が、例えば化粧料、洗剤、および薬剤等の場合、特にアルコール等といった樹脂材料への浸透性が高い液剤を含有している場合には、内容液が吐出管50に浸透し、吐出管50が劣化しやすいため、吐出管50にかかる負荷を抑える前述の作用効果が顕著に奏功される。
また、入口筒53により径方向外側に向けて押込まれたシール突部58の先端部が、吐出管50の内面に当接しているので、例えば加圧室93の内圧が上昇したときに、シール突部58の先端部が過度に大きく変形するのを抑制することが可能になり、加圧室93の内容液が、シール突部58を超えて吐出管50の外部に漏出するのを防ぐことができる。
また、入口筒53の下端部53aの外面と、吐出管50の内面と、の間に径方向の隙間が設けられているので、吐出管50に径方向外側に向けた押圧力が加えられるのを防ぐことが可能になり、時間の経過に伴って吐出管50に損傷が生ずるのを確実に抑えることができる。
また、入口筒53の外面および吐出管50の内面のうちの少なくとも一方に、他方に係合する係合部59が形成されているので、入口筒53および吐出管50のみを組み合わせた状態に保つことが可能になり、例えば液体吐出容器1を組み立てる過程で、入口筒53と吐出管50とを互いに組み合わせた後に、この組立体に出口筒52および弁体54を組付けること等が可能になり、液体吐出容器1を容易に組み立てることができる。
しかも、係合部59が、入口筒53の外面および吐出管50の内面のうちの少なくとも一方において、シール突部58が配設された位置よりも上方に位置する部分に形成されているので、係合部59により、例えば吐出管50に径方向外側に向けた押圧力が加えられたこと等に起因して、時間の経過に伴い仮に、吐出管50のうち係合部59が位置する部分に損傷が生じたとしても、加圧室93の内容液がシール突部58により堰き止められることとなり、吐出管50の外部に漏出するのを防ぐことができる。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、固定具86および押さえ脚部68をそれぞれ備えるものとしたが、これらは無くてもよい。また、変換機構75は、回動環40とプランジャ60との間に設けられ回動環40の回転動作をプランジャ60の上昇動作に変換するものであればよく、上記実施形態で示したものに限られない。
また、上記実施形態では、等圧弁80が第1弁部81、第2弁部82および第3弁部83を備えるものとしたが、等圧孔27を開閉するとともに、プランジャ60の外周面を摺動して液圧逃がし通路91と空気流入通路92との連通、およびその遮断を切り替えるものであればこれに限られるのではない。
また、上記実施形態では、シール突部58を、吐出管50における本体部50aの内面の段部50eに形成したが、吐出管50の内面であれば、その位置は適宜変更してもよい。
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態では、図6に示されるように、シール突部57が、本体部50aの上端開口縁から上方に突出している。図示の例では、シール突部57が、本体部50aの上端開口縁における径方向の内端部に形成され、本体部50aの上端開口縁においてシール突部57の径方向の外端部に連なる部分に、全周にわたって連続して延びる環状溝50fが形成されている。シール突部57は、入口筒53における段部53dの下面によりシール突部57の上方から径方向外側に向けて押込まれ、シール突部57の先端部が、吐出管50のフランジ部50bの上面に当接している。シール突部57の先端部は、リブ50dにおける径方向の内端縁より径方向の内側に位置している。シール突部57は、環状溝50fの底面と非接触となっている。なお、シール突部57は、入口筒53により押込まれる前には、本体部50aの上端開口縁から上方にほぼ真っ直ぐ延びている。
以上説明したように、本実施形態による液体吐出容器2よれば、吐出管50にシール突部57が形成され、また、入口筒53の外面および吐出管50の内面のうちの少なくとも一方に、他方に係合する係合部59が形成されているので、前記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
また、上記各実施形態では、シール突部57、58を入口筒53により径方向外側に向けて押込んだが、図7に示されるように、シール突部72を入口筒53により径方向内側に向けて押込んでもよい。図示の例では、シール突部72は、入口筒53の下端開口縁により径方向内側に押込まれている。シール突部72は、吐出管50の段部50eにおける径方向の内端部に形成されている。シール突部72の先端部は、入口筒53の下端部53aの内周面より径方向の内側に位置している。なお、シール突部72は、入口筒53により押込まれる前には、上方に向かうに従い漸次、径方向内側に向けて延びている。
本変形例では、シール突部72が、入口筒53の下端開口縁により径方向内側に向けて押込まれているので、例えば加圧室93の内圧が上昇したときに、仮にシール突部72の先端部が変形したとしても、入口筒53に強く当接することとなり、加圧室93の内容液が、シール突部72を超えて吐出管50の外部に漏出するのを防ぐことができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1、2 液体吐出容器
10 容器本体
12 容器本体の口部
20 シリンダ
21a 吸込口
29 吸込弁
40 回動環
47 スプリング(付勢機構)
50 吐出管
51 吐出弁
52 出口筒
52a 出口筒の上端部
53 入口筒
53a 入口筒の下端部
54 弁体
56 吐出ヘッド
56a 吐出口
57、58、72 シール突部
59 係合部
60 プランジャ
75 変換機構
93 加圧室

Claims (4)

  1. 内容液が収容される容器本体と、
    下端の吸込口が前記容器本体内に配置されるとともに、前記容器本体に固定されたシリンダと、
    前記シリンダに回動可能に取り付けられた回動環と、
    上部に吐出弁が設けられ、かつ下部開口が前記シリンダ内に位置する吐出管と、
    前記シリンダ内に配置されるとともに、前記吐出管に液密に上下摺動可能に外嵌され、付勢機構により下方に付勢された筒状のプランジャと、
    前記回動環と前記プランジャとの間に設けられ、前記回動環の前記シリンダに対する回転動作を前記プランジャの前記シリンダに対する上昇動作に変換する変換機構と、
    前記吐出弁に装着され、内容液の吐出口が形成された吐出ヘッドと、
    前記吸込口に配設され、前記容器本体内の内容液の前記シリンダ内への流入を許容し、かつ前記シリンダ内の内容液の前記容器本体内への流出を阻止する吸込弁と、
    前記シリンダ、前記吸込弁、前記吐出管、および前記プランジャによって囲まれ、前記吸込弁を通して前記容器本体内から前記シリンダ内に流入した内容液が溜められる加圧室と、を備え、
    前記吐出管の内面には、上下方向に突出するとともに、全周にわたって連続して延び、弾性変形可能に形成されたシール突部が形成され、
    前記シール突部は、前記吐出弁に弾性変形させられた状態で全周にわたって当接していることを特徴とする液体吐出容器。
  2. 前記シール突部が、前記吐出弁により径方向外側に向けて押込まれ、このシール突部の先端部が、前記吐出管の内面に当接していることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出容器。
  3. 前記吐出弁の下端部は、前記吐出管内に挿入され、
    前記吐出弁の下端部の外面と、前記吐出管の内面と、の間に径方向の隙間が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出容器。
  4. 前記吐出弁の外面および前記吐出管の内面のうちの少なくとも一方において、前記シール突部が配設された位置よりも上方に位置する部分に、他方に係合する係合部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出容器。
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