JP2018140664A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者の意思によらず車両が不意に加速することを抑止する。【解決手段】駆動輪に走行のための回転駆動力を供給する駆動源、及びこの駆動源から回転駆動力の供給を受けて稼働しエアコンディショナの冷媒を圧縮するコンプレッサが搭載された車両の制御装置であって、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第一の閾値以上に大きくなった後、アクセル開度が冷媒圧に応じて定まる第二の閾値以上に大きくなったことを条件として、冷媒圧縮用コンプレッサの出力をカットする制御を実施する車両の制御装置を構成した。【選択図】図3

Description

本発明は、駆動輪に走行のための回転駆動力を供給する駆動源、及びこの駆動源から回転駆動力の供給を受けて稼働しエアコンディショナの冷媒を圧縮するコンプレッサが搭載された車両の制御装置に関する。
車両の室内の温度調節のために働くエアコンディショナは、駆動源、典型的には内燃機関から駆動力の伝達を受けて回転するコンプレッサにより気体の冷媒を圧縮し、その圧縮した冷媒をコンデンサにおいて放熱させ液体化した後、エバポレータに導いて気化させ、室内の空気と熱交換するものである。
内燃機関と冷媒圧縮用のコンプレッサとの間には、両者を断接するマグネットクラッチが介在している。内燃機関及び補機の運転制御を司る電子制御装置(Electronic Control Unit)は、エアコンディショナの作動時に当該クラッチを締結してコンプレッサを稼働させる。そして、エアコンディショナの非作動時には当該クラッチを開放し、コンプレッサの稼働を停止させる。
冷媒圧縮用のコンプレッサを稼働させている間は、内燃機関に対する機械的な負荷が増大する。車両の走行速度の加速が求められているときには、できる限り大きな回転駆動力を車両の駆動輪に供給する必要があるが、そのときにコンプレッサによる負荷が大きいと、駆動輪に供給される回転駆動力が相対的に小さくなり、車両が十分な加速性能を発揮できない懸念がある。
そこで、コンプレッサが圧縮する冷媒の圧力が大きい場合に、内燃機関とコンプレッサとの間に介在するクラッチを敢えて締結せず、即ちコンプレッサの稼働を休止して、車両の加速を優先するエアコンカット制御を実施することがある(例えば、下記特許文献を参照)。
特表平03−501043号公報
車両が停車し、または停車に近い極低速状態にあるとき、内燃機関に従動するコンプレッサの回転数は低く、冷媒圧も高くないことから、上述のエアコンカット制御は実施されない。
一方で、車両の発進後、運転者がアクセルペダルをある程度踏んだ状態でその踏込量を概ね一定に保っており、エンジン回転数が徐々に上昇してゆく状況の下では、コンプレッサの回転数も上昇し、それに応じて冷媒圧も高まってゆく。そして、冷媒圧の増大の結果、エアコンカット制御の実行条件が成立すると、内燃機関とコンプレッサとの間に介在するクラッチが開放されて、駆動輪に供給される回転駆動力が増すこととなる。
しかし、運転者としては、アクセルペダルを強く踏み込んでおらず、車両の走行速度を大きく加速させようとする意思を有している訳でもない。にもかかわらず、駆動輪に供給される回転駆動力が増大するために、発進した後に車両が意図せず再加速するような二段階の加速が生じ、運転者に違和感を与えることがあり得た。また、このような挙動が、混雑している路上で起こることも好ましくない。
本発明は、以上の問題に初めて着目してなされたものであり、運転者の意思によらず車両が不意に加速することを抑止しようとするものである。
本発明では、駆動輪に走行のための回転駆動力を供給する駆動源、及びこの駆動源から回転駆動力の供給を受けて稼働しエアコンディショナの冷媒を圧縮するコンプレッサが搭載された車両の制御装置であって、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第一の閾値以上に大きくなった後、アクセル開度が冷媒圧に応じて定まる第二の閾値以上に大きくなったことを条件として、冷媒圧縮用コンプレッサの出力をカットする制御を実施する車両の制御装置を構成した。
ここで、アクセル開度とは、運転者が駆動源に対し車両の走行のために要求している回転駆動力または出力の大きさを示唆する値を言い、アクセルペダルの踏込量や、駆動源が内燃機関である場合のスロットルバルブの開度がこれに該当する。また、冷媒圧縮用コンプレッサの出力をカットするとは、駆動源から当該コンプレッサへの回転駆動力の供給を遮断してコンプレッサの稼働を停止すること、または、当該コンプレッサによる冷媒の吐出量を平常よりも減少させて駆動源に対するコンプレッサの負荷を低減することを言う。
アクセル開度の単位時間あたりの増加量が前記第一の閾値以上に大きくなった後、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第三の閾値未満に小さくなった場合においては、その時点から所定期間が経過する前にアクセル開度が前記第二の閾値以上に大きくなったならば冷媒圧縮用コンプレッサの出力をカットする制御を実施する一方、同時点から所定期間が経過した後にアクセル開度が第二の閾値以上に大きくなったとしても冷媒圧縮用コンプレッサの出力をカットする制御を実施しないものとすることが好ましい。
本発明によれば、運転者の意思によらず車両が不意に加速することを効果的に抑止できる。
本発明の一実施形態における車両用内燃機関及び制御装置の概略構成を示す図。 同実施形態における車両用エアコンディショナの構成を示す図。 同実施形態の車両の制御装置が実行する処理の手順例を示すフロー図。 冷媒圧と第二の閾値との関係を示す図。 同実施形態の車両の制御装置によるアクセル開度の単位時間あたりの増加量の演算の模様を示すタイミング図。 同実施形態の車両の制御装置が実行する制御の模様を示すタイミング図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態において車両の駆動源となる内燃機関の概要を示す。内燃機関は、例えば火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒1(例えば、三気筒エンジン。図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものである。EGR装置2は、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、具体的にはサージタンク33に接続している。
図2に、車両の室内の空調を行うエアコンディショナ5の構成を示す。エアコンディショナ5は、冷媒を圧縮し高圧化するコンプレッサ51と、圧縮された高圧冷媒を放熱させて液化させるコンデンサ52と、コンデンサ52を強制的に空冷するためのコンデンサファン53と、液化しなかった気体の冷媒を液化した冷媒から分離するレシーバ54と、液化した冷媒を噴出させるエキスパンションバルブ55と、噴出して気化した冷媒を受け入れ室内の空気と熱交換させるエバポレータ56と、高温化した内燃機関の冷却水を受け入れ室内の空気と熱交換させるヒータコア59と、室内の空気を吸引しエバポレータ56に向けて吐出してその空気を再び室内に送り込むブロワファン57と、ブロワファン57から吐出されエバポレータ56を通り抜けた空気をどの程度ヒータコア59に吹き当てるかを調節するエアミックスダンパ50とを要素に含む。コンプレッサ51、コンデンサ52、レシーバ54、エキスパンションバルブ55及びエバポレータ56は、ループする冷媒流路により接続してある。
コンプレッサ51は、内燃機関に付随する補機の一種であり、内燃機関の出力軸であるクランクシャフトから回転駆動力の伝達を受けて回転駆動され、冷媒を圧縮する。本実施形態では、コンプレッサ51として、ベーン式のロータリコンプレッサを想定している。内燃機関のクランクシャフトとコンプレッサ51との間には、両者の接続を断接切換可能なマグネットクラッチ6が介在する。尤も、クラッチ6は、マグネットクラッチには限定されず、液圧(油圧)制御される態様のクラッチであっても構わない。内燃機関に従動するコンプレッサ51の回転数は、エンジン回転数に比例する。
コンデンサ52は、車両のエンジンルームにおける走行風が当たる部位に配置しており、コンデンサファン53を回転させているか否かにかかわらず、車両の走行中にエンジンルームに吹き込む走行風により冷却される。コンデンサ52の背後には、内燃機関の冷却水を放熱させるラジエータ7が控えている。ラジエータ7もまた、走行風により冷却される。
コンデンサファン53は、内燃機関の冷却水を放熱させるラジエータ7を強制的に空冷するためのラジエータファンをも兼ねている。コンデンサファン兼ラジエータファン53は、ラジエータ7の背後に位置し、前方から空気を吸引して後方に吐出することで、コンデンサ52及びラジエータ7をともに冷却する。
ブロワファン57から吐出された空気は、エバポレータ56を通過する際に、冷媒から冷熱を得(冷媒に熱を奪われ)て低温化する。同時に、当該空気に含まれていた水蒸気が凝縮してエバポレータ56に付着し、湿度が低下する。エバポレータ56は、夏期に室内の温度を低下させる冷房のためだけでなく、冬季に室内の湿度を低下させて車両の窓ガラスの曇りを低減する役割をも担う。
エアミックスダンパ50は、エバポレータ56を通過した空気のうち、ヒータコア59を通過して室内に向かう空気の量と、ヒータコア59を迂回して室内に向かう空気の量との割合を調節する。このエアミックスダンパ50により、室内に吹き出す風の温度を調整することが可能である。
本実施形態の車両の制御装置たるECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサ(エンジン回転センサ)から出力されるクランク角信号b、運転者によるアクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(運転者が車両の駆動源たる内燃機関に対して要求する負荷率)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される水温信号e、外気温を検出する外気温センサから出力される外気温信号f、吸気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号g、エバポレータ56若しくはその近傍またはその下流の温度を検出する温度センサから出力されるエバポレータ温信号h、エアコンディショナ5のコンデンサ52から流下する(コンデンサの下流52かつエキスパンションバルブ55の上流の)冷媒の圧力を検出する冷媒圧センサから出力される冷媒圧信号m、車室内の温度を検出する室内温センサから出力される室内温信号t等が入力される。
ECU0の出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l、内燃機関と車両の駆動輪とを繋ぐ自動変速機の変速段(または、減速比)を指令する制御信号n、マグネットクラッチ6に通電する電気回路上のスイッチに対してクラッチ締結信号o等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、h、m、tを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量に基づき、吸気量に見合った要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング、要求EGR率、エアコンディショナ5のコンプレッサ51の稼働のON/OFF、自動変速機の変速段等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、l、n、oを出力インタフェースを介して印加する。
ECU0は、エアコンディショナ5を作動させる旨の指令が搭乗者によって与えられ、コンプレッサ51を稼働させて冷媒の圧縮を実行するべき状況において、マグネットクラッチ6を締結し、内燃機関のクランクシャフトとコンプレッサ51とを接続する。コンプレッサ51を稼働させるべき状況とは、例えば、エバポレータ温信号hを参照して知得されるエバポレータ温度が所定の稼働条件温度よりも上昇したときである。エアコンディショナ5を作動させるべき旨の指令は、例えば、搭乗者がコックピット内に設けられたエアコンスイッチを手指でONに操作することを通じて行われる。
翻って、コンプレッサ51を停止するべき状況では、マグネットクラッチ6の締結を解除して、内燃機関のクランクシャフトとコンプレッサ51とを切り離す。コンプレッサ51を停止するべき状況とは、例えば、エバポレータ温度が所定の停止条件温度よりも低下したときである。停止条件温度の値は、上記の稼働条件温度の値よりもやや(例えば、1℃ないし2℃程度)低い。
また、ECU0は、コンプレッサ51を稼働させる場合、コンプレッサ51を稼働させない場合と比較して、同じアクセルペダルの踏込量に対するスロットルバルブ32の開度をより大きく拡大し、気筒1に充填される吸気量及び燃料噴射量を増量補正する。これにより、コンプレッサ51が消費する回転駆動力を補う。
さらに、本実施形態のECU0は、車両に必要十分な加速性能を実現する目的で、運転者が車両の走行速度を加速させる意思を示しているときに、冷媒圧縮用コンプレッサ51の出力をカットし、以て車両の駆動輪に供給するべき回転駆動力を確保するエアコンカット制御を実施する。
図3に、ECU0がプログラムに従い実行する処理の手順例を示す。本実施形態のECU0は、アクセル開度信号cを参照して知得されるアクセル開度の単位時間あたりの増加量(いわば、アクセル開速度)が第一の閾値以上に大きくなったことを必要条件として(ステップS1)、エアコンカット制御の要否の判定処理(ステップS2ないしS7)を行う。つまり、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第一の閾値以上に大きくならない限りは、エアコンカット制御を実行しない。
そして、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第一の閾値以上に大きくなった後、アクセル開度(の絶対値)が冷媒圧信号mを参照して知得される冷媒圧に応じた第二の閾値以上に大きくなったときに(ステップS2)、エアコンカット制御を実施する(ステップS3)。具体的には、コンプレッサ51を稼働させて冷媒の圧縮を実行するべき状況であったとしても、マグネットクラッチ6の締結を解除して内燃機関のクランクシャフトとコンプレッサ51とを切り離し、コンプレッサ51の稼働を休止する。このコンプレッサ51の稼働の休止は数秒間(例えば、三秒間)継続し、その時間が経過した後は必要に応じてマグネットクラッチ6を再締結しコンプレッサ51を稼働させる。
冷媒圧が高いことは、コンプレッサ51による内燃機関に対する機械的な負荷が大きいことを意味すると同時に、短時間であればコンプレッサ51を稼働させなくともエキスパンションバルブ55を通じた冷媒の断熱膨張により室内空調に必要な冷熱を得られることを意味する。そこで、エアコンカット制御を実施してコンプレッサ51の稼働を休止し、内燃機関から車両の駆動輪にできるだけ大きな回転駆動力を供給して、車両の加速性能を可及的に高めるのである。
なお、既に述べた通り、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第一の閾値未満であるときには、エアコンカット制御を実施しないのが原則である。だが、例外的に、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が一旦第一の閾値以上に大きくなった後、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第三の閾値未満に小さくなった場合において(ステップS4)、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第三の閾値未満となった時点から所定期間が経過する前にアクセル開度(の絶対値)が第二の閾値以上に大きくなったならば(ステップS5及びS6)、エアコンカット制御を実施する(ステップS7)。第三の閾値は、第一の閾値よりも幾分小さな値、または第一の閾値と同値である。
エアコンカット制御を実施した後は、エアコンカット制御の要否の判定処理ルーチン(ステップS2ないしS7)を抜ける。アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第三の閾値未満に小さくなった時点から所定期間が経過した後(ステップS5)も、同様である。
図4に示すように、ステップS2及びS6にてアクセル開度と比較するべき第二の閾値は、基本的に、冷媒圧が高くなるほど低く設定する。つまり、冷媒圧が高まるほどエアコンカット制御を実施しやすくなる。但し、冷媒圧が所定の低位値(例えば、1.6MPa)未満であるときには、エアコンカット制御を実施しない。なお、図中、ハッチングを施している領域がエアコンカット制御を実施する領域であり、ハッチングを施していない領域がエアコンカット制御を実施しない領域である。ECU0のメモリには予め、冷媒圧と第二の閾値との関係を規定したマップデータまたは関数式が格納されている。ECU0は、現在の冷媒圧をキーとして当該マップを検索し、または現在の冷媒圧を当該関数式に代入して演算することで、アクセル開度と比較するべき第二の閾値を知得する。
ステップS1にてアクセル開度の単位時間あたりの増加量と比較するべき第一の閾値、及びステップS4にてアクセル開度の単位時間あたりの増加量と比較するべき第三の閾値はそれぞれ、現在の車速及びアクセル開度(の絶対値)に応じて可変とすることが好ましい。これは、現在の車速に応じて、アクセル開度の単位時間あたりの増加量とアクセルペダルを操作した運転者の意思との関係が変化することによる。例えば、既にアクセル開度がかなり大きい80%の状態から、アクセル開度100%の状態に移行するときには、アクセル開度の単位時間あたりの増加量はそれほど大きくはなくとも、運転者は明確に車両の加速の意思を有していると言える。このような状況下においては、第一の閾値及び/または第三の閾値を低く設定することにより、エアコンカット制御を実施する機会を増す。ECU0のメモリには予め、車速及びアクセル開度と、第一の閾値及び/または第三の閾値との関係を規定したマップデータまたは関数式が格納されている。ECU0は、現在の車速及びアクセル開度をキーとして当該マップを検索し、または現在の車速及びアクセル開度を当該関数式に代入して演算することで、アクセル開度の単位時間あたりの増加量と比較するべき第一の閾値及び/または第三の閾値を知得する。
ECU0は、アクセル開度の単位時間あたりの増加量を算定するにあたり、図5に示すように、所定周期(例えば、16ミリ秒)毎にアクセル開度信号cを参照してアクセル開度A1、A2、A3、A4、……を得、なおかつ今回得たアクセル開度と前回得たアクセル開度との差分(A2−A1)、(A3−A2)、(A4−A3)、……を算出する。さらに、直近の過去の所定回数の演算機会において算出した差分(A2−A1)、(A3−A2)、(A4−A3)、……の平均値(または、中央値、最大値若しくは最小値)を求め、その平均値(または、中央値等)をアクセル開度の単位時間あたりの増加量とする。なお、差分(A2−A1)、(A3−A2)、(A4−A3)、……の平均値(または、中央値等)を求める際に用いる差分(A2−A1)、(A3−A2)、(A4−A3)、……の個数(即ち、直近の過去の何回分の演算結果を用いるか)は、可変とすることができる。
アクセル開度信号cを基に算定されるアクセル開度の単位時間あたりの増加量が所定の上限値を超えて過大となった場合、それはノイズに起因するものであると考えられる。従って、その場合には、アクセル開度信号cを基に算定されるアクセル開度の単位時間あたりの増加量が上限値以下に低下した時点から一定の時間(例えば、48ミリ秒)が経過するまで、ステップS1ないしS7の処理を実行せず、またはエアコンカット制御を実施しないこととする。
本実施形態では、駆動輪に走行のための回転駆動力を供給する駆動源(内燃機関)、及びこの駆動源から回転駆動力の供給を受けて稼働しエアコンディショナ5の冷媒を圧縮するコンプレッサ51が搭載された車両を制御するものであって、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第一の閾値以上に大きくなった後、アクセル開度が冷媒圧に応じて定まる第二の閾値以上に大きくなったことを条件として、冷媒圧縮用コンプレッサ51の出力をカットする制御を実施する車両の制御装置0を構成した。
図6に示すように、本実施形態の車両の制御装置0は、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が前記第一の閾値以上に大きくなった後、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第三の閾値未満に小さくなった場合において、その時点から所定期間が経過する前にアクセル開度が前記第二の閾値以上に大きくなったならば冷媒圧縮用コンプレッサ51の出力をカットする制御を実施する一方、同時点から所定期間が経過した後にアクセル開度が第二の閾値以上に大きくなったとしても冷媒圧縮用コンプレッサ51の出力をカットする制御を実施しない。図6において、時点t0はアクセル開度の単位時間あたりの増加量が第一の閾値以上となった時点、時点t1はそのアクセル開度の単位時間あたりの増加量が第三の閾値を下回った時点、時点t2はアクセル開度が第二の閾値以上となった時点である。なお、図中、冷媒圧に応じて変化する第二の閾値を鎖線で表している。その上で、時点t2が時点t1から所定時間内にある場合に、エアコンカット制御を実施する。
本実施形態によれば、運転者がアクセルペダルを明らかに強く踏み込んだ場合や、アクセルペダルをしっかりと踏んだ後アクセルペダルの踏込量を大きな状態に維持している場合、つまりは運転者が明確に加速の意思を示している場合において、エアコンカット制御を実施して車両の加速性能を高め、運転者の意思に沿った加速を実現することができる。
一方で、車両の発進後運転者がアクセルペダルの踏込量をある程度の大きさに維持しているが、車両を大きく加速させる意思は有していないような場合において、エンジン回転数及びコンプレッサ51の回転数の上昇とともに増大する冷媒圧に対応して第二の閾値が低下し、アクセル開度(の絶対値)が第二の閾値を上回ることがあったとしても、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第一の閾値を下回り、または第三の閾値を下回った後所定期間が経過していれば、エアコンカット制御を実施しない。従って、運転者の意思にそぐわない不必要な車両の加速が起こることを抑制できる。
加えて、エアコンカット制御が頻繁に実施されることを回避、即ちクラッチ6を断接切換の頻度を低下させることができるので、エアコンディショナ5による冷房性能を高く維持できるとともに、クラッチ6の寿命の短命化を抑止することにもつながる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、コンプレッサ51の出力をカットするためのエアコンカット制御において、駆動源たる内燃機関とコンプレッサ51との間に介在するクラッチ6の締結を開放することでコンプレッサ51を内燃機関から切り離しコンプレッサ51の稼働を停止させていたが、これに代えて、コンプレッサによる圧縮冷媒の吐出量を平常よりも(即ち、ステップS2またはS6の条件が成立していないときと比較して)減少させるようにしてもよい。冷媒圧縮用コンプレッサが可変容量型コンプレッサである場合、その冷媒の吐出容量を柔軟に制御することが可能である。
また、上記実施形態では、車両の駆動源として内燃機関を想定していたが、駆動源が電動機であることもあり得る。駆動源として内燃機関と電動機との双方を搭載したハイブリッド車両に本発明を適用することも、当然に可能である。
その他、各部の具体的構成や具体的な処理の手順は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両に搭載された駆動源及び自動変速機の制御に適用できる。
0…制御装置(ECU)
5…エアコンディショナ
51…冷媒圧縮用コンプレッサ
6…クラッチ
a…車速信号
c…アクセル開度信号
m…冷媒圧信号
o…クラッチ締結信号

Claims (2)

  1. 駆動輪に走行のための回転駆動力を供給する駆動源、及びこの駆動源から回転駆動力の供給を受けて稼働しエアコンディショナの冷媒を圧縮するコンプレッサが搭載された車両の制御装置であって、
    アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第一の閾値以上に大きくなった後、アクセル開度が冷媒圧に応じて定まる第二の閾値以上に大きくなったことを条件として、冷媒圧縮用コンプレッサの出力をカットする制御を実施する車両の制御装置。
  2. アクセル開度の単位時間あたりの増加量が前記第一の閾値以上に大きくなった後、アクセル開度の単位時間あたりの増加量が第三の閾値未満に小さくなった場合において、
    その時点から所定期間が経過する前にアクセル開度が前記第二の閾値以上に大きくなったならば冷媒圧縮用コンプレッサの出力をカットする制御を実施する一方、同時点から所定期間が経過した後にアクセル開度が第二の閾値以上に大きくなったとしても冷媒圧縮用コンプレッサの出力をカットする制御を実施しない請求項1記載の車両の制御装置。
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