JP2018140429A - 局所はんだ付け用フラックス組成物およびはんだ付け方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の局所はんだ付け用フラックス組成物は、(A)ロジン系樹脂と、(B)活性剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)成分が、(A1)軟化点が120℃以上である第一ロジン系樹脂と、(A2)水素添加ロジンおよび不均化ロジンからなる群から選択される少なくとも1種であって、軟化点が90℃以下である第二ロジン系樹脂とを含有することを特徴とするものである。
【選択図】なし
Description
さらに、局所はんだ付け法では、全面はんだ付けのフローはんだ付け法と比較して、パレットマスクの厚みの影響により、はんだが付着しにくくなる。そこで、局所はんだ付け法では、はんだ槽の噴流波を高くしたり、はんだ槽の噴流速度を上げたり、溶融はんだに接触させる際のコンベア速度を遅くしたりする。このような場合、溶融はんだからはんだ付け部を切り離しにくくなり、結果として、ブリッジやつららといった問題が発生しやすくなる傾向にある。
本発明の局所はんだ付け用フラックス組成物は、(A)ロジン系樹脂と、(B)活性剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)成分が、(A1)軟化点が120℃以上である第一ロジン系樹脂と、(A2)水素添加ロジンおよび不均化ロジンからなる群から選択される少なくとも1種であって、軟化点が90℃以下である第二ロジン系樹脂とを含有することを特徴とするものである。
本発明の局所はんだ付け用フラックス組成物においては、前記(B)成分が、(B2)有機酸をさらに含有することが好ましい。
本発明の局所はんだ付け用フラックス組成物においては、前記(A2)成分が、部分水添ロジンであることが好ましい。
本発明の局所はんだ付け用フラックス組成物においては、前記(A2)成分の前記(A1)成分に対する質量比((A2)/(A1))が、2以上10以下であることが好ましい。
本発明のはんだ付け方法は、電子部品を電子基板に挿入するとともに、前記電子部品のはんだ付けを行う箇所に開口部が設けられたパレットマスクに、前記電子基板を取り付ける工程と、前記電子基板のはんだ付け面に、前記局所はんだ付け用フラックス組成物を塗布する工程と、前記電子基板のはんだ付け面を、溶融はんだに接触させて、はんだ付けを行う工程と、を備えることを特徴とする方法である。
すなわち、本発明の局所はんだ付け用フラックス組成物においては、(A)ロジン系樹脂として、(A1)軟化点が120℃以上である第一ロジン系樹脂と、(A2)水素添加ロジンおよび不均化ロジンからなる群から選択される少なくとも1種であって、軟化点が90℃以下である第二ロジン系樹脂を併用している。そして、(A2)成分により、フラックス残さがパレットマスクなどに堆積することを抑制できる。この理由は、(A2)成分の存在によりフラックス残さの流動性が増し、はんだ付け部がはんだ槽に接触し、その後はんだ槽から離れる際に、フラックス残さがはんだ槽側に流れ落ちやすくなるためと本発明者らは推察する。一方で、(A1)成分および(A2)成分を併用しており、フラックス組成物中のロジン量自体を少なくするわけではない。そのため、ロジン量を少なくした場合のように、ブリッジやつららといった問題が発生しにくく、はんだ付け性は低下しない。以上のようにして、上記本発明の効果が達成されるものと本発明者らは推察する。
本実施形態に用いる(A)ロジン系樹脂としては、ロジン類およびロジン系変性樹脂が挙げられる。ロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジンおよびトール油ロジンなどが挙げられる。ロジン系変性樹脂としては、不均化ロジン、重合ロジン、水素添加ロジン(完全水添ロジン、部分水添ロジン、並びに、不飽和有機酸((メタ)アクリル酸などの脂肪族の不飽和一塩基酸、フマル酸、マレイン酸などのα,β−不飽和カルボン酸などの脂肪族不飽和二塩基酸、桂皮酸などの芳香族環を有する不飽和カルボン酸など)の変性ロジンである不飽和有機酸変性ロジンの水素添加物(「水添酸変性ロジン」ともいう))およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらのロジン系樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(A1)成分としては、前記(A)成分のうち、軟化点が120℃以上であるロジン系樹脂が挙げられる。また、はんだ付け性の観点から、前記(A1)成分の軟化点は、130℃以上であることが好ましい。なお、軟化点は、環球法により測定できる。
さらに、フラックス残さがより流動しやすいという観点から、前記(A2)成分の軟化点は、85℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
本実施形態に用いる(B)活性剤としては、アミン類とフッ素化合物との塩、有機酸、非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤、およびアミン系活性剤などが挙げられる。これらの活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、この(B)成分は、(B1)アミン類とフッ素化合物との塩を含有することが好ましい。この(B1)成分により、溶融はんだからはんだ付け部を切り離しやすくでき、ブリッジやつららをより確実に抑制できる。
なお、前記(B1)成分は、ピペリジン(置換基を有していてもよい)を配位子とする錯体であってもよい。錯体の金属としては、ホウ素、銅、およびアルミニウムなどが挙げられる。
前記(B1)成分としては、例えば、3フッ化ホウ素ピペリジン錯塩、およびn−ブチルアミンホウフッ化水素酸塩が挙げられる。これらの中でも、3フッ化ホウ素ピペリジン錯塩が特に好ましい。
前記(B2)成分としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸などの他に、その他の有機酸が挙げられる。
モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチリック酸、バレリック酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、およびグリコール酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、およびジグリコール酸などが挙げられる。
その他の有機酸としては、ダイマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、およびピコリン酸などが挙げられる。
前記非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤としては、ハロゲン原子が共有結合により結合した非塩系の有機化合物が挙げられる。このハロゲン化化合物としては、塩素化物、臭素化物、フッ化物のように塩素、臭素、フッ素の各単独元素の共有結合による化合物でもよいが、塩素、臭素およびフッ素の任意の2つまたは全部のそれぞれの共有結合を有する化合物でもよい。これらの化合物は、水性溶媒に対する溶解性を向上させるために、例えばハロゲン化アルコールやハロゲン化カルボキシルのように水酸基やカルボキシル基などの極性基を有することが好ましい。ハロゲン化アルコールとしては、例えば2,3−ジブロモプロパノール、2,3−ジブロモブタンジオール、トランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、およびトリブロモネオペンチルアルコールなどの臭素化アルコール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、および1,4−ジクロロ−2−ブタノールなどの塩素化アルコール、3−フルオロカテコールなどのフッ素化アルコール、並びに、これらに類する化合物が挙げられる。ハロゲン化カルボキシルとしては、2−ヨード安息香酸、3−ヨード安息香酸、2−ヨードプロピオン酸、5−ヨードサリチル酸、および5−ヨードアントラニル酸などのヨウ化カルボキシル、2−クロロ安息香酸、および3−クロロプロピオン酸などの塩化カルボキシル、2,3−ジブロモプロピオン酸、2,3−ジブロモコハク酸、および2−ブロモ安息香酸などの臭素化カルボキシル、並びに、これらに類する化合物が挙げられる。
本実施形態に用いる(C)溶剤としては、公知の溶剤を適宜用いることができる。前記(C)成分としては、沸点100℃以下の水溶性溶剤を用いることが好ましい。前記(C)成分としては、エチルアルコール、およびイソプロピルアルコールなどが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次に、本実施形態のはんだ付け方法について説明する。本実施形態のはんだ付け方法は、以上説明した本実施形態のフラックス組成物を用いるはんだ付け方法である。そして、本実施形態のはんだ付け方法は、以下説明する取付工程、フラックス塗布工程およびはんだ付け工程を備える方法である。
そして、図3に示すように、電子部品2を電子基板1に挿入するとともに、パレットマスク3に電子基板1を取り付ける。
電子基板1としては、例えば、プリント配線基板などが挙げられる。
電子部品2は、電子基板1のスルーホールに挿入可能で、挿入後にはんだ付けをすることで実装する方法(いわゆるスルーホール実装)で用いるものである。電子部品2としては、集積回路、トランジスタ、ダイオード、抵抗器およびコンデンサなどが挙げられる。
パレットマスク3は、電子部品2のはんだ付けを行う箇所に開口部31が設けられている。すなわち、パレットマスク3には、図3および図4に示すように、電子部品2のはんだ付けを行う箇所に開口部31が設けられている。そして、電子基板1のはんだ付け面1Aは、開口部31では、溶融はんだと接触できるが、開口部31以外の部分においては、溶融はんだと接触できない。
この取付工程においては、先に、電子部品2を電子基板1に挿入してもよいし、先に、パレットマスク3に電子基板1を取り付けてもよい。
フラックス組成物の塗布装置としては、スプレーフラクサー、および発泡式フラクサーなどを採用できる。これらの中でも、塗布量の安定性の観点から、スプレーフラクサーが好ましい。
フラックス組成物の塗布量は、はんだ付け性の観点から、30mL/m2以上150mL/m2以下であることが好ましく、40mL/m2以上120mL/m2以下であることがより好ましく、50mL/m2以上100mL/m2以下であることが特に好ましい。
パレットマスク3の開口部31以外の部分においては、溶融はんだが電子基板1のはんだ付け面1Aに接触しない。一方で、パレットマスク3の開口部31においては、溶融はんだが電子基板1のはんだ付け面1Aに接触する。そのため、電子部品2のはんだ付けを行う箇所に限って局所的にはんだ付けをすることができる。
溶融はんだを接触させる方法としては、溶融はんだを電子基板1に接触できる方法であればよく、特に限定されない。このような方法としては、例えば、電子基板1に噴流する溶融はんだに接触させる方法(フローはんだ付け法)を採用してもよい。また、溶融はんだの入ったはんだ槽を電子基板1に接触させる方法を採用してもよい。
はんだ付けの条件は、はんだの融点に応じて適宜設定すればよい。例えば、Sn−Au−Cu系のはんだ合金を用いる場合には、溶融はんだの温度は、230℃以上280℃以下(好ましくは、250℃以上270℃以下)に設定すればよい。また、プリヒートとしては、加熱温度80℃以上130℃以下(好ましくは、90℃以上120℃以下)に設定すればよい。
((A1)成分)
第一ロジン系樹脂A:水添酸変性ロジン(軟化点:約130℃)、商品名「パインクリスタルKE−604」、荒川化学工業社製
第一ロジン系樹脂B:重合ロジン(軟化点:約140℃)、商品名「重合ロジン140」、荒川化学工業社製
((A2)成分)
第二ロジン系樹脂A:部分水添ロジン(軟化点:約80℃)、商品名「ステベライトレジンE」、イーストマンケミカルジャパン社製
第二ロジン系樹脂B:部分水添ロジン(軟化点:約80℃)、商品名「RHR−301M」、丸善油化社製
第二ロジン系樹脂C:不均化ロジン(軟化点:約80℃)、商品名「ロンジスR」、荒川化学工業社製
第二ロジン系樹脂D:完全水添ロジン(軟化点:約80℃)、商品名「フォーラルAX」、イーストマンケミカルジャパン社製
((B1)成分)
活性剤A:3フッ化ホウ素ピペリジン錯塩
((B2)成分)
活性剤B:コハク酸
活性剤C:パルチミン酸
((B3)成分)
活性剤D:エチルアミン臭化水素酸塩
活性剤E:トランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール
((C)成分)
溶剤:イソプロピルアルコール
第一ロジン系樹脂A1質量%、第二ロジン系樹脂A10質量%、活性剤A0.4質量%、活性剤B0.2質量%、活性剤C2質量%、活性剤D0.9質量%、活性剤E0.5質量%および溶剤85質量%を容器に投入し、混合してフラックス組成物を得た。
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、フラックス組成物を得た。
[比較例1〜3]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、フラックス組成物を得た。
フラックス組成物の特性(フラックス残さの付着性、はんだ付け性、銅板腐食性、保存性)を以下のような方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
(1)フラックス残さの付着性
予め質量を測定しておいたセラミックス板(大きさ:25mm×25mm、厚み:1.6mm)に、0.02mLのフラックス組成物を塗布した後に、はんだ槽(静止はんだ槽、はんだ合金組成:Sn/3.0Ag/0.5Cu、はんだ槽の温度:265℃)に10秒間浸漬し、その後、セラミックス板を取り出す。この操作を5回繰り返し、そのときのセラミックス板の質量を測定し、セラミックス板に付着したフラックス残さの付着量(単位:g)を算出した。
実施例4および比較例1については、上記の操作を5回繰り返した毎に、測定したフラックス残さの付着量(単位:g)と、繰り返し回数との関係を図5に示す。
また、上記の操作を20回繰り返した後に、セラミックス板に付着したフラックス残さの付着量(単位:g)を算出した。そして、下記の基準に従って、フラックス残さの付着性を評価した。
○:フラックス残さの付着量が、0.02g以下である。
△:フラックス残さの付着量が、0.02g超0.03g以下である。
×:フラックス残さの付着量が、0.03g超である。
(2)はんだ付け性
評価基板(タムラ評価基板TSTB、大きさ:150mm×200mm、厚み:1.6mm、はんだ付けポイント数:1032箇所)を、はんだ付けを行う箇所に開口部が設けられたパレットマスクに取り付けた。その後、パレットマスクに取り付けられた評価基板に、下記のはんだ付け条件で、はんだ付けを行った。
(はんだ付け条件)
はんだ付け装置:タムラ製作所社製の「HC33−36NF」
フラックス塗布装置:スプレーフラクサー(タムラ製作所社製の「TAF33−12PV」)
フラックス塗布量:70mL/m2
コンベア速度:1m/min
プリヒート温度:100℃
はんだ槽の温度:265℃
はんだの合金組成:Sn/3.0Ag/0.5Cu
そして、はんだ付け後の評価基板を拡大鏡にて観察し、下記の基準に従って、はんだ付け性を評価した。
○:未はんだの発生がなく、ブリッジの発生が39箇所以下であり、かつ、つららの発生が5箇所以下である。
△:未はんだの発生がないが、ブリッジの発生が40箇所以上49箇所以下であるか、或いは、つららの発生が6箇所以上9箇所以下である。
×:未はんだの発生があるか、ブリッジの発生が50箇所以上であるか、或いは、つららの発生が10箇所以上である。
(3)銅板腐食性
JIS Z 3197−1986に記載の方法により、下記の基準に従って、銅板腐食性を評価した。
○:合格
×:不合格
(4)保存性
フラックス組成物を、温度−15℃の環境下に、72時間放置して、その外観を目視にて観察した。そして、下記の基準に従って、フラックス組成物の保存性を評価した。
○:結晶の発生がない。
×:結晶が発生している。
これに対し、(A1)成分、(A2)成分および(B)成分のいずれか1つ以上を含有しない場合(比較例1〜3)には、フラックス残さの付着性およびはんだ付け性のいずれかが不十分となることが確認された。
1A…はんだ付け面
2…電子部品
3…パレットマスク
31…開口部
Claims (6)
- (A)ロジン系樹脂と、(B)活性剤と、(C)溶剤とを含有し、
前記(A)成分が、(A1)軟化点が120℃以上である第一ロジン系樹脂と、(A2)水素添加ロジンおよび不均化ロジンからなる群から選択される少なくとも1種であって、軟化点が90℃以下である第二ロジン系樹脂とを含有する
ことを特徴とする局所はんだ付け用フラックス組成物。 - 請求項1に記載の局所はんだ付け用フラックス組成物において、
前記(B)成分が、(B1)アミン類とフッ素化合物との塩を含有する
ことを特徴とする局所はんだ付け用フラックス組成物。 - 請求項2に記載の局所はんだ付け用フラックス組成物において、
前記(B)成分が、(B2)有機酸をさらに含有する
ことを特徴とする局所はんだ付け用フラックス組成物。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の局所はんだ付け用フラックス組成物において、
前記(A2)成分が、部分水添ロジンである
ことを特徴とする局所はんだ付け用フラックス組成物。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の局所はんだ付け用フラックス組成物において、
前記(A2)成分の前記(A1)成分に対する質量比((A2)/(A1))が、2以上10以下である
ことを特徴とする局所はんだ付け用フラックス組成物。 - 電子部品を電子基板に挿入するとともに、前記電子部品のはんだ付けを行う箇所に開口部が設けられたパレットマスクに、前記電子基板を取り付ける工程と、
前記電子基板のはんだ付け面に、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の局所はんだ付け用フラックス組成物を塗布する工程と、
前記電子基板のはんだ付け面を、溶融はんだに接触させて、はんだ付けを行う工程と、
を備えることを特徴とするはんだ付け方法。
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