JP2010109041A - フローはんだ付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】VOCの量を減らした、または、用いない液状のフラックスには、アルコールよりも蒸発しにくい水を用いているため、従来のフラックスでのプリヒート温度では、噴流はんだ槽投入前に水分を完全に除去することができず、従来のはんだ付け実績を用いることができない。
【解決手段】低VOC(VOC:Volatile Organic Compaounds)はんだペーストを用い、フロー用基板1のはんだ付け面4のスルーホールランド電極で、スルーホール2中心部にはんだが印刷されない開口部形状を有するメタルマスク5を設置し、低VOCはんだペーストを印刷した後、挿入部品を装着し、噴流はんだ槽ではんだ付けを行うフローはんだ付け方法である。
【選択図】図2
【解決手段】低VOC(VOC:Volatile Organic Compaounds)はんだペーストを用い、フロー用基板1のはんだ付け面4のスルーホールランド電極で、スルーホール2中心部にはんだが印刷されない開口部形状を有するメタルマスク5を設置し、低VOCはんだペーストを印刷した後、挿入部品を装着し、噴流はんだ槽ではんだ付けを行うフローはんだ付け方法である。
【選択図】図2
Description
本発明は、電子回路基板に溶融はんだを接触させてはんだ付けを行う電子回路基板のフローはんだ付け方法を示す。特に電子回路基板のはんだ付け面に揮発性有機化合物が5重量%以下である低VOCはんだペースト(VOC:Volatile Organic Compaounds 揮発性有機化合物)を塗布することで、VOCフリーフラックスおよび低VOCフラックスを塗布しなくとも電子回路基板のフローはんだ付けを行う方法に関する。
電子回路基板のフローはんだ付け装置は、はんだ付け装置内にフラクサー、プレヒーター、噴流はんだ槽、冷却機などの処理装置が電子回路基板の搬送方向に順次配置されている。これらの装置内には電子回路基板搬送用のコンベアが設置されており、投入された電子回路基板は、コンベアで搬送されながらフラクサーでフラックスが塗布され、プレヒーターで加熱され、噴流はんだ槽で溶融はんだが付着され、冷却機で冷却される工程を経て、フローはんだ付けがなされる。
一般に、フローはんだ付けには、液状のフラックスが用いられる。このフラックスは、電子回路基板のはんだ付け面に付着している酸化被膜の除去や汚れを落とす役割をしているものである。また、このフラックスはロジンや活性剤などの固形成分を溶剤に溶解させたものであり、発泡フラクサーやスプレーフラクサーにて電子回路基板のはんだ付け面に塗布する。塗布されたフラックスは、プレヒーター内に投入され、100〜150℃で加熱することにより活性剤の作用が発揮され、この温度を維持することで電子回路基板のはんだ付け面部が洗浄される。この加熱がなければ、はんだ付け部の洗浄がなされない。また、液状フラックスは、ロジンや活性剤を溶解させるために溶剤を用いているため、溶剤を除去するためにもプレヒーターによる処理が必要となる。この溶剤除去の工程がない場合は、フラクサー塗布後、電子回路基板を直接高温の噴流はんだ槽の溶融はんだに接触させても良好なはんだ接合面を得ることができない。
上述の液状のフラックスの溶剤には、ロジンや活性剤がよく溶解するイソプロピルアルコールなどのアルコール類が使用されていた。しかしながら、アルコールのような揮発性有機化合物であるVOCは大気中に放出されると、紫外線などにより分解されラジカルを形成し、光化学スモッグなどの発生原因となる。このようなことに対して2010年には大気汚染防止法にて、その使用を規制されることとなっており、はんだ付け分野においても例外ではない。また、これらの理由により、VOCの量を80〜85%減らした液状のフラックスが開発されている。
このVOCの量を減らした液状のフラックスには、溶剤としてイソプロピルアルコールよりも蒸発しにくい水を用いているため、従来のアルコールを用いたフラックスを塗布した後に加熱していた温度(100〜150℃)では、噴流はんだ槽投入前に電子回路基板に塗布されたフラックスの水分を完全に除去することが困難であった。そのためはんだ付け後の電子回路基板には、はんだボールが残り、はんだの濡れ上がり不良、ブリッジなどの問題が生じ、従来のフラックスと同等の仕上りを得ることができなかった。
このような理由から、噴流はんだ槽投入前に電子回路基板に残った水分を蒸発させるためのはんだ付け方法(例えば、特許文献1、特許文献2参照)が提案されている。
特許文献1に記載のはんだ付け方法では、スプレーフラクサーで液状フラックスを電子回路基板に塗布する前に、電子回路基板を100〜200℃の温度で加熱することを特徴としている。
また、特許文献2に記載のはんだ付け方法では、フラクサーでフラックスを電子回路基板に塗布した後に、熱風乾燥装置を用いて電子回路基板に付着している水分を乾燥させ、そのあとに、溶融はんだ槽に電子回路基板を投入するまでに電子回路基板の加熱を行うことでフラックスの活性力を引き出し、電子回路基板を溶融はんだに接触させたときに、溶融はんだの飛散がないはんだ付け接合面を得られることを特徴としている。
特開平8−229674号公報
特開平7−162139号公報
しかしながら、特許文献1に記載のはんだ付け方法では、塗布されたフラックス中に含まれる水は、電子回路基板の熱にて蒸発させられるが、加熱が不十分な場合は、電子回路基板に水分が残り、電子回路基板が濡れてしまっているため、水分が残ったままで噴流はんだ槽に投入し、溶融はんだに投入すると水が水蒸気化され、溶融はんだを飛散させてしまう恐れがある。また、個々の電子回路基板の吸湿水分量やフラクサーのフラックス塗布のばらつきもありはんだの仕上りを十二分に確保できるものではない。
また特許文献2に記載のはんだ付け方法は、特許文献1に記載のはんだ付け方法よりも基板に残る水分は減って効果は良くなっているものの、依然として課題が残るものである。その理由としては、特許文献2に記載のはんだ付け方法では、電子回路基板上の水分のみに着目しており、電子回路基板にあるスルーホールなどの残留水分の除去は困難であり、スルーホールに水分が残ったままで、溶融はんだ槽に電子回路基板を投入した場合、溶融はんだが飛散する恐れがあるからである。
本発明は、前記課題を解決するもので、VOCの使用を低減したフローはんだ付け方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のフローはんだ付け方法は、スルーホールが設けられている基板のはんだ付け面にメタルマスクを設置し、前記メタルマスクを介してはんだペーストを塗布した後、前記基板のはんだ付け面の反対面から挿入部品を装着し、前記基板を噴流はんだ槽にてはんだ付けを行うフローはんだ付け方法であって、前記はんだぺーストは、沸点が250〜300℃の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compaounds:VOC)Mを0重量%<M≦5重量%含み、鉛フリーはんだ共晶合金を前記VOCと混合した粘度80〜200Pa.sであることを特徴とする。
また本発明のフローはんだ付け方法は、はんだペーストに含まれる鉛フリーはんだ共晶合金は10μm〜40μmの粒度を有するSn−0.7重量%Cu共晶合金であり、前記噴流はんだ槽のはんだ材料をSn−Cuはんだとすることを特徴とする。
以上のように、本発明のフローはんだ付け方法によれば、沸点が250〜300℃のVOCを5重量%以下含み、鉛フリーはんだ共晶合金をVOCと混合した粘度80〜200Pa.sであるはんだペーストを、電子回路基板のはんだ付け面に塗布することにより、VOCを用いた接合性の良いはんだ付けが可能となる。また、これまでのフラクサーを使用して塗布する水系フラックスを使用しないために、プリヒートを行いスルーホールに残存する可能性のある残留水分の除去を考慮することなしに、噴流はんだ槽へ電子回路基板を投入し、フローはんだ付けを行うことが可能となる。
また、噴流はんだ槽の溶融はんだの成分を、はんだペーストに含まれる鉛フリーはんだ共晶合金と同様にすれば、既に電子回路基板のはんだ付け面に5重量%以下のVOCを含んだはんだペーストが塗布されていることによりはんだ付け面の反対面である部品面への濡れ上がりが良好となる。従来濡れ上がりを考慮すれば、鉛フリー材料にはSnAgCu材料が主材料とならざるを得なかったが、本発明のフローはんだ付け方法では、はんだペーストにSn−0.7重量%Cu共晶合金を使用すれば、はんだ付け面にSnCuはんだを塗布しているために、SnCuをフローはんだ材料として使用しても部品面への濡れ上がりは良好となり、Sn−Cuはんだを使用することが可能となった。このために、Agが含まれる鉛フリーはんだ材料よりもフローはんだ材料費の約40%削減が可能となった。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるフローはんだ付け方法を示したフローチャートである。また図2は、本発明の実施の形態1におけるフローはんだ付け方法を説明するための電子回路基板にメタルマスクを設置した図である。
図1は、本発明の実施の形態1におけるフローはんだ付け方法を示したフローチャートである。また図2は、本発明の実施の形態1におけるフローはんだ付け方法を説明するための電子回路基板にメタルマスクを設置した図である。
なお、ここで使用するはんだペーストは、VOCを0重量%よりも大きく5重量%以下含むはんだペーストであり、以降「低VOCはんだペースト」とする。
ステップ1は、電子回路基板のはんだ付け面にメタルマスクを設置する工程である。
図2(b)の電子回路基板にメタルマスクを設置した構成を示した断面図に示すように、ここで用いる電子回路基板1(以降「基板1」と称する)は、スルーホール2が貫通して設けられている部品面3およびはんだ付け面4を有する基板1である。また、メタルマスク5は、後述にて説明するが、基板1のスルーホール2の孔径の中心を含み、少なくとも一部を覆う開口形状を備えたもの(一例として図2(a)メタルマスクの開口形状を示した図を示す)、基板1のはんだ付け面4側に設置する。
ステップ2は、基板1のはんだ付け面4に低VOCはんだペースト6を塗布する工程である。塗布された低VOCはんだペースト6の状態を示したものが図3である。
ここで用いる低VOCはんだペースト6は、沸点が250〜300℃のVOCを5重量%以下含み、鉛フリーはんだ共晶合金をVOCと混合した粘度80〜200Pa.sのはんだペーストである。この低VOCはんだペースト6全体での鉛フリーはんだ共晶合金は、約90重量%である。この粘度の低VOCはんだペースト6を基板1のはんだ付け面4に塗布することにより、基板1のスルーホール2の壁面を通り、部品面3のランド7上に低VOCはんだペースト6が広がった。これは、非ニュートン流体特有のバラス効果によるものであり、細管であるスルーホール2の径よりもわずかに膨らんで低VOCはんだペースト6が部品面3に出てくるからである。
この低VOCはんだペースト6に用いるVOCは、沸点が250℃未満では後の工程であるフローはんだ付けのはんだ槽の高熱によりVOCの逃散が激しくなる。また沸点が300℃より高い場合では、VOCの逃散は小さいものの、はんだ槽の高熱により基板1に塗布された低VOCはんだペースト6の印刷形状がダレてブリッジやツララを形成する。
また低VOCはんだペーストは、材料の粘度を80Pas未満にすると、粘性が低すぎて通常の印刷形状が得られず、また粘度が200Pasより大きくなると、次の工程である基板1の部品面3から挿入部品8のリードを挿入した際に粘度が高すぎて、リードがはんだをはんだ付け面4側に押し出してしまう結果となった。同様に、塗布された低VOCはんだペーストのメタルマスクからのヌケ易さの指標であるチキソ比を0.4以下にすると、メタルマスク5に低VOCはんだペーストが残存し、0.6以上にすると、今度は材料の粘度が80Pa以上200Pas以下にならなかった。
ステップ3は、上方に基板1の部品面3、下方にはんだ付け面4となるように基板1を裏返し、基板1の部品面3からスルーホール2に挿入部品8を装着する工程である。
ステップ4は、基板1を予備加熱し、噴流はんだ槽12で溶融はんだに接触させるフローはんだ付けする工程である。
このフローに従って低VOCはんだペーストを用いたフローはんだ付け方法についての具体的な事例を説明する。
ここで用いる低VOCはんだペースト6は、フラックス用溶剤として沸点が270℃の高沸点溶剤であるグリコールエーテルを0.5重量%使用して作製した。またはんだの合金成分としては、平均粒径28μmで20μm〜40μmの分布を有するSn―0.7重量%Cu共晶合金を用いた。これらの材料を調整して混練し、ペースト粘度が187Pa・sであり、またチキソ比が0.47のものを使用した。
次にメタルマスク5としては、厚み140ミクロンでレーザー加工したメタルマスク5の作製を行った。ここでメタルマスク5のマスク開口形状は、対応する1個のスルーホールの断面積Sに対して、基板にはんだペーストを塗布したときに裏面(はんだ付け面)から表面(部品面)に細孔が形成されるようにスルーホールの中心部を覆いかつ1個のスルーホールの断面積Sの30〜50%を覆うことを特徴とする。また、メタルマスクの開口形状は、低VOCはんだペーストを塗布したときに基板のランドに濡れ広がるように、スルーホールの断面積Sを4分割して均等に開口したものでも良いし、2分割して均等に開口したものでも良い。しかしながらはんだ付け面4のスルーホール径が1mm未満の場合、細孔が形成されるようにスルーホールの断面全てを覆うようにし、はんだ付け面4のスルーホール径が1mm以上の場合は、はんだ充填後のスルーホール2において、はんだ付け面4から部品面3に細孔が形成されるように、前述に示した図2(a)に示すようなマスク形状のものを準備した。
次に上記メタルマスク5を基板1のはんだ付け面4に設置し、印刷機によって上記低VOCはんだペースト6を印刷した。上記のどちらの径の場合も、非ニュ―トン流体特有のバラス効果により、部品面3側に流出した低VOCはんだペースト6は部品面3のランド7上に広がった。この断面の状態を図3に示している。このような状態となった基板1に対して、次に、上方に基板1の部品面3、下方にはんだ付け面4となるように基板1を裏返し、基板1の部品面3からスルーホール2に挿入部品を装着した。
次に挿入部品が装着された基板1を加熱し、噴流はんだ槽で溶融はんだに接触させるフローはんだ付けを行った。
ここで用いる溶融はんだは、鉛フリーはんだ材料であれば良い。しかしながら噴流はんだ槽の溶融はんだの成分を、低VOCはんだペーストに含まれる鉛フリーはんだ共晶合金と同様にすれば、既に基板のはんだ付け面に低VOCはんだペーストが塗布されていることにより部品面への濡れ上がりが良好となる。ここでは、噴流はんだ槽の溶融はんだをSn−0.7重量%Cuとした。
以上のように沸点が250〜300℃のVOCを5重量%以下含み、鉛フリーはんだ共晶合金をVOCと混合した粘度80〜200Pa.sである低VOCはんだペーストを、基板のはんだ付け面に塗布することにより、低VOCを用いた接合性の良いはんだ付けが可能となった。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるフローはんだ付け方法を示したフローチャートである。本発明の実施の形態2におけるフローはんだ付け方法は、前述の本発明の実施の形態1におけるフローはんだ付け方法に、基板に超音波振動を加振する工程(ステップA)を加えたものである。またこの超音波振動を基板に加振する超音波装置を示すためにはんだ付け装置を示したものが図5である。図5においては、挿入部品8が装着された基板1は、超音波装置10を通過し、プレヒーター11で基板1が温められ、噴流はんだ槽12で溶融はんだに接触し、冷却装置13にて冷却されてはんだ付けが完成される。
図4は、本発明の実施の形態2におけるフローはんだ付け方法を示したフローチャートである。本発明の実施の形態2におけるフローはんだ付け方法は、前述の本発明の実施の形態1におけるフローはんだ付け方法に、基板に超音波振動を加振する工程(ステップA)を加えたものである。またこの超音波振動を基板に加振する超音波装置を示すためにはんだ付け装置を示したものが図5である。図5においては、挿入部品8が装着された基板1は、超音波装置10を通過し、プレヒーター11で基板1が温められ、噴流はんだ槽12で溶融はんだに接触し、冷却装置13にて冷却されてはんだ付けが完成される。
まず、基板1のはんだ付け面4にメタルマスク5を設置する工程(ステップ1)の後、基板1のはんだ付け面4に低VOC(揮発性有機化合物)はんだペースト6を塗布する工程(ステップ2)の後、上方に基板1の部品面3、下方にはんだ付け面4となるように基板1を裏返し、基板1の部品面3からスルーホール2に挿入部品8を装着する工程(ステップ3)を行う。ここで用いる低VOCはんだペースト6は、沸点が250〜300℃のVOCを5重量%以下含み、鉛フリーはんだ共晶合金をVOCと混合した粘度80〜200Pa.sのはんだペーストであり、この粘度の低VOCはんだペースト6を基板1のはんだ付け面4に塗布することにより、基板1のスルーホール2の壁面を通り、部品面3のランド7上に低VOCはんだペースト6が広がった。これは、非ニュートン流体特有のバラス効果によるものであり、細管であるスルーホール2の径よりもわずかに膨らんで低VOCはんだペースト6が部品面3に出てくるからである。
しかしながら、はんだ付け面4に塗布された余分な低VOCはんだペースト6がはんだ付け面4から一部垂れ下がる場合がある。この余分な低VOCはんだペースト6は、はんだ付けの濡れ性を悪くし、良好なはんだ付け基板を得ることができなくなる。そのため、噴流はんだ槽12に投入される前に基板1が予備加熱されるプリヒーターゾーンの投入口に超音波装置10を設置する。図6は超音波装置が基板に接している状態を示したものであり、図6(a)は断面図、図6(b)は上面図である。図6に示すように、はんだ付け面4側に反り防止バーが設置されている基板1のセンターラインの部品面3側に超音波装置10のホーン端子先端部14を接するようにした。このとき、ホーン端子先端部14が部品面3側センターライン上に接して、2〜5キロHzの周波数、1〜10μmの振幅の超音波で振動させた。これによって、超音波装置10によって余分な低VOCはんだペーストはんだを除去することが可能となった。
ここで超音波振動の周波数が、2キロHz未満の場合では、余分な低VOCはんだペースト6を基板1から除去することができず、5キロHzより大きい場合は、基板1に塗布した低VOCはんだペースト6を剥ぎ取るばかりでなく、挿入された挿入部品8を基板1に対して不安定な状況にすることとなり、はんだ付け後の品質を低下させることになった。
上記のフローに従って低VOCはんだペーストを用いたフローはんだ付け方法についての具体的な事例を説明する。
ここで使用する低VOCはんだペースト6は、VOCとして沸点が280℃の高沸点溶剤であるジプロピレングリコールを0.4重量%使用して作製した。またはんだの合金成分としては、平均粒径29μで22μ〜39μの分布を有するSn―0.7重量%Cu共晶合金を用いた。これらの材料を調整して混練し、ペースト粘度が180Pa・sであり、またチキソ比が0.52のものを使用した。
次にメタルマスク5としては、厚み140ミクロンでレーザー加工したメタルマスク5の作製を行った。ここで使用するメタルマスク5は、前述の実施の形態1で用いた図2(a)に示すようなマスク形状のものを準備した。
次に上記メタルマスク5をフロー用基板のはんだ付け面4に設置し、印刷機によって上記低VOCはんだペースト6を印刷した。非ニュ―トン流体特有のバラス効果により、部品面3側に流出したはんだは部品面3のランド7上に広がった。この断面の状態を図3に示している。このような状態となった基板1に対して、次に、上方に基板1の部品面3、下方にはんだ付け面4となるように基板1を裏返し、基板1の部品面3からスルーホール2に挿入部品8を装着した。
部品面3から挿入部品8をスルーホール2に挿入したとき、はんだ付け面4に印刷された余分な低VOCはんだペースト6がはんだ付け面4から一部垂れ下がった。この余分な低VOCはんだペースト6を取り除くために、プリヒーターゾーンの投入口に超音波装置10を設置して、本発振機ホーン端子先端部を基板1のセンターラインの部品面3側に接するようにし、4キロHzの周波数、2μmの振幅で振動させた。この振動により、基板1のはんだ付け面4に垂れた余分な低VOCはんだペースト6が除去された。この基板1を噴流はんだ槽12に浸漬させ、フローはんだ付けを行った。
以上のように沸点が250〜300℃のVOCを5重量%以下含み、鉛フリーはんだ共晶合金をVOCと混合した粘度80〜200Pa.sである低VOCはんだペースト6を、基板1のはんだ付け面4に塗布し、部品面3から挿入部品8をスルーホール2に挿入したときの余分な低VOCはんだペースト6を超音波の加振することにより除去することで、良好な低VOCを用いたはんだ付けが可能となった。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3におけるフローはんだ付け方法について説明する。前述の本発明の実施の形態1および2におけるフローはんだ付け方法では、基板1のはんだ付け面4にメタルマスク5を設置した後、低VOCはんだペースト6を塗布していた。
本発明の実施の形態3におけるフローはんだ付け方法について説明する。前述の本発明の実施の形態1および2におけるフローはんだ付け方法では、基板1のはんだ付け面4にメタルマスク5を設置した後、低VOCはんだペースト6を塗布していた。
本発明の実施の形態3におけるフローはんだ付け方法において使用するメタルマスク5は、そのメタルマスク5のマスク開口形状は、対応する1個のスルーホールの断面積Sに対して、基板にはんだペーストを塗布したときに裏面(はんだ付け面)から表面(部品面)に細孔が形成されるようにスルーホールの中心部を覆いかつ1個のスルーホールの断面積Sの30〜50%を覆うことを特徴とする。また基板に複数のスルーホールがある場合は、メタルマスク5に対応する全てのスルーホールに対して上記の開口形状となるように備えたメタルマスクである。
また、メタルマスクの開口形状は、低VOCはんだペーストを塗布したときに基板のランドに濡れ広がるように、スルーホールの断面積Sを4分割して均等に開口したものでも良いし、2分割して均等に開口したものでも良い。しかしながらはんだ付け面4のスルーホール径が1mm未満の場合、細孔を形成されるようにスルーホールの断面全てを覆うようにし、はんだ付け面4のスルーホール径が1mm以上の場合は、はんだ充填後のスルーホール2において、はんだ付け面4から部品面3に細孔が形成されるようにする。またこのメタルマスクは、ランドにはんだペーストが塗布できるように開口した形状が望ましいが、スルーホール中心部を覆うためランドの少なくとも一部は覆う形状を有している。メタルマスクのマスク形状の例として図7〜図10に示した形状がある。
いずれの形状であっても、バラス効果により、低VOCはんだペースト6を部品面3のランドに盛り上げることができた。
また、メタルマスク5の開口の中央につくられた、スルーホール2におけるはんだ付け面4から部品面3までの細孔をつくるための、低VOCはんだペースト6を供給しないスルーホール2中心部のマスク面積は、30%未満では挿入部品8のリードが挿入できる細孔が形成できず、50%より大きい場合では、バラス効果による部品面3のランド上への低VOCはんだペースト6の盛り上がりができなかった。このことからメタルマスク5のマスク形状として最適な大きさは、スルーホール2の断面積Sの30〜50%を覆う開口形状であることがわかり、はんだ付け後に十分な濡れ上がりを可能とした。
本発明のフローはんだ付け方法は、低VOCはんだペーストを用い、フロー用基板のはんだ付け面にメタルマスクを搭載後、低VOCはんだペーストを印刷した後、挿入部品を装着し、噴流はんだ槽ではんだ付けを行う方法であって、はんだ付けされている片面基板、両面基板、リフロー・フロー混載基板に対しても、利用可能である。また本発明は、上記フロー基板のみならず、材質としてセラミックを用いるようなデバイス用フロー基板や部分ディップ基板など、いわゆるはんだ溶融槽へ浸漬によるはんだ付けに使われているもの全てに適用可能である。
1 基板
2 スルーホール
3 部品面
4 はんだ付け面
5 メタルマスク
6 低VOCはんだペースト
7 ランド
8 挿入部品
10 超音波装置
11 プレヒーター
12 噴流はんだ槽
13 冷却装置
14 ホーン端子先端部
2 スルーホール
3 部品面
4 はんだ付け面
5 メタルマスク
6 低VOCはんだペースト
7 ランド
8 挿入部品
10 超音波装置
11 プレヒーター
12 噴流はんだ槽
13 冷却装置
14 ホーン端子先端部
Claims (4)
- スルーホールが設けられている基板のはんだ付け面にメタルマスクを設置し、前記メタルマスクを介してはんだペーストを塗布した後、前記基板のはんだ付け面の反対面から挿入部品を装着し、
前記基板を噴流はんだ槽にてはんだ付けを行うフローはんだ付け方法であって、
前記はんだぺーストは、
沸点が250〜300℃の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compaounds:VOC)Mを0重量%<M≦5重量%含み、鉛フリーはんだ共晶合金を前記VOCと混合した粘度80〜200Pa.sであることを特徴とするフローはんだ付け方法。 - はんだペーストに含まれる鉛フリーはんだ共晶合金は、
10μm〜40μmの粒度を有するSn−0.7重量%Cu共晶合金であり、
前記噴流はんだ槽のはんだ材料をSn−Cuはんだとすることを特徴する請求項1に記載のフローはんだ付け方法。 - 基板のはんだ付け面の反対面から挿入部品を装着した後、
2〜5kHzの周波数、1〜10μmの振幅の超音波で前記基板を振動させることを特徴とする請求項1に記載のフローはんだ付け方法。 - メタルマスクは、
1個のスルーホールの中心部を覆いかつ、前記スルーホールの断面積Sの30〜50%を覆う開口形状であり、前記メタルマスクに対応する前記基板の全てのスルーホールに対して前記開口形状とすることを特徴とする請求項1に記載のフローはんだ付け方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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-
2008
- 2008-10-29 JP JP2008277950A patent/JP2010109041A/ja active Pending
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