JP2018139300A - レーザ装置、および分光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】回折効率が高く、かつ製造するのが容易な回折格子を有するレーザ装置を提供する。【解決手段】このレーザ装置は、回折格子を含む共振器を有し、回折格子は、断面が非対称な三角形状の格子を有する反射型の回折格子であって、三角形状の短辺と格子平面とのなす角をθ度とし、短辺と三角形状の長辺とのなす角をφ度とし、回折格子に入射する光の格子平面の法線に対する入射角をα度とすると、なす角θ、φは、φ+θ≦90度+α、(0.1127291(φ−φd)2−19.67453(φ−φd)+938.74+θd)度≦θ≦(0.36631(φ−φd)+48.84+θd)度(ただし、φd=0.845σ度、θd=1.065σ度、σ=(α−79.25)度である)の式で表される条件を満たす。【選択図】図3
Description
本発明は、レーザ装置、および分光方法に関する。
従来、例えば遠紫外線波長の分光に用いられる反射型回折格子として、ArFまたはKrFエキシマレーザ装置に用いられる回折格子がある。このような回折格子は、狭帯域化素子として用いられると同時に、放電チャンバー内の出力鏡と合わせて共振器の一端としての役割も果たす。ここで、入射する光を可能な限り無駄なく利用し、レーザ装置の動作を望ましいものとするためには、反射の際に所定次数で戻ってくる光量の割合、すなわち回折効率が高いことが重要である。そこで、エキシマレーザ装置用回折格子の形状は、特定次数に光を収斂させるために、一般的に非対称三角形状となっている。特許文献1は、さらに回折効率を向上させるために、反射層上に保護層を形成することで増反射を実現する回折格子を開示している。しかしながら、回折効率は、単一非対称三角形格子の格子形状に依存するため、膜条件により高効率化を図る際にも、格子形状が効率に適したものでなければならない。そこで、一般的には非対称三角形格子の短辺側のみに光が入射する状態で使用されるのに対し、特許文献2は、三角形の長辺側に光が入射する三角形内角の角度設定を行うことで高効率化を図る方法を開示している。
特許文献2に開示された方法により高効率が達成されるためには、実際に製造される格子における長辺に該当する面(いわゆるカウンタ面)でも、短辺に該当する面(いわゆるブレーズ面)と同等の面精度が要求される。ここで、エキシマレーザ装置用回折格子を製造(成形)する際に使用される金型は、塑性加工または切削加工により形成されるのが一般的である。このうち、塑性加工では、圧力を加えて変形を行うという加工原理から、カウンタ面とブレーズ面との両面の加工面精度を両立させることが難しい。一方、切削加工では、カウンタ面が粗パスという切削体積が大きい加工工程で仕上げられるため、面精度が望ましくない。また、ブレーズ面と同様、カウンタ面に対しても仕上げパスを適用して切削体積を小さくして加工を行うと、仕上げるカウンタ面と接合するブレーズ面の頂部に潰れが生じて格子形状の異常となり、結果的に効率低下の要因となるため望ましくない。すなわち、設計上は好適な形状の回折格子であっても、実際に製造するには困難が伴う。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、例えば、回折効率が高く、かつ製造が容易な回折格子を有するレーザ装置及び回折格子を用いた分光方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一例としてのレーザ装置は、回折格子を含む共振器を有し、回折格子は、断面が非対称な三角形状の格子を有する反射型の回折格子であって、三角形状の短辺と格子平面とのなす角をθ度とし、短辺と三角形状の長辺とのなす角をφ度とし、回折格子に入射する光の格子平面の法線に対する入射角をα度とすると、なす角θ、φは、φ+θ≦90度+α、(0.1127291(φ−φd)2−19.67453(φ−φd)+938.74+θd)度≦θ≦(0.36631(φ−φd)+48.84+θd)度(ただし、φd=0.845σ度、θd=1.065σ度、σ=(α−79.25)度である)の式で表される条件を満たすことを特徴とする。また、本発明の一例としての分光方法は、断面が非対称な三角形状の格子を有する反射型の回折格子を用いて分光する分光方法であって、前記回折格子に光を入射させる工程と、前記回折格子に入射した光を反射させて分光する工程と、を有し、前記回折格子は、前記三角形状の短辺と格子平面とのなす角をθ度とし、前記短辺と前記三角形状の長辺とのなす角をφ度とし、前記回折格子に入射する光の前記格子平面の法線に対する入射角をα度とすると、前記なす角θ、φは、φ+θ≦90度+α、(0.1127291(φ−φd)2−19.67453(φ−φd)+938.74+θd)度≦θ≦(0.36631(φ−φd)+48.84+θd)度(ただし、φd=0.845σ度、θd=1.065σ度、σ=(α−79.25)度である)の式で表される条件を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、回折効率が高く、かつ製造が容易な回折格子を有するレーザ装置及び回折格子を用いた分光方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る回折格子について説明する。本実施形態に係る回折格子は、反射層を有し、非対称三角形状が連続して配置される断面構造の反射型回折格子である。本回折格子は、例えばArFエキシマレーザ装置用(ArFエキシマレーザ光生成時の分光用)として用いられるものであり、狭帯域化と同時に、放電チャンバー内の出力鏡と合わせて共振器の一端としての役割も果たす。
まず、本発明の第1実施形態に係る回折格子について説明する。本実施形態に係る回折格子は、反射層を有し、非対称三角形状が連続して配置される断面構造の反射型回折格子である。本回折格子は、例えばArFエキシマレーザ装置用(ArFエキシマレーザ光生成時の分光用)として用いられるものであり、狭帯域化と同時に、放電チャンバー内の出力鏡と合わせて共振器の一端としての役割も果たす。
図1は、回折格子1の構成および形状を示す概略断面図である。回折格子1は、樹脂層2と、金属層3と、誘電体層4とを有する。樹脂層2は、回折格子製造用の金型で成形された回折格子1の本体であり、その材質は、アクリルやエポキシ等の樹脂である。金属層3は、樹脂層2上に、アルミニウム等の金属で構成される反射層(反射膜)である。誘電体層4は、金属層3上に、金属層3を酸化等から保護するための誘電体で構成される保護層(保護膜)である。誘電体の材質としては、MgF2、LaF3またはAlF3などが好適であり、誘電体層4は、具体的にはそれらの単層または複数層からなる構造を取る。なお、図1では、誘電体層4が6層構造を取る場合を例示している。また、金属層3の表面のなす非対称三角形状において、表面側の短辺に該当し、光線5が入射する面をブレーズ面6とし、格子平面7とのなす角度をブレーズ角θとし、表面側の長辺に該当する面をカウンタ面9とする。また、頂点の角度を頂角φとし、格子形状の繰り返し長さ(格子間隔)をdとする。光線5を効率良く利用するためには、反射の際に所定次数で戻ってくる光量の割合、すなわち回折効率が高いことが重要であり、回折効率は、三角形状の内角であるブレーズ角θと頂角φとに大きく依存する。一般的に計算上効率が最適となる内角条件は、頂角φが88.5度から91.5度までの範囲にあり、ブレーズ角θが82度から86度までの範囲にあるときとされている。
次に、回折格子1の回折効率が高くなる内角の取り得る条件(以下「高効率内角条件」という。)について説明する。まず、本実施形態における高効率内角条件の説明に先立ち、参考として、光線5がブレーズ面のみならずカウンタ面にも入射する回折格子の製造について説明する。図7は、光線5がブレーズ面6およびカウンタ面9に入射する様子を示す概略断面図である。なお、図7では、説明の簡単化のために、本実施形態に係る回折格子1の構成要素に対応するものには同一の符号を付し、また金属層3や誘電体層4の表記を省略する。ここで、光線5が回折格子1に入射する角度(格子平面7の法線に対する角度)を光線入射角αとする。光線5がカウンタ面9に入射する条件は、光線5と格子形状(三角形状)との幾何的関係から、90度と光線入射角αとの和が、ブレーズ角θと頂角φとの和よりも小さいことである。なお、ArFエキシマレーザ装置内における回折格子に対する光線入射角αは、一般的におよそ78度から80度までの範囲にあるものとされている。
次に、このような光線5がブレーズ面のみならずカウンタ面にも入射する従来の回折格子の製造に用いられる金型の製造方法について説明する。一般に回折格子製造用の金型の製造に用いられる加工方法としては、主に塑性加工と切削加工とがある。塑性加工については、上記のとおり、圧力を加えて変形を行うという加工原理から、ブレーズ面6とカウンタ面9との両面の加工面精度を両立させることはが難しい。一方、切削加工について、ブレーズ面6のみに光線5が入射することを想定した回折格子製造用の金型を製造する場合、図8に示すとおり、まず、金型本体14において粗加工で2つの面が切り出される。その後、ブレーズ面6の面精度を向上させるために、ブレーズ面6のみに仕上げ加工が施される。そのため、カウンタ面9の加工面精度は、ブレーズ面6の加工面精度よりも大幅に低いものとなる。ここで、カウンタ面9の加工面精度を向上させるために、カウンタ面9にも仕上げ加工を施すとなると、加工パスが増加し、加工工程が複雑化する。さらに、カウンタ面9を仕上げるとき、切削バイト15は、カウンタ面9に隣接するブレーズ面6の頂点に接触するので、図9に示すように頂部に潰れ16を発生させる。この潰れ16のような形状異常は、成形される回折格子の回折効率の低下を引き起こすだけではなく、成形時に引っ掛かり、回折格子の重要性能である波面性能にも悪影響を及ぼし得る。
このように、カウンタ面9をブレーズ面6と同等の加工面精度となるよう金型を製造すること、すなわち、光線5がブレーズ面6のみならずカウンタ面9にも入射する回折格子を製造することは困難である。したがって、回折格子の回折効率を高くするためには、光線5がブレーズ面6のみに入射するものとすることが望ましい。そして、この場合の内角と光線入射角αとの関係としては、ブレーズ角θと頂角φとの和が、90度と光線入射角αとの和よりも小さいこととなる。
このようなことを踏まえ、本実施形態では、回折格子1が高効率となる内角の取り得る条件(高効率内角条件)を以下のように設定する。高効率内角条件は、電磁場解析法の一種である厳密結合波理論(RCWA法)を用いて情報処理装置(コンピューター)により実行される回折効率(以下、単に「効率」という。)の角度(三角形状の内角)依存性計算で求められる。はじめに、角度依存性計算に際して予め設定する値について説明する。まず、光線入射角αは、79.25度とする。これは、上記のとおり、カウンタ面9に光線5が入射しない条件は、ブレーズ角θと頂角φとの和が90度と光線入射角αとの和よりも小さいことであるので、結果的に、ブレーズ角θと頂角φとの和が169.25度よりも小さくなければならないことによる。ただし、79.25度という値は、下記の計算を実行する上で基準とする一例であり、特に本実施形態では、光線入射角αは、79.1度から79.5度までの範囲にあるものとすることが望ましい。ここで、当該範囲は、レーザ波長に換算すると、0.4nmの幅に相当し、ArFエキシマレーザ装置で使用を想定したときに有効となるものとして規定している。
また、回折格子1は、ArFエキシマレーザ装置において、入射光と同方向に出射光が反射される、いわゆるリトロー配置の条件で使用される。ここで、光の波長をλ、反射する光の次数をm、格子間隔をdとすると、式(1)が成り立つ。
mλ=2d・sinθ (1)
アルゴン−フッ素により励起、放出され、回折格子1に照射される光の波長λを193.00nmとし、次数mを105とすると、式(1)より、格子間隔dは、10.32953μmとなる。
mλ=2d・sinθ (1)
アルゴン−フッ素により励起、放出され、回折格子1に照射される光の波長λを193.00nmとし、次数mを105とすると、式(1)より、格子間隔dは、10.32953μmとなる。
さらに、金属層3の材質は、アルミニウムとし、その膜厚は、220nmであるものとする。また、アルミニウムの屈折率は、0.14+2.35iであるものとする。なお、以下の角度依存性計算は、金属層3を最外層として実行するが、上記の回折格子1の構成で説明したように金属層3上に保護層である誘電体層4が存在する場合であっても不変であり、有効である。
図2は、効率の角度依存性の計算結果を示すグラフである。図2において、横軸は頂角φであり、縦軸はブレーズ角θである。また、横軸と縦軸とからなる平面(紙面)に直交する軸方向が効率であり、色の濃淡で表している。なお、この軸上の効率は、本計算結果の最高効率で規格化された値である。カウンタ面9に光線5が入射しない条件は、上記の説明から式(2)で表され、図中の点線より左側の領域がその条件に相当する。
φ+θ≦169.25 (2)
すなわち、この領域内で高効率解を導出すれば、高効率で、かつ製造に困難を伴わない回折格子が得られることになる。ここで、本実施形態でいう「高効率」とは、効率が図2に示される上記の計算条件下の最高効率に対して98.5%以上である場合と定義する。この程度の効率を有する回折素子であれば、ほぼ効率が最適に近く、効率的に良好な回折素子であると言える。そして、高効率条件を満たす条件を図2に示す領域において検討すると、頂角φおよびブレーズ角θは、以下の範囲に規定される。
φ+θ≦169.25 (2)
すなわち、この領域内で高効率解を導出すれば、高効率で、かつ製造に困難を伴わない回折格子が得られることになる。ここで、本実施形態でいう「高効率」とは、効率が図2に示される上記の計算条件下の最高効率に対して98.5%以上である場合と定義する。この程度の効率を有する回折素子であれば、ほぼ効率が最適に近く、効率的に良好な回折素子であると言える。そして、高効率条件を満たす条件を図2に示す領域において検討すると、頂角φおよびブレーズ角θは、以下の範囲に規定される。
図3は、上記計算で求められた高効率内角条件を示すグラフである。具体的には、光線5がブレーズ面6のみに入射する条件の境界を表す第1直線と、高効率条件を数式化し最高効率に対し98.5%である点を結んで表される第2直線および1つの曲線との計3つの線で囲まれた領域が、高効率内角条件を満たす範囲である。これら3つの線は、フィッティングを施された後、それぞれ、以下の数式で表される。
まず、第2直線は、式(3)で表される。
θ=0.3663159φ+48.8441033 (3)
また、高効率条件の境界を表す曲線は、式(4)で表される。
θ=0.1127291φ2−19.6745343φ
+938.7421566 (4)
すなわち、3つの線に囲まれる領域は、既出の式(2)で表される第1直線の条件に加え、式(5)で表される。
0.1127291φ2−19.67453φ+938.74+θd≦θ≦0.36631φ+48.84+θd (5)
θ=0.3663159φ+48.8441033 (3)
また、高効率条件の境界を表す曲線は、式(4)で表される。
θ=0.1127291φ2−19.6745343φ
+938.7421566 (4)
すなわち、3つの線に囲まれる領域は、既出の式(2)で表される第1直線の条件に加え、式(5)で表される。
0.1127291φ2−19.67453φ+938.74+θd≦θ≦0.36631φ+48.84+θd (5)
このように、光線入射角αが79.25度の条件のもと上記のような高効率条件を満たすよう頂角φおよびブレーズ角θを設計し(設計ステップ)、以下、設計された頂角φおよびブレーズ角θとなるように回折格子1を形成すればよい(形成ステップ)。これにより、回折格子1は、ブレーズ面6の加工面精度のみを高精度とする比較的容易な製造方法で、高効率を得ることができる。
なお、同じ光線入射角α(79.25度)という条件のもと、遠紫外線波長(150nmから300nmまでの範囲)において、波長または次数条件が変化したとしても、図2に示される効率の角度依存性には、ほぼ影響がない。図4は、波長λや次数mがそれぞれ異なる場合の効率の角度依存性を示すグラフである。図4(a)は、図2の一部を拡大したものである。これに対して、図4(b)は、光線入射角αを79.25度とし、波長λを248.3nmとし、次数mを87としたとき、式(1)より格子間隔dが10.98673μmであるとの条件のもと、同様の計算を行った結果を示したものである。図4(a)と図4(b)とを比較してわかるとおり、効率の角度依存性は、ほぼ変化しない。これは、波長λや次数mの変化は、式(1)より格子間隔dの変化を誘導するが、格子形状(三角形状)と光線入射角αとの関係性が常に相似であるので、三角形状の内角と効率との関係にほぼ影響しないためと考えられる。
以上のように、本実施形態によれば、回折効率が高く、かつ製造が容易な回折格子、およびその回折格子の製造方法を提供することができる。また、本実施形態に係る回折格子1を用いたレーザ装置によれば、入射する光を可能な限り無駄なく利用し、レーザを効率良く生成することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る回折格子について説明する。第1実施形態では、光線入射角αを79.25度とした場合の回折格子を例示したが、本実施形態では、光線入射角αを変数と考える。なお、本実施形態の回折格子の各構成要素および部分には、第1実施形態に係る回折格子1の各構成要素および部分と同一の符号を付す。ここで、カウンタ面9に光線5が入射しない条件は、式(6)で表される。
φ+θ≦90+α (6)
次に、本発明の第2実施形態に係る回折格子について説明する。第1実施形態では、光線入射角αを79.25度とした場合の回折格子を例示したが、本実施形態では、光線入射角αを変数と考える。なお、本実施形態の回折格子の各構成要素および部分には、第1実施形態に係る回折格子1の各構成要素および部分と同一の符号を付す。ここで、カウンタ面9に光線5が入射しない条件は、式(6)で表される。
φ+θ≦90+α (6)
図5は、光線入射角αがそれぞれ異なる場合の効率の角度依存性を示すグラフである。特に、図5(a)は、光線入射角αが79.1度の場合を示し、図5(b)は、光線入射角αが79.5度の場合を示している。図5(a)と図5(b)とを比較するとわかるとおり、光線入射角αの増加に対し、グラフは、横軸方向および縦軸方向ともに増加の方向にスライドする。図5に示す計算結果から、それぞれの光線入射角αに対して、第1実施形態で説明した高効率条件直線と高効率条件曲線との交点を求めることができる。
図6は、各光軸入射角αに対する上記交点の変化を示すグラフである。図6では、光軸入射角αが、一例として79.1度、79.5度、さらに第1実施形態に対応する79.25度の3つの場合について示している。図6に示す結果を見ると、交点となる頂角φ(交点頂角)と交点となるブレーズ角θ(交点ブレーズ角)ともに、光軸入射角αの変化に対し、ほぼ線形に変化する。具体的には、交点頂角の変化量は、光線入射角αの変化量の0.845倍である。一方、交点ブレーズ角の変化量は、光線入射角αの変化量の1.065倍である。この場合、上記の直線と曲線との係数は、光線入射角αが変化してもほぼ変わらず、図2の特性は、光線入射角αの変化に対してそれぞれ前記比率を掛けた頂角φおよびブレーズ角θの大きさだけ平行移動するだけである。
ここで、第1実施形態において提示した条件式は、光線入射角αが79.25度であるときに成立する。これに対して、本実施形態では、光線入射角αの変化量(α−79.25)をσと定義する。このとき、効率の角度依存性は、図1に示す特性に対して、頂角φdをφd=0.845σ、またブレーズ角をθd=1.065σだけスライドしたものとほぼ等しい。したがって、本実施形態における高効率条件は、既出の式(6)で表される条件に加え、式(7)で表される。
0.1127291(φ−φd)2−19.67453(φ−φd)+938.74+θd≦θ≦0.36631(φ−φd)+48.84+θd (7)
0.1127291(φ−φd)2−19.67453(φ−φd)+938.74+θd≦θ≦0.36631(φ−φd)+48.84+θd (7)
このように、本実施形態によれば、光線入射角αを変数と考えたとしても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
1 回折格子
6 ブレーズ面
9 カウンタ面
α 光線入射角
θ ブレーズ角
φ 頂角
6 ブレーズ面
9 カウンタ面
α 光線入射角
θ ブレーズ角
φ 頂角
Claims (5)
- レーザ装置であって、
回折格子を含む共振器を有し、
前記回折格子は、断面が非対称な三角形状の格子を有する反射型の回折格子であって、
前記三角形状の短辺と格子平面とのなす角をθ度とし、前記短辺と前記三角形状の長辺とのなす角をφ度とし、前記回折格子に入射する光の前記格子平面の法線に対する入射角をα度とすると、前記なす角θ、φは、
φ+θ≦90度+α、
(0.1127291(φ−φd)2−19.67453(φ−φd)+938.74+θd)度≦θ≦(0.36631(φ−φd)+48.84+θd)度(ただし、φd=0.845σ度、θd=1.065σ度、σ=(α−79.25)度である)の式で表される条件を満たす
ことを特徴とするレーザ装置。 - 前記光の入射角は、79.1度から79.5度までの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
- 前記光の波長は、150nmから300nmまでの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ装置。
- 前記回折格子は、前記レーザ装置から出力されるレーザ光を狭帯域化することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のレーザ装置。
- 断面が非対称な三角形状の格子を有する反射型の回折格子を用いて分光する分光方法であって、
前記回折格子に光を入射させる工程と、
前記回折格子に入射した光を反射させて分光する工程と、を有し、
前記回折格子は、
前記三角形状の短辺と格子平面とのなす角をθ度とし、前記短辺と前記三角形状の長辺とのなす角をφ度とし、前記回折格子に入射する光の前記格子平面の法線に対する入射角をα度とすると、前記なす角θ、φは、
φ+θ≦90度+α、
(0.1127291(φ−φd)2−19.67453(φ−φd)+938.74+θd)度≦θ≦(0.36631(φ−φd)+48.84+θd)度(ただし、φd=0.845σ度、θd=1.065σ度、σ=(α−79.25)度である)の式で表される条件を満たす
ことを特徴とする分光方法。
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