JP2018138628A - ポリアクリロニトリル系共重合体、炭素繊維前駆体繊維、耐炎化繊維束の製造方法および炭素繊維束の製造方法 - Google Patents

ポリアクリロニトリル系共重合体、炭素繊維前駆体繊維、耐炎化繊維束の製造方法および炭素繊維束の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素化収率が高い炭素繊維前駆体繊維、およびこの炭素繊維前駆体繊維として適したポリアクリロニトリル系共重合体と、高品質な炭素繊維束を高い炭素化収率で生産性よく製造する方法、およびこの炭素繊維束の製造に適した耐炎化繊維束の製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される構造単位(A)を1〜30質量%、(メタ)アクリルアミド系モノマー由来の構造単位(B)を1〜5質量%、(メタ)アクリル酸系モノマー由来の構造単位(C)を0.1〜2質量%、および下記一般式(2)で表される構造単位(D)を63〜97.9質量%含有するポリアクリロニトリル系共重合体を用いる。
[化1]
Figure 2018138628

【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアクリロニトリル系共重合体、炭素繊維前駆体繊維、耐炎化繊維束の製造方法および炭素繊維束の製造方法に関する。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有することが知られており、複合材料用補強繊維として、スポーツ用途や航空・宇宙用途に加え、自動車、土木、建築、圧力容器、風車ブレード等の一般産業用途にも幅広く展開されつつある。年々、炭素繊維に求められる力学特性力学特性のレベルも高まっており、また生産増加能力の増強も強く要求されている。
従来、炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)などからなる炭素繊維前駆体繊維を束ねた前駆体繊維束を用い、次のような工程を経て得られる。まず、耐炎化工程により数十〜数百錘の前駆体繊維束を200〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化熱処理し、得られた耐炎化繊維束を、炭素化工程において300℃以上の不活性雰囲気中で焼成し、炭素繊維束を得る。
耐炎化工程および炭素化工程は、炭素繊維の物性および生産性を左右する重要な工程である。耐炎化工程では炭素繊維前駆体繊維を構成する高分子鎖を酸化させると共に高分子鎖に結合したニトリル基を環化させることにより、次の炭素化工程に耐えうる程度に熱的に安定な構造を有する繊維に転換させる。炭素化工程では、さらに高温の不活性雰囲気で酸化を促進させ、繊維の構造を緻密化させることで、高い強度・弾性率を有する炭素繊維束を得ることができる。
しかし、この耐炎化工程および炭素化工程(以下、これらの工程を合わせて「焼成工程」ともいう。)で起こる化学反応により、炭素原子を含んだ分解物がガスとして放出されて炭素化収率が低くなり、生産性が悪くなるなどの問題がある。ここでいう炭素化収率とは、焼成工程を経て得られる炭素繊維束の質量と、焼成工程に導入する前の前駆体繊維束の質量の比(%)を指し、炭素繊維束の生産性の指標として用いられる。炭素繊維束の製造コスト低減の見地から、焼成工程において炭素化収率を向上させ、炭素繊維束の生産性を向上させる技術の確立が望まれている。
上記の課題を解決する技術として、これまでに様々な技術が報告されている。
例えば特許文献1には、前駆体繊維束にホウ素もしくはホウ素化合物を0.01〜10質量%含有させることにより、繊維断面方向に均一な耐炎化糸構造を形成させた後、これを炭素化して高い強度・弾性率を有する炭素繊維束を得る技術が開示されている。
特許文献2には、炭素繊維前駆体繊維用のポリアクリロニトリル系重合体100質量部にカーボンブラックを1〜100質量部含有させて、高い炭素化収率の炭素繊維束を得る技術が開示されている。
特開平3―174019号公報 特開2012−193465号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、炭素繊維束の物性向上に一定の効果を有するものの、炭素化収率の向上については必ずしも満足するものではなかった。
特許文献2に記載の技術は、炭素化収率の向上に一定の効果を有するものの、紡糸工程において不溶性のカーボンブラックが紡糸ノズルの詰まりを引き起こすことがあり、連続的な生産性の点で問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、炭素化収率が高い炭素繊維前駆体繊維、およびこの炭素繊維前駆体繊維として適したポリアクリロニトリル系共重合体を提供することを目的とする。また、本発明は、高品質な炭素繊維束を高い炭素化収率で生産性よく製造する方法、およびこの炭素繊維束の製造に適した耐炎化繊維束の製造方法を提供することを他の目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 下記一般式(1)で表される構造単位(A)を1〜30質量%、(メタ)アクリルアミド系モノマー由来の構造単位(B)を1〜5質量%、(メタ)アクリル酸系モノマー由来の構造単位(C)を0.1〜2質量%、および下記一般式(2)で表される構造単位(D)を63〜97.9質量%含有する、ポリアクリロニトリル系共重合体。
Figure 2018138628
式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアシル基、カルボキシ基、ハロホルミル基、ホスホノ基、スルホ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜12のアリールチオ基である。ただし、RおよびRのうち少なくとも1つは水素原子である。
Figure 2018138628
式(2)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアシル基、ホスホノ基、スルホ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜12のアリールチオ基である。ただし、R、RおよびRのうち少なくとも2つは水素原子である。
[2] [1]に記載のポリアクリロニトリル系共重合体を含む、炭素繊維前駆体繊維。
[3] [2]に記載の炭素繊維前駆体繊維で構成される繊維束を酸化性雰囲気中、120分以下の時間、220〜300℃に加熱する、耐炎化繊維束の製造方法。
[4] [3]に記載の耐炎化繊維束の製造方法により耐炎化繊維束を得た後、この耐炎化繊維束を不活性雰囲気中、800〜2000℃に加熱する、炭素繊維束の製造方法。
本発明によれば、炭素化収率が高い炭素繊維前駆体繊維、およびこの炭素繊維前駆体繊維として適したポリアクリロニトリル系共重合体を提供できる。
また、本発明によれば、高品質な炭素繊維束を高い炭素化収率で生産性よく製造する方法、およびこの炭素繊維束の製造に適した耐炎化繊維束の製造方法を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称であり、「(メタ)アリル」は、アリルとメタリルの総称である。
「ポリアクリロニトリル系共重合体」
本発明のポリアクリロニトリル系共重合体(以下、「共重合体(X)」ともいう。)は、以下に示す構造単位(A)、構造単位(B)、構造単位(C)および構造単位(D)を含有する。
<構造単位(A)>
構造単位(A)は下記一般式(1)で表される構造単位である。
Figure 2018138628
式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアシル基、カルボキシ基、ハロホルミル基、ホスホノ基、スルホ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜12のアリールチオ基である。ただし、RおよびRのうち少なくとも1つは水素原子である。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
およびRにおいて、アシル基はR−CO−で表される。Rは炭素数11以下の炭化水素基である。炭素数11以下の炭化水素基としては、炭素数1〜11のアルキル基、炭素数6〜11のアリール基などが挙げられる。炭素数11以下の炭化水素基は、直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよく、また、置換基(例えばヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン原子等)を有していてもよい。
アシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
およびRにおいて、ハロホルミル基は−C(=O)−Xで表される。Xはハロゲン原子である。
ハロホルミル基としては、例えばフルオロホルミル基、クロロホルミル基、ヨードホルミル基およびブロモホルミル基などが挙げられる。
およびRにおいて、脂肪族炭化水素基、アリール基、アルキルオキシ基(アルコキシ基)、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基は、それぞれ直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよく、また、置換基(例えばヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン原子、ニトロ基等)を有していてもよい。
脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基などが挙げられる。
アルキルオキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、ベンジルオキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
アルキルチオ基としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。
アリールチオ基としては、例えばフェニルチオ基、ベンジルチオ基などが挙げられる。
およびRのうち少なくとも1つは水素原子であり、重合度の観点、すなわち、分子量の大きいポリアクリロニトリル系共重合体が得られやすいことから、RおよびRの両方が水素原子であることが好ましい。
構造単位(A)の由来源となる単量体(以下、「単量体(a)」ともいう。)としては、例えばフマロニトリル(1,2−ジシアノエチレン)、1,2−ジアミノ−1,2−ジシアノエチレンなどが挙げられる。
単量体(a)としては、重合度の観点、すなわち、分子量の大きいポリアクリロニトリル系共重合体が得られやすいことから、フマロニトリルが好ましい。
これら単量体(a)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
共重合体(X)を構成する全ての構造単位の合計を100質量%としたときに、構造単位(A)の割合は1〜30質量%であり、2〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。
構造単位(A)の割合が1質量%以上であれば、焼成工程後の炭素化収率の高い炭素繊維前駆体繊維の製造に適した共重合体(X)を得ることができる。一方、構造単位(A)の割合が30質量%以下であれば、構造単位自身の熱分解による炭素化収率の低下を抑えることができる。単量体(a)は、後述する単量体(d)とのランダム共重合性が高く、さらに単量体(a)より得られる構造単位(A)は熱処理により環構造を形成すると考えられる。そのため、構造単位(A)の割合の上限が30質量%と多くても、共重合体(X)中の構造単位(D)への影響が小さく、炭素繊維束の品質の低下を抑えることができる。
<構造単位(B)>
構造単位(B)は(メタ)アクリルアミド系モノマー由来の構造単位である。
(メタ)アクリルアミド系モノマー(以下、「単量体(b)」ともいう。)としては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドの誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドの誘導体としては、分子量が105以下のものが好ましく、具体的には、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
単量体(b)としては、重合度の観点、すなわち、分子量の大きいポリアクリロニトリル系共重合体が得られやすいことから、(メタ)アクリルアミドが好ましい。
これら単量体(b)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
単量体(b)は、後述する単量体(d)とのランダム共重合性が高く、しかも得られる構造単位(B)は、熱処理により構造単位(D)と極めて似通った形で環構造を形成すると考えられる。さらに、構造単位(B)が有するアミド基は親水性基であるため、共重合体(X)を紡糸して炭素繊維前駆体繊維を製造する工程(紡糸工程)において、凝固時の沈殿剤である水と安定化し、急激で不均一な凝固を防ぎ、緻密なあるいは均質な炭素繊維前駆体繊維で構成される繊維束(以下、「前駆体繊維束」ともいう。)を得ることができる。
共重合体(X)を構成する全ての構造単位の合計を100質量%としたときに、構造単位(B)の割合は1〜5質量%であり、1〜4質量%であることが好ましく、1.5〜3質量%であることがより好ましい。
構造単位(B)の割合が1質量%以上であれば、紡糸原液を得る際の共重合体(X)の溶剤への溶解性の低下や、得られる炭素繊維束の力学物性保持に必要な炭素繊維前駆体繊維の緻密性の低下を抑制しやすくなる。加えて、親水性を保持しやすくなる。特に、構造単位(B)の割合が1.5質量%以上であれば、紡糸原液を得る際の共重合体(X)の溶解性がより高まるとともに、親水性を保持しやすくなる。一方、構造単位(B)の割合が5質量%以下であれば、炭素繊維束の力学物性の低下を抑制できる。特に、構造単位(B)の割合が3質量%以下であれば、構造単位(D)の割合を高く保つことができる。
<構造単位(C)>
構造単位(C)は(メタ)アクリル酸系モノマー由来の構造単位である。
(メタ)アクリル酸系モノマー(以下、「単量体(c)」ともいう。)としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の塩、(メタ)アクリル酸のエステル誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸のエステル誘導体としては、分子量が105以下のものが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレートなどが挙げられる。
単量体(c)としては、重合度の観点、すなわち、分子量の大きいポリアクリロニトリル系共重合体が得られやすいことから、(メタ)アクリル酸が好ましい。
これら単量体(c)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
単量体(c)は、後述する単量体(d)とのランダム共重合性が高く、得られる構造単位(C)は、熱処理により構造単位(D)と極めて似通った形で環構造の形成とその促進が起こると考えられる。さらに、構造単位(C)が有するカルボキシ基またはアルコキシカルボニル基は親水性基であるため、紡糸工程において、凝固時の沈殿剤である水と安定化し、急激で不均一な凝固を防ぎ、緻密なあるいは均質な炭素繊維前駆体繊維で構成される繊維束を得ることができる。
共重合体(X)を構成する全ての構造単位の合計を100質量%としたときに、構造単位(C)の割合は0.1〜2質量%であり、0.5〜1.5質量%であることが好ましい。
構造単位(C)の割合が0.1質量%以上であれば、紡糸原液を得る際の共重合体(X)の溶剤への溶解性の低下や、得られる炭素繊維束の力学物性保持に必要な炭素繊維前駆体繊維の緻密性の低下を抑制しやすくなる。加えて、環化反応の促進が期待できる。特に、構造単位(C)の割合が0.5質量%以上であれば、紡糸原液を得る際の共重合体(X)の溶解性がより高まるとともに、親水性を保持しやすくなる。また、環化反応が促進される。一方、構造単位(C)の割合が2質量%以下であれば、炭素繊維束の力学物性の低下を抑制できる。特に、構造単位(C)の割合が1.5質量%以下であれば、構造単位(D)の割合を高く保つことができる。
<構造単位(D)>
構造単位(D)は下記一般式(2)で表される構造単位である。
Figure 2018138628
式(2)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアシル基、ホスホノ基、スルホ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜12のアリールチオ基である。ただし、R、RおよびRのうち少なくとも2つは水素原子である。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
〜Rにおいて、脂肪族炭化水素基、アリール基、アルキルオキシ基(アルコキシ基)、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基は、それぞれ直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよい。
〜Rにおけるアシル基、脂肪族炭化水素基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基としては、それぞれRおよびRの説明において先に例示したものが挙げられる。
、RおよびRのうち少なくとも2つは水素原子であり、重合度の観点、すなわち、分子量の大きいポリアクリロニトリル系共重合体が得られやすいことから、少なくともRおよびRが水素原子であることが好ましく、R、RおよびRの全てが水素原子であることがより好ましい。
構造単位(D)の由来源となる単量体(以下、「単量体(d)」ともいう。)としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、α−シアノアクリレートなどが挙げられる。
単量体(d)としては、重合度の観点、すなわち、分子量の大きいポリアクリロニトリル系共重合体が得られやすいことから、(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
これら単量体(b)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
共重合体(X)を構成する全ての構造単位の合計を100質量%としたときに、構造単位(D)の割合は63〜97.9質量%であり、75.5〜96.5質量%であることが好ましく、85.5〜95質量%であることがより好ましい。
構造単位(D)の割合が63質量%以上であれば、得られる炭素繊維の力学物性を保持できる。一方、構造単位(D)の割合が97.9質量%以下であれば、紡糸原液を得る際の共重合体(X)の溶剤への溶解性の低下や、得られる炭素繊維束の力学物性に必要な炭素繊維前駆体繊維の緻密性の低下を抑制しやすくなる。
<任意単位>
共重合体(X)は、必要に応じて構造単位(A)、構造単位(B)、構造単位(C)および構造単位(D)以外の構造単位(以下、「任意構造単位」ともいう。)を含有してもよい。
任意構造単位の由来源となる単量体(以下、「任意単量体」ともいう。)としては、少なくとも単量体(a)および単量体(b)と共重合可能であれば特に限定されないが、例えばエチルメタクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の分子量が105超の(メタ)アクリレート類;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ブチルエステル等のカルボキシ基を有する単量体(単量体(c)を除く。);N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド等の分子量が105超のアミド基を含有する単量体;メチルビニルケトン、イソプロピルメチルケトン等のビニルケトン類;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体およびその塩;リン酸基を含有ビニル単量体およびその塩;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
これら任意単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
共重合体(X)を構成する全ての構造単位の合計を100質量%としたときに、任意構造単位の割合は2質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
<製造方法>
共重合体(X)の製造方法は特に限定されず、溶液重合、懸濁重合など公知の重合方法を採用することができる。また、重合開始剤としては特に限定されず、アゾ系化合物、有機過酸化物、また、過硫酸/亜硫酸のアンモニウム塩や、塩素酸/亜硫酸のアンモニウム塩などのレドックス触媒を用いることができる。
懸濁重合法により共重合体(X)を製造する場合、原料等を重合容器に仕込んでバッチプロセスとすることもできるし、例えば、オーバーフロー式の重合容器内に各単量体、純水、レドックス触媒およびpH調整剤(硫酸など)を連続的に一定量供給し、一定の温度に維持しながら攪拌を続け、オーバーフローしてきた重合体スラリーを洗浄、乾燥して共重合体(X)を連続的に得ることもできる。
<作用効果>
以上説明した本発明の共重合体(X)は、上述した構造単位(A)、構造単位(B)、構造単位(C)および構造単位(D)を特定量含有するので、紡糸性を良好に維持しつつ、炭素化工程の炭素化収率が高い炭素繊維前駆体繊維を得ることができる。
<用途>
本発明の共重合体(X)は、炭素繊維束を得るための炭素繊維前駆体繊維の製造に適している。炭素繊維束は、例えば以下の工程を有する炭素繊維束の製造方法により、本発明の共重合体(X)を用いて製造できる。
工程(1):共重合体(X)を溶剤に溶解して、紡糸原液を調製する工程(紡糸原液調製工程)。
工程(2):紡糸原液を紡糸して、炭素繊維前駆体繊維から構成される繊維束(前駆体繊維束)を得る工程(紡糸工程)。
工程(3):前駆体繊維束を酸化性雰囲気中、120分以下の時間、220〜300℃に加熱して(耐炎化処理)、耐炎化繊維束を得る工程(耐炎化工程)。
工程(4):耐炎化繊維束を不活性雰囲気中、800〜2000℃に加熱して(炭素化処理)、炭素繊維束を得る工程(炭素化工程)。
また、本発明の共重合体(X)を含む炭素繊維前駆体繊維から構成される繊維束(前駆体繊維束)を焼成することにより、炭素繊維束を製造することもできる。
なお、ここでいう「焼成」とは、前記耐炎化工程と前記炭素化工程とを含む。
以下、各工程について詳しく説明する。
「炭素繊維前駆体繊維」
本発明の炭素繊維前駆体繊維は、上述した本発明の共重合体(X)を含む。
炭素繊維前駆体繊維は、共重合体(X)のみからなるものであってもよいが、共重合体(X)以外のポリマー(他のポリマー)を含んでいてもよい。
<他のポリマー>
他のポリマーとしては、アクリロニトリル系重合体(Y)が挙げられる。
アクリロニトリル系重合体(Y)は、アクリロニトリルを主な単量体とし、これを重合して得られる重合体である。アクリロニトリル系重合体(Y)は、アクリロニトリルのみから得られるホモポリマーであってもよいし、主成分であるアクリロニトリルおよびアクリロニトリルと共重合可能なビニル系単量体(ただし、単量体(a)を除く。)の共重合体であってもよい。
アクリロニトリル系重合体(Y)を構成する全ての構造単位の合計を100質量%としたときに、アクリロニトリル単位の割合は70質量%以上が好ましく、ビニル系単量体単位の割合は30質量%以下が好ましい。さらに好ましくは、アクリロニトリル単位の割合は90〜98質量%であり、ビニル系単量体単位の割合は2〜10質量%である。
ビニル系単量体としては、アクリロニトリルと共重合可能なビニル系単量体(ただし、単量体(a)を除く。)であれば特に限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ウラリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の不飽和モノマー類;p−スルホフェニルメタリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
これらビニル系単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アクリロニトリル系重合体(Y)は、溶液重合、懸濁重合など公知の重合方法により得ることができる。
炭素繊維前駆体繊維がアクリロニトリル系重合体(Y)を含む場合、共重合体(X)100質量部に対してアクリロニトリル系重合体(Y)の含有量は100質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましい。炭素繊維前駆体繊維中の共重合体(X)の割合が少なすぎると、炭素化収率の向上効果が十分に得られにくくなる。
<添加剤>
炭素繊維前駆体繊維は、添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素材料;コロイダルシリカ、ガラス繊維等のガラス材料などが挙げられる。
炭素繊維前駆体繊維の総質量に対して、添加剤の割合は30質量%以下であることが好ましい。
<製造方法>
炭素繊維前駆体繊維は、本発明の共重合体(X)を含む紡糸原液を公知の方法で紡糸して得られる。具体的には、以下に示す工程(1)および工程(2)を経て得られる。
(工程(1):紡糸原液調製工程)
工程(1)は、共重合体(X)を溶剤に溶解して、紡糸原液を調製する工程である。
紡糸原液には、必要に応じて上述したアクリロニトリル系重合体(Y)や添加剤が含まれていてもよい。
紡糸原液に用いられる溶剤としては特に限定されないが、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤;塩化亜鉛、チオシアン酸ナトリウム等の無機化合物の水溶液などが挙げられる。紡糸して得られる繊維中に金属元素が混入されにくく、また、工程が簡略化される点で、有機溶剤が好ましく、その中でも凝固糸および湿熱延伸糸の緻密性が高いという点で、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
紡糸原液は、緻密な凝固糸を得るため、また、適正な粘度や流動性を発現させために、ある程度以上の共重合体濃度を有することが好ましい。具体的には、紡糸原液中の共重合体(X)およびアクリロニトリル系重合体(Y)の濃度の合計は、15〜30質量%であることが好ましく、18〜25質量%であることがより好ましい。
(工程(2):紡糸工程)
工程(2)は、紡糸原液を紡糸して、炭素繊維前駆体繊維から構成される繊維束(前駆体繊維束)を得る工程である。
紡糸方法としては公知の方法を採用でき、具体的には湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法などが挙げられる。これらの中でも、生産性や炭素繊維束の強度発現性の観点から、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法が好ましい。
工程(2)では、上記紡糸原液を、紡糸口金を介して凝固浴中に吐出して紡糸することで、凝固糸を得ることができる。このときの凝固浴としては、ジメチルアセトアミドの濃度が30〜70質量%であり、温度20〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液を用いることが好ましい。
ジメチルアセトアミド水溶液の濃度が30質量%以上であれば、凝固速度を適正な範囲に容易に保つことができ、凝固糸の急激な収縮が起こることを容易に防ぐことができ、糸の緻密性を容易に保つことができる。一方、ジメチルアセトアミド水溶液の濃度が70質量%以下であれば、凝固速度を適正な範囲に容易に保つことができるので、得られる前駆体繊維束の単糸間の接着を容易に抑制できる。
また、ジメチルアセトアミド水溶液の温度が20℃以上であれば、凝固張力を適正な範囲に容易に保つことができ、凝固浴中で単糸切れの発生を容易に抑制できる。さらに、凝固浴の冷却操作を簡略化することができ、設備投資やランニングコストを容易に抑制でき、低コストで前駆体繊維束を生産することが容易に可能となる。一方、ジメチルアセトアミド水溶液の温度が50℃以下であれば、炭素繊維束のストランド強度の低下を容易に抑制できる。
ジメチルアセトアミド水溶液の温度は、紡糸工程の安定性確保と、炭素繊維束のストランド強度向上の観点から25〜40℃がより好ましい。
湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法などで得られた凝固糸に対して、必要に応じて湿熱延伸を行うことができる。これにより繊維の配向をさらに高めることができる。
湿熱延伸は、具体的には、凝固糸を、水洗に付しながらの延伸、あるいは熱水中での延伸によって行われる。水洗と同時の延伸は紡糸工程の簡略化、効率化の点で好ましく、熱水中での延伸は生産性の点で好ましい。湿熱延伸における延伸倍率は2.5倍以上が好ましく、3.0倍以上がより好ましい。延伸倍率が2.5倍以上であれば、繊維の配向を高める十分な効果を容易に得ることができる。延伸倍率の上限は特に限定されないが、紡糸工程の安定性確保の点からは6.0倍以下が好ましい。
さらに、湿熱延伸後の繊維束に対してシリコーン系油剤の添油処理を行うことができる。
シリコーン系油剤としては、例えばアミノシリコーン系油剤等、一般的なシリコーン系油剤を用いることができる。シリコーン系油剤は、0.4〜1.5質量%の濃度に調製して用いることが好ましい。シリコーン系油剤の濃度が0.4質量%以上であれば、繊維束への油剤の付着量が非常に少なくなることを容易に防ぐことができ、一方、シリコーン系油剤の濃度が1.5質量%以下であれば、油剤の付着量が非常に多くなることを容易に防ぐことができる。シリコーン系油剤の濃度は、0.8〜1.5質量%であることがより好ましい。
さらに、添油処理後の繊維束を乾燥し、乾燥された繊維束(乾燥緻密化糸)を得ることができ、さらにスチーム延伸もしくは乾熱延伸で、この乾燥された繊維束を1.2〜4.0倍に延伸することもできる。なお、延伸倍率は、炭素繊維束の力学物性の観点から1.3倍以上であることが好ましい。
炭素繊維前駆体繊維は通常、引き揃った単繊維の集合体である繊維束(前駆体繊維束)として製造され取り扱われる。一つの繊維束に含まれる単繊維数は200〜300000本が好ましく、300〜200000本がより好ましく、400〜100000本がさらに好ましい。単繊維数が上記範囲内であれば、耐炎化工程および炭素化工程での前駆体繊維束の取り扱いが容易であるとともに、得られる炭素繊維束を複合材料に成形する際の取り扱いも容易である。
前駆体繊維束の繊維の密度は、1.3〜1.43g/cmであることが好ましく、1.33〜1.38g/cmであることがより好ましい。前駆体繊維束の繊維の密度が上記範囲内であれば、炭素繊維束の力学物性の低下を容易に抑えつつ、得られる炭素繊維束の収率を容易に向上させることが可能である。
なお、前駆体繊維束の繊維の密度は、JIS K 7112に基づく密度勾配管法により測定される値である。
<作用効果>
以上説明した本発明の炭素繊維前駆体繊維は、本発明の共重合体(X)を含むので、焼成工程の炭素化収率の高い。
「耐炎化繊維束」
耐炎化繊維束は、本発明の炭素繊維前駆体繊維で構成される繊維束(前駆体繊維束)を耐炎化処理することで得られる。具体的には、以下に示す工程(3)を経て得られる。
<製造方法>
(工程(3):耐炎化工程)
工程(3)は、前駆体繊維束を酸化性雰囲気中、120分以下の時間、220〜300℃に加熱して(耐炎化処理)、耐炎化繊維束を得る工程である。
ここで、「酸化性雰囲気」とは、空気雰囲気、もしくは、酸素、二酸化窒素、二酸化硫黄などの公知の酸化性物質を含む雰囲気のことである。これらの中でも、経済性の面から、酸化性雰囲気としては空気雰囲気が好ましい。
なお、「酸化性物質」とは、酸素を与えることにより有機物の酸化を引き起こす物質を意味する。
耐炎化処理の方法としては特に限定されず、例えば従来公知の耐炎化炉(熱風循環炉)を用いる方法や加熱固体表面に接触させる方法を採用できる。
耐炎化炉を用いる方法では、通常、耐炎化炉に入った前駆体繊維束を一旦耐炎化炉の外部に出した後、耐炎化炉の外部に配設された折り返しロールによって折り返して耐炎化炉に繰り返し通過させる方法が採られる。
加熱固体表面に接触させる方法では、前駆体繊維束を間欠的に加熱固体表面に接触させる方法が採られる。
耐炎化処理の温度(耐炎化処理温度)は220〜300℃であることが好ましい。耐炎化処理温度が220℃以上であれば、耐炎化反応の暴走を抑制でき、効率的に耐炎化処理を行うことができる。一方、耐炎化処理温度が300℃以下であれば、炭素繊維前駆体繊維のポリアクリロニトリル骨格を熱分解させることなく耐炎化処理することが容易に可能である。
耐炎化処理を行う時間(耐炎化処理時間)は、120分以下であることが好ましく、90分以下であることがより好ましく、50分以下であることがさらに好ましい。耐炎化処理時間が120分以下であれば、耐炎化処理工程が生産性を損なう原因となることを容易に防ぐことができ、効率よく炭素繊維束を製造することが可能である。耐炎化処理時間の下限については特に制限されないが、10分以上であることが好ましく、20分以上であることがより好ましい。耐炎化処理時間が10分以上であれば、前駆体繊維束を構成する単繊維内部への十分な酸素の拡散が得られ、均一に耐炎化された耐炎化繊維を得ることができる。
耐炎化処理によって得られる耐炎化繊維束の繊維の密度は、1.3〜1.43g/cmであることが好ましい。耐炎化繊維束の繊維の密度が1.3g/cm以上であれば、耐炎化工程中での熱融着が起こりにくく、炭素繊維束を容易に製造することが可能である。一方、耐炎化繊維束の繊維の密度が1.43g/cm以下であれば、炭素繊維束の力学物性の低下を抑制できる。得られる炭素繊維束の生産性と力学物性保持の観点から、耐炎化繊維束の繊維の密度は、1.33〜1.38g/cmであることがより好ましい。
上述したように、耐炎化処理温度220〜300℃、かつ耐炎化処理時間120分以下で、前駆体繊維束を耐炎化処理することにより、得られる耐炎化繊維束の繊維の密度を上記範囲内に容易に制御することができる。
なお、耐炎化繊維束の繊維の密度は、JIS K 7112に基づく密度勾配管法により測定される値である。
<作用効果>
以上説明した、本発明の耐炎化繊維束の製造方法によれば、本発明の炭素繊維前駆体繊維で構成される繊維束を酸化性雰囲気中、特定の温度および特定の時間、加熱して耐炎化繊維束を製造する。よって、得られた耐炎化繊維束を炭素化処理すれば、炭素化収率を低下させることなく効率的に炭素繊維を製造することができる。
このように、本発明の耐炎化繊維束の製造方法によれば、炭素繊維束の製造に適した耐炎化繊維束を製造できる。
「炭素繊維束」
炭素繊維束は、上述した方法により耐炎化繊維束を製造し、得られた炭素繊維束を炭素化処理することで得られる。具体的には、以下に示す工程(4)を経て得られる。
<製造方法>
(工程(4):炭素化工程)
工程(4)は、耐炎化繊維束を不活性雰囲気中、800〜2000℃に加熱して(炭素化処理)、炭素繊維束を得る工程である。
ここで、「不活性雰囲気」とは、酸素、二酸化窒素、二酸化硫黄などの公知の酸化性物質を実質的に含まない雰囲気のことである。「実質的に」とは、不活性雰囲気を形成する気体の全体体積に対して、酸化性物質の体積濃度が1体積%以下であることを意味する。
なお、不活性雰囲気を形成する気体(不活性ガス)としては、有機物と反応を起こしにくく、化学的に安定した気体が挙げられ、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムなどが不活性ガスとして挙げられる。
炭素化処理の方法としては、例えば炭素化炉に不活性ガスを導入した状態で、耐炎化繊維束を導入して保持して、耐炎化繊維束を加熱した後に取り出すことで炭素化処理する。
炭素化処理の温度(炭素化処理温度)は800〜2000℃であることが好ましい。炭素化処理温度が800℃以上であれば、炭素化反応速度が遅くなるのを抑制できるので、短時間で炭素化処理できる。一方、炭素化処理温度が2000℃以下であれば、炭素化炉の断熱材の寿命が長く経済的に処理することができる。
炭素化処理温度は一定でもよいし、炭素化処理中に昇温させてもよい。昇温させる場合、例えば炭素化炉内に複数の加熱ゾーンを設置し、上流側の加熱ゾーンから下流側の加熱ゾーンに向かって温度が高くなるように各加熱ゾーンの温度を設定して、上流側の加熱ゾーンから下流側の加熱ゾーンに向かって順次通過させて処理することで実現できる。
炭素化処理を行う時間(炭素化処理時間)は特に制限されないが、1〜60分であることが好ましく、10〜40分であることがより好ましい。炭素化処理時間が1分以上あれば、炭素化収率がより高くなる傾向にある。一方、炭素化処理時間が60分以下あれば、得られる炭素繊維束の機械特性が向上する傾向にある。また、生産性を良好に維持できる。
炭素化処理によって得られる炭素繊維束の単繊維の最大径は、6〜20μmであることが好ましい。単繊維の最大径が6μm以上であれば、炭素繊維束の取扱い中に単繊維が切れて毛羽立つことが抑制される。一方、単繊維の最大径が20μm以下であれば、単繊維の断面の各部位における弾性率を均一にしやすい。
なお、工程(3)と工程(4)との間に、耐炎化繊維束に対して、不活性ガス中、最高温度が炭素化処理温度より低い温度(例えば、550℃以上800℃未満)に加熱する前炭素化処理を行ってもよい(前炭素化工程)。
なお、前炭素化工程を行う場合、「焼成」には、耐炎化工程と前炭素化工程と炭素化工程とを含む。
<その他の工程>
炭素化工程により得られた炭素繊維束は、そのまま炭素繊維束として用いることができるが、必要に応じて公知の方法により黒鉛化したものを炭素繊維束として用いてもよい。例えば炭素繊維束を不活性雰囲気中、2500〜2800℃程度の高温で処理することによって、黒鉛化された炭素繊維束(黒鉛繊維束)が得られる。
また、炭素繊維束に集束性を付与するために、サイジング処理をすることもできる。
サイジング処理に用いるサイジング剤としては、所望の特性を得ることができれば特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂を主成分としたサイジング剤が挙げられる。サイジング処理の方法としては、公知の方法を用いることができる。
<用途>
このようにして得られる炭素繊維束は、例えばマトリックス樹脂と組み合わされて、複合材料として成形され、様々な用途に利用される。
マトリックス樹脂としては特に制限されないが、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル重合系樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂の変性体を用いることもできる。また、マトリックス樹脂としては市販品を用いてもよい。
炭素繊維束を用いた複合材料の用途としては特に限定されず、例えば、自動車用部材、航空宇宙素材、スポーツ・レジャー用素材、圧力容器等の工業用素材など、幅広い用途に使用できる。
<作用効果>
以上説明した、本発明の炭素繊維束の製造方法によれば、本発明の耐炎化繊維束の製造方法により耐炎化繊維束を製造し、得られた耐炎化繊維束を不活性雰囲気中、特定の温度で加熱して炭素化処理するので、高品質な炭素繊維束を高い炭素化収率で生産性よく製造でき、ひいては炭素繊維束の製造コストを低減できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例で行った各種測定方法は、以下の通りである。
「測定・評価」
<共重合体の組成測定>
共重合体の組成(各単量体単位の比率(質量%))は、H−NMR法により、以下のようにして測定した。
溶媒としてジメチルスルホキシド−d6溶媒を用い、共重合体を溶解させ、NMR測定装置(日本電子株式会社製、製品名:GSZ−400型)により、積算回数500回、測定温度80℃の条件で測定し、各ケミカルシフトに属するシグナルの積分値の比から各単量体単位のモル比率を求めて、質量比率を算出した。
<前駆体繊維束の単繊維繊度の測定>
単繊維繊度とは、繊維1本の単位長さ当りの質量を意味する。前駆体繊維束を1.000mとり、その質量をフィラメント数で除した後、10000倍し、dtex単位で表現される単繊維繊度とした。
<前駆体繊維束および耐炎化繊維束の繊維の密度の測定>
前駆体繊維束および耐炎化繊維束の繊維の密度は、JIS K 7112に基づく密度勾配管法により測定した。
<炭素化収率の測定>
炭素化収率は、前駆体繊維束の質量および炭素繊維束の質量を測定し、下記式より求めた。
炭素化収率(%)=(炭素繊維束の質量/前駆体繊維束の質量)×100
「実施例1」
<共重合体(X1)の製造>
以下の試薬を原料として用いた。
・単量体(a):フマロニトリル(東京化成工業株式会社製、EPグレード、>98%)
・単量体(b):アクリルアミド(和光純薬工業株式会社製、電気泳動用グレード、>99%)
・単量体(c):メタクリル酸(和光純薬工業株式会社製、和光特級グレード、>99%)
・単量体(d):アクリロニトリル(関東化学株式会社製、特鹿級グレード、>98%)
・レドックス重合開始剤:
過硫酸アンモニウム(和光純薬工業株式会社製、和光特級グレード、>98%)
亜硫酸水素アンモニウム(和光純薬工業株式会社製、化学用グレード、45%〜55%)
硫酸第一鉄(FeSO・7HO)(和光純薬工業株式会社製、和光特級グレード、99%〜102%)
・pH調整剤:硫酸(和光純薬工業株式会社製、超純度特級グレード、>95%)
純水で6質量%水溶液の希硫酸に調整し、用いた。
・反応停止剤:シュウ酸(和光純薬工業株式会社製、和光特級グレード、>98%)、炭酸水素アンモニウム(和光純薬工業株式会社製、和光一級グレード、>98%)
純水で0.456質量%シュウ酸、1.76質量%炭酸水素アンモニウム水溶液に調整し、反応停止剤として用いた。
・重合媒体:純水(電気伝導度>5μS/cm)
容量2Lのセパラブルフラスコに純水を1.80L入れ、ダブルヘリカルリボン撹拌翼(SUS316製 W85mm×H150mm)で撹拌しながら、希硫酸を加えてpHが3.0になるように調整し、セパラブルフラスコ内を55℃に保持した。
次に、過硫酸アンモニウムの2.75質量%水溶液34.7g、亜硫酸水素アンモニウムの5.0質量%水溶液28.6g、硫酸第一鉄の6.0×10−4質量%水溶液9.1gを同セパラブルフラスコに投入して撹拌し均一化した。撹拌を継続しつつ、アクリロニトリル(AN)89質量部、フマロニトリル(FN)5.0質量部、アクリルアミド(AAm)5.0質量部、メタクリル酸(MAA)1.00質量部、純水30.7質量部からなる単量体が均一に溶解された混合物238gをセパラブルフラスコに投入した。
セパラブルフラスコ内を55℃に保持して1.0時間攪拌を継続し、重合体スラリーを得た。
得られた重合体スラリーを撹拌しながら反応停止剤をpHが5.5になるまで加えて重合反応を停止させた。次いで、pHを調整した重合スラリーを吸引濾過器により、70℃の水で3回洗浄濾過した後、2日間、70℃のスチーム乾燥機で加熱乾燥した後、粉砕し、共重合体(X1)を得た。
得られた共重合体(X1)の組成をNMRにより測定したところ、フマロニトリル単位が4.1質量%、アクリルアミド単位が2.9質量%、メタクリル酸単位が0.7質量%、アクリロニトリル単位が92.3質量%であった。すなわち、共重合体(X1)は、上記一般式(1)中のRおよびRがいずれも水素原子である構造単位(A)4.1質量%と、アクリルアミド由来の構造単位(B)2.9質量%と、メタクリル酸由来の構造単位(C)0.7質量%と、上記式(2)中のR、RおよびRがいずれも水素原子である構造単位(D)92.3質量%とで構成されている。
<前駆体繊維束の製造>
得られた共重合体(X1)をジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解して濃度21質量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を湿式紡糸法にて紡糸し、前駆体繊維束を得た。凝固浴としては、DMAcの濃度が67質量%であり、温度が38℃であるDMAc水溶液を用いた。
得られた前駆体繊維束の単繊維繊度は1.2dtex、フィラメント数400、繊維の密度は1.19g/cmであった。
<耐炎化繊維束の製造>
熱風循環式耐炎化炉を用い、260℃の加熱空気中で得られた前駆体繊維束を20分間加熱して(耐炎化処理)、耐炎化繊維束を得た。
得られた耐炎化繊維束の繊維の密度は1.33g/cmであった。
<炭素繊維束の製造>
得られた耐炎化繊維束を最高温度1400℃の窒素雰囲気中で加熱して(炭素化処理)、炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束の炭素化収率を測定したところ、55.8%であった。結果を表1に示す。
「比較例1〜4」
表1に示す仕込み組成に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体(Z1)〜共重合体(Z4)を製造し、得られた共重合体(Z1)〜共重合体(Z4)を用いて炭素繊維前駆体繊維、耐炎化繊維束および炭素繊維束を製造した。各種測定結果を表1に示す。
Figure 2018138628
表1から明らかなように、実施例1で得られた炭素繊維束は炭素化収率が高かった。
対して、構造単位(B)を含まない共重合体(Z1)を用いた比較例1の場合、紡糸中に糸切れが多発した。これは、共重合体(Z1)のDMAcへの溶解性が低いためと推定される。そのため、耐炎化繊維束および炭素繊維束は製造しなかった。
構造単位(A)を含まない共重合体(Z2)を用いた比較例2の炭素繊維束は、炭素化収率が低かった。
構造単位(B)および構造単位(C)を含まない共重合体(Z3)を用いた比較例3の場合、共重合体(Z3)のDMAcへの溶解性が著しく低く、紡糸することができなかった。
構造単位(C)を含まない共重合体(Z4)を用いた比較例4の場合、耐炎化繊維束の繊維の密度が低く、低い炭素化収率を示した。
本発明によれば、従来のPAN系炭素繊維の製造方法よりも炭素化収率が高く、生産性よく炭素繊維束を製造することができ、有用である。
本発明により得られる炭素繊維束は、例えばプリプレグ化したのち複合材料に成形することもできる。この炭素繊維束を用いた複合材料は、ゴルフシャフトや釣り竿などのスポーツ用途、さらには構造材料として自動車や航空宇宙用途、また各種ガス貯蔵タンク用途などに好適に用いることができ、有用である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位(A)を1〜30質量%、(メタ)アクリルアミド系モノマー由来の構造単位(B)を1〜5質量%、(メタ)アクリル酸系モノマー由来の構造単位(C)を0.1〜2質量%、および下記一般式(2)で表される構造単位(D)を63〜97.9質量%含有する、ポリアクリロニトリル系共重合体。
    Figure 2018138628
    (式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアシル基、カルボキシ基、ハロホルミル基、ホスホノ基、スルホ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜12のアリールチオ基である。ただし、RおよびRのうち少なくとも1つは水素原子である。)
    Figure 2018138628
    (式(2)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアシル基、ホスホノ基、スルホ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜12のアリールチオ基である。ただし、R、RおよびRのうち少なくとも2つは水素原子である。)
  2. 請求項1に記載のポリアクリロニトリル系共重合体を含む、炭素繊維前駆体繊維。
  3. 請求項2に記載の炭素繊維前駆体繊維で構成される繊維束を酸化性雰囲気中、120分以下の時間、220〜300℃に加熱する、耐炎化繊維束の製造方法。
  4. 請求項3に記載の耐炎化繊維束の製造方法により耐炎化繊維束を得た後、この耐炎化繊維束を不活性雰囲気中、800〜2000℃に加熱する、炭素繊維束の製造方法。
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