[検出対象物質捕捉ユニット]
図1〜図3を用いて、検出対象物質捕捉ユニットの一例を説明する。図1は検出対象物質捕捉ユニットをカートリッジ側から見た状態を示している。図2Aは図1のA−Aで切断した検出対象物質捕捉ユニットの断面を示している。図2Bはカートリッジを試料分析用ディスクより取り外した状態を示している。図3は図1のウェルをB−Bで切断した状態を部分的に拡大して示している。
図1に示すように、検出対象物質捕捉ユニット100は、試料分析用ディスク200とカートリッジ300とを備える。試料分析用ディスク200は、例えば、ブルーレイディスク(BD)、DVD、コンパクトディスク(CD)等の光ディスクと同等の円板形状を有する。試料分析用ディスク200は、例えば、一般的に光ディスクに用いられるポリカーボネート樹脂またはシクロオレフィンポリマー等の樹脂材料で形成されている。なお、試料分析用ディスク200は、上記の光ディスクに限定されるものではなく、他の形態または所定の規格に準拠した光ディスクを用いることもできる。
図1、図2A、または図2Bに示すように、試料分析用ディスク200は、中心部に形成された中心孔201と、外周部に形成された切欠き部202とを有する。切欠き部202は試料分析用ディスク200の基準位置を識別するための基準位置識別部である。
図3に示すように、試料分析用ディスク200の表面には、凸部203と凹部204とが半径方向に交互に配置されたトラック領域205が形成されている。凸部203及び凹部204は、内周部から外周部に向かってスパイラル状に形成されている。凸部203は光ディスクのランドに相当する。凹部204は光ディスクのグルーブに相当する。凹部204の半径方向のピッチに相当するトラックピッチは例えば320nmである。
図1、図2A、または図2Bに示すように、カートリッジ300は、周方向に複数の円筒状の貫通孔301が形成されている。複数の貫通孔301は、それぞれの中心が同一円周上に位置するように等間隔に形成されている。カートリッジ300は、中心部に形成された凸部302と、外周部に形成された凸部303とを有する。
カートリッジ300を試料分析用ディスク200に取り付ける場合に、凸部302を試料分析用ディスク200の中心孔201に挿入し、凸部303を切欠き部202に挿入することにより、カートリッジ300と試料分析用ディスク200とを位置決めすることができる。
図2A及び図3に示すように、検出対象物質捕捉ユニット100は、カートリッジ300の貫通孔301と試料分析用ディスク200のトラック領域205とによって形成される複数のウェル101を有する。貫通孔301の内周面はウェル101の内周面を構成し、試料分析用ディスク200のトラック領域205はウェル101の底面を構成している。ウェル101は試料液及び緩衝液等の溶液を溜めるための容器である。なお、図1では、一例として8つのウェル101を示しているが、ウェル101の数はこれに限定されるものではない。
図2Bに示すように、カートリッジ300を試料分析用ディスク200から分離することができる。検出対象物質を標識する微粒子の検出及び計測は、カートリッジ300が分離された試料分析用ディスク200単体で行われる。
[反応領域の形成]
図4のフローチャート、図5A、図5B、図5C、図6、及び図7を用いて、検出対象物質捕捉ユニット100の試料分析用ディスク200上に反応領域を形成する方法の一例を説明する。
オペレータは、ステップS101にて、図5Aに示すように、抗体111を含む緩衝液112を、検出対象物質捕捉ユニット100のウェル101に注入する。オペレータは、検出対象物質捕捉ユニット100を、適切な時間、適切な温度でインキュベートさせる。これにより、抗体111は、ウェル101の底面を構成する試料分析用ディスク200のトラック領域205上に固定される。
緩衝液112を注入したときに、ウェル101の底面を構成する試料分析用ディスク200のトラック領域205上に気泡113が付着する場合がある。気泡113は、ウェル101の内周面と底面との境界部、即ち、カートリッジ300の貫通孔301の内周面と試料分析用ディスク200のトラック領域205との境界部に付着しやすい。気泡113がトラック領域205上に付着すると、気泡113が付着している気泡領域では、抗体111はトラック領域205上に固定されない。
オペレータは、ウェル101から緩衝液112を排出し、ウェル101を別の緩衝液で洗浄する。トラック領域205に固定されなかった抗体111はこの洗浄によって除去される。
オペレータは、ステップS102にて、図5Bに示すように、検出対象物質121を含む試料液122をウェル101に注入する。検出対象物質121は、例えばエクソソームである。なお、試料液122には検出対象物質121が含まれていない場合もある。説明をわかりやすくするために、試料液122に検出対象物質121が含まれている場合について説明する。
オペレータは、検出対象物質捕捉ユニット100を、適切な時間、適切な温度でインキュベートさせる。これにより、検出対象物質121は、トラック領域205上に固定されている抗体111と抗原抗体反応により特異的に結合する。その結果、検出対象物質121は、トラック領域205に捕捉される。
試料液122を注入したときに、ウェル101の底面を構成する試料分析用ディスク200のトラック領域205上に気泡123が付着する場合がある。同様に、気泡123は、ウェル101の内側面と底面との境界部、即ち、カートリッジ300の貫通孔301の内周面と試料分析用ディスク200のトラック領域205との境界部に付着しやすい。
気泡123がトラック領域205上に付着すると、気泡123が付着している気泡領域では、検出対象物質121は、トラック領域205上に固定される抗体111と結合することができない。そのため、気泡領域では、検出対象物質121はトラック領域205上に捕捉されない。
なお、ステップS101でトラック領域205に気泡領域が形成された場合、気泡領域では検出対象物質121と結合する抗体111がトラック領域205上に固定されていない。そのため、試料液122を注入したときにトラック領域205上に気泡123が付着しなかった場合でも、ステップS101で形成された気泡領域では、検出対象物質121はトラック領域205上に捕捉されない。
オペレータは、ウェル101から試料液122を排出し、ウェル101を緩衝液で洗浄する。なお、抗体111と結合しないで試料液122中に分散している検出対象物質121、及び、抗原抗体反応ではない非特異吸着によってトラック領域205上に付着している検出対象物質121は、この洗浄によって除去される。
オペレータは、ステップS103にて、図5Cに示すように、標識となる微粒子131を含む緩衝液132をウェル101に注入する。微粒子131の表面には検出対象物質121と抗原抗体反応により特異的に結合する抗体が形成されている。
オペレータは、検出対象物質捕捉ユニット100を、適切な時間、適切な温度でインキュベートさせる。これにより、微粒子131は、トラック領域205上に捕捉されている検出対象物質121と抗原抗体反応により特異的に結合する。その結果、微粒子131は、トラック領域205、具体的にはトラック領域205の凹部204に、検出対象物質121と結合した状態で捕捉される。
緩衝液132を注入したときに、ウェル101の底面を構成する試料分析用ディスク200のトラック領域205上に気泡133が付着する場合がある。同様に、気泡133は、ウェル101の内側面と底面との境界部、即ち、カートリッジ300の貫通孔301の内周面と試料分析用ディスク200のトラック領域205との境界部に付着しやすい。気泡133がトラック領域205上に付着すると、気泡133が付着している気泡領域では、微粒子131は、トラック領域205上に捕捉されている検出対象物質121と結合することができない。そのため、気泡領域では、微粒子131はトラック領域205上に捕捉されない。
なお、ステップS101またはステップS102でトラック領域205に気泡領域が形成された場合、気泡領域では、微粒子131と結合する検出対象物質121がトラック領域205上に固定されていない。そのため、緩衝液132を注入したときにトラック領域205上に気泡133が付着しなかった場合でも、ステップS101またはステップS102で形成された気泡領域では、微粒子131はトラック領域205上に固定されない。
オペレータは、ウェル101から緩衝液132を排出し、ウェル101を別の緩衝液で洗浄し、乾燥させる。なお、検出対象物質121と結合しないで緩衝液132中に分散している微粒子131は洗浄により除去される。
オペレータは、ステップS104にて、図2Bに示すように、検出対象物質捕捉ユニット100のカートリッジ300と試料分析用ディスク200とを分離する。試料分析用ディスク200には、複数のウェル101に対応して複数の円形の反応領域210が形成されている。
図6に示すように、反応領域210では、微粒子131が検出対象物質121と結合した状態でトラック領域205の凹部204に捕捉されている。即ち、検出対象物質121は、抗体111と微粒子131とによってトラック領域205の凹部204にサンドイッチ捕獲されている。図7は、微粒子131が検出対象物質121と結合した状態でトラック領域205の凹部204に捕捉されている状態の一例を示している。
[第1実施形態]
図8〜図13を用いて、第1実施形態の分析装置及び分析方法を説明する。図8を用いて、第1実施形態の分析装置を説明する。検出対象物質121がエクソソームである場合、エクソソームの大きさは100nm程度と小さいため、光学的に直接検出することは難しい。第1実施形態の分析装置1は、反応領域210に捕捉されている微粒子131を検出し、計測することにより、微粒子131と特異的に結合している検出対象物質121を間接的に検出し、計測する。
分析装置1は、ターンテーブル2と、クランパ3と、ターンテーブル駆動部4と、ターンテーブル駆動回路5と、基準位置検出センサ6とを備える。また、分析装置1は、ガイド軸7と、光ピックアップ20と、光ピックアップ駆動回路8と、制御部9と、記憶部10と、表示部11とを備える。なお、分析装置1は表示部11を備えていなくてもよく、外部の表示部を用いてもよい。
ターンテーブル2上には、試料分析用ディスク200が、反応領域210が下向きになるように載置される。クランパ3は、ターンテーブル2に対して離隔する方向及び接近する方向、即ち、図8の上方向及び下方向に駆動される。試料分析用ディスク200は、クランパ3が下方向に駆動されると、クランパ3とターンテーブル2とによって保持される。
ターンテーブル駆動部4は、ターンテーブル2を試料分析用ディスク200及びクランパ3と共に、回転軸C2回りに回転駆動させる。ターンテーブル駆動部4としてスピンドルモータを用いてもよい。ターンテーブル駆動回路5はターンテーブル駆動部4を制御する。例えば、ターンテーブル駆動回路5は、ターンテーブル2が試料分析用ディスク200及びクランパ3と共に一定の線速度で回転するようにターンテーブル駆動部4を制御する。
基準位置検出センサ6は、試料分析用ディスク200の外周部近傍に配置されている。基準位置検出センサ6は、例えばフォトリフレクタ等の光センサである。基準位置検出センサ6は、試料分析用ディスク200が回転している状態で、試料分析用ディスク200の外周部に検出光6aを照射し、試料分析用ディスク200からの反射光を受光する。
基準位置検出センサ6は、試料分析用ディスク200の切欠き部202を検出して基準位置検出信号KSを生成し、制御部9へ出力する。基準位置検出信号KSは、切欠き部202が基準位置検出センサ6の検出位置、即ち検出光6aが照射される位置に到達すると立ち上がってオン状態となり、通過すると立ち下がってオフ状態となるパルス信号である。
即ち、基準位置検出センサ6は、試料分析用ディスク200の回転周期及びトラック毎に基準位置を検出する。基準位置検出センサ6として透過型の光センサを用いてもよい。この場合、基準位置検出センサ6は、試料分析用ディスク200に検出光6aを照射し、切欠き部202を通過する検出光6aを受光することにより、試料分析用ディスク200の回転周期及びトラック毎に基準位置を検出する。
ガイド軸7は、試料分析用ディスク200と平行に、かつ、試料分析用ディスク200の半径方向に沿って配置されている。光ピックアップ20は、ガイド軸7に支持されている。光ピックアップ20は、ガイド軸7に沿って、ターンテーブル2の回転軸C2に直交する方向であり、試料分析用ディスク200の半径方向に、かつ、試料分析用ディスク200と平行に駆動される。
光ピックアップ20は、対物レンズ21を備えている。光ピックアップ20は、試料分析用ディスク200に向けてレーザ光20aを照射する。レーザ光20aは、対物レンズ21によって試料分析用ディスク200の反応領域210が形成されているトラック領域205に集光される。
試料分析用ディスク200を回転させた状態で、光ピックアップ20を試料分析用ディスク200の半径方向に駆動させる。これにより、図6に示すように、レーザ光20aは、トラックに相当する凹部204に沿って走査される。光ピックアップ20は、試料分析用ディスク200からの反射光を受光する。光ピックアップ20は、反射光の受光レベルを検出して受光レベル信号JSを生成し、制御部9へ出力する。
光ピックアップ駆動回路8は、光ピックアップ20の駆動を制御する。光ピックアップ駆動回路8は、光ピックアップ20をガイド軸7に沿って移動させたり、光ピックアップ20の対物レンズ21を上下方向に移動させたりする。
制御部9は、ターンテーブル駆動回路5及び光ピックアップ駆動回路8を制御する。制御部9は、ターンテーブル駆動回路5を制御して、ターンテーブル2を例えば一定の線速度で回転させたり、停止させたりする。制御部9は、光ピックアップ駆動回路8を制御して、光ピックアップ20を試料分析用ディスク200の半径方向の目標位置まで移動させたり、レーザ光20aがトラック領域205に集光されるように対物レンズ21の上下位置を調整したりする。制御部9として、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いてもよい。
制御部9は、基準位置検出センサ6から出力された基準位置検出信号KSに基づいて試料分析用ディスク200の回転周期及びトラック毎に基準位置を検出する。制御部9は、検出された基準位置に基づいて反応領域210を特定する。
記憶部10には、各反応領域210に対してトラック毎に計測パラメータSP1が記憶されている。計測パラメータSP1は、反応領域210の数、基準位置識別部である切欠き部202から各反応領域210までの距離に相当する時間、及び各トラックにおける計測ゲート信号のタイミング等の計測情報を含んでいる。
制御部9は、記憶部10から計測パラメータSP1を読み出し、計測パラメータSP1に基づいて、各反応領域210に対してトラック毎に複数の計測ゲート信号GS1を連続して生成する。制御部9は、光ピックアップ20から出力された受光レベル信号JSから、計測ゲート信号GS1毎に微粒子パルス信号BSを抽出する。なお、計測ゲート信号GS1の生成方法及び微粒子パルス信号BSの抽出方法については後述する。
制御部9は、抽出された微粒子パルス信号BSから、検出対象物質121を標識する微粒子131の数を計測する。制御部9は、各反応領域210の微粒子131の数を計測ゲート信号GS1毎に記憶部10に記憶させる。制御部9は、反応領域210毎に微粒子131の数を合算し、表示部11に表示させる。表示される微粒子131の数は検出対象物質121の数に相当する。なお、反応領域210に含まれる気泡領域を特定し、気泡領域における微粒子131の計測結果を補正する補正方法については後述する。
図9〜図13を用いて、分析装置1による検出対象物質121の分析方法、具体的には検出対象物質121を標識する微粒子131の分析方法を説明する。
図9は、基準位置検出センサ6及び光ピックアップ20の検出位置と、試料分析用ディスク200の切欠き部202及び反応領域210との位置関係を模式的に示している。図9中の矢印は試料分析用ディスク200の回転方向を示している。符号6bは基準位置検出センサ6の検出位置を示している。軸線JLはガイド軸7に相当する。
図9では、基準位置検出センサ6の検出位置6bは軸線JL上に位置しているが、これに限定されるものではない。検出位置6bは、切欠き部202を検出できる位置であれば試料分析用ディスク200の外周部の任意の位置とすることができる。光ピックアップ20は軸線JLに沿って試料分析用ディスク200の半径方向に移動する。図9中の符号20bは光ピックアップ20の検出位置を示している。
図10に示すフローチャートにおいて、制御部9は、ステップS1にて、試料分析用ディスク200が一定の線速度で回転するようにターンテーブル駆動回路5を制御し、ターンテーブル駆動部4にターンテーブル2を回転駆動させる。
制御部9は、ステップS2にて、基準位置検出センサ6から試料分析用ディスク200に向けて検出光6aを照射させる。制御部9は、ステップS3にて、光ピックアップ20から試料分析用ディスク200に向けてレーザ光20aを照射させる。なお、ステップS2の後にステップS3を実行させてもよいし、ステップS3の後にステップS2を実行させてもよいし、ステップS2とステップS3とを同時に実行させてもよい。
図9に示すように、複数の反応領域210は、それぞれの中心が試料分析用ディスク200の中心C200に対して同一円周上に等間隔になるように形成されている。複数の反応領域210を区別するために、基準位置検出センサ6が切欠き部202を検出光6aにより検出した後、最初にレーザ光20aが照射される反応領域の符号を211とし、レーザ光20aが順次照射される反応領域の符号を212,213,214,215,216,217,218とする。
図11には、基準位置検出センサ6が切欠き部202を検出した後に、最初にレーザ光20aが照射される反応領域211を示している。反応領域211〜218には、試料分析用ディスク200の内周側に位置するトラックTRsから外周側に位置するトラックTReに向かってトラック毎にレーザ光20aが照射される。
図11では、トラックTRi−1、トラックTRi、及びトラックTRi+1に亘って気泡領域221が反応領域211に形成されている状態を示している。気泡領域221は、図4に示すステップS101、ステップS102、またはステップS103で、試料分析用ディスク200のトラック領域205上に気泡113、気泡123、または気泡133が付着することにより形成される。なお、図11では、説明をわかりやすくするために、トラックTRs,TRi−1,TRi,TRi+1,TRj−1,TRj,TRj+1,TReを直線で示している。
以下に、レーザ光20aが、気泡領域221を含む反応領域211におけるトラックTRi上を走査される場合について説明する。
制御部9は、ステップS4にて、光ピックアップ駆動回路8を制御し、試料分析用ディスク200のトラックTRiにレーザ光20aが照射されるように光ピックアップ20を移動させる。基準位置検出センサ6は、ステップS5にて、切欠き部202を検出することにより基準位置検出信号KSを生成し、制御部9へ出力する。
光ピックアップ20は、ステップS6にて、試料分析用ディスク200からの反射光を受光する。光ピックアップ20は、反射光の受光レベルを検出して受光レベル信号JSを生成し、制御部9へ出力する。
各トラックTRにおける基準位置検出信号KSを区別するために、例えばトラックTRiにおける基準位置検出信号をKSiとし、トラックTRjにおける基準位置検出信号をKSjとする。また、各反応領域210の各トラックTRにおける計測パラメータSP1を区別するために、例えば反応領域211では、トラックTRiにおける計測パラメータをSP11_iとし、トラックTRjにおける計測パラメータをSP11_jとする。
制御部9は、ステップS7にて、基準位置検出信号KSiを検出し、記憶部10から反応領域211におけるトラックTRiの計測パラメータSP11_iを読み出す。
制御部9は、ステップS8にて、計測パラメータSP11_iに基づいて、反応領域211におけるトラックTRiの微粒子131を区間毎に計測するためのパルス信号である計測ゲート信号GS11_i_1,GS11_i_2,GS11_i_3,GS11_i_4,GS11_i_5,GS11_i_6,GS11_i_7,GS11_i_8,GS11_i_9,GS11_i_10を生成する。
計測パラメータSP11_iは、反応領域211のトラックTRiにおける計測ゲート信号GS1の数、基準位置検出信号KSiの立ち下がりから最初の計測ゲート信号GS11_i_1の立ち上がりまでの時間TD11_i、及び、計測ゲート信号GS11_i_1〜GS11_i_10の各パルス幅等の計測情報を含んでいる。制御部9は、基準位置検出信号KSiの立ち下がりから時間TD11_iが経過した時点で立ち上がる計測ゲート信号GS11_i_1を生成し、さらに計測ゲート信号GS11_i_2〜GS11_i_10を連続して生成する。
計測ゲート信号GS11_i_1〜GS11_i_10は、反応領域211の中心C211を中心点とするn個(n=4の場合)の同心円2111,2112,2113,2114と、試料分析用ディスク200の中心C200及び反応領域211の中心C211を通る分割線SL211とによって、トラックTRiにおける反応領域211を{(2×n)+2}個に分割するタイミングで生成される。例えば、図11に示すように、同心円2111,2112,2113,2114の直径をR1,R2,R3,R4とし、反応領域210の直径をR5とすると、R1<R2<R3<R4<R5の関係を有する。
図4に示すステップS101、ステップS102、またはステップS103では、上記のように、気泡113、気泡123、または気泡133は、ウェル101の内側面と底面との境界部、即ち、カートリッジ300の貫通孔301の内周面と試料分析用ディスク200のトラック領域205との境界部に付着しやすい。従って、気泡領域は、反応領域210の外周部に形成されやすい。そのため、同心円2111,2112,2113,2114が反応領域210の外周側に位置するように、計測パラメータSP1を設定することが好ましい。
なお、計測パラメータSP11_iは、n=4の場合、トラックTRi〜トラックTRjでは10個の計測ゲート信号GS1が生成され、トラックTRi−1及びトラックTRj+1では8個の計測ゲート信号GS1が生成され、トラックTRs及びトラックTReでは2個の計測ゲート信号GS1が生成されるように設定されている。
制御部9は、ステップS9にて、計測ゲート信号GS11_i_1の立ち上がり時点から立ち下がり時点までの期間(パルス幅に相当する)に、光ピックアップ20から出力された受光レベル信号JSから微粒子パルス信号BSを検出し、微粒子131の数を計測して記憶部10に記憶させる。制御部9は、計測ゲート信号GS11_i_2〜GS11_i_10の立ち上がり時点から立ち下がり時点までの各期間に、光ピックアップ20から出力された受光レベル信号JSから微粒子パルス信号BSを検出し、微粒子131の数を計測し、微粒子131の計測結果を記憶部10に記憶させる。
なお、受光レベル信号JSには微粒子パルス信号BS以外にノイズが含まれている場合がある。そのため、制御部9は、受光レベル信号JSに含まれているパルス信号と閾値Vpとを比較し、閾値Vp以下のパルス信号を微粒子パルス信号BSと判定する。
制御部9は、反応領域211〜218が形成されているトラックTRsからトラックTReまでの全てのトラックTRに対して、反応領域210毎に各計測ゲート信号GS1に対する微粒子131の数を計測し、微粒子131の計測結果を記憶部10に記憶させる。
制御部9は、ステップS10にて、ターンテーブル駆動回路5を制御して試料分析用ディスク200の回転を停止させる。制御部9は、基準位置検出センサ6及び光ピックアップ20を制御して検出光6a及びレーザ光20aの照射を停止させる。
次に、図11〜図13を用いて、分析装置1による気泡領域221の特定方法、及び気泡領域221における微粒子131の計測結果の補正方法を説明する。
図11に示すように、反応領域211に、トラックTRi−1、トラックTRi、及びトラックTRi+1に亘って気泡領域221が形成されている場合の分析装置1による気泡領域221の特定方法、及び気泡領域221における微粒子131の計測結果の補正方法を説明する。
気泡領域221では、微粒子131がトラック領域205上に捕捉されないため、微粒子パルス信号BSが検出されない。例えば、トラックTRiでは、気泡領域221の計測位置に対応する計測ゲート信号GS11_i_1の立ち上がり時点から立ち下がり時点までの期間では、微粒子パルス信号BSが検出されない。
図12に示すフローチャートにおいて、制御部9は、ステップS11にて、反応領域210毎に各計測ゲート信号GS1に対する計測結果を記憶部10から読み出す。制御部9は、例えば反応領域211における各計測ゲート信号GS1に対する微粒子131の計測結果を記憶部10から読み出す。
制御部9は、ステップS12にて、反応領域210において対称の位置関係にある計測結果を比較する。以下に、反応領域211において、トラックTRiにおける計測ゲート信号GS11_i_1による計測結果と、計測ゲート信号GS11_i_1の計測位置と対称の位置関係にある計測位置の計測ゲート信号GS1による計測結果とを比較する場合について説明する。
計測ゲート信号GS11_i_1(第1の計測ゲート信号)と計測ゲート信号GS11_i_10(第2の計測ゲート信号)とは、計測位置が分割線SL211に対して対称の位置関係にあり、同じパルス幅を有する。また、計測ゲート信号GS11_i_1と計測ゲート信号GS11_i_10とは、計測位置が反応領域211の中心C211からの距離が同じである。従って、計測ゲート信号GS11_i_1により得られた計測結果と、計測ゲート信号GS11_i_10により得られた計測結果とは、分割線SL211に対して対称の位置関係にある。
トラックTRiとトラックTRjとは、反応領域211の中心C211を通り、分割線SL211と直交する対称軸AS211に対して対称の位置関係にある。制御部9は、計測パラメータSP11_jに基づいて、反応領域211におけるトラックTRjの微粒子131を区間毎に計測するためのパルス信号である計測ゲート信号GS11_j_1,GS11_j_2,GS11_j_3,GS11_j_4,GS11_j_5,GS11_j_6,GS11_j_7,GS11_j_8,GS11_j_9,GS11_j_10を生成する。制御部9は、基準位置検出信号KSjの立ち下がりから時間TD11_jが経過した時点で立ち上がる計測ゲート信号GS11_j_1を生成し、さらに計測ゲート信号GS11_j_2〜GS11_j_10を連続して生成する。
計測ゲート信号GS11_i_1と計測ゲート信号GS11_j_1(第3の計測ゲート信号)とは、計測位置が対称軸AS211に対して対称の位置関係にあり、同じパルス幅を有する。また、計測ゲート信号GS11_i_1と計測ゲート信号GS11_j_1とは、計測位置が反応領域211の中心C211からの距離が同じである。従って、計測ゲート信号GS11_i_1により得られた計測結果と、計測ゲート信号GS11_j_1により得られた計測結果とは、対称軸AS211に対して対称の位置関係にある。
同様に、計測ゲート信号GS11_i_10と計測ゲート信号GS11_j_10(第4の計測ゲート信号)とは、計測位置が対称軸AS211に対して対称の位置関係にあり、同じパルス幅を有する。また、計測ゲート信号GS11_i_10と計測ゲート信号GS11_j_10とは、計測位置が反応領域211の中心C211からの距離が同じである。従って、計測ゲート信号GS11_i_10により得られた計測結果と、計測ゲート信号GS11_j_10により得られた計測結果とは、対称軸AS211に対して対称の位置関係にある。
従って、計測ゲート信号GS11_i_1と計測ゲート信号GS11_i_10と計測ゲート信号GS11_j_1と計測ゲート信号GS11_j_10とにより得られた各計測結果は、対称の位置関係にある。制御部9は、各計測ゲート信号GS11_i_1,GS11_i_10,GS11_j_1,GS11_j_10により得られた計測結果を比較する。
具体的には、制御部9は、各計測ゲート信号GS11_i_1,GS11_i_10,GS11_j_1,GS11_j_10により得られた微粒子131の数の平均値を算出する。気泡領域221を有していない場合、通常、各計測ゲート信号GS11_i_1,GS11_i_10,GS11_j_1,GS11_j_10により得られた微粒子131の数はほぼ同じ値になる。
制御部9は、平均値に対して所定の比率以下の微粒子131の数が得られた計測ゲート信号GS1に対応する領域を気泡領域と判定する。計測ゲート信号GS11_i_1に対応する計測位置では微粒子131が捕獲されていないため、制御部9は、計測ゲート信号GS11_i_1に対応する領域を気泡領域と判定する。
気泡領域221には、気泡113,123,133によって微粒子131が捕獲されていないため、計測結果を補正することが望ましい。即ち、気泡領域221は、微粒子131の数を補正するための計測結果補正対象領域である。計測ゲート信号GS1により得られた微粒子131の数は、試料液122に含まれる検出対象物質121の数に影響される。そのため、気泡領域を、微粒子131の数の絶対値ではなく、比率により判定することが望ましい。
制御部9は、ステップS13にて、反応領域210において隣り合うトラックTRの計測結果を比較する。通常、ステップS101、ステップS102、またはステップS103で、試料分析用ディスク200のトラック領域205上に付着する気泡113,123,133は、複数のトラックTRに亘って形成される。図13に示すように、トラックTRi−1における計測ゲート信号GS11_i−1_1、トラックTRiにおける計測ゲート信号GS11_i_1、及びトラックTRi+1における計測ゲート信号GS11_i+1_1の計測位置は、反応領域211の外周に沿って連続する位置関係を有する。図13は図11に対応する。
制御部9は、例えば反応領域211において隣り合うトラックTRi−1、トラックTRi、及びトラックTRi+1における計測ゲート信号GS11_i−1_1,GS11_i_1,GS11_i+1_1により得られた計測結果を比較する。
ステップS12で、各計測ゲート信号GS11_i−1_1,GS11_i_1,GS11_i+1_1に対応する領域がそれぞれ気泡領域と判定されていた場合、制御部9は、各計測ゲート信号GS11_i−1_1,GS11_i_1,GS11_i+1_1に対応する領域を、トラックTRi−1、トラックTRi、及びトラックTRi+1に亘って形成された気泡領域221であると特定する。
制御部9は、ステップS14にて、気泡領域221における微粒子131の計測結果を補正する。制御部9は、例えば気泡領域221であると判定されなかった各計測ゲート信号GS11_i_10,GS11_j_1,GS11_j_10により得られた微粒子131の数の平均値を算出し、気泡領域221であると判定された計測ゲート信号GS11_i_1により得られた微粒子131の数を、算出された平均値に補正する。
同様に、制御部9は、各計測ゲート信号GS11_i−1_10,GS11_j+1_1,GS11_j+1_10により得られた微粒子131の数の平均値を算出し、計測ゲート信号GS11_i−1_1により得られた微粒子131の数を、算出された平均値に補正する。また、制御部9は、各計測ゲート信号GS11_i+1_10,GS11_j−1_1,GS11_j−1_10により得られた微粒子131の数の平均値を算出し、計測ゲート信号GS11_i+1_1により得られた微粒子131の数を、算出された平均値に補正する。
即ち、計測ゲート信号GS11_i−1_10,GS11_i_10,GS11_i+1_10に対応する領域232、計測ゲート信号GS11_j−1_1,GS11_j_1,GS11_j+1_1に対応する領域233、計測ゲート信号GS11_j−1_10,GS11_j_10,GS11_j+1_10に対応する領域234は、気泡領域221における微粒子131の数を補正するための比較対象領域である。
制御部9は、ステップS11〜ステップS14を、全ての反応領域210(211〜218)の全てのトラックTRs〜TReに対して実行する。
制御部9は、ステップS15にて、各反応領域210の微粒子131の計測結果と補正結果とを表示部11に表示させる。
第1実施形態の分析装置1及び分析方法によれば、反応領域210において対称の位置関係にある計測結果を比較し、さらに隣り合うトラックの計測結果を比較することにより、気泡領域221を特定することができる。また、対称の位置関係にある計測結果のうち、気泡領域221であると判定された計測結果を、気泡領域であると判定されなかった計測結果に基づいて補正することができる。
[第2実施形態]
図8、図10、図12、図14、及び図15を用いて、第2実施形態の分析装置及び分析方法を説明する。図8に示すように、制御部9及び記憶部10の代わりに制御部1009及び記憶部1010を備えるのが第2実施形態の分析装置1001であり、分析装置1001における微粒子の分析方法は分析装置1における微粒子の分析方法とは異なる。そこで、分析装置1001における微粒子の分析方法について説明する。なお、説明をわかりやすくするために、第1実施形態の分析装置1と同じ構成部には同じ符号を付す。
検出対象物質121がエクソソームである場合、エクソソームの大きさは100nm程度と小さいため、光学的に直接検出することは難しい。第2実施形態の分析装置1001は、反応領域210に捕捉されている微粒子131を検出し、計測することにより、微粒子131と特異的に結合している検出対象物質121を間接的に検出し、計測する。
制御部1009は、ターンテーブル駆動回路5及び光ピックアップ駆動回路8を制御する。制御部1009は、ターンテーブル駆動回路5を制御して、ターンテーブル2を例えば一定の線速度で回転させたり、停止させたりする。制御部1009は、光ピックアップ駆動回路8を制御して、光ピックアップ20を試料分析用ディスク200の半径方向の目標位置まで移動させたり、レーザ光20aがトラック領域205に集光されるように対物レンズ21の上下位置を調整したりする。制御部1009として、例えばCPUを用いてもよい。
制御部1009は、基準位置検出センサ6から出力された基準位置検出信号KSに基づいて試料分析用ディスク200の回転周期及びトラック毎に基準位置を検出する。制御部1009は、検出された基準位置に基づいて反応領域210を特定する。
記憶部1010には、各反応領域210に対してトラック毎に計測パラメータSP2が記憶されている。計測パラメータSP2は、反応領域210の数、基準位置識別部である切欠き部202から各反応領域210までの距離に相当する時間、及び各トラックにおける計測ゲート信号のタイミング等の計測情報を含んでいる。
制御部1009は、記憶部1010から計測パラメータSP2を読み出し、計測パラメータSP2に基づいて、各反応領域210に対してトラック毎に複数の計測ゲート信号GS2を連続して生成する。制御部1009は、光ピックアップ20から出力された受光レベル信号JSから、計測ゲート信号GS2毎に微粒子パルス信号BSを抽出する。なお、計測ゲート信号GS2の生成方法及び微粒子パルス信号BSの抽出方法については後述する。
制御部1009は、抽出された微粒子パルス信号BSから、検出対象物質121を標識する微粒子131の数を計測する。制御部1009は、各反応領域210の微粒子131の数を計測ゲート信号GS2毎に記憶部1010に記憶させる。制御部1009は、反応領域210毎に微粒子131の数を合算し、表示部11に表示させる。表示される微粒子131の数は検出対象物質121の数に相当する。なお、反応領域210に含まれる気泡領域を特定し、気泡領域における微粒子131の計測結果を補正する補正方法については後述する。
制御部1009は、抽出された微粒子パルス信号BSから、検出対象物質121を標識する微粒子131の数を計測する。制御部1009は、各反応領域210の微粒子131の数を計測ゲート信号GS2毎に記憶部1010に記憶させる。制御部1009は、反応領域210毎に微粒子131の数を合算し、表示部11に表示させる。表示される微粒子131の数は検出対象物質121の数に相当する。なお、反応領域210に含まれる気泡領域を特定し、気泡領域における微粒子131の計測結果を補正する補正方法については後述する。
図10、図12、図14、及び図15を用いて、分析装置1001による検出対象物質121の分析方法、具体的には検出対象物質121を標識する微粒子131の分析方法を説明する。
図10に示すフローチャートにおいて、制御部1009は、ステップS21にて、試料分析用ディスク200が一定の線速度で回転するようにターンテーブル駆動回路5を制御し、ターンテーブル駆動部4にターンテーブル2を回転駆動させる。
制御部1009は、ステップS22にて、基準位置検出センサ6から試料分析用ディスク200に向けて検出光6aを照射させる。制御部1009は、ステップS23にて、光ピックアップ20から試料分析用ディスク200に向けてレーザ光20aを照射させる。なお、ステップS22の後にステップS23を実行させてもよいし、ステップS23の後にステップS22を実行させてもよいし、ステップS22とステップS23とを同時に実行させてもよい。
図14には、基準位置検出センサ6が切欠き部202を検出した後に、最初にレーザ光20aが照射される反応領域211を示している。反応領域211〜218には、試料分析用ディスク200の内周側に位置するトラックTRsから外周側に位置するトラックTReに向かってトラック毎にレーザ光20aが照射される。
図14では、トラックTRi−1、トラックTRi、及びトラックTRi+1に亘って気泡領域241が反応領域211に形成されている状態を示している。気泡領域241は、図4に示すステップS101、ステップS102、またはステップS103で、試料分析用ディスク200のトラック領域205上に気泡113、気泡123、または気泡133が付着することにより形成される。なお、図14では、説明をわかりやすくするために、トラックTRs,TRi−1,TRi,TRi+1,TRj−1,TRj,TRj+1,TReを直線で示している。
以下に、レーザ光20aが、気泡領域241を含む反応領域211におけるトラックTRi上を走査される場合について説明する。
制御部1009は、ステップS24にて、光ピックアップ駆動回路8を制御し、試料分析用ディスク200のトラックTRiにレーザ光20aが照射されるように光ピックアップ20を移動させる。基準位置検出センサ6は、ステップS25にて、切欠き部202を検出することにより基準位置検出信号KSを生成し、制御部1009へ出力する。
光ピックアップ20は、ステップS26にて、試料分析用ディスク200からの反射光を受光する。光ピックアップ20は、反射光の受光レベルを検出して受光レベル信号JSを生成し、制御部1009へ出力する。
各反応領域210の各トラックTRにおける計測パラメータSP2を区別するために、例えば反応領域211では、トラックTRiにおける計測パラメータをSP21_iとし、トラックTRjにおける計測パラメータをSP21_jとする。
制御部1009は、ステップS27にて、基準位置検出信号KSiを検出し、記憶部1010から反応領域211におけるトラックTRiの計測パラメータSP21_iを読み出す。
制御部1009は、ステップS28にて、計測パラメータSP21_iに基づいて、反応領域211におけるトラックTRiの微粒子131を区間毎に計測するためのパルス信号である計測ゲート信号GS21_i_1,GS21_i_2,GS21_i_3,GS21_i_4,GS21_i_5,GS21_i_6,GS21_i_7,GS21_i_8,GS21_i_9,GS21_i_10を生成する。
計測パラメータSP21_iは、反応領域211のトラックTRiにおける計測ゲート信号GS2の数、基準位置検出信号KSiの立ち下がりから最初の計測ゲート信号GS21_i_1の立ち上がりまでの時間TD21_i、及び、計測ゲート信号GS21_i_1〜GS21_i_10の各パルス幅等の計測情報を含んでいる。制御部1009は、基準位置検出信号KSiの立ち下がりから時間TD21_iが経過した時点で立ち上がる計測ゲート信号GS21_i_1を生成し、さらに計測ゲート信号GS21_i_2〜GS21_i_10を連続して生成する。
計測ゲート信号GS21_i_1〜GS21_i_10は、反応領域211の中心C211を中心点とするn個(n=4の場合)の楕円2116,2117,2118,2119と分割線SL211とによって、各トラックTRにおける反応領域211を{(2×n)+2}個に分割するタイミングで生成される。
楕円2116,2117,2118,2119の長軸は分割線SL211上に配置されている。楕円2116,2117,2118,2119の長軸端は反応領域210の外周上に位置している。例えば、図14に示すように、楕円2116,2117,2118,2119の短径をR11,R12,R13,R14とし、長径をR21,R22,R23,R24とし、反応領域210の直径をR5とすると、R11<R12<R13<R14<R5、及び、R21=R22=R23=R24=R5の関係を有する。即ち、楕円2116,2117,2118,2119は互いに同じ長径と異なる短径を有する。従って、n=4の場合、全てのトラックTR(TRs〜TRe)において各10個の計測ゲート信号GS2が生成される。
図4に示すステップS101、ステップS102、またはステップS103では、上記のように、気泡113、気泡123、または気泡133は、ウェル101の内側面と底面との境界部、即ち、カートリッジ300の貫通孔301の内周面と試料分析用ディスク200のトラック領域205との境界部に付着しやすい。従って、気泡領域は、反応領域210の外周部に形成されやすい。そのため、楕円2116,2117,2118,2119の短軸端が反応領域210の外周側に位置するように、計測パラメータSP2を設定することが好ましい。
制御部1009は、ステップS29にて、計測ゲート信号GS21_i_1の立ち上がり時点から立ち下がり時点までの期間(パルス幅に相当する)に、光ピックアップ20から出力された受光レベル信号JSから微粒子パルス信号BSを検出し、微粒子131の数を計測して記憶部1010に記憶させる。制御部1009は、計測ゲート信号GS21_i_2〜GS21_i_10の立ち上がり時点から立ち下がり時点までの各期間に、光ピックアップ20から出力された受光レベル信号JSから微粒子パルス信号BSを検出し、微粒子131の数を計測し、微粒子131の計測結果を記憶部1010に記憶させる。
なお、受光レベル信号JSには微粒子パルス信号BS以外にノイズが含まれている場合がある。そのため、制御部1009は、受光レベル信号JSに含まれているパルス信号と閾値Vpとを比較し、閾値Vp以下のパルス信号を微粒子パルス信号BSと判定する。
制御部1009は、反応領域211〜218が形成されているトラックTRsからトラックTReまでの全てのトラックTRに対して、反応領域210毎に各計測ゲート信号GS2に対する微粒子131の数を計測し、微粒子131の計測結果を記憶部1010に記憶させる。
制御部1009は、ステップS30にて、ターンテーブル駆動回路5を制御して試料分析用ディスク200の回転を停止させる。制御部1009は、基準位置検出センサ6及び光ピックアップ20を制御して検出光6a及びレーザ光20aの照射を停止させる。
次に、図12、図14、及び図15を用いて、分析装置1001による気泡領域241の特定方法、及び気泡領域241における微粒子131の計測結果の補正方法を説明する。
図14に示すように、反応領域211に、トラックTRi−1、トラックTRi、及びトラックTRi+1に亘って気泡領域241が形成されている場合の分析装置1001による気泡領域241の特定方法、及び気泡領域241における微粒子131の計測結果の補正方法を説明する。
気泡領域241では、微粒子131がトラック領域205上に捕捉されないため、微粒子パルス信号BSが検出されない。例えば、トラックTRiでは、気泡領域241の計測位置に対応する計測ゲート信号GS21_i_1の立ち上がり時点から立ち下がり時点までの期間では、微粒子パルス信号BSが検出されない。
図12に示すフローチャートにおいて、制御部1009は、ステップS31にて、反応領域210毎に各計測ゲート信号GS2に対する計測結果を記憶部1010から読み出す。制御部1009は、例えば反応領域211における各計測ゲート信号GS2に対する微粒子131の計測結果を記憶部1010から読み出す。
制御部1009は、ステップS32にて、反応領域210において対称の位置関係にある計測結果を比較する。以下に、反応領域211において、トラックTRiにおける計測ゲート信号GS21_i_1による計測結果と、計測ゲート信号GS21_i_1の計測位置と対称の位置関係にある計測位置の計測ゲート信号GS2による計測結果とを比較する場合について説明する。
計測ゲート信号GS21_i_1(第5の計測ゲート信号)と計測ゲート信号GS21_i_10(第6の計測ゲート信号)とは、計測位置が分割線SL211に対して対称の位置関係にあり、同じパルス幅を有する。また、計測ゲート信号GS21_i_1と計測ゲート信号GS21_i_10とは、計測位置が反応領域211の中心C211からの距離が同じである。従って、計測ゲート信号GS21_i_1により得られた計測結果と、計測ゲート信号GS21_i_10により得られた計測結果とは、分割線SL211に対して対称の位置関係にある。
トラックTRiとトラックTRjとは、反応領域211の中心C211を通り、分割線SL211と直交する対称軸AS211に対して対称の位置関係にある。制御部1009は、計測パラメータSP21_jに基づいて、反応領域211におけるトラックTRjの微粒子131を区間毎に計測するためのパルス信号である計測ゲート信号GS21_j_1,GS21_j_2,GS21_j_3,GS21_j_4,GS21_j_5,GS21_j_6,GS21_j_7,GS21_j_8,GS21_j_9,GS21_j_10を生成する。制御部1009は、基準位置検出信号KSjの立ち下がりから時間TD21_jが経過した時点で立ち上がる計測ゲート信号GS21_j_1を生成し、さらに計測ゲート信号GS21_j_2〜GS21_j_10を連続して生成する。
計測ゲート信号GS21_i_1と計測ゲート信号GS21_j_1(第7の計測ゲート信号)とは、計測位置が対称軸AS211に対して対称の位置関係にあり、同じパルス幅を有する。また、計測ゲート信号GS21_i_1と計測ゲート信号GS21_j_1とは、計測位置が反応領域211の中心C211からの距離が同じである。従って、計測ゲート信号GS21_i_1により得られた計測結果と、計測ゲート信号GS21_j_1により得られた計測結果とは、対称軸AS211に対して対称の位置関係にある。
同様に、計測ゲート信号GS21_i_10と計測ゲート信号GS21_j_10(第8の計測ゲート信号)とは、計測位置が対称軸AS211に対して対称の位置関係にあり、同じパルス幅を有する。また、計測ゲート信号GS21_i_10と計測ゲート信号GS21_j_10とは、計測位置が反応領域211の中心C211からの距離が同じである。従って、計測ゲート信号GS21_i_10により得られた計測結果と、計測ゲート信号GS21_j_10により得られた計測結果とは、対称軸AS211に対して対称の位置関係にある。
従って、計測ゲート信号GS21_i_1と計測ゲート信号GS21_i_10と計測ゲート信号GS21_j_1と計測ゲート信号GS21_j_10とにより得られた各計測結果は、対称の位置関係にある。制御部1009は、各計測ゲート信号GS21_i_1,GS21_i_10,GS21_j_1,GS21_j_10により得られた計測結果を比較する。
具体的には、制御部1009は、各計測ゲート信号GS21_i_1,GS21_i_10,GS21_j_1,GS21_j_10により得られた微粒子131の数の平均値を算出する。気泡領域241を有していない場合、通常、各計測ゲート信号GS21_i_1,GS21_i_10,GS21_j_1,GS21_j_10により得られた微粒子131の数はほぼ同じ値になる。
制御部1009は、平均値に対して所定の比率以下の微粒子131の数が得られた計測ゲート信号GS2に対応する領域を気泡領域と判定する。計測ゲート信号GS21_i_1に対応する計測位置では微粒子131が捕獲されていないため、制御部1009は、計測ゲート信号GS21_i_1に対応する領域を気泡領域と判定する。
気泡領域241には、気泡113,123,133によって微粒子131が捕獲されていないため、計測結果を補正することが望ましい。即ち、気泡領域241は、微粒子131の数を補正するための計測結果補正対象領域である。計測ゲート信号GS2により得られた微粒子131の数は、試料液122に含まれる検出対象物質121の数に影響される。そのため、気泡領域を、微粒子131の数の絶対値ではなく、比率により判定することが望ましい。
制御部1009は、ステップS33にて、反応領域210において隣り合うトラックTRの計測結果を比較する。通常、ステップS101、ステップS102、またはステップS103で、試料分析用ディスク200のトラック領域205上に付着する気泡113,123,133は、複数のトラックTRに亘って形成される。図15に示すように、トラックTRi−1における計測ゲート信号GS21_i−1_1、トラックTRiにおける計測ゲート信号GS21_i_1、及びトラックTRi+1における計測ゲート信号GS21_i+1_1の計測位置は、反応領域211の外周に沿って連続する位置関係を有する。図15は図14に対応する。
制御部1009は、例えば反応領域211において隣り合うトラックTRi−1、トラックTRi、及びトラックTRi+1における計測ゲート信号GS21_i−1_1,GS21_i_1,GS21_i+1_1により得られた計測結果を比較する。
ステップS32で、各計測ゲート信号GS21_i−1_1,GS21_i_1,GS21_i+1_1に対応する領域がそれぞれ気泡領域と判定されていた場合、制御部1009は、各計測ゲート信号GS21_i−1_1,GS21_i_1,GS21_i+1_1に対応する領域を、トラックTRi−1、トラックTRi、及びトラックTRi+1に亘って形成された気泡領域241であると特定する。
制御部1009は、ステップS34にて、気泡領域241における微粒子131の計測結果を補正する。制御部1009は、例えば気泡領域241であると判定されなかった各計測ゲート信号GS21_i_10,GS21_j_1,GS21_j_10により得られた微粒子131の数の平均値を算出し、気泡領域241であると判定された計測ゲート信号GS21_i_1により得られた微粒子131の数を、算出された平均値に補正する。
同様に、制御部1009は、各計測ゲート信号GS21_i−1_10,GS21_j+1_1,GS21_j+1_10により得られた微粒子131の数の平均値を算出し、計測ゲート信号GS21_i−1_1により得られた微粒子131の数を、算出された平均値に補正する。また、制御部1009は、各計測ゲート信号GS21_i+1_10,GS21_j−1_1,GS21_j−1_10により得られた微粒子131の数の平均値を算出し、計測ゲート信号GS21_i+1_1により得られた微粒子131の数を、算出された平均値に補正する。
即ち、計測ゲート信号GS21_i−1_10,GS21_i_10,GS21_i+1_10に対応する領域252、計測ゲート信号GS21_j−1_1,GS21_j_1,GS21_j+1_1に対応する領域253、計測ゲート信号GS21_j−1_10,GS21_j_10,GS21_j+1_10に対応する領域254は、気泡領域241における微粒子131の数を補正するための比較対象領域である。
制御部1009は、ステップS31〜ステップS34を、全ての反応領域210(211〜218)の全てのトラックTRs〜TReに対して実行する。
制御部1009は、ステップS35にて、各反応領域210の微粒子131の計測結果と補正結果とを表示部11に表示させる。
第2実施形態の分析装置1001及び分析方法によれば、反応領域210において対称の位置関係にある計測結果を比較し、さらに隣り合うトラックの計測結果を比較することにより、気泡領域241を特定することができる。また、対称の位置関係にある計測結果のうち、気泡領域241であると判定された計測結果を、気泡領域であると判定されなかった計測結果に基づいて補正することができる。
第1実施形態の分析装置1ではトラックTRによって計測ゲート信号GSの数が異なるのに対し、第2実施形態の分析装置1001では全てのトラックTRにおいて計測ゲート信号GSの数が同じである。計測ゲート信号GSの数が少ないトラックTRでは微粒子131の計測精度及び気泡領域における補正精度が低下する虞があるため、計測ゲート信号GSの数は全てのトラックTRにおいて同じであることが好ましい。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、ステップS13,S33では、隣り合う全てのトラックに対して計測結果を比較するのではなく、ステップS12,S32で気泡領域である判定された場合に、気泡領域であると判定されたトラックと隣り合うトラックに対して計測結果を比較するようにしてもよい。
計測ゲート信号GS1を生成するための同心円の数、及び各同心円の直径は、上述した第1実施形態に限定されるものではなく、任意の値に設定してもよい。
例えば、反応領域210に対する同心円2111〜2114の間隔が(R2−R1)=(R3−R2)=(R4−R3)=(R5−R4)と等間隔になるように計測パラメータSP1を設定してもよい。また、反応領域210の外周部に形成された気泡領域の判定精度(分解能)を向上させるため、同心円2111〜2114の間隔が(R2−R1)>(R3−R2)>(R4−R3)>(R5−R4)と外周に向かって狭くなるように計測パラメータSP1を設定してもよい。
計測ゲート信号GS2を生成するための楕円の数、及び各楕円の短径は、上述した第2実施形態に限定されるものではなく、任意の値に設定してもよい。