JP2020118693A - 試料分析用ディスク - Google Patents

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Shigehiko Iwama
茂彦 岩間
糸長 誠
Makoto Itonaga
誠 糸長
祐一 長谷川
Yuichi Hasegawa
祐一 長谷川
辻田 公二
Koji Tsujita
公二 辻田
雅之 小野
Masayuki Ono
雅之 小野
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Abstract

【課題】微粒子が捕捉されている反応領域がずれた位置に形成されても微粒子の検出精度の悪化を抑制できる試料分析用ディスクを提供する。【解決手段】 外周部に形成された基準位置識別部72と、凸部と凹部とが半径方向に交互に配置されたトラック領域75と、トラック領域75に微粒子64を計数する領域である反応領域66をそれぞれ備えた複数の公差領域67と、を有する試料分析用ディスク70であって、微粒子64が捕捉された試料分析用ディスク70に対し、公差領域67にレーザ光20aを照射された際の反射光から生成された受光レベル信号JSと、基準位置識別部72に基づいて生成された複数の計測ゲート信号GSとを用いて反応領域66の凹部に捕捉された微粒子64が計数されることを特徴とする試料分析用ディスク70を提供する。【選択図】図6

Description

本発明は、抗原、抗体等の生体物質を分析するための試料分析用ディスクに関する。
疾病に関連付けられた特定の抗原または抗体をバイオマーカーとして検出することで、疾病の発見や治療の効果等を定量的に分析する免疫検定法(immunoassay)が知られている。
特許文献1には、試料分析用ディスク上の反応領域に固定された抗体と試料中の抗原とを結合させ、抗体を有する微粒子によって抗原を標識し、光ピックアップから照射されるレーザ光を走査することにより、反応領域に捕捉された微粒子を検出する分析装置が記載されている。特許文献1に記載されている分析装置は、光ディスク装置を検体検出用に利用したものである。
特開2015−127691号公報
特許文献1に記載されているような従来の分析装置では、試料分析用ディスクにカートリッジを装着してウェルを形成する。ウェルに試料液や緩衝液を注入し、抗原抗体反応を進行させることにより反応領域を形成する。即ち、ウェルは試料液や緩衝液を溜めるための容器として機能する。試料分析用ディスクとカートリッジとの間にシリコーンゴム等の弾性変形部材で作製したパッキンを配置することにより、溶液の漏れる可能性を低減することができる。
しかしながら、カートリッジを試料分析用ディスクにパッキンを介して装着する場合、パッキンは弾性変形部材であるため、変形して固定されてしまうことがある。そのため、カートリッジと試料分析用ディスクとの位置合わせ公差、及び、パッキンの変形による位置ずれにより、反応領域が試料分析用ディスク上の設定された位置からずれた位置に形成されてしまう場合がある。
反応領域がずれた位置に形成されると、反応領域の微粒子を検出する期間のみオン状態になる計測ゲート信号と、実際に反応領域で検出される微粒子パルス信号とのタイミングが合わなくなってしまう。そのため、微粒子の検出精度を悪化させる要因となる。
本発明は、検出対象物質と結合する微粒子が捕捉されている反応領域が、設定された位置からずれた位置に形成されていても、微粒子の検出精度の悪化を抑制することができる試料分析用ディスクを提供することを目的とする。
本発明は、検出対象物質分析用の微粒子を計数するための試料分析用ディスクであって、外周部に形成された基準位置識別部と、凸部と凹部とが半径方向に交互に配置されたトラック領域と、前記トラック領域に形成され、前記微粒子を計数する領域である反応領域をそれぞれ備えた複数の公差領域と、を有し、前記凹部に前記微粒子が捕捉された前記試料分析用ディスクに対し、前記公差領域にレーザ光を照射された際の反射光から生成された受光レベル信号と、前記基準位置識別部に基づいて生成された複数の計測ゲート信号とを用いて前記反応領域の前記凹部に捕捉された微粒子が計数されることを特徴とする試料分析用ディスクを提供する。
本発明の試料分析用ディスクによれば、検出対象物質と結合する微粒子が捕捉されている反応領域が、設定された位置からずれた位置に形成されていても、微粒子の検出精度の悪化を抑制することができる。
一実施形態の検出対象物質捕捉ユニットを示す平面図である。 図1(a)の検出対象物質捕捉ユニットのA−A断面を示す断面図である。 図1(a)のウェルをB−Bで切断した状態を示す拡大斜視図である。 検出対象物質が抗体と微粒子とによってトラック領域の凹部にサンドイッチ捕獲されている状態を示す模式的な断面図である。 微粒子が検出対象物質と結合した状態でトラック領域の凹部に捕捉されている状態を示す模式的な平面図である。 一実施形態の分析装置を示す構成図である。 基準位置検出センサ及び光ピックアップの検出位置と試料分析用ディスクの切欠き部及び反応領域との位置関係を説明するための平面図である。 設定された位置に形成されている反応領域と計測ゲート信号との関係を示すタイムチャートである。 反応領域が設定された位置からずれた位置に形成されている試料分析用ディスクを示す平面図である。 一実施形態の分析装置による微粒子の分析方法を説明するためのフローチャートである。 一実施形態の分析装置による微粒子の分析方法を説明するためのフローチャートである。 一実施形態の分析装置による微粒子の分析方法を説明するためのフローチャートである。 設定された位置に形成されている反応領域の微粒子パルス信号群と計測ゲート区間と基準位置検出信号KSとの関係を示すタイムチャートである。 設定された位置からずれた位置に形成されている反応領域と計測ゲート信号との関係を示すタイムチャートである。 設定された位置からずれた位置に形成されている反応領域の微粒子パルス信号群と計測ゲート区間と基準位置検出信号KSとの関係を示すタイムチャートである。
[検出対象物質捕捉ユニット]
図1〜図3を用いて、一実施形態の検出対象物質捕捉ユニットを説明する。
図1(a)は一実施形態の検出対象物質捕捉ユニットをカートリッジ側から見た状態を示している。図1(b)は検出対象物質捕捉ユニットを試料分析用ディスク側から見た状態を示している。図2(a)は図1(a)の検出対象物質捕捉ユニットのA−A断面を示している。図2(b)はカートリッジが試料分析用ディスクに対して取り外しできることを示している。図3は図1(a)のウェルをB−Bで切断した状態を部分的に拡大して示している。
図1(a)及び図1(b)に示すように、検出対象物質捕捉ユニット60は、試料分析用ディスク70、カートリッジ80、及びシール部材90を備える。
試料分析用ディスク70は、例えば、ブルーレイディスク(BD)、DVD、コンパクトディスク(CD)等の光ディスクと同等の円板形状を有する。試料分析用ディスク70は、例えば、一般的に光ディスクに用いられるポリカーボネート樹脂やシクロオレフィンポリマー等の樹脂材料で形成されている。なお、試料分析用ディスク70は、上記の光ディスクに限定されるものではなく、他の形態や所定の規格に準拠した光ディスクを用いることもできる。
試料分析用ディスク70は、中心部に形成された中心孔71と、外周部に形成された切欠き部72とを有する。切欠き部72は試料分析用ディスク70の基準位置を識別するための基準位置識別部である。
図3に示すように、試料分析用ディスク70の表面には、凸部73と凹部74とが半径方向に交互に配置されたトラック領域75が形成されている。凸部73及び凹部74は、内周部から外周部に向かってスパイラル状に形成されている。凸部73は光ディスクのランドに相当する。凹部74は光ディスクのグルーブに相当する。凹部74の半径方向のピッチに相当するトラックピッチは例えば320nmである。
図1(a)に示すように、カートリッジ80は、周方向に形成された複数の円筒状の貫通孔81を有する。複数の貫通孔81は、それぞれの中心が同一円周上に位置するように等間隔に形成されている。
図1(a)、図1(b)、及び図2(b)に示すように、カートリッジ80は、中心部に形成された凸部(第1凸部)82と、外周部に形成された凸部(第2凸部)83とを有する。
図1(b)及び図2(a)に示すように、カートリッジ80を試料分析用ディスク70に取り付ける場合に、凸部82を試料分析用ディスク70の中心孔71に挿入し、凸部83を切欠き部72に挿入することにより、カートリッジ80と試料分析用ディスク70とを位置決めすることができる。
図2(a)に示すように、シール部材90はカートリッジ80と試料分析用ディスク70との間に配置されている。シール部材90は例えばシリコーンゴム等の弾性変形部材で作製したリング状のパッキンである。シール部材90は複数の貫通孔81の周囲にそれぞれ配置されている。カートリッジ80を試料分析用ディスク70に取り付けると、シール部材90は、トラック領域75の凹部74を埋めるように弾性変形する。なお、図3はシール部材90が弾性変形する前の状態を示している。
図2(a)及び図3に示すように、検出対象物質捕捉ユニット60は、カートリッジ80の貫通孔81とシール部材90と試料分析用ディスク70のトラック領域75とによって形成される複数のウェル61を有する。貫通孔81及びシール部材90の内周面はウェル61の内周面を構成し、試料分析用ディスク70のトラック領域75はウェル61の底面を構成している。ウェル61は試料液や緩衝液等の溶液を溜めるための容器である。シール部材90により、ウェル61から溶液が漏れる可能性を低減することができる。
なお、図1(a)では、一例として8つのウェル61を示しているが、ウェル61の数はこれに限定されるものではない。
図2(b)に示すように、カートリッジ80と試料分析用ディスク70とを分離することができる。検出対象物質を標識する微粒子の検出及び計測は、カートリッジ80が分離された試料分析用ディスク70単体で行われる。
[反応領域の形成]
図4及び図5を用いて、検出対象物質捕捉ユニット60の試料分析用ディスク70上に反応領域を形成する方法を説明する。
抗体(第1の結合物質)62を含む緩衝液を、検出対象物質捕捉ユニット60のウェル61に注入してインキュベートさせる。これにより、図4に示すように、抗体62は、ウェル61の底面を構成する試料分析用ディスク70のトラック領域75上に固定される。
緩衝液を排出してウェル61内を洗浄した後、抗原である検出対象物質(エクソソーム)63を含む試料液を、ウェル61に注入してインキュベートさせる。検出対象物質63は、抗体62と抗原抗体反応によって特異的に結合する。その結果、検出対象物質63はトラック領域75、具体的にはトラック領域75の凹部74に捕捉される。検出対象物質63であるエクソソームの大きさは100nm程度である。
試料液を排出してウェル61内を洗浄した後、標識となる微粒子64を含む緩衝液を、ウェル61に注入してインキュベートさせる。微粒子64の表面には検出対象物質63と抗原抗体反応によって特異的に結合する抗体(第2の結合物質)65が固定されている。微粒子64の大きさは200nm程度である。
微粒子64は、検出対象物質63と結合した状態でトラック領域75の凹部74に捕捉される。即ち、検出対象物質63は、抗体62と微粒子64とによってトラック領域75の凹部74にサンドイッチ捕獲される。図5は、微粒子64が検出対象物質63と結合した状態でトラック領域75の凹部74に捕捉されている状態の一例を示している。
図2(b)に示すように、カートリッジ80及びシール部材90を試料分析用ディスク70から取り外す。試料分析用ディスク70における、ウェル61の底面に対応するトラック領域75は、抗原抗体反応によって検出対象物質63及び微粒子64が捕獲されている反応領域66である。即ち、試料分析用ディスク70には、複数のウェル61にそれぞれ対応して、標識である微粒子64が捕捉された複数の反応領域66が形成されている。
[分析装置]
図6を用いて、一実施形態の分析装置を説明する。
検出対象物質63であるエクソソームの大きさは100nm程度と小さいため、光学的に直接検出することは難しい。分析装置1は反応領域66に捕捉されている微粒子64を検出し、計測することにより、微粒子64と特異的に結合する検出対象物質63を間接的に検出し、計測する。
分析装置1は、ターンテーブル2、クランパ3、ターンテーブル駆動部4、ターンテーブル駆動回路5、基準位置検出センサ6、ガイド軸7、光ピックアップ20、光ピックアップ駆動回路8、制御部9、記憶部10、及び表示部11を備える。なお、分析装置1は表示部11を備えていなくてもよく、外部の表示部を用いてもよい。
ターンテーブル2上には、試料分析用ディスク70が、反応領域66が下向きになるように載置される。
クランパ3は、ターンテーブル2に対して離隔する方向及び接近する方向、即ち、図6の上方向及び下方向に駆動される。試料分析用ディスク70は、クランパ3が下方向に駆動されると、クランパ3とターンテーブル2とによって保持される。
ターンテーブル駆動部4は、ターンテーブル2を試料分析用ディスク70及びクランパ3と共に、回転軸C2回りに回転駆動させる。ターンテーブル駆動部4としてスピンドルモータを用いてもよい。
ターンテーブル駆動回路5はターンテーブル駆動部4を制御する。例えば、ターンテーブル駆動回路5は、ターンテーブル2が試料分析用ディスク70及びクランパ3と共に一定の線速度で回転するようにターンテーブル駆動部4を制御する。
基準位置検出センサ6は試料分析用ディスク70の外周部近傍に配置されている。基準位置検出センサ6は、例えばフォトリフレクタ等の光センサである。
基準位置検出センサ6は、試料分析用ディスク70が回転している状態で試料分析用ディスク70の外周部に検出光6aを照射し、試料分析用ディスク70からの反射光を受光する。
基準位置検出センサ6は試料分析用ディスク70の切欠き部72を検出して基準位置検出信号KSを生成し、制御部9へ出力する。基準位置検出信号KSは、切欠き部72が基準位置検出センサ6の検出位置、即ち検出光6aが照射される位置に到達すると立ち上がってオン状態となり、通過すると立ち下がってオフ状態となるパルス信号である。
即ち、基準位置検出センサ6は、試料分析用ディスク70の回転周期及びトラック毎に基準位置を検出する。基準位置検出センサ6として透過型の光センサを用いてもよい。この場合、基準位置検出センサ6は、試料分析用ディスク70に検出光6aを照射し、切欠き部72を通過する検出光6aを受光することにより、試料分析用ディスク70の回転周期及びトラック毎に基準位置を検出する。
ガイド軸7は、試料分析用ディスク70と並行に、かつ、試料分析用ディスク70の半径方向に沿って配置されている。
光ピックアップ20はガイド軸7に支持されている。光ピックアップ20は、ガイド軸7に沿って、ターンテーブル2の回転軸C2に直交する方向であり、試料分析用ディスク70の半径方向に、かつ、試料分析用ディスク70と並行に駆動される。
光ピックアップ20は対物レンズ21を備えている。光ピックアップ20は試料分析用ディスク70に向けてレーザ光20aを照射する。レーザ光20aは対物レンズ21によって試料分析用ディスク70の反応領域66が形成されているトラック領域75に集光される。試料分析用ディスク70を回転させた状態で光ピックアップ20を試料分析用ディスク70の半径方向に駆動させることにより、図4に示すように、レーザ光20aはトラックに相当する凹部74に沿って走査される。
光ピックアップ20は試料分析用ディスク70からの反射光を受光する。光ピックアップ20は、反射光の受光レベルを検出して受光レベル信号JSを生成し、制御部9へ出力する。
光ピックアップ駆動回路8は光ピックアップ20の駆動を制御する。例えば光ピックアップ駆動回路8は、光ピックアップ20をガイド軸7に沿って移動させたり、光ピックアップ20の対物レンズ21を上下方向に移動させたりする。
制御部9は、ターンテーブル駆動回路5及び光ピックアップ駆動回路8を制御する。制御部9として、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いてもよい。
制御部9は、ターンテーブル駆動回路5を制御して、ターンテーブル2を例えば一定の線速度で回転させたり停止させたりする。制御部9は、光ピックアップ駆動回路8を制御して、光ピックアップ20を試料分析用ディスク70の半径方向の目標位置まで移動させたり、レーザ光20aがトラック領域75に集光されるように対物レンズ21の上下位置を調整したりする。
制御部9は、基準位置検出センサ6から出力された基準位置検出信号KSに基づいて試料分析用ディスク70の回転周期及びトラック毎に基準位置を検出する。制御部9は、検出された基準位置に基づいて反応領域66を特定する。
記憶部10にはトラック毎に計測パラメータSPが記憶されている。計測パラメータSPは、反応領域66の数、基準位置識別部である切欠き部72から各反応領域66までの距離に相当する時間、及び各トラックにおける計測ゲート信号のタイミング等の計測情報を含んでいる。
制御部9は、記憶部10から計測パラメータSPを読み出し、計測パラメータSPに基づいて、反応領域66に対して複数の計測ゲート信号GSを連続して生成する。制御部9は、光ピックアップ20から出力された受光レベル信号JSから、計測ゲート信号GS毎に微粒子パルス信号BSを抽出する。
制御部9は、抽出された微粒子パルス信号BSから、検出対象物質63を標識する微粒子64の数を計測する。制御部9は、各反応領域66の微粒子64の数をトラック毎に加算し、記憶部10に記憶させる。制御部9は、反応領域66毎に微粒子64の数を合算し、表示部11に表示させる。なお、表示される微粒子64の数は検出対象物質63の数に相当する。
[分析方法]
図7〜図13を用いて、分析装置1による検出対象物質63の分析方法、具体的には検出対象物質63を標識する微粒子64の分析方法を説明する。
図7は、基準位置検出センサ6及び光ピックアップ20の検出位置と試料分析用ディスク70の切欠き部72及び反応領域66との位置関係を模式的に示している。図7中の符号6bは基準位置検出センサ6の検出位置を示している。軸線JLはガイド軸7に相当する。光ピックアップ20は軸線JLに沿って試料分析用ディスク70の半径方向に移動する。図7中の符号20bは光ピックアップ20の検出位置を示している。
図7は、反応領域66が設定された位置に形成された試料分析用ディスク70aを示している。複数の反応領域66は、それぞれの中心が試料分析用ディスク70の中心に対して同一円周上に等間隔になるように形成される。即ち、複数の反応領域66は、試料分析用ディスク70上のそれぞれ設定された位置、即ち、理想的な位置に形成される。
図7は、光ピックアップ20の検出位置20bが、反応領域66の中心が位置する同一円周上に配置されている状態を示している。なお、図7では、基準位置検出センサ6の検出位置6bは軸線JL上に位置しているが、これに限定されるものではない。検出位置6bは切欠き部72を検出できる位置であれば試料分析用ディスク70の外周部の任意の位置とすることができる。
反応領域66を形成する過程において、ウェル61には試料液や緩衝液等の溶液が注入されてインキュベートされる。通常、ウェル61の底面の外周部には注入された溶液が滞留しやすい。そのため、ウェル61の底面の外周部に溶液の滞留による不純物が残渣として残ってしまう場合がある。
反応領域66の外周部はウェル61の底面の外周部に相当する。不純物が残渣として残っている可能性が高い反応領域66の外周部を計測することは分析精度を悪化させる要因となる。そこで、反応領域66の外周部を分析対象から除く分析対象外反応領域66bとし、外周部以外の領域を分析対象とする分析対象反応領域66aとする。分析対象反応領域66aのみに捕捉されている微粒子64を分析対象とすることにより、分析精度を向上させることができる。
図8に示すタイムチャートを用いて、設定された位置に形成されている反応領域66と計測ゲート信号との関係を説明する。図8は反応領域66が設定された位置(理想的な位置)に形成されている状態を示している。図8中の符号67は公差領域を示している。公差領域67については後述する。
カートリッジ80と試料分析用ディスク70との位置合わせ公差、及び、シール部材90の変形による位置ずれにより、反応領域66は、試料分析用ディスク70上のそれぞれ設定された位置からずれた位置に形成される場合がある。図9は、反応領域66が設定された位置からずれた位置に形成された試料分析用ディスク70bを示している。反応領域66のずれる方向やずれる量は反応領域66毎に異なる場合がある。
公差領域67は、反応領域66が設定された位置からずれた位置に形成された場合を考慮して設定された範囲である。従って、反応領域66は公差領域67内の任意の位置に形成される。
図10A、図10B、及び図10Cのフローチャートを用いて、分析装置1による微粒子64の具体的な分析方法を説明する。
制御部9は、図10AのステップS1にて、試料分析用ディスク70が一定の線速度で回転するようにターンテーブル駆動回路5を制御し、ターンテーブル駆動部4にターンテーブル2を回転駆動させる。
制御部9は、ステップS2にて、基準位置検出センサ6から試料分析用ディスク70に向けて検出光6aを照射させる。
制御部9は、ステップS3にて、光ピックアップ20から試料分析用ディスク70に向けてレーザ光20aを照射させる。制御部9は、光ピックアップ駆動回路8を制御して、光ピックアップ20を公差領域67よりも外側のトラックTRi−1へ移動させる。図8に示すように、公差領域67は複数のトラックTRi〜TRpに亘って設定されている。トラックTRi−1は、公差領域67における一端側のトラックTRiよりも1つ手前(図9における上側)に位置する。トラックTRpは公差領域67における他端側のトラックである。トラックTRi〜TRp及びトラックTRi−1の末尾のi〜p及びi−1はトラック番号を示している。
なお、ステップS2の後にステップS3を実行させてもよいし、ステップS3の後にステップS2を実行させてもよいし、ステップS2及びステップS3を同時に実行させてもよい。
制御部9は、ステップS4にて、反応領域番号wをリセットする(w=1)。例えばw=1は切欠き部72を基準位置として最初に検出される反応領域66を示す。w=mは切欠き部72を基準位置として最後に検出される反応領域66を示す。本実施形態では反応領域66の数は8であるので、m=8となる。
制御部9は、図10BのステップS5にて、基準位置検出センサ6から、切欠き部72を検出することにより生成された基準位置検出信号KSの立ち下がりを検出してトラック番号を更新する(i=i+1)。制御部9は、光ピックアップ駆動回路8を制御して、光ピックアップ20をトラックTRi−1から1つ隣りのトラックTRiへ移動させる。これにより、公差領域67は光ピックアップ20の検出位置を通過することになる。
制御部9は、ステップS6にて、記憶部10からトラックTRiの計測パラメータSPiwを読み出す。計測パラメータSPiwはトラックTRiにおける反応領域66w(w=1〜m)の計測パラメータである。
計測パラメータSPiwは、基準位置検出信号KSの立ち下がりから最初の計測ゲート信号GSi0(s=0)の立ち上がりまでの時間TDiw、及び、計測ゲート信号GSisを生成する時間等の計測情報を含んでいる。計測ゲート信号GSisの末尾のsは変数であり、計測ゲート信号番号を示している。時間TDiwは切欠き部72と公差領域67wとの位置関係と試料分析用ディスク70の回転速度とによりトラック毎に決定される。
制御部9は、ステップS7にて、計測パラメータSPiwに基づいて、基準位置検出信号KSの立ち下がりを検出した時刻から時間TDiwが経過した時刻に、計測ゲート信号番号sをリセットする(s=0)。
制御部9は、ステップS8にて、計測パラメータSPiwに基づいて、基準位置検出信号KSの立ち下がりを検出した時刻から時間TDiwが経過した時刻に立ち上がるように、パルス幅Tpの計測ゲート信号GSisを生成する。パルス幅Tpは分析装置1に要求される分析精度により決定される。パルス幅Tpを狭くすることにより計測位置精度を向上させることができる。
制御部9は、ステップS9にて、計測ゲート信号GSisがオン状態の期間(パルス幅Tpに相当する)に、光ピックアップ20から出力された受光レベル信号JSから微粒子パルス信号BSを検出し、微粒子64の数を計測する。なお、受光レベル信号JSには微粒子パルス信号BS以外にノイズが含まれている場合がある。そのため、制御部9は、受光レベル信号JSに含まれているパルス信号と閾値Vpとを比較し、閾値Vp以下のパルス信号を微粒子パルス信号BSと判定する。制御部9は、計測した微粒子64の数を、トラック番号及び反応領域番号wと関連付けて記憶部10に記憶させる。
制御部9は、ステップS10にて、計測ゲート信号GSin(s=n)を生成したか否かを判定する。計測ゲート信号GSinはトラックTRiにおいて最後に生成される計測ゲート信号である。計測ゲート信号GSinは記憶部10から読み出した計測パラメータSPiwに基づいて決定される。
ステップS10で計測ゲート信号GSinを生成していない(NO)と判定された場合、制御部9は、ステップS11にて、計測ゲート信号番号を更新(s=s+1)し、ステップS8にて、次の計測ゲート信号GSis+1を生成する。計測ゲート信号GSis+1は、計測ゲート信号GSis+1の立ち上がりの時刻が計測ゲート信号GSisの立ち下がりの時刻と一致するように生成される。
ステップS10で計測ゲート信号GSinを生成した(YES)と判定された場合、制御部9は、ステップS12にて、反応領域66m(w=m)を計測したか否かを判定する。
ステップS12で反応領域66mを計測していない(NO)と判定された場合、制御部9は、ステップS13にて、反応領域番号を更新(w=w+1)し、ステップS7にて、基準位置検出信号KSの立ち下がりを検出した時刻から時間TDiw+1が経過した時刻に、計測ゲート信号番号sをリセットする(s=0)。
ステップS12で反応領域66mを計測した(YES)と判定された場合、制御部9は、ステップS14にて、公差領域67における最後のトラックであるトラックTRpを計測したか否かを判定する。
ステップS14でトラックTRpを計測していない(NO)と判定された場合、制御部
9は、ステップS5にて、基準位置検出センサ6から、切欠き部72を検出することにより生成された基準位置検出信号KSの立ち下がりを検出してトラック番号を更新する(i=i+1)。制御部9は、光ピックアップ駆動回路8を制御して、光ピックアップ20をトラックTRiから1つ隣りのトラックTRi+1へ移動させる。
ステップS14でトラックTRpを計測した(YES)と判定された場合、制御部9は、図10CのステップS15にて、ターンテーブル駆動回路5を制御して試料分析用ディスク70の回転を停止させる。
制御部9は、ステップS16にて、基準位置検出センサ6による検出光6aの照射、及び、光ピックアップ20によるレーザ光20aの照射を停止させる。制御部9は、ステップS17にて、記憶部10からトラックTRiにおける反応領域66wの各計測ゲート信号GSisによる計測結果を読み出す。
制御部9は、ステップS18にて、各計測ゲート信号GSisによる計測結果からトラックTRiにおける反応領域66wの通過長Liwを算出する。制御部9は、ステップS19にて、記憶部10に予め記憶されているテーブルリストを参照し、通過長Liwから分析対象反応領域66waに該当する計測ゲート区間Tiwaを特定する。
制御部9は、ステップS20にて、分析対象反応領域66waの計測ゲート区間Tiwaにおける微粒子64の数を計測ゲート信号GSis毎に加算する。制御部9は、合算された微粒子64の数を計測結果Rwに加算し、記憶部10に記憶させる。
制御部9は、ステップS21にて、分析対象反応領域66ma(w=m)の計測ゲート区間Tiwaにおける微粒子64の数を計測ゲート信号GSis毎に加算し、合算された微粒子64の数を計測結果Rm(w=m)に加算し、記憶部10に記憶したか否かを判定する。
ステップS21でNOと判定された場合、制御部9は、ステップS22にて、反応領域番号を更新(w=w+1)し、ステップS17にて、記憶部10からトラックTRiにおける反応領域66w+1の各計測ゲート信号GSisよる計測結果を読み出す。
ステップS21でYESと判定された場合、制御部9は、ステップS23にて、トラックTRp(i=p)における分析対象反応領域66waの計測ゲート区間Tiwaにおける微粒子64の数を計測結果Rwに加算し、記憶部10に記憶させたか否かを判定する。
ステップS23でNOと判定された場合、制御部9は、ステップS24にて、トラック番号を更新(i=i+1)し、ステップS17にて、記憶部10からトラックTRi+1における反応領域66wの各計測ゲート信号GSisよる計測結果を読み出す。
ステップS23でYESと判定された場合、制御部9は、ステップS25にて、各分析対象反応領域66waの計測結果を表示部11に表示する。
[分析対象反応領域の特定方法]
図8、図11〜図13を用いて、分析対象反応領域66waの特定方法を説明する。
図8及び図11を用いて、反応領域66wが設定された位置に形成されている場合について説明する。
図8に示すように、トラックTRk(i=k(i<k<p))では、基準位置検出信号KSの立ち下がりを検出した時刻から時間TDkwが経過した時刻に立ち上がるように、パルス幅Tpの計測ゲート信号GSk0(s=0)が生成される。さらに連続してパルス幅Tpの計測ゲート信号GSk1(s=1)〜GSkn(s=n)が生成される。
計測ゲート信号GSk0〜GSk4がオン状態の期間では、反応領域66wが光ピックアップ20の検出位置に到達してないため、微粒子パルス信号BSは検出されない。
計測ゲート信号GSk5〜GSkn−5がオン状態の期間Tkw(i=k)では、反応領域66wが光ピックアップ20の検出位置を通過するため、微粒子パルス信号BSが検出される。なお、計測ゲート信号GSk5がオン状態の期間、及び計測ゲート信号GSkn−5がオン状態の期間に検出される微粒子パルス信号BSは、分析対象外反応領域66wbの微粒子パルス信号である。
制御部9は、期間TkwにトラックTRkにおける試料分析用ディスク70の回転速度を乗算することにより、反応領域66wの通過長Lkw(i=k)を算出することができる。制御部9は、記憶部10のテーブルリストを参照して、トラックTRk(i=k)における反応領域66wの通過長Lkwに対応する分析対象反応領域66waの通過長Lkwa(i=k)を読み出し、通過長Lkwaに該当する計測ゲート区間Tkwa(i=k)を特定する。トラックTRkにおいては計測ゲート信号GSk6〜GSkn−6がオン状態の期間が計測ゲート区間Tkwaと特定される。
図11(a)は、反応領域66wが設定された位置に形成されている試料分析用ディスク70a(図7参照)から検出された、トラックTRk(i=k)における微粒子パルス信号BS群の一例を示している。図11(b)は計測ゲート区間Tkwaを示している。図11(c)は基準位置検出信号KSを示している。
本実施形態の分析装置及び分析方法では、反応領域66w毎にトラックTRiにおける反応領域66wの通過長Liwを算出し、計測ゲート区間Tiwaを特定する。これにより、分析対象反応領域66waのみの微粒子64を計測することができるので、反応領域66w全体の微粒子64を計測する場合と比較して、分析精度を向上させることができる。
図12及び図13を用いて、反応領域66wが設定された位置からずれた位置に形成されている場合について説明する。
トラックTRkでは、基準位置検出信号KSの立ち下がりを検出した時刻から時間TDkwが経過した時刻に立ち上がるように、パルス幅Tpの計測ゲート信号GSk0(s=0)が生成される。さらに連続してパルス幅Tpの計測ゲート信号GSk1(s=1)〜GSkn(s=n)が生成される。
計測ゲート信号GSk0〜GSk7がオン状態の期間では、反応領域66wが光ピックアップ20の検出位置に到達してないため、微粒子パルス信号BSは検出されない。
計測ゲート信号GSk8〜GSkn−2がオン状態の期間Tkw(i=k)では、反応領域66wが光ピックアップ20の検出位置を通過するため、微粒子パルス信号BSが検出される。なお、計測ゲート信号GSk8,GSk9がオン状態の期間、及び計測ゲート信号GSkn−3,GSkn−2がオン状態の期間に検出される微粒子パルス信号BSは、分析対象外反応領域66wbの微粒子パルス信号を含んでいる。
制御部9は、期間TkwにトラックTRkにおける試料分析用ディスク70の回転速度を乗算することにより、反応領域66wの通過長Lkw(i=k)を算出することができる。制御部9は、記憶部10のテーブルリストを参照して、トラックTRk(i=k)における反応領域66wの通過長Lkwに対応する分析対象反応領域66waの通過長Lkwa(i=k)を読み出し、通過長Lkwaに該当する計測ゲート区間Tkwa(i=k)を特定する。トラックTRkにおいては計測ゲート信号GSk10〜GSkn−4がオン状態の期間が計測ゲート区間Tkwaと特定される。
図13(a)は、反応領域66wが設定された位置からずれた位置に形成されている試料分析用ディスク70b(図9参照)から検出された、トラックTRk(i=k)における微粒子パルス信号BS群の一例を示している。図13(b)は計測ゲート区間Tkwaを示している。図13(c)は基準位置検出信号KSを示している。
本実施形態の分析装置及び分析方法では、反応領域66w毎にトラックTRiにおける反応領域66wの通過長Liwを算出して計測ゲート区間Tiwaを特定する。これにより、反応領域66wが設定された位置からずれた位置に形成されている場合においても、分析対象反応領域66waのみの微粒子64を計測することができる。
従って、本実施形態の分析装置及び分析方法によれば、反応領域66wが設定された位置からずれた位置に形成されている試料分析用ディスク70bに対しても微粒子64の検出精度の悪化を抑制することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、本実施形態の分析装置1では、反応領域66が下向きになるように試料分析用ディスク70をターンテーブル2上に載置する構成としたが、これに限定されるものではなく、反応領域66が上向きになる構成としてもよい。
1 分析装置
2 ターンテーブル
4 ターンテーブル駆動部
5 ターンテーブル駆動回路
8 光ピックアップ駆動回路
9 制御部
20 光ピックアップ
20a レーザ光
63 検出対象物質
64 微粒子
66 反応領域
70 試料分析用ディスク
C2 回転軸
JS 受光レベル信号
GS 計測ゲート信号
Tiwa 計測ゲート区間

Claims (1)

  1. 検出対象物質分析用の微粒子を計数するための試料分析用ディスクであって、
    外周部に形成された基準位置識別部と、
    凸部と凹部とが半径方向に交互に配置されたトラック領域と、
    前記トラック領域に形成され、前記微粒子を計数する領域である反応領域をそれぞれ備えた複数の公差領域と、
    を有し、
    前記凹部に前記微粒子が捕捉された前記試料分析用ディスクに対し、
    前記公差領域にレーザ光を照射された際の反射光から生成された受光レベル信号と、前記基準位置識別部に基づいて生成された複数の計測ゲート信号とを用いて前記反応領域の前記凹部に捕捉された微粒子が計数されること
    を特徴とする試料分析用ディスク。
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