JP2018135964A - フェースギア伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の装置では、強度上の問題となる噛み合い接触線長さの変動に関しては考慮されていなかった。
【解決手段】フェースギアFとピニオンPとを備えると共に、1歯の噛み合いと2歯の噛み合いとを繰り返すフェースギア伝達装置であって、フェースギアFの歯面の外端側が、外端基準点P1と、歯面の歯先において外端部よりも内側の位置から歯先基準点P2に至る間の任意点P3とを線で結んだ連続形状であり、外端基準点P1が、歯面の外端部Fbと1歯の噛み合い終了位置である噛み合い接触線Leとの交点であると共に、歯先基準点P2が、歯面の歯先と噛み合い進行線Lsとの交点である構成とすることで、噛み合い進行に伴う噛み合い接触線長さの変動を抑制し、その変動に伴う衝撃を緩和してギア対の強度向上を実現する。
【選択図】図2
【解決手段】フェースギアFとピニオンPとを備えると共に、1歯の噛み合いと2歯の噛み合いとを繰り返すフェースギア伝達装置であって、フェースギアFの歯面の外端側が、外端基準点P1と、歯面の歯先において外端部よりも内側の位置から歯先基準点P2に至る間の任意点P3とを線で結んだ連続形状であり、外端基準点P1が、歯面の外端部Fbと1歯の噛み合い終了位置である噛み合い接触線Leとの交点であると共に、歯先基準点P2が、歯面の歯先と噛み合い進行線Lsとの交点である構成とすることで、噛み合い進行に伴う噛み合い接触線長さの変動を抑制し、その変動に伴う衝撃を緩和してギア対の強度向上を実現する。
【選択図】図2
Description
本発明は、フェースギアとこれに噛み合うピニオンとを備えたフェースギア伝達装置に関するものである。
従来におけるフェースギア伝達装置としては、例えば、クラウン歯車とピニオンからなるギア組合せ体の名称で、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載のギア組合せ体は、ピニオンの歯が、クラウン歯車の歯切り下げを縮減するためにクラウン歯車の半径方向において外側から内側に向かって漸増する圧力角を有する構成である。これにより、上記のギア組合せ体は、負荷がかかるクラウン歯車の歯面の半径方向内側への延長を可能にし、クラウン歯車の歯面の総重なり面積を有効に拡大する。
ところで、自動車の差動装置等を構成するギア対のように、ギア比の小さい(例えば2以下)フェースギア伝達装置では、フェースギアとピニオンとの噛み合い進行に伴う噛み合い接触線長さの変動が強度上の問題となる。しかし、従来のギア組合せ体では、クラウン歯車の歯面において、噛み合い接触線を延長し得るものの、噛み合い接触線長さの変動や、その変動に伴う衝撃に関しては考慮されていなかった。
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたものであって、フェースギアとピニオンとの噛み合い進行に伴う噛み合い接触線長さの変動を抑制することができ、その変動に伴う衝撃を緩和してギア対の強度向上を実現することができるフェースギア伝達装置を提供することを目的としている。
本発明に係わるフェースギア伝達装置は、フェースギアとこれに噛み合うピニオンとを備えると共に、互いの1歯の噛み合いと、隣接する2歯の噛み合いとを連続的に繰り返すものである。このフェースギア伝達装置は、フェースギアの歯面の外端側が、歯面の外端部における外端基準点と、歯面の歯先において外端部よりも内側の位置から歯先基準点に至る間に設定した任意点とを線で結んだ連続形状である。
そして、フェースギア伝達装置は、前記外端基準点が、歯面の外端部と、1歯の噛み合い終了位置である噛み合い接触線との交点であると共に、前記歯先基準点が、歯面の歯先と、噛み合い進行線との交点である構成としており、上記構成をもって課題を解決するための手段としている。
本発明に係わるフェースギア伝達装置は、フェースギアの外端側が、実質的に、歯先を頂部とする面取り形状になる。これにより、フェースギア伝達装置は、隣接する2歯の噛み合いの間に、回転方向に先行する1歯の噛み合い接触線長さを次第に減少させて、2歯の噛み合い終了から1歯の噛み合い開始に移行する際の噛み合い接触線長さの急変を緩和する。
このようにして、フェースギア伝達装置は、フェースギアとピニオンとの噛み合い進行に伴う噛み合い接触線長さの総和の変動を抑制することができ、その変動に伴う衝撃を緩和してギア対の強度向上や高寿命化を実現することができる。
〈第1実施形態〉
図1に示すフェースギア伝達装置は、環状の歯列を有するフェースギアFと、これに係合するピニオンPとを備えており、双方の回転中心線が実質的に直交する構成である。一例として、フェースギアFは、凸曲面状を成す歯面を有している。他方、ピニオンPは、インボリュート歯形を有している。
図1に示すフェースギア伝達装置は、環状の歯列を有するフェースギアFと、これに係合するピニオンPとを備えており、双方の回転中心線が実質的に直交する構成である。一例として、フェースギアFは、凸曲面状を成す歯面を有している。他方、ピニオンPは、インボリュート歯形を有している。
また、フェースギア伝達装置は、例えば、2以下の比較的小さいギア比を有するものであり、後に詳述するが、1ピッチの間に、フェースギアF及びピニオンPの互いの1歯(1歯同士)の噛み合いと、隣接する2歯(2歯同士)の噛み合いとを連続的に行い、それ以降、同様のピッチを繰り返すものである。なお、以下の説明では、フェースギアFの内周側の端部を内端部Faとし、外周側の端部を外端部Fbとして説明する。
そして、フェースギア伝達装置は、図2〜図4に示すように、フェースギアFの歯面の外端側が、歯面の外端部Fbにおける外端基準点P1と、歯面の歯先において外端部Fbよりも内側の位置から歯先基準点P2に至る間(外端部Fbを含まない領域Q)に設定した任意点P3とを線で結んだ連続形状である。これにより、フェースギアFの歯の外端側(外端面)は、実質的に、歯先を頂部とする面取り形状になっている。
上記の外端基準点P1は、歯面の外端部Fbと、1歯の噛み合い終了位置である噛み合い接触線Leとの交点である。また、上記の歯先基準点P2は、歯面の歯先と、噛み合い進行線Lsとの交点である。噛み合い接触線Le及び噛み合い進行線Lsについては、後述する。
図2〜図4に示すフェースギアFは、いずれも、外端基準点P1と任意点P3とを結ぶ線が、直線である。また、図2に示すフェースギアF(FA)は、外端部Fbから歯先基準点P2に至る間において、歯先基準点P2から約3分の2程度の位置に、任意点P3を設定したものである。よって、任意点P3は、歯面の外端部Fbよりも内側(内端部側)に位置している。
図3に示すフェースギアF(FB)は、外端部Fbから歯先基準点P2に至る間において、歯先基準点P2から約3分の1程度の位置に、任意点P3を設定したものである。また、図4に示すフェースギアF(FC)は、歯先基準点P2と同位置に、任意点P3を設定したものである。よって、図3及び図4に示す任意点P3にあっても、歯面の外端部Fbよりも内側(内端部側)に位置している。
フェースギア伝達装置では、フェースギアFの各歯が放射状に配置され、これにピニオンPが噛み合っている。このため、フェースギアFの歯面におけるピニオンPとの噛み合い接触線L(主に点線で示す)は、図2中に矢印で示すように、内端部Faの歯元から歯先及び外端部Fbに向けて、長さを増大させつつ連続的に移行する。また、噛み合い接触線Lは、歯元から歯先に向けて、歯丈方向に対する傾斜角が次第に減少し、歯先側では歯先とほぼ平行になる。
さらに、フェースギアFの歯面は、図2中に灰色で示す1歯の噛み合い領域A1を有している。また、同歯面は、1歯の噛み合い領域A1の歯元側及び歯先側に、図2中に白色で示す2歯の噛み合い領域A2,A3を有している。
フェースギアFの歯面において、1歯の噛み合い領域A1とは、他の部分での噛み合いが存在しない状態で、ピニオンの1歯が接触する領域である。また、同歯面において、2歯の噛み合い領域A2,A3とは、回転方向に先行する歯面の歯先側にピニオンPの1歯が接触する領域A2と、回転方向の次の歯面における歯元側に、ピニオンPの回転方向の次の1歯が接触する領域A3である。
なお、回転方向に先行する歯面における噛み合い接触線(領域A1の接触線)Lは、「上1歯の噛み合い接触線L」と言い換えることができる。また、回転方向の次の歯面における噛み合い接触線(領域A3の接触線)Lは、「下1歯の噛み合い接触線L」と言い換えることができる。
フェースギアF及びピニオンPの噛み合いは、回転を伴って連続的に行われるので、フェースギアFの各歯面に、1歯の噛み合い領域A1と、2歯の噛み合い領域A2,A3を定義することができる。そして、外側基準点P1を決定する噛み合い接触線Leは、図2〜図4中に実線で示すように、1歯の噛み合い領域A1において、その歯先側の終了位置に相当する接触線である。
また、フェースギアFの歯面における噛み合い進行線Lsは、ピニオンPとの接触中心を連続させた線である。フェースギア伝達装置は、先述したように、フェースギアFの歯面が凸曲面状を成すと共に、ピニオンPがインボリュート歯形を有している。
この場合、フェースギアFにおける噛み合い接触線Lは、理論上の線である。実際には、フェースギアF及びピニオンPの互いの歯面は、弾性変形を伴って、凸曲面の頂点を中心にした楕円の範囲で接触する。したがって、上記の噛み合い進行線Lsは、ピニオンPとの接触中心を噛み合い接触線Lの移行方向(図2中のの矢印方向)に連続させた線であり、概ね、各噛み合い接触線Lの中心部分を通る線である。
図5(A)〜(D)は、噛み合い進行に伴う噛み合い接触線Lの変化を順次示す説明図である。図6は、図2〜図4に示すフェースギアF(FA〜FC)について、噛み合い進行と噛み合い接触線長さの総和との関係を示すグラフである。なお、図2〜図4に示すいずれのフェースギアF(FA〜FC)でも、噛み合い進行に伴って噛み合い接触線Lが同様に変化するが、図5(A)〜(D)には、代表例として、図4に示すフェースギアF(歯先基準点P2と同位置に任意点P3を設定したもの)を示している。
フェースギア伝達装置は、図5(A)〜(D)に示すように、1ピッチの間に、1歯の噛み合いと、隣接する2歯の噛み合いとを連続的に行い、その間、図6に示すように、噛み合い接触線長さの総和が変化する。なお、図5(A)〜(D)に示す上段の歯F1は、回転方向に先行する歯であり、下段のF2は、回転方向の次の歯である。この場合、回転方向とは、フェースギアFとピニオンPとの相対的な回転方向である。
フェースギア伝達装置は、図5(A)に示すように、2歯の噛み合いを開始した直後(T1直後)において、上段の歯F1では、歯先側の2歯の噛み合い領域A2に、相対的に長い噛み合い接触線L1、つまり、上1歯の噛み合い接触線L1が存在する。また、下段の歯F2では、歯元側の2歯の噛み合い領域A3に、相対的に短い噛み合い接触線L2、つまり、下1歯の噛み合い接触線L2が存在する。よって、図6に示す噛み合い接触線長さの総和は、双方の噛み合い接触線L1,L2の長さの和である。
上記の2歯の噛み合いの間は、上段の歯F1の噛み合い接触線(上1歯の噛み合い接触線)L1が徐々に短くなると共に、下段の歯F2の噛み合い接触線(下1歯の噛み合い接触線)L2が徐々に長くなり、全体として、噛み合い接触線の長さの総和は漸減する。
次に、図5(B)に示すように、2歯の噛み合いを終了する時点T2においては、上段の歯F1では、歯先に噛み合い接触線L1が存在する。また、下段の歯F2では、歯元側に噛み合い接触線L2が存在する。
2歯の噛み合いが終了すると、上段の歯F1の噛み合いがなくなると共に、図5(C)に示すように、下段の歯F1において、1歯の噛み合い領域(図2中の符号A1)での1歯の噛み合いが開始される。
1歯の噛み合いの間は、先述したように、下1歯の噛み合い接触線L2の長さが次第に増大するので、総和(上1歯はゼロ)も増大する。この1歯の噛み合いは、図5(D)に示すように、外端基準点P1を決定する終了位置の噛み合い接触線Leで終了する
ここで、図2〜図5中には、外端側に面取り形状の無い比較例の歯Fdを仮想線で示している。この比較例の歯Fdは、2歯の噛み合いの間では、図6中に点線で示すように、噛み合い接触線長さの総和が漸減する。
しかし、比較例の歯Fdは、歯先を外端部Fbまで有しているので、相対的に長い上1歯の噛み合い接触線L1の全てが歯面の外端部まで存在する。このため、比較例の歯Fdでは、2歯の噛み合いから1歯の噛み合いに移行した瞬間(図5中のT2)、すなわち、下1歯の噛み合い接触線L2のみでの噛み合いになった瞬間、噛み合い接触線長さの総和が急激に大きく減少し、下1歯の噛み合い接触線L2に大きな負荷が集中する。
これに対して、図2〜図4に示すフェースギアF(FA〜FC)は、外端側が、いわゆる面取り形状を成しているので、回転方向に先行する上1歯の噛み合い接触線L1の長さが比較例の場合よりも短くなる。加えれば、フェースギアF(FA〜FC)は、外端側を面取り形状にすることで、角が無い分だけ、上1歯の噛み合い接触線L1の長さが短くなる。他方、下1歯の噛み合い接触線L2の長さは漸増する。このため、フェースギアF(FA〜FC)では、噛み合い接触線長さの総和が、比較例の歯Fdよりも大きい割合で減少する。
その結果、上記のフェースギアFは、2歯の噛み合いから1歯の噛み合いに移行した瞬間(T2)において、噛み合い接触線長さの総和の減少量(高低差)が小さくなり、減少量の急変が緩和される。これにより、上記のフェースギアFは、1歯の噛み合いに移行した際、下1歯の接触線L2に対する負荷を軽減し、噛み合い接触線長さの変動に伴う衝撃を低減する。
より具体的には、図2に示すフェースギアF、すなわち歯先基準点P2から約3分の2程度の位置に任意点P3を設定したフェースギアFAでは、2歯の噛み合いから1歯の噛み合いに移行した際に、比較例の歯Fdよりも噛み合い接触線長さの総和の変動(減少量)が小さくなる。
また、図3に示すフェースギアF、すなわち歯先基準点P2から約3分の1程度の位置に任意点P3を設定したフェースギアFBでは、2歯の噛み合いから1歯の噛み合いに移行した際に、噛み合い接触線長さの総和の変動(減少量)がさらに小さくなる。
さらに、図4に示すフェースギアF、すなわち歯先基準点P2に任意点P3を設定したフェースギアFCでは、2歯の噛み合いの間に、噛み合い接触線長さの総和が下限値まで減少する。これにより、上記のフェースギアFCでは、2歯の噛み合いから1歯の噛み合いに移行した際に、噛み合い接触線長さの総和の急変が解消される。
以上のように、フェースギア伝達装置は、フェースギアFの歯面の外端側を、外端基準点P1と、外端部Fbよりも内側の位置から歯先基準点P2に至る間に設定した任意点P3とを線で結んだ連続形状としている。これにより、フェースギアFは、実質的に、外端側が歯先を頂部とする面取り形状になり、隣接する2歯の噛み合いの間に、回転方向に先行する上1歯の噛み合い接触線長さを減少させて、2歯の噛み合い終了から1歯の噛み合い開始に移行する際の噛み合い接触線長さの急変を緩和する。
このようにして、フェースギア伝達装置は、フェースギアFとピニオンPとの噛み合い進行に伴う噛み合い接触線長さの変動を抑制することができ、その変動に伴う衝撃を緩和してギア対の強度向上や長寿命化を実現することができる。
また、フェースギア伝達装置は、フェースギアFの外端部Fbに外端基準点P1を設定するに際し、1歯の噛み合い終了位置である噛み合い接触線Leとの交点としたので、1歯の噛み合いの終わりである噛み合い接触線長さを確保することができ、強度の維持を図ることができる。
さらに、フェースギア伝達装置は、フェースギアFとピニオンPとの噛み合い進行に伴う噛み合い接触線長さの変動を抑制することで、噛み合い接触線の長さを延長したり、噛み合いの総重なり面積を拡大したりせずに、ギア対の強度向上を実現する。よって、フェースギア伝達装置は、フェースギアFの大型化や重量増大を招くことなく、機械的強度の向上や長寿命化を図ることができるので、小型軽量化が求められる自動車用差動装置等のギア対への適用に優れている。
さらに、フェースギア伝達装置は、歯面の歯先において外端部Fbよりも内側の位置から歯先基準点P2に至る間に設定する任意点P3を、歯先基準点P2と同位置に設定することにより、噛み合い接触線長さの総和の急変を解消することができ、2歯の噛み合い終了から1歯の噛み合い開始に移行する際の衝撃を大幅に緩和し得る。
さらに、フェースギア伝達装置は、フェースギアFの歯面の外端側を、外端基準点P1と、任意点P3とを直線で結んだ連続形状にしているので、上記した各効果のほか、フェースギアFの軽量化を図ることができると共に、加工も容易である。
〈第2実施形態〉
図7は、本発明に係わるフェースギア伝達装置の第2実施形態を説明する図である。なお、第1実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図7は、本発明に係わるフェースギア伝達装置の第2実施形態を説明する図である。なお、第1実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図7(A)に示すフェースギアFは、歯面の外端側が、外端基準点P1と、任意点P3とを線で結んだ連続形状であり、その線が曲線である。この曲線は、歯先側で凸状の曲線であると共に、外端側で凹状の曲線であり、これらは例えば放物線である。これにより、フェースギアFの外端面は、実質的に、歯先を頂点とする曲面の面取り形状になる。また、この実施形態では、任意点P3が、歯先基準点P2と同位置に設定してある。
上記構成を備えたフェースギア伝達装置は、図7(B)に示すように、2歯の噛み合いの間において、噛み合い接触線長さの総和が、上記曲線に対応して減少する。とくに、噛み合い開始後の範囲と、噛み合い終了前の範囲とでは、噛み合い接触線長さの総和が、緩やかに減少する。
なお、図6(B)には、噛み合い接触線長さの変化を比較するために、第1実施形態で説明した比較例のフェースギアFdを細い点線で示し、第1実施形態の図4で説明したフェースギアFAを太い点線で示している。
これにより、フェースギア伝達装置は、外端基準点P1と任意点P3とを結ぶ線を曲線にしているので、2歯の噛み合い終了から1歯の噛み合い開始に移行する際の噛み合い接触線長さの変動を滑らかに抑制することができる。
また、この実施形態では、任意点P3と歯先基準点P2とが同位置であるから、2歯の噛み合いの間に、噛み合い接触線長さの総和が下限値まで減少する。これにより、上記のフェースギアFでは、2歯の噛み合いから1歯の噛み合いに移行した際に、噛み合い接触線長さの総和の急変が解消される。
〈第3実施形態〉
図8は、先の各実施形態に示すフェースギア伝達装置を適用した差動装置を説明する図である。差動装置は、リングギア11と、これに組み合わせたデフケース12との間に、相対向する一対のサイドギア13,13を配置すると共に、両サイドギア13,13に係合する2つのピニオン14,14を配置している。
図8は、先の各実施形態に示すフェースギア伝達装置を適用した差動装置を説明する図である。差動装置は、リングギア11と、これに組み合わせたデフケース12との間に、相対向する一対のサイドギア13,13を配置すると共に、両サイドギア13,13に係合する2つのピニオン14,14を配置している。
すなわち、フェースギア伝達装置は、フェースギア(F)がサイドギア13であると共に、ピニオン(P)が、サイドギア13に噛み合うピニオン14である。
リングギア11は、車軸孔15と同軸上に一方のサイドギア13を備え、図示しないプロペラシャフトの歯車に係合すると共に、車軸孔15に取り付けた一方の車軸とサイドギア13とを連結する。デフケース12は、車軸孔16と同軸上に他方のサイドギア13を備えを備え、車軸孔16に取り付けた他方の車軸とサイドギア13とを連結する。各ピニオン14は、デフケース12に設けた夫々のピニオンシャフト17,17により回転自在に保持されている。
差動装置は、周知のように、プロペラシャフトの回転を左右の車軸に伝達し、車両が旋回する際に左右の車軸の回転を変化させる。このとき、フェースギア伝達装置は、サイドギア13(F)とピニオン14(P)とが、互いの1歯の噛み合いと、隣接する2歯の噛み合いとを連続的に繰り返す。
その際、フェースギア伝達装置は、噛み合い進行に伴う噛み合い接触線長さの変動を抑制して、その変動に伴う衝撃を緩和するので、差動装置におけるギア対の強度向上、長寿命化、及び小型軽量化などに貢献することができる。
本発明に係わるフェースギア伝達装置は、その構成が上記各実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の細部を適宜変更することが可能であり、差動装置以外の適用も当然可能である。また、フェースギア伝達装置を構成するフェースギアF及びピニオンPは、NCマシンによる切削加工や、鍛造等の方法により製造することができる。
F フェースギア
Fa 歯面の内端部
Fb 歯面の外端部
P ピニオン
P1 外端基準点
P2 歯先基準点
P3 任意点
L 噛み合い接触線
L1 上1歯の噛み合い接触線
L2 下1歯の噛み合い接触線
Le 噛み合い終了位置の噛み合い接触線
Ls 噛み合い進行線
13 サイドギア(フェースギア)
14 ピニオン
Fa 歯面の内端部
Fb 歯面の外端部
P ピニオン
P1 外端基準点
P2 歯先基準点
P3 任意点
L 噛み合い接触線
L1 上1歯の噛み合い接触線
L2 下1歯の噛み合い接触線
Le 噛み合い終了位置の噛み合い接触線
Ls 噛み合い進行線
13 サイドギア(フェースギア)
14 ピニオン
Claims (5)
- フェースギアとこれに噛み合うピニオンとを備えると共に、
互いの1歯の噛み合いと、隣接する2歯の噛み合いとを連続的に繰り返すフェースギア伝達装置であって、
フェースギアの歯面の外端側が、歯面の外端部における外端基準点と、歯面の歯先において外端部よりも内側の位置から歯先基準点に至る間に設定した任意点とを線で結んだ連続形状であり、
前記外端基準点が、歯面の外端部と、1歯の噛み合い終了位置である噛み合い接触線との交点であると共に、
前記歯先基準点が、歯面の歯先と、噛み合い進行線との交点であることを特徴とするフェースギア伝達装置。 - 前記任意点が、歯先基準点と同位置であることを特徴とする請求項1に記載のフェースギア伝達装置。
- フェースギアの歯面の外端側が、外端基準点と、任意点とを直線で結んだ連続形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェースギア伝達装置。
- フェースギアの歯面の外端側が、外端基準点と、任意点とを曲線で結んだ連続形状であって、
前記曲線が、歯先側で凸状の曲線であると共に、外端側で凹状の曲線であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェースギア伝達装置。 - 前記フェースギアが、差動装置を構成するサイドギアであると共に、
前記ピニオンが、サイドギアに噛み合うピニオンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェースギア伝達装置。
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