JP6067183B2 - 追い越し型かみ合いの負偏位波動歯車装置 - Google Patents

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Description

本発明は、可撓性の外歯車を正規の撓み量よりも少ない撓み量(負偏位状態)で撓めて剛性の内歯車にかみ合わせる負偏位波動歯車装置に関する。更に詳しくは、潤滑上有利な追い越し型かみ合いが成立するように、外歯車および内歯車の歯形が設定されている追い越し型かみ合いの負偏位波動歯車装置に関する。
波動歯車装置は、剛性の内歯車、可撓性の外歯車および波動発生器を備えている。外歯車は、波動発生器によって楕円状に撓まされて内歯車に例えば2か所で噛みあっている。この場合、外歯車は内歯車よりも2n枚(nは正の整数)だけ少ない歯数を有する。波動発生器を回転すると両歯車のかみ合い位置が円周方向に移動する。波動発生器が1回転する毎に、両歯車の間には歯数差に対応する角度分の相対回転が生じる。波動歯車装置は一般に減速機構として利用されている。
波動歯車装置は、創始者C.W.Musser氏の発明(米国特許第2,906,143号明細書)以来、今日まで同氏を始め、本発明者を含め多くの研究者によって各種の発明がなされている。その歯形に関する発明に限っても、各種のものがある。その中で、本発明者は、内歯車と外歯車の歯のかみ合いをラックで近似する手法を用いて、広域接触を行う歯末歯形を導く歯形設計法を発明した(特開昭63−115943号公報)。この歯形設計法によって導き出される外歯車および内歯車の歯末歯形は、所謂、すれ違い型かみ合い(すれ違い接触)を行う歯形である。
ここで、波動歯車装置の性能に対する要求は益々高度化している。これに応えるためには、その強度と耐摩耗性を一層向上させる必要がある。特に、歯面の耐摩耗性を改善することが必要である。このためには、両歯車の歯形として、追い越し型かみ合い(追い越し接触)を行う歯形を採用することが有効である。追い越し型かみ合いを行う歯形は、すれ違い型かみ合いを行う歯形に比べて、歯面間の潤滑油膜保持性に優れ、油膜破断に起因する歯面摩耗を防止あるいは抑制できる。
本発明者は、追い越し型かみ合いを行う歯形を備えた波動歯車装置を提案している(特開平07−293643号公報、国際公開第2005/124189号)。当該波動歯車装置では、内歯車の歯数に対して外歯車の歯数が2n枚多くなるように設定し、内歯車の歯に対する外歯車の歯のかみ合いをラックかみ合いで近似して得られる移動軌跡を求め、当該移動軌跡の一部を相似変換して得られる相似曲線を利用して、両歯車の歯末歯形を設定している。
なお、「追い越し型かみ合い」とは、歯形の接触点の両歯形の線素の端点同士が接触する状態を考えたとき、両歯形の線素が接触点に対して同じ側に位置するようなかみ合いを意味する。「すれ違い型かみ合い」とは、歯形の接触点の両歯形の線素の端点同士が接触する状態を考えたとき、両歯形の線素が接触点を挟み、反対側に位置するようなかみ合いを意味する。
米国特許第2,906,143号明細書 特開昭63−115943号公報 特開平07−293643号公報 国際公開第2005/124189号
従来においては、一般的に用いられている波動歯車装置に採用可能な追い越し型かみ合いを行う歯形については提案されていない。すなわち、内歯車の内側に配置される外歯車の歯数が内歯車よりも2n枚少ない、一般的に用いられている波動歯車装置において、追い越し型かみ合いを行う外歯車および内歯車の歯形については提案されていない。
一方、波動歯車装置の外歯車は、波動発生器によって各部分が繰り返し半径方向に撓められながら回転する。したがって、撓みに伴って発生する歯底リムの曲げ応力を軽減することが、長寿命化および許容伝達トルクの向上のために有効である。このためには、外歯車の歯形を凹歯形として歯底リムの曲げ応力を軽減することが考えられる。また、コップ状あるいはシルクハット状の外歯車においては、許容伝達トルクの向上のためには、歯筋方向において連続的なかみ合いを成立させることが望ましい。
しかしながら、一般的な波動歯車装置において、凹歯形を備えた外歯車を用いて、近似的に連続したかみ合いを成立させ、かつ、潤滑上有利な追い越し型かみ合いを成立させるための提案はなされていない。
本発明の課題は、内歯車および外歯車の歯形に、歯面潤滑上有利な追い越し型かみ合いを行う歯形を採用し、かつ、外歯車の歯形を凹歯形としてリムの曲げ応力を軽減し、これによって、長寿命化および許容伝達トルクの向上を実現した波動歯車装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の波動歯車装置は、
剛性の内歯車、この内側に配置した可撓性の外歯車、および、この内側に配置した波動発生器を有し、
前記外歯車は前記波動発生器によって楕円状に撓められ、楕円状に撓められた前記外歯車の外歯は、その長軸方向の両端部において前記内歯車の内歯にかみ合っており、
前記内歯車および、楕円状に変形する前の前記外歯車は共にモジュールmの平歯車であり、
前記外歯車の歯数は、nを正の整数とすると、前記内歯車の歯数より2n枚少なく、
前記外歯車の歯底リムの楕円状のリム中立曲線における長軸位置において、その撓み前のリム中立円に対する撓み量は、κを偏位係数とすると、2κmnであり、
前記外歯は、偏位係数κが0<κ<1の負偏位歯形であり、
前記波動発生器の回転に伴う前記外歯の前記内歯に対する移動軌跡は、前記外歯と前記内歯のかみ合いをラックかみ合いで近似した場合に得られる移動軌跡によって近似され、
前記内歯の軸直角断面上の歯形形状は、凸型の基本歯形曲線によって規定され、
前記凸型の基本歯形曲線は、前記移動軌跡における変曲点から当該移動軌跡の底部の点に至る範囲の曲線であり、
前記外歯の軸直角断面上の歯形形状は、凹型の基本歯形曲線によって規定され、
前記凹型の基本歯形曲線は、前記凸型の基本歯形曲線によって規定される前記内歯の歯形が、前記移動軌跡の頂点から前記変曲点に至る間に、前記外歯に創成する創成曲線である、
ことを特徴としている。
本発明の波動歯車装置では、内歯車および外歯車の歯形に、歯面潤滑上有利な追い越し型かみ合いを行う歯形を採用している。また、外歯車の歯形に凹歯形を採用してリムの曲げ応力を軽減している。したがって、本発明によれば、波動歯車装置の長寿命化および許容伝達トルクの向上を達成できる。
本発明を適用した波動歯車装置の一例を示す概略正面図である。 コップ状あるいはシルクハット状の外歯車の撓み状況を含軸断面で示す説明図であり、(a)は変形前の断面の状態を示し、(b)は楕円状に変形した外歯車の長軸を含む断面の状態を示し、(c)は楕円状に変形した外歯車の短軸を含む断面の状態を示す。 外歯の歯筋方向の内端部、主断面、および開口端部の各位置における両歯車の相対運動をラックで近似した場合に得られる外歯の移動軌跡を示すグラフである。 外歯の歯筋方向の内端部、主断面、および開口端部の各位置における両歯車の相対運動をラックで近似した場合に得られる、転位を施した外歯の移動軌跡を示すグラフである。 外歯の主断面における移動軌跡から導いた両歯のそれぞれの基本歯形を規定する曲線を示す。 外歯の歯筋の中央付近の形状を示すグラフである。 転位が施された外歯の歯筋方向の輪郭形状を示す説明図である。 外歯の移動軌跡と、外歯および内歯のラック近似のかみ合いとを示す説明図であり、(a)は外歯の開口端部、(b)はその中央部(主断面)、(c)はその内端部における移動軌跡およびかみ合いをそれぞれ示す。
以下に、図面を参照して、本発明を適用した波動歯車装置を説明する。
(波動歯車装置の構成)
図1は本発明を適用可能な波動歯車装置の概略正面図であり、図2はその外歯車を楕円状に撓ませた状況を含軸断面で示す断面図であり、(a)は変形前の真円の状態の外歯車の断面、(b)は楕円状に撓められた後の外歯車における長軸を含む断面、(c)は楕円状に撓められた後の外歯車における短軸を含む断面をそれぞれ示してある。なお、図2において実線はコップ状の外歯車のダイヤフラムおよびボスの部分を示し、破線はシルクハット状の外歯車のダイヤフラムおよびボスの部分を示す。
これらの図に示すように、波動歯車装置1は、円環状の剛性の内歯車2と、その内側に配置された可撓性の外歯車3と、この内側にはめ込まれた楕円状輪郭の波動発生器4とを有している。内歯車2と変形前の外歯車3は、共に、モジュールmの平歯車である。内歯車2と外歯車3の歯数差は2n(nは正の整数)である。外歯車3は、波動発生器4によって楕円状に撓められ、楕円状の形状の長軸Laの方向の両端部分の外歯34が、内歯車2の内歯24にかみ合っている。波動発生器4が回転すると、両歯車2、3のかみ合い位置が周方向に移動し、両歯車の歯数差に応じた相対回転が両歯車2、3の間に発生する。
外歯車3は、図2(a)から分かるように、半径方向に撓み可能な可撓性の円筒状胴部31と、その後端31bに連続して半径方向に広がるダイヤフラム32と、ダイヤフラム32に連続しているボス33と、円筒状胴部31の開口端31aの側の外周面部分に形成した外歯34とを備えている。円筒状胴部31の外歯形成部分の内周面部分にはめ込まれた楕円状輪郭の波動発生器4によって、円筒状胴部31は、そのダイヤフラム側の後端31bから開口端31aに向けて、半径方向の外側あるいは内側への撓み量が漸増している。
図2(b)に示すように、楕円状の形状の長軸La(図1参照)を含む断面では、外側への撓み量が後端31bから開口端31aへの距離に比例して漸増している。逆に、図2(c)に示すように、短軸Lb(図1参照)を含む断面では、内側への撓み量が後端31bから開口端31aへの距離に比例して漸増している。したがって、開口端31aの側の外周面部分に形成されている外歯34も、その歯筋方向の内端部34bから開口端部34aに向けて、円筒状胴部31の後端31bからの距離に比例して撓み量が漸増している。
外歯34の歯筋方向における任意の位置の軸直角断面において、楕円状に撓められる前の外歯34の歯底リムの厚さ方向の中央を通る円がリム中立円である。これに対して、楕円状に撓められた後の歯底リムの厚さ方向の中央を通る楕円状曲線を、リム中立曲線と呼ぶものとする。楕円状のリム中立曲線の長軸位置におけるリム中立円に対する長軸方向の撓み量wは、κ(1を含む実数)を偏位係数として、2κmnで表される。本発明の外歯車3の外歯34は負偏位歯形であり、その開口端部34aの偏位係数κが0<κ<1に設定されている。
すなわち、外歯車3の外歯34の歯数をZ、内歯車2の内歯24の歯数をZ、波動歯車装置1の減速比をR(=Z/(Z−Z)=Z/2n)とし、外歯車3のピッチ円直径mZを減速比Rで除した値(mZ/R=2mn)を長軸方向の正規(標準)の撓み量woとする。波動歯車装置1は、一般に、その外歯車3の歯筋方向における波動発生器4のウエーブベアリングのボール中心が位置する部位において、正規の撓み量wo(=2mn)で撓むように設計される。偏位係数κは、外歯車3の歯筋方向の各軸直角断面における撓み量wを正規の撓み量で除した値を表す。したがって、外歯34において、正規の撓み量woが得られる位置の偏位係数はκ=1であり、これよりも少ない撓み量wの断面位置の撓み係数はκ<1となり、これよりも多い撓み量wの断面位置の撓み係数はκ>1となる。外歯34における正規の撓み量wo(κ=1)が得られる歯形を標準偏位歯形と呼び、正規の撓み量よりも少ない撓み量(κ<1)が得られる歯形を負偏位歯形と呼び、正規の撓み量よりも多い撓み量(κ>1)が得られる歯形を正偏位歯形と呼ぶ。本発明の可撓性外歯車3の外歯34は負偏位歯形に設定されている。
図3Aは波動歯車装置1の両歯車2、3の相対運動をラックで近似した場合に得られる、剛性内歯車2の内歯24に対する可撓性外歯車3の外歯34の移動軌跡を示す図である。図において、x軸はラックの併進方向、y軸はそれに直角な方向を示す。y軸の原点は移動軌跡の振幅の平均位置としてある。曲線Maは、外歯34の開口端部34aにおいて得られる移動軌跡であり、曲線Mbは内端部34bにおいて得られる移動軌跡である。曲線Mcは、歯筋方向における開口端部34aから内端部34bまでの間の任意の位置、本例では歯筋方向の中央部34c(以下、この位置を「主断面34c」と呼ぶ。)において得られる移動軌跡である。内歯車2の内歯24に対する外歯車3の外歯34の移動軌跡は、次式で示される。θは媒介変数である。
x=0.5mn(θ−κsinθ)
y=κmncosθ
説明を簡単にするために、モジュールm=1、n=1(歯数差2n=2)とすると、上式は次式で表される。
x=0.5(θ−κsinθ)
y=κcosθ
本例の外歯車3の外歯34においては、歯筋方向における各位置での撓み量がダイヤフラム側からの距離にほぼ比例して変化する(偏位係数κがダイヤフラム側からの距離にほぼ比例して変化する)。外歯34の歯形を、その主断面34cの位置において設定した場合には、主断面34c以外の歯筋方向の各軸直角断面の位置において、内歯24の歯先との間に頂隙を確保できず、また、内歯24に干渉するので、両歯形の適切なかみ合い状態を確保できない。したがって、外歯34は転位歯形とされ、主断面34cから開口端部34aに掛けて歯丈方向に転位が施されると共に、主断面34cから内端部34bに掛けても歯丈方向に転位が施される。
ここで、主断面34cの偏位係数をκとする。外歯34の歯筋方向における各軸直角断面の位置での転位量ををmnhとすると、m=1、n=1の場合の転位量はhになる。この場合、内歯24に対して外歯34が描くラック近似による移動軌跡は(1)式で表される。
Figure 0006067183
外歯34における主断面34c以外の部位に適切な量の転位を施すことにより、図3Aに示す開口端部34aでの移動軌跡Maおよび内端部34bでの移動軌跡Mbは、それぞれ、図3Bに示す移動軌跡Ma1、Mb1に変化する。
図3Bは、主断面34cにおいて得られる移動軌跡Mcと、転位後の開口端部34aおよび内端部34bとにおいて得られる移動軌跡Ma1、Mb1を示すグラフである。この図に示すように、主断面34cから開口端部34aに掛けては、外歯34の各位置で移動軌跡の頂部を、主断面34cでの移動軌跡Mcの頂部Cに一致させる。また、主断面34cから内端部34bに掛けては、外歯34の各位置での移動軌跡の底部を、主断面34cでの移動軌跡Mcの底部の点Bに一致させる。
このように、外歯34においては、その主断面34c以外の歯形は、以下に述べるように設定される主断面34cの歯形に対して、(1)式の第3式で与えられる転位量hの転位が施された転位歯形とされる。
(内歯の歯形および主断面での外歯の歯形の形成方法)
図3B、図4を参照して、内歯24の歯形の形成方法、および、外歯34の主断面の歯形の形成方法を説明する。図4は、以下に述べるようにして設定された内歯24の歯形曲線24Cおよび主断面における外歯34の歯形曲線34Cの一例を示す説明図である。
本発明では、内歯24の歯形を規定するために、外歯車3の主断面34cにおいて得られる移動軌跡Mcを利用する。まず、図3Bに示す主断面34cの移動軌跡Mcにおいて、パラメーターθがθからπまでの範囲の曲線ABを取る。パラメーターθ=θの位置は移動曲線Mcの変曲点であるA点であり、パラメーターθ=πの位置は移動軌跡Mcの底部の点Bである。この曲線ABを内歯24の凸型の基本の歯形曲線として採用する。
すなわち、内歯24の歯筋全体に共通の歯形(軸直角断面)の主要部は、上記の(1)式において、h=0とし、パラメーターθの範囲を、変曲点Aを与えるθの値であるθから点Bのθ=πまでとし、次式で与えられる。
Figure 0006067183
図4に示すように、内歯24の歯形形状は、凸型の基本の歯形曲線24Cによって規定される歯形に、相手歯形との頂隙を確保するために歯先を規定する部分に適宜の歯形修正を施した形状となっている。
ここに、移動軌跡Mcにおいて、縦軸yに対する移動軌跡Mcへの接線の傾斜角αは、(2)式から導かれる次式で与えられる。
Figure 0006067183
この(3)式により、移動軌跡Mcの変曲点Aでの傾斜角αは次式で与えられる。
Figure 0006067183
一方、主断面34cにおける外歯34の基本の歯形曲線は、(1)式で与えられる当該外歯34の移動軌跡Mcの頂点Cから変曲点Aまで移動する間に、内歯24の凸歯形によって創成される凹型の曲線とする。この凹型の基本の歯形曲線は(1)式から、移動軌跡Mcの頂点Cと変曲点Aの間の傾斜角と、内歯24の傾斜角とを、等置することから、次のように求められる。
Figure 0006067183
ここで、上式中の第3式は、(3)式をθについて解いた式である。
図4に示すように、外歯34の歯形形状は、凹型の基本の歯形曲線34Cによって規定される歯形に、相手歯形との頂隙を確保するために、その歯先の部分に適宜の修正が施されたものである。
(外歯の主断面以外の軸直角断面の歯形)
上記の説明は、外歯車3の主断面34cにおける歯形の形成方法に関するものである。外歯34における主断面34c以外の軸直角断面においても、内歯24と有効なかみ合いを保持するために、次のように外歯34の歯形が設定されている。すなわち、先に図3B、(1)式を参照して説明したように、外歯車3の歯形には、外歯34の主断面34cから開口端部34aに掛けて、および、主断面34cから内端部34bに掛けて、偏位係数κの値に応じた量の転位が施されている。
この転位により、主断面34cから開口端部34aに掛けては、外歯34の各位置で移動軌跡の頂部が主断面34cでの移動軌跡Mcの頂部に一致する。また、主断面34cから内端部34bに掛けては、外歯34の各位置での移動軌跡の底部が主断面34cでの移動軌跡Mcの底部に一致する。このように、外歯車3においては、その主断面34c以外の歯形は、主断面34cでの歯形に対して、(1)式の第3式で与えられる転位量hの転位が施された転位歯形とされる。
図5は、外歯車3の歯筋方向の中央付近の転位量の一例を示すグラフである。この図の横軸は外歯34の歯筋方向の中央(主断面)からの距離を示し、縦軸は転位量hを示す。転位量hは、同一傾斜の転位直線L1、L2で示される。転位直線L1は主断面から開口端部34aに掛けての転位量を示し、転位直線L2は、主断面から内端部34bに掛けての転位量を示す。
また、図5には、主断面を頂点とし、転位直線L1、L2に接する4次曲線C1が示されている。この4次曲線C1に基づき各位置での転位量を決めると、外歯34における主断面を含む歯筋方向の中央部分に実質的な平坦部が形成される。これにより、転位の滑らかな変化が保証される。また、平坦部は外歯車3の歯切り時の寸法管理にも用いられる。
図6は外歯34および内歯24の歯筋方向に沿った歯形輪郭を示す説明図である。この図においては、両歯のかみ合い状態における長軸を含む断面での状態(最深のかみ合い状態)を示している。外歯34の歯筋方向の歯形輪郭は、その主断面34cを含む歯筋方向の中央部分では、上記の4次曲線C1によって規定され、この中央部分から開口端部34aまでの間の部分では、転位直線L1によって規定され、中央部分から内端部34bまでの間の部分では、転位直線L2によって規定されている。
図7(a)、(b)、(c)は、上記のように歯形を設定した外歯34と内歯24のかみ合いの様相をラック近似で示す説明図である。図7(a)は、外歯34の開口端部34aの位置、図7(b)は、外歯34の主断面34c、図7(c)は外歯34の内端部34bの位置において得られる。これらの図から分かるように、近似的ながら、外歯車3の外歯34は、その開口端部34aから主断面34cを経て内端部34bに至る全ての位置で、内歯24に対して接触が行われている。
以上説明したように、波動歯車装置1では、その外歯車3の歯筋方向において、主断面34cを含む主要な範囲において、潤滑上有利な追い越しかみ合いを実現できる。よって、長寿命の波動歯車装置を実現できる。
また、外歯車3の歯形が凹歯形であるので、凸歯形を採用する場合に比べて、そのリムの楕円状の変形による曲げ応力を軽減でき、伝達トルクを高めることができる。
さらに、外歯車3の歯形に転位を施して、歯筋中央およびその近辺の軸直角断面において、両歯24、34の間において、近似的に連続したかみ合いが成立する。これにより、より多くのトルクを伝達可能な波動歯車装置を実現できる。
(その他の実施の形態)
上記の例は、本発明を、コップ形状あるいはシルクハット形状の外歯車を備えた波動歯車装置に適用したものである。波動歯車装置としては、円筒状の外歯車を備えたフラット型波動歯車装置と呼ばれるものが知られている。この場合には、外歯車は歯筋方向の各位置での撓み量が同一である(偏位係数κが一定である)。したがって、フラット型波動歯車装置の外歯車の場合には、その外歯の歯形が歯筋方向において同一形状であり、前述の凹型の基本の歯形曲線によって規定される。また、双方の歯形に、頂隙が確保されるように、適宜の歯形修正が施される。

Claims (3)

  1. 剛性の内歯車、この内側に配置した可撓性の外歯車、および、この内側に配置した波動発生器を有し、
    前記外歯車は前記波動発生器によって楕円状に撓められ、楕円状に撓められた前記外歯車の外歯は、その長軸方向の両端部において前記内歯車の内歯にかみ合っており、
    前記内歯車および、楕円状に変形する前の前記外歯車は共にモジュールmの平歯車であり、
    前記外歯車の歯数は、nを正の整数とすると、前記内歯車の歯数より2n枚少なく、
    前記外歯車の歯底リムの楕円状のリム中立曲線における長軸位置において、その撓み前のリム中立円に対する撓み量は、κを偏位係数とすると、2κmnであり、
    前記外歯は、偏位係数κが0<κ<1の負偏位歯形であり、
    前記波動発生器の回転に伴う前記外歯の前記内歯に対する移動軌跡は、前記外歯と前記内歯のかみ合いをラックかみ合いで近似した場合に得られる移動軌跡によって近似され、
    前記内歯の軸直角断面上の歯形形状は、凸型の基本歯形曲線によって規定され、
    前記凸型の基本歯形曲線は、前記移動軌跡における変曲点から当該移動軌跡の底部の点に至る範囲の曲線であり、
    前記外歯の軸直角断面上の歯形形状は、凹型の基本歯形曲線によって規定され、
    前記凹型の基本歯形曲線は、前記凸型の基本歯形曲線によって規定される前記内歯の歯形が、前記移動軌跡の頂点から前記変曲点に至る間に、前記外歯に創成する創成曲線である、
    ことを特徴とする追い越し型かみ合いの負偏位波動歯車装置。
  2. 前記外歯車は、可撓性の円筒状胴部と、この円筒状胴部の後端から半径方向に延びているダイヤフラムとを備え、前記円筒状胴部の開口端の側の外周面部分に、前記外歯が形成されており、
    前記外歯の撓み量は、その歯筋方向に沿って、前記ダイヤフラムの側の外歯内端部から前記開口端の側の外歯開口端部に向けて、前記ダイヤフラムからの距離に比例して増加しており、
    前記外歯における前記外歯開口端部と前記外歯内端部の間における歯筋方向の任意の位置の軸直角断面を主断面とすると、当該主断面における前記外歯の歯形は、前記創成曲線によって規定される前記凹型の基本歯形曲線によって規定され、
    前記外歯における歯筋方向における前記主断面以外の位置の軸直角断面上の歯形形状は、前記凹型の基本歯形形状に対して前記撓み量に応じた転位が施された転位歯形であり、
    前記外歯の前記主断面から前記外歯開口端部に至る歯筋方向の各位置の前記歯形形状は、各位置において前記凹型の基本歯形形状が描く前記移動軌跡の頂部が前記主断面における前記移動軌跡の頂部に接するように転位を施すことによって得られたものであり、
    前記外歯の前記主断面から前記外歯内端部に至る歯筋方向の各位置の歯形形状は、各位置における前記凹型の基本歯形形状が描く前記移動軌跡の底部が前記主断面における前記移動軌跡の底部に接するように転位を施すことによって得られたものである請求項1に記載の追い越し型かみ合いの負偏位波動歯車装置。
  3. 前記内歯および前記外歯は、それぞれ、相手歯形との間に所要の頂隙を保つように修正が施されている請求項1または2に記載の追い越し型かみ合いの負偏位波動歯車装置。
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