JP2018135632A - シールド掘削機およびトンネル補強方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、トンネル内からトンネル覆工を補強すると、トンネルの内空が狭くなるので、トンネルの機能が低下するおそれがある。また、トンネル内において補強作業を実施する際にはトンネルの使用を停止する必要がある。一方、地上からの施工は、トンネルの深度によっては、作業に手間がかかるとともに建設コストが嵩む。さらに、地上からの地盤改良は、地上部に作業スペースが確保できる場合に限られる。
このような観点から、本発明は、比較的簡易な構成で、早期に既設トンネルを補強することを可能としたシールド掘削機およびトンネル補強方法を提案することを課題とする。
既設トンネル1の補強構造3は、図3(a)および(b)に示すように、既設トンネル1の外面を覆う補強覆工30と、補強覆工30と既設トンネル1との隙間に充填された充填材31とにより構成されている。補強覆工30は、複数の補強セグメント32および補助トンネルセグメント33を組み合わせることにより形成された新設のセグメントリングを、地中に連設することにより筒状に形成される。
本実施形態の本体部4は、図1に示すように、既設トンネル1を挿通可能な内径を有した内側シールド41と、内側シールド41の外側に間隔をあけて配設された外側シールド42と、本体部4の先端部に設けられた隔壁(バルクヘッド)43を備えている。すなわち、本体部4は、二重の筒状部材を備えている。内側シールド41および外側シールド42は、鋼板(いわゆるスキンプレート)により構成されている。本体部4には、内側シールド41の中心軸を挟んで対向する一対の機械室44が上下に形成されている。機械室44では、内側シールド41と外側シールド42との間隔が断面視矩形状に拡幅されている。本実施形態の内側シールド41は円筒状を呈している。また、本実施形態の外側シールド42は、左右に配設された一対の弧状部分と、上下に配設された一対の凹字状部分とを備えている。隔壁43は、本体部4の先端部において、内側シールド41および外側シールド42の隙間の先端部を遮蔽している。すなわち、内側シールド41と外側シールド42は、隔壁43を介して連結されている。隔壁43は、既設トンネル1を挿通可能な開口を有した環状の鋼板により構成されている。機械室44には、駆動手段5およびエレクター6が配設されているとともに、カッターヘッド7による地山の切削により発生したズリを坑外へ搬出するための排泥管45が配管されている。排泥管45は、隔壁43を貫通して、隔壁43とカッターヘッド7との間に形成されたチャンバ46内の土砂を搬出する。
シールドジャッキ8は、本体部4の後方(坑口側)に配設されている。シールドジャッキ8は、トンネル軸方向に伸張することで、本体部4に推力を付与する。シールドジャッキ8の後端(坑口側端部)は、補強セグメント32または補助トンネルセグメント33(補強覆工30)の前面(切羽側端面)に当接している。シールドジャッキ8は、補強セグメント32または補助トンネルセグメント33(補強覆工30)から反力を取ることで、本体部4を前進させる。
第一テールシール91は、本体部4の後端部において内側シールド41と補強覆工30との間に形成された空間を閉塞する。第一テールシール91は、グリスが浸漬されたワイヤーブラシを、内側シールド41の外面に固定するとともに、ワイヤーブラシの先端部を補強セグメント32(新設のセグメントリング)の内面に密着させることにより構成されている。第一テールシール91は、ワイヤーブラシの基端側(内側シールド41に固定された部分)が、先端側(補強セグメント32に接している部分)よりも前側(立坑と反対側)に位置するように、傾斜した状態で配設されている。本実施形態では、トンネル軸方向に沿ってワイヤーブラシが2段配置されているが、ワイヤーブラシの設置数は限定されるものではない。また、第一テールシール91は、必ずしもワイヤーブラシである必要はなく、例えば環状のウレタンゴム等により構成されていてもよい。
掘削工程は、既設トンネル1の周囲を非開削で掘削する工程である。既設トンネル1の周囲の掘削は、シールド掘削機2を利用して行う。シールド掘削機2は、カッターヘッド7によって地山を切削するとともに、シールドジャッキ8によって前進する。シールド掘削機2は、既設トンネル1の周囲を掘削する。掘削工程により既設トンネル1を挟んで対向する一対の補助トンネル20が延長される。補助トンネル20には、機械室44から延設された排泥管45が配管される。また、補助トンネル20は、補強セグメント32、補助トンネルセグメント33および各機械設備等の輸送路や、作業員の通路等として使用する。
また、セグメントリング形成工程では、機械室44の外周囲に沿って補助トンネルセグメント33を組み立てる。補強セグメント32および補助トンネルセグメント33を組み立てたら、シールドジャッキ8により補強セグメント32および補助トンネルセグメント33をシールド掘削機2の後方に押し出す。こうすることで、補強セグメント32および補助トンネルセグメント33(新設のセグメントリング)を補強覆工30の既設部分に接合する。このとき、補強セグメント32同士および補助トンネルセグメント33同士(セグメントリング同士)のリング間ジョイントは、いわゆるワンタッチジョイントとする。なお、補助トンネルセグメント33、異形セグメント35およびK型セグメント37により構成されたセグメントリングが、補助トンネル20の覆工となる。
充填材31は、第一テールシール91の後方に注入する。すなわち、充填材31は、既設トンネル1と補強セグメント32との隙間に充填する。充填材31には、セメント系材料(モルタルまたはセメントミルク)を使用する。なお、充填材31を構成する材料は限定されない。本実施形態では、充填材31がシールド掘削機2内に流入することがないように、充填材31を既設トンネル1と補強セグメント32との間に配設された袋(図示せず)内に注入する。なお、充填材31は、既設トンネル1と補強セグメント32との間に直接注入してもよい。
また、充填工程では、第二テールシール92後方にも裏込め材34を注入する。裏込め材34は、地山と補強セグメント32および補助トンネルセグメント33との間に注入する。なお、裏込め材34に使用する材料は限定されるものではなく、適宜選定して使用すればよい。
また、既設トンネル1の外側から補強を行うため、供用中の既設トンネル1の使用を停止することなく、既設トンネル1の補強を行うことができる。
また、既設トンネル1の外面に補強覆工30を形成することにより補強するため、コンクリートを巻き立てる場合に比べて、養生に要する時間を短縮することができ、早期に補強効果(優れた引張効果および止水効果)を得ることができる。
補強セグメント32を既設トンネル1の外周に沿って移動(回転)させながら組み立てることで、限られた空間内における補強覆工30の形成が可能である。
機械室44を上下に形成することで、水平方向に地上権設定等の境界が隣接している場合であっても、作業スペースを確保することができる。
前記実施形態では、一対の機械室44(補助トンネル20)が上下に形成されている場合について説明したが、機械室44(補助トンネル20)の配置は限定されるものではなく、例えば、左右に形成されていてもよい。
2 シールド掘削機
20 補助トンネル
3 補強構造
31 充填材
32 補強セグメント
33 補強トンネルセグメント
4 本体部
41 内側シールド
42 外側シールド
44 機械室
5 駆動手段
6 エレクター
7 カッターヘッド
8 シールドジャッキ
9 止水手段
Claims (5)
- 本体部と、
前記本体部内に設けられた駆動手段と、
前記本体部の前方に設けられたカッターヘッドと、
前記本体部内に設けられた複数のシールドジャッキと、を備えるシールド掘削機であって、
前記本体部は、既設トンネルを挿通可能な内径を有した内側シールドと、前記内側シールドの外側に間隔をあけて配設された外側シールドとを備えており、
前記本体部には、前記内側シールドの中心軸を挟んで対向する位置に一対の機械室が形成されていて、
前記機械室では、前記間隔が拡幅されており、
前記駆動手段は前記機械室内に配設されていて、
前記カッターヘッドは、前記駆動手段の動力によって前記本体部の周方向に沿って揺動し、
前記カッターヘッドには、前記既設トンネルを挿通可能な開口部が形成されているとともに、前記一対の機械室の前方において前記既設トンネルから離れる方向に張り出す一対の拡幅部が形成されていて、
前記複数のシールドジャッキが、前記内側シールドの外面に沿って配設されているとともに、前記機械室の周囲に沿って配設されていることを特徴とする、シールド掘削機。 - 前記機械室が、上下に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシールド掘削機。
- 前記機械室が、矩形状断面であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のシールド掘削機。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシールド掘削機により既設トンネルの周囲を掘削する掘削工程と、
前記各機械室内で複数の補強セグメントを周方向に連結するとともに、前記補強セグメントを前記既設トンネルの外周に沿うように送り出すセグメント組立工程と、
前記各機械室内から送り出された前記補強セグメントの集合体同士を連結してセグメントリングを形成するセグメントリング形成工程と、を備えるトンネル補強方法であって、
前記セグメントリング形成工程において、前記機械室の外周囲を覆う補助トンネルセグメントを組み立てることを特徴とする、トンネル補強方法。 - 前記セグメントリングと前記既設トンネルとの間に充填材を充填する充填工程を備えていることを特徴とする、請求項4に記載のトンネル補強方法。
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JP2017028593A JP2018135632A (ja) | 2017-02-20 | 2017-02-20 | シールド掘削機およびトンネル補強方法 |
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