JP2018134982A - 車両用灯具 - Google Patents
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Abstract
Description
ミラー素子が固着異常を来した場合には、本来の配光パターンを形成することができず車両運行上の快適性向上を図ることが困難となる虞がある。
[1-1.車両用灯具の構成]
図1は、車両用灯具1の概略内部構成を説明するためのブロック図である。なお、図1では車両用灯具1の外部に設けられた車両側ECU(Electronic Control Unit)100も併せて示している。
図示のように車両用灯具1は、発光部2と、複数のミラー素子3aを有する反射型の空間光変調器3と、入射光に基づき光を投射する投射レンズ4と、発光部2を発光駆動する発光駆動部5と、空間光変調器3を駆動する変調器駆動部6と、車両側ECU100からの指示に基づき車両用灯具1の各部を制御するコントローラ7と、光検出部8と、吸光部abとを備えている。
なお、本例では、空間光変調器3が有するミラー素子3aの数は60万個程度(つまり60万画素程度)とされている。
先ず前提として、ミラー面Smの傾斜角度θについて説明しておく。図2Aは、ミラー素子3aがフラット状態に駆動された際の様子を示している。フラット状態とは、空間光変調器3を水平に置いたときにミラー面Smの光軸Axが鉛直となる状態を意味する。光軸Axは、ミラー面Smの直交軸に平行な軸とされている。
図2Aに示すフラット状態でのミラー面Smの傾斜角度が、傾斜角度θ=0度であるとする。
図2Bに示すようにミラー素子3aがオン状態とされると、ミラー面Smは図2Aのフラット状態から一方の側に所定角度だけ傾斜される。一方、図2Cに示すようにミラー素子3aがオフ状態とされると、ミラー面Smは図2Aのフラット状態から他方の側に所定角度だけ傾斜される。
オフ状態では、ミラー面Smからの反射光は投射レンズ4には入射されない。
光検出部8は、ミラー面Smが所定の傾斜状態であるときに該ミラー面Smからの反射光が入射される位置に設けられている。
本例では、光検出部8は例えばCCD(Charged-coupled devices)センサやCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)センサ等、複数の光電変換素子がアレイ状に配列されたイメージセンサとして構成されており、入射光を画素単位で検出可能とされている。
また、コントローラ7は、車両側における例えばADB(Adaptive Driving Beam)制御等に伴って車両側ECU100から配光パターン指示するデータが供給されると、該データに基づき空間光変調器3におけるミラー素子3aごとのオン/オフ指示を変調器駆動部6に行う。空間光変調器6が該オン/オフ指示に従って該当するミラー素子3aに駆動信号を供給することで、各ミラー素子3aのうち必要なミラー素子3aによる反射光のみが投射レンズ4に入射され、これにより投射光の配光パターンが所望のパターンに制御される。
本例のコントローラ7は、光検出部8による検出信号に基づき、以下で説明するようなミラー素子3aの異常判定に係る処理を行う。
図3のフローチャートを参照して、第一実施形態としての異常判定に係る処理を説明する。なお、以下では、図3に示す処理は、コントローラ7が上記したROM等の記憶装置に記憶されたプログラムに従ってソフトウェア処理として実行する例を挙げる。但し、図3に示す処理は、ソフトウェアにより実現することに限定されず、ハードウェアにより実現することも可能である。
ここで、図3に示す処理は、本例ではコントローラ7が起動ごとに行う。
なお、本明細書に言う「全てのミラー素子」とは、異常判定対象とされる全てのミラー素子との意であり、必ずしも空間光変調器が有するミラー素子の全部を指すものではない。
このようにステップS107では、各ミラー素子3aの駆動状態をステップS105の直前における駆動状態に復帰させる処理を行う。
コントローラ7はステップS107の処理を実行したことに応じてステップS108に処理を進める。
そこで、この場合の異常判定は、例えば、検出画像を構成する総画素数をi、そのうちで輝度値が所定閾値以下となっている画素の数をhとしたときに、割合α=h/iが所定の閾値t以上であるか否かを判定することで行う。
この場合のステップS108による準備処理では、上記の割合αを計算する処理を行う。
一方、ステップS109で異常ありと判定した場合、コントローラ7はステップS110の通知処理を行った上で、図3に示す処理を終える。ステップS110の通知処理は、異常があった旨を車両側ECU100に通知する処理である。
該通知を受けた車両側ECU100は、例えばADB制御が不能である旨を運転者に通知してADB制御を強制停止する等、異常発生への対応処理を実行することが可能となる。
上述のようにステップS103の検出処理では1フレーム分の読み出しが実行されるので、図4中における検出時間Tdは1フレーム期間(略33ms)としての比較的短い時間とされる。従って、ステップS102〜S104までの期間として表すことのできる発光部2の発光時間としても、検出時間Tdと同等の短い時間に抑えることができる。従って、オン状態に固着したミラー素子3aが存在していても、検出動作に伴って不要な投射光が知覚されてしまうことの防止を図ることができる。
[2-1.車両用灯具の構成]
第二実施形態は、フラット状態としたミラー素子3aからの反射光を光検出部8により検出するものである。
なお、以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号、同一ステップ番号を付して説明を省略する。
第二実施形態において、車両用灯具1の構成は、光検出部8の配置位置を除き第一実施形態の場合と同様となるため図示は省略する。
図5Aに示すように、この場合における光検出部8は、ミラー素子3aがフラット状態(傾斜角度=0度)であるときのミラー面Smからの反射光が入射される位置に配置されている。なお、ここでの「入射」は、光検出部8の検出面への入射である。
図5Bに示すように、ミラー素子3aがオン状態では、ミラー面Smからの反射光は投射レンズ4に入射され、光検出部8には入射されない。また、図5Cに示すようにミラー素子3aがオフ状態では、ミラー面Smからの反射光は吸光部abに入射され、光検出部8には入射されない。
図6のフローチャートを参照して、第二実施形態としての異常判定に係る処理を説明する。なお、以下では、図6に示す処理についてもコントローラ7によるソフトウェア処理として行われる例を説明するが、第一実施形態の場合と同様、ハードウェアにより実現することもできる。
図6に示す処理としても、コントローラ7が起動ごとに行う。
なお、ステップS201の処理では、厳密に傾斜角度θ=0度とすることは必須ではなく、異常判定対象とされる全てのミラー素子3aからの反射光が先の図5のように配置された光検出部8の検出面に対して入射される範囲内であれば多少の差は許容される。
コントローラ7は、ステップS206の検出処理を実行したことに応じ、ステップS207でフラット状態を解除する処理を行い、ステップS108の異常判定準備処理に処理を進める。なお、ステップS207の処理は先のステップS107の処理と同様である。
従って、異常判定機能の向上を図ることができる。
[3-1.第一変形例]
光検出部8が検出を行う際の発光部2による発光量は、車両側からの灯具点灯指示に応じた発光量よりも小さくすることができる。
一般的に車両用前照灯としては、灯具点灯指示に応じて発光部2を発光させる際、一定の発光量を維持するようにされる。つまり、灯具点灯指示に応じた発光部2の発光量として一定の発光量(以下「通常発光量」と表記する)が定められている。光検出部8が検出を行う際の発光部2による発光量は、図7に示すように通常発光量よりも小さくすることができる。
図7Aは、灯具点灯中でなかった状態で光検出部8による検出を行う場合を示している。この場合、光検出部8による検出を行うにあたっては、発光部2を通常発光量よりも小さな発光量により発光させる。
図7Bは、灯具点灯指示に応じた灯具点灯中において光検出部8による検出を行う場合を示している。この場合、発光部2は通常発光量により発光しているため、光検出部8による検出を行う際には、発光部2による発光量を通常発光量よりも小さな発光量に低下させる。
また、図7Bの動作を実現するにあたっては、図3におけるステップS101とS105との間、図6におけるステップS101とS205との間に、それぞれ減光指示処理を設ける。すなわち、該減光指示処理としてコントローラ7は、発光駆動部5に対して発光部2の発光量を通常発光量よりも小さな発光量に低下させる指示を行う。
実施形態では、光検出部8として複数の光電変換素子(光検出素子)がアレイ状に配列されたものを用い、光電変換素子ごとに検出値が所定閾値以下であるか否かを判定し、該所定閾値以下となった光電変換素子の数と閾値α(又はα’)との比較結果に基づいて異常有無の判定を行う例を挙げた。
このとき、異常有無の判定としては、異常が生じているミラー素子3aの位置を考慮して行うこともできる。例えば、一般的に車両用前照灯における投射光の配光パターンについては、光投射領域の中央部の光量をより大きくすることが行われている。このような場合において、空間光変調器3における中央部に位置されたミラー素子3aにオフ固着異常が生じていると、光量の低下が目立ち易くなってしまう。このような点を考慮し、異常有無の判定としては、例えば光検出部8における光検出領域のうち中央部に位置する領域(以下「中央検出領域」と表記)とそれ以外の領域(以下「周辺検出領域」と表記)とで異常判定条件のレベルを異ならせることもできる。具体的な手法としては、例えば下記(1)(2)の手法が考えられる。
(1)
中央検出領域用の閾値Tcと、周辺検出領域用の閾値Td(但しTd>Tc)とを設定しておく。
中央検出領域と周辺検出領域のそれぞれにおいて検出値が所定閾値以下である光電変換素子の数をカウントする(中央検出領域でのカウント数=c、周辺検出領域でのカウント数=d)。
中央検出領域における光電変換素子の総数=C、周辺検出領域における光電変換素子の総数=Dとして、割合βc=c/C、割合βd=d/Dを計算する。
割合βcが閾値Tc以上であるか否かを判別する対中央判別処理と、割合βdが閾値Td以上であるか否かを判別する対周辺判別処理とを行う。
対中央判別処理と対周辺判別処理の双方において否定結果が得られた場合にのみ異常なしとの判定結果を得、それ以外の場合に異常ありとの判定を得る。
(2)
中央検出領域と周辺検出領域とに共通の閾値Taを設定しておくと共に、中央検出領域用の係数kcを設定しておく(但しkc>1)。
上記(1)と同様の手法で割合βc=c/C、割合βd=d/Dを計算した上で、割合βcに係数kcを乗じる。
対中央判別処理として、βc×kcが閾値Ta以上であるか否かを判別すると共に、対周辺判別処理として、割合βdが閾値Ta以上であるか否かを判別する。
対中央判別処理と対周辺判別処理の双方において否定結果が得られた場合にのみ異常なしとの判定結果を得、それ以外の場合に異常ありとの判定を得る。
これにより、ミラー素子3aに異常が生じていてもその発生部分として実害が生じない(又は極めて少ない)ようなケースについてまで異常ありとの判定が行われてしまうことの防止が図られる。すなわち、異常発生部分の別に応じた適切な異常判定を行うことができる。
上記では、光検出部8による一度の検出結果のみに基づいて異常有無の判定を行う例を挙げたが、異常有無の判定は、複数回の検出結果に基づいて行うこともできる。
例えば、図3や図6に示した異常判定のための処理(ステップS110の通知処理は除く)を所定周期で複数回実行し、それにより得られた複数回分の異常判定結果(ステップS109の判定結果)に基づいて最終的な異常有無の判定を行うこともできる。
例えば、上記複数回分の異常判定結果として、異常ありとの判定結果が得られた回数をカウントし、カウント値が所定閾値以上である場合に最終的な異常ありとの判定結果を得ることが考えられる。或いは、連続して異常ありとの判定結果が得られた回数をカウントし、該カウント値が所定閾値以上である場合に最終的な異常ありとの判定結果を得ることも考えられる。
例えば、異常判定のための処理は、車両側から取得した車速情報に基づく条件に従って開始することもできる。例えば、コントローラ7は車速情報に基づき、停車中(車速=0km/h)であることを条件として図3や図6の処理を開始することができる。このとき、厳密に車速=0km/hを条件とすることに限定されず、例えば車速=5km/h以下等、ほぼ停車中とみなすことのできる状態であることを条件とすることもできる。
上記手法によれば、異常判定は車速の観点から適切と推定されるタイミングで行うことができる。
また、図3や図6に示した異常判定のための処理は、灯具点灯指示が行われていないことを条件に開始されてもよい。その場合には、オフ固着されたミラー素子3aに起因する本来不要な暗部が投射光の配光パターンに生じてしまうことの防止が図られる。
上記のように実施形態の車両用灯具(同1)は、ミラー面(同Sm)を傾斜自在とされた複数のミラー素子(同3a)を有する反射型の空間光変調器(同3)と、空間光変調器に対する入射光を発する発光部(同2)と、ミラー面からの反射光に基づき光を投射する投射レンズ(同4)と、ミラー面が所定の傾斜状態であるときにミラー面からの反射光が入射される光検出部(同8)と、光検出部による検出信号に基づいてミラー素子の異常判定を行う異常判定部(コントローラ7)と、を備えている。
従って、異常検知に応じて車両側で適切な処置が取られるように図ることが可能とされ、車両運行上の快適性向上を図ることができる。
従って、異常判定を行うための電力消費を抑えることができる。
また、実施形態で例示したようにミラー素子が駆動状態のときに投射レンズを介した光投射が行われる構成においては、異常判定に伴い本来不要とされる光が投射されてしまうことの防止が図られ、歩行者や他車両運転者等の人物に知覚されることの防止を図ることができる。
従って、異常判定機能の向上を図ることができる。
さらに、光検出部を吸光部と空間光変調器との間に配置する必要がなくなるため、光検出部が吸光部による反射光吸収の妨げとなることの防止が図られる。
従って、本来不要な投射光が歩行者や他車両運転者等の人物に知覚される可能性をより低減することができる。
従って、空間光変調器における異常発生部分の別に応じた適切な異常判定を行うことができる。
また、光検出部8としては、イメージセンサにより光検出を行うものに限定されず、例えば光位置センサ(PSD:Position Sensitive Detector)により光検出を行うものであってもよい。
本発明に係る車両用灯具としては、車両用前照灯への適用に限定されず、車両用灯具一般に広く好適に適用することができる。
Claims (7)
- ミラー面を傾斜自在とされた複数のミラー素子を有する反射型の空間光変調器と、
前記空間光変調器に対する入射光を発する発光部と、
前記ミラー面からの反射光に基づき光を投射する投射レンズと、
前記ミラー面が所定の傾斜状態であるときに前記ミラー面からの反射光が入射される光検出部と、
前記光検出部による検出信号に基づいて前記ミラー素子の異常判定を行う異常判定部と、を備える
車両用灯具。 - 前記光検出部は、
前記ミラー素子が非駆動状態であるときの前記ミラー面からの反射光が入射する位置に設けられた
請求項1に記載の車両用灯具。 - 前記光検出部は、
前記ミラー面の傾斜角度が略0度とされたときの前記ミラー面からの反射光が入射する位置に設けられた
請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。 - 前記異常判定部は、
前記光検出部が光検出を行う際に、前記発光部を車両側からの灯具点灯指示に応じた発光量よりも小さな発光量により発光させる
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車両用灯具。 - 前記光検出部は、複数の光検出素子により光検出を行う
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両用灯具。 - 前記異常判定部は、車速に関する条件に従って前記異常判定を行う
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の車両用灯具。 - 前記異常判定部は、停車中であることを条件に前記異常判定を行う
請求項6に記載の車両用灯具。
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