以下、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1に、本実施形態に係る画像処理システム10の構成概略図が示されている。画像処理システム10は、端末装置12、印刷データ処理装置としての印刷コントローラ14、印刷装置16、及び、代替色情報記憶部としての特色DB18を含んで構成される。また、印刷コントローラ14は、フロントエンド装置20及びバックエンド装置22を含んで構成される。端末装置12と印刷コントローラ14、印刷コントローラ14と印刷装置16、印刷コントローラ14と特色DB18、及び、フロントエンド装置20とバックエンド装置22との間は、例えばLAN(Local Area Network)などの通信回線により通信可能に接続されている。
端末装置12は、例えばパーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータであってよい。すなわち、端末装置12は、CPU(Central Processing Unit)などからなる制御部、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)あるいはハードディスクなどからなる記憶部、液晶ディスプレイなどからなる表示部、タッチパネル、マウス、あるいはキーボードからなる入力部、ネットワークアダプタなどからなり、印刷コントローラ14と通信するための通信部などを含んで構成される。端末装置12は、操作者(ユーザ)の指示に従い、文書の印刷命令である印刷ジョブをフロントエンド装置20に対して送信する。
フロントエンド装置20は、端末装置12から送信された、あるいは印刷コントローラに直接入力された印刷ジョブから中間データを生成し、中間データをバックエンド装置22に送信する。バックエンド装置22は、フロントエンド装置20からの中間データに対してラスタライズ処理を施すことにより描画データを生成し、生成した描画データを印刷装置16に送信する。フロントエンド装置20及びバックエンド装置22の詳細な機能構成、及びこれらが行う処理の詳細については後述する。
フロントエンド装置20は、CPU、ROMやRAMあるいはハードディスクなどからなる記憶媒体、入出力インターフェース、通信インターフェース、及び表示部などを含むコンピュータであってよい。当該記憶媒体に、フロントエンド装置20の各部(後述)を機能させるための印刷データ処理プログラムが記憶されており、CPUが当該印刷データ処理プログラムに従って各部を制御する。バックエンド装置22も同様にコンピュータであってよく、その記憶媒体にバックエンド装置22の各部(後述)を機能させるための印刷データ処理プログラムが記憶されており、CPUが当該印刷データ処理プログラムに従って各部を制御する。
フロントエンド装置20及びバックエンド装置22を実現するハードウェアの1つの具体例として、それぞれがサーバとして機能する複数の情報処理装置を1つの筐体内に搭載したブレードサーバを用いることが考えられる。ブレードサーバは、上述のコンピュータの構成を1枚の基板(ブレード)に実装し、複数のブレードを筐体内に搭載したサーバ装置である。例えば、ブレードサーバに搭載された1つのブレードをフロントエンド装置20として機能させ、他の1つのブレードをバックエンド装置22として機能させてもよい。あるいは、例えば、フロントエンド装置20及びバックエンド装置22のそれぞれを、ブレードサーバに搭載された複数のブレードにより実現してもよい。また、フロントエンド装置20及びバックエンド装置22を1つのブレードにより実現するようにしてもよい。
画像形成部としての印刷装置16は、紙などの印刷媒体に対して画像形成処理としての印刷処理を行う装置であり、例えば、連続紙プリンタであってよい。なお、印刷装置16は、電子写真、インクジェット、又はその他の方式の印刷エンジンにより印刷を行うものとする。なお、本実施形態における印刷装置16は、各基本色版(CMYKあるいはRGBなど)の描画データを処理可能である。本実施形態では、画像処理装置としての印刷コントローラ14と印刷装置16が別体となっているが、印刷コントローラ14と印刷装置16とが一体となっていてもよい。この場合は、印刷コントローラ14及び印刷装置16が印刷データ処理装置を構成することとなる。
特色DB18は、フロントエンド装置20及びバックエンド装置22からアクセス可能なストレージ(記憶部)を含んで構成される。特色DB18には、バックエンド装置22によるラスタライズ処理において参照される複数のシステム代替カラー情報が記憶される。本実施形態においては、特色DB18には、特色名と、システム代替カラー情報と、特色に対する特色補正を行うための補正用データとを含み、これらが互いに関連付けられたシステム特色LUT(Look Up Table)情報が記憶される。補正用データは、システム代替カラー情報で示される代替カラー(各基本色成分)を、印刷装置16の特性に応じたデバイス依存の基本色成分に変換(補正)を行うために用いられる。特色DB18には、複数の特色に対応した複数のシステム特色LUT情報が記憶されていてよい。なお、図1においては、特色DB18は印刷コントローラ14とは別体となっているが、特色DB18は印刷コントローラ14内に設けられるようにしてもよい。
フロントエンド装置20及びバックエンド装置22の詳細について説明する前に、端末装置12で生成される印刷ジョブについて説明する。印刷ジョブは、文書の印刷命令と、印刷対象の文書(原稿)をページ記述言語で記述した文書データとしてのPDLデータとを含む。ページ記述言語は、ディスプレイ表示処理、印刷処理などを情報処理機器に実行させるためのコンピュータプログラミング言語である。PDLデータの形式としては、例えばPS(Post Script(登録商標))形式あるいはPDF形式などがある。
PDLデータは、印刷対象の文書を構成する文字や図形などのオブジェクトの色情報、位置情報、形状情報、及び書式情報などを含む。PDLデータの並び順は、基本的には、PDLのデータのページ順、あるいはページを構成する各オブジェクトのページ記述順序となっている。例えば、1ページ目にオブジェクトAが含まれ、2ページ目にオブジェクトBが含まれる場合は、PDLデータの並び順としては、オブジェクトAに関する各種情報の後に、オブジェクトBに関する各種情報が続くようになっている。PDLデータは、1ページ目又はページリソースとして個別に、当該PDLデータに使用されるフォームリソース(図形要素(塗り、線、文字、シェードなど)あるいはイメージを含む)やフォントリソースなどを定義し、それらを各ページで使用できるようにすることもできる。また、ページ毎に、当該ページで使用するフォームリソースを定義することもできる。このような場合には、PDLデータの並び順としては、それぞれリソースを使用し、ページオブジェクトの描画を行う順としてもよい。本実施形態においては、PDLデータにおける描画コマンドの実行順が、中間データにおけるオブジェクト順となる。PDLデータにはオーバープリント指定などの情報も含まれる。互いに重なり合うオブジェクトがある場合、同じ座標上における描画順によって、各オブジェクトの描画順が決定される。
上述の通り、PDLデータには、各オブジェクトの色を示す色情報を有している。色情報においては、各オブジェクトのカラースペース(例えばCMYKやRGBなど)と、色値が示されている。特色は、例えばSeparationカラースペースあるいはDeviceNカラースペースで表現され、特色名で区別することが可能である。本明細書においては、特色を有するオブジェクトを特色オブジェクトと呼び、印刷装置16が処理可能な色を有するオブジェクトを基本色オブジェクトと呼ぶ。基本色オブジェクトに関する色情報には、例えばC=60%というように、色成分を示す情報と、その明度を示す情報が含まれる。一方、特色オブジェクトに関する色情報には、当該特色の名前を示す特色名情報と、文書内代替カラー情報が含まれる。文書内代替カラー情報とは、当該特色を基本色の組み合わせで表した場合の各基本色の色成分の明度を示したものである。例えば、CMYK(100/10/10/10)(シアン100%、マゼンタ10%、イエロー10%、ブラック10%)といった情報である。
PDLデータに複数の特色が含まれる場合は、当該PDLデータには、各特色に対応する複数の文書内代替カラー情報が含まれる。ここで、本実施形態に係るPDLデータには、同じ特色名であるにも関わらず、互いに異なる代替カラーが定義された複数の特色が含まれている。つまり、本実施形態に係るPDLデータには、同じ特色名を示す特色名情報に関連付けられた、内容(例えば代替カラー値あるいは代替カラースペース)が互いに異なる複数の文書内代替カラー情報が含まれている。以下、1つのPDLデータが有する、同じ特色名で互いに異なる代替カラーが定義された複数の特色を「同名異色の特色」と記載する。その要因は、上述の通り、例えば、PDLデータを生成するアプリケーションが、各基本色及び特色を分版出力してPDLデータを生成した場合、あるいは、複数の原稿がまとめられて1つのPDLデータが生成された場合などである。
本実施形態においては、ユーザは、PDLデータに含まれる各特色について、代替カラーに変換する際に、PDLデータが有する文書内代替カラー情報を用いて変換するか、特色DB18に記憶(登録)されたシステム代替カラー情報を用いて変換するかを指定することができる。
図2には、端末装置12の表示部に表示されるジョブ編集画面の例が示されている。ユーザは、このようなジョブ編集画面により、フロントエンド装置20に送信する印刷ジョブに関する設定を定義することができる。ユーザによって定義された設定を示す設定情報は、印刷ジョブと共にフロントエンド装置20に送信される。あるいは、設定情報が印刷ジョブに含められてもよい。
ユーザは、当該ジョブ編集画面において、PDLデータに含まれる各特色についての代替カラーへの変換処理に、文書内代替カラー情報を用いるかシステム代替カラー情報を用いるかを指定することができる。具体的には、ジョブ編集画面は「原稿の代替カラー設定を優先する」を適用するか否かのチェックボックスD1を有しており、ユーザは、チェックボックスD1にチェックを入れることで、当該PDLデータの処理にあたり、文書内代替カラー情報を用いて特色を代替カラーに変換することを指定できるようになる。一方、チェックボックスD1にチェックを入れなかった場合、当該PDLデータに含まれる全ての特色を、システム代替カラー情報を用いて代替カラーに変換することが指定される。本実施形態においては、チェックボックスD1にチェックが入れられるものとする。
チェックボックスD1にチェックを入れた場合、さらに、PDLデータに含まれる特色の中で、文書内代替カラー情報を用いて代替カラーへ変換する特色を指定することができる。本実施形態では、PDLデータの論理ページ単位で範囲を指定し、指定された範囲内に含まれる特色が文書内代替カラー情報を用いて代替カラーへ変換する特色として指定される。なお、論理ページとは、PDLデータにおいて規定されている論理的な意味でのページのことであり、物理的な印刷媒体(用紙など)の1つの面である物理ページの対立概念である。以下、論理ページを単に「ページ」と記載する。
図2に示される通り、ユーザは、ページ範囲として「すべて」と「ページ指定」とが選択可能となっている。「すべて」と「ページ指定」の選択は、ラジオボタンにより行うことができる。「すべて」が選択された場合は、PDLデータの全ページに含まれる特色(つまりPDLデータに含まれる特色の全て)が指定される。つまり、この場合は、PDLデータに含まれる全ての特色を、文書内代替カラー情報を用いて代替カラーに変換することが指定される。一方、「ページ指定」が選択された場合は、さらに、ユーザはテキストボックスD2内においてページを指定することができる。この場合、テキストボックスD2内において指定されたページに含まれる特色が、文書内代替カラー情報を用いて代替カラーに変換するものとして指定される。図2の例では、1ページ目、10〜12ページ目、33ページ目が指定されているから、PDLデータの1ページ目、10〜12ページ目、33ページ目に含まれる特色が文書内代替カラー情報を用いて代替カラーへ変換することが指定される。
このように、本実施形態においては、ユーザにより指定された指定特色が文書内代替カラー情報を用いて代替カラーへ変換する特色として指定されたことになる。換言すれば、指定されなかった非指定特色はシステム代替カラー情報を用いて代替カラーへ変換する特色として指定されたことになる。
また、PDLデータに含まれる特色が指定特色であるか否かは、PDLデータの生成時において指定することもできる。図3には、PDLデータ生成時に特色に関する属性を入力するための特色属性入力画面が示されている。PDLデータを生成する者は、特色属性入力画面において、当該PDLデータで使用される特色の特色名、あるいは代替カラーを設定することができる。それと共に、特色属性入力画面は、「同名特色登録時優先」を適用するか否かのチェックボックスD3を有している。PDLデータを生成する者が、チェックボックスD3にチェックを入れると、当該特色が指定特色として指定される。つまり、当該特色が文書内代替カラー情報を用いて代替カラーに変換することが指定される。チェックボックスD3においてチェックが外されると、当該特色が非指定特色として指定される。つまり、当該特色がシステム代替カラー情報を用いて代替カラーに変換することが指定される。チェックボックスD3へのチェックの有無を示す指定情報は、PDLデータに含まれる。
なお、図3に示されたような特色属性入力画面において、当該特色を代替カラースペースに変換した上で、当該特色(代替カラー)を有する特色オブジェクトをオーバープリント処理させるか否かも指定できるようにしてもよい。上述の通り、特色を代替カラースペースに変換した後にオーバープリント処理を行うと、オブジェクトの重なり部分は正しい色とはならない。例えば、上述のように、基本色オブジェクト(C=60%とする)の上に特色オブジェクト(特色=100%、代替カラーはCMYK(10/10/10/50))が重なっており、当該特色オブジェクトに対してオーバープリントが設定されている場合、2つの重なり部分の色が、CMYK(70/10/10/50)とはならず、CMYK(60/10/10/50)となってしまう。しかしながら、場合によっては、特色のオーバープリント処理が正しくできないといった結果を再現したい場合もある。そのような場合は、当該特色を代替カラースペースに変換した上でオーバープリント処理を行うことが指定される。
なお、文書データの構造によっては、端末装置12におけるジョブ設定において、指定特色を自動的に選択できるようにしてもよい。例えば、各基本色及び特色を分版して出力可能なアプリケーションにより文書データが生成され、1ページ目はシアン版、2ページ目はマゼンタ版、3ページ目はイエロー版、4ページ目はブラック版、そして5ページ目が特色版であって、1〜4ページ目には特色名「Spot4」に対し代替カラー情報「CMYK=(0/0/0/0)」が定義され、5ページ目には特色名「Spot4」に対し代替カラー情報「CMYK(5/15/60/0)」が定義されている場合を考える。この場合、1〜4ページ目までについてはシステム代替カラーではなく、文書内代替カラー情報を用いるべきである。したがって、端末装置12が、1〜4ページ目までが基本色版であり、5ページ目が特色版であることが識別できるならば、基本色版に対応するページを指定範囲(上記例では1〜4ページ)に設定するようにしてもよい。
図4に、フロントエンド装置20及びバックエンド装置22の機能構成の概略が示されている。以下、図4を参照しながら、フロントエンド装置20及びバックエンド装置22の詳細について説明する。
フロントエンド装置20は、印刷ジョブ受信部30、文書データ解析部としてのプリフライト処理部32、通知部34、文書内代替色情報抽出部としての代替カラー情報抽出部36、中間データ生成部としてのページ解釈部38を含んで構成される。また、バックエンド装置22は、中間データバッファ50、描画部52、及び出力バッファ54を含んで構成される。本実施形態においては、このうち、印刷ジョブ受信部30、プリフライト処理部32、代替カラー情報抽出部36、ページ解釈部38、及び描画部52の各部は、CPUや記憶媒体などのハードウェアと、CPUの動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により実現される。また、通知部34は、フロントエンド装置20を構成するコンピュータの通信インターフェースにより構成される。また、中間データバッファ50及び出力バッファ54は、バックエンド装置22を構成するコンピュータの記憶媒体において定義される。
印刷ジョブ受信部30は、端末装置12から送信された印刷ジョブを受信する。上述の通り、印刷ジョブ受信部30が受信する印刷ジョブに含まれるPDLデータにおいては同名異色の特色が含まれている。また、印刷ジョブと共に設定情報が端末装置12から送信された場合は、印刷ジョブ受信部30は当該設定情報も受信する。本実施形態においては、印刷ジョブ受信部30は、受信した印刷ジョブに含まれるPDLデータをプリフライト処理部32及び代替カラー情報抽出部36に渡す。設定情報がPDLデータとは別に受信した場合は、当該設定情報もプリフライト処理部32及び代替カラー情報抽出部36に渡す。
プリフライト処理部32は、代替カラー情報抽出部36によるPDLデータに対する処理が実行される前に、当該PDLデータに対する解析処理(プリフライト処理)を実行する。具体的には、プリフライト処理部32は、PDLデータを解析することで、PDLデータ、あるいは設定情報が示す印刷設定に起因して生じ得るプリント不具合(エラー)などを印刷処理に先立って検出するものである。本実施形態においては、プリフライト処理部32は、さらに、当該PDLデータに同名異色の特色が含まれるか否かを判定すると共に、同名異色の特色が含まれる場合は、同名異色の特色が存在するPDLデータにおける位置を特定する。
本実施形態では、同名異色の特色の位置として、同名異色の特色を含むPDLデータのページが特定される。例えば、1ページ目に特色名「Light Green」、代替カラー情報CMYK=(40/0/30/0)が定義された特色を有し、3ページ目に特色名「Light Green」、代替カラー情報CMYK=(30/0/10/0)が定義された特色を有している場合、プリフライト処理部32により、代替カラー情報が互いに異なる特色名「Light Green」の特色が、「1ページ目」及び「3ページ目」に存在することが特定される。
プリフライト処理部32の処理の結果を示すプリフライト結果情報は、通知部34により端末装置12に送信される。端末装置12は、受信したプリフライト結果情報に基づいて、表示部にプリフライト結果画面を表示させる。これにより、プリフライト処理の結果が、PDLデータを入力したユーザに通知される。
図5に、端末装置12の表示部に表示されるプリフライト結果画面の例が示されている。プリフライト結果画面においては、プリフライト処理により検出されたエラーの内容が表示される。これにより、将来起こり得るプリント不具合がユーザに対して事前に通知される。本実施形態においては、さらに、プリフライト結果画面において、同名異色の特色の位置が表示される。本実施形態では、同名異色の特色の位置がページ単位で特定されるから、プリフライト結果画面においても、同名異色の特色の位置として、特定されたページのページ番号が通知される。図5の例においては、「1ページ目」及び「3ページ目」に、同じ特色名「Light Green」が定義された2つの特色があり、当該2つの特色には互いに異なる代替カラーが設定されていることが示されている。
ユーザは、このようなプリフライト結果画面を視認することにより、フロントエンド装置20に送信したPDLデータ内に同名異色の特色が含まれていることを容易に把握できると共に、同名異色の特色の位置を把握することができる。これにより、各同名異色の特色に対する、代替カラーへの変換に利用する代替カラー情報の指定忘れが防止される。
同名異色の特色に対する指定忘れ防止という観点からは、プリフライト処理部32は、PDLデータあるいは設定情報を参照して、当該PDLデータに含まれる同名異色の特色のうち、指定特色及び非指定特色のいずれも指定されていない同名異色の特色のみを検出してユーザへ通知するようにしてもよい。
また、プリフライト結果画面から、プリフライト処理により検出された同名異色の特色を指定特色とするか非指定特色とするか選択するための選択画面に遷移することができるようにしてもよい。例えば、図5に示された(1ページ目「Light Green」)という文字列がクリック可能となっており、当該文字列をクリックすると、文書内代替カラー情報とシステム代替カラー情報とを選択する画面が表示されるようにしてもよい。当該画面にてユーザが「文書内代替カラー情報」を選択すると1ページ目の特色が指定特色とされ、ユーザが「システム代替カラー情報」を選択すると1ページ目の特色が非指定特色とされる。このようにして、プリフライト処理の結果を受けたユーザにより同名異色の特色に対する指定が行われた場合、端末装置12からフロントエンド装置20に、指定された特色を示す情報がフロントエンド装置20に送信され、印刷ジョブ受信部30がそれを受信する。つまり、印刷ジョブ受信部30は、代替色情報指示受信部としても機能する。印刷ジョブ受信部30は、受信した情報に基づいて、当該PDLデータに関する設定情報を更新する。
代替カラー情報抽出部36は、印刷ジョブ受信部30が受信したPDLデータから文書内代替カラー情報を抽出する処理を行う。特に、代替カラー情報抽出部36は、PDLデータに含まれる同名異色の特色のうち、指定特色に関する文書内代替カラー情報を抽出する。具体的には、代替カラー情報抽出部36は、PDLデータを解析していく中で、PDLデータ内に特色を発見し、且つ、当該PDLデータに関する設定情報に基づいて、当該特色が指定特色であると判定した場合に、当該文書内代替カラー情報をPDLデータから抽出する。
例えば、上述の例のように、PDLデータが、1ページ目に特色名「Light Green」、代替カラー情報「CMYK=(40/0/30/0)」が定義された特色を有し、3ページ目に特色名「Light Green」、代替カラー情報「CMYK=(30/0/10/0)」が定義された特色を有しており、1ページ目の特色が指定特色であり、3ページ目の特色が非指定特色である場合、代替カラー情報抽出部36は、1ページ目の特色に関する文書内代替カラー情報「CMYK=(40/0/30/0)」を抽出する。一方、代替カラー情報抽出部36は、3ページ目の特色に関する文書内代替カラー情報については抽出しない。
代替カラー情報抽出部36は、抽出した指定特色に関する文書内代替カラー情報をページ解釈部38に渡す。
ページ解釈部38は、印刷ジョブ受信部30が受信したPDLデータを解釈することで、中間データを生成する処理を行う。中間データとは、PDLデータと、印刷装置16が処理する描画データとの中間の粒度を有するデータである。中間データの例としては、ディスプレイリストなどが挙げられる。中間データは、印刷対象の文書の構成要素である複数のオブジェクトの描画処理を行う順番を表す命令を含む。中間データを記述する言語としては、PDLデータと比較してより詳細な手順を表現する言語が用いられる。例えば、PDLデータにおいて、文書上におけるあるオブジェクトの位置、形状、及び大きさを表す情報が定義される場合、中間データにおける当該オブジェクトの描画命令では、例えば印刷対象の文書におけるスキャンライン単位で当該オブジェクトの描画の手順を記述したものであり得る。また、中間データにおいても、PDLデータが有していた各オブジェクトの重なり情報やオーバープリント指定などの情報も維持される。なお、図4においては、ページ解釈部38は1つのみ示されているが、ページ解釈部38は複数設けられ、PDLデータのページが複数のページ解釈部38に分散されて処理されるようにしてもよい。
ページ解釈部38は、PDLデータを各基本色に対応する各基本色版データ(例えば、C版、M版、Y版、K版)、及び、特色に対応する特色版データを生成する。特色版データは、PDLデータに含まれる特色毎に生成される。
中間データは、各オブジェクトの色を示す色情報も有している。基本色オブジェクトに関する色情報には、PDLデータ同様、色成分を示す情報と、その明度を示す情報が含められる。特色オブジェクトについては、当該特色オブジェクトが有する特色が指定特色であるか非指定特色であるかによって、色情報に含められる情報が異なる。非指定特色に関する色情報には、当該非指定特色の特色名が含められる。一方、指定特色に関する色情報には、代替カラー情報抽出部36が抽出した文書内代替カラー情報に基づく中間データ内特色LUT情報が含められる。
図4に示される通り、ページ解釈部38は、代替カラー情報変換部40を含んで構成される。代替カラー情報変換部40は、代替カラー情報抽出部36がPDLデータから抽出した、指定特色に関する文書内代替カラー情報に基づいて、中間データに組み込まれる中間データ内特色LUT情報を生成する。中間データ内特色LUT情報には、少なくとも、当該指定特色の代替カラーを示す中間データ内代替カラー情報を含んで構成される。中間データ内代替カラー情報は、抽出された文書内代替カラー情報に対して、フロントエンド装置20の記憶部に記憶されている補正用データに基づいて色補正が施されたものであってよく、印刷装置16の特性に応じたデバイス依存の各基本色成分を有するものであってもよい。あるいは、中間データ内代替カラー情報は文書内代替カラー情報と同じ代替カラーを示す情報であって、中間データ内特色LUT情報に、デバイス依存の基本色成分に変換するための補正用データが含められてもよい。
図6に、ページ解釈部38により生成された、1ページ分の中間データのデータ構造が示されている。「色1」と記載されたデータブロックは、オブジェクトの色を指定するデータを含んでいる。ここでは、「色1」が基本色であるとし、例えば、C=60%というような情報を含んでいる。その後に続く「形状1」及び「形状2」というデータブロックは、基本色オブジェクトの形状を表すデータを含んでいる。ここで、「形状1」及び「形状2」データブロックは、「色1」データブロックに後続している。これは、「形状1」及び「形状2」が示すそれぞれの形状(基本色オブジェクト)は、「色1」データブロックで規定された色で描画することを意味している。
「プレーン情報」データブロックは、描画先の版を指定する情報であり、ここでは特色版データが指定される。その後の「色2」データブロックは、特色に関する色情報を含むデータである。ここでは、「色2」は指定特色に関する色情報を含むものである。ページ解釈部38は、当該「色2」データブロック内に、代替カラー情報変換部40が変換した中間データ内代替カラー情報を含む中間データ内特色LUT情報を組み込む。これにより、ページ解釈部38により生成される中間データは、中間データ内特色LUT情報を含むものとなる。
図6に示されるように、本実施形態に係る中間データ内特色LUT情報は、Type情報、Length情報、nDataChannels情報、及びData情報の各情報を含んで構成される。Type情報とは、「色2」データブロックに含まれる情報が、中間データ内特色LUT情報であることを示すものである。Length情報とは、中間データ内特色LUT情報のデータ長を示すものである。nDataChannels情報とは、中間データ内代替カラー情報が示す色変換後の色空間のチャネル数を表す情報である。例えば、中間データ内代替カラー情報がCMYKの各色成分に関する情報を有していればチャネル数は4となり、RGBの各色成分に関する情報を有していればチャネル数は3となる。Data情報とは、中間データ内代替カラー情報であり、代替カラーの色成分の明度を示す情報を有する。本実施形態では、中間データ内代替カラー情報としては、文書内代替カラー情報に対して補正用データに基づいた色補正が施されたものでありデバイス依存の代替カラーが定義されているとする。
中間データ内代替カラー情報(「色2」データブロック)に後続する「形状1」データブロックが示す形状(指定特色を有する特色オブジェクト)は、「色2」データブロックが示す色、つまり中間データ内代替カラー情報が示す色を用いて描画することを意味する。すなわち、本実施形態における中間データにおいては、指定特色を有する特色オブジェクトの描画命令が、当該指定特色に関する中間データ内代替カラー情報に後続している。
ページ解釈部38により生成される中間データにおいては、特色に関する色情報には、当該特色が指定特色であるか、非指定特色であるかを識別する情報が含まれる。あるいは、指定特色の色情報に上述した中間データ内特色LUT情報が含まれ、非指定特色の色情報には特色名情報のみが含まれる態様であるならば、当該色情報のデータ構造の違いが指定特色と非指定特色を識別する情報として利用されてもよい。
ページ解釈部38により生成された中間データは、バックエンド装置22に送信され、中間データバッファ50に格納される。上述の通り、当該中間データは、各基本色版データと特色版データを含み、指定特色に関する色情報として中間データ内特色LUT情報を含むものである。
バックエンド装置22の描画部52は、中間データバッファ50に保持された中間データに基づいてラスタライズ処理を行い、印刷装置16が処理可能な形式の描画データを生成する。描画部52は、オブジェクト毎に順次ラスタライズ処理を行う。例えば、オブジェクトの形状データが示す範囲内の各画素の値を当該オブジェクトの色情報から求めて、オブジェクトの描画(レンダリング)を行う。1つの論理ページに含まれる全オブジェクトをこのように描画することで、その論理ページの描画データが形成される。描画データの形式としては、例えば、画素毎に色データを有するビットマップ形式を用いることができる。なお、図4においては、描画部52は1つのみ示されているが、描画部52は複数設けられ、中間データの1ページについて、バンド毎に複数の描画部52に分散されて処理されるようにしてもよい。
描画部52は、処理対象の特色オブジェクトが他のオブジェクトと重なる部分を有している場合は、当該特色オブジェクトが有する特色を代替カラーへ変換する前に、当該オブジェクトに関するオーバープリント処理あるいは透明効果処理などの処理を行う。上述の通り、中間データには、重なり合うオブジェクトの重なり情報を含んでおり、且つ、オーバープリント処理などの時点においては、まだ各基本色へ分割されていない(つまり各基本色成分が0%である)から、オーバープリント処理などが適切に実施される。なお、代替カラーへの変換後にオーバープリント処理されることが指定された特色については、そのように処理される。その結果、オーバープリント処理が適切に実施されていない結果(それがユーザにとって望む結果ではあるが)が得られる。
オーバープリント処理の後に、描画部52は、特色オブジェクトが有する特色を代替カラーへ変換した上で、変換後の色基本色成分を各基本色版に合成する処理を行う。図4に示されている通り、描画部52は、その機能ブロックとして指定特色判定部56、システム代替カラー情報取得部58、特色変換部60、及び特色合成部62が定義されており、特色の代替カラーへの変換及び合成はこれらの機能ブロックにより実現される。
指定特色判定部56は、処理対象の特色オブジェクトが有する特色が指定特色であるか否かを判定する。上述のように、中間データに含まれる各特色に関する色情報は、各特色が指定特色であるか非指定特色であるかを識別する情報を有している。指定特色判定部56は、当該情報に基づいて、処理対象の特色が指定特色か否かを判定する。あるいは、中間データに含まれる各特色が指定特色であるか否かの情報が中間データとは別にフロントエンド装置20から送られてもよい。この場合は、指定特色判定部56は、フロントエンド装置20から別途送信された情報に基づいて、中間データに含まれる各特色が指定特色であるか否かを判定する。
システム代替カラー情報取得部58は、処理対象の特色が非指定特色であると判定された場合、特色DB18から当該特色に対応するシステム代替カラー情報を取得する。システム代替カラー情報取得部58は、当該特色に対応するシステム代替カラー情報を含むシステム特色LUT情報を取得する。具体的には、システム代替カラー情報取得部58は、特色DB18に含まれる複数のシステム特色LUT情報の中から、中間データ内の非指定特色に関する色情報に含まれる特色名と同じ特色名を有するシステム特色LUT情報を取得する。システム代替カラー情報取得部58は、取得したシステム特色LUT情報を特色変換部60へ渡す。
特色変換部60は、処理対象の特色オブジェクトが有する特色を代替カラーへ変換する処理を行う。特色変換部60は、指定特色と非指定特色とに対して、それぞれ異なる方法で代替カラーへの変換処理を行う。
指定特色判定部56により指定特色であると判定された特色については、特色変換部60は、中間データに含まれる中間データ内特色LUT情報(詳しくは中間データ内代替カラー情報)に基づいて当該特色を代替カラーへ変換する。上述の通り、本実施形態に係る中間データは、指定特色を有する特色オブジェクトの描画命令が、当該指定特色に関する中間データ内代替カラー情報に後続している。したがって、特色変換部60は、特色オブジェクトが有する指定特色に対しては、当該特色オブジェクトの描画命令の前にある色情報、すなわち中間データ内特色LUT情報に基づいて、当該指定特色を代替カラーに変換する処理を行う。
ここで、本実施形態に係る中間データ内代替カラー情報は、上述の通り、PDLデータから抽出された文書内代替カラー情報に対して補正用データに基づいた色補正が施されたものであるから、中間データ内代替カラー情報を用いて特色を代替カラーへ変換することで、印刷装置16の特性を考慮したデバイス依存の代替カラーに変換される。あるいは、中間データ内代替カラー情報は文書内代替カラー情報と同じ代替カラーを示す情報であり、中間データ内特色LUT情報に、デバイス依存の基本色成分に変換するための補正用データが含められた場合は、特色変換部60は、代替カラーへの変換に先立って、当該補正用データに基づく色補正(特色補正)を行うようにしてもよい。このように、中間データ内特色LUT情報を用いた方法によれば、適切な特色補正が行われた上で、特色が代替カラーへ変換される。
一方、指定特色判定部56により非指定特色であると判定された特色については、特色変換部60は、システム代替カラー情報取得部58が取得したシステム特色LUT情報(詳しくはシステム代替カラー情報)に基づいて当該特色を代替カラーへ変換する。上述の通り、システム特色LUT情報には、特色補正を行うための補正用データを含んでいるから、特色変換部60は、代替カラーへの変換に先立って、当該補正用データに基づく特色補正を行うようにしてもよい。このように、システム特色LUT情報を用いた方法によっても、実質的に特色補正が行われた上で、特色が代替カラーへ変換される。
特色合成部62は、特色変換部60により変換された代替カラー(各基本色成分)を、各基本色版データに合成する処理を行う。合成処理を行った上で、各基本色版データに対してラスタライズ処理が行われ、各基本色版(本実施形態ではC版、M版、Y版、K版)の描画データが生成される。
描画部52により生成された各論理ページの各基本色版の描画データは出力バッファ54に格納される。出力バッファ54に格納された各描画データは、印刷装置16により順次読み出される。そして、印刷装置16は、出力バッファ54から読み出した各論理ページの描画データを用紙に対して印刷する。
本実施形態に係る画像処理システム10の構成概要としては以上の通りである。本実施形態においては、PDLデータに含まれる複数の特色のうち、ユーザなどによって指定された指定特色については、PDLデータに含まれる文書内代替カラー情報に基づいて代替カラーに変換され、指定されなかった非指定特色については、特色DB18からのシステム代替カラー情報に基づいて代替カラーに変換される。このようにすることで、たとえ、PDLデータに同名異色の特色が含まれていたとしても、ユーザなどが各同名異色の特色に対して指定/非指定を正しく選択することで、各同名異色の特色を異なる色とすると共に、各同名異色の特色をユーザが意図する色とすることができる。
例えば、PDLデータが、1ページ目に特色名「Light Green」、文書内代替カラー情報「CMYK=(40/0/30/0)」が定義された特色を有し、3ページ目に特色名「Light Green」、文書内代替カラー情報「CMYK=(30/0/10/0)」が定義された特色を有しており、且つ、特色DB18において、特色名「Light Green」とシステム代替カラー情報「CMYK=(30/0/10/0)」が関連付けられて記憶されている場合を考える。この場合、ユーザは、1ページ目の特色を指定特色とし、3ページ目の特色を非指定特色とする。そうすることで、1ページ目の特色は、PDLデータに含まれる文書内代替カラー情報「CMYK=(40/0/30/0)」に基づいて代替カラーに変換され、3ページ目の特色は、特色DB18からのシステム代替カラー情報「CMYK=(30/0/10/0)」に基づいて代替カラーに変換される。それにより、1ページ目と3ページ目には同名異色の特色が含まれていたもの、それぞれの特色がユーザ所望の代替カラーに変換される。
また、上述のように、本実施形態においては、特色が代替カラーへ変換される前に、オーバープリント処理あるいは特色補正処理が実行される。そのため、これらの処理を適切に実行することができる。
また、本実施形態によって生成される中間データには、指定特色についての中間データ内特色LUT情報を有している。一方、特色DB18にも、当該指定特色についての、当該中間データ内特色LUT情報とは異なる内容を有するシステム特色LUT情報を有している。したがって、ユーザは、当初は中間データ内特色LUT情報を用いて処理することを指定した指定特色について、中間データを生成した後に、システム特色LUT情報を用いて処理を行いたくなった場合であっても、中間データを再生成する必要なく、当該指定特色をシステム特色LUT情報を用いて処理することが可能になる。すなわち、ユーザの使用用途に応じた処理方法の切り替えを、中間データを再生成する必要なく行うことができる。
以下、図7に示すフローチャートに従って、フロントエンド装置20の処理の流れについて説明する。なお、図7に示すフローチャートに先立って、印刷ジョブ受信部30が受信したPDLデータに対してプリフライト処理部32が実行されてもよい。
ステップS10において、代替カラー情報抽出部36は、印刷ジョブ受信部30が受信したPDLデータに含まれる1つのオブジェクトを取得する。
ステップS12において、代替カラー情報抽出部36は、ステップS10で取得したオブジェクトが特色オブジェクトであるか否かを判定する。特色オブジェクトでない場合(つまり基本色オブジェクトである場合)は、代替カラー情報抽出部36は何も処理を行わず、ステップS14に進む。
ステップS14において、ページ解釈部38は、当該基本色オブジェクトの中間データ要素を生成する。
ステップS16において、代替カラー情報抽出部36は、PDLデータに処理していないオブジェクトが残っているか否かを判定する。残っている場合は再度ステップS10に戻り、他のオブジェクトに対する処理を行う。PDLデータに含まれる全てのオブジェクトに対する処理が終わった場合は、中間データ生成処理を終了する。
ステップS12において、ステップS10で取得したオブジェクトが特色オブジェクトであると判定された場合は、ステップS18に進む。
ステップS18において、代替カラー情報抽出部36は、当該特色オブジェクトが有する特色が指定特色であるか否かを判定する。指定特色でない場合、代替カラー情報抽出部36は何も処理を行わず、ステップS20に進む。
ステップS20において、ページ解釈部38は、当該特色オブジェクトの中間データ要素を生成する。当該特色オブジェクトの特色を示す色情報としては、特色名情報が含められる。
ステップS18において、当該特色オブジェクトが有する特色が指定特色である場合は、ステップS22に進む。
ステップS22において、代替カラー情報抽出部36は、PDLデータから当該指定特色に関する文書内代替カラー情報を抽出し、ページ解釈部38へ渡す。
ステップS24において、代替カラー情報変換部40は、抽出された文書内代替カラー情報に基づいて、中間データ内特色LUT情報を生成する。
ステップS26において、ページ解釈部38は、ステップS24で生成された中間データ内特色LUT情報を含む中間データ要素を生成する。
以下、図8に示すフローチャートに従って、バックエンド装置22の処理の流れについて説明する。
ステップS40において、描画部52は、中間データバッファ50から中間データを取得し、中間データに含まれる1つのオブジェクトを取得する。
ステップS42において、描画部52は、ステップS40で取得したオブジェクトが特色オブジェクトであるか否かを判定する。特色オブジェクトでない場合(つまり基本色オブジェクトである場合)はステップS44に進む。
ステップS44において、描画部52は、当該オブジェクトに対してラスタライズ処理を行って描画データを生成する。
ステップS46において、描画部52は、中間データに処理していないオブジェクトが残っているか否かを判定する。残っている場合は再度ステップS40に戻り、他のオブジェクトに対する処理を行う。中間データに含まれる全てのオブジェクトに対する処理が終わった場合は、描画データ生成処理を終了する。
ステップS42において、ステップS40で取得したオブジェクトが特色オブジェクトであると判定された場合は、ステップS48に進む。
ステップS48において、指定特色判定部56は、当該特色オブジェクトが有する特色が指定特色であるか否かを判定する。指定特色でない場合(非指定特色である場合)はステップS50に進み、指定特色である場合はステップS52に進む。
ステップS50においては、システム代替カラー情報取得部58は、特色DB18から、当該特色に対応するシステム特色LUT情報を取得して特色変換部60へ渡す。一方、ステップS52においては、特色変換部60は、中間データ内に含まれる中間データ内特色LUT情報を取得する。
ステップS54において、特色変換部60は、ステップS50又はS52で取得した特色LUT情報に基づいて、当該特色を代替カラーに変換する。具体的には、非指定特色については、システム特色LUT情報を用いて代替カラーへ変換し、指定特色については、中間データ内特色LUT情報を用いて代替カラーへ変換する。
ステップS56において、特色合成部62は、ステップS54で変換された代替カラー(各基本色成分)を各基本色版データに合成する処理を行う。その後、ステップS44において、各基本色版データに対してラスタライズ処理が行われ、各基本色版の描画データが生成される。
<第2実施形態>
第1実施形態においては、代替カラー情報抽出部36がPDLデータから文書内代替カラー情報を抽出し、ページ解釈部38が文書内代替カラー情報に基づいて、中間データに中間データ内特色LUT情報を含めていた。第2実施形態は、中間データには中間データ内特色LUT情報を含めず、PDLデータから抽出された文書内代替カラー情報を特色DB18などの記憶部に一時記憶させておくという実施形態である。第2実施形態におけるフロントエンド装置20とバックエンド装置22の構成は第1実施形態と同様であるため、図4を参照しながら第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。その他の部分については第1実施形態と同様である。
代替カラー情報抽出部36は、第1実施形態同様、指定特色に関する、特色名情報及び文書内代替カラー情報を抽出する。そして、代替カラー情報抽出部36は、特色名情報の内容(つまり特色名)を一意に特定できる名前に変更した上で、変更後の特色名情報と文書内代替カラー情報を特色DB18に一時記憶させる。さらに、代替カラー情報抽出部36は、変更後の特色名情報をページ解釈部38に渡す。
例えば、PDLデータが、1ページ目に特色名「Light Green」、代替カラー情報「CMYK=(40/0/30/0)」が定義された特色を有し、3ページ目に特色名「Light Green」、代替カラー情報「CMYK=(30/0/10/0)」が定義された特色を有しており、1ページ目の特色が指定特色であり、3ページ目の特色が非指定特色である場合、代替カラー情報抽出部36は、1ページ目の特色に関する特色名情報「Light Green」と、文書内代替カラー情報「CMYK=(40/0/30/0)」を抽出する。そして、特色名情報を例えば「Light Green Page1」などに変更した上で、特色DB18に記憶させる。また、抽出された文書内代替カラー情報に対して、フロントエンド装置20の記憶部に記憶されている補正用データに基づいて特色補正を施した上で特色DB18に記憶させるようにしてもよい。
ページ解釈部38は、特色オブジェクトに関する色情報が当該特色の特色名を含む中間データを生成する。第2実施形態においては、指定特色と非指定特色の区別に関わらず、特色オブジェクトに関する色情報には少なくとも特色名が含まれていればよい。ここで、ページ解釈部38は、代替カラー情報抽出部36からある特色オブジェクトに関する変更後の特色名情報を受け取った場合は、当該特色オブジェクトに関する色情報には、当該変更後の特色名を含めることとする。なお、第2実施形態においては、代替カラー情報変換部40は不要である。
描画部52の特色変換部60は、指定特色判定部56により指定特色であると判定された特色については、PDLデータから抽出され、特色DB18に一時記憶された文書内代替カラー情報に基づいて当該特色を代替カラーへ変換する。ここで、特色DB18からは、中間データに含まれる特色オブジェクトに関する色情報が有する特色名情報に基づいて、処理対象の特色に対応する文書内代替カラー情報が取得される。上述のように、特色名情報及び文書内代替カラー情報を特色DB18に一時記憶させる際に、特色名を一意に識別できるように変更した上で記憶させているため、たとえPDLデータに同名異色の特色が含まれていたとしても、適切な文書内代替カラー情報を取得することができる。
指定特色判定部56により非指定特色であると判定された特色については、第1実施形態同様、特色変換部60は、システム代替カラー情報取得部58が取得したシステム特色LUT情報(詳しくはシステム代替カラー情報)に基づいて当該特色を代替カラーへ変換する。
上述した第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、中間データは、必ずしも中間データ内代替カラー情報を含んでいる必要はなく、PDLデータから抽出された文書内代替カラー情報が例えば特色DB18のような記憶部に一時保持されていてもよい。
なお、第2実施形態のように、PDLデータから抽出された、指定特色に関する文書内代替カラー情報を特色DB18などの記憶部に一時記憶させておく場合、印刷コントローラ14の処理としては、必ずしも中間データを生成する必要はない。例えば、代替カラー情報抽出部36が指定特色に関する文書内代替カラー情報を抽出した上で、バックエンド装置22は当該PDLデータに対して直接処理を行うことで、描画データを生成するようにしてもよい。この場合は、描画部52の処理において、PDLデータから各基本色版データ及び特色版データが生成され、オーバープリント処理などが行われた後に、特色の代替カラーへの変換が行われる。この場合における特色の代替カラーへの変換にあっても、第2実施形態同様、指定特色であると判定された特色については、PDLデータから抽出され、特色DB18などの記憶部に一時記憶された文書内代替カラー情報に基づいて代替カラーへ変換され、非指定特色であると判定された特色については、システム代替カラー情報に基づいて代替カラーへ変換される。
<第3実施形態>
第1実施形態においては、ページ解釈部38は非指定特色に関する色情報に特色名を含む中間データを生成し、描画部52の特色変換部60による特色変換においては、中間データに含まれる特色名に基づいて特色DB18から取得されたシステム特色LUT情報を使用して、非指定特色を代替カラーへ変換していた。第3実施形態は、中間データに含まれる、非指定特色に関する色情報に、特色DB18から取得されたシステム特色LUT情報を含めるという実施形態である。つまり、第3実施形態により生成される中間データには、中間データ内特色LUT情報のみならずシステム特色LUT情報も含められる。図9に、第3実施形態におけるフロントエンド装置20−2とバックエンド装置22−2の構成が示されており、図9を参照しながら第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態の説明においては、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。その他の部分については第1実施形態と同様である。
図4と図9を比較して分かる通り、第3実施形態に係るフロントエンド装置20−2には、第1実施形態に係るバックエンド装置22が有していたシステム代替カラー情報取得部58が設けられている。それに伴い、第3実施形態に係るバックエンド装置22−2は、第1実施形態に係るバックエンド装置22が有していたシステム代替カラー情報取得部58は有していない。
ページ解釈部38は、指定特色に関する色情報に、代替カラー情報抽出部36が抽出した文書内代替カラー情報に基づく中間データ内特色LUT情報を含めるのは第1実施形態と同様である。第3実施形態においては、ページ解釈部38は、非指定特色に関する色情報に、システム代替カラー情報取得部58が特色DB18から取得したシステム特色LUT情報を含める。なお、ここでも、システム代替カラー情報取得部58は、PDLデータに含まれる非指定特色の特色名に基づいて、特色DB18に含まれる複数のシステム特色LUT情報の中から、当該非指定特色に対応するシステム特色LUT情報を特定して取得する。
以上の処理により、第3実施形態により生成される中間データには、PDLデータから抽出された文書内代替カラー情報に基づく中間データ内特色LUT情報と、特色DB18から取得されたシステム特色LUT情報が含まれることになる。当然ながら、中間データ内特色LUT情報は指定特色に対応するものであり、システム特色LUT情報は非指定特色に対応するものである。
バックエンド装置22−2の特色変換部60は、特色の代替カラーへの変換処理にあたり、指定特色については、中間データに含まれる中間データ内特色LUT情報を用いて変換し、非指定特色については、同じく中間データに含まれるシステム特色LUT情報を用いて変換する。
第3実施形態によれば、バックエンド装置22−2は、フロントエンド装置20−2から送信されてくる中間データに対してのみ処理を行うことで、PDLデータに含まれる各同名異色の特色を異なる色とすると共に、各同名異色の特色をユーザが意図する色とすることができる。つまり、第3実施形態によれば、バックエンド装置22−2としては特色DB18と通信する必要なく処理を行うことができる。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。