JP2018132151A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置の制御装置 Download PDF

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崇秋 伊藤
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大輔 友松
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Abstract

【課題】エンジン始動直後に同期噛合式クラッチを介して動力伝達して発進する場合に、同期噛合式クラッチの係合制御を損なうことなく流体式伝動装置に対して作動油が速やかに充填されるようにする。
【解決手段】エンジンの始動時に、ライン圧PLが高圧の第1油圧値PLaに調圧されることにより、同期噛合式クラッチD1が適切に同期噛合係合させられる。また、同期噛合式クラッチD1が係合させられた後にライン圧PLが第2油圧値PLbまで低下させられるため、ライン圧調整装置からのリリーフ油量が増加し、トルクコンバータ(流体式伝動装置)に対して作動油を速やかに充填できる。これにより、車両の長期間放置等によりトルクコンバータ内の作動油量が減少した場合でも、トルクコンバータに対して作動油を速やかに充填し、同期噛合式クラッチを備える第1動力伝達経路を介して動力伝達を行なうことで、車両を速やかに適切に発進させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は車両用動力伝達装置の制御装置に係り、特に、エンジン始動時に流体式伝動装置に対して作動油を速やかに充填する技術に関するものである。
エンジンの動力を作動油を介して伝達する流体式伝動装置(トルクコンバータ等)と駆動輪との間に、ベルト式無段変速機を備える車両用動力伝達装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された装置はその一例である。この特許文献1には、車両の長期間放置等によりトルクコンバータ内の作動油量が減少し、エンジンの始動時にトルクコンバータ内の作動油が不足することによって、トルクコンバータのトルク伝達不足が生じる可能性がある場合に、エンジンの始動から車両の発進までの時間を早めるためにトルクコンバータへの供給油圧を増加させる技術が開示されている。
一方、特許文献2には、(a) 上記流体式伝動装置からの動力を、歯車式伝達機構と油圧によって係合させられる同期噛合式クラッチとを介して駆動輪に伝達する第1動力伝達経路と、(b) その第1動力伝達経路と並列に設けられ、前記流体式伝動装置からの動力を、油圧作動式のベルト式無段変速機と動力断接装置とを介して前記駆動輪に伝達する第2動力伝達経路と、を有し、(c) 前記第1動力伝達経路および前記第2動力伝達経路の何れかを選択して動力伝達する車両用動力伝達装置が提案されている。
特開2014−202317号公報 特開2016−50617号公報
特許文献2に記載の車両用動力伝達装置においては、エンジン始動直後の発進時に、同期噛合式クラッチを係合させて第1動力伝達経路を用いて車両を発進させることができる。その場合、ベルト式無段変速機に対する作動油の充填を急ぐ必要がないため、ライン圧を低下させることで流体式伝動装置に対して作動油を速やかに充填することが可能である。例えば図2に示す油圧制御回路70の場合、ベルト式無段変速機等に供給される作動油の元圧となるライン圧PLが、リリーフ型の第1レギュレータ弁112によって調圧され、流体式伝動装置であるトルクコンバータ14へ供給される作動油の元圧となる第2ライン圧PL2は、その第1レギュレータ弁112からのリリーフ油を用いて第2レギュレータ弁114によって調圧されるため、ライン圧PLを低下させると第1レギュレータ弁112からのリリーフ油量が増加し、トルクコンバータ14に対して作動油を急速充填することが可能となる。
しかしながら、ライン圧PLを低下させると、同期噛合式クラッチを係合させるD1切換用油圧アクチュエータ52のD1係合圧Pd1が制限されるため、そのD1係合圧Pd1が不足して、シンクロが途中で止まったりスプライン歯の噛合不良でギヤ鳴りが発生したり或いは発進不良が発生したりする可能性がある。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、エンジン始動直後に同期噛合式クラッチを介して動力伝達して発進する場合に、同期噛合式クラッチの係合制御を損なうことなく流体式伝動装置に対して作動油が速やかに充填されるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、本発明は、(a) エンジンの動力を作動油を介して伝達する流体式伝動装置と、(b) その流体式伝動装置からの動力を、歯車式伝達機構と油圧によって係合させられる同期噛合式クラッチとを介して駆動輪に伝達する第1動力伝達経路と、(c) その第1動力伝達経路と並列に設けられ、前記流体式伝動装置からの動力を、油圧作動式のベルト式無段変速機と動力断接装置とを介して前記駆動輪に伝達する第2動力伝達経路と、を有する車両用動力伝達装置に備えられ、(d) 前記第1動力伝達経路および前記第2動力伝達経路の何れかを選択して動力伝達させる制御装置において、(e) 前記車両用動力伝達装置は、前記ベルト式無段変速機および前記同期噛合式クラッチの油圧制御の元圧となるライン圧を調圧するリリーフ型のライン圧調整装置と、そのライン圧調整装置からのリリーフ油を用いて、前記流体式伝動装置に供給される作動油の元圧となる第2ライン圧を調圧する第2ライン圧調整装置と、を有する油圧制御回路を備えている一方、(f) 前記エンジンの始動時に、前記ライン圧を、前記同期噛合式クラッチを係合させることができる予め定められた第1油圧値に調圧し、その同期噛合式クラッチを係合させるとともに、同期噛合式クラッチが係合させられた後に、その同期噛合式クラッチの係合状態を保持可能で且つ前記第1油圧値よりも低い予め定められた第2油圧値まで前記ライン圧を低下させる噛合クラッチ係合制御部を有することを特徴とする。
なお、エンジンの始動時とは、クランキング等のエンジンの始動過程であっても良いし、エンジンの始動直後であっても良く、エンジン始動時のできるだけ早い段階を意味する。
このような車両用動力伝達装置の制御装置によれば、エンジンの始動時にライン圧が第1油圧値に調圧されることにより、同期噛合式クラッチが適切に同期噛合係合させられる一方、同期噛合式クラッチが係合させられた後にライン圧が第2油圧値まで低下させられるため、ライン圧調整装置からのリリーフ油量が増加して流体式伝動装置に対して作動油を速やかに充填できる。これにより、車両の長期間放置等により流体式伝動装置内の作動油量が減少した場合でも、その流体式伝動装置に対して作動油を速やかに充填し、同期噛合式クラッチを備える第1動力伝達経路を介して動力伝達を行なうことで、車両を速やかに適切に発進させることができる。
本発明が適用された車両用動力伝達装置を説明する骨子図で、油圧系統および制御系統の要部を併せて示した図である。 図1の車両用動力伝達装置が備えている油圧制御回路の要部を説明する油圧回路図である。 図1の電子制御装置が機能的に備えている噛合クラッチ係合制御部の作動を具体的に説明するフローチャートである。 図3のフローチャートに従ってエンジン始動時にライン圧PLおよびD1係合圧Pd1が制御された場合の各部の変化を説明するタイムチャートの一例である。 ライン圧PLとトルクコンバータに対する作動油充填時間との相関関係を調べた結果の一例である。
本発明の実施に際しては、車両の走行用動力源として少なくともエンジンを備えているが、エンジンに加えて電動モータを設けることもできる。流体式伝動装置としては、例えばトルクコンバータが用いられるが、フルードカップリングを採用することもできる。第1動力伝達経路の歯車式伝達機構は、例えば前後進切換装置や減速歯車機構、遊星歯車式等の有段変速機などである。第1動力伝達経路には、同期噛合式クラッチとは別に、必要に応じて摩擦係合式のクラッチやブレーキ等の動力断接装置を設けることもできる。第2動力伝達経路に設けられる動力断接装置としては、例えば油圧係合式の摩擦クラッチが用いられるが、噛合式クラッチを用いることもできるし、電磁式クラッチ等を採用することもできる。油圧制御回路の油圧源としては、例えばエンジンによって駆動される機械式のオイルポンプが用いられるが、エンジンの始動に伴って作動させられる電動式オイルポンプ等を採用することもできる。
噛合クラッチ係合制御部は、エンジンの始動直後に第1動力伝達経路を用いて車両を発進させることができるように同期噛合式クラッチを係合させるもので、エンジン始動直後以外の車両停止時には、必ずしも同期噛合式クラッチを係合させておく必要はない。エンジン始動直後か否かに拘らず、車両停止時には同期噛合式クラッチを常に係合させておいて、第1動力伝達経路を用いて車両を発進できるようにしても良い。また、エンジンの始動時には常にライン圧を第1油圧値および第2油圧値に調圧しても良いが、エンジン始動時に流体式伝動装置の作動油が不足しているか否かを判断し、作動油が不足している場合だけ第1油圧値および第2油圧値に調圧しても良い。作動油が不足しているか否かは、例えばエンジン回転速度とタービン回転速度との速度比や作動油温度などから判断することができる。また、車両を比較的長期間放置した時に流体式伝動装置の作動油不足が生じる場合には、車両の運転開始当初のエンジン始動時にライン圧を第1油圧値および第2油圧値に調圧するだけでも良い。すなわち、例えば車両の運転中における停車時にエンジンが自動停止する場合、その後のエンジンの再始動時に流体式伝動装置の作動油が不足する可能性は小さいため、必ずしも噛合クラッチ係合制御部でライン圧を第2油圧値まで低下させる必要はない。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用動力伝達装置10の構成を説明する骨子図で、互いに平行な複数の軸が一平面内に位置するように展開して示した図である。この車両用動力伝達装置10は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用される横置き型で、走行用動力源であるエンジン12の出力は、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ14から自動変速機16を介して差動歯車装置18に伝達され、左右の駆動輪20L、20Rへ分配される。エンジン12は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関である。トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、および自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体(作動油)を介して動力伝達を行うとともに、ロックアップクラッチ15を介して直結されるようになっている。ポンプ翼車14pには機械式のオイルポンプ74が設けられており、エンジン12により回転駆動されて油圧を出力することにより、破線で示す油圧制御回路70の油圧源として用いられる。
トルクコンバータ14に供給される作動油の油圧であるトルクコンバータ圧Ptcは、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブ等のトルクコンバータ用電磁弁SLT(図2参照)によって調圧制御される。図2に示されるように、トルクコンバータ14には第2ライン圧油路116から作動油が供給されるようになっており、トルクコンバータ圧Ptcは第2ライン圧PL2を元圧として調圧される。具体的には、トルクコンバータ用電磁弁SLTから出力された信号圧Psltがトルクコンバータ圧制御弁126に供給されることにより、そのトルクコンバータ圧制御弁126によって第2ライン圧PL2がトルクコンバータ圧Ptcに調圧されて、トルクコンバータ14に供給される。トルクコンバータ用電磁弁SLTは、電子制御装置80(図1参照)によって電気的に制御されることにより、略一定圧であるモジュレータ油圧Pmを元圧として信号圧Psltを調圧してトルクコンバータ圧制御弁126に出力する。
自動変速機16は、トルクコンバータ14の出力回転部材であるタービン軸と一体的に設けられた入力軸22、入力軸22に連結されたベルト式無段変速機24、同じく入力軸22に連結されてベルト式無段変速機24と並列に設けられた前後進切換装置26およびギヤ変速機構28、ベルト式無段変速機24およびギヤ変速機構28の共通の出力回転部材である出力軸30、減速歯車装置32を備えており、その減速歯車装置32の小径ギヤ34が差動歯車装置18のリングギヤ36と噛み合わされている。このように構成された自動変速機16においては、エンジン12の出力が、トルクコンバータ14からベルト式無段変速機24を介して出力軸30へ伝達され、或いはベルト式無段変速機24を介することなく前後進切換装置26およびギヤ変速機構28を介して出力軸30へ伝達され、更に減速歯車装置32および差動歯車装置18を経て左右の駆動輪20L、20Rへ伝達される。
このように、本実施例の自動変速機16は、エンジン12の出力を入力軸22から前後進切換装置26およびギヤ変速機構28を介して出力軸30へ伝達する第1動力伝達経路TP1と、エンジン12の出力を入力軸22からベルト式無段変速機24を介して出力軸30へ伝達する第2動力伝達経路TP2と、を備えているのであり、車両の走行状態に応じてそれ等の動力伝達経路TP1、TP2が切り換えられる。このため、自動変速機16は、上記第1動力伝達経路TP1における動力伝達を断接(接続・遮断)する第1断接装置としての前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、および第2動力伝達経路TP2における動力伝達を断接する第2断接装置としてのベルト走行用クラッチC2を備えている。第1動力伝達経路TP1には更に、前後進切換装置26およびギヤ変速機構28に対して直列に、具体的にはそれ等よりも下流側に、同期噛合式クラッチD1が設けられている。前後進切換装置26およびギヤ変速機構28は、第1動力伝達経路TP1の歯車式伝達機構に相当する。また、ベルト走行用クラッチC2は、第2動力伝達経路TP2の動力断接装置に相当する。
前後進切換装置26は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置を主体として構成されており、キャリア26cが入力軸22に一体的に連結され、サンギヤ26sが入力軸22に対して同軸に相対回転可能に配設された小径ギヤ42に連結されている一方、リングギヤ26rが後進用ブレーキB1を介して選択的に回転停止させられるとともに、キャリア26cおよびサンギヤ26sが前進用クラッチC1を介して選択的に連結されるようになっている。そして、前進用クラッチC1が係合させられるとともに後進用ブレーキB1が解放されると、入力軸22が小径ギヤ42に直結されて前進用動力伝達状態が成立させられ、後進用ブレーキB1が係合させられるとともに前進用クラッチC1が解放されると、小径ギヤ42は入力軸22に対して逆方向へ回転させられ、後進用動力伝達状態が成立させられる。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放されると、動力伝達を遮断するニュートラル状態となる。
上記前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は、何れも複数の摩擦材が油圧シリンダによって摩擦係合させられる多板式の摩擦係合装置であり、その油圧シリンダに供給されるC1係合圧Pc1、B1係合圧Pb1が、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブ等のC1用電磁弁SL1、B1用電磁弁SL3(図2参照)によってそれぞれ調圧制御されることにより、それ等の係合力すなわち伝達トルク容量が連続的に調整される。図2に示されるように、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の油圧シリンダには、ライン圧油路110から作動油が供給されるようになっており、C1係合圧Pc1、B1係合圧Pb1は、何れもライン圧PLを元圧として調圧される。C1用電磁弁SL1、B1用電磁弁SL3は、それぞれ電子制御装置80によって電気的に制御されることによりC1係合圧Pc1、B1係合圧Pb1を調圧する。
ギヤ変速機構28は、小径ギヤ42と、カウンタ軸44に相対回転不能に設けられて小径ギヤ42と噛み合わされた大径ギヤ46と、カウンタ軸44に対して同軸に相対回転可能に設けられた小径のアイドラギヤ48とを備えている。そして、カウンタ軸44とアイドラギヤ48との間に、同期噛合式クラッチD1が設けられており、それ等の間の動力伝達が断接される。同期噛合式クラッチD1は、シンクロナイザリング等のシンクロメッシュ機構(同期機構)を備えており、クラッチハブスリーブ50が、D1切換用油圧アクチュエータ52により図1の左方向である接続方向へ移動させられると、シンクロナイザリングを介してアイドラギヤ48がカウンタ軸44と同期回転させられるようになり、クラッチハブスリーブ50が更に移動させられると、そのクラッチハブスリーブ50の内周面に設けられたスプライン歯を介してアイドラギヤ48がカウンタ軸44に相対回転不能に連結される。
D1切換用油圧アクチュエータ52は油圧シリンダで、そのD1切換用油圧アクチュエータ52に供給されるD1係合圧Pd1が、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブ等のD1用電磁弁SLD(図2参照)によって調圧制御され、そのD1係合圧Pd1に基づいて同期噛合式クラッチD1が同期噛合係合させられる。D1切換用油圧アクチュエータ52は単動式シリンダで、D1係合圧Pd1が供給されることにより同期噛合式クラッチD1を噛合係合させる一方、D1係合圧Pd1が低下するとリターンスプリングの付勢力に従って遮断位置へ戻され、クラッチハブスリーブ50を介して同期噛合式クラッチD1が遮断(解放)される。図2に示されるように、D1切換用油圧アクチュエータ52にはライン圧油路110から作動油が供給されるようになっており、D1係合圧Pd1はライン圧PLを元圧として調圧される。具体的には、D1用電磁弁SLDから出力された信号圧PsldがD1係合圧制御弁124に供給されることにより、そのD1係合圧制御弁124によってライン圧PLがD1係合圧Pd1に調圧されて、D1切換用油圧アクチュエータ52に供給される。D1用電磁弁SLDは、電子制御装置80によって電気的に制御されることにより、モジュレータ油圧Pmを元圧として信号圧Psldを調圧してD1係合圧制御弁124に出力する。
前記アイドラギヤ48は、出力軸30に設けられた大径ギヤ58と噛み合わされており、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の何れか一方が係合させられ且つ同期噛合式クラッチD1が接続されることにより、エンジン12の出力が入力軸22から前後進切換装置26、ギヤ変速機構28、アイドラギヤ48、および大径ギヤ58を順次経由して出力軸30に伝達されるようになり、第1動力伝達経路TP1が成立させられる。なお、小径のアイドラギヤ48と大径ギヤ58との間でも変速(減速)が行なわれ、それ等を含めてギヤ変速機構28が構成されていると見做すこともできる。
ベルト式無段変速機24は、入力軸22に設けられた有効径が可変のプライマリプーリ60と、出力軸30と同軸の回転軸62に設けられた有効径が可変のセカンダリプーリ64と、それ等の一対の可変プーリ60、64の間に巻き掛けられた伝動ベルト66とを備えており、一対の可変プーリ60、64と伝動ベルト66との間の摩擦を介して動力伝達が行われる。一対の可変プーリ60、64は、それぞれV溝幅を変更する推力を付与する油圧アクチュエータとして油圧シリンダ60c、64cを備えており、例えば油圧シリンダ60cへ供給されるプライマリ圧Pinが油圧制御回路70の油圧作動制御部72によって制御されることにより、両可変プーリ60、64のV溝幅が変化して伝動ベルト66の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ2が連続的に変化させられる。また、油圧シリンダ64cへ供給されるセカンダリ圧Poutが油圧作動制御部72によって調圧制御されることにより、伝動ベルト66が滑りを生じないようにベルト挟圧力が調整される。
油圧作動制御部72には、上記ベルト式無段変速機24に関連してリニアソレノイドバルブ等のプライマリ用電磁弁SLP、セカンダリ用電磁弁SLS(図2参照)が設けられており、プライマリ圧Pinおよびセカンダリ圧Poutは、それぞれプライマリ用電磁弁SLP、セカンダリ用電磁弁SLSによって調圧制御される。図2に示されるように、油圧シリンダ60c、64cにはライン圧油路110から作動油が供給されるようになっており、プライマリ圧Pin、セカンダリ圧Poutはライン圧PLを元圧として調圧される。具体的には、プライマリ用電磁弁SLP、セカンダリ用電磁弁SLSから出力された信号圧Pslp、Pslsが、それぞれプライマリ圧制御弁122、セカンダリ圧制御弁120に供給されることにより、それ等のプライマリ圧制御弁122、セカンダリ圧制御弁120によってライン圧PLがプライマリ圧Pin、セカンダリ圧Poutに調圧されて、油圧シリンダ60c、64cに供給される。プライマリ用電磁弁SLP、セカンダリ用電磁弁SLSは、それぞれ電子制御装置80によって電気的に制御されることにより、モジュレータ油圧Pmを元圧として信号圧Pslp、Pslsを調圧してプライマリ圧制御弁122、セカンダリ圧制御弁120に出力する。
ここで、ギヤ変速機構28のギヤ比等によって定まる前記第1動力伝達経路TP1の変速比γ1は、第2動力伝達経路TP2の変速比γ2の最大値γ2maxよりも大きく、例えば車両発進時や高負荷走行時に第1動力伝達経路TP1が用いられ、車速Vの上昇や要求駆動力の減少などに伴って第2動力伝達経路TP2に切り換えられる。また、車両停止時には、次の発進に備えてコーストダウン制御等により第1動力伝達経路TP1に切り換えられる。変速比γ1、γ2は、出力軸30の回転速度(出力回転速度)Noutに対するタービン回転速度Ntの比(Nt/Nout)で、変速比γ1、γ2maxは何れも1.0より大きく、入力軸22に対して出力軸30が減速回転させられる。タービン回転速度Ntは、入力軸22の回転速度(入力回転速度)と一致する。
出力軸30は、プーリ回転軸62に対して同軸に相対回転可能に配設されており、その出力軸30とセカンダリプーリ64との間に設けられた前記ベルト走行用クラッチC2により、それ等の出力軸30とセカンダリプーリ64との間の動力伝達が断接される。このベルト走行用クラッチC2が係合させられると、エンジン12の出力が入力軸22からベルト式無段変速機24を経由して出力軸30に伝達されるようになり、第2動力伝達経路TP2が成立させられる。
ベルト式無段変速機24の出力側に設けられたベルト走行用クラッチC2は、複数の摩擦材が油圧シリンダによって摩擦係合させられる多板式の摩擦係合装置であり、その油圧シリンダに供給されるC2係合圧Pc2が、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブ等のC2用電磁弁SL2(図2参照)によって調圧制御されることにより、その係合力すなわち伝達トルク容量が連続的に調整される。図2に示されるように、ベルト走行用クラッチC2の油圧シリンダには、ライン圧油路110から作動油が供給されるようになっており、C2係合圧Pc2は、ライン圧PLを元圧として調圧される。C2用電磁弁SL2は、電子制御装置80によって電気的に制御されることによりC2係合圧Pc2を調圧する。
油圧制御回路70には、エンジン12によって回転駆動されるオイルポンプ74によって汲み上げられた作動油の油圧を前記ライン圧PLに調圧する第1レギュレータ弁112、および第2ライン圧PL2に調圧する第2レギュレータ弁114が設けられている。第1レギュレータ弁112および第2レギュレータ弁114は何れもリリーフ型の調圧弁で、オイルポンプ74によって汲み上げられた作動油は先ず第1レギュレータ弁112によって所定のライン圧PLに調圧され、ライン圧油路110から各部に出力される。また、その第1レギュレータ弁112からリリーフ(排出)された作動油は第2レギュレータ弁114によって第2ライン圧PL2に調圧され、第2ライン圧油路116から各部に出力される。第1レギュレータ弁112および第2レギュレータ弁114には、それぞれ前記セカンダリ用電磁弁SLSから信号圧Pslsが供給されるようになっており、その信号圧Pslsに応じてライン圧PL、第2ライン圧PL2が調圧される。セカンダリ用電磁弁SLSの信号圧Pslsは、例えば出力要求量であるアクセル操作量Accやエンジントルクに対応するスロットル弁開度θth等に応じて調圧される。上記第1レギュレータ弁112およびセカンダリ用電磁弁SLSを含んでライン圧調整装置が構成されており、第2レギュレータ弁114およびセカンダリ用電磁弁SLSを含んで第2ライン圧調整装置が構成されている。本実施例では共通のセカンダリ用電磁弁SLSが用いられているが、油圧制御用の電磁弁を別々に設けることもできる。また、ベルト式無段変速機24のベルト挟圧力を制御するセカンダリ用電磁弁SLSではなく、ライン圧制御用の専用の電磁弁を用いるようにしても良い。
このような車両用動力伝達装置10は、エンジン12の出力制御やベルト式無段変速機24の変速制御、第1動力伝達経路TP1および第2動力伝達経路TP2の切換制御、ライン圧PLや第2ライン圧PL2の調圧制御などを行なうコントローラとして電子制御装置80を備えている。この電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどを有する所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うもので、必要に応じてエンジン制御用、変速制御用等に分けて複数の電子制御装置を用いて構成される。
電子制御装置80には、前記D1切換用油圧アクチュエータ52に設けられた噛合検出スイッチ53から、同期噛合式クラッチD1が係合させられたことを表す噛合検出信号Sdが供給されるとともに、シフトポジションセンサ54からシフトレバー55の操作位置Pshを表す信号が供給される。噛合検出スイッチ53は、例えばD1切換用油圧アクチュエータ52のピストンが、同期噛合式クラッチD1が完全に噛合係合させられる噛合位置まで移動したことを検出するリミットスイッチなどである。シフトレバー55の操作位置Pshは、例えば前進走行用のD位置、後進走行用のR位置、動力伝達を遮断するN位置、パーキング用のP位置などで、それ等の操作位置Pshへ操作されたことがシフトポジションセンサ54によって検出される。電子制御装置80にはまた、エンジン回転速度センサ90、タービン回転速度センサ92、出力回転速度センサ94、アルセル操作量センサ96等が接続され、エンジン回転速度Ne、入力回転速度であるタービン回転速度Nt、車速Vに対応する出力回転速度Nout、アクセルペダルの操作量(アクセル操作量)Accを表す信号など、各種の制御に必要な種々の情報が供給されるようになっている。
電子制御装置80は、ライン圧制御部82および噛合クラッチ係合制御部84を機能的に備えている。ライン圧制御部82は、例えば急なトルク上昇に拘らずベルト式無段変速機24のセカンダリ圧(ベルト挟圧力に対応)Poutや同期噛合式クラッチD1のD1係合圧Pd1、クラッチC1、C2およびブレーキB1の係合圧Pc1、Pc2、Pb1に必要なライン圧PLを確保できるように、例えば出力要求量であるアクセル操作量Accやエンジントルクに対応するスロットル弁開度θth等に基づいて、セカンダリ用電磁弁SLSを介してライン圧PLを調圧する。
噛合クラッチ係合制御部84は、エンジン12の始動直後に第1動力伝達経路TP1を用いて車両を発進させることができるように、同期噛合式クラッチD1を噛合係合させるとともに、トルクコンバータ14に作動油を速やかに充填する噛合クラッチ係合制御を行なうものである。具体的には図3のフローチャートのステップS1〜S9(以下、特に区別しない場合は単にS1〜S9という)に従って信号処理を実行する。この噛合クラッチ係合制御部84を機能的に備えている電子制御装置80は、本実施例の車両用動力伝達装置10の制御装置に相当する。
図3のS1では、エンジン12のクランキングや燃料噴射、点火等の始動制御が開始されたか否かを判断し、エンジン始動制御が開始されたらS2以下を実行する。エンジン12の始動時に常に噛合クラッチ係合制御を実行することもできるが、本実施例では、シフトレバー55がP位置に保持された状態、すなわち運転開始当初のエンジン12の始動時に実行する。噛合クラッチ係合制御は、トルクコンバータ14が作動油不足の場合に速やかに充填するためのものであるため、トルクコンバータ14が作動油不足か否かを判断乃至は推測して、作動油不足の時だけ実行するようにしても良い。
S2では、同期噛合式クラッチD1を同期噛合係合させることができるシンクロ係合圧Pd1aがD1係合圧Pd1として得られる第1油圧値PLaを確保するように、セカンダリ用電磁弁SLSを制御してライン圧PLを調圧する。シンクロ係合圧Pd1aは、D1係合圧制御弁124からD1切換用油圧アクチュエータ52に供給されることにより、リターンスプリングの付勢力に抗してクラッチハブスリーブ50を図1において左方向へ移動させ、同期噛合式クラッチD1を同期させつつ噛合係合させることができる油圧値で、予め一定値が定められる。第1油圧値PLaは、シンクロ係合圧Pd1aと同じか、それ以上の値に設定される。例えば、ベルト式無段変速機24のベルト挟圧力を確保するための必要セカンダリ圧Poutの方がシンクロ係合圧Pd1aよりも高い場合は、その必要セカンダリ圧Poutと等しい第1油圧値PLaを設定しても良い。このS2によるライン圧制御は、前記ライン圧制御部82によるライン圧制御に優先して実行されるが、ライン圧制御部82によって制御されるライン圧PLの方が高い場合は、ライン圧制御部82によるライン圧制御が行なわれても良い。図4は、図3のフローチャートに従って噛合クラッチ係合制御が実行された場合の各部の変化を示すタイムチャートの一例で、時間t1は、エンジン12の始動制御が開始されてS1の判断がYES(肯定)になり、S2以下の噛合クラッチ係合制御が開始された時間である。図4のライン圧PLおよびD1係合圧Pd1は何れも電子制御装置80による指示値で、実際のライン圧PLおよびD1係合圧Pd1は、指示値よりも遅れてなまされた形で変化する。また、オイルポンプ74はエンジン12によって回転駆動されるため、ライン圧PLはエンジン回転速度Neの上昇よりも遅れて上昇させられる。
S3では、シンクロ係合圧Pd1aがD1係合圧制御弁124からD1切換用油圧アクチュエータ52に供給されるように、D1用電磁弁SLDを制御する。この時のラインPLは第1油圧値PLaで、シンクロ係合圧Pd1aと同じかそれ以上であるため、シンクロ係合圧Pd1aをD1切換用油圧アクチュエータ52に供給して同期噛合式クラッチD1を適切に同期噛合係合させることができる。S4では、同期噛合式クラッチD1のシンクロ係合すなわち同期噛合係合が完了したか否かを、例えば噛合検出スイッチ53から噛合検出信号Sdが供給されたか否かによって判断する。噛合検出信号Sdが供給された場合はS6以下を実行するが、一定時間内に噛合係合を検出できない場合はS5を実行する。S5では、シンクロ係合圧Pd1aの出力を一時的に停止し、その後S3を実行して再びシンクロ係合圧Pd1aを出力することにより、同期噛合式クラッチD1の同期噛合係合をリトライする。これは、スプライン歯同士の当接(アップロック)による噛合係合不良を考慮したものである。図4の時間t2は、シンクロ係合圧Pd1aがD1係合圧制御弁124からD1切換用油圧アクチュエータ52に出力され、同期噛合式クラッチD1の係合制御が開始された時間で、時間t3は、その同期噛合式クラッチD1の同期噛合係合が完了してS4の判断がYESになった時間である。
S6では、同期噛合式クラッチD1の噛合係合状態を保持可能な噛合保持圧Pd1b以上で且つ前記第1油圧値PLaよりも低い予め定められた第2油圧値PLbまで、セカンダリ用電磁弁SLSを制御してライン圧PLを低下させる。このS6は、ライン圧PLを低下させることにより第1レギュレータ弁112からのリリーフ油量、すなわち第2ライン圧PL2の作動油量を増加させ、トルクコンバータ14に対して作動油が速やかに充填されるようにするためのもので、第2油圧値PLbはできるだけ低圧が望ましく、噛合保持圧Pd1bと同じかそれよりも僅かに高い油圧値に設定される。このS6によるライン圧制御は、前記ライン圧制御部82によるライン圧制御に優先して実行される。噛合保持圧Pd1bは、例えばD1切換用油圧アクチュエータ52のリターンスプリングの付勢力を考慮して予め一定値が定められるが、D1切換用油圧アクチュエータ52として複動式の油圧シリンダを採用した場合、噛合保持圧Pd1bを更に低下させることができる。トルクコンバータ用電磁弁SLTは、第2ライン圧PL2がそのままトルクコンバータ14に供給されるように、例えばトルクコンバータ圧Ptcが最大圧となるように制御される。また、D1用電磁弁SLDは、例えば噛合保持圧Pd1bがD1係合圧制御弁124からD1切換用油圧アクチュエータ52に供給されるように制御されるが、ライン圧PLが第2油圧値PLbまで低下させられることにより、D1係合圧Pd1もその第2油圧値PLb以下に制限されるため、D1係合圧Pd1の指示値は前記シンクロ係合圧Pd1aのままでも良い。図4は、ライン圧PLの指示値が第2油圧値PLbまで引き下げられるのに伴い、D1係合圧Pd1の指示値が噛合保持圧Pd1bまで引き下げられた場合である。
S7では、車両を発進させるためにシフトレバー55をP位置からD位置またはR位置へ操作するガレージ操作が為されたか否かを判断し、ガレージ操作が為された場合は、車両発進時にライン圧PLが不足してスリップ等が生じることを防止するため、直ちにS9の終了処理を実行して前記ライン圧制御部82による通常のライン圧制御に復帰する。ガレージ操作が検出されない場合は、S7に続いてS8を実行し、予め定められた所定時間が経過したか否かを判断する。この所定時間は、トルクコンバータ14に作動油を充填するのに十分なバックアップ時間で、例えば予め一定時間が定められる。そして、所定時間が経過するまでS7およびS8を実行し、ガレージ操作が行なわれることなく所定時間が経過したらS9の終了処理を実行し、ライン圧制御部82による通常のライン圧制御に復帰する。図4の時間t4は、S7またはS8の判断がYESとなり、噛合クラッチ係合制御が終了させられて通常のライン圧制御に復帰するとともに、D1係合圧Pd1の指示値が例えばシンクロ係合圧Pd1aへ戻された時間である。
このように、本実施例の車両用動力伝達装置10の電子制御装置80によれば、シフトレバー55がP位置に保持された車両の運転開始時におけるエンジン12の始動時に、ライン圧PLが高圧の第1油圧値PLaに調圧されることにより、同期噛合式クラッチD1が適切に同期噛合係合させられる。また、同期噛合式クラッチD1が係合させられた後にライン圧PLが第2油圧値PLbまで低下させられるため、第1レギュレータ弁112からのリリーフ油量すなわち第2ライン圧PL2の作動油量が増加し、トルクコンバータ14に対して作動油を速やかに充填できる。これにより、車両の長期間放置等によりトルクコンバータ14内の作動油量が減少した場合でも、そのトルクコンバータ14に対して作動油を速やかに充填し、同期噛合式クラッチD1を備える第1動力伝達経路TP1を介して動力伝達を行なうことで、車両を速やかに適切に発進させることができる。
図5は、トルクコンバータ14内の作動油が半分(約1000ml)抜けた状態から、満タンに充填されるまでの時間(充填時間)を、ライン圧PLを変化させて調べた結果を示した図である。この結果から、ライン圧PLを低くすると、トルクコンバータ14に対する作動油の充填時間が短くなることが確認できた。
なお、上記実施例では、シンクロ係合圧Pd1aとして一定値が定められていたが、油温等に応じて可変設定されるようにしたり、噛合係合時間等によって学習補正されるようにしたりすることもできる。このシンクロ係合圧Pd1aに応じてライン圧PLの第1油圧値PLaが可変設定されるようにしても良い。噛合保持圧Pd1bや第2油圧値PLbについても、必要に応じて可変設定されるようにしても良い。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用動力伝達装置 12:エンジン 14:トルクコンバータ(流体式伝動装置) 20L、20R:駆動輪 24:ベルト式無段変速機 26:前後進切換装置(歯車式伝達機構) 28:ギヤ変速機構(歯車式伝達機構) 70:油圧制御回路 80:電子制御装置(制御装置) 84:噛合クラッチ係合制御部 112:第1レギュレータ弁(ライン圧調整装置) 114:第2レギュレータ弁(第2ライン圧調整装置) C2:ベルト走行用クラッチ(動力断接装置) D1:同期噛合式クラッチ TP1:第1動力伝達経路 TP2:第2動力伝達経路 SLS:セカンダリ用電磁弁(ライン圧調整装置、第2ライン圧調整装置) PL:ライン圧 PLa:第1油圧値 PLb:第2油圧値

Claims (1)

  1. エンジンの動力を作動油を介して伝達する流体式伝動装置と、
    該流体式伝動装置からの動力を、歯車式伝達機構と油圧によって係合させられる同期噛合式クラッチとを介して駆動輪に伝達する第1動力伝達経路と、
    該第1動力伝達経路と並列に設けられ、前記流体式伝動装置からの動力を、油圧作動式のベルト式無段変速機と動力断接装置とを介して前記駆動輪に伝達する第2動力伝達経路と、
    を有する車両用動力伝達装置に備えられ、前記第1動力伝達経路および前記第2動力伝達経路の何れかを選択して動力伝達させる制御装置において、
    前記車両用動力伝達装置は、前記ベルト式無段変速機および前記同期噛合式クラッチの油圧制御の元圧となるライン圧を調圧するリリーフ型のライン圧調整装置と、該ライン圧調整装置からのリリーフ油を用いて、前記流体式伝動装置に供給される作動油の元圧となる第2ライン圧を調圧する第2ライン圧調整装置と、を有する油圧制御回路を備えている一方、
    前記エンジンの始動時に、前記ライン圧を、前記同期噛合式クラッチを係合させることができる予め定められた第1油圧値に調圧し、該同期噛合式クラッチを係合させるとともに、該同期噛合式クラッチが係合させられた後に、該同期噛合式クラッチの係合状態を保持可能で且つ前記第1油圧値よりも低い予め定められた第2油圧値まで前記ライン圧を低下させる噛合クラッチ係合制御部を有する
    ことを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
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