JP2017101746A - 動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

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Kyohei Suzumura
京平 鈴村
和也 義澤
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和也 義澤
光博 深尾
Mitsuhiro Fukao
光博 深尾
潤 天野
Jun Amano
潤 天野
将之 辻田
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将之 辻田
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Abstract

【課題】SLUソレノイドバルブ等の油圧制御機器の故障時にエンジンストール回避のための油圧制御を実施する際に、車両の挙動への悪影響を抑制できる油圧制御を可能とする動力伝達装置の制御装置を提供する。
【解決手段】SLUソレノイドバルブの故障が検出された際に(ST1でYES判定)、SLPソレノイドバルブによってシーケンスバルブをフェール側に切り替えて(ST4)、SLGソレノイドバルブからの油圧をロックアップクラッチに対して解放側の油圧として供給する(ST5)前に、無段変速機の変速比を大きくする側に制御する(ST3)。これにより、シーケンスバルブをフェール側に切り替えた際の無段変速機の変速比の変化を小さくでき、車両に現れる挙動を小さくすることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両等に搭載される動力伝達装置の制御装置に係る。特に、本発明は、動力伝達装置に備えられた油圧制御機器の故障時における油圧制御に関する。
従来、特許文献1に開示されているように、車両に搭載される動力伝達装置として、ギヤの噛み合いにより動力伝達を行う第1の動力伝達経路と、ベルト式無段変速機により動力伝達を行う第2の動力伝達経路とが並列に設けられたものが知られている。
この種の動力伝達装置は、前記第1の動力伝達経路によって動力伝達を行う際に係合するギヤ走行用クラッチおよび噛合クラッチと、前記第2の動力伝達経路によって動力伝達を行う際に係合するベルト走行用クラッチとを備えている。
また、前記ベルト式無段変速機の油圧制御回路には、プライマリプーリの可動シーブ(より具体的にはプライマリ側油圧アクチュエータ)に供給する変速比調整用の油圧(以下、プライマリ油圧という)を調整するためのSLPソレノイドバルブと、セカンダリプーリの可動シーブ(より具体的にはセカンダリ側油圧アクチュエータ)に供給するベルト挟圧調整用の油圧(以下、セカンダリ油圧という)を調整するためのSLSソレノイドバルブとが備えられている。また、ロックアップクラッチの係合と解放とを切り替えるための油圧の調整はSLUソレノイドバルブによって行われ、前記噛合クラッチの係合と解放とを切り替えるための油圧の調整はSLGソレノイドバルブによって行われる。また、SLPソレノイドバルブは油路を介してシーケンスバルブに接続されている。
特開2015−105708号公報
ところで、前記SLUソレノイドバルブが、ロックアップクラッチを係合させる側に故障した場合、車両停車時などにおいてエンジンストールを招いてしまう虞があるので、このエンジンストールを回避する油圧制御が実施される。具体的には、SLPソレノイドバルブにより調整される油圧を高め、この油圧をシーケンスバルブに供給することで、このシーケンスバルブをフェール側に切り替える。これに伴い、SLGソレノイドバルブからロックアップコントロールバルブへ油圧供給(ロックアップ解放側の油圧供給)が行われ、ロックアップクラッチを解放側に作動させる。これにより、エンジンストールを回避することができる。
しかしながら、本来、SLPソレノイドバルブはプライマリ油圧を調整するものであり、SLGソレノイドバルブは噛合クラッチの係合と解放とを切り替える油圧を調整するものである。このため、前述のエンジンストール回避のための油圧制御を行った場合には、これらSLPソレノイドバルブおよびSLGソレノイドバルブの作動が、車両の挙動に悪影響を与えてしまう虞がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、前記SLUソレノイドバルブ等の油圧制御機器の故障時に、それによる不具合を解消するための油圧制御を実施する際、車両の挙動への悪影響を抑制できる油圧制御を可能とする動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、駆動力源からの動力を伝達する動力伝達経路として、ギヤの噛み合いにより動力伝達を行う第1の動力伝達経路と、無段変速機により動力伝達を行う第2の動力伝達経路とが並列に設けられ、前記第1の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合する第1クラッチと、前記第2の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合する第2クラッチとを備えた動力伝達装置に適用される制御装置を前提とする。この動力伝達装置の制御装置に対し、当該動力伝達装置に備えられた油圧機器に供給する油圧を調整する油圧制御機器の故障を検出する故障検出部と、この故障検出部によって前記油圧制御機器の故障が検出された際に、前記無段変速機の変速比の調整に供される第1バルブ手段によって、油圧制御回路に備えられたシーケンスバルブをフェール側に切り替えて、前記第1クラッチの切り替えに供される第2バルブ手段によって調整される油圧を、前記油圧機器に対し、この油圧機器の作動を正常にする油圧として供給するシーケンスバルブ切り替え部と、前記油圧制御機器の故障が検出された際、前記シーケンスバルブ切り替え部によって前記シーケンスバルブがフェール側に切り替えられる前に、前記無段変速機の変速比を大きくする側に制御する変速比制御部とを備えさせている。
この特定事項により、油圧制御機器に故障が生じたことが検出されると、無段変速機の変速比の調整に供される第1バルブ手段によってシーケンスバルブがフェール側に切り替えられることになるが、このシーケンスバルブをフェール側に切り替える前段階で、変速比制御部が無段変速機の変速比を大きくする側に制御する。つまり、シーケンスバルブがフェール側に切り替えられたことに起因して無段変速機の変速比が大きくなってしまう可能性があるが、その前段階で、無段変速機の変速比を大きくする側に制御しておく。これにより、シーケンスバルブをフェール側に切り替えた際の無段変速機の変速比の変化を小さくでき、車両に現れる挙動を小さくすることができる。
本発明では、油圧制御機器の故障が検出された際、シーケンスバルブがフェール側に切り替えられる前に、無段変速機の変速比を大きくする側に制御するようにしている。これにより、シーケンスバルブをフェール側に切り替えた際の無段変速機の変速比の変化を小さくでき、車両に現れる挙動を小さくすることができる。
実施形態に係る動力伝達装置の概略構成を説明するための骨子図である。 動力伝達装置による走行パターン毎の係合要素の係合表を示す図である。 動力伝達装置およびエンジンの制御系を示すブロック図である。 SLUソレノイドバルブ故障時における油圧制御の手順を示すフローチャート図である。 実施形態におけるシーケンスバルブの状態、プライマリ油圧、噛合クラッチ油圧、無段変速機の変速比、他の要素の係合状態それぞれの変化の一例を示すタイミングチャート図である。 比較例におけるシーケンスバルブの状態、プライマリ油圧、噛合クラッチ油圧、無段変速機の変速比、他の要素の係合状態それぞれの変化の一例を示すタイミングチャート図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両に搭載された動力伝達装置に本発明を適用した場合について説明する。
−動力伝達装置の概略構成−
図1は、本実施形態に係る動力伝達装置1の概略構成を説明するための骨子図である。動力伝達装置1は、走行用の駆動力源であるエンジン2からのトルク(動力)を駆動輪7L,7Rに向けて伝達するものである。この動力伝達装置1は、トルクコンバータ3、前後進切換装置4、ベルト式無段変速機5(以下、単に無段変速機5という)、ギヤ機構6、出力ギヤ81が設けられた出力軸8、デファレンシャル装置9等を備えている。
この動力伝達装置1は、ギヤの噛み合いにより動力伝達を行う第1の動力伝達経路と、無段変速機5により動力伝達を行う第2の動力伝達経路とが並列に設けられている。具体的に、第1の動力伝達経路では、エンジン2から出力されたトルクがトルクコンバータ3を経由してタービン軸31に入力され、このトルクがタービン軸31から前後進切換装置4およびギヤ機構6を経由して出力軸8に伝達される。一方、第2の動力伝達経路では、前記タービン軸31に入力されたトルクが無段変速機5を経由して出力軸8に伝達される。そして、車両の走行状態に応じて、動力伝達経路を第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路との間で切り替えるようになっている(この動力伝達経路切り替えのための構成については後述する)。
エンジン2は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関によって構成されている。トルクコンバータ3は、エンジン2のクランク軸に連結されたポンプ翼車32、および、タービン軸31を介して前後進切換装置4に連結されたタービン翼車33を備えている。また、ポンプ翼車32およびタービン翼車33の間にはロックアップクラッチ34が設けられている。このロックアップクラッチ34が完全係合することによってポンプ翼車32とタービン翼車33とが一体回転する。
このロックアップクラッチ34の係合油圧は、油圧制御回路12(図3を参照)に備えられた図示しないSLUソレノイドバルブによって調整される。つまり、周知の如く、SLUソレノイドバルブによって図示しないロックアップコントロールバルブに供給する油圧を切り替えて、このロックアップコントロールバルブを経てロックアップクラッチ34の係合側油室および解放側油室に供給される油圧を調整してロックアップクラッチ34の係合状態(完全係合、半係合、解放)を制御する。なお、前記SLUソレノイドバルブによってロックアップコントロールバルブに供給する油圧を切り替える油圧回路、および、ロックアップクラッチ34の係合側油室および解放側油室に油圧を供給する油圧回路は周知であるのでここでの説明は省略する。前記ロックアップクラッチ34が本発明でいう「動力伝達装置に備えられた油圧機器」に相当する。また、SLUソレノイドバルブが本発明でいう「油圧機器に供給する油圧を調整する油圧制御機器」に相当する。
前後進切換装置4は、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、ダブルピニオン型の遊星歯車装置41を備えている。遊星歯車装置41のキャリヤ42がタービン軸31および無段変速機5の入力軸51に一体的に連結され、リングギヤ43が後進用ブレーキB1を介してハウジング11に選択的に連結され、サンギヤ44が小径ギヤ61に連結されている。また、サンギヤ44とキャリヤ42とは、前進用クラッチC1を介して選択的に連結される。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合要素である。
ギヤ機構6は、前記小径ギヤ61と、この小径ギヤ61に噛み合い且つ第1カウンタ軸62に相対回転不能に設けられた大径ギヤ63とを備えている。第1カウンタ軸62と同じ回転軸心まわりには、アイドラギヤ64が第1カウンタ軸62に対して相対回転可能に設けられている。また、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64との間には、これらを選択的に断接する噛合クラッチD1が設けられている。この噛合クラッチD1は、第1カウンタ軸62に形成されている第1ギヤ65と、アイドラギヤ64に形成されている第2ギヤ66と、これら第1ギヤ65および第2ギヤ66と噛合可能なスプライン歯が形成されたハブスリーブ67とを備えている。ハブスリーブ67がこれら第1ギヤ65および第2ギヤ66と嵌合することで、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64とが接続される。また、噛合クラッチD1は、ハブスリーブ67が両ギヤ65,66と嵌合する際に回転を同期させる図示しないシンクロメッシュ機構を備えている。この噛合クラッチD1の係合(ハブスリーブ67が第1ギヤ65および第2ギヤ66それぞれに嵌合)と解放(ハブスリーブ67が第1ギヤ65および第2ギヤ66の何れかに非嵌合)とは、油圧制御回路12(図3を参照)に備えられた図示しないSLGソレノイドバルブによって調整される油圧によって切り替えられる。このSLGソレノイドバルブによって調整される油圧によって噛合クラッチD1を切り替えるための油圧回路としては一般的な油圧回路が採用されているためここでの説明は省略する。
アイドラギヤ64は、そのアイドラギヤ64よりも大径の入力ギヤ68と噛み合わされている。この入力ギヤ68は、無段変速機5のセカンダリプーリ53の回転軸心と共通の回転軸心上に配置されている前記出力軸8に対して相対回転不能に設けられている。出力軸8は、前記回転軸心まわりに回転可能に配置されており、前記入力ギヤ68および出力ギヤ81が相対回転不能に設けられている。前記前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が共に係合され、且つ後述するベルト走行用クラッチC2が解放されることで、エンジン2のトルクが、タービン軸31、前後進切換装置4およびギヤ機構6を経由して出力軸8に伝達される前記第1の動力伝達経路が形成される。このため、前記噛合クラッチD1が本発明でいう「第1の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合する第1クラッチ」に相当する。
無段変速機5は、タービン軸31に連結された入力軸51と出力軸8との間の動力伝達経路上に設けられ、入力軸51に設けられた入力側部材であるプライマリプーリ52と、出力側部材であるセカンダリプーリ53と、その一対のプーリ52,53の間に巻き掛けられた伝動ベルト54とを備えており、一対のプーリ52,53と伝動ベルト54との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。
プライマリプーリ52は、入力軸51に固定された固定シーブ52aと、入力軸51に対して軸まわりの相対回転が不能かつ軸方向の移動が可能に設けられた可動シーブ52bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ52bを移動させる推力を発生させるプライマリ側油圧アクチュエータ52cとを備えている。また、セカンダリプーリ53は、固定シーブ53aと、この固定シーブ53aに対して軸まわりの相対回転が不能かつ軸方向の移動が可能に設けられた可動シーブ53bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ53bを移動させる推力を発生させるセカンダリ側油圧アクチュエータ53cとを備えて構成されている。
前記一対のプーリ52,53のV溝幅が変化して伝動ベルト54の掛かり径(有効径)が変更されることで、実変速比γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が連続的に変更可能となっている。
また、無段変速機5と出力軸8との間には、これらの間を選択的に断接するベルト走行用クラッチC2が設けられている。このベルト走行用クラッチC2は油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合要素である。このベルト走行用クラッチC2が係合され、且つ前進用クラッチC1が解放されることで、エンジン2のトルクが、入力軸51および無段変速機5を経由して出力軸8に伝達される前記第2の動力伝達経路が形成される。このため、前記ベルト走行用クラッチC2が本発明でいう「第2の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合する第2クラッチ」に相当する。
出力ギヤ81は、第2カウンタ軸91に固定されている大径ギヤ92と噛み合わされている。第2カウンタ軸91には、デファレンシャル装置9のデフリングギヤ93と噛み合う小径ギヤ94が設けられている。デファレンシャル装置9は、周知の差動機構によって構成されている。
−動力伝達装置の作動−
次に、前記のように構成された動力伝達装置1の作動について、図2に示す各走行パターン毎の係合要素の係合表を用いて説明する。図2において、C1が前進用クラッチC1の作動状態に対応し、C2がベルト走行用クラッチC2の作動状態に対応し、B1が後進用ブレーキB1の作動状態に対応し、D1が噛合クラッチD1の作動状態に対応している。また、「○」が係合(接続)を示し、「×」が解放(遮断)を示している。
先ず、ギヤ機構6を経由してエンジン2のトルクが出力軸8に伝達される走行パターン、すなわち第1の動力伝達経路によってトルクが伝達される走行パターンについて説明する。この走行パターンが図2のギヤ走行に対応し、図2に示すように、前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が係合される一方、ベルト走行用クラッチC2および後進用ブレーキB1が解放される。
前進用クラッチC1が係合されることで、前後進切換装置4を構成する遊星歯車装置41が一体回転するので、小径ギヤ61がタービン軸31と同回転速度で回転する。また、噛合クラッチD1が係合されることで、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64とが接続されて一体的に回転する。従って、前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が係合されることで、第1の動力伝達経路が成立し、エンジン2のトルクが、トルクコンバータ3、タービン軸31、前後進切換装置4、ギヤ機構6、アイドラギヤ64および入力ギヤ68を経由して出力軸8および出力ギヤ81に伝達される。さらに、出力ギヤ81に伝達されたトルクは、大径ギヤ92、小径ギヤ94、およびデファレンシャル装置9を経由して左右の駆動輪7L,7Rに伝達される。
次いで、無段変速機5を経由してエンジン2のトルクが出力軸8に伝達される走行パターン、すなわち第2の動力伝達経路によってトルクが伝達される走行パターンについて説明する。この走行パターンが図2のベルト走行(高車速)に対応し、図2のベルト走行に示すように、ベルト走行用クラッチC2が係合される一方、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1および噛合クラッチD1が解放される。
ベルト走行用クラッチC2が係合されることで、セカンダリプーリ53と出力軸8とが接続するので、セカンダリプーリ53と出力軸8および出力ギヤ81とが一体回転する。従って、ベルト走行用クラッチC2が接続されると、前記第2の動力伝達経路が成立し、エンジン2のトルクが、トルクコンバータ3、タービン軸31、入力軸51および無段変速機5を経由して出力軸8および出力ギヤ81に伝達される。さらに、出力ギヤ81に伝達されたトルクは、大径ギヤ92、小径ギヤ94、およびデファレンシャル装置9を経由して左右の駆動輪7L,7Rに伝達される。ここで、このベルト走行中に噛合クラッチD1が解放されるのは、ベルト走行中におけるギヤ機構6等の引き摺りをなくすとともに、高車速時においてギヤ機構6等が高回転化するのを防止するためである。
前記ギヤ走行は、低車速領域において選択される。第1の動力伝達経路によって動力伝達が行われている際のギヤ比(タービン軸31の回転速度Nin/出力軸8の回転速度Nout)は、無段変速機5の最大変速比γmaxよりも大きな値に設定されている。すなわち、この第1の動力伝達経路でのギヤ比は、無段変速機5では成立しない値に設定されている。そして、例えば車速Vが上昇するなどしてベルト走行の実行条件が成立すると、前記ベルト走行に切り替えられる。ここで、ギヤ走行からベルト走行(高車速)へ切り替える際、および、ベルト走行(高車速)からギヤ走行へ切り替える際には、図2のベルト走行(中車速)を過渡的に経由して切り替えられる。
例えばギヤ走行からベルト走行(高車速)に切り替えられる場合、ギヤ走行に対応する前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が係合した状態から、ベルト走行用クラッチC2および噛合クラッチD1が係合した状態に過渡的に切り替えられる。すなわち、前進用クラッチC1およびベルト走行用クラッチC2の掛け換え(有段変速)が開始される。このとき、動力伝達経路が第1の動力伝達経路から第2の動力伝達経路に切り替えられ、動力伝達装置1においては実質的にアップシフトされる。そして、動力伝達経路が切り替えられた後、不要な引き摺りやギヤ機構6等の高回転化を防止するために噛合クラッチD1が解放される。
また、ベルト走行(高車速)からギヤ走行に切り替えられる場合、ベルト走行用クラッチC2が係合された状態から、ギヤ走行への切り替え準備として噛合クラッチD1が係合される状態に過渡的に切り替えられる(ダウンシフト準備)。このとき、ギヤ機構6を経由して遊星歯車装置41のサンギヤ44にも回転が伝達された状態となり、この状態から前進用クラッチC1およびベルト走行用クラッチC2の掛け換え(前進用クラッチC1の係合、ベルト走行用クラッチC2の解放)が実行されることで、動力伝達経路が第2の動力伝達経路から第1の動力伝達経路に切り替えられる。このとき、動力伝達装置1にあっては実質的にダウンシフトされる。
−制御系−
図3は、動力伝達装置1およびエンジン2の制御系を示すブロック図である。ECU100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されている。このECU100は、エンジン2の出力制御、無段変速機5の変速制御やベルト挟圧力制御、動力伝達装置1の動力伝達経路を切り替える制御等を実行するようになっている。また、後述するように、ECU100は、SLUソレノイドバルブの故障時の油圧制御も実行する。
ECU100には、エンジン回転速度センサ110により検出されたクランク軸の回転角度(位置)Acrおよびエンジン2の回転速度(エンジン回転速度)Neを表す信号、タービン回転速度センサ111により検出されたタービン軸31の回転速度(タービン回転速度)Ntを表す信号、入力軸回転速度センサ112により検出された無段変速機5の入力軸51の回転速度である入力軸回転速度Ninを表す信号、出力軸回転速度センサ113により検出された車速Vに対応する出力軸8の回転速度である出力軸回転速度Noutを表す信号、スロットルセンサ114により検出された電子スロットル弁のスロットル開度θthを表す信号、アクセル開度センサ115により検出された運転者の加速要求量としてのアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号、フットブレーキスイッチ116により検出された常用ブレーキであるフットブレーキが操作された状態を示すブレーキオンBonを表す信号、レバーポジションセンサ117により検出されたシフトレバーのレバーポジション(操作位置)Pshを表す信号、油圧センサ118により検出されたロックアップ作動油圧(ロックアップクラッチ34の係合状態を決定する油圧)等が、それぞれ供給される。また、ECU100は、例えば出力軸回転速度Noutと入力軸回転速度Ninとに基づいて動力伝達装置1で成立している実変速比γ(=Nin/Nout)を逐次算出する。
また、ECU100からは、エンジン2の出力制御のためのエンジン出力制御指令信号Se、無段変速機5の変速に関する油圧制御のための油圧制御指令信号Scvt、動力伝達装置1の動力伝達経路の切り替えに関連する前後進切換装置4(前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1)、ベルト走行用クラッチC2、噛合クラッチD1、ロックアップクラッチ34への油圧制御指令信号Sswt等が、それぞれ出力される。
具体的には、前記エンジン出力制御指令信号Seとして、エンジン2のスロットルバルブの開閉を制御するためのスロットル信号や、インジェクタから噴射される燃料の量を制御するための噴射信号や、点火プラグの点火時期を制御するための点火時期信号などが出力される。
また、前記油圧制御指令信号Scvtとして、プライマリ側油圧アクチュエータ52cに供給されるプライマリ油圧を調圧する図示しないSLPソレノイドバルブを駆動するための指令信号、セカンダリ側油圧アクチュエータ53cに供給されるセカンダリ油圧を調圧する図示しないSLSソレノイドバルブを駆動するための指令信号などが油圧制御回路12へ出力される。
前記プライマリ油圧は、無段変速機5の変速比を調整するための油圧である。また、セカンダリ油圧は、ベルト挟圧を調整するための油圧である。つまり、無段変速機5の変速比制御は、アクセル開度Acc、車速V、ブレーキ信号Bonなどに基づいて算出される目標変速比となるように無段変速機5の変速比γが制御される。この際、無段変速機5のベルト滑りが発生しないようにしつつエンジン2の動作点が最適燃費線上となる無段変速機5の目標変速比を達成するように、プライマリ油圧およびセカンダリ油圧が調圧される。ECU100からは、目標プライマリ油圧を達成するためのプライマリ指示油圧の指令信号、および、目標セカンダリ油圧を達成するためのセカンダリ指示油圧の指令信号が油圧制御回路12へ出力される。そして、プライマリ指示油圧の指令信号に従ってSLPソレノイドバルブが作動し、セカンダリ指示油圧の指令信号に従ってSLSソレノイドバルブが作動する。
また、後述するように、ロックアップクラッチ34を係合させる側にSLUソレノイドバルブが故障した場合にあっては、油圧制御回路12に備えられた図示しないシーケンスバルブがフェール側に切り替えられることにより、SLGソレノイドバルブによって調整される油圧が、無段変速機5の変速比を調整する変速比調整バルブやロックアップクラッチ34に供給する油圧を調整するロックアップコントロールバルブに供給されることになる(この故障時の動作の詳細については後述する)。
このため、無段変速機5の変速比は、SLPソレノイドバルブによって調整されるプライマリ油圧とSLGソレノイドバルブによって調整される噛合クラッチ油圧とに応じて調整されることになる。例えば、前記変速比調整バルブに供給されるプライマリ油圧と噛合クラッチ油圧との差圧に応じて、実際にプライマリ側油圧アクチュエータ52cに供給される油圧(変速比を決定する油圧)が決定される。
また、この場合に、前記ロックアップクラッチ34の係合状態を調整する油圧は、前記SLUソレノイドバルブによって調整されるロックアップクラッチ油圧とSLGソレノイドバルブによって調整される噛合クラッチ油圧とに応じて調整されることになる。例えば、前記ロックアップコントロールバルブに供給されるロックアップクラッチ油圧と噛合クラッチ油圧との差圧に応じて、実際にロックアップクラッチ34に供給される油圧(ロックアップクラッチ34の係合状態を調整する油圧)が決定される。このSLUソレノイドバルブの故障時には、噛合クラッチ油圧が、ロックアップクラッチ34の解放側に作用することで、ロックアップクラッチ34が解放されることになる。これらの油圧調整を行う油圧回路としては一般的な油圧回路が採用されているためここでの説明は省略する。
また、前記油圧制御指令信号Sswtとして、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、ベルト走行用クラッチC2、噛合クラッチD1およびシンクロ機構それぞれの油圧アクチュエータに供給される油圧を制御する各リニアソレノイドバルブを駆動するための指令信号などが油圧制御回路12へ出力される。
−SLUソレノイドバルブ故障時の油圧制御−
次に、本実施形態の特徴であるSLUソレノイドバルブ故障時の油圧制御について説明する。SLUソレノイドバルブが、ロックアップクラッチ34を係合させる側に故障した場合、車両停車時などにおいてエンジンストールを招いてしまう虞があるので、このエンジンストールを回避する油圧制御が実施される。具体的には、SLPソレノイドバルブにより調整される油圧を高め、この油圧をシーケンスバルブに供給することで、このシーケンスバルブをフェール側に切り替える。これに伴い、SLGソレノイドバルブからロックアップコントロールバルブへ油圧供給(ロックアップ解放側の油圧供給)が行われ、ロックアップクラッチ34を解放側に作動させる。これにより、エンジンストールを回避することができる。
しかしながら、本来、SLPソレノイドバルブはプライマリ油圧を調整するものであり、SLGソレノイドバルブは噛合クラッチD1の係合と解放とを切り替える油圧を調整するものである。このため、前述のエンジンストール回避のための油圧制御を行った場合には、これらSLPソレノイドバルブおよびSLGソレノイドバルブの作動が、車両の挙動に悪影響を与えてしまう虞がある。例えば、前述したように、シーケンスバルブのフェール時にSLPソレノイドバルブおよびSLGソレノイドバルブそれぞれで調整される油圧に応じて無段変速機5の変速比が決定される場合には、車両走行中に前記エンジンストール回避のための油圧制御を行うことで変速比が急速に大きくなって(変速比調整バルブに供給されるプライマリ油圧と噛合クラッチ油圧との差圧が小さくなることで、プライマリ側油圧アクチュエータ52cに供給される油圧が低くなって変速比が急速に大きくなり)車両が急減速し、乗員に違和感を与えてしまう虞がある。
本実施形態はこの点に鑑み、このSLUソレノイドバルブ故障時におけるエンジンストール回避のための油圧制御を行った場合に、車両の挙動への悪影響を抑制できる油圧制御を行うようになっている。
具体的には、先ず、前記SLUソレノイドバルブの故障の有無を検出する。そして、SLUソレノイドバルブの故障が検出された際に、前記SLPソレノイドバルブによって、油圧制御回路12に備えられたシーケンスバルブをフェール側に切り替えて、噛合クラッチD1の切り替えに供される前記SLGソレノイドバルブによって調整される油圧を、ロックアップクラッチ34に対し、ロックアップクラッチ34を解放させる側の油圧(ロックアップクラッチ34の作動を正常にする油圧;本発明でいう油圧機器の作動を正常にする油圧)として供給する。そして、この場合に、シーケンスバルブがフェール側に切り替えられる前に、無段変速機5の変速比を大きくする側に制御するようにしている。
これらの動作は、前記ECU100によって実行される。
このため、ECU100において、SLUソレノイドバルブの故障の有無を検出する動作を実行する機能部分が本発明でいう故障検出部として構成されている。また、ECU100において、SLUソレノイドバルブの故障が検出された際に、SLPソレノイドバルブによって、油圧制御回路12に備えられたシーケンスバルブをフェール側に切り替えて、噛合クラッチD1の切り替えに供される前記SLGソレノイドバルブによって調整される油圧を、ロックアップクラッチ34に対し、ロックアップクラッチ34を解放させる側の油圧として供給する動作を実行する機能部分が本発明でいうシーケンスバルブ切り替え部として構成されている。また、シーケンスバルブがフェール側に切り替えられる前に、無段変速機5の変速比を大きくする側に制御する動作を実行する機能部分が本発明でいう変速比制御部として構成されている。
以下、SLUソレノイドバルブ故障時の油圧制御の具体的な手順について図4のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートは、エンジン2の始動後、所定時間毎に繰り返して実行される。
先ず、ステップST1において、前記シーケンスバルブがフェールしていない通常の車両走行状態において、シーケンスバルブのフェール側への切り替え要求が生じたか否かを判定する。この判定は、SLUソレノイドバルブに故障が生じている可能性がある場合にYES判定される。
具体的には、ロックアップ作動油圧(例えばロックアップコントロールバルブに供給されている油圧)を前記油圧センサ118によって検出することによってロックアップクラッチ34の係合状態を検出し、車両の走行状態がロックアップ領域にない(車速Vおよびアクセル開度Accをパラメータとてロックアップクラッチ34の係合状態を決定するロックアップクラッチ作動マップに従った場合にはロックアップ領域にない)にも拘わらずロックアップクラッチ34が係合状態になっていると推定される場合には、SLUソレノイドバルブに故障が発生している可能性があるとして、シーケンスバルブのフェール側への切り替え要求が生じ、ステップST1でYES判定される。また、ロックアップクラッチ34の係合側油室と解放側油室との間の差圧(ロックアップ差圧)を油圧センサ等によって検出することで、ロックアップクラッチ34の係合状態を検出し、車両の走行状態がロックアップ領域にないにも拘わらずロックアップクラッチ34が係合状態になっていると推定される場合には、SLUソレノイドバルブに故障が発生している可能性があるとして、シーケンスバルブのフェール側への切り替え要求が生じ、ステップST1でYES判定されるようにしてもよい。
このステップST1の動作が、本発明でいう「故障検出部による動作であって、動力伝達装置に備えられた油圧機器に供給する油圧を調整する油圧制御機器の故障を検出する動作」に相当する。
シーケンスバルブのフェール側への切り替え要求が生じておらず、ステップST1でNO判定された場合には、ステップST2に移り、通常の変速比制御が行われる。つまり、前述したように、アクセル開度Accや車速Vなどに基づいて算出される目標変速比となるように前記プライマリ油圧が制御されて無段変速機5の変速比γが制御される。
シーケンスバルブのフェール側への切り替え要求が生じており、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST3に移り、無段変速機5の目標変速比を、前記通常の変速比制御で使用される変速比とは異なるフェール時変速比(フェール時専用の目標変速比)に設定する(フェール時変速比制御)。具体的に、通常の変速比制御で設定される変速比に比べて所定割合だけ高い変速比を目標変速比として設定する。例えば、現在の車両走行状態において、通常の変速比制御での目標変速比が1.0であった場合に、このステップST3では、目標変速比が1.8に設定される。これら値はこれに限定されるものではない。この変速比の決定に際しては、アクセル開度Accや車速V等をパラメータとして変速比を決定する変速比マップとして、前記通常の変速比制御で使用する通常変速比マップと、シーケンスバルブのフェール時に使用するフェール時変速比マップとを前記ROMにそれぞれ記憶させておき、シーケンスバルブのフェール側への切り替え要求が生じた場合には、変速比制御で使用する変速比マップを、通常変速比マップからフェール時変速比マップに切り替えるようにする。そして、前記フェール時変速比が成立するプライマリ油圧が得られるようにSLPソレノイドバルブを駆動する。
このステップST3の動作が、本発明でいう「変速比制御部による動作であって、油圧制御機器の故障が検出された際、シーケンスバルブ切り替え部によってシーケンスバルブがフェール側に切り替えられる前に、無段変速機の変速比を大きくする側に制御する動作」に相当する。
このようにして目標変速比が変更されて(フェール時変速比制御が行われて)、無段変速機5の変速比が変化した状態でステップST4に移り、前記シーケンスバルブをフェール側への切り替えるべく、プライマリ油圧を所定量だけ高くするようにSLPソレノイドバルブを制御する。この所定量としては、シーケンスバルブをフェール側への切り替えるための必要最低限の油圧が確保される値として、実験またはシミュレーションによって設定されている。なお、この際のプライマリ油圧を上昇させる制御としては、切り替え制御(一時にプライマリ油圧を上昇させる制御)であってもよいし徐変制御(徐々にプライマリ油圧を上昇させる制御)であってもよい。
また、ステップST5に移り、ロックアップクラッチ34を解放させるべく前記噛合クラッチ油圧を所定量だけ高くするようにSLGソレノイドバルブを制御する。この所定量としては、ロックアップクラッチ34を解放させるための必要最低限の油圧が確保される値として、実験またはシミュレーションによって設定されている。なお、この際の噛合クラッチ油圧を上昇させる制御としても、切り替え制御であってもよいし、徐変制御であってもよい。これにより、ロックアップクラッチ34が解放状態となり(係合状態とはならず)、エンジンストールが回避され、車両の走行状態が良好に確保される。
このステップST4、ST5の動作が、本発明でいう「シーケンスバルブ切り替え部による動作であって、故障検出部によって油圧制御機器の故障が検出された際に、無段変速機の変速比の調整に供される第1バルブ手段によって、油圧制御回路に備えられたシーケンスバルブをフェール側に切り替えて、第1クラッチの切り替えに供される第2バルブ手段によって調整される油圧を、油圧機器に対し、この油圧機器の作動を正常にする油圧として供給する動作」に相当する。
その後、ステップST6に移り、シーケンスバルブの通常状態への切り替え要求が生じたか否かを判定する。ここでは、車速が所定値以上に達した場合にYES判定される。また、前述したSLPソレノイドバルブの制御(シーケンスバルブをフェール側へ切り替えるための制御)およびSLGソレノイドバルブの制御(ロックアップクラッチ34を解放させるための制御)を開始した後、所定時間が経過した場合にYES判定されるようにしてもよい。
シーケンスバルブの通常状態への切り替え要求が生じておらず、ステップST6でNO判定された場合には、この切り替え要求が生じるのを待つ。
一方、シーケンスバルブの通常状態への切り替え要求が生じており、ステップST6でYES判定された場合には、ステップST7に移り、SLGソレノイドバルブの制御として、シーケンスバルブをフェール状態から通常状態へ戻すためのスイープ制御が行われる。つまり、SLGソレノイドバルブにより調整される噛合クラッチ油圧を、シーケンスバルブをフェール状態にする高圧状態から、シーケンスバルブを通常状態にする低圧状態に向けて徐変させる。例えば、現在がベルト走行状態であることから、噛合クラッチ油圧を0kPa(噛合クラッチが解放される油圧)に向けて徐変させる。
その後、ステップST8に移り、前記SLGソレノイドバルブのスイープ制御が開始されてからの経過時間をタイマによってカウントし、この経過時間が所定時間に達してタイマがカウントアップしたか否かを判定する。この所定時間としては、前記SLGソレノイドバルブのスイープ制御によって噛合クラッチ油圧が0kPaとなるまでの時間として予め実験またはシミュレーションによって設定されている。なお、このステップST8の動作としては、噛合クラッチ油圧が0kPaになったか否かを油圧センサ等によって検出しておき、噛合クラッチ油圧が0kPaになった際にYES判定されるようにしてもよい。
スイープ制御が開始されてからの経過時間が所定時間に達しておらず、ステップST8でNO判定された場合には、前記スイープ制御を継続し、この所定時間が経過するのを待つ。
スイープ制御が開始されてからの経過時間が所定時間に達し、タイマがカウントアップして、ステップST8でYES判定された場合には、ステップST9に移り、シーケンスバルブをフェール側から正常側へ切り替えるべく、プライマリ油圧を低くするようにSLPソレノイドバルブを制御する。この際にSLPソレノイドバルブによって調整されるプライマリ油圧は、現在のアクセル開度Accおよび車速V等によって決定される目標変速比が得られるものとして設定される。なお、この際のプライマリ油圧を下降させる動作としては、切り替え制御であってもよいし、徐変制御であってもよい。これにより、シーケンスバルブは正常側に切り替えられる。
このようにしてシーケンスバルブを正常側に切り替えた後、ステップST10において、SLUソレノイドバルブの作動が正常に行われる状態にあるか否かの判定を行う。この判定は、前記ステップST1の場合と同様に行われる。
そして、SLUソレノイドバルブに故障が発生しておらず(正常である)、ステップST10でYES判定された場合には、本制御を終了する。つまり、前記ロックアップクラッチ作動マップに従ったロックアップ制御が実施される。また、車両の走行状態に応じて、SLPソレノイドバルブによるプライマリ油圧の調整(ベルト走行時における変速比の調整)、および、SLGソレノイドバルブによる噛合クラッチ油圧の調整(ベルト走行とギヤ走行との切り替え)が行われる。
一方、SLUソレノイドバルブに故障が発生しており、ステップST10でNO判定された場合には、ステップST3に戻り、このステップST3以降の動作(シーケンスバルブをフェール側に切り替える動作)を繰り返す。
このような油圧制御が行われるため、前記ECU100によって(より具体的には、前述したECU100における各機能部分によって)本発明に係る動力伝達装置の制御装置が構成される。この制御装置は、各種センサ(油圧センサ118等)からの各信号を入力信号として受信する構成となっている。また、この制御装置は、SLPソレノイドバルブ、SLGソレノイドバルブ等への指令信号を出力信号として出力する構成となっている。
図5は、本実施形態におけるシーケンスバルブの状態、SLPソレノイドバルブにより調整されるプライマリ油圧、SLGソレノイドバルブにより調整される噛合クラッチ油圧、無段変速機5の変速比、他の要素(例えば噛合クラッチD1)の係合状態それぞれの変化の一例を示すタイミングチャート図である。また、図6は、比較例における同様のタイミングチャート図である。
図6に示す比較例は、ECUに前記変速比制御部(シーケンスバルブがフェール側に切り替えられる前に、無段変速機の変速比を大きくする側に制御する変速比制御部)を備えないものであって、SLUソレノイドバルブに故障が発生している場合であっても、無段変速機の変速比を大きくする側への制御を実施することなく、SLPソレノイドバルブによってシーケンスバルブをフェール側に切り替え、SLGソレノイドバルブによってロックアップクラッチを解放側に制御するものとなっている。
この比較例では、シーケンスバルブのフェール側への切り替え要求(SLUソレノイドバルブに故障が発生していることに伴う切り替え要求)がタイミングt1で生じた場合に、無段変速機の変速比を変化させることなく、通常の変速比制御での変速比(通常目標変速比)を維持している。そして、タイミングt2で、SLPソレノイドバルブによって調整される油圧を高めてシーケンスバルブをフェール側に切り替え、SLGソレノイドバルブによって調整される油圧を高めてロックアップクラッチ34を解放側に制御している。つまり、シーケンスバルブのフェール側への切り替え要求が生じてから、SLPソレノイドバルブおよびSLGソレノイドバルブによる油圧調整が開始されるまでの間、実変速比が、一定の通常目標変速比に維持されている。
この場合、前述したようにSLPソレノイドバルブによって調整されるプライマリ油圧とSLGソレノイドバルブによって調整される噛合クラッチ油圧とに応じて無段変速機5の変速比が調整されることになるが、この変速比が大きくなる場合には、変更後の変速比と前記通常目標変速比との乖離が大きくなることから(図中のγ1を参照)、無段変速機5の変速比の変化が急速に大きくなって車両が急減速し、乗員に違和感を与えてしまうことになる。
また、シーケンスバルブの通常状態への切り替え要求がタイミングt3で生じた場合には、シーケンスバルブが通常状態に戻ったことでSLGソレノイドバルブにより調整されている油圧が噛合クラッチD1等の他の要素が瞬時に作用することになり、この要素の回転速度が急変し、その要素の長寿命化に悪影響を与えてしまう可能性がある。
これに対し、本実施形態における油圧制御では、図5に示すように、シーケンスバルブのフェール側への切り替え要求(SLUソレノイドバルブに故障が発生していることに伴う切り替え要求)がタイミングT1で生じた場合に、無段変速機5の変速比を大きくする側に制御している。つまり、通常の変速比制御での変速比(通常目標変速比)から、フェール時変速比制御でのフェール時変速比(フェール時専用の目標変速比)まで大きくしている。そして、タイミングT2で、SLPソレノイドバルブによって調整される油圧を高めてシーケンスバルブをフェール側に切り替え、SLGソレノイドバルブによって調整される油圧を高めてロックアップクラッチ34を解放側に制御している。この際、既に無段変速機5の変速比は大きくなっているため、SLPソレノイドバルブによって調整されるプライマリ油圧とSLGソレノイドバルブによって調整される噛合クラッチ油圧とに応じて無段変速機5の変速比が調整されたとしても、この変更後の変速比と前記フェール時専用の目標変速比との乖離は小さいことから(図中のγ2を参照)、無段変速機5の変速比の変化が急速に大きくなってしまうことがない。このため、車両の急減速を抑制することができ、乗員に違和感を与えてしまうことがない。
また、シーケンスバルブの通常状態への切り替え要求がタイミングT3で生じた場合には、先ず、SLGソレノイドバルブにより調整される噛合クラッチ油圧を徐変させる前記スイープ制御が行われる。このため、噛合クラッチD1等の他の要素の係合変化が緩やかとなり、この要素の長寿命化に悪影響を与えてしまうことがない。その後、SLGソレノイドバルブにより調整される噛合クラッチ油圧が0kPaになった後にタイミングT4でSLPソレノイドバルブにより調整される油圧が低下し、シーケンスバルブが通常状態に戻されている。これにより、車両の走行状態に応じた変速比に戻される。なお、この図5のものでは、シーケンスバルブが通常状態に戻された後、SLGソレノイドバルブにより調整される噛合クラッチ油圧が上昇してギヤ走行に切り替えられている。
以上説明したように本実施形態では、SLUソレノイドバルブに故障が生じたことが検出されると、無段変速機5の変速比の調整に供されるSLPソレノイドバルブによってシーケンスバルブがフェール側に切り替えられる前段階で、無段変速機5の変速比を大きくする側に制御している。つまり、シーケンスバルブがフェール側に切り替えられたことに起因して無段変速機5の変速比が急速に大きくなってしまう可能性があるが、その前段階で、無段変速機5の変速比を大きくする側に制御しておくようにしている。これにより、シーケンスバルブをフェール側に切り替えた際の無段変速機5の変速比の変化を小さくでき、車両に現れる挙動を小さくすることができる。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態は、動力伝達装置1に備えられた油圧機器をロックアップクラッチ34とし、油圧制御機器をSLUソレノイドバルブとした場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、動力伝達装置1に備えられた各種の油圧機器や、この油圧機器に供給する油圧を調整する各種の油圧制御機器に対して適用が可能である。
また、前記実施形態では、駆動力源としてエンジンのみを搭載した車両に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、駆動力源としてエンジンおよび電動モータを搭載したハイブリッド車両や、駆動力源として電動モータのみを搭載した電気自動車に対しても適用が可能である。
本発明は、ギヤの噛み合いにより動力伝達を行う第1の動力伝達経路と、ベルト式無段変速機により動力伝達を行う第2の動力伝達経路とが並列に設けられた動力伝達装置に適用可能である。
1 動力伝達装置
12 油圧制御回路
2 エンジン(駆動力源)
34 ロックアップクラッチ
5 ベルト式無段変速機
6 ギヤ機構
100 ECU
C2 ベルト走行用クラッチ(第2クラッチ)
D1 噛合クラッチ(第1クラッチ)

Claims (1)

  1. 駆動力源からの動力を伝達する動力伝達経路として、ギヤの噛み合いにより動力伝達を行う第1の動力伝達経路と、無段変速機により動力伝達を行う第2の動力伝達経路とが並列に設けられ、前記第1の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合する第1クラッチと、前記第2の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合する第2クラッチとを備えた動力伝達装置に適用される制御装置において、
    当該動力伝達装置に備えられた油圧機器に供給する油圧を調整する油圧制御機器の故障を検出する故障検出部と、
    この故障検出部によって前記油圧制御機器の故障が検出された際に、前記無段変速機の変速比の調整に供される第1バルブ手段によって、油圧制御回路に備えられたシーケンスバルブをフェール側に切り替えて、前記第1クラッチの切り替えに供される第2バルブ手段によって調整される油圧を、前記油圧機器に対し、この油圧機器の作動を正常にする油圧として供給するシーケンスバルブ切り替え部と、
    前記油圧制御機器の故障が検出された際、前記シーケンスバルブ切り替え部によって前記シーケンスバルブがフェール側に切り替えられる前に、前記無段変速機の変速比を大きくする側に制御する変速比制御部とを備えていることを特徴とする動力伝達装置の制御装置。
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JP2019168013A (ja) * 2018-03-22 2019-10-03 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置

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