以下本発明を、その好ましい一実施形態である発熱体1、該発熱体1の製造方法及び該発熱体1を有する発熱具10の製造方法に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の好ましい一実施形態の発熱体1は、図1に示すように、包材11である第1被覆シート12及び第2被覆シート13で全体が被覆され、通気性の第1被覆シート12を介して人体に温熱を与える発熱具10に用いられるものである。以下、本発明の好ましい一実施形態である発熱体1を、該発熱体1を有する発熱具10を例にとり、図1を参照して説明する。
発熱具10は、図1に示すように、通気性の第1被覆シート12と、該第1被覆シート12よりも通気性の低い第2被覆シート13と、発熱体1とを備えている。第1被覆シート12は、発熱具10の着用時に着用者の肌対向面側に配されるシートであり、第2被覆シート13は、発熱具10の着用時に着用者の非肌対向面側に配されるシートである。第1被覆シート12及び第2被覆シート13は、発熱体1の周縁から面方向の外方に延出する延出域14,15をそれぞれ有しており、各該延出域14,15において接合されている。第1被覆シート12の延出域14及び第2被覆シート13の延出域15での接合は、発熱体1を取り囲む環状の連続した気密の接合であることが好ましく、発熱具10では、各延出域14,15どうしがヒートシールにて、環状の連続した気密に接合されている。各延出域14,15どうしを環状の連続した気密に接合することで、第1被覆シート12及び第2被覆シート13で被覆した発熱体1からの固形分(例えば、後述する被酸化性金属の粒子等)の脱落が確実に防止される。
発熱具10では、第1被覆シート12は、その全体が通気性を有している。第1被覆シート12が通気性を有することで、発熱体1への酸素の供給が円滑に行われ、発熱体1の安定した発熱が長時間にわたって維持される。この観点から、第1被覆シート12の通気度(JIS P8117 B型、以下、通気度というときにはこの方法の測定値をいう)は、1〜50,000秒/(100ml・6.42cm2)、特に10〜40,000秒/(100ml・6.42cm2)であることが好ましい。このような通気度を有する第1被覆シート12としては、例えば透湿性は有するが透水性は有さない合成樹脂製の多孔性シートを用いることが好ましい。かかる多孔性シートを用いる場合には、該多孔性シートの外面(第1被覆シート12における肌対向面)にニードルパンチ不織布やエアスルー不織布等の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートして、第1被覆シート12の風合いを高めてもよい。
発熱具10では、第2被覆シート13は、第1被覆シート12よりも通気性が低い。第2被覆シート13を第1被覆シート12よりも通気性を低くすることで、第1被覆シート12を通じて水蒸気を発熱具10の外へ安定的に発生させることができる。なお、「通気性の低いシート」とは、通気性を有さない非通気性シートも包含する。第2被覆シート13としての非通気性シートは、合成樹脂製のフィルムや、該フィルムの外面(非肌対向面)にニードルパンチ不織布やエアスルー不織布等の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートした複合シートを用いることができる。第2被覆シート13としての通気性シートは、第1被覆シート12と同様のものを用いることができる。この場合、第2被覆シート13の通気性は、第1被覆シート12の通気性よりも低いことを条件として、200〜150,000秒/(100ml・6.42cm2)、特に300〜100,000秒/(100ml・6.42cm2)であることが好ましい。第2被覆シート13が通気性シートであると、第1被覆シート12の肌対向面を、着用者の肌や衣服等に密着させた使用状態でも、安定した発熱を行なうことができる。
本実施形態では、発熱具10の備える発熱体1は図1に示すように、被酸化性金属の粒子及び水を含む発熱組成物25と、吸水性を有する粒子26とが第1基材シート27に配されたものである。尚、図1に示す発熱体1は、後述する第1層20のように、発熱組成物25と吸水性を有する粒子26とが明確な界面を持った層として分離していても良く、吸水性を有する粒子26が発熱組成物25の層に一部又は全体が入り込んだ形状であって、層としての界面が明確でなくても良い。好適に、発熱具10の備える発熱体1は、被酸化性金属、炭素成分及び水等を含む発熱組成物25と、電解質(図示せず)と、吸水性を有する粒子26とが第1基材シート27及び第2基材シート28の間に配されている。発熱体1は、発熱組成物25を構成する被酸化性金属の粒子の酸化反応を利用して熱を生じさせている。発熱体1では、電解質(図示せず)は、被酸化性金属の粒子と空気中の酸素との酸化反応において触媒として機能している。
発熱体1の発熱組成物25を構成する被酸化性金属の粒子としては、酸化反応熱を生ずる金属が用いられ、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末や繊維が挙げられる。中でも、取扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄が好ましく、特に鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉などが挙げられる。発熱体1の発熱組成物25を構成する被酸化性金属の粒子の粒径は、例えば0.1〜300μm程度とすることができる。
発熱体1の発熱組成物25を構成する炭素成分は、保水能、酸素供給能、及び触媒能の少なくとも1つの機能を有するものであり、この3つを兼ね備えているものが好ましい。炭素成分として、例えば、活性炭、アセチレンブラック、及び黒鉛から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、湿潤時に酸素を吸着しやすいことや、発熱体1中の水分を一定に保てる観点から、活性炭が好ましく用いられる。より好ましくは、椰子殻炭、木粉炭及びピート炭から選ばれる1種又は2種以上の微細な粉末状物又は小粒状物が用いられる。中でも、発熱体1の水分量を所望の範囲に保ちやすいことから、木粉炭が好ましい。
また発熱体1では、発熱組成物25の中には、炭素成分以外に同様の機能、すなわち保水能等を有する他の成分を含有させてもよい。そのような成分としては、例えばバーミキュライト、おがくず及びシリカゲルから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これら他の成分が発熱組成物25中に含まれている場合、これら他の成分と炭素成分との合計量に対する炭素成分の割合は、90質量%以上であることが発熱体1中の水分を制御する点で好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、98質量%以上であることが一層好ましい。
発熱体1の発熱組成物25に含まれる水は、被酸化性金属の粒子の酸化反応に用いられるほか、被酸化性金属の粒子の酸化反応によって生じた熱で発生する水蒸気源、及び発生する熱を適温に冷却する冷媒としても用いられる。
発熱体1の有する電解質(図示せず)は、被酸化性金属の粒子の反応効率を上げ、酸化反応を持続させる反応促進が目的で用いられる。電解質(図示せず)を用いることにより、被酸化性金属の粒子の酸化被膜を破壊して、酸化反応を促進することができる。このような電解質(図示せず)としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、及び塩化物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、第1塩化鉄、第2塩化鉄等の各種塩化物、及び硫酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
発熱体1の有する吸水性を有する粒子26は、水の保持が可能な材料から構成されている。吸水性を有する粒子26として特に好ましいものは、保水量が極めて高く、熱や塩濃度の変化で放水する性質を有する材料である吸水性ポリマー粒子(以下、単に吸水性ポリマー26ともいう)である。後述する製造装置100を用いて製造される発熱体1では、その発熱初期では、発熱体1の含水率をやや高く設定し発熱体1の熱容量を高くすることで、第2基材シート28の自由な通気による反応速度の上昇が抑えられる。また、発熱反応によって発生した熱量を発熱体1中の水に与えることで、当該熱量は水の温度上昇(顕熱)に消費される。この初期の発熱では発熱体1内の水が使われるため、発熱体1内の電解質濃度が急激に上昇する。このことに起因して吸水性ポリマー26内部の浸透圧が低下し、該吸水性ポリマー26が保持していた水が放出される。また吸水性ポリマー26は、温度が高くなると水を離しやすくなる性質を持っており、この二つの効果が複合的に働くことで吸水性ポリマー26から水が放出される。
また発熱体1は、図1に示すように、第1基材シート27の一面に配される第1の発熱組成物25aと第1の吸水性を有する粒子26aを含有する第1層20を備え、発熱体1を平面視して、第1層20の上には、第2の発熱組成物25bが面方向に分散配置されており、該第2の発熱組成物25bの上には第2の吸水性を有する粒子26bが分散配置されている。好適に、発熱体1は、第1基材シート27における第2基材シート28と対向する一面に配される第1の発熱組成物25aを含有する発熱層21と、該発熱層21上に配される吸水性を有する粒子26aを含有する保水層22とを有する第1層20を備えている。また発熱体1を平面視して、第1層20上には、第1の発熱組成物25aと同じ組成の第2の発熱組成物25bが面方向に分散配置されており、所謂、海島構造となっている。海島構造に分散配置された第2の発熱組成物25b上及びその周りには、第1の吸水性を有する粒子26aと同じ組成の第2の吸水性を有する粒子26bが分散配置されている。このように発熱体1は、第2の発熱組成物25b及び第2の吸水性を有する粒子26bが分散配置された第2層23が第1層20上に、形成されている。
第1層20及び第2層23の水は、被酸化性金属の粒子の酸化反応に用いられるほか、被酸化性金属の粒子の酸化反応によって生じた熱で発生する水蒸気源、及び発生する熱を適温に冷却する冷媒としても用いられる。後述する製造装置100を用いて製造された発熱体1では、発熱組成物25に接するようにして吸水性を有する粒子26が配置されており、反応前に発熱体1中に含まれる水の量が、発熱初期の温度特性を制御する観点で重要である。
第1及び第2の発熱組成物25a,25bを構成する炭素成分は、該発熱層21の発熱を促進する機能剤である。
また発熱体1では、第1及び第2の発熱組成物25a,25bの中には、炭素成分以外に同様の機能、すなわち保水能等を有する前述した他の成分を含有させてもよい。これら他の成分と上述の炭素成分との合計量に対する上述の炭素成分の割合は、90質量%以上であることが発熱体1中の水分を制御する点で好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、98質量%以上であることが一層好ましい。
第1層20の発熱層21及び第2層23が含有する電解質は、該発熱層21及び第2層23の被酸化性金属の粒子の反応効率を上げ、酸化反応を持続させる反応促進が目的で用いられる。
発熱体1の有する第1基材シート27及び第2基材シート28の何れか一方は、熱融着繊維を含んで形成されている。熱融着性繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン−ポリエステル複合繊維、低融点ポリエステル−ポリエステル複合繊維、繊維表面が親水性であるポリビニルアルコール−ポリプロピレン複合繊維、並びにポリビニルアルコール−ポリエステル複合繊維等が挙げられる。複合繊維を用いる場合には、芯鞘型複合繊維及びサイド・バイ・サイド型複合繊維の何れをも用いることができる。これらの熱融着性繊維は、各々単独で用いることもでき、又は2種以上を混合して用いることもできる。熱融着性繊維は、一般にその繊維長が30mm〜70mmであることが好ましく、その維径が1.0dtex〜50dtexであることが好ましい。第1基材シート27又は第2基材シート28に占める熱融着性繊維の割合は、0.1質量%以上10質量%以下、特に0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
第1及び第2基材シート27,28の何れか一方は、熱融着性繊維以外に親水繊維等を含んでいてもよい。親水性繊維としては、天然繊維及び合成繊維のいずれも用いることができる。第1及び第2基材シート27,28の構成繊維として親水性繊維を含有することで、例えば、発熱体1の第1及び第2の発熱組成物25a,25bに含まれる被酸化性金属の粒子との間で水素結合が形成され易くなり、第1及び第2の発熱組成物25a,25bの保形性が良好になるという利点がある。また、親水性繊維を含有することで、第1及び第2基材シート27,28の吸水性ないし保水性が良好になり、例えば、第1及び第2の発熱組成物25a,25bの含水率をコントロールし易くなるという利点もある。これらの観点から、親水性繊維としては、セルロース繊維を用いることが好ましい。セルロース繊維としては化学繊維(合成繊維)及び天然繊維を用いることができる。
セルロースの化学繊維としては、例えばレーヨン及びアセテートを用いることができる。一方、天然のセルロース繊維としては、各種の植物繊維、例えば木材パルプ、非木材パルプ、木綿、麻、麦藁、ヘンプ、ジュート、カポック、やし、いぐさ等が挙げられる。これらのセルロース繊維のうち、太い繊維を容易に入手できる等の観点から、木材パルプを用いることが好ましい。セルロース繊維として太い繊維を用いることは、第1及び第2基材シート27,28の吸水性ないし保水性や、発熱体1の第1及び第2の発熱組成物25a,25bの保持性等の観点から有利である。
第1及び第2基材シート27,28は、その坪量が好ましくは10g/m2以上、より好ましくは35g/m2以上であり、また、好ましくは200g/m2以下、より好ましくは150g/m2以下である。第1及び第2基材シート27,28の坪量をこの範囲内に設定することで、湿潤状態における第1及び第2基材シート27,28の強度を十分に確保することができ、また第1及び第2基材シート27,28の吸水性ないし保水性を好適なものとすることができる。これらの坪量は、第1及び第2基材シート27,28上に第1及び第2の発熱組成物25a,25bが配される前の乾燥状態にある該第1及び第2基材シート27,28について測定された値である。
次に、本発明の好ましい一実施形態の発熱体1の製造方法及び該発熱体1を有する発熱具10の製造方法を、前述した一実施形態の発熱体1を有する発熱具10の製造方法を例にとり、図2を参照して説明する。図2には、本発明の好ましい一実施形態である発熱体1を有する発熱具10の製造方法に用いられる製造装置(以下、製造装置100ともいう)の全体構成が模式的に示されている。尚、以下の説明では、ローラを周方向に回転することによりシートを搬送する搬送方向(基材シートの長手方向)をX方向、X方向と直交する方向(基材シートの幅方向)をY方向、搬送されるシートの厚み方向をZ方向として説明する。また、図2においてZ方向の上下方向をそれぞれ上方、下方と呼ぶ。
本発明の好ましい一実施形態の発熱体1の製造方法は、被酸化性金属の粒子及び水を含む発熱組成物25と、吸水性を有する粒子26とが第1基材シート27に配された発熱体の製造方法である。該製造方法は、第1基材シート27の一面側に第1の発熱組成物25aを含有する第1の塗料を塗工する第1の塗工工程、及び塗工された第1の塗料の上に第1の吸水性を有する粒子26aを添加する第1の添加工程を含む第1層20を形成する第1形成工程と、第1層20の上に第2の発熱組成物25bを含有する第2の塗料を塗工する第2の塗工工程を含む第2層23を形成する第2形成工程とを備えている。第2形成工程は、第2の塗料の上に第2の吸水性を有する粒子26bを添加する第2の添加工程を含んでいる。また発熱体1の製造方法は、第2形成工程の後に、第2層23の上方から、第2基材シート28を配する基材シート配置工程を備えている。
発熱体1を有する発熱具10の製造方法は、上述の製造方法により発熱体1を製造する発熱体製造工程と、該発熱体製造工程の後に、発熱体1の全体を包材で被覆する被覆工程とを備えた発熱具10の製造方法である。該製造方法は、被覆工程の後に、包材で被覆された発熱体1を該包材の上から該発熱体1の厚み方向に加圧する加圧工程を備えている。
発熱体1を有する発熱具10の製造に用いられる製造装置100は、図2に示すように、上流側から下流側に向かって、発熱体1を製造する発熱体製造部30と、発熱体1の全体を包材11で被覆する被覆部40と、包材11で被覆された発熱体1(発熱具10の前駆体10b)を該包材11の上から厚み方向Zに加圧する加圧部50と、第1及び第2被覆シート12,13を接合するヒートシール部60と、第1及び第2被覆シート12,13が接合された発熱具10の前駆体10bをカットする発熱具前駆体カット部70を備えている。
以下、製造装置100を用いた発熱体1及び発熱具10の製造方法について具体的に説明する。
先ず、図2に示すように、搬送されている帯状の第1基材シート27の表面に第1の発熱組成物25aを含有する第1の塗料を、第1塗工部31において、搬送方向Xに沿って塗工する(第1の塗工工程)。第1の塗工工程は、第1塗工部31の第1ダイコータ31aを用いて行われる。好適に、第1の塗工工程では、第1ダイコータ31aを用いて、原反ロールから搬送方向Xに搬送されてくる帯状の第1基材シート27の表面に第1の発熱組成物25aの塗料を搬送方向Xに沿って連続的に塗工する。この際、第1基材シート27の搬送方向Xに沿う両側縁より内側に第1の塗料を塗工し、該両側縁部には非塗工領域が形成される。
尚、第1ダイコータ31aによって塗工される第1の発熱組成物25aの塗料は、図示していない調製装置によって予め調製されている。第1の発熱組成物25aの塗料の調製は、例えば被酸化性金属の粒子と炭素成分等とを混合した後、更に水を加えつつ、均一になるまで混合して行うことができる。第1の発熱組成物25aの塗料中には電解質が含まれていないので、被酸化性金属の粒子は電解質と接するまでは実質的な酸化が進行し難く、塗工前や塗工中の第1の発熱組成物25aの塗料の成分は良好な分散性を維持する。
次いで、図2に示すように、第1塗工部31の下流側に位置する第1添加部32において、基材シート搬送部39の無端ベルト39aに吸着されながら搬送方向Xに搬送される第1基材シート27の表面に形成された第1の発熱組成物25aからなる層の上に、第1の吸水性ポリマー26aを添加する(第1の添加工程)。これにより、第1の発熱組成物25aからなる層上に第1の吸水性ポリマー26aが添加された第1層20が形成される(第1形成工程)。第1の吸水性ポリマー26aは、粒子状に散布され、粒子状に散布された第1の吸水性ポリマー26aは、発熱助剤添加物を構成する。第1の吸水性ポリマー26aを粒子状に散布することで、第1の発熱組成物25aからなる層の上に、均一に第1の吸水性ポリマー26aを配置することができる。
本実施形態の第1の添加工程では、塗工された第1の発熱組成物25aの搬送方向Xに沿う両側縁よりも内側に第1の吸水性ポリマー26aを添加する。即ち、図2に示すように、第1の添加工程では、第1吸水性ポリマー散布装置32aを用いて、第1の発熱組成物25aからなる層の搬送方向Xに沿う両側縁よりも内側に第1の吸水性ポリマー26aを添加する。第1の発熱組成物25a、具体的には、第1の発熱組成物25aからなる層の搬送方向Xに沿う両側縁よりも内側に第1の吸水性ポリマー26aを添加することで、第1の発熱組成物25aからなる層の搬送方向Xに沿う両側縁から幅方向Yの外方に第1の吸水性ポリマー26aがはみ出さなくなり、第1基材シート27と第2基材シート28との接合強度の低下を抑制することができる。
これによって、第1の発熱組成物25aからなる層上に、第1の吸水性ポリマー26aからなる保水層22が搬送方向Xに沿って連続的に形成される。上述の第1の塗工工程とは別工程として、保水層22を形成する第1の吸水性ポリマー26aを添加する第1の添加工程を設けることで、第1の発熱組成物25aからなる層の上に広範囲な設定量で第1の吸水性ポリマー26aを添加可能になり、保水層22での保水量を自由にコントロールすることができる。
次いで、図2に示すように、第1添加部32の下流側に位置する第1電解質散布部33において、第1層20上から電解質を散布する(第1電解質散布工程)。第1電解質散布工程では、図2に示すように、第1電解質散布部33の第1電解質散布装置33aを用いて、無端ベルト39aにて搬送方向に搬送される第1基材シート27の表面に形成された保水層22の上に、電解質を搬送方向Xに沿って連続的に散布する。第1電解質散布装置33aにより散布された電解質は、第1添加部32にて散布された第1の吸水性ポリマー26aにより形成される保水層22を通過して直ちに又は所定の時間にわたって徐々に第1の発熱組成物25a中に溶解し発熱層21を形成する。これにより、第1基材シート27における第2基材シート28と対向する一面に配される第1の発熱組成物25aを含有する発熱層21と、該発熱層21上に配される第1の吸水性ポリマー26aを含有する保水層22とを有する第1層20が、第1基材シート27の表面上に形成される。
次いで、図2に示すように、第1電解質散布部33の下流側に位置する第2塗工部34において、第1層20上に第2の発熱組成物25bを含む第2の塗料を搬送方向Xに沿って塗工する(第2の塗工工程)。第2の塗工工程は、第2塗工部34の第2ダイコータ34aを用いて行われる。好適に、第2の塗工工程では、第2ダイコータ34aを用いて、第1電解質散布部33の第1電解質散布装置33aを通過して搬送方向Xに搬送されてくる帯状の第1基材シート27の表面に形成された第1層20上に第2の発熱組成物25bの塗料を搬送方向Xに沿って連続的に塗工する。これによって、第1層20の表面に、面方向に分散配置された第2の発熱組成物25bが搬送方向Xに連続して形成される。この際にも、基材シート27の搬送方向Xに沿う両側縁より内側に第2の塗料が塗工されるようにする。尚、第2ダイコータ34aによって塗工される第2の発熱組成物25bの塗料は、第1の発熱組成物25aの塗料と同様に、図示していない調製装置によって予め調製されている。
次いで、図2に示すように、第2塗工部34の下流側に位置する第2吸水性ポリマー散布部35において、搬送されてくる第1基材シート27の表面に形成された第1層20の上に分散配置された第2の発熱組成物25bの上に、第2の吸水性ポリマー26bを散布して、分散配置された第2の発熱組成物25b上に第2の吸水性ポリマー26bを添加する(第2の添加工程)。第2の吸水性ポリマー26bは、粒子状に散布され、粒子状に散布された第2の吸水性ポリマー26bは、発熱助剤添加物を構成する。上述の第2の塗工工程とは別工程として、第2の吸水性ポリマー26bを添加する第2の添加工程を設けることで、第2の発熱組成物25bの上に広範囲な設定量で第2の吸水性ポリマー26bを添加可能になり、保水量を自由にコントロールすることができる。
本実施形態の第2の添加工程では、塗工された第1の発熱組成物25aの搬送方向Xに沿う両側縁よりも内側に第2の吸水性ポリマー26bを添加する。即ち、図2に示すように、第2の添加工程では、第2吸水性ポリマー散布装置35aを用いて、第1層20の搬送方向Xに沿う両側縁よりも内側に第2の吸水性ポリマー26bを添加する。第1層20、具体的には、第1の発熱組成物25aからなる層の搬送方向Xに沿う両側縁よりも内側に第2の吸水性ポリマー26bを添加することで、第1層20の搬送方向Xに沿う両側縁から幅方向Yの外方に第2の吸水性ポリマー26bがはみ出さなくなり、第1基材シート27と第2基材シート28との接合強度の低下を抑制することができる。
第1層20上で分散配置された第2の発熱組成物25bの上から散布された第2の吸水性ポリマー26bは、第1層20の上に分散配置された第2の発熱組成物25bの上、及び分散配置された第2の発熱組成物25b,25b同士の間に散布される。つまり、分散配置された第2の発熱組成物25b,25b同士の間では、第1層20を構成する保水層22の第1の吸水性ポリマー26aの上にさらに第2の吸水性ポリマー26bが散布された状態となる。
次いで、図2に示すように、第2吸水性ポリマー散布部35の下流に位置する第2電解質散布部36において、第1層20上に散布された第2の吸水性ポリマー26bの上から電解質を散布する(第2電解質散布工程)。第2電解質散布工程では、第2電解質散布部36の第2電解質散布装置36aを用いて、無端ベルト39aにて搬送方向Xに搬送される第1基材シート27の表面に形成された第1層20上に散布された第2の吸水性ポリマー26bの上に、電解質を搬送方向Xに沿って連続的に散布する。第2電解質散布装置36aにより散布された電解質は、第2吸水性ポリマー散布部35にて散布された第2の吸水性ポリマー26bを通過して直ちに又は所定の時間にわたって徐々に分散配置された第2の発熱組成物25b中に溶解し発熱部を形成する。これにより、第1基材シート27における第2基材シート28と対向する一面に配される第1層20上に、分散配置された第2の発熱組成物25bと、該第2の発熱組成物25bの上に配される第2の吸水性ポリマー26bとが、基材シート27の表面上に形成された第1層20上に形成される。なお、第2電解質散布工程は必須ではなく、第1電解質散布工程で発熱体1として必要な量の電解質を1回で散布してそれ以降の電解質散布工程を省略しても構わない。
また発熱体1の製造方法である発熱体製造工程では、図2に示すように、塗工工程(第1及び第2の塗工工程)及び添加工程(第1及び第2の添加工程)の後に、添加された第2の吸水性ポリマー26bの上方から、第1基材シート27と異なる材質の第2基材シート28を配する基材シート配置工程を備えている。好適に、基材シート配置工程は、第2の添加工程の後工程である。基材シート配置工程では、図2に示すように、第1基材シート27と第2基材シート28とが重なり合うように第2基材シート28が配される。その後、搬送方向Xに沿う両側部における非塗工領域において第1基材シート27と第2基材シート28が重なる部分を接合することによって発熱体1の前駆体1bが形成される。
なお、このとき第1基材シート27と第2基材シート28とには、その内面に、通気性を有するように接着剤が配されている。つまり、両基材シート27,28の搬送方向Xに沿う両側部のみで接合されているので、発熱層21が形成された領域では両基材シート27,28の通気性が維持されている。なお、第1及び第2基材シート27,28には、接着剤がスパイラル上に配されている。
次いで、発熱体1の製造方法である発熱体製造工程では、図2に示すように、基材シート配置工程の後工程に、基材シート配置工程にて形成された発熱体1の前駆体1bをカットする発熱体前駆体カット工程を備えている。具体的に、発熱体前駆体カット工程では、基材シート搬送部39の無端ベルト39aに吸着されながら搬送方向Xに搬送される発熱体1の前駆体1bを枚葉にカットする。発熱体前駆体カット工程は、図2に示すように、発熱体前駆体カット部38のカッターロール38a及びアンビルロール38cを用いて発熱体1の前駆体1bを該発熱体1の前駆体1bの幅方向Yの両端部間に亘ってカットする。発熱体前駆体カット工程による発熱体1の前駆体1bのカットは、発熱体1の前駆体1bの幅方向Yにわたって直線的に行うことができる。あるいは、カット線が曲線を描くように裁断を行うことができる。いずれの場合であっても、カットによってトリムが発生しないような裁断パターンを採用することが好ましい。以上のようにして、発熱体1の製造方法では、枚葉の発熱体1が連続して形成される。
次いで、図2に示すように、発熱体1の製造方法である発熱体製造工程にて製造された発熱体1を被覆部40に搬送する。被覆部40では、図2に示すように、第1被覆部41にて、無端ベルト43により搬送されている連続長尺物からなる第2被覆シート13上に、枚葉の発熱体1を、搬送方向Xに間欠的に配置する。そして、第2被覆部42にて、発熱体1の全体を被覆するように、被覆部40のアンビルロール44を介して連続長尺物からなる第1被覆シート12を重ね合せる(被覆工程)。被覆工程において、発熱体1の全体を第1被覆シート12及び第2被覆シート13で被覆することで発熱具10の前駆体10bが形成される。
次いで、発熱具10の前駆体10bが形成されると、図2に示すように、該発熱具10の前駆体10bを加圧部50に搬送する。加圧部50では、第1ロール51及び第2ロール52のニップ部に発熱具10の前駆体10bを通過させる(加圧工程)。第1ロール51及び第2ロール52のニップ部に発熱具10の前駆体10bを通過させることで、発熱体1の吸水性ポリマー26が第1基材シート27及び第2基材シート28に密着する。また、第1及び第2被覆シート12,13に発熱体1が密着する。
次いで、加圧部50を通過した発熱具10の前駆体10bは、図2に示すように、加圧部50の下流側に位置するヒートシール部60に搬送される。ヒートシール部60では、ヒートロール61及びアンビルロール62のニップ部に発熱具10の前駆体10bを通過させる。ヒートロール61及びアンビルロール62のニップ部に発熱具10の前駆体10bを通過させることで、第1及び第2被覆シート12,13は、搬送方向Xに沿う両側部と、隣り合った発熱体1、1の間とにおいてヒートシールにより接合される。それ以外の箇所では、発熱体1と第1及び第2被覆シート12,13とは固定されていない。そのため、枚葉の発熱体1が通気性を有する。
次いで、発熱具10の前駆体10bがヒートシール部60を通過すると、図2に示すように、発熱具10の前駆体10bは、発熱具前駆体カット部70に搬送される。発熱具前駆体カット部70では、カッター刃71aを有するカッターロール71と、該カッターロール71に対向配置されたアンビルロール72とにより発熱具10が所定の形状にカットされる。以上のようにして、発熱具10の製造方法では、発熱具10が連続して形成される。
前述した一又は二以上の効果がより確実に得られるようにする観点から、発熱体1、該発熱体1の製造方法及び該発熱体1を有する発熱具10の製造方法は、以下の構成の一又は二以上を有することが更に好ましい。
第1及び第2の発熱組成物25a,25bの塗料中に含まれている被酸化性金属の割合としては、塗布性、流動性、および発熱性の観点から、40質量%以上80質量%以下が好ましく、50質量%以上70質量%以下がより好ましい。
第1及び第2の発熱組成物25a,25bの塗料中に含まれている炭素成分の割合としては、塗布性、流動性、および発熱性の観点から、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましい。
第1及び第2の発熱組成物25a,25bの塗料中に含まれている水の割合としては、塗布性、流動性、および発熱性の観点から、第1及び第2の発熱組成物25a,25bの塗料の全体の質量に対して10質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上40質量%以下がより好ましい。
第1及び第2の発熱組成物25a,25bの塗料の粘度は、23℃・50RHにおいて、500mPa・s以上30000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以上15000mPa・s以下、とりわけ1000mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましい。粘度の測定には、B型粘度計の4号ローターを用いた。測定は、ローターを6rpmで回転させて行った。
第1ダイコータ31aによる第1の発熱組成物25a、第2ダイコータ34aによる第2の発熱組成物25bの塗料の塗工量としては、1枚の発熱体1の1枚あたり、50g/m2以上5000g/m2以下が好ましく、250g/m2以上2500g/m2以下がより好ましい。
尚、製造装置100では、第1塗工部31に第1ダイコータ31aを用い、第2塗工部34に第2ダイコータ34aを用いているが、第1及び第2ダイコータ31a,34aに替えて、ローラ塗工、スクリーン印刷、ローラグラビア、ナイフコーティング、カーテンコーター等を用いてもよい。
第1及び第2の吸水性ポリマー26a,26bとしては、自重の20倍以上の純水を吸収・保持でき、且つゲル化し得るヒドロゲル材料を用いることが好ましい。第1及び第2の吸水性ポリマーの粒子26a,26bの平均粒径は、1μm以上2000μm以下、特に10μm以上1500μm以下であることが好ましい。第1及び第2の吸水性ポリマー26a,26bの具体例としては、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体などが挙げられる。
また、第1及び第2の吸水性ポリマー26a,26bは、酸化反応開始前の状態における発熱体1に含まれる電解質の濃度と同じ電解質濃度の水溶液に対して、保持量が自重の3倍以上、特に5倍以上であることが好ましい。この理由は、発熱体1が酸化反応を開始する前において、保水材である第1及び第2の吸水性ポリマー26a,26bが十分な水分を保持することで、発熱体1の酸化反応前の水分量を少なく設定すること、及び酸化反応開始後十分な水分を発熱体1に供給することが容易となるからである。
第1吸水性ポリマー散布装置32aによる第1の吸水性ポリマー26a、第2吸水性ポリマー散布装置35aによる第2の吸水性ポリマー26bの散布量としては、発熱体1の1枚あたり、5g/m2以上300g/m2以下が好ましく、10g/m2以上150g/m2以下がより好ましい。
発熱体製造部30の第1電解質散布部33の第1電解質散布装置33a及び第2電解質散布部36の第2電解質散布装置36aとしては、例えばスクリューフィーダ、電磁フィーダ、オーガ式フィーダ等を用いることができる。
各電解質散布工程における電解質の散布量としては、発熱体1の1枚あたり5g/m2以上300g/m2以下が好ましく、10g/m2以上150g/m2以下がより好ましい。
各電解質散布工程にて散布される電解質は、塗工された第1及び第2の発熱組成物25a,25bへの円滑な溶解の点からは、電解質を小粒子の集合体としての粉体(粉末)の状態で散布することが好ましい。このような電解質としては、例えば平均粒子径が50μm以上1000μm以下、特に100μm以上800μm以下である粉体の状態で散布されることが好ましい。平均粒子径は、例えばJIS Z8801の標準ふるいを用いたふるい分け方法によって測定できる。電解質は、発熱体1の使用時までに発熱層21に対して均一に存していればよい。
以上説明したように、発熱体1の製造方法では、第1基材シート27の一面側に第1の発熱組成物25aを含有する第1の塗料を塗工する第1の塗工工程、及び塗工された第1の塗料の上に第1の吸水性ポリマー26aを添加する第1の添加工程を含む第1層20を形成する第1形成工程と、第1層20の上に第1の発熱組成物25aと同じ組成の第2の発熱組成物25bを含有する第2の塗料を塗工する第2の塗工工程とを含む第2層を形成する第2形成工程とを備えている。好適に、発熱体1の製造方法では、第1の塗工工程及び第1の添加工程を含む第1形成工程と、第2の塗工工程及び第2の添加工程を含む第2形成工程とを有しており、第1基材シート27の搬送方向Xに塗工工程と、添加工程とが交互に行われている。そのため、発熱組成物25の塗料の塗工と、吸水性ポリマー26の添加とを交互に行った発熱体1を連続して製造することができる。また、製造装置100では、発熱体1の製造方法で製造された発熱体1を用いて発熱具10を連続して製造することができる。
また発熱体1は、発熱組成物25の塗料及び吸水性ポリマー26の総量を変えずに、発熱時間を長くすることができる。つまり、発熱組成物25の塗料及び吸水性ポリマー26の総量を増やすことによる装着感の低下を抑えつつ、発熱時間を向上させることができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、発熱体1の製造方法では、第1及び第2の塗工工程と、第1及び第2の添加工程とを第1基材シート27の搬送方向Xに交互に行っているが、第1の塗工工程、第1の添加工程及び第2の塗工工程のみをその順で行ってもよい。
また例えば、発熱体1の製造方法では、塗工工程と添加工程とを第1基材シート27の搬送方向Xに複数回交互に行ってもよい。
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は、斯かる実施例によって何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)塗料の調整
第1及び第2の発熱組成物25a,25bの塗料として、被酸化性金属(鉄粉 平均粒径45μm)55.2質量%、炭素成分(活性炭)4.4質量%、水34.3質量%が配合されているものを用いた。得られた第1及び第2の発熱組成物25a,25bの塗料の粘度は、4500mPa・Sであった。塗料の粘度の測定は、B型粘度計の4号ローターを使用し、23℃50%RHの環境で行った。
(2)基材シートの準備
第1基材シート27及び第2基材シート28としてクレープ紙(坪量30g/m2)を用いた。
(3)被覆シートの準備
第1被覆シート12としては、ポリエチレン製通気性フィルム(透気度:JIS P8117,20000秒/100cc、坪量:45g/m2)を用いた。第2被覆シート13としては、ポリエチレン製通気性フィルム(透気度:JIS P8117,80000秒/100cc、坪量45g/m2)を用いた。
(4)発熱具の作成
図2に示す製造装置100を用いて図1に示す発熱具10を作成した。具体的に、(2)で準備した第1基材シート27に、(1)で調整した第1の発熱組成物25aの第1の塗料を塗工量2.3gで塗工し、第1の吸水性ポリマーの粒子(平均粒径500μm)26aを坪量35g/m2で散布した。次に、電解質(塩化ナトリウム)の粉末(平均粒径425μm)を坪量20g/m2で散布した。このようにして第1層20を得た。
引き続き、第1層20に、(1)で調整した第2の発熱組成物25bの第2の塗料を塗工量2.3gで塗工し、第2の吸水性ポリマーの粒子(粒径500μm)26bを坪量35g/m2で散布後、電解質粉末を坪量20g/m2で散布した。
塗料の塗工、吸水性ポリマーの散布及び電解質の粉末の散布を前記順を1回として合計2回行った後、第1基材シート27の塗工面に第2基材シート28を重ねて、発熱体1を作成した。
(5)発熱具の作成
続いて、得られた発熱体1を50mm×50mmにカットし、第2被覆シート13の上に発熱体1を配置した後、その上に第1被覆シート12を合流させ、第1被覆シート12と第2被覆シート13との間に発熱体1の全体を配し、各該延出域において接合して発熱具10の前駆体10bを作成した。この発熱具10の前駆体10bをカットして、第1被覆シート12と第2被覆シート13との間に発熱体1が収容された実施例1の発熱具10を作成した。
〔発熱性〕
本明細書の全ての実施例及び比較例では、発熱温度測定をJIS S4100 使い捨てカイロ温度特性測定用温熱装置に準拠した試験法で行い、発熱温度及び発熱時間の評価を行った。測定結果を図3の(A)に示す。
〔実施例2〕
(2)で準備した第1基材シート27に、(1)で調整した第1の発熱組成物25aの第1の塗料を塗工量1.5gで塗工し、次いで第1の吸水性ポリマーの粒子(粒径500μm)26aを坪量23g/m2で散布した。次いで、電解質(塩化ナトリウム)の粉末(平均粒径425μm)を第1の吸水性ポリマー26aの上から13g/m2で散布した。
引き続き、第1層20に、(1)で調整した第2の発熱組成物25bの第2の塗料を塗工量1.5gで塗工し、次いで第2の吸水性ポリマーの粒子(粒径500μm)26bを坪量23g/m2で散布した。
塗料の塗工、吸水性ポリマーの散布及び電解質の粉末の散布を前記順を1回として合計3回行った後、第1基材シート27の塗工面に第2基材シート28を重ねて、発熱体1を作成した。得られた発熱体1を50mm×50mmにカットし、第1被覆シート12と第2被覆シート13との間に発熱体1が収容された実施例2の発熱具10を作成した。発熱温度及び発熱時間の測定結果を図3の(B)に示す。
〔実施例3〕
(2)で準備した第1基材シート27に、(1)で調整した第1の発熱組成物25aの第1の塗料を塗工量0.8gで塗工し、次いで第1の吸水性ポリマーの粒子(粒径500μm)26aを坪量12g/m2で散布した。次いで、電解質(塩化ナトリウム)の粉末(平均粒径425μm)を坪量10g/m2で散布した。
引き続き、第1層20に、(1)で調整した第2の発熱組成物25bの塗料を塗工量0.8gで塗工し、次いで第2の吸水性ポリマーの粒子(粒径500μm)26bを坪量12g/m2で散布した。
塗料の塗工、吸水性ポリマーの散布及び電解質の粉末の散布を前記順を1回として合計6回行った後、第1基材シート27の塗工面に第2基材シート28を重ねて、発熱体1を作成した。得られた発熱体1を50mm×50mmにカットし、第1被覆シート12と第2被覆シート13との間に発熱体1が収容された実施例3の発熱具10を作成した。発熱温度及び発熱時間の測定結果を図3の(C)に示す。
〔比較例1〕
(2)で準備した第1基材シート27に、(1)で調整した第1の発熱組成物25aの第1の塗料を塗工量4.6gで塗工し、次いで第1の吸水性ポリマーの粒子(粒径500μm)26aを坪量70g/m2で散布した。次いで、電解質(塩化ナトリウム)の粉末(平均粒径425μm)を坪量70g/m2で散布した。
塗料の塗工、吸水性ポリマーの散布及び電解質の粉末の散布を前記順で行った後、第1基材シート27の塗工面に第2基材シート28を重ねて、発熱体1を作成した。得られた発熱体1を50mm×50mmにカットし、第1被覆シート12と第2被覆シート13との間に発熱体1が収容された発熱具10を作成した。発熱温度及び発熱時間の測定結果を図3の(D)に示す。
〔評価〕
図3に示す結果から明らかなとおり、各実施例1〜3では、発熱組成物の塗料の総量及び吸水性ポリマーの散布量の総量が同じでも、比較例1よりも発熱温度の持続時間が長くなり、発熱特性が向上したことが判る。
〔実施例4〕
(2)で準備した第1基材シート27に、(1)で調整した第1の発熱組成物25aの第1塗料を塗工量2.3gで塗工し、次いで第1の吸水性ポリマーの粒子(粒径500μm)26aを坪量35g/m2で散布した。次いで、電解質(塩化ナトリウム)の粉末(平均粒径425μm)を坪量20g/m2で散布した。
引き続き、(2)で準備した第1基材シート27に、(1)で調整した第2の発熱組成物25bの塗料を塗工量2.3gで塗工し、次いで第2の吸水性ポリマーの粒子(粒径500μm)26bを坪量35g/m2で散布した。次いで、電解質(塩化ナトリウム)の粉末(平均粒径425μm)を坪量20g/m2で散布した。
塗料の塗工、吸水性ポリマーの散布及び電解質の粉末の散布を前記順を1回として合計2回行った後、第1基材シート27の塗工面に第2基材シート28を重ねて、発熱体1を作成した。得られた発熱体1を50mm×50mmにカットし、第1被覆シート12と第2被覆シート13との間に発熱体1が収容された実施例4の発熱具10を作成した。発熱温度及び発熱時間の測定結果を図4の(E)に示す。
〔比較例2〕
図1に示す製造装置100の第1電解質散布部33と第2塗工部34との間に基材シート導入部を加えた製造装置を用いた。
(2)で準備した第1基材シート27に、(1)で調整した第1の発熱組成物25aの塗料を塗工量2.3gで塗工し、次いで第1の吸水性ポリマーの粒子(粒径500μm)26aを坪量35g/m2で散布した。次いで、電解質(塩化ナトリウム)の粉末(平均粒径425μm)を坪量20g/m2で散布した。
次いで、第1基材シート27の塗工面に基材シートを重ねた。重ねた第2基材シートとしては、クレープ紙(通気度30秒/100ml、坪量30g/m2)を用いた。
引き続き、基材シートの上に、(1)で調整した第1の発熱組成物25bの塗料を塗工量2.3gで塗工し、次いで吸水性ポリマーの粒子(粒径500μm)26bを坪量35g/m2で散布した。次いで、電解質(塩化ナトリウム)の粉末(平均粒径425μm)を坪量20g/m2で散布した。
塗料の塗工、吸水性ポリマーの散布及び電解質の粉末の散布を前記順で間に基材シートを介在させた状態で合計2回行った後、第1基材シート27の塗工面に第2基材シート28を重ねて、発熱体1を作成した。得られた発熱体1を50mm×50mmにカットし、第1被覆シート12と第2被覆シート13との間に発熱体1が収容された比較例2の発熱具10を作成した。比較例2の発熱具10は、ベース層上に基材シートを介在させたものである。発熱温度及び発熱時間の測定結果を図4の(F)に示す。
〔評価〕
図4に示す結果から明らかなように、実施例4では、発熱組成物の塗料の総量及び吸水性ポリマーの散布量の総量が同じでも、比較例2よりも発熱温度の持続時間が長くなり、発熱特性が向上したことが判る。