JP2018127924A - 流体用ポンプ及びランキンサイクル装置 - Google Patents

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Takumi Hikichi
巧 引地
長生 木戸
Osao Kido
長生 木戸
典禎 西山
Norisada Nishiyama
典禎 西山
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Abstract

【課題】電動機から容器の外部への漏れ電流を低減させるための技術を提供する。【解決手段】本開示の流体用ポンプ(100)は、互いに隔てられた第1空間(18)及び第2空間(19)を内部に有する容器(10)と、容器(10)に取り付けられ、第1空間(18)に連通している吸入管(20)と、容器(10)の第1空間(18)に配置された電動機(11)と、電動機(11)の下方に配置され、第1空間(18)に連通している吸入孔(22)と第2空間(19)に連通している吐出孔(23)とを有するポンプ機構(12)とを備えている。【選択図】図1

Description

本開示は、流体用ポンプ及びランキンサイクル装置に関する。
昨今、太陽光などの自然エネルギー又は各種排熱を利用するエネルギーシステムが注目されている。そのようなエネルギーシステムの1つは、ランキンサイクルシステムである。ランキンサイクルシステムは、作動流体から取り出した動力によって電力を生成する。高温高圧の作動流体は、ポンプ及び熱源(太陽熱、地熱、自動車の排熱などの熱源)によって生成される。
図5に示すように、特許文献1には、液体用ポンプ300が記載されている。液体用ポンプ300は、容器310、電動機311及びギアポンプ機構312を備えている。電動機311及びギアポンプ機構312は、容器310の内部に配置されている。容器310の内部空間は、吐出空間318及び吸入空間319を含む。電動機311が駆動されると、吸入管321、吸入空間319及び吸入口322を通じて、液体がギアポンプ機構312に吸入される。液体は、吐出口323、吐出空間318及び吐出管320を通じて、ギアポンプ機構312から容器310の外部へと吐出される。吐出空間318は、ギアポンプ機構312から吐出された高圧の液体によって満たされている。つまり、電動機311の周囲の空間は、高圧の液体によって満たされている。
特開2015−200305号公報
図5に示す構造には、電動機の周囲の空間を満たす液体を通じて電動機から容器の外部に電流が漏れやすいという課題がある。
本開示の目的は、電動機から容器の外部への漏れ電流を低減するための技術を提供することにある。
すなわち、本開示は、
互いに隔てられた第1空間及び第2空間を内部に有する容器と、
前記容器に取り付けられ、前記第1空間に連通している吸入管と、
前記容器の前記第1空間に配置された電動機と、
前記電動機の下方に配置され、前記第1空間に連通している吸入孔と前記第2空間に連通している吐出孔とを有するポンプ機構と、
を備えた、流体用ポンプを提供する。
本開示の技術によれば、電動機から容器の外部への漏れ電流を低減することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係るポンプの縦断面図である。 図2は、図1に示すポンプのII-II線に沿った横断面図である。 図3は、変形例に係るポンプの縦断面図である。 図4は、本開示の一実施形態に係るランキンサイクル装置の構成図である。 図5は、従来の液体用ポンプの縦断面図である。
(本開示の基礎となった知見)
高圧の液体の誘電率は、低圧の液体の誘電率よりも高い。高い誘電率を有する液体は電気を通しやすい。電動機の周囲の空間を低圧の作動流体で満たすことによって、電動機から容器の外部への漏れ電流を低減することができる。
本開示の第1態様に係る流体用ポンプは、
互いに隔てられた第1空間及び第2空間を内部に有する容器と、
前記容器に取り付けられ、前記第1空間に連通している吸入管と、
前記容器の前記第1空間に配置された電動機と、
前記電動機の下方に配置され、前記第1空間に連通している吸入孔と前記第2空間に連通している吐出孔とを有するポンプ機構と、
を備えたものである。
第1態様によれば、電動機の周囲の空間は、ポンプ機構で加圧される前の低圧の作動流体によって満たされる。低圧の作動流体の誘電率は、ポンプ機構で加圧された後の高圧の作動流体の誘電率よりも低い。そのため、作動流体を介して、電動機から容器の外部に電流が漏れにくい。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様にかかる流体用ポンプは、前記電動機と前記ポンプ機構とを連結しているシャフトをさらに備え、前記吸入管は、前記シャフトの長手方向において前記電動機と前記ポンプ機構の前記吸入孔との間に位置している開口部を有する。このような位置関係によれば、作動流体は、電動機を避けて、吸入管からポンプ機構に速やかに供給されうる。
本開示の第3態様において、例えば、第2態様にかかる流体用ポンプは、前記シャフトの前記長手方向において前記電動機と前記吸入管の前記開口部との間に配置された仕切り部材をさらに備えている。仕切り部材は、電動機への液相の作動流体の接触を妨げる。電動機の周囲の空間は、常時、気相の作動流体で満たされる。その結果、漏れ電流がさらに低減されうる。
本開示の第4態様において、例えば、第3態様にかかる流体用ポンプの前記仕切り部材は、前記第1空間を上部第1空間と下部第1空間とに仕切っており、前記上部第1空間に前記電動機が配置され、前記下部第1空間に前記吸入管の前記開口部が位置している。第4態様によれば、電動機への液相の作動流体の接触を確実に防ぐことができる。
本開示の第5態様において、例えば、第4態様にかかる流体用ポンプは、前記上部第1空間と前記下部第1空間とを連通させる連通路をさらに備えている。上部第1空間から液相の作動流体を排出することによって、電動機の周囲の空間を気相の作動流体で満たすことができる。その結果、漏れ電流がより効果的に低減されうる。
本開示の第6態様において、例えば、第5態様にかかる流体用ポンプの前記連通路が前記仕切り部材に設けられている。このような構造によれば、追加の部材を使用することなく、連通路を容易に確保することができる。
本開示の第7態様において、例えば、第5又は第6態様にかかる流体用ポンプは、前記連通路に配置され、前記上部第1空間から前記下部第1空間への作動流体の流れを許容し、前記下部第1空間から前記上部第1空間への前記作動流体の流れを禁止する方向制御弁をさらに備えている。ポンプの停止時など、吸入圧力が高い場合においても、電動機の周囲の空間が気相の作動流体で満たされるので、漏れ電流がより効果的に低減されうる。
本開示の第8態様において、例えば、第4〜第7態様のいずれか1つにかかる流体用ポンプは、前記第2空間から前記上部第1空間まで延びている流路をさらに備えている。流路を通じて、吸入圧力よりも高い圧力(吐出圧力)の作動流体が第2空間から上部第1空間に少しずつ供給される。すると、上部第1空間の圧力が下部第1空間の圧力をわずかに上回るため、上部第1空間の下部に貯まった液相の作動流体が上部第1空間から排出される。
本開示の第9態様において、例えば、第8態様にかかる流体用ポンプは、前記シャフトを支持する軸受をさらに備え、前記流路は、前記シャフトと前記軸受との間の軸受すき間を含む。第9態様によれば、上部第1空間の圧力を少し上昇させるために特別な構造を必要としない。
本開示の第10態様にかかるランキンサイクル装置は、
作動流体を加圧するポンプと、
前記ポンプから吐出された前記作動流体を加熱する蒸発器と、
前記作動流体を膨張させる膨張機と、
前記膨張機から吐出された前記作動流体を冷却する凝縮器と、
を備え、
前記ポンプが第1〜第9態様のいずれか1つの流体用ポンプを含む。
第10態様によれば、ポンプの漏れ電流が少ないので、ランキンサイクル装置の効率及び安全性が高まる。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
図1に示すように、流体用ポンプ100(以下、単に「ポンプ100」と称する)は、容器10、電動機11、ポンプ機構12、吸入管20及び吐出管21を備えている。電動機11及びポンプ機構12が共通の1つの容器10に収められている。電動機11は、シャフト13によってポンプ機構12に連結されている。シャフト13は、鉛直方向に平行に延びている。吸入管20及び吐出管21は、それぞれ、容器10に取り付けられている。ポンプ100は、作動流体の漏れを防止するための軸シールを有さないシールレスポンプでもある。作動流体は、例えば、冷媒である。
電動機11を駆動すると、シャフト13が回転してポンプ機構12が駆動される。吸入管20を通じて、容器10の外部からポンプ機構12に液相の作動流体が吸い込まれる。加圧された作動流体は、吐出管21を通じて、ポンプ機構12から容器10の外部に吐出される。電動機11の周囲の空間は、ポンプ機構12で加圧される前の低圧の作動流体によって満たされている。低圧の作動流体の誘電率は、ポンプ機構12で加圧された後の高圧の作動流体の誘電率よりも低い。そのため、作動流体を介して、電動機11から容器10の外部に電流が漏れにくい。
ポンプ100の構造を詳しく説明する。
容器10は、筒状の胴部10a及び2つの蓋部10bを有する。胴部10aの両端のそれぞれが蓋部10bで閉じられている。吸入管20は、胴部10aを貫通し、容器10の内部から外部まで延びている。吐出管21も胴部10aを貫通し、容器10の内部から外部まで延びている。
容器10は、鋳鉄、ステンレス鋼などの金属材料で作られており、十分な耐圧性を有する。容器10は、吸入空間18(第1空間)及び吐出空間19(第2空間)を内部に有する。吸入空間18と吐出空間19とは互いに隔てられている。吸入空間18には、ポンプ機構12で加圧される前の作動流体が一時的に貯められる。吐出空間19には、ポンプ機構12で加圧された後の作動流体が一時的に貯められる。ポンプ100は密閉型のポンプである。容器10の内部空間は、吸入管20及び吐出管21のみを通じて容器10の外部に連通している。
電動機11は、容器10の吸入空間18に配置されている。鉛直方向において、電動機11は、ポンプ機構12の上方に位置している。電動機11は、ステータ11a及びロータ11bを備えている。ロータ11bがシャフト13に固定されている。ステータ11aは、容器10の内周面に固定されている。容器10には、電動機11に電力を供給するための端子17が設けられている。端子17は、容器10の上部に設けられている。
容器10の内部において、ポンプ機構12は、電動機11の下方に配置されている。ポンプ機構12は、吸入孔22及び吐出孔23を有する。吸入孔22は、作動流体を吸入するための孔であり、吸入空間18に連通している。本実施形態では、吸入孔22は、吸入空間18に向かって開口している。吸入孔22は、吸入空間18の最下部に位置している。吐出孔23は、作動流体を吐出するための孔であり、吐出空間19に連通している。本実施形態では、吐出孔23は、吐出空間19に向かって開口している。
ポンプ機構12は、上軸受部材14、ポンプケース15及び下軸受部材16を備えている。ポンプケース15は、上軸受部材14と下軸受部材16との間に配置されている。上軸受部材14に吸入孔22が設けられている。下軸受部材16に吐出孔23が設けられている。
ポンプ機構12は、例えば、内接式のギアポンプの構造を有する。図2に示すように、ポンプケース15の内部には、アウターギア24及びインナーギア25が配置されている。シャフト13は、下軸受部材16の中央で下軸受部材16を貫通している。シャフト13は、上軸受部材14の中央で上軸受部材14を貫通している。アウターギア24はインナーギア25の外側に配置されている。アウターギア24の歯とインナーギア25の歯とが噛みあっている。インナーギア25は、シャフト13に固定されている。インナーギア25の回転軸線は、シャフト13の回転軸線Oに一致する。アウターギア24は、アウターギア24の回転軸線がシャフト13の回転軸線Oからオフセットされるように、配置されている。アウターギア24は、シャフト13によるインナーギア25の回転に伴いインナーギア25の歯によって押され、インナーギア25とともに回転する。
上軸受部材14、下軸受部材16、アウターギア24及びインナーギア25によってポンプ機構12には複数の作動室26が形成されている。アウターギア24及びインナーギア25が回転することによって、ポンプ機構12は、吸入工程と吐出工程とを繰り返す。すなわち、アウターギア24及びインナーギア25の回転によって、作動室26は、吸入室26aの状態から吐出室26cの状態へ移行する。あるいは、作動室26は、吐出室26cの状態から吸入室26aの状態へ移行する。吸入室26aは、吸入孔22を通じて吸入空間18に連通している状態の作動室26を意味する。吐出室26cは、吐出孔23を通じて吐出空間19に連通している状態の作動室26を意味する。吸入工程において、シャフト13の回転とともに吸入室26aの容積が拡大する。吸入孔22が閉ざされて吸入室26aが吸入空間18から隔離されると、吸入工程が終了する。シャフト13がさらに回転すると、吐出孔23を通じて作動室26が吐出空間19に連通し、作動室26が吐出室26cに移行する。シャフト13の回転とともに吐出室26cの容積が減少する。吐出孔23が閉ざされ吐出室26cが吐出空間19から隔離されると吐出工程が終了する。作動流体は、吸入孔22を通じてポンプ機構12に吸入され、吐出孔23を通じてポンプ機構12から吐出される。
ポンプ機構12の上軸受部材14は、例えば、容器10の内周面に溶接されている。ポンプ機構12が容器10に固定されている。吸入空間18及び吐出空間19は、上軸受部材14によって互いに隔てられている。吸入空間18及び吐出空間19は、ポンプケース15又は下軸受部材16によって互いに隔てられていてもよい。容器10の内周面は、空間を形成するための部分として、吸入空間18を形成するための部分及び吐出空間19を形成するための部分のみを有する。吸入空間18及び吐出空間19によって、ポンプ機構12における作動流体の吸入又は作動流体の吐出に伴う脈動がポンプ100の外部に伝播することを抑制できる。
吸入管20は、容器10の外部から容器10の内部へと作動流体を導くための管であり、吸入空間18に連通している。本実施形態では、吸入管20は、吸入空間18に向かって開口している。吸入空間18を介して、吸入管20がポンプ機構12の吸入孔22に連通している。吐出管21は、容器10の内部から容器10の外部へと作動流体を導くための管であり、吐出空間19に連通している。本実施形態では、吐出管21は、吐出空間19に向かって開口している。吐出空間19を介して、ポンプ機構12の吐出孔23が吐出管21に連通している。
吸入管20が吸入孔22に直接接続されていてもよい。この場合、例えば、吸入管20と吸入空間18とを連通させるための孔が吸入管20に設けられる。吐出管21が吐出孔23に直接接続されていてもよい。この場合、例えば、吐出管21と吐出空間19とを連通させるための孔が吐出管21に設けられる。
シャフト13の長手方向において、吸入管20は、上軸受部材14の上方かつ電動機11の下方に位置している。詳細には、吸入管20は、シャフト13の長手方向において電動機11とポンプ機構12の吸入孔22との間に位置している開口部20aを有する。このような位置関係によれば、作動流体は、電動機11を避けて、吸入管20からポンプ機構12に速やかに供給されうる。望ましくは、作動流体は、電動機11の周囲を通過せず、吸入管20からポンプ機構12に導かれる。
本実施形態によれば、作動流体が気液二相の場合、吸入空間18の上部に気相の作動流体が保持され、吸入空間18の下部に液相の作動流体が保持される。電動機11の周囲の空間が気相の作動流体で満たされ、電動機11に液相の作動流体が接触すること防止できる。端子17に液相の作動流体が接触することも防止できる。気相の作動流体の誘電率は、液相の作動流体の誘電率よりも遥かに低いので、本実施形態によれば、漏れ電流をより効果的に低減することができる。
また、電動機11の発熱によって作動流体の気化が促進され、電動機11の周囲の空間が気相の作動流体によって満たされる。電動機11の周囲の空間が小さい誘電率の気相の作動流体で満たされるので、漏れ電流をさらに低減することができる。
シャフト13の長手方向において、吐出管21は、ポンプ機構12の下方に位置している。詳細には、吐出管21は、シャフト13の長手方向においてポンプ機構12の吐出孔23と容器10の内側の底面との間に位置している開口部21aを有する。このような位置関係によれば、作動流体は、ポンプ機構12から吐出管21にスムーズに導かれる。
図2に示すように、シャフト13の周方向において、吸入管20の開口部20aは、ポンプ機構12の吸入孔22と同じ角度範囲に位置している。詳細には、シャフト13の回転軸線Oに垂直な平面にポンプ機構12を投影することによって得られる投影図において、回転軸線O及び開口部20aを通る任意の直線が吸入孔22に重なる。このような位置関係によれば、作動流体は、吸入管20からポンプ機構12に速やかに供給されうる。シャフト13の周方向において、吐出管21の開口部21aは、ポンプ機構12の吐出孔23と同じ角度範囲に位置している。詳細には、上記した投影図において、回転軸線O及び開口部21aを通る任意の直線が吐出孔23に重なる。このような位置関係によれば、作動流体は、ポンプ機構12から吐出管21に速やかに供給されうる。
ポンプ100は、例えば、ランキンサイクル装置に使用されうる。飽和液又は小さい過冷却度を有する過冷却液がポンプ100に供給されると、ランキンサイクルの効率を高めることができる。しかし、飽和液又は小さい過冷却度を有する過冷却液は、僅かな圧力低下又は僅かな加熱によって気液二相状態に変化する。そのため、気液二相状態の作動流体が吸入管20を通じて吸入空間18に導かれる可能性がある。この場合、電動機11の周囲の空間が気相の作動流体で満たされる。その結果、漏れ電流がより効果的に低減される。ランキンサイクルの効率も向上する。
(変形例)
図3に示すように、変形例に係るポンプ102は、仕切り板33を備えている。先に説明したポンプ100と本変形例のポンプ102とで共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。ポンプ100に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、ポンプ102にも適用される。
図3に示すように、仕切り板33(仕切り部材)は、シャフト13の長手方向において電動機11と吸入管20の開口部20aとの間に配置されている。ポンプ機構12(詳細には、ポンプ機構12の上軸受部材14)と仕切り板33との間の空間に作動流体が一時的に貯められる。仕切り板33は、電動機11への液相の作動流体の接触を妨げる。電動機11の周囲の空間は、常時、気相の作動流体で満たされる。その結果、漏れ電流がさらに低減されうる。
仕切り板33は、吸入空間18を上部吸入空間18a(上部第1空間)と下部吸入空間18b(下部第1空間)とに仕切っている。電動機11は、上部吸入空間18aに配置されている。吸入管20の開口部20aは、下部吸入空間18bに位置している。このような構造によれば、電動機11への液相の作動流体の接触を確実に防ぐことができる。作動流体は、下部吸入空間18bに一時的に貯められ、吸入孔22を通じてポンプ機構12に吸入される。
仕切り板33は、平面視で円形の形状を有する。シャフト13は、仕切り板33の中央で仕切り板33を貫通している。本変形例において、仕切り板33は、中心孔33pを有する。ポンプ機構12の上軸受部材14は、シャフト13の長手方向に沿って上方に延びる軸受本体141を有する。軸受本体141は、軸受孔を有し、シャフト13を支持している。軸受本体141が仕切り板33の中心孔33pに嵌められている。仕切り板33は、例えば、容器10の内周面に溶接されている。これにより、仕切り板33が容器10に固定されている。仕切り板33は、上軸受部材14の軸受本体141に固定されていてもよい。軸受本体141と仕切り板33との間にはすき間が無い。ただし、軸受本体141と仕切り板33との間に狭いすき間が確保されていてもよい。
ポンプ102は、上部吸入空間18aと下部吸入空間18bとを連通させる連通路34をさらに備えている。連通路34は、上部吸入空間18aから下部吸入空間18bへと液相の作動流体が移動することを許容する。上部吸入空間18aから液相の作動流体を排出することによって、電動機11の周囲の空間を気相の作動流体で満たすことができる。その結果、漏れ電流がより効果的に低減されうる。
本変形例において、連通路34は、仕切り板33に設けられている。詳細には、連通路34は、仕切り板33に設けられている。より詳細には、連通路34は、仕切り板33に設けられた貫通孔を含む。このような構造によれば、追加の部材を使用することなく、連通路34を容易に確保することができる。ポンプ102は、連通路34を1つのみ有していてもよいし、複数の連通路34を有していてもよい。
ポンプ102は、一方向弁35をさらに備えている。一方向弁35は、連通路34に配置されている。一方向弁35は方向制御弁であり、上部吸入空間18aから下部吸入空間18bへの作動流体の流れを許容し、下部吸入空間18bから上部吸入空間18aへの作動流体の流れを禁止する。液相の作動流体は、連通路34を通じて、上部吸入空間18aから下部吸入空間18bへと排出される。上部吸入空間18aへの液相の作動流体の侵入を防ぐことができる。ポンプ102の停止時など、吸入圧力が高い場合においても、電動機11の周囲の空間が気相の作動流体で満たされるので、漏れ電流がより効果的に低減されうる。
ポンプ機構12の下軸受部材16は、シャフト13の長手方向に沿って下方に延びる軸受本体161を有する。軸受本体161は、軸受孔を有し、シャフト13を支持している。下軸受部材16の軸受本体161とシャフト13との間には、潤滑及び冷却用の作動流体を流すことができる流路31(微小流路)が形成されている。上軸受部材14の軸受本体141とシャフト13との間には、潤滑及び冷却用の作動流体を流すことができる流路32(微小流路)が形成されている。流路31は、流路32に連通している。つまり、流路31及び32を含む流路30が吐出空間19から上部吸入空間18aまで延びている。流路30を通じて、吸入圧力よりも高い圧力(吐出圧力)の作動流体が吐出空間19から上部吸入空間18aに少しずつ供給される。すると、上部吸入空間18aの圧力が下部吸入空間18bの圧力をわずかに上回るため、上部吸入空間18aの下部に貯まった液相の作動流体が上部吸入空間18aから排出される。例えば、長期にわたる運転停止の後、電動機11の周囲の空間に液相の作動流体が貯まっていたとしても、ポンプ102の起動後、液相の作動流体は、上部吸入空間18aから下部吸入空間18bへと速やかに排出される。その結果、電動機11の周囲の空間が気体の作動流体で満たされるので、漏れ電流が効果的に低減されうる。
本変形例において、流路31は、シャフト13と軸受本体161との間の軸受すき間である。流路32は、シャフト13と軸受本体141との間の軸受すき間である。流路30は、これらの軸受すき間を含む。つまり、軸受本体141及び161の潤滑及び冷却のための構造は、上部吸入空間18aの圧力を少し上昇させるための構造に兼用されている。本変形例は、上部吸入空間18aの圧力を少し上昇させるために特別な構造を必要としない。
本変形例のポンプ102によれば、吸入管20を通じて容器10の外部から容器10の内部に作動流体が供給される。作動流体は、下部吸入空間18bに一時的に貯められ、吸入孔22を通じてポンプ機構12に吸入される。仕切り板33の働きによって、上部吸入空間18aへの作動流体の流入が阻止される。上部吸入空間18aは連通路34によって下部吸入空間18bと連通している。電動機11の発熱によって、上部吸入空間18aの作動流体の気化が促進され、電動機11の周囲の空間が気相の作動流体によって満たされる。電動機11の周囲の空間が小さい誘電率の気相の作動流体で満たされるので、漏れ電流が低減されうる。
連通路34は、上部吸入空間18aから下部吸入空間18bへの液相の作動流体の排出を許容する。長期にわたってポンプ102を停止させたとき、一方向弁35の微小な漏れによって上部吸入空間18aに液相の作動流体が貯まる可能性がある。しかし、連通路34を通じて、上部吸入空間18aから液相の作動流体を排出することができるので、上部吸入空間18aが気相の作動流体で満たされる。その結果、漏れ電流が低減されうる。
一方向弁35は、下部吸入空間18bから上部吸入空間18aへの液相の作動流体の侵入を防ぐ。例えば、ポンプ102を停止させる際、吸入圧力が一時的に上昇することがある。吸入圧力が一時的に上昇した場合においても、下部吸入空間18bから上部吸入空間18aへの液相の作動流体の逆流が防止される。電動機11の周囲の空間は気相の作動流体で満たされる。その結果、漏れ電流が低減されうる。
軸受本体141及び161には、流路31及び32を通じて、吐出空間19から高圧かつ液相の作動流体が供給される。液相の作動流体によって、軸受本体141及び161が冷却及び潤滑される。高圧の作動流体は、流路31及び32を通じて、上部吸入空間18aに流入し、上部吸入空間18aの下部に貯まる。高圧かつ液相の作動流体の流入によって、上部吸入空間18aの圧力は、吸入圧力を少し上回る。そのため、液相の作動流体は、連通路34を通じて、下部吸入空間18bに速やかに排出される。電動機11の周囲の空間は、常に、気相の作動流体で満たされる。その結果、漏れ電流が低減されうる。
(その他の変形例)
本開示において、ポンプ機構12の構造は、内接式のギアポンプに限定されない。ポンプ機構12は、内接式のギアポンプ以外のギアポンプ、ピストンポンプ、ベーンポンプ、ロータリポンプなどの容積型ポンプの構造を有していてもよい。ポンプ機構12は、遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプなどの速度型ポンプの構造を有していてもよい。
(ランキンサイクル装置の実施形態)
図4に示すように、本実施形態のランキンサイクル装置200は、ポンプ100、加熱器2、膨張機3、放熱器4及び流路6a〜流路6dを備えている。流路6a〜6dによって、ポンプ100、加熱器2、膨張機3及び放熱器4がこの順番で環状に接続されている。流路6aは、ポンプ100の出口と加熱器2の入口とを接続している。ポンプ100の吐出管21(図1)は、流路6aの少なくとも一部を形成している。流路6bは、加熱器2の出口と膨張機3の入口とを接続している。流路6cは、膨張機3の出口と放熱器4の入口とを接続している。流路6dは、放熱器4の出口とポンプ100の入口とを接続している。ポンプ100の吸入管20は、流路6dの少なくとも一部を形成している。流路6a〜6dは、それぞれ、少なくとも1つの配管を含む。ポンプ100に代えて、変形例のポンプ102も使用されうる。
ランキンサイクル装置200の作動流体は特に制限されない。作動流体として、有機作動流体が使用されうる。有機作動流体は、例えば、ハロゲン化炭化水素、炭化水素、アルコールなどの有機化合物である。ハロゲン化炭化水素は、例えば、R−123、R365mfc又はR−245faである。炭化水素は、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタンなどのアルカンである。アルコールは、例えば、エタノールである。これらの有機作動流体は単独で使用されてもよいし、これらの有機作動流体の二種類以上が混合されて使用されてもよい。作動流体として、水、二酸化炭素、アンモニウムなどの無機作動流体を使用してもよい。
加熱器2は、作動流体を加熱する。加熱器2は、例えば、地熱によって得られる温水、ボイラー若しくは燃焼炉の燃焼ガス又はその排気ガスなどの熱媒体から熱エネルギーを吸収し、その吸収した熱エネルギーによって作動流体を加熱して蒸発させる。加熱器2には、熱媒体の流路2aが接続されている。熱媒体が温水などの液体である場合、加熱器2として、プレート式熱交換器又は二重管式熱交換器が望ましく使用される。熱媒体が燃焼ガス又は排気ガスなどの気体の場合、加熱器2として、フィンチューブ熱交換器が望ましく使用される。図4において、実線の矢印は作動流体の流れ方向を示し、破線の矢印は熱媒体の流れ方向を示している。
膨張機3は、加熱器2によって加熱された作動流体を膨張させるための流体機械である。ランキンサイクル装置200は、発電機5をさらに備えている。発電機5は、膨張機3に接続されている。膨張機3における作動流体の膨張によって膨張機3は回転動力を得る。この回転動力が発電機5によって電気に変換される。膨張機3は、例えば、容積型又は速度型の膨張機である。容積型の膨張機の型式としては、ロータリ型、スクリュー型、往復型及びスクロール型を挙げることができる。速度型の膨張機の型式としては、遠心型又は軸流型を挙げることができる。
放熱器4は、膨張機3によって膨張した作動流体の有する熱を放熱する。放熱器4において、作動流体が冷却媒体と熱交換することによって、作動流体が冷却され、冷却媒体が加熱される。放熱器4には、冷却媒体の流路4aが接続されている。図4において、一点鎖線の矢印は、冷却媒体の流れの方向を示している。放熱器4としては、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器、フィンチューブ熱交換器などの公知の熱交換器を使用できる。放熱器4の種類は、冷却媒体の種類に応じて適切に選択される。冷却媒体が水などの液体である場合、プレート式熱交換器又は二重管式熱交換器が望ましく使用される。冷却媒体が空気などの気体である場合、フィンチューブ熱交換器が望ましく使用される。
放熱器4から流出した作動流体は、液相状態である。すなわち、放熱器4から流出した液相の作動流体が吸入管20を通じて容器10の内部に導かれる。ポンプ100は、液相の作動流体を吸入し、加熱器2に向かって吐出する。ポンプ100によって作動流体が加圧され、加圧された作動流体が流路6dを通じて加熱器2に供給される。
本開示の流体用ポンプは、ランキンサイクル、ヒートポンプサイクルなどの熱力学サイクルに有用である。
10 容器
11 電動機
12 ポンプ機構
13 シャフト
14 上軸受部材
16 下軸受部材
18 吸入空間(第1空間)
18a 上部吸入空間(上部第1空間)
18b 下部吸入空間(下部第1空間)
19 吐出空間(第2空間)
20 吐出管
20a 開口部
21 吸入管
21a 開口部
22 吸入孔
23 吐出孔
30,31,32 流路
33 仕切り板(仕切り部材)
34 連通路
35 一方向弁(方向制御弁)
100,102 流体用ポンプ
141,161 軸受本体
200 ランキンサイクル装置

Claims (10)

  1. 互いに隔てられた第1空間及び第2空間を内部に有する容器と、
    前記容器に取り付けられ、前記第1空間に連通している吸入管と、
    前記容器の前記第1空間に配置された電動機と、
    前記電動機の下方に配置され、前記第1空間に連通している吸入孔と前記第2空間に連通している吐出孔とを有するポンプ機構と、
    を備えた、流体用ポンプ。
  2. 前記電動機と前記ポンプ機構とを連結しているシャフトをさらに備え、
    前記吸入管は、前記シャフトの長手方向において前記電動機と前記ポンプ機構の前記吸入孔との間に位置している開口部を有する、請求項1に記載の流体用ポンプ。
  3. 前記シャフトの前記長手方向において前記電動機と前記吸入管の前記開口部との間に配置された仕切り部材をさらに備えた、請求項2に記載の流体用ポンプ。
  4. 前記仕切り部材は、前記第1空間を上部第1空間と下部第1空間とに仕切っており、
    前記上部第1空間に前記電動機が配置され、
    前記下部第1空間に前記吸入管の前記開口部が位置している、請求項3に記載の流体用ポンプ。
  5. 前記上部第1空間と前記下部第1空間とを連通させる連通路をさらに備えた、請求項4に記載の流体用ポンプ。
  6. 前記連通路が前記仕切り部材に設けられている、請求項5に記載の流体用ポンプ。
  7. 前記連通路に配置され、前記上部第1空間から前記下部第1空間への作動流体の流れを許容し、前記下部第1空間から前記上部第1空間への前記作動流体の流れを禁止する方向制御弁をさらに備えた、請求項5又は6に記載の流体用ポンプ。
  8. 前記第2空間から前記上部第1空間まで延びている流路をさらに備えた、請求項4〜7のいずれか1項に記載の流体用ポンプ。
  9. 前記シャフトを支持する軸受をさらに備え、
    前記流路は、前記シャフトと前記軸受との間の軸受すき間を含む、請求項8に記載の流体用ポンプ。
  10. 作動流体を加圧するポンプと、
    前記ポンプから吐出された前記作動流体を加熱する蒸発器と、
    前記作動流体を膨張させる膨張機と、
    前記膨張機から吐出された前記作動流体を冷却する凝縮器と、
    を備え、
    前記ポンプが請求項1〜9のいずれか1項に記載の流体用ポンプを含む、ランキンサイクル装置。
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