JP2018125963A - 電動自動車の電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力線の抵抗が大きいという異常を検知する。【解決手段】電動自動車の電源装置は、電圧コンバータとサブバッテリを接続する電力線と制御装置を備える。制御装置は、電圧コンバータの起動の際、バッテリ正極端の電圧Vb1よりも高い初期目標電圧を電圧コンバータに指令し(S22)、電圧コンバータの起動後で走行前のバッテリ正極端の電圧Vb2が電圧Vb1よりも低い場合(S26でYES)に第1異常通知を出力し(S28)、走行開始後のバッテリ正極端の電圧Vb3が電圧Vb1よりも低い場合(S32でYES)に電圧Vb3よりも高い特別目標電圧を電圧コンバータに指令し(S40)、特別目標電圧の指令後のバッテリ正極端の電圧Vb4が、電圧Vb1よりも低く、かつ、特別目標電圧Vt2から所定の電圧マージンdVmを引いた閾値電圧Vthよりも低い場合(S44でYES)に第2異常通知を出力する(S46)。【選択図】図2

Description

本明細書が開示する技術は、電動自動車の電源装置に関する。なお、電動自動車には、エンジンと共にモータを備えたハイブリッド車や、エンジンを備えない電気自動車が含まれる。
特許文献1には、メインバッテリの出力電圧を降圧してサブバッテリへ電力を供給する電圧コンバータと、電圧コンバータを制御する制御装置と、を備える電動自動車の電源装置が開示されている。
電源装置は、さらに、サブバッテリと空調装置等の電装負荷を接続する低電圧回路(即ち、電力線)を備えており、制御装置は、電力線の断線を判定する判定部を備えている。判定部は、電力線の電圧値が実質的にゼロボルトとみなせる所定値(例えば、1V)以下である場合に、電力線が断線したと判定する。
特開2014−68432号公報
上記のように、電力線の断線は、当該電力線の電圧値がゼロボルトになるのか否かにより判定できる。しかし、電力線のコネクタの締結の緩みや電力線が切れかかっていることにより、断線していないが、電力線の抵抗が大きくなっているという異常は、上記の技術では、判定できない。本明細書は、電力線の抵抗が大きくなっているという異常を検知するための技術を提供する。
本明細書が開示する電動車両の電源装置は、メインバッテリの出力電圧を降圧してサブバッテリへ電力を供給する電圧コンバータと、電圧コンバータの出力正極端とサブバッテリのバッテリ正極端を接続する電力線と、電圧コンバータを制御するとともに、当該電源装置の異常を検知する制御装置と、を備えている。制御装置は、電圧コンバータの起動の際に、バッテリ正極端の第1電圧よりも高い第1目標電圧を電圧コンバータに指令し、電圧コンバータの起動後で走行前のバッテリ正極端の第2電圧が第1電圧よりも低い場合に電力線の異常を示す第1通知を出力する。また、制御装置は、走行開始後のバッテリ正極端の第3電圧が第1電圧よりも低い場合に第3電圧よりも高い第2目標電圧を電圧コンバータに指令し、第2目標電圧の指令後のバッテリ正極端の第4電圧が、第1電圧よりも低く、かつ、第2目標電圧から所定の電圧マージンを引いた第5電圧よりも低い場合に電力線の異常を示す第2通知を出力する。
この構成によれば、制御装置は、走行前において、電圧コンバータの起動後のバッテリ正極端の第1電圧が、起動前のバッテリ正極端の第1電圧よりも低い場合に、電力線の異常を示す第1異常通知を出力する。電圧コンバータの起動の前後において、バッテリ正極端の電圧が上昇しないことは、充電に必要な電流が電力線に流れていないことを示す。即ち、電力線の抵抗が大きくなっている蓋然性が高い。上記構成によれば、制御装置は、走行前において、電力線の抵抗が大きくなっているという異常を検知することができる。
また、制御装置は、走行開始後において、走行開始後のバッテリ正極端の第3電圧が第1電圧よりも低い場合に、第3電圧より高い第2目標電圧を電圧コンバータに指令する。そして、当該指令後のバッテリ正極端の第4電圧が、第1電圧よりも低く、かつ、第2目標電圧から所定の電圧マージンを引いた第5電圧よりも低い場合に、第2通知を出力する。第5電圧は、例えば、第2目標電圧の指令から所定の時間が経過した後のバッテリ正極端の電圧の期待値である。第4電圧が第5電圧より低いことは、充電に必要な電流が電力線に流れていないことを示す。即ち、電力線の抵抗が大きくなっている蓋然性が高い。これにより、制御装置は、走行開始後においても、電力線の抵抗が大きくなっているという異常を検知することができる。
以上により、電力線の抵抗が大きくなっているという異常を検知することができる。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例の電動自動車の電源装置のブロック図である。 実施例の検知処理を示すフローチャート図である。 第1異常通知を出力するケースAと、第2異常通知を出力するケースBと、を示す図である。
図面を参照して実施例の電動自動車の電源装置2を説明する。図1は、電源装置2のプロック図である。電源装置2は、電動自動車に搭載され、走行用のモータ6を駆動させる。なお、本明細書における「電動自動車」には、エンジンを備えず走行用のモータを備える電気自動車と、走行用のモータとエンジンとを共に備えるハイブリッド車との双方を含む。本実施例では、電気自動車に搭載された電源装置2を一例として説明する。
電源装置2は、メインバッテリ3と、システムメインリレー4と、インバータ5と、イグニション(IG)スイッチ14と、を備える。インバータ5は、メインバッテリ3とモータ6の間に接続されており、システムメインリレー4は、メインバッテリ3とインバータ5の間に接続されている。IGスイッチ14は、電気自動車を始動させるためのスイッチである。
メインバッテリ3は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池である。本
実施例では、メインバッテリ3の電圧は300ボルト(V)程度である。
システムメインリレー4は、メインバッテリ3と、インバータ5並びに後述する電圧コンバータ7との間の導通と非導通を切り換える。システムメインリレー4は、IGスイッチ14が押し下げられることにより、非導通から導通に切り換わる。これにより、メインバッテリ3の電力がインバータ5と電圧コンバータ7に供給される。なお、IGスイッチ14は、後述するサブバッテリ8に電力線13を介して接続されている。IGスイッチ14は、ユーザにより押し下げられると、サブバッテリ8の電力を利用して、システムメインリレー4に非導通から導通に切り替えるための信号を供給する。
インバータ5は、メインバッテリ3の直流電力をモータ6の駆動に適した交流電力に変換する。インバータ5の構成は、よく知られているので、説明を省略する。
電源装置2は、さらに、電圧コンバータ7と、サブバッテリ8と、制御装置10と、補機12と、を備える。電圧コンバータ7は、メインバッテリ3の出力電圧を降圧してサブバッテリ8に供給する。電圧コンバータ7の入力端(符号省略)は、システムメインリレー4を介して、メインバッテリ3に接続されており、出力端7d、7eは、サブバッテリ8に接続されている。具体的には、出力正極端7dは、正極電力線9aを介して、サブバッテリ8の正極端8dに接続されており、出力負極端7eは、負極電力線9bを介して、サブバッテリ8の負極端8eに接続されている。なお、以下では、正極電力線9aと負極電力線9bを総称して電力線9と称する。
サブバッテリ8は、鉛電池等の二次電池である。本実施例では、サブバッテリ8の電圧は13V〜14.5V程度である。サブバッテリ8は、制御装置10と、電圧コンバータ7の制御回路7bと、補機12に電力を供給する。また、サブバッテリ8の正極端8dには、正極端8dのバッテリ電圧Vbを計測するための電圧センサ8cが接続されている。また、サブバッテリ8の負極端8eとグランドを接続する配線には、当該配線を流れる電流Ibを計測するための電流センサ8fが配置されている。
制御装置10は、インバータ5及び電圧コンバータ7を制御する。また、制御装置10は、正極電力線9aの異常を検知するための検知処理(図2参照)を実行する。なお、本明細書では、電力線の異常は、断線異常と抵抗値異常を含む。断線異常は、電力線が完全に断線している状態である。抵抗値異常は、電力線とサブバッテリの端子との間の締結の緩みにより、あるいは、電力線が切れかかっていることにより、電力線の抵抗が通常より大きくなっている状態である。即ち、抵抗値異常では、断線しているとは限らない。
制御装置10は、スイッチ11を介して、正極電力線9aと負極電力線9bの間に接続されている。スイッチ11は、IGスイッチ14が押し下げられることにより、非導通から導通に切り換わる。これにより、サブバッテリ8の電力が制御装置10に供給され、制御装置10が起動する。なお、制御装置10は、電圧コンバータ7が動作している場合には、サブバッテリ8の電力及び電圧コンバータ7の電力のうちのいずれかを利用して、動作可能である。即ち、正極電力線9aのうちのサブバッテリ8と制御装置10との間の電力線に異常が発生しても、電圧コンバータ7の電力を利用して制御装置10の動作を継続することができる。
補機12は、パワーステアリング、ヘッドライト、エアコン等である。図1において、補機12を示す一つのボックスには、電気自動車の全ての補機が含まれる。
電圧コンバータ7の構成についてさらに説明する。電圧コンバータ7は、コンバータ回路7aと、制御回路7bと、電圧センサ7cと、電流センサ7fと、を備える。電圧センサ7cは、電圧コンバータ7の出力正極端7dに接続されており、出力正極端7dの電圧を計測する。電流センサ7fは、電圧コンバータ7の出力正極端7dに配置されており、出力正極端7dを流れる電流Icを計測する。
コンバータ回路7aは、トランスとトランジスタ等により構成される既知のDC−DCコンバータ回路である。コンバータ回路7aは、電圧コンバータ7の入力端と出力端の間に接続されている。コンバータ回路7aは、システムメインリレー4が非導通から導通に切り替えられると起動する。
制御回路7bは、コンバータ回路7aの出力電圧を制御するための回路である。制御回路7bは、正極電力線9aとは異なる電力線13を介して、サブバッテリ8に接続されており、当該電力線13を介して供給される電力により動作する。制御回路7bは、IGスイッチ14の押し下げに関わらず動作可能である。
制御回路7bは、サブバッテリ8の電圧センサ8cの値が制御装置10から指令される目標電圧となるように、コンバータ回路7aの出力電圧を制御する。また、制御回路7bは、電流センサ7fの値が上限電流Iu以下となるように、コンバータ回路7aの出力電力を制御する。上限電流Iuは、電圧コンバータ7が出力可能な上限値として設計時に設定される値である。例えば、制御回路7bは、補機12の消費電力が高い場合(例えば、サブバッテリ8から補機12に流れる電流が大きい場合)には、上限電流Iuを上限としてコンバータ回路7aの出力電流を上昇させる。
また、制御回路7bは、システムメインリレー4が非導通から導通に切り替えられると、コンバータ回路7aに電力を出力させる前に、正極電力線9aが断線しているか否かを判断する。具体的には、制御回路7bは、電圧センサ7cの電圧値がゼロボルト(あるいは実質的にゼロボルトとみなせる所定電圧以下)である場合に、正極電力線9aが断線していると判断し、正極電力線9aの断線を示す断線信号を制御装置10に供給する。一方、制御回路7bは、電圧センサ7cの電圧値がゼロボルトでない場合(あるいは上記した所定電圧より大きい場合)に、正極電力線9aが正常であると判断し、正常信号を制御装置10に供給する。そして、制御回路7bは、制御装置10から初期目標電圧を指令されると、バッテリ電圧Vbが初期目標電圧となるように、コンバータ回路7aからサブバッテリ8への電力の供給を開始する。これにより、制御装置10は、初期目標電圧を指令する前に、正極電力線9aが断線しているのか否かを判断することができる。
図2を参照して、制御装置10が実行する検知処理を説明する。検知処理は、IGスイッチ14が押し下げられて、スイッチ11が導通して、制御装置10が起動することをトリガとして開始される。
S10では、制御装置10は、電圧コンバータ7(即ち、制御回路7b)から断線信号を取得した場合(S10でYES)に、S12に進む。S12では、制御装置10は、正極電力線9aが断線していることを示す第1断線通知を報知装置(不図示)に出力し、インバータ5の動作を禁止する。報知装置は、ユーザに電力線9の異常を報知するための装置であり、例えば、インストルメントパネルの警告灯、ダイアグメモリ等である。これにより、ユーザは、報知装置を介して正極電力線9aの断線異常を知ることができる。そして、制御装置10は、初期目標電圧を電圧コンバータ7に供給することなく、検知処理を終了する。
一方、制御装置10は、電圧コンバータ7から断線信号を取得しなかった場合、即ち、正常通知を取得した場合(S10でNO)に、S20に進む。S20では、制御装置10は、電圧センサ8cから初期電圧Vb1を取得する。初期電圧Vb1は、初期目標電圧を電圧コンバータ7に指令する前、即ち、電圧コンバータ7からサブバッテリ8への電力の供給が開始される前のバッテリ電圧Vbである。初期目標電圧は、初期電圧Vb1より高い電圧であり、バッテリ電圧Vbの目標値である。
S22では、制御装置10は、初期目標電圧を電圧コンバータ7に指令する。これにより、電圧コンバータ7の制御回路7bは、サブバッテリ8の出力電圧が初期目標電圧となるように、コンバータ回路7aの出力電力を制御する。即ち、制御回路7bは、初期目標電圧の指令を受けると、コンバータ回路7aからサブバッテリ8への電力の供給を開始する。
S24では、制御装置10は、初期目標電圧を電圧コンバータ7に指令した後で電気自動車が走行を開始する前の期間に、電圧センサ8cから走行前電圧Vb2を取得する。走行前電圧Vb2は、当該期間におけるバッテリ電圧Vbである。電気自動車が走行を開始する前の期間は、例えば、電気自動車のシフトレバー(不図示)がPレンジからDレンジに切り替えられる前の期間である。
S26では、制御装置10は、走行前電圧Vb2が初期電圧Vb1より低いか否かを判断する。制御装置10は、走行前電圧Vb2が初期電圧Vb1より低い場合(S26でYES)に、S28に進む。初期電圧Vb1より高い電圧である初期目標電圧が指令されているにも関わらず、走行前電圧Vb2が初期電圧Vb1より低いことは、電力線9の抵抗値異常により、サブバッテリ8の充電が正常に実行されていない蓋然性が高いことを示す。S28では、制御装置10は、電力線9の抵抗値異常を示す第1異常通知を報知装置に出力する。これにより、ユーザは報知装置を介して電力線9に抵抗値異常が発生していることを知り、電気自動車を走行させる前に、抵抗値異常に対処することができる。
一方、制御装置10は、走行前電圧Vb2が初期電圧Vb1以上である場合(S26でNO)に、S30に進む。S30では、制御装置10は、電気自動車が走行を開始した後(即ち、シフトレバーがPレンジからDレンジに切り替えられた後)に、走行後電圧Vb3とコンバータ電流Ic3の監視を開始する。走行後電圧Vb3は、電気自動車が走行を開始した後におけるバッテリ電圧Vb(即ち、電圧センサ8cの値)である。コンバータ電流Ic3は、電気自動車が走行を開始した後に電圧コンバータ7の出力正極端7dに流れる電流(即ち、電流センサ7fの値)である。
S32では、制御装置10は、走行後電圧Vb3が初期電圧Vb1より低いか否かを判断する。制御装置10は、走行後電圧Vb3が初期電圧Vb1より低い場合(S32でYES)に、S34に進む。走行後電圧Vb3が初期電圧Vb1より低いことは、何らかの原因により、サブバッテリ8の正極端8dの電圧が初期目標電圧まで到達していないことを示す。何らかの原因は、正極電力線9aの異常、若しくは、補機12の消費電力が高いことのいずれかである。制御装置10は、S34以降の処理により初期目標電圧に到達しない原因を特定する。一方、制御装置10は、走行後電圧Vb3が初期電圧Vb1以上である場合(S32でNO)に、S30に戻り、走行後電圧Vb3とコンバータ電流Ic3の監視を継続する。
S34では、制御装置10は、コンバータ電流Ic3が上限電流Iuより小さいか否かを判断する。制御装置10は、コンバータ電流Ic3が上限電流Iuより小さい場合(S34でYES)に、上記の特定の原因が正極電力線9aの異常であると判断して、S40に進む。一方、コンバータ電流Ic3が上限電流Iuである場合は(S34でNO)、次に説明するS40以降の抵抗値異常の確認処理が実行できないので、その場合には、S30に戻り、走行後電圧Vb3とコンバータ電流Ic3の監視を繰り返す。なお、コンバータ電流Ic3が上限電流Iuであることは、補機12の消費電力が高い蓋然性が高いことを示す。
コンバータ電流Ic3が上限電流Iuより小さい場合(S34でYES)に、制御装置10は、S40に進む。S40では、制御装置10は、特別目標電圧を電圧コンバータ7に指令する。特別目標電圧は、走行後電圧Vb3より大きく、かつ、初期目標電圧より大きい値である。電圧コンバータ7の制御回路7bは、制御装置10から特別目標電圧が指令されると、電圧コンバータ7の出力が特別目標電圧に一致するようにコンバータ回路7aを制御する。
S42では、制御装置10は、電圧センサ8cから指令後電圧Vb4を取得する。指令後電圧Vb4は、特別目標電圧を電圧コンバータ7に指令してから所定の時間が経過した後のバッテリ電圧Vbである。
S44では、制御装置10は、指令後電圧Vb4が、初期電圧Vb1より低く、かつ、閾値電圧Vthよりも低いか否かを判断する。ここで、閾値電圧Vthは、特別目標電圧(図2のS44では記号Vt2で表している)から所定の電圧マージン(図2のS44では記号dVmで表している)を引いた電圧である。電圧マージンdVmは、例えば、電圧コンバータ7の正極出力端7dとサブバッテリ8の正極端8dの間の正極電力線9aの正常時の抵抗成分による電圧降下分よりもわずかに大きい値に設定されている。正極電力線9aが正常であれば、電圧コンバータ7の出力上昇に応じてサブバッテリ8の指令後電圧Vb4も上昇し、指令後電圧Vb4は閾値電圧Vthを超えるはずである。この場合、S44の判断はNOとなる。
一方、S44の判断がYESの場合、即ち、指令後電圧Vb4が初期電圧Vb1よりも低く、かつ、閾値電圧Vthよりも低い場合とは、電圧コンバータ7の出力が増加されたにもかかわらず、サブバッテリ8の指令後電圧Vb4が期待するほど高くないことを示す。この場合、正極電力線9aに異常が生じてその抵抗値が増大している蓋然性が高い。制御装置10は、S44の判断がYESの場合、S46に進む。
S46では、制御装置10は、正極電力線9aの異常(即ち、断線異常又は抵抗値異常)を示す第2異常通知を報知装置に出力する。これにより、ユーザは報知装置を介して正極電力線9aに異常が発生していることを知り、電気自動車を停止させて、異常に対処することができる。S46が終了すると、図2の処理が終了する。
他方、S44の判断がNOの場合、即ち、サブバッテリ8の指令後電圧Vb4が初期電圧Vb1以上であるか、あるいは、指令後電圧Vb4が閾値電圧Vthよりも高い場合は、正極電力線9aは正常である蓋然性が高く、制御装置10はS50の処理へ進む。次のS50、S52、S54は、負極電力線9bの断線チェック処理である。
S50では、制御装置10は、電流センサ8fからバッテリ電流Ib3を取得する。バッテリ電流Ib3は、電気自動車が走行を開始した後にサブバッテリ8の負極端8eに流れる電流である。
S52では、制御装置10は、バッテリ電流Ib3の絶対値が所定の電流値Ib0(例えば、実質的に0Aの値)以下であるか否かを判断する。制御装置10は、バッテリ電流Ib3の絶対値が所定の電流値Ib0以下である場合(S52でYES)に、電力負極線9bが断線していると判断して、S54に進む。S54では、制御装置10は、負極電力線9bが断線していることを示す第2断線通知を報知装置に出力し、処理を終了する。一方、制御装置10は、バッテリ電流Ib3の絶対値が所定の電流値Ib0より大きい場合(S52でNO)に、負極電力線9bが断線していないと判断して、S30の監視に戻る。
正極電力線9aで抵抗値異常が発生していない場合、S30から始まる監視処理が定期的に繰り返される。図2には図示していないが、その繰り返しは、車両のIGスイッチ14がオフされると終了する。
図3を参照して、図2の検知処理によって実現される具体的なケースを説明する。図3は、第1異常通知が出力されるケースAと、第2異常通知が出力されるケースBを示す。各ケースのグラフでは、横軸が時間を表わし、縦軸が電圧センサ8cの値(即ち、バッテリ電圧Vb)を表わす。
ケースAでは、IGスイッチ14を押し下げる前(即ち、電気自動車が始動する前)に、正極電力線9aに断線異常ではなく抵抗値異常が発生している。制御装置10は、IGスイッチ14が押し下げられると、電圧センサ7cの電圧値がゼロボルトでないので、正常信号を受信する(S10でNO)。制御装置10は、時間t1で、初期電圧Vb1を取得し(S20)、初期目標電圧Vt1を電圧コンバータ7に指令する(S22)。そして、制御装置10は、時間t2で、走行前電圧Vb2を取得する(S24)。
本ケース(ケースA)では、正極電力線9aに抵抗値異常が発生している。このため、IGスイッチ14が押し下げられて補機12が電力消費を開始するにも関わらず、時間t1以降にサブバッテリ8が充電されず、バッテリ電圧Vbが低下する。制御装置10は、走行前電圧Vb2が初期電圧Vb1より低いので(S26でYES)、第1異常通知を報知装置に出力する。このように、制御装置10は、電気自動車の走行前において、正極電力線9aの異常(即ち、正極電力線9aの抵抗値異常)を検知して、ユーザに知らせることができる。
ケースBでは、電気自動車が始動する前に、正極電力線9aに異常が発生していない。このため、時間t1以降に、サブバッテリ8が充電され、バッテリ電圧Vbが初期目標電圧Vt1まで上昇する。制御装置10は、走行前電圧Vb2が初期電圧Vb1以上であるので(S26でNO)、走行後電圧Vb3とコンバータ電流Ic3の監視を開始する(S30)。
本ケース(ケースB)では、電気自動車が走行を開始した後に正極電力線9aに異常(断線異常又は抵抗値異常)が発生する。時刻t3での走行後電圧Vb3は初期電圧Vb1より低く(S32でYES)、かつ、時刻t3でのコンバータ電流Ic3が上限電流Iuより小さい(S34でYES)。このため、制御装置10は、特別目標電圧Vt2を電圧コンバータ7に指令する(S40)。
正極電力線9aの異常によりサブバッテリ8が充電されないので、時刻t4での指令後電圧Vb4は、初期電圧Vb1より低く、かつ、閾値電圧Vthより低い(S44でYES)。なお、閾値電圧Vthは、特別目標電圧Vt2から所定の電圧マージンdVmを引いた値である。このため、制御装置10は、第2異常通知を報知装置に出力する(S46)。このように、制御装置10は、電気自動車の走行後において、正極電力線9aの異常を検知して、ユーザに知らせることができる。
初期電圧Vb1、初期目標電圧、走行前電圧Vb2、第1異常通知が、それぞれ、「第1電圧」、「第1目標電圧」、「第2電圧」、「第1通知」の一例である。走行後電圧Vb3、特別目標電圧、指令後電圧Vb4、閾値電圧Vthが、それぞれ、「第3電圧」、「第2目標電圧」、「第4電圧」、「第5電圧」の一例である。
以下、実施例で示した技術に関する留意点を述べる。図2のS10、S12の処理は実行されなくてもよい。また、S34の処理も実行されなくてもよい。この場合、制御装置10は、コンバータ電流Ic3の値に関わらず(即ち、補機12の消費電力に関わらず)、S32の条件が満たされる場合に、S40以降の処理を実行してもよい。また、S50〜S54の処理は実行されなくてもよい。
また、制御装置10は、制御装置10の入力端の電圧Vaを計測するための電圧センサを備えていてもよい。この場合、制御装置10は、図2のS20、S24、S26、S30、S32、S44において、サブバッテリ8の電圧センサ8cの値だけでなく、電圧Vaを計測する電圧センサの値を利用してもよい。例えば、制御装置10は、S26において、走行前電圧Vb2が初期電圧Vb1より低く、かつ、電圧Vaを計測する電圧センサの走行前電圧Va2が電圧Vaを計測する電圧センサの初期電圧Va1より低い場合に、YESと判断して、S28に進み、それ以外の場合に、NOと判断して、S30に進んでもよい。バッテリ電圧Vbと理論的に等価な電圧Vaでも判断することで、S26における判断の精度を向上させることができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2 :電源装置
3 :メインバッテリ
4 :システムメインリレー
5 :インバータ
6 :モータ
7 :電圧コンバータ
7a :コンバータ回路
7b :制御回路
7c :電圧センサ
7d :出力正極端
7e :出力負極端
7f :電流センサ
8 :サブバッテリ
8c :電圧センサ
8d :正極端
8e :負極端
8f :電流センサ
9 :電力線
9a :正極電力線
9b :負極電力線
10 :制御装置
11 :スイッチ
12 :補機
13 :電力線
14 :イグニションスイッチ
Vb1 :初期電圧
Vb2 :走行前電圧
Vb3 :走行後電圧
Vb4 :指令後電圧
dVm :電圧マージン
Vt1 :初期目標電圧
Vt2 :特別目標電圧
Vth :閾値電圧

Claims (1)

  1. 電動自動車の電源装置であり、
    メインバッテリの出力電圧を降圧してサブバッテリへ電力を供給する電圧コンバータと、
    前記電圧コンバータの出力正極端と前記サブバッテリのバッテリ正極端を接続する電力線と、
    前記電圧コンバータを制御するとともに、当該電源装置の異常を検知する制御装置と、
    を備えており、
    前記制御装置は、
    前記電圧コンバータの起動の際に、前記バッテリ正極端の第1電圧よりも高い第1目標電圧を前記電圧コンバータに指令し、
    前記電圧コンバータの起動後で走行前の前記バッテリ正極端の第2電圧が前記第1電圧よりも低い場合に前記電力線の異常を示す第1通知を出力し、
    走行開始後の前記バッテリ正極端の第3電圧が前記第1電圧よりも低い場合に前記第3電圧よりも高い第2目標電圧を前記電圧コンバータに指令し、
    前記第2目標電圧の指令後の前記バッテリ正極端の第4電圧が、前記第1電圧よりも低く、かつ、前記第2目標電圧から所定の電圧マージンを引いた第5電圧よりも低い場合に前記電力線の異常を示す第2通知を出力する、
    電源装置。
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