[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
図1には、本発明の第一実施形態に係る燃料電池システムS1がブロック図にて示されている。図1に示されるように、第一実施形態に係る燃料電池システムS1は、燃料電池モジュール10と、貯湯タンク20と、熱交換器22と、凝縮水タンク24と、水位センサ26と、加熱温度センサ28と、循環ポンプ30と、制御装置32とを備える。
燃料電池モジュール10は、気化器12と、改質器14と、燃料電池16(セルスタック)とを有する。この燃料電池モジュール10は、原料ガス供給経路34、酸化剤ガス供給経路36、及び、改質水供給経路38と接続されている。燃料電池モジュール10には、原料ガス供給経路34、酸化剤ガス供給経路36、及び、改質水供給経路38を通じて原料ガス、酸化剤ガス、及び、改質水がそれぞれ供給される。
原料ガス供給経路34には、原料ガスを流通させるブロワ40が設けられており、酸化剤ガス供給経路36には、酸化剤ガスを流通させるブロワ42が設けられている。また、改質水供給経路38には、改質水を流通させるポンプ44が設けられている。原料ガス供給経路34を流通する原料ガスとしては、例えば、都市ガス、液化石油ガス、バイオガスなどのメタンを含む炭化水素系ガスが使用される。
改質水供給経路38を流通する改質水は、燃料電池モジュール10に設けられた気化器12によって気化され、気化器12にて改質水が気化されて生じた水蒸気は、改質器14に供給される。また、改質器14には、原料ガス供給経路34を通じてメタンを含む炭化水素系の原料ガスが供給される。この改質器14には、水蒸気改質器が適用されている。
そして、改質器14では、改質水が気化されて生じた水蒸気を利用して原料ガスが水蒸気改質され、水素を含む改質ガスが生成される。メタンを含む炭化水素系ガスが原料ガスとして使用された場合、改質器14における水蒸気改質反応は、下記式(1)の通りである。
CH4+H2O→CO+3H2・・・・(1)
燃料電池16には、一例として、固体酸化物形燃料電池が適用されている。この燃料電池16は、例えば、セルスタックであり、積層された複数のセルを有している。各セルは、燃料極、電解質層、空気極を有している。各セルの燃料極には、改質器14にて生成された改質ガスが供給され、各セルの空気極には、酸化剤ガス(空気)が供給される。
空気極では、下記式(2)で示されるように、酸化剤ガス中の酸素と電子とが反応して酸素イオンが生成される。この酸素イオンは、電解質層を通って燃料極に到達する。
(空気極反応)
1/2O2+2e−→O2−・・・(2)
一方、燃料極では、下記式(3)及び式(4)で示されるように、電解質層を通ってきた酸素イオンが改質ガス中の水素及び一酸化炭素と反応し、水及び二酸化炭素と、電子が生成される。燃料極で生成された電子は、外部回路を通って空気極に到達する。
そして、このようにして電子が燃料極から空気極に移動することにより、各セルにおいて発電される。また、各セルは、発電時に上記電気化学反応に伴って発熱する。この発熱により、燃料極で生成された水は、水蒸気となる。このため、燃料極にて発生するアノードオフガスには、水蒸気が含まれている。燃料電池16から排ガス経路46を通じて排出される排ガスには、水蒸気を含むアノードオフガスが含まれている。
(燃料極反応)
H2 +O2−→H2O+2e−・・・(3)
CO+O2−→CO2+2e−・・・(4)
熱交換器22は、排ガス経路46を介して燃料電池16と接続されると共に、貯湯循環経路48を介して貯湯タンク20と接続されている。「冷媒供給部」の一例である貯湯タンク20には、湯水が貯留されており、貯湯タンク20と熱交換器22との間では、貯湯循環経路48を通じて湯水が循環する。この湯水は、熱交換器22にて排ガスと熱交換する冷媒として機能する。以下、湯水を冷媒として称して説明する。
燃料電池16から排ガス経路46を通じて排出された排ガスが熱交換器22に供給されると共に、貯湯循環経路48を通じて冷媒が熱交換器22に供給されると、熱交換器22では、排ガスと冷媒との間で熱交換が行われる。そして、排ガスに含まれる水蒸気が凝縮し凝縮水が生成される。
凝縮水タンク24は、凝縮水経路50を介して熱交換器22と接続されている。この凝縮水タンク24には、熱交換器22にて生成された凝縮水が貯留される。また、この凝縮水タンク24は、上述の改質水供給経路38を介して燃料電池モジュール10と接続されている。凝縮水タンク24に貯留された凝縮水は、改質水供給経路38を通じて燃料電池モジュール10に改質水として供給される。凝縮水経路50には、排気経路52が接続されており、排ガスに含まれるガス成分は、排気経路52を通じて凝縮水経路50から排出される。
水位センサ26は、凝縮水タンク24の水位を検出するためのものであり、Hレベル検出部54と、Lレベル検出部56とを有する。Hレベル検出部54及びLレベル検出部56は、それぞれ凝縮水タンク24の高位レベル(Hレベル)及び低位レベル(Lレベル)に対応する高さに設けられている。以降、凝縮水タンク24の高位レベルをHレベルと称し、凝縮水タンク24の低位レベルをLレベルと称する。Hレベルは、予め定められる「規定高位レベル」に相当し、Lレベルは、予め定められる「規定低位レベル」に相当する。Hレベル検出部54及びLレベル検出部56は、凝縮水タンク24の水位がHレベル及びLレベルに達している場合に、それぞれ検出信号を出力する。
具体的には、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上である場合には、Hレベル検出部54及びLレベル検出部56の両方から検出信号が出力され、凝縮水タンク24の水位がHレベル未満でLレベル以上である場合には、Lレベル検出部56のみから検出信号が出力される。また、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合には、Hレベル検出部54及びLレベル検出部56のいずれからも検出信号が出力されない。凝縮水タンク24のHレベルは、例えば、凝縮水タンクの貯水率が80%の高さに設定され、凝縮水タンク24のLレベルは、例えば、凝縮水タンクの貯水率が40%の高さに設定される。
加熱温度センサ28は、貯湯循環経路48を構成する冷媒供給経路60及び冷媒回収経路62のうち、冷媒回収経路62に設けられている。この加熱温度センサ28は、冷媒回収経路62における熱交換器22の出口近傍に設けられている。この加熱温度センサ28は、熱交換器22において排ガスによって加熱された冷媒の加熱温度(加熱後の温度)を検出し、加熱温度に応じた検出信号を出力する。
循環ポンプ30は、一例として、冷媒供給経路60に設けられている。循環ポンプ30が作動すると、貯湯循環経路48を通じて貯湯タンク20と熱交換器22との間で冷媒が循環する。循環ポンプ30は、回転数を調節可能となっており、循環ポンプ30の回転数が調節されることにより、冷媒の循環流量が調節される。
制御装置32は、例えば演算装置や記憶装置等を有する電子回路を備える。この制御装置32の記憶部には、水位センサ26の検出信号、及び、加熱温度センサ28の検出信号に基づいて循環ポンプ30を制御するためのプログラムが記憶されている。制御装置32の演算装置は、そのプログラムを実行して、循環ポンプ30の回転数を調節する。
循環ポンプ30の回転数が調節されると、冷媒の循環流量が調節される。また、冷媒の循環流量が調節されると、排ガスと冷媒との間で熱交換される熱量が調節され、ひいては、排ガスに含まれる水蒸気が凝縮して得られる凝縮水の生成量が調節される。
ここで、図2には、冷媒の循環流量と冷媒の加熱温度との関係の一例が示されている。図2に示されるように、冷媒の循環流量が増加すると、冷媒の加熱温度が下がり、冷媒の循環流量が減少すると、冷媒の加熱温度が上昇する。このように、冷媒の循環流量と冷媒の加熱温度との間には、相関関係がある。
また、図3には、冷媒の加熱温度と凝縮水の生成量との関係の一例が示されている。図3に示されるように、水蒸気を含む高温流体である排ガスの場合、冷媒の加熱温度が低下すると、排ガスと冷媒との温度差が広がることで排ガスと冷媒との間の熱交換が促進され、凝縮水の生成量が増加する。一方、冷媒の加熱温度が上昇すると、排ガスと冷媒との温度差が縮まることで排ガスと冷媒との間の熱交換が抑制され、凝縮水の生成量が減少する。このように、冷媒の加熱温度と凝縮水の生成量との間にも相関関係がある。
制御装置32は、上述の冷媒の循環流量と冷媒の加熱温度との間の相関関係、及び、冷媒の加熱温度と凝縮水の生成量との間の相関関係を利用し、冷媒の循環流量を調節することにより、冷媒の加熱温度、ひいては、熱交換器22にて得られる凝縮水の生成量を調節する。
熱交換器22にて生成された凝縮水は、上述の如く、凝縮水タンク24を経て燃料電池モジュール10に改質水として供給される。凝縮水が不足すると、燃料電池モジュール10に供給される改質水が不足し、改質器14にて所望の量の改質ガスを得られなくなる。このため、改質水に不足が生じないようにする必要がある。
一方、凝縮水が過剰に生成されると、過剰な凝縮水をシステム外部に排出する必要があり、そのためには、システム内部に排水経路が必要になると共に、システム外部にも排水を排水升等へ導くための配管設備等が必要になる。この場合には、排水勾配を設けるか又は排水ポンプが必要になり、システム内部の構成に制約が生じることになる。さらに、システム設置箇所の近傍には排水設備が必要になり、システム設置環境にも制約が生じると共に、システム外部の機器の複雑化に伴いシステム設置作業の高コスト化を招くことになる。
そこで、制御装置32は、凝縮水に過不足が生じないように、水位センサ26の検出信号、及び、加熱温度センサ28の検出信号に基づいて循環ポンプ30を制御する。具体的には、制御装置32は、水位センサ26の検出信号に基づいて、冷媒の加熱温度の目標値を設定すると共に、設定された目標値に冷媒の加熱温度が一致するように、加熱温度センサ28の検出信号に基づいて循環ポンプ30を制御する。
図4には、排ガスが所定の温度である場合の熱交換器に供給される冷媒の温度と冷媒の加熱温度と凝縮水の生成量との関係の一例が示されている。この場合の所定の温度は、例えば、燃料電池モジュール10が定常運転しているときの平均的な温度であり、具体的には、例えば、230℃である。図4において、折れ線グラフGは、システムにとって過不足の無い凝縮水(改質水)の量を表している。また、折れ線グラフGの下側は、凝縮水が過多である状態を示し、折れ線グラフGの上側は、凝縮水(改質水)が不足している状態を示している。
制御装置32は、折れ線グラフGで示される量の凝縮水が得られるように、循環ポンプ30を制御して、冷媒の循環流量、ひいては、冷媒の加熱温度を調節する。折れ線グラフGで示される凝縮水の生成量は、凝縮水(改質水)に過不足の無い適正な値である。
図5には、第一実施形態における凝縮水タンク24の水位と、それに対応する制御内容との関係の一例が示されている。図5に示されるように、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上である場合には、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を85℃に設定し、凝縮水タンク24の水位がHレベル未満でLレベル以上である場合には、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を75℃に設定し、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合には、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を65℃に設定する。
次に、本発明の第一実施形態において、凝縮水の生成量を調節するための制御装置32のより具体的な動作について説明する。
図6には、第一実施形態における制御装置32の動作の流れの一例がフローチャートにて示されている。制御装置32は、上述のプログラムを実行することで、図6に示されるステップS1−1〜ステップS1−6を繰り返し実行する。
ステップS1−1では、制御装置32が、水位センサ26の検出信号に基づいて、凝縮水タンク24に貯留された凝縮水の水位を計測する。具体的には、制御装置32は、Hレベル検出部54及びLレベル検出部56の両方から検出信号が出力される場合には、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上であるとし、Lレベル検出部56のみから検出信号が出力される場合には、凝縮水タンク24の水位がHレベル未満でLレベル以上であるとし、Hレベル検出部54及びLレベル検出部56のいずれからも検出信号が出力されない場合には、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満であるとする。
ステップS1−2では、制御装置32が、ステップS1−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLレベル以上であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、ステップS1−1にて計測した凝縮水の水位がLレベル以上であると判断した場合には、ステップS1−3に移行する。
ステップS1−3では、制御装置32が、ステップS1−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がHレベル未満であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、ステップS1−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がHレベル未満であると判断した場合には、ステップS1−4に移行する。
ステップS1−4では、制御装置32が、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を75℃に設定する。そして、制御装置32は、冷媒の加熱温度TOUTが目標値である75℃になるように、加熱温度センサ28からの検出信号に基づいて循環ポンプ30を制御し、冷媒の循環流量を調節する。これにより、凝縮水(改質水)の生成量が過不足の無い適正な量に調節される。
一方、ステップS1−3において、制御装置32は、ステップS1−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がHレベル以上であると判断した場合には、ステップS1−5に移行する。
ステップS1−5では、制御装置32が、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を85℃に設定する。そして、制御装置32は、冷媒の加熱温度TOUTが目標値である85℃になるように、加熱温度センサ28からの検出信号に基づいて循環ポンプ30を制御し、冷媒の循環流量を調節する。これにより、凝縮水(改質水)の生成量が過不足の無い適正な量に調節される。
また、ステップS1−2において、制御装置32は、ステップS1−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLレベル未満であると判断した場合には、ステップS1−6に移行する。
ステップS1−6では、制御装置32が、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を65℃に設定する。そして、制御装置32は、冷媒の加熱温度TOUTが目標値である65℃になるように、加熱温度センサ28からの検出信号に基づいて循環ポンプ30を制御し、冷媒の循環流量を調節する。これにより、凝縮水(改質水)の生成量が過不足の無い適正な量に調節される。
このように、制御装置32は、凝縮水(改質水)を過不足の無い適正な量にするために、水位センサ26の検出信号に基づいて、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を設定する。つまり、凝縮水タンク24の水位が減少する場合には、水位センサ26の検出信号に基づいて冷媒の加熱温度TOUTの目標値を低く設定し、凝縮水タンク24の水位が増加する場合には、水位センサ26の検出信号に基づいて目標値を高く設定する。そして、設定された目標値に冷媒の加熱温度TOUTが一致するように、加熱温度センサ28の検出信号に基づいて循環ポンプ30を制御する。
次に、本発明の第一実施形態の作用及び効果について説明する。
以上詳述したように、第一実施形態に係る燃料電池システムS1では、凝縮水タンク24の水位が減少する場合には、冷媒の循環流量が増加するように、循環ポンプ30が制御される。このように冷媒の循環流量が増加すると、冷媒の加熱温度TOUTが低下し、排ガスと冷媒との温度差が広がることで排ガスと冷媒との間の熱交換が促進され、凝縮水の生成量が増加する。したがって、凝縮水タンク24の水位の減少を抑制することができる。
一方、凝縮水タンク24の水位が増加する場合には、冷媒の循環流量が減少するように、循環ポンプ30が制御される。このように冷媒の循環流量が減少すると、冷媒の加熱温度TOUTが上昇し、排ガスと冷媒との温度差が縮まることで排ガスと冷媒との間の熱交換が抑制され、凝縮水の生成量が減少する。したがって、凝縮水タンク24の水位の増加を抑制することができる。
このように、第一実施形態に係る燃料電池システムS1によれば、凝縮水タンク24の水位が減少する場合には、凝縮水の生成量が増加し、凝縮水タンク24の水位の減少を抑制することができる。また、凝縮水タンク24の水位が増加する場合には、凝縮水の生成量が減少し、凝縮水タンク24の水位の増加を抑制することができる。これにより、凝縮水(改質水)を過不足の無い適正な量に調節することができる。
したがって、過剰な凝縮水を排水経路によりシステム外部に排出する必要が無いので、システム内部の排水経路が不要になると共に、システム外部の配管設備等も不要になる。これにより、システム内部の設計自由度を向上させることができると共に、システムの設置性向上と設置コスト削減を実現することができる。
しかも、燃料電池システムによれば、凝縮水タンク24の水位に応じて冷媒の加熱温度TOUTの目標値が設定される。この目標値は、凝縮水タンク24の水位が適正な水位になるように設定される。そして、この設定された目標値に冷媒の加熱温度TOUTが一致するように、循環ポンプ30が制御され、冷媒の循環流量が調節される。これにより、凝縮水タンク24の水位を適正な水位に保つことができる。
[第二実施形態]
図7には、本発明の第二実施形態に係る燃料電池システムS2がブロック図にて示されている。図7に示される第二実施形態に係る燃料電池システムS2は、上述の第一実施形態に係る燃料電池システムS1に対し、次のように構成が変更されている。
すなわち、第二実施形態に係る燃料電池システムS2には、ラジエータ70及び冷媒温度センサ72が追加されている。ラジエータ70は、冷媒供給経路60に設けられている。このラジエータ70は、熱交換器22に供給される冷媒を冷却するように作動する。このラジエータ70には、例えば、冷媒が流通する熱交換部とファンが設けられており、ファンが作動することで熱交換部に供給される冷媒が冷却される。ラジエータ70が作動すると、熱交換器22に供給される冷媒が冷却されるので、排ガスと冷媒との間の熱交換が促進され、凝縮水の生成量が増加する。
冷媒温度センサ72は、貯湯循環経路48を構成する冷媒供給経路60及び冷媒回収経路62のうち、冷媒供給経路60に設けられている。この冷媒温度センサ72は、冷媒供給経路60における熱交換器22の入口近傍に設けられている。この冷媒温度センサ72は、熱交換器22に供給される冷媒の温度に応じた検出信号を出力する。
制御装置32は、凝縮水に過不足が生じないように、水位センサ26の検出信号、加熱温度センサ28の検出信号、及び、冷媒温度センサ72の検出信号に基づいて循環ポンプ30及びラジエータ70を制御する。具体的には、制御装置32は、水位センサ26の検出信号に基づいて、冷媒の加熱温度の目標値を設定すると共に、設定された目標値に冷媒の加熱温度が一致するように、加熱温度センサ28の検出信号に基づいて循環ポンプ30を制御する。また、制御装置32は、水位センサ26の検出信号及び冷媒温度センサ72の検出信号に基づいて、ラジエータ70の作動の要否を決定すると共に、この決定に基づいてラジエータ70を制御する。
図8には、第二実施形態における凝縮水タンク24の水位と、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINと、それらに対応する制御内容との関係の一例が示されている。図8に示されるように、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上である場合には、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を85℃に設定すると共に、ラジエータ70を停止状態(OFF)とする。また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル未満でLレベル以上である場合には、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を75℃に設定すると共に、ラジエータ70を停止状態とする。また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合には、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を65℃に設定すると共に、ラジエータ70を作動(ON)させる。
次に、本発明の第二実施形態において、凝縮水の生成量を調節するための制御装置32のより具体的な動作について説明する。
図9には、第二実施形態における制御装置32の動作の流れの一例がフローチャートにて示されている。制御装置32は、図9に示されるステップS2−1〜ステップS2−8を繰り返し実行する。
ステップS2−1では、制御装置32が、水位センサ26の検出信号に基づいて、凝縮水タンク24に貯留された凝縮水の水位を計測し、ステップS2−2では、制御装置32が、ステップS2−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLレベル以上であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、ステップS2−1にて計測した凝縮水の水位がLレベル以上であると判断した場合には、ステップS2−3に移行する。
ステップS2−3では、制御装置32が、ラジエータ70を停止状態(OFF)とする。そして、制御装置32は、ステップS2−4に移行する。ステップS2−4〜ステップS2−6は、上述の第一実施形態におけるステップS1−3〜ステップS1−5と同様である。
一方、ステップS2−2において、制御装置32は、ステップS2−1にて計測した凝縮水の水位がLレベル未満であると判断した場合には、ステップS2−7に移行する。
ステップS2−7では、制御装置32が、ラジエータ70を作動(ON)させる。そして、制御装置32は、ステップS2−8に移行する。ステップS2−8は、上述の第一実施形態におけるステップS1−6と同様である。
このように、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合には、ラジエータ70を作動させる。ラジエータ70が作動すると、熱交換器22に供給される冷媒が冷却されるので、排ガスと冷媒との間の熱交換が促進され、凝縮水の生成量が増加する。
次に、本発明の第二実施形態の作用及び効果について、第一実施形態とは異なる点を説明する。
以上詳述したように、第二実施形態に係る燃料電池システムS2によれば、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合、すなわち、凝縮水タンク24の凝縮水(改質水)が不足しそうな場合に、ラジエータ70が作動する。したがって、ラジエータ70が作動することで、熱交換器22に供給される冷媒が冷却されるので、排ガスと冷媒との間の熱交換が促進され、凝縮水の生成量が増加する。これにより、凝縮水タンク24の水位をLレベル以上にすることができる。
[第三実施形態]
本発明の第三実施形態は、上述の第二実施形態に対し、制御装置32の動作が異なる。なお、第三実施形態に係る燃料電池システムS3については、図7を参照することにする。
図10には、第三実施形態における凝縮水タンク24の水位と、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINと、それらに対応する制御内容との関係の一例が示されている。図10に示されるように、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上である場合には、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINに関わらず、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を85℃に設定すると共に、ラジエータ70を停止状態(OFF)とする。また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル未満でLレベル以上である場合には、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINに関わらず、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を75℃に設定すると共に、ラジエータ70を停止状態とする。
また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃未満であるときには、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を65℃に設定すると共に、ラジエータ70を停止状態とする。また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃以上であるときには、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を65℃に設定すると共に、ラジエータ70を作動(ON)させる。
なお、第三実施形態において、冷媒の温度TIN=35℃は、ラジエータ70を作動させるか否かの一指標となる「規定上限温度」の一例である。
次に、本発明の第三実施形態において、凝縮水の生成量を調節するための制御装置32のより具体的な動作について説明する。
図11には、第三実施形態における制御装置32の動作の流れの一例がフローチャートにて示されている。制御装置32は、図11に示されるステップS3−1〜ステップS3−10を繰り返し実行する。
ステップS3−1では、制御装置32が、水位センサ26の検出信号に基づいて、凝縮水タンク24に貯留された凝縮水の水位を計測し、ステップS3−2では、制御装置32が、ステップS3−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLレベル以上であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、ステップS3−1にて計測した凝縮水の水位がLレベル以上であると判断した場合には、ステップS3−3に移行する。
ステップS3−3では、制御装置32が、ラジエータ70を停止状態(OFF)とする。そして、制御装置32は、ステップS3−4に移行する。ステップS3−4〜ステップS3−6は、上述の第一実施形態におけるステップS1−3〜ステップS1−5(第二実施形態におけるステップS2−4〜ステップS2−6)と同様である。
一方、ステップS3−2において、制御装置32は、ステップS3−1にて計測した凝縮水の水位がLレベル未満であると判断した場合には、ステップS3−7に移行する。
ステップS3−7では、制御装置32が、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃未満であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃未満であると判断した場合には、ステップS3−8に移行する。
ステップS3−8では、制御装置32が、ラジエータ70を停止状態(OFF)とする。そして、制御装置32は、ステップS3−9に移行する。ステップS3−9は、上述の第一実施形態におけるステップS1−6(第二実施形態におけるステップS2−8)と同様である。
一方、ステップS3−7において、制御装置32は、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃以上であると判断した場合には、ステップS3−10に移行する。
ステップS3−10では、制御装置32が、ラジエータ70を作動(ON)させる。そして、制御装置32は、ステップS3−9に移行する。
このように、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満で、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃以上である場合には、ラジエータ70を作動させる。ラジエータ70が作動すると、熱交換器22に供給される冷媒が冷却されるので、排ガスと冷媒との間の熱交換が促進され、凝縮水の生成量が増加する。
次に、本発明の第三実施形態の作用及び効果について、第一実施形態とは異なる点を説明する。
以上詳述したように、第三実施形態に係る燃料電池システムS3によれば、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満で、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃以上である場合、すなわち、凝縮水タンク24の凝縮水(改質水)が不足しそうな場合には、ラジエータ70が作動する。したがって、ラジエータ70が作動することで、熱交換器22に供給される冷媒が冷却されるので、排ガスと冷媒との間の熱交換が促進され、凝縮水の生成量が増加する。これにより、凝縮水タンク24の水位をLレベル以上にすることができる。
[第四実施形態]
図12には、本発明の第四実施形態に係る燃料電池システムS4がブロック図にて示されている。図12に示される第四実施形態に係る燃料電池システムS4は、上述の第一実施形態に係る燃料電池システムS1に対し、次のように構成が変更されている。
すなわち、第四実施形態に係る燃料電池システムS4には、バイパス流路80、流量調節弁82、及び、冷媒温度センサ72が追加されている。バイパス流路80は、貯湯タンク20から熱交換器22に冷媒が流れる冷媒供給経路60と、熱交換器22から貯湯タンク20に冷媒が流れる冷媒回収経路62とを連結する。
流量調節弁82は、バイパス流路80に設けられている。流量調節弁82が開放されると、冷媒供給経路60と冷媒回収経路62とを連結するバイパス流路80に冷媒が流れることで、冷媒供給経路60を通じて熱交換器22に供給される冷媒の温度が上昇する。流量調節弁82には、電磁弁が適用されている。この流量調節弁82は、バイパス流路80を流れる冷媒の流量を調節可能である。
冷媒温度センサ72は、上述の第二実施形態の冷媒温度センサ72と同様である。この冷媒温度センサ72は、熱交換器22に供給される冷媒の温度に応じた検出信号を出力する。
制御装置32は、凝縮水に過不足が生じないように、水位センサ26の検出信号、加熱温度センサ28の検出信号、及び、冷媒温度センサ72の検出信号に基づいて循環ポンプ30及び流量調節弁82を制御する。具体的には、制御装置32は、水位センサ26の検出信号に基づいて、冷媒の加熱温度の目標値を設定すると共に、設定された目標値に冷媒の加熱温度が一致するように、加熱温度センサ28の検出信号に基づいて循環ポンプ30を制御する。また、制御装置32は、水位センサ26の検出信号及び冷媒温度センサ72の検出信号に基づいて、流量調節弁82を制御する。
図13には、第四実施形態における凝縮水タンク24の水位と、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINと、それらに対応する制御内容との関係の一例が示されている。図13に示されるように、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上である場合、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃未満であるときには、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を85℃に設定すると共に、流量調節弁82の開度を調節する。また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上である場合、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃以上であるときには、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を85℃に設定すると共に、流量調節弁82を閉状態とする。
また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル未満でLレベル以上である場合には、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINに関わらず、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を75℃に設定すると共に、流量調節弁82を閉状態とする。また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合には、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINに関わらず、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を65℃に設定すると共に、流量調節弁82を閉状態とする。
なお、第四実施形態において、冷媒の温度TIN=25℃は、流量調節弁82の開度を調節するか否かの一指標となる「規定下限温度」の一例である。
次に、本発明の第四実施形態において、凝縮水の生成量を調節するための制御装置32のより具体的な動作について説明する。
図14には、第四実施形態における制御装置32の動作の流れの一例がフローチャートにて示されている。制御装置32は、図14に示されるステップS4−1〜ステップS4−11を繰り返し実行する。
ステップS4−1では、制御装置32が、水位センサ26の検出信号に基づいて、凝縮水タンク24に貯留された凝縮水の水位を計測し、ステップS4−2では、制御装置32が、ステップS4−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLレベル以上であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、ステップS4−1にて計測した凝縮水の水位がLレベル以上であると判断した場合には、ステップS4−3に移行する。
ステップS4−3では、制御装置32が、ステップS4−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がHレベル未満であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、ステップS4−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLレベル以上であるがHレベル未満であると判断した場合には、ステップS4−4に移行する。
ステップS4−4では、制御装置32が、流量調節弁82を閉状態とする。そして、制御装置32は、ステップS4−5に移行する。ステップS4−5は、上述の第一実施形態におけるステップS1−4(第二実施形態におけるステップS2−5、及び、第三実施形態におけるステップS3−5)と同様である。
一方、ステップS4−3において、制御装置32は、ステップS4−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がHレベル以上であると判断した場合には、ステップS4−6に移行する。
ステップS4−6では、制御装置32が、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃以上であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃以上であると判断した場合には、ステップS4−7に移行する。
ステップS4−7では、制御装置32が、流量調節弁82を閉状態とする。そして、制御装置32は、ステップS4−8に移行する。ステップS4−8は、上述の第一実施形態におけるステップS1−5(第二実施形態におけるステップS2−6、及び、第三実施形態におけるステップS3−6)と同様である。
一方、ステップS4−6において、制御装置32は、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃未満であると判断した場合には、ステップS4−9に移行する。
ステップS4−9では、制御装置32が、流量調節弁82の開度を調節する。このとき、制御装置32は、より具体的には、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃になるように、冷媒温度センサ72の検出信号に基づいて流量調節弁82の開度を調節する。そして、制御装置32は、ステップS4−8に移行する。
このように、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上で、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃未満である場合には、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが規定温度になるように流量調節弁82の開度を調節する。これにより、凝縮水の生成量が適正な量に調節される。
なお、ステップS4−2において、制御装置32が、ステップS4−1にて計測した凝縮水の水位がL未満であると判断した場合には、ステップS4−10に移行する。
ステップS4−10では、制御装置32が、流量調節弁82を閉状態とする。そして、制御装置32は、ステップS4−11に移行する。ステップS4−11は、上述の第一実施形態におけるステップS1−6(第二実施形態におけるステップS2−8、及び、第三実施形態におけるステップS3−9)と同様である。
次に、本発明の第四実施形態の作用及び効果について、第一実施形態とは異なる点を説明する。
以上詳述したように、第四実施形態に係る燃料電池システムS4によれば、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上で、冷媒の温度TINが25℃未満である場合、すなわち、凝縮水タンク24の凝縮水(改質水)が過剰であり、且つ、凝縮水の生成量が増加し続けそうな場合には、流量調節弁82が開放される。流量調節弁82が開放されると、冷媒供給経路60と冷媒回収経路62とを連結するバイパス流路80に冷媒が流れることで、冷媒供給経路60を通じて熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが上昇する。そして、ここでは、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃になるように流量調節弁82の開度が調節される。したがって、凝縮水の生成量を適正な量に調節することができるので、凝縮水タンク24の水位がHレベルを上回ることを抑制することができる。
[第五実施形態]
図15には、本発明の第五実施形態に係る燃料電池システムS5がブロック図にて示されている。図15に示される第五実施形態に係る燃料電池システムS5は、上述の第一実施形態に係る燃料電池システムS1に対し、次のように構成が変更されている。
すなわち、第五実施形態に係る燃料電池システムS5には、ラジエータ70及び冷媒温度センサ72が追加されている。ラジエータ70及び冷媒温度センサ72は、上述の第二実施形態のラジエータ70及び冷媒温度センサ72と同様である。ラジエータ70は、熱交換器22に供給される冷媒を冷却するように作動し、冷媒温度センサ72は、熱交換器22に供給される冷媒の温度に応じた検出信号を出力する。
また、第五実施形態に係る燃料電池システムS5には、バイパス流路80及び流量調節弁82が追加されている。バイパス流路80及び流量調節弁82は、上述の第三実施形態のバイパス流路80及び流量調節弁82と同様である。バイパス流路80は、冷媒供給経路60と冷媒回収経路62とを連結し、流量調節弁82は、バイパス流路80を流れる冷媒の流量を調節可能である。
制御装置32は、凝縮水に過不足が生じないように、水位センサ26の検出信号、加熱温度センサ28の検出信号、及び、冷媒温度センサ72の検出信号に基づいて循環ポンプ30、ラジエータ70、及び、流量調節弁82を制御する。具体的には、制御装置32は、水位センサ26の検出信号に基づいて、冷媒の加熱温度の目標値を設定すると共に、設定された目標値に冷媒の加熱温度が一致するように、加熱温度センサ28の検出信号に基づいて循環ポンプ30を制御する。また、制御装置32は、水位センサ26の検出信号及び冷媒温度センサ72の検出信号に基づいて、ラジエータ70の作動の要否を決定すると共に、この決定に基づいてラジエータ70を制御する。また、制御装置32は、水位センサ26の検出信号及び冷媒温度センサ72の検出信号に基づいて、流量調節弁82を制御する。
図16には、第五実施形態における凝縮水タンク24の水位と、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINと、それらに対応する制御内容との関係の一例が示されている。図16に示されるように、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上である場合、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃未満であるときには、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を85℃に設定すると共に、流量調節弁82の開度を調節し、且つ、ラジエータ70を停止状態(OFF)とする。また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上である場合、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃以上であるときには、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を85℃に設定すると共に、流量調節弁82を閉状態とし、且つ、ラジエータ70を停止状態(OFF)とする。
また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル未満でLレベル以上である場合には、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINに関わらず、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を75℃に設定すると共に、流量調節弁82を閉状態とし、且つ、ラジエータ70を停止状態とする。
また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃未満であるときには、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を65℃に設定すると共に、流量調節弁82を閉状態とし、且つ、ラジエータ70を停止状態とする。また、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃以上であるときには、冷媒の加熱温度TOUTの目標値を65℃に設定すると共に、流量調節弁82を閉状態とし、ラジエータ70を作動(ON)させる。
なお、第五実施形態において、冷媒の温度TIN=35℃は、ラジエータ70を作動させるか否かの一指標となる「規定上限温度」の一例であり、冷媒の温度TIN=25℃は、流量調節弁82の開度を調節するか否かの一指標となる「規定下限温度」の一例である。
次に、本発明の第五実施形態において、凝縮水の生成量を調節するための制御装置32のより具体的な動作について説明する。
図17には、第五実施形態における制御装置32の動作の流れの一例がフローチャートにて示されている。制御装置32は、図17に示されるステップS5−1〜ステップS5−15を繰り返し実行する。
ステップS5−1では、制御装置32が、水位センサ26の検出信号に基づいて、凝縮水タンク24に貯留された凝縮水の水位を計測し、ステップS5−2では、制御装置32が、ステップS5−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLレベル以上であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、ステップS5−1にて計測した凝縮水の水位がLレベル以上であると判断した場合には、ステップS5−3に移行する。
ステップS5−3では、制御装置32が、ラジエータ70を停止状態(OFF)とする。そして、制御装置32は、ステップS5−4に移行する。
ステップS5−4では、制御装置32が、ステップS5−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がHレベル未満であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、ステップS5−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLレベル以上であるがHレベル未満であると判断した場合には、ステップS5−5に移行する。
ステップS5−5では、制御装置32が、流量調節弁82を閉状態とする。そして、制御装置32は、ステップS5−6に移行する。ステップS5−6は、上述の第一実施形態におけるステップS1−4(第二実施形態におけるステップS2−5、第三実施形態におけるステップS3−5、及び、第四実施形態におけるステップS4−5)と同様である。
一方、ステップS5−4において、制御装置32は、ステップS5−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がHレベル以上であると判断した場合には、ステップS5−7に移行する。
ステップS5−7では、制御装置32が、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃以上であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃以上であると判断した場合には、ステップS5−8に移行する。
ステップS5−8では、制御装置32が、流量調節弁82を閉状態とする。そして、制御装置32は、ステップS5−9に移行する。ステップS5−9は、上述の第一実施形態におけるステップS1−5(第二実施形態におけるステップS2−6、第三実施形態におけるステップS3−6、及び、第四実施形態におけるステップS4−8)と同様である。
一方、ステップS5−7において、制御装置32は、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃未満であると判断した場合には、ステップS5−10に移行する。
ステップS5−10では、制御装置32が、流量調節弁82の開度を調節する。このとき、制御装置32は、より具体的には、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃になるように、冷媒温度センサ72の検出信号に基づいて流量調節弁82の開度を調節する。そして、制御装置32は、ステップS5−9に移行する。
このように、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上で、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃未満である場合には、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが規定温度になるように流量調節弁82の開度を調節する。これにより、凝縮水の生成量が適正な量に調節される。
また、ステップS5−2において、制御装置32が、ステップS5−1にて計測した凝縮水の水位がL未満であると判断した場合には、ステップS5−11に移行する。
ステップS5−11では、制御装置32が、流量調節弁82を閉状態とする。そして、制御装置32は、ステップS5−12に移行する。
ステップS5−12では、制御装置32が、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃未満であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃未満であると判断した場合には、ステップS5−13に移行する。
ステップS5−13では、制御装置32が、ラジエータ70を停止状態(OFF)とする。そして、制御装置32は、ステップS5−14に移行する。ステップS5−14は、上述の第一実施形態におけるステップS1−6(第二実施形態におけるステップS2−8、第三実施形態におけるステップS3−9、及び、第四実施形態におけるステップS4−11)と同様である。
一方、ステップS5−12において、制御装置32は、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃以上であると判断した場合には、ステップS5−15に移行する。
ステップS5−15では、制御装置32が、ラジエータ70を作動(ON)させる。そして、制御装置32は、ステップS5−14に移行する。
このように、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満で、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃以上である場合には、ラジエータ70を作動させる。ラジエータ70が作動すると、熱交換器22に供給される冷媒が冷却されるので、排ガスと冷媒との間の熱交換が促進され、凝縮水の生成量が増加する。
次に、本発明の第四実施形態の作用及び効果について、第一実施形態とは異なる点を説明する。
以上詳述したように、第五実施形態に係る燃料電池システムS5によれば、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満で、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが35℃以上である場合、すなわち、凝縮水タンク24の凝縮水(改質水)が不足しそうな場合には、ラジエータ70が作動する。したがって、ラジエータ70が作動することで、熱交換器22に供給される冷媒が冷却されるので、排ガスと冷媒との間の熱交換が促進され、凝縮水の生成量が増加する。これにより、凝縮水タンク24の水位をLレベル以上にすることができる。
しかも、第五実施形態に係る燃料電池システムS5によれば、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上で、冷媒の温度TINが25℃未満である場合、すなわち、凝縮水タンク24の凝縮水(改質水)が過剰であり、且つ、凝縮水の生成量が増加し続けそうな場合には、流量調節弁82が開放される。流量調節弁82が開放されると、冷媒供給経路60と冷媒回収経路62とを連結するバイパス流路80に冷媒が流れることで、冷媒供給経路60を通じて熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが上昇する。そして、ここでは、熱交換器22に供給される冷媒の温度TINが25℃になるように流量調節弁82の開度が調節される。したがって、凝縮水の生成量を適正な量に調節することができるので、凝縮水タンク24の水位がHレベルを上回ることを抑制することができる。
[第六実施形態]
図18には、本発明の第六実施形態に係る燃料電池システムS6がブロック図にて示されている。図18に示される第六実施形態に係る燃料電池システムS6は、上述の第一乃至第五実施形態に係る燃料電池システムS1〜S5に対し、次のように構成が変更されている。
すなわち、第六実施形態に係る燃料電池システムS6において、水位センサ26は、Hレベル検出部54及びLレベル検出部56に加えて、LLレベル検出部58を有する。LLレベル検出部58は、凝縮水タンク24の極低位(LLレベル)に対応する高さに設けられている。以降、凝縮水タンク24の極低位レベルをLLレベルと称する。Hレベル検出部54、Lレベル検出部56、及び、LLレベル検出部58は、凝縮水タンク24の水位がHレベル)、Lレベル、及び、LLレベルに達している場合に、それぞれ検出信号を出力する。
具体的には、凝縮水タンク24の水位がHレベル以上である場合には、Hレベル検出部54、Lレベル検出部56、及び、LLレベル検出部58の全てから検出信号が出力され、凝縮水タンク24の水位がHレベル未満でLレベル以上である場合には、Lレベル検出部56及びLLレベル検出部58のみから検出信号が出力される。
また、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満でLLレベル以上である場合には、LLレベル検出部58のみから検出信号が出力され、凝縮水タンク24の水位がLLレベル未満である場合には、Hレベル検出部54、Lレベル検出部56、及び、LLレベル検出部58のいずれからも検出信号が出力されない。凝縮水タンク24のLLレベルは、例えば、凝縮水タンクの貯水率が20%の高さに設定される。
次に、本発明の第六実施形態において、凝縮水の生成量を調節するための制御装置32のより具体的な動作について説明する。
図19には、第六実施形態における制御装置32の動作の流れの一例がフローチャートにて示されている。制御装置32は、図19に示されるステップS6−1〜ステップS6−5を繰り返し実行する。
ステップS6−1では、制御装置32が、水位センサ26の検出信号に基づいて、凝縮水タンク24に貯留された凝縮水の水位を計測し、ステップS6−2では、制御装置32が、ステップS6−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLLレベル以上であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、ステップS6−1にて計測した凝縮水の水位がLLレベル以上であると判断した場合には、ステップS6−3に移行する。
ステップS6−3では、制御装置32が、燃料電池16(燃料電池モジュール10)を通常運転させる。このときの通常運転は、例えば、上述の第一乃至第五実施形態のうちのいずれかの運転が適用される。
一方、ステップS6−2において、制御装置32は、ステップS6−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLLレベル未満であると判断した場合には、ステップS6−4に移行する。
ステップS6−4では、制御装置32が、燃料電池16(燃料電池モジュール10)の運転を停止させる。そして、制御装置32は、ステップ6−5に移行する。
ステップS6−5では、制御装置32が、燃料電池16(燃料電池モジュール10)を、所定の運転再開条件が満たされた際に起動させる。
次に、本発明の第六実施形態の作用及び効果について、第一乃至第五実施形態とは異なる点を説明する。
以上詳述したように、第六実施形態に係る燃料電池システムS6によれば、凝縮水タンク24の水位がLLレベル未満である場合には、燃料電池16の運転が停止される。したがって、改質水の不足による不具合の発生を回避することができる。
[第七実施形態]
本発明の第七実施形態は、上述の第六実施形態に対し、制御装置32の動作が異なる。なお、第七実施形態に係る燃料電池システムS7については、図18を参照する。
以下、本発明の第七実施形態において、凝縮水の生成量を調節するための制御装置32のより具体的な動作について説明する。
図20には、第七実施形態における制御装置32の動作の流れの一例がフローチャートにて示されている。制御装置32は、図20に示されるステップS7−1〜ステップS7−6を繰り返し実行する。
ステップS7−1では、制御装置32が、水位センサ26の検出信号に基づいて、凝縮水タンク24に貯留された凝縮水の水位を計測し、ステップS7−2では、制御装置32が、ステップS7−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLLレベル以上であるか否かを判断する。ここで、制御装置32は、ステップS7−1にて計測した凝縮水の水位がLLレベル以上であると判断した場合には、ステップS7−3に移行する。ステップS7−3は、上述の第六実施形態におけるステップS6−3と同様である。
一方、ステップS7−2において、制御装置32は、ステップS7−1にて計測した凝縮水タンク24の水位がLLレベル未満であると判断した場合には、ステップS7−4に移行する。
ステップS7−4では、制御装置32が、凝縮水タンク24の水位がLLレベル未満である状態の継続時間が規定制限時間を超えているか否か判断する。ここで、制御装置32が、凝縮水タンク24の水位がLLレベル未満である状態の継続時間が規定制限時間を超えていないと判断した場合には、ステップS7−3に移行する。
一方、ステップS7−4において、制御装置32が、凝縮水タンク24の水位がLLレベル未満である状態の継続時間が規定制限時間を超えていると判断した場合には、ステップS7−5に移行し、燃料電池16(燃料電池モジュール10)の運転を停止させる。そして、制御装置32は、ステップ7−6に移行する。ステップS7−6は、上述の第六実施形態におけるステップS6−5と同様である。
次に、本発明の第七実施形態の作用及び効果について、第六実施形態とは異なる点を説明する。
以上詳述したように、第七実施形態に係る燃料電池システムS7によれば、凝縮水タンク24の水位がLLレベル未満である状態の継続時間が規定制限時間を超えている場合には、燃料電池16の運転が停止される。したがって、改質水の不足による不具合の発生を回避することができる。
次に、上記第一乃至第七実施形態に共通の変形例について説明する。
上記第一乃至第七実施形態では、一例として、燃料電池16に、固体酸化物形燃料電池が適用されているが、改質ガスと酸化剤ガスとが供給されて発電が行われると共に、発電に伴い水蒸気を含む排ガスを排出する燃料電池16であれば、固体酸化物形燃料電池以外の形式の燃料電池が適用されても良い。
また、上記第一乃至第七実施形態では、「冷媒供給部」の一例として、貯湯タンク20が適用されているが、貯湯タンク20以外の冷媒供給部が適用されても良い。
また、上記第一乃至第七実施形態において、制御装置32は、凝縮水タンク24の水位がLレベル未満である場合に、適宜タイミングにおいて燃料電池16(燃料電池モジュール10)の出力を抑制する制御を行っても良い。
また、上記第一乃至第七実施形態において、制御装置32は、加熱温度センサ28を用いずに、水位センサ26の検出信号に基づいて、凝縮水タンク24の水位が減少する場合には、循環ポンプ30を制御して、冷媒の循環流量を増加させ、凝縮水タンク24の水位が増加する場合には、循環ポンプ30を制御して、冷媒の循環流量を減少させても良い。
以上、本発明の第一乃至第七実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。