JP2018123367A - 非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法ならびに形鋼および構造体 - Google Patents

非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法ならびに形鋼および構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】部材変形性能に優れた、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比80%以下の低降伏比を有する非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法ならびに優れた耐震性を有する形鋼および構造体を提供することを目的とする。【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.05〜0.45%、Mn:1.2〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Nb:0.005〜0.025%、N:0.0060%以下、Ti:0.005〜0.020%を含有し、Ti/Nを2.5以上とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、鋼板表面から板厚方向に1〜3mmの表層部が面積率で30〜70%のフェライト相を有し、かつ平均硬さが270HV以下であり、鋼板裏面から板厚方向に1〜5mmの裏層部の平均硬さが前記表層部の平均硬さよりも30〜120HV低いことを特徴とする、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比:80%以下である非調質低降伏比高張力厚鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、耐震性を必要とする建築構造用部材として好適な、非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法ならびに形鋼および構造体に関する。特に、梁部材として好適な、非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法ならびに形鋼および構造体に関する。
近年、地震時の安全性確保の観点から建築構造物などにおいては、素材として、優れた耐震性を有する鋼板(鋼材)を用いることが要求されている。また、これまでの研究成果で、降伏比の低い鋼板(鋼材)ほど耐震性に優れることが明らかにされている。このため、建築構造物には、降伏比(YR)が80%以下の低降伏比鋼材を使用することが義務付けられている。さらに、最近では、建築構造物の高層化や大スパン化などに伴い、建築構造物に今までに使用されてきた鋼材よりも高い強度を有する550MPa級高張力鋼材を適用する事例が増加している。
低降伏比を有する550MPa級以上の高張力鋼材は、二相域加熱処理や焼戻処理などの熱処理を施して製造されるのが一般的であった。しかし、熱処理を施すことは、工程が複雑となり製造工期が長期化して、製造コストが高騰するという問題を残していた。このため、上記した二相域加熱処理や焼戻処理を省略した非調質低降伏比高張力鋼材の検討が進められてきた。
例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.02〜0.04%、固溶B:0.0002〜0.002%を含有し、合金元素含有量に関係する式CENが0.21〜0.30%の範囲を満足する組成と、ベイナイトを主体とし、島状マルテンサイトを0.8〜2.5体積%分散させた組織からなる590MPa級の非調質型低降伏比高張力鋼板が提案されている。
また、特許文献2には、mass%で、C:0.045〜0.08%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.6〜2.0%を含み、P、S、Al、Nを調整して含有し、さらにMo及び/又はWを特定の関係式を満足するように含有し、Pcmが0.22%以下となる組成と、板厚中央部の組織が、フェライトを主相とし、20体積%以下の、島状マルテンサイト(MA相)を主とする硬質相を含む複合組織である低降伏比を有する高張力厚鋼板が記載されている。
また、特許文献3には、重量比にて、C:0.03〜0.30%、Si:0.05〜0.60%、Mn:0.50〜2.5%、Al:0.005〜0.1%を含む鋼を、加熱し、圧延終了温度を900℃〜Ar変態点の範囲の温度とし該温度域での累積圧下率を30%未満とする熱間圧延と、熱間圧延後空冷し、表面温度が(Ar変態点−20℃)〜(Ar変態点−80℃)の範囲の温度となってから水冷を開始し350〜600℃間で冷却停止する加速冷却を施す、低降伏比非調質鋼の製造方法が記載されている。
また、特許文献4には、質量比で、C:0.03〜0.30%、Si:0.05〜0.60%、Mn:0.50〜2.5%、Al:0.005〜0.1%を含む鋼を、加熱し、圧延終了温度を900℃〜Ar変態点の範囲の温度とし、該温度域での累積圧下率を30%未満とする熱間圧延と、熱間圧延後空冷し、表面温度が(Ar変態点−20℃)〜(Ar変態点−80℃)の範囲の温度となってから水冷を開始し250℃以下になるまで加速冷却を施し、その後焼戻し熱処理を行う、低降伏比非調質鋼の製造方法が記載されている。
また、特許文献5には、重量%で、C:0.01〜0.20%、Si:0.6%以下、Mn:0.50〜2.2%、Al:0.001〜0.1%、Nb:0.003〜0.030%、Ti:0.005〜0.020%、N:0.006%以下を含む鋼片を、900℃以下の累積圧下量が30%以上で仕上温度がAr+100℃以下Ar以上となる熱間圧延を行い、鋼板を(Ar−20℃)〜(Ar−100℃)まで空冷し、この温度から水冷を開始し、400〜550℃の範囲で冷却を停止する、低降伏比非調質鋼の製造方法が記載されている。
特開2000−219934号公報 特開2007−177325号公報 特開昭63−219523号公報 特開昭63−223123号公報 特開平1−301819号公報
特許文献1に記載された技術では、制御圧延のみで製造するとしている。しかし、特許文献1に記載された技術では、鋼板のC含有量を0.02〜0.04%と低炭素化しており、そのため、所望の高強度を得るためにさらに合金元素量を多量に含有する必要があり、製造コストの高騰を招くという問題がある。
特許文献2では、上記の組織とすることにより、所望の低降伏比が実現できるとしている。また、このような組織とするために、特許文献2に記載された技術では、上記の組成の鋼素材を、圧延終了温度を表面温度で800〜950℃とする熱間圧延と、0.5〜50℃/sの平均冷却速度で580〜670℃の温度範囲まで加速冷却する冷却処理とを順次行うことが好ましいとしている。しかし、特許文献2に記載された技術では、高価なMo、Wを含有させることを必要とし、製造コストの高騰を招くという問題がある。
また、特許文献3〜5に記載された技術では、合金元素添加量を削減して鋼材の高強度化と低降伏比化を両立させている。すなわち、加速冷却を活用して鋼材の高強度化を図る一方、鋼片をAr変態点以上で圧延を完了するように熱間圧延を実施した後、加速冷却を開始する前に、オーステナイト+フェライトの二相域温度まで空冷して初析フェライトを生成させることによって低降伏比化を図っている。しかし、これらの技術では、空冷中に生成する初析フェライトと硬質第2相の微細化を図ることが難しく、特に初析フェライト生成量の多い表層部の靱性が低下しやすいという問題がある。また、僅かな冷却開始温度の違いによって、フェライト生成率が異なってくるため、鋼板ごとの材質ばらつきが大きくなり、安定した品質の鋼板を製造することが難しいという問題がある。
建築構造用部材である梁部材には、H形鋼が用いられている。図1に示すように、H形鋼である梁1は、上フランジ3−1と下フランジ3−2とからなるフランジと、ウエブ4とから成り立っている。また、図1に示すように、建築構造物では梁1と柱2が接合されているため、柱−梁接合部が多数存在し、多数のT継手や十字継手が形成されている。このようなT継手部や十字継手部では、地震による揺れで鋼材に変形が生じた時に、溶接止端部など鋼板表面に大きな歪が集中する。
図2は、図1の柱−梁接合部を正面から見た拡大図であり、地震による引張・圧縮繰り返し変形を受けた場合に、プレスコラム(冷間成形角形鋼管)や円形鋼管を用いた柱−梁接合部(T字継手)が破壊する状況を模式的に示す。接合部が引張・圧縮繰り返し変形を受けると、通常、溶接部5の溶接止端部で延性亀裂が発生し、該延性亀裂が梁1の板厚中央からウエブ方向に向かって伝播(進展)して最終破断に至る。なお、2は柱、6は当金である。
このため、破断に至るまでの変形量を大きくするには、溶接部5の溶接止端部に加わる歪を低減させることが重要である。以上より、建築構造用部材として使用した際に、所望の機械的特性に加えて、変形性能に優れた非調質鋼板が求められている。また、このような非調質鋼板を用いた形鋼は、耐震性の向上に寄与する。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、焼入焼戻や焼準等の熱処理を施すことなく、また合金含有量を最小限に抑制したうえで、プレスコラムや円形鋼管を用いた建築構造物部材用として好適な、部材変形性能に優れた、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比80%以下の低降伏比を有する非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法ならびに優れた耐震性を有する形鋼および構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、建築構造用部材として要求される所望の性能を達成するために、素材である鋼板が具備すべき性能について鋭意研究した。
従来の非調質鋼板の板厚方向の硬さ分布は、鋼板の表層および裏層が最も高く、表層および裏層から鋼板中央部にかけて減少し、鋼板中央部が最も低くなる分布となっている。これは、加速冷却工程において、鋼板の両面を同時に冷却するためである。一方、鋼板の加速冷却工程において、鋼板の片面のみを二段冷却することによって、非調質鋼板の板厚方向の硬さ分布は、鋼板表層部のみ一旦硬度が下がる。そして、再び硬度が上がり、この硬度の上がった位置から鋼板裏層部にかけて硬度が減少する分布になる(図3参照)。鋼板表層部の硬度を下げることにより、図2に示す溶接止端部に加わる歪が低減することがわかった。また、表面から裏面にかけての硬度勾配を小さくすることによっても、溶接止端部にかかる歪を小さくできることがわかった。
さらに本発明者らが鋭意検討した結果、鋼板表面から板厚方向に1〜3mmの表層部が面積率で30〜70%のフェライト相を有し、かつ平均硬さが270HV以下であり、鋼板裏面から板厚方向に1〜5mmの裏層部の平均硬さが前記表層部の平均硬さよりも30〜120HV低い非調質鋼板であれば、溶接止端部に加わる歪が低減し、構造物の変形性能が向上することを見出した。ここで、270HV、30〜120HVは、ビッカース硬さがそれぞれ270、30〜120であることを示す。
本発明は上記の知見に基づいて得られたものであり、その趣旨は以下のとおりである。
[1]質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.05〜0.45%、Mn:1.2〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Nb:0.005〜0.025%、N:0.0060%以下、Ti:0.005〜0.020%を含有し、Ti/Nを2.5以上とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、鋼板表面から板厚方向に1〜3mmの表層部が面積率で30〜70%のフェライト相を有し、かつ平均硬さが270HV以下であり、鋼板裏面から板厚方向に1〜5mmの裏層部の平均硬さが前記表層部の平均硬さよりも30〜120HV低いことを特徴とする、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比:80%以下である非調質低降伏比高張力厚鋼板。
[2]前記組成に加えて、さらに質量%で、Cu:0.05〜0.30%、Ni:0.05〜0.35%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.04〜0.40%、V:0.01〜0.06%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板。
[3][1]または[2]に記載の成分組成を有する鋼スラブを、鋼板表面温度で、1050〜1200℃の温度に加熱し、圧延終了温度を鋼板表面温度で900℃以下Ar変態点以上とする熱間圧延を行い、その後、第一段冷却としてAr変態点以上の温度から、板厚(t)の1/4位置での平均冷却速度1℃/s以上で、鋼板表面温度が(Ar変態点−100℃)以下550℃以上の冷却停止温度まで鋼板の片面を冷却し、冷却停止後復熱させ、第2段冷却として鋼板表面温度が(Ar変態点−10℃)以下600℃以上、かつ、鋼板表面温度が極大値をとった時点から、2秒以上経った後に、板厚(t)の1/4位置での平均冷却速度1℃/s以上で、500℃以下の冷却停止温度まで鋼板の片面を冷却することを特徴とする、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比80%以下である非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
[4]前記第一段冷却を複数回繰り返した後、前記第二段冷却を行うことを特徴とする[3]に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
[5]フランジとウエブとを有する形鋼であって、前記フランジが、質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.05〜0.45%、Mn:1.2〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Nb:0.005〜0.025%、N:0.0060%以下、Ti:0.005〜0.020%を含有し、Ti/Nを2.5以上とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、鋼板表面から板厚方向に1〜3mmの表層部が面積率で30〜70%のフェライト相を有し、かつ平均硬さが270HV以下であり、鋼板裏面から板厚方向に1〜5mmの裏層部の平均硬さが前記表層部の平均硬さよりも30〜120HV低いことを特徴とする、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比:80%以下の厚鋼板からなることを特徴とする形鋼。
[6]前記組成に加えて、さらに質量%で、Cu:0.05〜0.30%、Ni:0.05〜0.35%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.04〜0.40%、V:0.01〜0.06%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする[5]に記載の形鋼。
[7]前記鋼板裏層部に前記ウエブが接合されることを特徴とする[5]または[6]に記載の形鋼。
[8]前記形鋼は、H形鋼、I形鋼、T形鋼、山形鋼、溝形鋼のいずれかであることを特徴とする[5]ないし[7]のいずれかに記載の形鋼。
[9][5]ないし[8]のいずれかに記載の形鋼を用いてなる構造体。
本発明において、厚鋼板を単に鋼板とも称する。また、鋼板の片面を冷却するので、当該冷却面を表面、その反対の面を裏面、表面から板厚方向に所定の深さの領域を表層部、裏面から板厚方向に所定の深さの領域を裏層部と称する。
本発明によれば、変形性能に優れ、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上の高強度と、降伏比80%以下の低降伏比とを有する低降伏比高張力厚鋼板を、熱処理を施すことなく、また多量な合金含有を行うことなく製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明の非調質低降伏比高張力厚鋼板は、建築構造部材用として好適に用いることができ、鋼構造物の耐震性の向上に大きく寄与するという効果がある。
図1は、建築構造物における柱−梁接合部を示す模式図である。 図2は、柱−梁接合部における破壊状況を説明する模式図である。 図3は、本発明の厚鋼板の板厚方向の硬さ分布を示す模式図である。 図4は、梁の寸法を表す図面である。 図5は、本発明における冷却工程の冷却条件を説明する模式図である。 図6は、コラム曲げ試験の要領を説明する模式図である。 図7は、コラム曲げ試験における荷重−変形量ヒステリシス曲線を説明する模式図である。
まず、本発明の厚鋼板の組成限定理由について説明する。なお、以下の説明において、鋼成分組成の各元素の含有量の単位は「質量%」であり、以下、特に断らない限り、単に「%」で示す。
C:0.05〜0.16%
Cは、厚鋼板の強度を増加させ、構造用鋼材として必要な強度を得るために有用な元素である。さらにCは、硬質相の体積率を増加させ、降伏比を低下させる作用を有する。このような効果を得るためには、Cを0.05%以上含有させる必要がある。一方、C含有量が0.16%を超えると、溶接性と靭性を顕著に低下させる。このため、C含有量を0.05〜0.16%の範囲に限定した。なお、好ましくは、C含有量の範囲は0.06〜0.15%である。
Si:0.05〜0.45%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶し鋼材の強度を増加させる。このような効果を得るためには、Siを0.05%以上含有させる必要がある。一方、Si含有量が0.45%を超えると、母材の靱性を低下させるとともに、溶接熱影響部(HAZ)靱性を顕著に低下させる。このため、Si含有量を0.05〜0.45%の範囲に限定した。なお、好ましくは、Si含有量の範囲は0.05〜0.35%である。
Mn:1.2〜1.8%
Mnは、固溶して鋼の強度を増加させる作用を有する元素で、しかも安価であるので、高価な他の合金元素の含有量を最小限に抑えることができる。本発明では、所望の高強度(引張強さ550MPa以上)を得るために、Mn含有量を1.2%以上とする必要がある。一方、Mn含有量が1.8%を超えると、母材の靱性およびHAZ靱性を著しく低下させる。このため、Mn含有量を1.2〜1.8%の範囲に限定した。なお、好ましいMn含有量の範囲は、1.2〜1.6%である。
P:0.020%以下
Pは、鋼の強度を増加させる作用を有する元素である。しかしながら、Pは靱性、とくに溶接部の靱性を低下させる元素であり、本発明ではできるだけ含有量を低減させることが望ましい。一方で、必要以上にPを低減させることは、精錬コストを高騰させ経済的に不利となる。このため、P含有量を0.005%程度以上とすることが好ましい。一方、P含有量が0.020%を超えると、上記した悪影響が顕著となるため、P含有量を0.020%以下に限定した。なお、好ましくは、P含有量は0.015%以下である。
S:0.005%以下
Sは、鋼中ではMnS等の硫化物系介在物として存在し、母材および溶接部の靱性を劣化させるとともに、鋳片中央偏析部などに多量に偏在して鋳片等における欠陥を発生しやすくする元素である。このような傾向は、S含有量が0.005%を超えると顕著となる。このため、S含有量を0.005%以下に限定した。好ましいS含有量は、0.003%以下である。なお、必要以上にSを低減させることは、精錬コストを高騰させ、経済的に不利となるため、S含有量を0.001%程度以上とすることが望ましい。
Al:0.05%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、高張力鋼の溶鋼脱酸プロセスにおいては、脱酸剤として、もっとも汎用的に使われる。このような効果を得るためには、Alを0.010%以上含有することが望ましい。しかしながら、Al含有量が0.05%を超えると、母材の靱性が低下するとともに、溶接時に溶接金属に混入して溶接金属部靱性を低下させる。このため、Al含有量を0.05%以下に限定した。なお、好ましいAl含有量の範囲は、0.010〜0.045%である。
Nb:0.005〜0.025%
Nbは、焼入性を高めるとともに、制御圧延の効果を高めミクロ組織を微細化する作用によって母材強度を増加させる、高強度化のために有用な元素である。このような効果を得るためには、Nbを0.005%以上含有することが必要となる。一方、Nb含有量が0.025%を超えると、母材やHAZの靭性を低下させる。このため、Nb含有量を0.005〜0.025%の範囲に限定した。なお、好ましいNb含有量の範囲は、0.007〜0.020%である。
N:0.0060%以下
Nは、鋼中に固溶している場合には、冷間加工後に歪時効を起こし靭性を劣化させる。そのため、本発明ではできるだけ含有量を低減させることが望ましい。N含有量が0.0060%を超えると、靭性の劣化が著しくなる。このため、N含有量を0.0060%以下に限定した。
Ti:0.005〜0.020%
Tiは、Nとの親和力が強い元素であり、溶鋼が凝固する時にTiNとして析出し、鋼中の固溶Nを減少させ、靭性劣化を抑制する作用を有する。また、Tiは、HAZの組織改善によって、HAZ靭性の向上にも寄与する。このような効果を得るためには、0.005%以上Tiを含有する必要がある。一方、Ti含有量が0.020%を超えると、TiN粒子が粗大化し、上記した効果が期待できなくなる。このため、Ti含有量を0.005〜0.020%の範囲に限定した。なお、好ましいTi含有量の範囲は、0.007〜0.015%である。
Ti/N:2.5以上
本発明では、鋼中のN含有量に見合う量のTiを含有させ、固溶NをTiNとして固定する。このため、Ti含有量とN含有量との比、つまりTi/Nが2.5以上を満足するように、Ti含有量を調整する。Ti/Nが2.5未満の場合、N含有量に比べてTi含有量が少なすぎるため、多くのNが固溶Nとして残存して、HAZ靭性が低下し、溶接部から脆性破壊が発生することにより部材変形性能が低下する場合がある。このため、Ti/Nを2.5以上に限定した。なお、好ましくは、3.0〜5.0の範囲である。
本発明では、上記の組成に加えて、さらに、選択元素として、Cu:0.05〜0.30%、Ni:0.05〜0.35%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.04〜0.40%、V:0.01〜0.06%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有できる。
Cu:0.05〜0.30%、Ni:0.05〜0.35%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.04〜0.40%、V:0.01〜0.06%のうちから選ばれた1種または2種以上
Cu、Ni、Cr、Mo、Vは、いずれも鋼の強度を増加させる作用を有する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。
Cuは、固溶強化や焼入性向上によって、厚鋼板の強度を増加させ、厚鋼板の高強度化に寄与する。このような効果を得るためには、0.05%以上Cuを含有させることが好ましい。しかしながら、Cu含有量が0.30%を超える場合は、合金コストの増加や熱間脆性による表面性状の劣化を招く。このため、Cuを含有させる場合は、その含有量を0.05〜0.30%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、Cu含有量は0.05〜0.20%の範囲である。
Niは、靱性をほとんど劣化させることなく、厚鋼板の強度を増加させる元素であり、しかもHAZ靱性への悪影響も小さく、厚鋼板の高強度化に有用な元素である。このような効果を得るためには、Ni含有量を0.05%以上とすることが好ましい。しかしながら、Ni含有量が0.35%を超えると、Niが高価な元素であるため、合金コストの増加を招く。このため、Niを含有させる場合は、その含有量を0.05〜0.35%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましいNi含有量の範囲は0.05〜0.20%である。
Crは、焼入性向上によって、母材の強度を増加させる元素であり、厚鋼板の高強度化に有用な元素である。このような効果を得るためには、Cr含有量を0.05%以上とすることが好ましい。しかしながら、Cr含有量が0.50%を超えると、合金コストの増加を招く。このため、Crを含有させる場合には、Cr含有量を0.05〜0.50%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましいCr含有量は0.05〜0.30%の範囲である。
Moは、焼入性向上によって、母材の強度を増加させる元素であり、厚鋼板の高強度化に有用な元素である。とくに、Moは第二相(硬質相)の硬度を高くすることにより、降伏比の低下と高強度化とを同時に達成する効果を有する。このような効果を得るためには、Moを0.04%以上含有することが好ましい。しかしながら、Moの含有量が0.40%を超えると、母材やHAZの靭性を低下させる。このため、Moを含有させる場合には、Mo含有量を0.04〜0.40%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましいMo含有量の範囲は0.04〜0.20%である。
Vは、析出強化によって母材の強度を増加させる元素であり、厚鋼板の高強度化のために有用な元素である。このような効果を得るためには、V含有量を0.01%以上とすることが好ましい。しかしながら、V含有量が0.06%を超えると、母材やHAZの靭性を低下させる。このため、含有する場合には、V含有量を0.01〜0.06%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましいV含有量の範囲は0.02〜0.05%である。
なお、上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
本発明の厚鋼板は、鋼板表面から板厚方向に1〜3mmの表層部が面積率で30〜70%のフェライト相を有し、かつ平均硬さが270HV以下であり、鋼板裏面から板厚方向に1〜5mmの裏層部の平均硬さが前記表層部の平均硬さよりも30〜120HV低いことを特徴とする。従来の非調質鋼板では、地震などにより構造物に応力が発生した際に、鋼板表層部の延性が低いことにより、図2に示すように溶接止端部に亀裂が発生しやすくなる。一方、本発明の厚鋼板は、板厚方向に上述したような硬さ分布を有することにより、溶接止端部への歪を低減することができ、溶接止端部の亀裂の発生を防ぐことができる。
表層部(鋼板表面から板厚方向に1〜3mm)に軟質相であるフェライト相を面積率で30〜70%を有することで、表層部の硬さ抑制と同時に鋼板強度を両立させる。フェライト相が面積率で30%未満では、後述する表層部の平均硬さ270HV以下を満足することができない。一方、フェライト相が面積率で70%超えになると、鋼板全体の強度が下がってしまう。なお、フェライト相以外の残部としては、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト、MA(Martensite−Austenite Constituent)とする。
本発明では、表層部の平均硬さを270HV以下とし、裏層部(鋼板裏面から板厚方向に1〜5mm)の平均硬さが表層部の平均硬さよりも30〜120HV低くすることにより、溶接止端部への歪を低減することができ、亀裂の発生を抑制することができる。表層部の平均硬さが270HVを超える場合や、表層部と裏層部の平均硬さの差が30HV未満では、図2における溶接止端部への歪を低減することができない。また、表層部と裏層部の平均硬さの差が120HVを超える場合は、鋼板全体の強度を満足することができない。なお、表層部にフェライト相が面積率で30%以上を有していなければ、表層部の平均硬さ270HV以下を達成することはできない。
次に、本発明の厚鋼板の製造方法について説明する。
本発明の厚鋼板の製造方法は、上記した組成の鋼素材に、熱間圧延を行う熱間圧延工程と、該圧延工程に引続いて、加速冷却を行う加速冷却工程からなる。
本発明で使用する鋼素材(スラブ)の製造方法は、特に限定する必要はなく、常用の溶製方法、鋳造方法がいずれも適用できる。例えば、上記した組成の溶鋼を、転炉、電気炉、真空溶解炉等で溶製し、脱酸処理や脱ガスプロセスを経て、連続鋳造法などで鋼素材(スラブ)とすることが好ましい。
次いで、得られた鋼素材(スラブ)を、加熱し、熱間圧延を行う。熱間圧延工程では、鋼素材を加熱温度1050〜1200℃で加熱し、圧延終了温度が表面温度でAr変態点以上900℃以下とする熱間圧延を行い、所定板厚の厚鋼板とする。
加熱温度:1050〜1200℃
加熱温度が1050℃未満の場合、鋼板の強度が低下しやすい。一方、加熱温度が1200℃を超えると、組織が粗大化して厚鋼板の靱性が低下したり、焼入れによる硬化により、鋼板の表層硬さが大きくなりすぎる場合がある。このため、鋼素材の加熱温度は1050℃〜1200℃の範囲に限定した。なお、好ましくは1080℃〜1150℃である。
圧延終了温度:鋼板表面温度で900℃以下Ar変態点以上
圧延終了温度が鋼板表面温度で900℃を超えると、組織が粗大化し、また焼入れによる硬化により、所望の靭性、表層硬さを有する鋼板を得ることができなくなる。一方、圧延終了温度が鋼板表面温度でAr変態点未満の場合は、圧延中あるいは圧延終了直後に鋼板全体にフェライトが生成し、所望の強度が得られなくなる。このため、圧延終了温度を鋼板表面温度で900℃以下Ar変態点以上に限定した。なお、好ましくは880〜780℃である。
また、Ar変態点は、下記式を用いて算出した値を用いるものとする。
Ar変態点(℃)=900−332C+6Si−77Mn−20Cu−50Ni−18Cr−68Mo
ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Moは各元素の含有量(質量%)である。上記式で記載された元素が含有されない場合には、当該元素を零として計算するものとする。
なお、熱間圧延については、鋼板表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下率が30%以上となる制御圧延を行うことが好ましい。該温度域での累積圧下率が30%未満の場合は、組織が粗大化し、また焼入れによる硬化により、得られる厚鋼板において所望の靭性、表層硬さが得られない。さらに、上記の累積圧下率は、好ましくは35%以上である。また、過度に圧下率を大きくすると圧延効率を悪化させるため、好ましくは60%以下とする。ここで、累積圧下率とは、可逆式圧延機を用いた熱間圧延において、各圧延パスでの圧下率を入り側と出側の板厚比とした場合の、950℃以下での各圧延パスでの圧下率をそれぞれ加算して合計したものである。連続式圧延機を用いる場合は、各圧延スタンドでの圧下率をそれぞれ加算して合計したものとする。
熱間圧延工程に続いて、厚鋼板を加速冷却する。加速冷却工程は、第一段冷却としてAr変態点以上の温度から、板厚(t)の1/4位置での平均冷却速度1℃/s以上で、鋼板表面温度が(Ar変態点−100℃)以下550℃以上の冷却停止温度まで鋼板の片面を冷却し、冷却停止後復熱させ、第2段冷却として鋼板表面温度が(Ar変態点−10℃)以下600℃以上、かつ、鋼板表面温度が極大値をとった時点から、2秒以上経った後に、板厚(t)の1/4位置での平均冷却速度1℃/s以上で、500℃以下の冷却停止温度まで鋼板の片面を冷却する。なお、第一段冷却は複数回繰り返してもよい。
[第一段冷却]
一段冷却としてAr変態点以上の温度から、板厚(t)の1/4位置での平均冷却速度1℃/s以上で、鋼板表面温度が(Ar変態点−100℃)以下550℃以上の冷却停止温度まで鋼板の片面を冷却する。
冷却開始温度:Ar変態点以上
冷却開始温度がAr変態点未満の場合は、加速冷却開始前に鋼板全体にわたってフェライトが生成するため所望の鋼板強度を満足できない。また、粗大なフェライト粒が生成するため靭性も低下する。このため、冷却開始温度をAr変態点以上に限定した。なお、冷却開始温度は厚鋼板の表面温度とする。
板厚(t)の1/4位置での平均冷却速度:1℃/秒以上
平均冷却速度が1℃/秒未満では、冷却が遅く、冷却中に粗く靭性の低いフェライト粒が生成する場合があり、所望の強度を満足できない。このため、平均冷却速度は1℃/秒以上に限定した。なお、好ましくは10℃/秒以上である。また、ここでの平均冷却速度は、厚鋼板を冷却する片面、すなわち鋼板表面から板厚(t)方向に1/4位置での値とする。
冷却停止温度:鋼板表面温度が(Ar変態点−100℃)以下550℃以上
本発明の第一段冷却では、表層部とそれより内部との温度差が大きくなるように冷却し、第一段冷却停止後の復熱と、復熱後、第二段冷却を開始するまでの間に、表層部にフェライトを生成させる。冷却停止温度が、鋼板表面温度で(Ar変態点−100℃)を超えると、その後の復熱温度が高すぎて、表層部におけるフェライト生成が不十分となる。一方、冷却停止温度が550℃未満では、表層部の温度が低すぎて、復熱後の第二段冷却前に相変態がほぼ完了し、表層部がベイナイトやマルテンサイトなどの硬質相主体の組織となる。第一段冷却の冷却停止温度は、好ましくは650〜550℃である。
鋼板の片面を冷却
本発明では、鋼板の片面を冷却する。鋼板の片面のみ冷却することにより、板厚方向の硬さ分布が表層から裏層にかけて減少する分布を有する非調質鋼板を得ることができる。このような非調質鋼板は、溶接止端部への歪を低減することができ、溶接止端部からの亀裂の発生を防ぐことができるため、建築構造用部材に適している。なお、鋼板の片面とは、鋼板の表面もしくは裏面を意味する。H形鋼の場合、梁1の上フランジ3−1の上側および下フランジ3−2の下側を鋼板の表面とし、上フランジ3−1および下フランジ3−2のウエブ4側を鋼板の裏面とする(図1参照)。鋼板のどちらか一方の面を冷却することにより、板厚方向の硬さ分布が表層から裏層にかけて減少する分布を有する非調質鋼板を得ることができる。
[復熱および第二段冷却]
第一段冷却を停止したのち、鋼板表層部にフェライトを生成させるために表層温度復熱後、第二段冷却を開始する。復熱は、鋼板表面温度が(Ar変態点−10℃)以下600℃以上となり、かつ、図5で示す、表面温度が復熱後の極大値温度をとった時点から、2秒以上行う。
鋼板表面温度が(Ar変態点−10℃)以下600℃以上、かつ、鋼板表面温度が極大値をとった時点から、2秒以上
鋼板表面温度が600℃未満では、表層部に強度および降伏比が比較的高い針状フェライトやベイナイトが生成するので、表層部の伸びの低下や降伏比の上昇などが生じ、変形性能の低下を招く。一方、鋼板表面温度が(Ar変態点−10℃)を超えると、復熱後に相変態が進行せず、表層部でのフェライト生成が不十分となる。したがって、復熱温度が(Ar変態点−10℃)以下600℃以上となるまで保持する。また、復熱後、鋼板表面温度が極大値をとった時点から、第二段冷却の開始までの時間(以下、単に保持時間と称することもある。)が2秒未満だと、所望のフェライト量(30%以上)を生成することができない。したがって、保持時間を2秒以上とする。なお、保持時間が100秒を超えると、所望のフェライト量(70%以下)を満足しないため、強度を満足することができない。よって、保持時間は100秒以下であることが好ましい。さらに好ましくは、10秒以上60秒以下である。
板厚(t)の1/4位置での平均冷却速度:1℃/s以上
未変態部分を硬質相とするために、第二段冷却では、1℃/s以上、好ましくは8℃/s以上で冷却する。冷却速度が1℃/s未満では、硬質相への変態量が低下し、所望の高強度、低降伏比を実現できなくなる。なお、ここでの平均冷却速度は、厚鋼板を冷却する片面、すなわち鋼板表面から板厚(t)方向に1/4位置での値とする。
冷却停止温度:500℃以下
冷却停止温度が500℃超えでは、所望の強度を満足できない。よって、冷却停止温度は500℃以下とした。なお、冷却停止温度は厚鋼板の表面温度とする。
鋼板の片面を冷却
本発明では、第一段冷却と同様に、第二段冷却についても鋼板の片面を冷却する。鋼板の片面のみ冷却することにより、板厚方向の硬さ分布が表層から裏層にかけて減少する分布を有する非調質鋼板を得ることができる。このような非調質鋼板は、溶接止端部への歪を低減することができ、溶接止端部からの亀裂の発生を防ぐことができるため、建築構造用部材に適している。なお、鋼板の片面とは、鋼板の表面もしくは裏面を意味する。H形鋼の場合、梁1の上フランジ3−1の上側および下フランジ3−2の下側を鋼板の表面とし、上フランジ3−1および下フランジ3−2のウエブ4側を鋼板の裏面とする(図1参照)。鋼板のどちらか一方の面を冷却することにより、板厚方向の硬さ分布が表層から裏層にかけて減少する分布を有する非調質鋼板を得ることができる。
なお、第一段冷却と第二段冷却は、鋼板の同じ面を冷却することは言うまでもない。
本発明では、第一段冷却を、1回の加速冷却からなる冷却に代えて、冷却停止とその後の復熱とを挟んで、複数回繰り返す冷却としてもよい。加速冷却を複数回に分割することにより、表層と内部との温度差を、過度に大きくすることなく、目的の温度まで冷却することが可能となる。また、複数回繰り返す中で所期の冷却効果を得ればよいことから、冷却温度制御の選択肢が拡大でき、冷却温度制御の精度を向上させることができる。図5に、このような冷却を行った場合の鋼板温度の履歴の一例を模式的に示す。なお、図5において、保持時間は上述した復熱の保持時間を示す。
上記以外の製造条件については、特に制限されない。なお、加速冷却後、必要に応じて形状矯正してもよい。
以上の製造方法により、本発明の非調質低降伏比高張力厚鋼板を得ることができる。なお、本発明の非調質低降伏比高張力鋼板は、H形鋼のフランジ材として好適に用いることができる。また、H形鋼を製造する方法については、特に制限がない。例えば、2枚の上下フランジ材と1枚のウエブ材とが連続的に溶接点に供給されつつ、溶接点直前に配置された給電チップが上フランジ材とウエブ材の上部及び下フランジ材とウエブ材の下部に押し当てられて、当該給電チップから給電されて、ウエブ材の上下端面部と各フランジ材の幅中央部とが溶融加熱(高周波抵抗溶接)されるとともに溶接ピンチロールによって加圧されて接合形成される製造方法が挙げられる。なお、溶接方法については特に限定されず、アーク溶接、レーザー溶接、摺動溶接などの溶接方法を用いることができる。
H形鋼以外の形鋼、例えばH形鋼のウエブ部分を切断して製造されることも多いT形鋼や、フランジ部分の幅が狭いI形鋼のフランジ材としても使用可能である。
本発明の非調質低降伏比高張力厚鋼板は、所望の高強度と低降伏比を有するとともに変形性能に優れている。本発明の非調質低降伏比高張力厚鋼板は、耐震性に優れた建築構造用部材として好適に用いることができる。特に、溶接止端部からの亀裂の発生を防ぐことができるため、梁部材として好適に用いることができる。
また、本発明の厚鋼板を用いて、形鋼および構造体を得ることができる。上記のように、本発明の厚鋼板は、所望の高強度と低降伏比とを有するとともに変形性能に優れている。したがって、本発明の厚鋼板を用いた形鋼は、耐震性に優れた建築構造用部材として用いることができる。
本発明の形鋼を製造する方法については、ウエブとフランジとを溶接により接合する方法であれば特に制限されない。本発明では、ウエブが、フランジの硬さが小さいほうの面、すなわち、フランジの裏面に溶接されればよい。これは、ウエブをフランジの裏面に溶接することにより、フランジに使用される厚鋼板が、厚鋼板表面から裏面にかけて減少する硬さ分布を有するため、地震などにより応力が加えられたときに、亀裂が生じることを防ぐことができる。その結果、優れた耐震性を有する形鋼を得ることができる。例えば、H形鋼を製造する方法については、2枚の上下フランジ材と1枚のウエブ材とが連続的に溶接点に供給されつつ、溶接点直前に配置された給電チップが上フランジ材とウエブ材の上部及び下フランジ材とウエブ材の下部に押し当てられて、当該給電チップから給電されて、ウエブ材の上下端面部と各フランジ材の幅中央部とが溶融加熱(高周波抵抗溶接)されるとともに溶接ピンチロールによって加圧力を付加されて接合形成される製造方法が挙げられる。なお、溶接方法については特に限定されず、アーク溶接、レーザー溶接、摺動溶接などの溶接方法を用いることができる。
本発明の形鋼は、H形鋼、I形鋼、T形鋼、山形鋼、溝形鋼のいずれかに用いることができる。特に、本発明の形鋼は梁部材として用いられるH形鋼に好適に用いることができ、溶接止端部からの亀裂の発生を防ぐことができる。
また、本発明の形鋼が優れた耐震性を有することから、本発明の形鋼を用いた構造体も優れた耐震性を有する。すなわち、形鋼と柱との溶接部では、当該溶接部に繰り返し負荷がかかっても局部座屈や脆性破壊を起こしにくい。したがって、本発明の形鋼を用いた構造体は、優れた耐震性を有する。
以下、実施例に基づいて、さらに本発明について説明する。
表1に示す成分組成を有する鋼素材を用いて、表2に示す製造条件で厚鋼板を製造した。各工程で、赤外線放射温度計で鋼板の表面温度を測定し、これに基づき、必要に応じて、板厚の1/4位置での温度を、伝熱計算法を用いて算出した。
Figure 2018123367
Figure 2018123367
得られた厚鋼板について、組織観察を行うとともに、平均硬さHV、降伏強さYS、引張強さTS、降伏比YR、累積塑性変形倍率ηをそれぞれ求めた。各試験方法は次の通りとした。
(1)組織観察
板厚全厚の組織観察用試験片のL方向断面を研磨、ナイタール腐食後、表層部を光学顕微鏡(倍率:400倍)または走査型電子顕微鏡(倍率:2000倍)を用いて、ミクロ組織を各3視野以上観察し、撮像して画像解析により、組織の種類、およびフェライトの組織分率(面積率%)を求めた。
(2)硬さ試験
得られた厚鋼板から硬さ測定用試験片を採取し、ビッカース硬さ計を用いて、JIS Z 2244の規定に準拠して、板厚方向断面について、硬さ測定を行った。測定位置は、鋼板表面から板厚方向に1〜3mmの領域(表層部)および裏面から板厚方向に1〜5mmの領域(裏層部)とし、各領域で板厚方向に1mmピッチで測定した。試験荷重(試験力)は1kgf(9.8kN)とした。得られた硬さHVを算術平均し、その領域での平均硬さHVとした。
(3)引張試験
得られた厚鋼板から、引張方向がL方向となるように、JIS Z 2201の規定に準拠して、JIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して、引張試験を実施し、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。また、得られた測定値から、降伏比YR(=(YS/TS)×100)を算出した。
試験片は、全厚試験片とした。
(4)コラム曲げ試験
得られた厚鋼板を梁(BH形鋼)に用いてト字型部材を作成した。図4に示すように、梁1を柱2に溶接し、コラム曲げ試験用の試験体とした。柱2には冷間プレス加工により作成した角形鋼管(プレスコラム)を用いた。なお、角形鋼管は□400×22mm、梁(BH形鋼)はH−500(W)×200(H)×d×tmmとした。
ここで、tはコラム曲げ試験に供される本発明により製造された厚鋼板の板厚である。
dはウエブの板厚で、ここでは12mmとした。
得られた試験体を冶具7で支持し、図6に示すように、上下方向に正負の荷重を繰り返し与える、繰り返し曲げ試験(コラム曲げ試験)を実施した。荷重Pと変形量(回転角θ)を測定し、図7に示すような荷重(モーメントM)−変形量(回転角θ)ヒステリシス曲線を作成した。
局部座屈または脆性破壊によって荷重(モーメントM)が最大値から5%低下した時点を試験体の破壊とみなし、それまでの試験体の塑性回転角の合計(累積塑性回転角Σθpl)を求め、試験体の塑性変形性能の指標として累積塑性変形倍率ηを求めた。なお、ηは次式より算出される。
η=Σθpl/θp
θp=(Pp/2)L/(3・E・I)+Pp/2/(G・Aw)
Pp=Mp/L
Figure 2018123367
Figure 2018123367
Figure 2018123367
ここで、Pp:全塑性時荷重
L:コラムの片持ち長さ(ダイアフラム8からコラム端支持点までの距離、3250mm)
E:ヤング率205000(MPa)
G:剪断剛性率79000(MPa)
Mp:コラムの全塑性モーメント
I:コラムの断面2次モーメント
σy:鋼材の降伏強度(MPa)
D:コラム径(柱の一辺の長さ、mm)
t:コラム板厚(mm)、
r:コラム角部内面の曲げ半径、R=r+t
Aw:剪断面積(mm
である。
累積塑性変形倍率ηが250以上である場合、構造部材の耐震性(塑性変形性能)に優れるとする。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2018123367
表3の結果から、本発明例はいずれも、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比80%以下を有する非調質低降伏比高張力厚鋼板となっている。さらに、本発明例はいずれも、累積塑性変形倍率ηが250以上を満足し、塑性変形性能に優れている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、降伏強さ、引張強さ、降伏比のいずれかが不足しているか、あるいは塑性変形性能に劣っている。
1 梁(H形鋼)
2 柱(角柱)
3−1 上フランジ
3−2 下フランジ
4 ウエブ
5 溶接部
6 当金
7 冶具
8 ダイアフラム

Claims (9)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.05〜0.45%、Mn:1.2〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Nb:0.005〜0.025%、N:0.0060%以下、Ti:0.005〜0.020%を含有し、Ti/Nを2.5以上とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、鋼板表面から板厚方向に1〜3mmの表層部が面積率で30〜70%のフェライト相を有し、かつ平均硬さが270HV以下であり、鋼板裏面から板厚方向に1〜5mmの裏層部の平均硬さが前記表層部の平均硬さよりも30〜120HV低いことを特徴とする、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比:80%以下である非調質低降伏比高張力厚鋼板。
  2. 前記組成に加えて、さらに質量%で、Cu:0.05〜0.30%、Ni:0.05〜0.35%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.04〜0.40%、V:0.01〜0.06%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の成分組成を有する鋼スラブを、鋼板表面温度で、1050〜1200℃の温度に加熱し、圧延終了温度を鋼板表面温度で900℃以下Ar変態点以上とする熱間圧延を行い、その後、第一段冷却としてAr変態点以上の温度から、板厚(t)の1/4位置での平均冷却速度1℃/s以上で、鋼板表面温度が(Ar変態点−100℃)以下550℃以上の冷却停止温度まで鋼板の片面を冷却し、冷却停止後復熱させ、第2段冷却として鋼板表面温度が(Ar変態点−10℃)以下600℃以上、かつ、鋼板表面温度が極大値をとった時点から、2秒以上経った後に、板厚(t)の1/4位置での平均冷却速度1℃/s以上で、500℃以下の冷却停止温度まで鋼板の片面を冷却することを特徴とする、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比80%以下である非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
  4. 前記第一段冷却を複数回繰り返した後、前記第二段冷却を行うことを特徴とする請求項3に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
  5. フランジとウエブとを有する形鋼であって、前記フランジが、
    質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.05〜0.45%、Mn:1.2〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Nb:0.005〜0.025%、N:0.0060%以下、Ti:0.005〜0.020%を含有し、Ti/Nを2.5以上とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、鋼板表面から板厚方向に1〜3mmの表層部が面積率で30〜70%のフェライト相を有し、かつ平均硬さが270HV以下であり、鋼板裏面から板厚方向に1〜5mmの裏層部の平均硬さが前記表層部の平均硬さよりも30〜120HV低いことを特徴とする、降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比:80%以下の厚鋼板
    からなることを特徴とする形鋼。
  6. 前記組成に加えて、さらに質量%で、Cu:0.05〜0.30%、Ni:0.05〜0.35%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.04〜0.40%、V:0.01〜0.06%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項5に記載の形鋼。
  7. 前記鋼板裏層部に前記ウエブが接合されることを特徴とする請求項5または6に記載の形鋼。
  8. 前記形鋼は、H形鋼、I形鋼、T形鋼、山形鋼、溝形鋼のいずれかであることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の形鋼。
  9. 請求項5ないし8のいずれかに記載の形鋼を用いてなる構造体。
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