JP2018123126A - 含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】出口ガスに含まれる原料のHFの圧縮時の凝縮を回避した含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法の提供。【解決手段】含Cl化合物とHFの反応工程を有する含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法であって、当該製造方法は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)などの含フッ素ハロゲン化炭化水素とHFとHClを含有する反応生成物を、以下(1)〜(5)の工程で分離する。(1)反応生成物のガス相と液相への分離工程1(2)液相を昇圧し蒸留塔Aに供給する工程2(3)ガス相を圧縮し蒸留塔Aに供給する工程3(4)蒸留塔Aの塔頂からHClを含む第1ストリームを分取、塔底から有機物及びHFを含む第2ストリームを分取する工程4(5)前記工程3において、ガス相の圧縮時にコンプレッサーにより直列二段階以上で圧縮し、ヒーター加熱により各段階での圧縮後ガスのガスフラクションを1に維持する。【選択図】図1

Description

本発明は、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、E, Z-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(E, Z-HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)からなる群から選択される少なくとも一種の含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法であって、安定して目的化合物を得るための製造方法を提供する。なお、本明細書における含フッ素ハロゲン化炭化水素には、ハロゲンがフッ素であるフッ素化炭化水素の他、フッ素以外のハロゲンも含有する含フッ素ハロゲン化炭化水素が包含される。
HFC-245cb、HFC-245fa、E, Z-HFO-1234ze、HFO-1234yf、HCFO-1233xf、HCFO-1233zd等の含フッ素ハロゲン化炭化水素は、従来、熱媒体(冷媒)、発泡剤、溶媒、洗浄剤、噴射剤、消火剤等の用途に幅広く用いられている。これらの含フッ素ハロゲン化炭化水素は、例えば、含塩素化合物とフッ化水素とを触媒の存在下、気相状態で反応させることにより製造することが知られている。具体的には、例えば、地球温暖化係数(GWP)が低いことからカーエアコン用などの冷媒として有望視されているHFO-1234yfの製造方法としては、従来、以下のような種々の方法が開示されている。
例えば、特許文献1及び2には、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)を原料とし、無水フッ化水素及び触媒を用いた気相フッ素化反応により2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)及びHFO-1234yfを製造する方法が開示されている。また、特許文献3には、1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xa)を原料とし、無水フッ化水素及び触媒を用いた気相フッ素化反応によりHFO-1234yfを製造する方法が開示されている。
触媒を用いた気相フッ素化反応においては、繰り返して反応を行った場合に触媒劣化の問題がある。かかる触媒劣化の問題は、二重結合を持つHCFO-1233xfのような原料の場合には触媒毒となり易いため顕著である。そこで、例えば特許文献4では、触媒劣化抑制のためにフッ素化反応器に酸素又は塩素を添加することが開示されている。
触媒劣化は原料(原料有機物)の濃度により影響を受けると考えられ、触媒劣化抑制の目的で原料濃度を下げる点では、フッ化水素の過剰率を上げる方法やフッ素化反応の反応圧力を低減する方法が挙げられる。ここで、反応圧力を低減すると、塩化水素などの副生成物を除去する際に使用される蒸留塔の凝縮器での凝縮温度が低下し、設備費用の増大とコストアップにつながる。
WO2013/141409号パンフレット WO2013/111911号パンフレット WO2007/079431号パンフレット WO2013/114015号パンフレット
上記問題点を考慮し、フッ素化反応器の出口ガスをコンプレッサーで圧縮し、凝縮器での凝縮温度を上げる方法が考えられる。しかしながら、フッ化水素を含むガスは、圧縮することにより温度が低下し、凝縮する可能性がある。なぜなら、フッ化水素は、安定状態では6分子が会合した形になっており、圧縮時に吸収する熱で凝縮し易くなるためである。そして、凝縮が生じると圧縮が困難になるだけでなく、最悪の場合はコンプレッサーが破損する可能性がある。
本発明は、これらの問題点を改善するものであり、フッ素化反応器の出口ガスをコンプレッサーで圧縮する工程を有する含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法であって、当該出口ガスに含まれるフッ化水素が圧縮時に凝縮することを回避し、安定して目的化合物を得るための製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を進めた結果、含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む有機物とフッ化水素と塩化水素とを含有する反応生成物(フッ素化反応器の出口ガス)を複数の成分に分離する特定の分離工程を有する含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法に関する。
1.含塩素化合物とフッ化水素とを気相状態で反応させる工程を有する含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法であって、
当該製造方法は、前記含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む有機物とフッ化水素と塩化水素とを含有する反応生成物を複数の成分に分離する分離工程を有し、
前記含フッ素ハロゲン化炭化水素は、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、E, Z-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(E, Z-HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)からなる群から選択される少なくとも一種であり、
当該分離工程は、
(1)前記反応生成物をガス相と液相とに分離する工程1、
(2)前記液相を昇圧して蒸留塔Aに供給する工程2、
(3)前記ガス相を圧縮して蒸留塔Aに供給する工程3、及び
(4)蒸留塔Aの塔頂から前記塩化水素を含む第1ストリームを分取し、蒸留塔Aの塔底から前記有機物及び前記フッ化水素を含む第2ストリームを分取する工程4を有し、
(5)前記工程3において、前記ガス相を圧縮する際にコンプレッサーを使用して前記ガス相を直列に二段階以上で圧縮し、且つヒーターで加熱することにより各段階での圧縮後ガスのガスフラクションを1に維持する、
ことを特徴とする製造方法。
2.前記含塩素化合物は、含塩素アルカン及び含塩素アルケンの少なくとも一種である、上記項1に記載の製造方法。
3.前記含塩素化合物は、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)、1,1,2,2,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240aa)、1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xa)、2,3,3,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、1,2,3-トリクロロ-1,1-ジフルオロプロパン(HCFC-242dc)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)、3,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243fa)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)及び 3‐クロロ-1,1,1,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244fa)からなる群から選択される少なくとも一種である、上記項1に記載の製造方法。
4.前記含フッ素ハロゲン化炭化水素がHFO-1234yfを含有し、前記含塩素化合物が1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)、1,1,2,2,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240aa)、1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xa)、2,3,3,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、1,2,3-トリクロロ-1,1-ジフルオロプロパン(HCFC-242dc)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)及び2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)からなる群から選択される少なくとも一種である、上記項1に記載の製造方法。
5.前記含フッ素ハロゲン化炭化水素がHFO-1234yfを含有し、前記含塩素化合物がHCFO-1233xfを含有する、上記項1に記載の製造方法。
6.前記含塩素化合物と前記フッ化水素とを気相状態で反応させる際に、前記反応開始時の前記含塩素化合物に対する前記フッ化水素のモル比を10以上とする、上記項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
7.前記工程3において、前記ガス相を直列に二段階以上で圧縮する際に、各段階での圧縮倍率を2倍以上とする、上記項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
8.前記第2ストリームを蒸留塔Bに供給し、蒸留により、前記含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む第3ストリームと前記含フッ素ハロゲン化炭化水素以外の有機物及びフッ化水素を含む第4ストリームとに分離する工程を更に有する、上記項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、触媒劣化抑制の目的でフッ素化反応の反応圧力を低減し、且つフッ素化反応器の出口ガスをコンプレッサーで圧縮する態様において、反応器出口ガスに含まれるフッ化水素の凝縮を回避して後続の蒸留工程につなげることができる。よって、コンプレッサーを破損することなく安定して目的化合物である含フッ素ハロゲン化炭化水素を得ることができる。
本発明の含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法において、反応生成物を複数の成分に分離する分離工程の一例を示すフロー図である。 従来例の含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法において、反応生成物を複数の成分に分離する分離工程の一例を示すフロー図である。
本発明の含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法(以下、「本発明の製造方法」という)は、含塩素化合物とフッ化水素とを気相状態で反応させる工程を有する含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法であって、
当該製造方法は、前記含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む有機物とフッ化水素と塩化水素とを含有する反応生成物を複数の成分に分離する分離工程を有し、
前記含フッ素ハロゲン化炭化水素は、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、E, Z-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(E, Z-HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)からなる群から選択される少なくとも一種であり、
当該分離工程は、
(1)前記反応生成物をガス相と液相とに分離する工程1、
(2)前記液相を昇圧して蒸留塔Aに供給する工程2、
(3)前記ガス相を圧縮して蒸留塔Aに供給する工程3、及び
(4)蒸留塔Aの塔頂から前記塩化水素を含む第1ストリームを分取し、蒸留塔Aの塔底から前記有機物及び前記フッ化水素を含む第2ストリームを分取する工程4を有し、
(5)前記工程3において、前記ガス相を圧縮する際にコンプレッサーを使用して前記ガス相を直列に二段階以上で圧縮し、且つヒーターで加熱することにより各段階での圧縮後ガスのガスフラクションを1に維持する、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の製造方法は、含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む有機物とフッ化水素と塩化水素とを含有する反応生成物を複数の成分に分離する分離工程において、特にガス相を圧縮する際にコンプレッサーを使用してガス相を直列に二段階以上で圧縮し、且つヒーターで加熱することにより各段階での圧縮後ガスのガスフラクションを1に維持することでフッ化水素の凝縮が回避されている。
本発明の製造方法によれば、触媒劣化抑制の目的でフッ素化反応の反応圧力を低減し、且つフッ素化反応器の出口ガスをコンプレッサーで圧縮する態様において、反応器出口ガスに含まれるフッ化水素の凝縮を回避して後続の蒸留工程につなげることができる。よって、コンプレッサーを破損することなく安定して目的化合物である含フッ素ハロゲン化炭化水素を得ることができる。
以下、本発明の製造方法を、適宜図1を参照しながら各工程に分けて説明する。
工程1(反応生成物の気液分離工程)
工程1は、含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む有機物とフッ化水素と塩化水素とを含有する反応生成物を複数の成分に分離する分離工程のうち、前記反応生成物をガス相と液相とに分離する工程である。
なお、当該反応生成物は、含塩素化合物とフッ化水素とを気相状態で一段階で反応させる場合には、当該一段階の反応により得られる含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む反応生成物を意味し、含塩素化合物とフッ化水素とを気相状態で多段階で反応させる場合には、最終段階の反応により得られる含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む反応生成物を意味する。
本発明の製造方法は、含塩素化合物とフッ化水素とを気相状態で反応させる工程を有する含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法に適用することができる。かかる製造方法は、一般にフッ素化触媒を用いて行われ、含塩素化合物としては含塩素アルカン及び含塩素アルケンの少なくとも一種が用いられる。
含塩素化合物としては、例えば、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)、1,1,2,2,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240aa)、1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xa)、2,3,3,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、1,2,3-トリクロロ-1,1-ジフルオロプロパン(HCFC-242dc)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)、3,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243fa)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)及び 3‐クロロ-1,1,1,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244fa)からなる群から選択される少なくとも一種からなる群から選択される少なくとも一種が好ましいものとして挙げられる。これらの含塩素化合物は目的化合物の種類や反応段数(一段階反応、又は二段階以上の多段階反応)に応じて使い分けることができ、必要に応じて2種以上を混合して用いることもできる。
例えば、HFO-1234yfを目的化合物とする場合には、原料としてHCFO-1233xfを使用し、一段階の気相フッ素化反応によりHFO-1234yfを含む反応生成物を得ることができ、HCFO-1233xf以外の原料(含塩素化合物)を用いる場合には、一段階の気相フッ素化反応によりHFO-1234yfを含む反応生成物を得てもよいが、目的生成物であるHFO-1234yfの収率を高める点では原料を多段階で気相フッ素化反応に供することによりHFO-1234yfを含む反応生成物を得てもよい。原料を多段階(例えば二段階)で気相フッ素化反応に供する場合には、例えば原料の含塩素化合物をフッ素化触媒の存在下においてフッ化水素を用いて気相フッ素化することによりHCFO-1233xfを含む中間生成物を得た後、HCFO-1233xfを含む中間生成物をフッ素化触媒の存在下においてフッ化水素を用いて更に気相フッ素化させることにより二段階でHFO-1234yfを含む反応生成物を得ることができる。
HFO-1234yfを目的化合物とする場合には、含塩素化合物としては、例えば、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)、1,1,2,2,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240aa)、1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xa)、2,3,3,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、1,2,3-トリクロロ-1,1-ジフルオロプロパン(HCFC-242dc)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)及び2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)からなる群から選択される少なくとも一種が好ましいものとして挙げられる。この中でも、一段階の気相フッ素化反応により目的化合物であるHFO-1234yfを含む反応生成物が得られる点で原料としてはHCFO-1233xfを含むものが好ましい。
以下、HFO-1234yfを目的化合物とする場合を例に挙げて、第一反応工程と第二反応工程とからなる二段階反応について説明する。なお、原料としてHCFO-1233xfを用いる場合には、第二反応工程の気相フッ素化反応を主として用いて一段階でHFO-1234yfを含む反応生成物を得ることができる。
(i)第一反応工程
第一反応工程では、フッ素化触媒の存在下において、加熱下に上記した原料(含塩素化合物:原料化合物ともいう)とフッ化水素とを気相状態で反応させる。
第一反応工程では、この様な条件下で上記原料化合物をフッ化水素と反応させることによって、HFO-1234yfの中間体となるHCFO-1233xfを含む生成物を得ることができる。
第一反応工程では、フッ素化触媒の存在下において、上記した原料化合物とフッ化水素とを気相状態で反応させることが必要であるが、後述する反応温度領域において、原料化合物とフッ化水素が気体状態で接触できればよく、原料化合物の供給時には、原料化合物が液体状態であってもよい。例えば、原料化合物が常温、常圧で液状である場合には、原料化合物を気化器で気化(気化領域)させてから予熱領域を通過させ、フッ化水素と接触させる混合領域に供給することによって気相状態で反応を行うことができる。また、原料化合物を液体状態で反応装置に供給し、フッ化水素との反応領域に達した時に気化させて反応させてもよい。さらに、気化したフッ化水素を過熱状態にして、そこに原料を供給することで気化させて反応器に供給することで反応させてもよい。
第一反応工程で使用するフッ素化触媒としては、フッ化水素によるフッ素化反応に対して活性のある公知の触媒を用いることができる。例えば、酸化クロム、酸化フッ化クロム、フッ化アルミニウム、酸化フッ化アルミニウムなどの金属酸化物、金属酸化フッ化物を用いることができ、その他に、MgF2、TaF5、SbF5などの金属フッ化物も使用できる。
これらの触媒の内で、例えば、酸化クロムとしては、特に限定的ではないが、例えば、組成式:CrOmにおいて、mが1.5<m<3の範囲にあるものを用いることが好ましく、2<m<2.75の範囲にあるものがより好ましく、2<m<2.3の範囲にあるものが更に好ましい。酸化クロム触媒の形状は粉末状、ペレット状等、反応に適していればいかなる形状のものも使用できるが、ペレット状が好ましい。上記した酸化クロム触媒は、例えば、特開平5−146680号に記載された方法によって調製することができる。
また、フッ素化された酸化クロムについては、特開平5−146680号公報に記載された方法によって調製することができる。例えば、上記した方法で得られる酸化クロムをフッ化水素によりフッ素化(HF処理)することによって得ることができる。
フッ素化の程度については、特に限定的ではないが、例えば、フッ素含有量が10〜45重量%程度のものを好適に用いることができる。
更に、特開平11−171806号公報に記載されている、インジウム、ガリウム、コバルト、ニッケル、亜鉛及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素が添加されたクロム化合物を主成分とし、前記クロム化合物におけるクロムの平均原子価数が+3.5以上、+5.0以下であり、かつ、非晶質状態にあるクロム系触媒についても、酸化クロム触媒又はフッ素化された酸化クロム触媒として用いることができる。
上記したフッ素化触媒は、アルミナ、活性炭等の担体に担持して使用することもできる。原料化合物を反応領域で気化させる方法については特に限定はないが、例えば、ニッケルビーズ、アルミナビーズ、ハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)、インコロイ(INCOLLOY)等の耐食材料の金属片などの熱伝導性が良好で本発明の反応に対する触媒活性が無く、しかもフッ化水素に対して安定な材料を予熱領域に充填して原料化合物の気化温度以上に加熱し、ここに液体状態の原料化合物を供給して、原料化合物を気化させて気相状態としてもよい。
フッ化水素は、通常、原料化合物と共に、気相状態で反応器に供給すればよい。フッ化水素の供給量については、通常、上記した原料化合物1モルに対して、1〜100モル程度とすることが適当であり、5〜50モル程度とすることが好ましく、10〜30モル程度とすることがより好ましい。この様な使用量の範囲とすることによって、原料化合物の転化率及びHCFO-1233xf等の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンHFO-1234yfの中間体となり得る成分の選択率を良好な範囲内に維持することができる。
なお、上記した原料は、反応器にそのまま供給してもよく、あるいは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスで希釈して供給してもよい。
第一反応工程で用いる反応器の形態は特に限定されるものではなく、触媒を充填した断熱反応器を用いてよい。また、熱媒体を用いて除熱・反応器内の温度分布を均一化した多管型反応器等を用いることもできる。
反応器としては、ニッケルを30重量%以上含有する合金からなる反応器が好ましく、具体的には、ハステロイ、インコネル、モネル、インコロイ等のフッ化水素の腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。
第一反応工程では、反応温度は、反応器の中の温度として、200〜500℃程度が適当であり、250〜400℃程度が好ましく、300〜350℃程度がより好ましい。この温度範囲より高温になるとHCFO-1233xfなどのHFO-1234yfの中間体となり得る成分の選択率が低下し、低温になると原料化合物の転化率が低下するおそれがある。
反応時の圧力については、上記した原料化合物とフッ化水素が気相状態で存在できる圧力であれば特に限定されるものではなく、常圧下、加圧下のいずれでもよい。即ち、第一反応工程は、大気圧(0.1Mpa)下で実施することができ、原料が液体状態にならない温度条件においては1.0MPa程度までの加圧下で実施することもできる。
反応時間については特に限定的ではないが、通常、気相での触媒重量W(g)と反応系に流す原料ガス(原料化合物、フッ化水素及び不活性ガス)の全流量Fo(0℃、0.1MPaでの流量:cc/sec)との比率:W/Foで表される滞留時間を1〜10(g・sec/cc)程度の範囲とすればよい。
上記した反応条件によれば、反応器出口では、HCFO-1233xfを含む反応生成物を得ることができる。
(ii)第二反応工程
第二反応工程では、フッ素化触媒の存在下において、第一反応工程で得られた生成物を原料として、気相中で加熱下でフッ化水素と反応させる。
第一反応工程で得られた生成物は、主成分としてHCFO-1233xfを含むものであるが、その他に、1,2,3-トリクロロ-1,1-ジフルオロプロパン(HCFC-242dc)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロパン(HCFO-1232xf)等のクロロプロパン化合物や、クロロプロペン化合物も含まれ得る。これらのクロロプロパン化合物、クロロプロペン化合物等を含む生成物をそのまま原料として用いて、第二反応工程において、フッ素化触媒の存在下にフッ化水素と反応させることによって、HCFO-1233xfの他に、生成物中に含まれるHCFC-242dc、HCFO-1232xf等もHFO-1234yfに変換させることができる。その結果、高い選択率で目的とするHFO-1234yfを得ることができる。
第二反応工程で使用するフッ素化触媒としては、フッ化水素によるフッ素化反応に対して活性のある公知の触媒を用いることができる。例えば、酸化クロム、酸化フッ化クロム、フッ化アルミニウム、酸化フッ化アルミニウムなどの金属酸化物、金属酸化フッ化物を用いることができ、その他に、MgF2、TaF5、SbF5などの金属フッ化物も使用できる。
これらの触媒の内で、例えば、酸化クロムとしては、特に限定的ではないが、例えば、組成式:CrOmにおいて、mが1.5<m<3の範囲にあるものを用いることが好ましく、2<m<2.75の範囲にあるものがより好ましく、2<m<2.3の範囲にあるものが更に好ましい。酸化クロム触媒の形状は粉末状、ペレット状等、反応に適していればいかなる形状のものも使用できるが、ペレット状が好ましい。上記した酸化クロム触媒は、例えば、特開平5−146680号に記載された方法によって調製することができる。
また、フッ素化された酸化クロムについては、特開平5−146680号公報に記載された方法によって調製することができる。例えば、上記した方法で得られる酸化クロムをフッ化水素によりフッ素化(HF処理)することによって得ることができる。
フッ素化の程度については、特に限定的ではないが、例えば、フッ素含有量が10〜45重量%程度のものを好適に用いることができる。
更に、特開平11−171806号公報に記載されている、インジウム、ガリウム、コバルト、ニッケル、亜鉛及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素が添加されたクロム化合物を主成分とし、前記クロム化合物におけるクロムの平均原子価数が+3.5以上、+5.0以下であり、かつ、非晶質状態にあるクロム系触媒についても、酸化クロム触媒又はフッ素化された酸化クロム触媒として用いることができる。
上記したフッ素化触媒は、アルミナ、活性炭等の担体に担持して使用することもできる。
原料として用いるフッ化水素は、通常、第一工程で得られた反応生成物と共に、気相状態で反応器に供給すればよい。第二反応工程におけるフッ化水素の供給量については、通常、第一反応工程から得られた反応生成物1モルに対して、1〜50モル程度とすることが適当であり、5〜30モル程度とすることが好ましく、7〜20モル程度とすることがより好ましい。第二反応工程では、フッ化水素の供給量は、上記した範囲内において、第一反応工程で実際に供給したフッ化水素の供給量と比較して少量であることが好ましい。
第一反応工程で得られた反応生成物に含まれるフッ化水素量が、上記した範囲内にある場合には、別途フッ化水素を添加することなく、第一反応工程で得られた生成物のみを用いて第二反応工程におけるフッ素化反応を行うことができる。また、第一反応工程で得られた反応生成物中に含まれるフッ化水素量が上記した範囲を上回る場合には、蒸留などの方法によって該反応生成物に含まれるフッ化水素量を低減させた後、第二反応工程における原料として用いればよい。
フッ素化触媒の存在下において、上記した範囲内で無水フッ化水素を使用することによって、HFO-1234yfの選択率を良好な範囲内に維持することができる。
また、長時間の触媒活性を維持するために、特に第二反応工程においては、上記原料に酸素を同伴させて反応器に供給してもよい。この場合、酸素の供給量は、第一反応工程から得られた反応生成物1モルに対して、0.01〜0.3モル程度とすればよい。
第二反応工程で用いる反応器の形態は特に限定されるものではなく、例えば、触媒を充填した断熱反応器、熱媒体を用いて除熱した多管型反応器等を用いることができる。なお、反応器としては、第一反応工程と同様に、ハステロイ(HASTALLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)等のフッ化水素の腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。
第二反応工程では、反応温度は、反応器の中の温度として、200〜500℃程度が適当であり、300〜450℃程度が好ましく、350〜400℃程度がより好ましい。この温度範囲より高温になるとHFO-1234yf の選択率が低下し、低温になると原料化合物の転化率が低下するので、いずれも好ましくない。特に、第二反応工程では、この様な反応温度の範囲内において、第一反応工程の反応温度より低い反応温度とすることが好ましい。
反応時の圧力については、特に限定されるものではなく、常圧又は加圧下に反応を行うことができる。即ち、本発明における反応は、大気圧(0.1Mpa)下で実施することが可能であるが、0.5MPa程度までの加圧下で行ってもよい。
反応時間については特に限定的ではないが、通常、触媒充填量W(g)と、第二反応工程の反応器に供給する原料ガスの全流量(第一反応工程の生成物とHFの合計量)Fo(0℃、1atmでの流量:cc/sec)との比率:W/Foで表される接触時間を5〜20g・sec/cc程度の範囲とすればよい。
(iii)反応生成物
上記した二段階の反応工程からなる方法によれば、第二反応工程の反応器出口では、高い選択率で目的とするHFO-1234yfを含む反応生成物を得ることができる。
反応生成物中には、HFO-1234yfを含む有機物、未反応のフッ化水素、塩化水素等が含まれている。HFO-1234yf以外の有機物としては使用する原料の種類にもよるが、例えば、HCFO-1233xf、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)、HCFO-1233zd、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)等が挙げられる。
工程1では、例えば、上記のような含フッ素ハロゲン化炭化水素(上記例示ではHFO-1234yf)を含む反応生成物(図1のS11)をガス相(S12)と液相(S16)とに分離する。反応生成物をガス相と液相とに分離する際は公知の気液分離器を用いればよいが効率的に分離する観点では冷却器(凝縮器)を用いることが好ましい。気液分離により、大部分のフッ化水素は液相に分離され、少量のフッ化水素はガス相に分離され、実質的に全ての塩化水素がガス相に分離される。
工程2(液相を昇圧して蒸留塔Aに供給する工程)
工程2は、工程1で分離した液相を昇圧して蒸留塔Aに供給する。
液相を昇圧する際にはポンプを用いることができる。ポンプの吐出圧力が蒸留塔Aの運転圧力より高くなるような昇圧条件とする必要があり、蒸留塔の運転圧力より5〜10%高い圧力が好ましい。
工程3(ガス相を圧縮して蒸留塔Aに供給する工程)
工程3は、工程1で分離したガス相を蒸留塔Aに供給する工程であって、特に前記ガス相を圧縮する際にコンプレッサーを使用して前記ガス相を直列に二段階以上で圧縮し、且つヒーターで加熱することにより各段階での圧縮後ガスのガスフラクションを1に維持するところに特徴がある。なお、ガスフラクションは、モルベースにて、ガス相量/(液相量+ガス相量)で表される。
ヒーターは、前記ガス相を直列に二段階以上で圧縮し、蒸留塔Aに供給する間において、各段階での圧縮後ガスのガスフラクションが1に維持できる限り、ヒーターの数及び設置場所については特に限定されない。ヒーターの温度は、各段階での圧縮後ガスのガスフラクションが1に維持できる限り特に限定されないが、0〜150℃が好ましい。この温度範囲において、例えばn段階の圧縮をするためにn個のコンプレッサーを直列に配置する場合には、n−1個のヒーターを各段の間に設置することが好ましい。なお、本発明の製造方法では、最初の段階の圧縮後ガスから多段階を経て蒸留塔Aに到達するまでガスフラクション1を維持することが好ましい。
図1では、ガス相を圧縮するコンプレッサーは一段階目と二段階目の2つが設けられ、一段階目と二段階目との間にヒーターが設けられている。ヒーターで加熱しながら各段階での圧縮を行うことにより、各段階での圧縮後ガスのガスフラクションを1に維持する。ヒーターの温度は限定的ではないが、上記のように一段階目と二段階目との間に一つのヒータを設ける場合には、100℃以下が好ましく、30〜80℃がより好ましい。
本発明では、ガス相を直列に二段階以上で圧縮する際に、各段階での圧縮倍率を2倍以上に設定することが好ましく、例えば二段階で圧縮する場合には、各段の圧縮倍率を2〜5倍に設定することが好ましい。
工程4(蒸留塔Aにおいて蒸留を行う工程)
工程4は、蒸留塔Aの塔頂から塩化水素を含む第1ストリーム(S18)を分取し、蒸留塔Aの塔底から有機物及びフッ化水素を含む第2ストリーム(S19)を分取する。
ここで、蒸留塔Aにおける蒸留は常法に従って行えばよい。蒸留塔の運転圧力としては、0.1MPa〜2MPaの間で選択しうる。圧力が高いほど凝縮温度が高くなるので冷却のためのコストを削減できるが、圧力が高くなることによる漏洩リスクや装置の肉厚が厚くなることなどによるコスト増を勘案して、最適な圧力を選択する。
蒸留塔Aの塔底から分取される第2ストリームには、通常、フッ化水素、目的化合物である含フッ素ハロゲン化炭化水素や副生物や未反応原料を含む有機物などが含まれる。
工程5(蒸留塔Bにおいて蒸留を行う工程)
本発明の製造方法は、前記第2ストリームを蒸留塔Bに供給し、蒸留により、前記含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む第3ストリーム(例えばS20)と前記含フッ素ハロゲン化炭化水素以外の有機物及びフッ化水素を含む第4ストリーム(例えばS21)とに分離する工程を更に有していてもよい。この工程は、目的化合物などの有機物を含む第2ストリームを分留して目的化合物を分取する工程であり、目的化合物の種類、沸点の相違等に応じて蒸留条件を適宜設定することができる。蒸留塔Bは必要に応じて多段蒸留が可能なものを採用することができ、その場合にはより細かく目的化合物を分取できるように蒸留条件を設定することができる。
ここで、蒸留塔Bにおける蒸留は常法に従って行えばよい。蒸留塔の運転圧力としては、蒸留塔Aと同様0.1MPa〜2MPaの間で選択しうる。また、蒸留塔Aは蒸留塔Bより高い圧力で運転すれば、蒸留塔の間で圧縮する必要がなくなるため都合が良い。
前記含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む第3ストリームには、目的化合物の含フッ素ハロゲン化炭化水素を主として含む組成物が含まれている。含フッ素ハロゲン化炭化水素は、更に粗製工程及び精製工程を経て最終製品とすることができる。粗製工程、及び精製工程の具体的な方法については特に限定はないが、例えば、それぞれ、水洗、脱水(乾燥)、更なる蒸留、分液等の手段が挙げられる。
前記含フッ素ハロゲン化炭化水素以外の有機物及びフッ化水素を含む第4ストリームには、通常、フッ化水素、目的化合物である含フッ素ハロゲン化炭化水素以外の有機物などが含まれる。第4ストリームに含まれる成分は、適宜粗製工程経た後、本発明における含塩素化合物とフッ化水素との気相フッ素化反応にリサイクルすることができる。
なお、本発明の製造方法では、工程1〜工程5は当該工程順に行えばよいが、工程2及び工程3は順不同又は同時に行うことができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。なお、実施例及び比較例はシミュレーションに基づくものである。
実施例1
フッ素化反応器の出口ガスを図1に示す通りに複数の成分に分離する際の各ストリーム(S11〜S21)の流量(mol/h)を調べた。流量を表1に示す。なお、この実施例1は、目的化合物をHFO-1234yfとした製造方法である。
Figure 2018123126
Vapor fraction : モルベースでの、ガス相量/(液相量+ガス相量)
比較例1
フッ素化反応器の出口ガスを図2に示す通りに複数の成分に分離する際の各ストリーム(S31〜S40)の流量(mol/h)を調べた。図1と対比して、コンプレッサーの圧縮一段目と圧縮二段目との間にヒーターを設けなかった以外は、図1と同様の条件とした。流量を表2に示す。なお、この比較例1は、目的化合物をHFO-1234yfとした製造方法である。
Figure 2018123126
表1、表2の結果から明らかな通り、実施例1ではガス相を圧縮する際にガスフラクションが1に維持されており安定して後続の蒸留工程につなげることができる。他方、比較例1ではガス相を圧縮する際に圧縮一段目でガス相の液化が生じてコンプレッサー
が機能せず安定して後続の蒸留工程につなげることができない。
S11、S31…気液分離装置入口
S12、S32…コンプレッサー入口
S13、S33…圧縮一段目出口
S14…ヒーター出口
S15、S34…コンプレッサー出口
S16、S35…ポンプ入口
S17、S36…ポンプ出口
S18、S37…蒸留塔Aの塔頂
S19、S38…蒸留塔Aの塔底
S20、S39…蒸留塔Bの塔頂
S21、S40…蒸留塔Bの塔底

Claims (8)

  1. 含塩素化合物とフッ化水素とを気相状態で反応させる工程を有する含フッ素ハロゲン化炭化水素の製造方法であって、
    当該製造方法は、前記含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む有機物とフッ化水素と塩化水素とを含有する反応生成物を複数の成分に分離する分離工程を有し、
    前記含フッ素ハロゲン化炭化水素は、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、E, Z-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(E, Z-HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)からなる群から選択される少なくとも一種であり、
    当該分離工程は、
    (1)前記反応生成物をガス相と液相とに分離する工程1、
    (2)前記液相を昇圧して蒸留塔Aに供給する工程2、
    (3)前記ガス相を圧縮して蒸留塔Aに供給する工程3、及び
    (4)蒸留塔Aの塔頂から前記塩化水素を含む第1ストリームを分取し、蒸留塔Aの塔底から前記有機物及び前記フッ化水素を含む第2ストリームを分取する工程4を有し、
    (5)前記工程3において、前記ガス相を圧縮する際にコンプレッサーを使用して前記ガス相を直列に二段階以上で圧縮し、且つヒーターで加熱することにより各段階での圧縮後ガスのガスフラクションを1に維持する、
    ことを特徴とする製造方法。
  2. 前記含塩素化合物は、含塩素アルカン及び含塩素アルケンの少なくとも一種である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記含塩素化合物は、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)、1,1,2,2,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240aa)、1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xa)、2,3,3,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、1,2,3-トリクロロ-1,1-ジフルオロプロパン(HCFC-242dc)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)、3,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243fa)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)及び 3‐クロロ-1,1,1,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244fa)からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記含フッ素ハロゲン化炭化水素がHFO-1234yfを含有し、前記含塩素化合物が1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)、1,1,2,2,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240aa)、1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xa)、2,3,3,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、1,2,3-トリクロロ-1,1-ジフルオロプロパン(HCFC-242dc)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)及び2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記含フッ素ハロゲン化炭化水素がHFO-1234yfを含有し、前記含塩素化合物がHCFO-1233xfを含有する、請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記含塩素化合物と前記フッ化水素とを気相状態で反応させる際に、前記反応開始時の前記含塩素化合物に対する前記フッ化水素のモル比を10以上とする、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記工程3において、前記ガス相を直列に二段階以上で圧縮する際に、各段階での圧縮倍率を2倍以上とする、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記第2ストリームを蒸留塔Bに供給し、蒸留により、前記含フッ素ハロゲン化炭化水素を含む第3ストリームと前記含フッ素ハロゲン化炭化水素以外の有機物及びフッ化水素を含む第4ストリームとに分離する工程を更に有する、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
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