JP2018119959A - 抗原又は抗体固定化粒子及び免疫測定試薬の製造方法並びに免疫測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、固相担体表面に固定化した抗原又は抗体の感度が高い抗原又は抗体固定化粒子及び免疫測定試薬の製造方法を提供することを目的とする。
即ち本発明は、表面に抗原(A)又は抗体(B)を固定化した粒子(C)を、グリシン及びゼラチンを含有する水溶液(D)中に25〜45℃の温度で1〜14日間浸漬する工程(I)を含む抗原又は抗体固定化粒子の製造方法;前記製造方法により得られる抗原又は抗体固定化粒子を用いる免疫測定試薬の製造方法;前記製造方法により得られる抗原又は抗体固定化粒子を用いる免疫測定方法である。
尚、本発明において「感度」とは、ノイズに対するシグナルの比率(シグナル/ノイズ)のことであり、「高感度」とは、測定対象物が入っているサンプルを免疫測定試薬で測定した場合の発光量(シグナル)を、測定対象物が入っていないサンプルを免疫測定試薬で測定した場合の発光量(ノイズ)で割った値が大きいことを意味する。
これらの内、免疫測定における測定時間の短時間化の観点から、磁性粒子が好ましく、特開2014−210680号公報及び特開2013−019889号公報等に記載の公知の磁性シリカ粒子が更に好ましい。
粒子(C)を含む粒子組成物(D)は、免役測定用試薬及びたんぱく質精製等に使用できるが、これらの中で免役測定用試薬の用途が最も好ましい。
水溶液(D)中のグリシンの含有量は、水溶液(D)の重量を基準として、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、0.5〜10重量%が好ましく、更に好ましくは1.0〜8重量%であり、特に好ましくは1.5〜5重量%である。
尚、本発明において、「抗原(A)又は抗体(B)の安定性」とは、粒子含有組成物又は免疫測定用試薬の作製直後と一定期間保存後の抗原(A)又は抗体(B)の活性の変化が少ないことを意味する。
水溶液(D)中のゼラチンの含有量は、水溶液(D)の重量を基準として、操作性の観点から、0.5〜10重量%が好ましく、更に好ましくは1.0〜8重量%であり、特に好ましくは1.5〜5重量%である。
水溶液(D)中のゼラチンに対するグリシンの重量比率[グリシン/ゼラチン]は、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、0.005〜20が好ましく、更に好ましくは0.01〜10であり、特に好ましくは0.1〜5である。
工程(I)において、粒子(C)を水溶液(D)中に浸漬する際の水溶液(D)に対する粒子(C)の重量比率[(C)/(D)]は、感度の観点から、0.00001〜0.01が好ましく、更に好ましくは0.00005〜0.005、特に好ましくは0.0001〜0.002である。
水溶液(D)中のラクトースの含有量は、感度及び抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、水溶液(D)の重量を基準として、0〜40重量%が好ましく、更に好ましくは1〜30重量%であり、特に好ましくは5〜20重量%である。
水溶液(D)中の牛血清アルブミンの含有量は、感度及び抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、水溶液(D)の重量を基準として、0〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.01〜3重量%であり、特に好ましくは0.05〜1重量%である。
水溶液(D)中の塩化ナトリウムの含有量は、感度及び抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、水溶液(D)の重量を基準として、0〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜3重量%であり、特に好ましくは0.5〜1.5重量%である。
水溶液(D)中のリン酸の含有量は、感度及び抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、水溶液(D)の重量を基準として、0〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.05〜3重量%であり、特に好ましくは0.1〜1重量%である。
免疫測定法としては、文献[例えば、酵素免疫測定法第2版(石川栄治ら編集、医学書院)1982年]記載のサンドイッチ法、競合法及び特開平6−130063号公報記載の方法、具体的には以下の3種の方法等が挙げられる。
<第1の方法:サンドイッチ法>
粒子(C)が、測定対象物質(E)と特異的に結合する物質(測定対象物質結合物質)としての抗原(A)又は抗体(B)をその表面に固定化しているものであって、測定対象物質(E)を含む試料と、粒子(C)と、標識物質により標識された測定対象物質結合物質(標識測定対象物質結合物質)(F)とを接触させて、粒子(C)上に測定対象物質結合物質としての抗原(A)又は抗体(B)と測定対象物質(E)と標識測定対象物質結合物質(F)との複合体[標識複合体(G)]を形成させ、標識複合体(G)を担持した粒子をB/F分離して、標識複合体(G)中の標識物質量を測定し、その結果に基づいて前記試料中の測定対象物質(E)を測定する。
粒子(C)が、測定対象物質(E)又は測定対象物質の類似物質(E1)としての抗原(A)又は抗体(B)をその表面に固定化しているものであって、測定対象物質(E)を含む試料と、標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(標識測定対象物質結合物質)(F)と、粒子(C)とを接触させて、粒子(C)上に抗原(A)又は抗体(B)と標識測定対象物質結合物質(F)との複合体[標識複合体(G)]を形成させ、標識複合体(G)を担持した粒子をB/F分離して、標識複合体(G)中の標識物質量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質(E)を測定する。
粒子(C)が、測定対象物質と特異的に結合する物質(測定対象物質結合物質)としての抗原(A)又は抗体(B)をその表面に固定化しているものであって、測定対象物質(E)を含む試料と、標識物質により標識された測定対象物質(F)又は測定対象物質の類似物質[標識測定対象物質(F)又はその類似物質]と粒子(C)とを接触させて、磁性シリカ粒子上に抗原(A)又は抗体(B)と標識測定対象物質(F)又はその類似物質との複合体[標識複合体(G)]を形成させ、標識複合体(G)を担持した粒子をB/F分離して、標識複合体中の標識物質量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質を測定する。
上記したものの中でも、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、抗体、ホルモン、癌マーカー及び心疾患マーカーが好ましい。
○表面に抗NT−proBNPポリクローナル抗体(B−1)を固定化した粒子(C−1)の作製
1重量%γ−アミノプロピルトリエトキシシラン含有水溶液40mLの入った蓋付きポリスチレン瓶に製造した磁性シリカ粒子(商品名:マグラピッド、三洋化成工業(株)製)40mgを加え、25℃で1時間反応させ、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去した。次いで脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌した後、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性シリカ粒子を洗浄した。この洗浄操作を5回行った。次いで、この洗浄後の磁性シリカ粒子を2重量%グルタルアルデヒド含有水溶液40mLの入った蓋付きポリスチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。そして、脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌したのち、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性シリカ粒子を洗浄した。この洗浄操作を10回行った。更にこの洗浄後の磁性シリカ粒子を抗NT−proBNPポリクローナル抗体(Roche(株)製)10μg/mLの濃度で含む0.02Mリン酸緩衝液(pH8.7)120mLの入った蓋付きポリスチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。反応後、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、抗PSAモノクローナル抗体含有リン酸緩衝液を除去した。次いで、磁性シリカ粒子を1重量%の牛血清アルブミン含有の0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で12時間浸漬させた。これにより、抗NT−proBNPポリクローナル抗体固定化粒子(C−1)を得た。
○表面に抗AFPモノクローナル抗体(B−2)を固定化した粒子(C−2)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗AFPモノクローナル抗体(ダコ・サイトメーション(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗AFPモノクローナル抗体固定化粒子(C−2)を得た。
○表面に抗CEAポリクローナル抗体(B−3)を固定化した粒子(C−3)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗CEAモノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗CEAポリクローナル抗体固定化粒子(C−3)を得た。
○表面に抗CA19−9モノクローナル抗体(B−4)を固定化した粒子(C−4)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗CA19−9モノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗ACA19−9モノクローナル抗体固定化粒子(C−4)を得た。
○表面に抗T3モノクローナル抗体(B−5)を固定化した粒子(C−5)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗T3モノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗T3モノクローナル抗体固定化粒子(C−5)を得た。
○表面に抗T4モノクローナル抗体(B−6)を固定化した粒子(C−6)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗T4モノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗T4モノクローナル抗体固定化粒子(C−6)を得た。
○表面に抗C−ペプチドモノクローナル抗体(B−7)を固定化した粒子(C−7)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗C−ペプチドモノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗C−ペプチドモノクローナル抗体固定化粒子(C−7)を得た。
○表面に抗インスリンポリクローナル抗体(B−8)を固定化した粒子(C−8)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗インスリンポリクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗インスリンポリクローナル抗体固定化粒子(C−8)を得た。
○表面に抗PSAモノクローナル抗体(B−9)を固定化した粒子(C−9)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗PSAモノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗PSAモノクローナル抗体固定化粒子(C−9)を得た。
○表面に抗トロポニンTモノクローナル抗体(B−10)を固定化した粒子(C−10)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗トロポニンTモノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗トロポニンTモノクローナル抗体固定化粒子(C−10)を得た。
○表面に抗CA125モノクローナル抗体(B−11)を固定化した粒子(C−11)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗CA125モノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗CA125モノクローナル抗体固定化粒子(C−11)を得た。
○表面に抗NSEモノクローナル抗体(B−12)を固定化した粒子(C−12)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗NSEモノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗NSEモノクローナル抗体固定化粒子(C−12)を得た。
○表面に抗CA15−3モノクローナル抗体(B−13)を固定化した粒子(C−13)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗CA15−3モノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗CA15−3モノクローナル抗体固定化粒子(C−13)を得た。
○表面に抗PIVKAモノクローナル抗体(B−14)を固定化した粒子(C−14)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗PIVKAモノクローナル抗体(コスモ・バイオ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗PIVKAモノクローナル抗体固定化粒子(C−14)を得た。
○表面に抗Cyfraモノクローナル抗体(B−15)を固定化した粒子(C−15)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗Cyfraモノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗Cyfraモノクローナル抗体固定化粒子(C−15)を得た。
○表面に抗HIVモノクローナル抗体(B−16)を固定化した粒子(C−16)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗HIVモノクローナル抗体((フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗HIVモノクローナル抗体固定化粒子(C−16)を得た。
○表面に抗HIV抗原(B−17)を固定化した粒子(C−17)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗HIV抗原(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗HIV抗原固定化粒子(C−17)を得た。
○表面に抗HCV抗原(B−18)を固定化した粒子(C−18)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗HCV抗原(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗HCV抗原固定化粒子(C−18)を得た。
○表面に抗TR抗原(B−19)を固定化した粒子(C−19)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗TR抗原(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗TR抗原固定化粒子(C−19)を得た。
○表面に抗Tg抗原(B−20)を固定化した粒子(C−20)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗Tg抗原(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗Tg抗原固定化粒子(C−20)を得た。
○表面に抗TPO抗原(B−21)を固定化した粒子(C−21)の作製
製造例1において、「NT−proBNPポリクローナル抗体」に代えて「抗TPO抗原(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗TPO抗原固定化粒子(C−21)を得た。
○高感度化した抗NT−proBNPポリクローナル抗体固定化粒子(1)を含む粒子組成物(E−1)の製造
0.1重量%の牛血清アルブミン、0.85重量%の塩化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)、及び10重量%のラクトース1水和物(和光純薬工業(株)製)、5重量%グリシン(和光純薬工業(株)製)、5重量%ゼラチン(和光純薬工業(株)製)を含有させた0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)の水溶液(D1)を調製し、その後、抗NT−proBNPポリクローナル抗体固定化粒子(C−1)を1mg/mLとなるように添加、攪拌して粒子組成物(1)を得た。更に、得られた粒子組成物(1)を1.5mLクライオチューブ(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)に1mL移し変えて、30℃で7日間保管し、高感度化した抗NT−proBNPポリクローナル抗体固定化粒子(1)を含む粒子組成物(E−1)を製造した。
○高感度化した抗NT−proBNPポリクローナル抗体固定化粒子(2)〜(10)を含む粒子組成物(E−2)〜(E−10)の製造
実施例1において、0.02Mリン酸緩衝液の水溶液(D1)中のグリシン及びゼラチンの含有量を表1の含有量(重量%)とし、保温期間及び保温温度を表1に記載の期間(日)及び温度(℃)とし、粒子濃度及びpHを表1に記載のものとする以外は同様にして、高感度化した抗NT−proBNPポリクローナル抗体固定化粒子(2)〜(10)を含む粒子組成物(E−2)〜(E−10)を製造した。
○高感度化した抗体固定化粒子(11)〜(30)を含む粒子組成物(E−11)〜(E−30)の製造
実施例6において、「NT−proBNPポリクローナル抗体固定化粒子(C−1)」に代えて製造例2〜21で得た粒子(C−2)〜(C−21)をそれぞれ用いる以外は同様にして表3及び表4に記載の通り高感度化した抗体固定化粒子(11)〜(30)を含む粒子組成物(E−11)〜(E−30)を製造した。
○比較用の粒子組成物(H−1)〜(H−4)の製造
実施例1において、0.02Mリン酸緩衝液の水溶液(D1)中の各成分の組成を表2に記載のものとし、30℃で7日間保管せずに、得られた粒子組成物をそのまま比較用の粒子組成物(H−1)〜(H−4)とした。
実施例1において、0.02Mリン酸緩衝液の水溶液(D1)中の各成分の組成を表2に記載のものとし、保温期間及び保温温度を表2に記載の期間(日)及び温度(℃)とする以外は同様にして、比較用の粒子組成物(H−5)〜(H−8)を製造した。
○比較用の粒子組成物(H−9)〜(H−28)の製造
比較例4において、「NT−proBNPポリクローナル抗体固定化粒子(C−1)」に代えてそれぞれ粒子(C−2)〜(C−21)を用いる以外は同様にして、表5及び表6に記載の通り比較用の粒子組成物(H−9)〜(H−28)を製造した。
○標識試薬の作製:
抗NT−proBNPポリクローナル抗体、西洋ワサビ由来POD(東洋紡製)を用い、文献(エス・ヨシタケ、エム・イマガワ、イー・イシカワ、エトール;ジェイ.バイオケム,Vol.92,1982,1413−1424)に記載の方法でPOD標識抗NT−proBNP抗体を調製した。これを0.5重量%の牛血清アルブミン含有の0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)で、POD標識抗NT−proBNP体濃度として20nMの濃度に希釈し、標識試薬を調製し、冷蔵(2〜10℃)で保存した。
ルミノールのナトリウム塩[シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製]0.7g及び4−(シアノメチルチオ)フェノール0.1gを1,000mLメスフラスコに仕込んだ。3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液(10mM、pH8.6)を溶液の容量が1,000mLになるように仕込み、25℃で均一混合して化学発光試薬第1液を調製した。測定に用いるまで冷蔵(2〜10℃)保存した。
1,000mL及び過酸化水素[和光純薬工業(株)製、試薬特級、濃度30重量%]6.6gを1,000mLメスフラスコに仕込んだ。脱イオン水を溶液の容量が1,000mLになるように仕込み、25℃で均一混合して化学発光試薬第2液を調製した。測定に用いるまで冷蔵(2〜10℃)保存した。
下記シグナルの評価方法及びノイズの評価方法により得られたノイズ値に対するシグナル値の比率(シグナル/ノイズ)を感度の値として算出した。結果を表1及び表2に示す。
尚、感度の値が高いほど、高感度であることを意味する。
粒子組成物0.025mLとウマ血清で調製したNT−proBNP濃度が10ng/mLの標準NT−proBNP液0.025mLを試験管に入れて混合、試験管中で37℃3分間反応させ、抗NT−proBNP抗体結合磁性シリカ粒子/NT−proBNP複合体を形成させた。反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離し、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を3回行った。
最後に、化学発光試薬第1液0.07mLと化学発光試薬第2液0.07mLとを同時に加え、37℃で43秒間発光反応させ、化学発光試薬を添加後43〜45秒の平均発光量をルミノメーター[ベルトールドジャパン社製「Lumat LB9507」]で測定し、シグナル値とした。
「シグナルの評価方法」において、「標準NT−proBNP液0.025mL」に代えて「生理食塩水0.025mL」を用いる以外は同様にして、ノイズ値を測定した。
上記「シグナルの評価方法」及び「ノイズの評価方法」において、粒子組成物としてそれぞれ粒子組成物(E−11)〜(D−30)及び(H−9)〜(H−28)を用いて、それぞれの粒子(C)の表面に固定化された抗体(B)に対応する測定対象物質として、それぞれ調製したAFP、CEA、CA19−9、FT3、FT4、C−ペプチド、インスリン、PSA、トロポニンT、CA125、NSE、CA15−3、PIVKA、Cyfra、HIV、HCV抗体、TR抗体、Tg抗体、又はTPO抗体の標準液と反応させて抗体結合磁性シリカ粒子/測定対象物質複合体を形成させ、更にNT−proBNPと同様の条件にてそれぞれの標識抗体と免疫反応させて抗体結合磁性シリカ粒子/測定対象物質/POD標識抗体、又は、POD標識抗原複合体を形成させ、免疫測定し、感度を算出した。結果をそれぞれ表3〜6に示す。
また、表3〜6の実施例11〜30と比較例9〜28との感度の比較から、抗体の種類を変えても、本発明の製造方法を用いることで、抗体固定化粒子中の抗体の感度が向上することがわかる。したがって、本発明の製造方法を用いれば、高感度化した測定が可能な抗原又は抗体固定化粒子及び免疫測定試薬が得られることが分かる。
Claims (7)
- 表面に抗原(A)又は抗体(B)を固定化した粒子(C)を、グリシン及びゼラチンを含有する水溶液(D)中に25〜45℃の温度で1〜14日間浸漬する工程(I)を含む抗原又は抗体固定化粒子の製造方法。
- 水溶液(D)中のグリシンの含有量が0.5〜10重量%であり、ゼラチンの含有量が0.5〜10重量%である請求項1に記載の製造方法。
- ゼラチンに対するグリシンの重量比率[グリシン/ゼラチン]が、0.005〜20である請求項1又は2に記載の製造方法。
- 水溶液(D)に対する粒子(C)の重量比率[(C)/(D)]が、0.0001〜0.01である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 水溶液(D)のpHが4〜9である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られる抗原又は抗体固定化粒子を用いる免疫測定試薬の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られる抗原又は抗体固定化粒子を用いる免疫測定方法。
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