以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、リチウムイオン二次電池等の積層電池を構成する積層体4は、負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2がこの順序で、下から順に繰り返し積み上げられることで形成されている。
負極箔1及び正極箔3は、矩形状の金属箔よりなる極箔本体1A,3Aの表裏両面に活物質1B,3Bが塗布形成されることにより構成されており、活物質1B,3Bが塗布形成されてなる塗工部と、極箔本体1A,3Aが露出してなる未塗工部とを有している。
具体的に、負極箔1の極箔本体1Aは、例えば銅により構成され、正極箔3の極箔本体3Aは、例えばアルミニウムにより構成されている。また、負極箔1の表裏両面には、負極活物質として、例えばケイ素等を含有する粒子が塗布され、正極箔3の裏表両面には、正極活物質として、例えばコバルト酸リチウム等を含有する粒子が塗布されている。
セパレータ2は、絶縁性を有する矩形シート状の多孔質樹脂フィルムにより構成されており、負極箔1及び正極箔3の平面矩形状の塗工部(活物質1B,3B)よりも一回り大きい矩形状をなしている。
以下、特に正・負を区別する必要のないときには、負極箔1、正極箔3を総称して「電極箔1,3」と称することもある。同様に、電極箔1,3と、セパレータ2とを区別する必要のないときには、電極箔1,3、セパレータ2を総称して「シート体」と称することもある。
適正な積層状態において、負極箔1及び正極箔3の塗工部は、セパレータ2によって完全に覆われ、はみ出しておらず、負極箔1及び正極箔3の未塗工部のみが、それぞれ異なる位置においてセパレータ2からはみ出すようにして突出している。該各未塗工部は、負極タブ、正極タブに相当するものであり、積層電池の内部で電極端子の負極及び正極に対しそれぞれ電気的に接続される領域となる。
次に積層体4を製造する積層装置(積層電池の製造装置)5について詳しく説明する。図2は、積層装置5の主要部分の概略構成を示す平面模式図である。同図に示すように、積層装置5は、ターンテーブル6と、取入作業部7と、積層作業部8と、取出作業部9と、制御部10とを備えている。
ターンテーブル6は、平面視略円盤状をなし、図示しない基台上に上下方向に沿って立設された固定軸13の周りを回転可能に設けられている。ターンテーブル6上には、その回転方向に沿って12個の積層ステージSが等間隔に配置されている。積層ステージSが本実施形態における積層部を構成する。
ターンテーブル6は、図示しない駆動手段により一方向に30°(360°/12)ずつ間欠的に回転するよう構成されている。これにより、各積層ステージSが取入作業位置R1、積層作業位置R2〜R9、空白位置R10、取出作業位置R11及び空白位置R12へ順に間欠移動していくこととなる。但し、各位置R1〜R12と固定軸13との相対位置関係は変化しない。
積層ステージSは、シート体を積層していくための可搬式の積層パレットP(以下、単に「パレットP」という。)を載置可能に構成されている。積層ステージSは、パレットPよりも一回り大きな平面視略矩形状をなし、パレットPは自身の各辺が積層ステージSの各辺に対し略平行するように載置される。
積層ステージS上に載置されたパレットPは、取出作業部9によりターンテーブル6(積層ステージS)から取出されるまでの間、図示しない保持手段により積層ステージSに対し位置決めされた状態で保持される。
パレットPは、シート体よりも一回り大きな平面視略矩形状をなし、シート体は自身の各辺がパレットPの各辺に対し略平行するように載置される。尚、上述したように、電極箔1,3及びセパレータ2は、それぞれ大きさが異なり、適正な積層状態においても、電極箔1,3の未塗工部がセパレータ2からはみ出し、完全にはその周囲が一致しないように構成されているが、簡素化のため、図1を除く、その他の図面においては、電極箔1,3及びセパレータ2を同一矩形状で図示している。
取入作業部7は、シート体が積層されていない空のパレットPをターンテーブル6上へ配置するための機構であり、取入作業位置R1に向けパレットPを搬送するコンベア7Aと、搬送されてきたパレットPを取入作業位置R1に位置する積層ステージS上へ載置する図示しない取入装置(例えばピックアンドプレイス装置等)とを備えている。
積層作業部8は、パレットPに対しシート体を順に積層していくための機構であり、積層作業位置R2へ負極箔1を搬送し載置する負極箔載置装置11A、積層作業位置R3へセパレータ2を搬送し載置するセパレータ載置装置11B、積層作業位置R4へ正極箔3を搬送し載置する正極箔載置装置11C、積層作業位置R5へセパレータ2を搬送し載置するセパレータ載置装置11D、積層作業位置R6へ負極箔1を搬送し載置する負極箔載置装置11E、積層作業位置R7へセパレータ2を搬送し載置するセパレータ載置装置11F、積層作業位置R8へ正極箔3を搬送し載置する正極箔載置装置11G、及び、積層作業位置R9へセパレータ2を搬送し載置するセパレータ載置装置11Hを備えている。以下、上記各載置装置11A〜11Hを特に区別する必要のないときには、これらを総称して「載置装置11」と称することもある。載置装置11の詳細については後述する。
取出作業部9は、完成した積層体4が載置されたパレットPをターンテーブル6から取出すための機構であり、取出作業位置R11に位置する積層ステージS上からパレットPを取出す図示しない取出装置(例えばピックアンドプレイス装置等)と、取出されたパレットPを後工程へ搬送するコンベア9Aとを備えている。尚、後工程においては、例えばテープによる積層体4の仮止め、所定の容器に対する積層体4の挿入、前記容器の封止などが行われる。
制御部10は、例えば演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなど各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されている。制御部10が本実施形態における制御手段を構成する。
制御部10は、ターンテーブル6、取入作業部7、積層作業部8及び取出作業部9とそれぞれ電気的に接続されており、これらとの間で各種データを送受信可能に構成されている。例えば制御部10は、ターンテーブル6に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて、ターンテーブル6の回転角度を取得可能に構成されている。
また、制御部10は、ターンテーブル6や取入作業部7、積層作業部8、取出作業部9等における各種装置の駆動制御を実行可能に構成されている。これらの駆動制御は、制御部10のROM等に事前に設定された設定データやターンテーブル6等から受信したデータ等に基づき、ターンテーブル6等に対し制御信号を出力することにより行われる。
例えば制御部10は、ターンテーブル6へ所定時間ごとに駆動信号を出力することで、ターンテーブル6を所定時間ごとに所定角度(本実施形態では30°)ずつ間欠的に回転させる制御を行う。
さらに、制御部10は、積層ステージSに対するパレットPの配置タイミングの制御、及び、パレットPの取出タイミングの制御を実行可能に構成されている。これらタイミングの制御は、RAMに記憶されたデータテーブルに基づいて行われる。
データテーブルには、ターンテーブル6上におけるパレットPの位置情報(パレットPが各位置R1〜R12のうちのどこに位置しているかについての情報)、及び、パレットP上に積層されたシート体の数情報(どのパレットPにどれだけのシート体が積層されているかについての情報)が記憶されている。尚、該データテーブルは、ターンテーブル6や積層作業部8から制御部10に送られる信号に基づいて随時更新される。
次に上記載置装置11の構成について詳しく説明する。図3は、載置装置11及びこれに関連する積層ステージS周辺の概略構成を模式的に示す平面図である。
載置装置11は、図示しない供給手段(例えば原反ロールからシート体の材料を引出しつつ所定の大きさに切断する機構など)から供給されるシート体を貯留する貯留部12と、該貯留部12から自身に対応する所定の積層作業位置R2〜R9に位置する積層ステージSへ向けシート体を搬送する搬送装置14とを備えている。
搬送装置14は、自身に対応する所定の積層作業位置R2〜R9及び貯留部12の上方を通るように設けられたガイドレール15と、該ガイドレール15に垂下状態で支持された搬送アーム16と、該搬送アーム16の下端に設けられた搬送手段としての吸着部17とを備えている。
搬送アーム16は、図示しない水平駆動手段によりガイドレール15に沿って移動可能に設けられると共に、図示しないサーボモータ等の上下駆動手段により上下方向(図3では紙面奥行方向)に伸縮可能に設けられている。これにより、吸着部17がガイドレール15に沿って移動可能かつ上下動可能となる。
尚、サーボモータ等の上下駆動手段による吸着部17の昇降量(搬送アーム16の伸縮量)は、上記データテーブルに基づき、制御部10によって適宜、パレットP上の積層体4の最上面の高さ位置(シート体の積層量)に合わせて調整される。
吸着部17は、搬送アーム16の下端に固定されたベース部18と、該ベース部18の下側に設けられた多孔質体からなる吸着板19とを有している(図10等参照)。
ベース部18の内部には、吸着板19に連通する吸引経路(図示略)が形成されている。ベース部18の外部には、前記吸引経路に連通するバキュームホース20が接続されている。バキュームホース20の他端側には、図示しないバキュームポンプが接続されている。そして、バキュームポンプが制御部10によってオンオフ制御されることにより、吸着部17(吸着板19)における吸着及び吸着解除を切替可能となっている。
バキュームポンプがオン状態となると、バキュームホース20及び前記吸引経路を介して吸着板19から吸引が行われ、吸着板19の下面(吸着面)にシート体が吸着される〔図10等参照〕。
また、図9,10等に示すように、本実施形態では、後述する保持部材31(押さえ爪42)と干渉しないように、吸着部17(吸着板19)の四隅にそれぞれ切欠き部21が形成されている。
さらに、各切欠き部21の上方位置には、押さえ爪42の上昇量を規制するための規制片38が設けられている。規制片38が本実施形態における規制部材を構成することとなる。
規制片38は、吸着部17の外方に向け略水平方向に沿って延出形成された本体部と、該本体部の先端側から下方へ突出形成された円筒状の規制突部39とを備えている。規制片38には、本体部及び規制突部39を上下方向に貫通するように、保持部材31の軸部40の上部を挿通可能な挿通孔39aが形成されている。
次にターンテーブル6上における積層ステージSの周囲の構成について詳しく説明する。積層ステージSの周囲には、パレットPに積層される積層体4を保持するための保持機構30が設けられている。
保持機構30は、積層ステージS(パレットP、積層体4)の四隅のコーナー部に対応して設けられた4つの保持部材31A,31B,31C,31Dを備えている。本実施形態に係る4つの保持部材31A,31B,31C,31Dは同期して動くように構成されている。以下、特に区別する必要のないときには、保持部材31A,31B,31C,31Dを総称して「保持部材31」と称することもある。
ここで、保持部材31の構成について図4〜図9を参照して詳しく説明する。保持部材31は、上下方向(図4〜図9の紙面奥行方向)を軸心として回転可能かつ上下方向に変位可能に設けられた軸部40と、該軸部40の上部に設けられた平面視正五角形状の基部41と、該基部41の5辺のうちの4辺から軸部40の径方向外側に向け延出した平板状の4つの押さえ爪42A,42B,42C,42Dとを備えている。以下、特に区別する必要のないときには、押さえ爪42A,42B,42C,42Dを総称して「押さえ爪42」と称することもある。基部41及び押さえ爪42により本実施形態における押さえ部材が構成される。
保持部材31の軸部40は、積層ステージSの四隅の各コーナー部を構成する直交する2辺α,βのうちの一方の辺α〔本実施形態では、積層ステージSの4辺のうち、吸着部17の移動方向と平行する図3の左右方向に沿った2つの辺を辺αとする〕に対向する位置に設けられている。つまり、積層ステージSの4辺のうち、搬送装置14のガイドレール15を挟んで相対向する2つの辺αに沿って、2つの保持部材31(軸部40)がそれぞれ1組ずつ配置されている。
保持部材31(軸部40)は、後述する所定の駆動機構(図10等参照)により回転可能かつ上下動可能に構成されている。これにより、押さえ爪42を水平方向に旋回移動させたり、上下動させることができる。
但し、本実施形態では、保持部材31がそれぞれ所定の一方向へのみ回転するように構成されている。より詳しくは、上記1組の保持部材31のうち、積層ステージSの側面(辺α)に向かって左側に位置する保持部材31A,31Cは平面視で反時計回り方向に回転する一方、右側に位置する保持部材31B,31Dは平面視で時計回り方向に回転する。
また、本実施形態では、保持部材31が上記一方向に72°(360°/5)ずつ間欠的に回転可能に構成されている。これにより、押さえ爪42A,42B,42C,42Dがこの順序で第1停止位置X1から第5停止位置X5に対し順に移動可能となる。
つまり上記1組の保持部材31のうち、回転方向の異なる左側の保持部材31A(31C)と、右側の保持部材31B(31D)とでは、押さえ爪42A,42B,42C,42D及び停止位置X1,X2,X3,X4,X5の並び順が逆方向となっている(図9参照)。
より詳しくは、基部41の5辺のうち、押さえ爪42が設けられていない辺(以下、空白部Kという)から、反回転方向に1つ目の辺に押さえ爪42Aが設けられている。また、空白部Kから、反回転方向に2つ目の辺に押さえ爪42Bが設けられ、反回転方向に3つ目の辺に押さえ爪42Cが設けられ、反回転方向に4つ目の辺に押さえ爪42Dが設けられている。
従って、本実施形態においては、押さえ爪42Aから軸部40の周方向に72°の間隔をあけて押さえ爪42Bが配置され、該押さえ爪42Bから軸部40の周方向に72°の間隔をあけて押さえ爪42Cが配置され、該押さえ爪42Cから軸部40の周方向に72°の間隔をあけて押さえ爪42Dが配置され、該押さえ爪42Dから軸部40の周方向に144°の間隔をあけて押さえ爪42Aが配置された構成となっている。
そして、押さえ爪42が第1停止位置X1に停止した場合に、該押さえ爪42の延出方向と、軸部40が対向する積層ステージSの辺αとが平面視で直交した状態となる。
また、各保持部材31において、1つの押さえ爪42が第1停止位置X1に停止している場合には、他の3つの押さえ爪42が平面視で積層体4と重ならない位置に停止するように構成されている。つまり、押さえ爪42が第2停止位置X2〜第5停止位置X5にある場合には、該押さえ爪42は平面視で積層体4と重ならない状態となる。
従って、積層ステージS(パレットP)上に載置された積層体4を押さえる場合には、積層ステージSのコーナー部近傍において該コーナー部を構成する直交する2辺α,βのうちの一方の辺αに平行する積層体4の辺を、第1停止位置X1に停止した1つの押さえ爪42により押さえることとなる。
また、軸部40が上下動することにより、上下方向における押さえ爪42の位置が、積層体4から上方へ離間した離間位置〔図12,13等参照〕と、積層体4に当接可能な当接位置〔図10,14等参照〕とに変位可能となる。尚、図10〜図15においては、積層ステージS(パレットP)上に積層されたシート体の相互の間隔をあけ、積層体4を簡素化して図示している。
そして、第1停止位置X1にて積層体4を押さえていた押さえ爪42を第2停止位置X2へ移動させる際には、該押さえ爪42を積層体4から若干浮き上がらせた状態で、第1停止位置X1から第2停止位置X2へと旋回移動させることとなる。
この際、本実施形態では、押さえ爪42の先端部43が、少なくとも積層体4の各コーナー部を構成する2辺のうち、第1停止位置X1にて押さえ爪42が押さえていた一方の辺(積層ステージSの辺αと平行する辺)とは異なる他方の辺(積層ステージSの辺βと平行する辺)の上を通り過ぎるように旋回移動する。
また、本実施形態では、積層体4の最上面(積層開始時にはパレットP上)に載置されたシート体の種類に応じて、積層体4を押さえる押さえ爪42A,42B,42C,42Dの種類が切換わる構成となっている。
より詳しくは、積層体4の最上面に載置されたシート体が負極箔1である場合には、4つの押さえ爪42A〜42Dのうち、押さえ爪42Aが使用される。以下、「押さえ爪42A」を「負極押さえ爪42A」という。
積層体4の最上面に載置されたシート体が、負極箔1の上側に積層されるセパレータ2である場合には、4つの押さえ爪42A〜42Dのうち、押さえ爪42Bが使用される。以下、「押さえ爪42B」を「負極上セパレータ押さえ爪42B」という。
積層体4の最上面に載置されたシート体が正極箔3である場合には、4つの押さえ爪42A〜42Dのうち、押さえ爪42Cが使用される。以下、「押さえ爪42C」を「正極押さえ爪42C」という。
積層体4の最上面に載置されたシート体が、正極箔3の上側に積層されるセパレータ2である場合には、4つの押さえ爪42A〜42Dのうち、押さえ爪42Dが使用される。以下、「押さえ爪42D」を「正極上セパレータ押さえ爪42D」という。
次に各保持部材31を駆動する駆動機構について図10〜図15を参照して説明する。かかる駆動機構が本実施形態における押さえ部材駆動手段を構成する。
本実施形態では、4つの保持部材31A,31B,31C,31Dに係る4つの駆動機構が連動することにより、4つの保持部材31A,31B,31C,31Dが同期して動くように構成されている。
図10等に示すように、軸部40は、積層ステージSの側面に設けられた支持部50により支持されている。より詳しくは、支持部50には上下方向に沿って挿通孔51が形成されており、ここに軸部40が挿通されている。これにより、軸部40は、支持部50に対し回転可能かつ上下動可能な状態となっている。
支持部50の上面には、円筒状の回転規制カム55が、軸部40を挿通した状態で取付固定されている。回転規制カム55には、その上縁部を切欠くようにして形成されたU字状の溝部56が周方向に72°間隔で5箇所に設けられている。
これに対応して、軸部40の周面には、径方向外側に向け突出しかつ溝部56に対し挿込み可能な回転規制突部57が形成されている。但し、回転規制突部57は、軸部40の周方向の1箇所にのみ設けられている。そして、5箇所の溝部56のうちのいずれかに回転規制突部57が挿し込まれることで、押さえ爪42が停止位置X1〜X5のいずれかに停止した状態となる。
また、軸部40には、支持部50よりも下方位置において、その周面から径方向外側に突出形成されたフランジ部60が設けられている。フランジ部60と支持部50の下面との間にはコイルばね61が取付けられている。かかる構成により、軸部40が下方に押し下げられ、押さえ爪42によって積層体4を押さえることができる。
一方、軸部40の下方位置には、円筒状の作動カム63が配置されている。より詳しくは、作動カム63は、ターンテーブル6の下方位置に設けられ、図示しない駆動手段により上下方向を軸心として回転可能かつ上下動可能に構成されている。但し、作動カム63及びその駆動手段は、保持部材31の変位動作を必要としない取入作業位置R1及び空白位置R10,R12を除く、積層作業位置R2〜R9及び取出作業位置R11においてのみ設けられている。
そして、軸部40の下方位置におけるターンテーブル6には、作動カム63に対応して、図示しない挿通孔が上下方向に沿って貫通形成されている。これにより、作動カム63がターンテーブル6上に出没可能となり、軸部40に対し動力伝達可能となる。
尚、作動カム63を駆動する駆動手段としては、作動カム63を上下動させるための直動型の流体圧シリンダ(上下駆動手段)や、作動カム63を回転させるためのロータリシリンダ(回転駆動手段)などを組み合わせた構成が一例に挙げられる。勿論、保持部材31(作動カム63)に係る駆動手段の構成はこれに限定されるものではなく、他の駆動手段を採用してもよい。
また、作動カム63の上部には、その上縁部を切欠くようにして形成された一対のカム面64が設けられている。一対のカム面64は、作動カム63の軸心を挟んで相対向する位置、すなわち周方向に180°の間隔をあけて形成されている。
カム面64は、それぞれ作動カム63の周方向における中心角72°分の範囲に形成されると共に、所定の一回転方向(例えば保持部材31Aでは反時計回り方向、保持部材31Dでは時計回り方向)に沿って上から下に傾斜していくスロープ形状となっている。
これに対応して、軸部40の下端部には、径方向外側に向け突出しかつ作動カム63のカム面64と当接可能な一対の作動ピン65が設けられている。一対の作動ピン65は、軸部40の軸心を挟んで相対向する位置、すなわち周方向に180°の間隔をあけて形成されている。
また、本実施形態では、押さえ爪42が軸部40に対し上下方向に変位可能な構成となっている。以下、かかる構成について詳しく説明する。基部41には、軸部40が挿通される図示しない挿通孔が形成されている。この挿通孔は、その内径が軸部40の外径と略同一に形成されている。これにより、基部41が軸部40に対し上下方向に沿って摺動変位可能な状態となっている。
但し、基部41は、軸部40の周方向に対しては変位不能な状態となっている。より詳しくは、軸部40の上部外周面には、その軸方向(上下方向)に沿って図示しないキー溝が形成されている。これに対応して、基部41(挿通孔)の内周面には、その径方向内側に向け突出しかつ上下方向に沿って形成された図示しないキーが形成されている。そして、基部41側のキーが軸部40側のキー溝に嵌め込まれた状態となることで、基部41(押さえ爪42)は、軸部40に対しその軸方向に対し変位可能かつその周方向に対して変位不能な状態となる。
また、軸部40には、回転規制突部57よりも上方位置において、その周面から径方向外側に突出形成されたフランジ部67が設けられている。フランジ部67と基部41の下面との間にはコイルばね68が取付けられている。かかるコイルばね68の付勢力により、基部41及び押さえ爪42は上方へ押し上げられた状態となっている。コイルばね68が本実施形態における付勢手段を構成する。
但し、軸部40側のキー溝の上端部には、基部41側のキーの移動を規制する図示しないストッパが設けられている。これにより、通常時、基部41は、コイルばね68の付勢力により前記ストッパに対し付勢された状態となっている。つまり、前記コイルばね61の付勢力により軸部40が下方に押し下げられ、押さえ爪42によって積層体4を押さえる際には、基部41は前記ストッパに付勢された状態となる。
続いて、保持部材31に係る駆動機構の動作について、吸着部17によるシート体の搬送動作との関連性を踏まえ、図10〜図15を参照して詳しく説明する。
ターンテーブル6が間欠回転し、積層作業位置R2〜R9へ積層ステージSが停止した当初、保持部材31は停止状態となっている。
保持部材31の停止状態中(各押さえ爪42が停止位置X1〜X5のいずれかに停止している間)は、作動カム63がターンテーブル6の下方の基準位置にて停止している。かかる状態では、コイルばね61の付勢力により軸部40が下方に押し下げられた状態となる。これにより、第1停止位置X1に停止した押さえ爪42により積層体4が押さえられた状態となる。図10に示す例では、第1停止位置X1に停止した負極押さえ爪42Aが積層体4(負極箔1)を押さえた状態となっている。
そして、吸着部17により積層ステージSの上方位置へ新たなシート体が搬送されてくると、軸部40の下端部近傍まで作動カム63が上昇し、待機状態となる(図10参照)。
続いて、吸着部17が下降し、新たなシート体が積層体4の上面に載置される(図11参照)。ここで、吸着部17の周縁部より外方へはみ出したシート体の縁部は、積層体4の上面を押さえている押さえ爪42の上に載った状態となる。また、吸着部17に設けられた規制片38(規制突部39)の挿通孔39aに対し軸部40の上部が挿し込まれた状態となる。
積層体4の上面にシート体が載置されると、作動カム63が上昇を開始する。そして、作動カム63(カム面64)が軸部40の作動ピン65に当接すると、作動カム63により軸部40が押し上げられていく。
これにより、押さえ爪42が上方へ移動し、第1停止位置X1においては押さえ爪42が積層体4から離間し、その上に載ったシート体の縁部が持ち上げられた状態となる。但し、上昇開始当初は、回転規制突部57が回転規制カム55の溝部56内に挿し込まれた状態が維持されており、軸部40は回転しないため、各押さえ爪42の旋回方向における位置は変わらない。
さらに、軸部40が押し上げられていくと、規制片38(規制突部39)の挿通孔39aに対し軸部40が挿通されていくと共に、押さえ爪42(基部41)が規制突部39の下端部に当接する。
ここから、さらに軸部40が押し上げられていくと、押さえ爪42(基部41)の高さ位置が規制片38(規制突部39)により一定に維持された状態で、コイルばね68の付勢力に抗して軸部40のみが押し上げられていく。つまり、押さえ爪42(基部41)と軸部40とが上下方向に相対変位しつつ、軸部40のみが予め定められた所定の高さ位置まで作動カム63により押し上げられていく。尚、本実施形態では、作動カム63により上昇する軸部40の上昇量は常に一定で変化しない。
また、図10に示すように、吸着部17(吸着板19)の下面、つまり積層体4の最上面に当接する位置から、規制片38(規制突部39)の下端部、つまり押さえ爪42(基部41)が当接する位置までの距離Tは一定である。従って、シート体が新たに載置される度に押さえ爪42の高さ位置は高くなっていくが、積層体4の最上面からの押さえ爪42の上昇量は常に一定となる。
尚、押さえ爪42の上昇量は、軸部40の上昇量や規制突部39の突出量等により任意に設定可能であるが、本実施形態では、積層開始から積層終了まで、押さえ爪42の上昇量が常に一定となるように設定されている。
軸部40が所定の高さ位置まで押し上げられると、回転規制突部57が回転規制カム55の溝部56から抜け出した状態となる(図12参照)。かかる状態となると、軸部40の回転が許容されるため、作動カム63が上昇していくにつれ、作動ピン65の位置が作動カム63のカム面64に沿って移動していく。つまり、軸部40が所定の一方向(例えば保持部材31Aでは反時計回り方向、保持部材31Dでは時計回り方向)に回転し、各押さえ爪42(基部41)が規制片38(規制突部39)に当接した高さ位置で水平方向に旋回移動する。
これにより、第1停止位置X1においては、押さえ爪42が積層体4の上面を擦ることなく、積層体4上から退避すると共に、それまで押さえ爪42の上に載っていたシート体の縁部が真っ直ぐに延び、積層体4の上面に重なり合った状態となる。
そして、各押さえ爪42が軸部40の周方向に72°旋回移動したところで、作動ピン65がカム面64の下端部に到達し、各押さえ爪42の旋回移動が停止する(図13参照)。
ここで、作動カム63を降下させていくと、コイルばね61の付勢力により、軸部40が下方に押し下げられる。これにより、回転規制突部57が旋回移動前に位置した回転規制カム55の溝部56とは異なる1つ隣の溝部56に挿し込まれることとなる。つまり、各押さえ爪42が旋回移動前に位置した停止位置X1〜X5とは異なる1つ隣の停止位置X1〜X5にて降下し停止することとなる(図14参照)。
これにより、第1停止位置X1に停止した押さえ爪42により積層体4が押さえられた状態となる。図14に示す例では、第1停止位置X1に停止した負極上セパレータ押さえ爪42Bが積層体4(セパレータ2)を押さえた状態となっている。
この状態で吸着部17による吸引を停止してシート体の吸着を解除する。そして、吸着部17が上方へ離間した後(図15参照)、作動カム63がターンテーブル6の下方の基準位置へ戻る。
尚、作動カム63は基準位置に戻ると同時に、上記駆動手段により、所定の一方向(例えば保持部材31Aでは反時計回り方向、保持部材31Dでは時計回り方向)に72°回転駆動される。これにより、作動カム63(カム面64)と軸部40の作動ピン65との周方向における相対位置関係が上記待機状態における位置関係となる(図10参照)。
上記一連の動作を繰り返すことで、各押さえ爪42を所定の一方向へ72°ずつ旋回移動させることができる。但し、本実施形態では、積層作業中(積層完了後を除く)に「正極上セパレータ押さえ爪42D」を第1停止位置X1から旋回移動させる際には、上述した作動ピン65がカム面64の下端部に到達するタイミング(図13参照)よりも前段階において、作動カム63を所定の一方向(例えば保持部材31Aでは反時計回り方向、保持部材31Dでは時計回り方向)に72°回転する。これにより、各押さえ爪42を72°旋回移動した位置で停止させることなく、さらに72°加えた144°旋回移動することができる。
本実施形態において「正極上セパレータ押さえ爪42D」を第1停止位置X1から144°旋回移動させるタイミングとしては、積層作業中(積層開始時を除く)に負極箔載置装置11Aによって積層作業位置R2へ負極箔1を搬送し載置する場合や、負極箔載置装置11Eによって積層作業位置R6へ負極箔1を搬送し載置する場合がある。
尚、積層完了後に取出作業位置R11にて積層体4の取出し作業を行う際には、他の場合と同様、「正極上セパレータ押さえ爪42D」を第1停止位置X1から所定の一方向へ72°旋回移動させることとなる。
次に上記積層装置5による積層作業の流れについて、1つのパレットPの流れに沿って詳しく説明する。本実施形態では、ターンテーブル6が1回転する間に行われる積層工程を所定回数繰り返すことで、積層体4が完成する。
まず上記データテーブルに基づき所定のタイミングで取入作業部7によって、取入作業位置R1に位置するターンテーブル6上の所定の積層ステージSへパレットPが配置される。
その後、ターンテーブル6が30°回転することで、パレットPは積層作業位置R2へ移動する。パレットPが積層作業位置R2に停止すると、ターンテーブル6の間欠動作間のインターバルにおいて、負極箔載置装置11AによりパレットP上に負極箔1が載置される。
ここでは、まず負極箔載置装置11Aの貯留部12において負極箔1を吸着した搬送装置14の吸着部17がパレットP上へと案内される。続いて、吸着部17が負極箔1を吸着した状態のまま下降して、該負極箔1をパレットP上へ載置する。そして、吸着部17は、負極箔1を下方(パレットP)へ押さえ付けた状態で停止する。
パレットPが積層作業位置R2へ移動してきた当初、第1停止位置X1(押さえ位置)には空白部Kが停止した状態となっている(図8参照)。そして、パレットP上に負極箔1が載置されると、各保持部材31が上昇する。これにより、押さえ爪42は、吸着部17の規制片38により規制される高さ位置まで上昇する。
続いて、各保持部材31が回転し、負極押さえ爪42Aを第1停止位置X1へと旋回移動させる(図4参照)。負極押さえ爪42Aが第1停止位置X1へ移動すると、各保持部材31が下降する。これにより、負極箔1の四隅の各コーナー部近傍が負極押さえ爪42Aにより押さえられた状態となる。
負極押さえ爪42Aにより負極箔1の四隅が押さえられた状態となると、吸着部17による吸引を停止し、負極箔1の吸着を解除する。尚、以下の各積層作業でも同様であるが、吸着部17による吸引停止(シート体の吸着解除)のタイミングは、上記タイミングによらず、吸着部17がシート体を下方へ押さえ付け、シート体が位置ズレ等を起こさない状態となった後であれば、いつでもよい。
その後、吸着部17が上昇し、ターンテーブル6が30°回転することで、パレットPは積層作業位置R3へ移動する。この間、負極箔1の各コーナー部近傍が負極押さえ爪42Aにより押さえられた状態が維持される。
パレットPが積層作業位置R3に停止すると、ターンテーブル6の間欠動作間のインターバルにおいて、セパレータ載置装置11BによりパレットP上の積層体4にセパレータ2が載置される。
ここでは、まずセパレータ載置装置11Bの貯留部12においてセパレータ2を吸着した搬送装置14の吸着部17がパレットP上へと案内される。続いて、吸着部17がセパレータ2を吸着した状態のまま下降して、該セパレータ2を上記負極箔1上へ載置する。そして、吸着部17は、セパレータ2を下方(負極箔1)へ押さえ付けた状態で停止する。ここで、吸着部17の周縁部より外方へはみ出したセパレータ2の縁部(はみ出し部分)は、負極箔1を押さえている負極押さえ爪42Aの上に載った状態となる。
負極箔1上にセパレータ2が載置されると、各保持部材31が上昇する。これにより、押さえ爪42は、吸着部17の規制片38により規制される高さ位置まで上昇する。そして、第1停止位置X1では、負極押さえ爪42Aがセパレータ2の縁部を持ち上げつつ、負極箔1から若干浮き上がった状態となる。
続いて、各保持部材31が回転し、負極押さえ爪42Aを第2停止位置X2へと旋回移動させる。同時に、第1停止位置X1には、負極押さえ爪42Aと入れ替わるように、負極上セパレータ押さえ爪42Bが第5停止位置X5から旋回移動してくる(図5参照)。
負極上セパレータ押さえ爪42Bが第1停止位置X1へ移動すると、各保持部材31が下降する。これにより、セパレータ2の四隅の各コーナー部近傍が負極上セパレータ押さえ爪42Bにより押さえられた状態となる。かかる状態となると、吸着部17による吸引を停止し、セパレータ2の吸着を解除する。
その後、吸着部17が上昇し、ターンテーブル6が30°回転することで、パレットPは積層作業位置R4へ移動する。この間、セパレータ2の各コーナー部近傍が負極上セパレータ押さえ爪42Bにより押さえられた状態が維持される。
パレットPが積層作業位置R4に停止すると、ターンテーブル6の間欠動作間のインターバルにおいて、正極箔載置装置11CによりパレットP上の積層体4に正極箔3が載置される。
ここでは、まず正極箔載置装置11Cの貯留部12において正極箔3を吸着した搬送装置14の吸着部17がパレットP上へと案内される。続いて、吸着部17が正極箔3を吸着した状態のまま下降して、該正極箔3を上記セパレータ2上へ載置する。そして、吸着部17は、正極箔3を下方(セパレータ2)へ押さえ付けた状態で停止する。ここで、吸着部17の周縁部より外方へはみ出した正極箔3の縁部は、セパレータ2を押さえている負極上セパレータ押さえ爪42Bの上に載った状態となる。
セパレータ2上に正極箔3が載置されると、各保持部材31が上昇する。これにより、押さえ爪42は、吸着部17の規制片38により規制される高さ位置まで上昇する。そして、第1停止位置X1では、負極上セパレータ押さえ爪42Bが正極箔3の縁部を持ち上げつつ、セパレータ2から若干浮き上がった状態となる。
続いて、各保持部材31が回転し、負極上セパレータ押さえ爪42Bを第2停止位置X2へと旋回移動させる。同時に、第1停止位置X1には、負極上セパレータ押さえ爪42Bと入れ替わるように、正極押さえ爪42Cが第5停止位置X5から旋回移動してくる(図6参照)。
正極押さえ爪42Cが第1停止位置X1へ移動すると、各保持部材31が下降する。これにより、正極箔3の四隅の各コーナー部近傍が正極押さえ爪42Cにより押さえられた状態となる。かかる状態となると、吸着部17による吸引を停止し、正極箔3の吸着を解除する。
その後、吸着部17が上昇し、ターンテーブル6が30°回転することで、パレットPは積層作業位置R5へ移動する。この間、正極箔3の各コーナー部近傍が正極押さえ爪42Cにより押さえられた状態が維持される。
パレットPが積層作業位置R5に停止すると、ターンテーブル6の間欠動作間のインターバルにおいて、セパレータ載置装置11DによりパレットP上の積層体4にセパレータ2が載置される。
ここでは、まずセパレータ載置装置11Dの貯留部12においてセパレータ2を吸着した搬送装置14の吸着部17がパレットP上へと案内される。続いて、吸着部17がセパレータ2を吸着した状態のまま下降して、該セパレータ2を上記正極箔3上へ載置する。そして、吸着部17は、セパレータ2を下方(正極箔3)へ押さえ付けた状態で停止する。ここで、吸着部17の周縁部より外方へはみ出したセパレータ2の縁部は、正極箔3を押さえている正極押さえ爪42Cの上に載った状態となる。
正極箔3上にセパレータ2が載置されると、各保持部材31が上昇する。これにより、押さえ爪42は、吸着部17の規制片38により規制される高さ位置まで上昇する。そして、第1停止位置X1では、正極押さえ爪42Cがセパレータ2の縁部を持ち上げつつ、正極箔3から若干浮き上がった状態となる。
続いて、各保持部材31が回転し、正極押さえ爪42Cを第2停止位置X2へと旋回移動させる。同時に、第1停止位置X1には、正極押さえ爪42Cと入れ替わるように、正極上セパレータ押さえ爪42Dが第5停止位置X5から旋回移動してくる(図7参照)。
正極上セパレータ押さえ爪42Dが第1停止位置X1へ移動すると、各保持部材31が下降する。これにより、セパレータ2の四隅の各コーナー部近傍が正極上セパレータ押さえ爪42Dにより押さえられた状態となる。かかる状態となると、吸着部17による吸引を停止し、セパレータ2の吸着を解除する。
その後、吸着部17が上昇し、ターンテーブル6が30°回転することで、パレットPは積層作業位置R6へ移動する。この間、セパレータ2の各コーナー部近傍が正極上セパレータ押さえ爪42Dにより押さえられた状態が維持される。
パレットPが積層作業位置R6に停止すると、ターンテーブル6の間欠動作間のインターバルにおいて、負極箔載置装置11EによりパレットP上の積層体4に負極箔1が載置される。尚、積層作業位置R6における作業内容は、積層作業位置R2における作業内容と同様であるため、詳細な説明は省略する。
但し、積層作業位置R6においては、正極上セパレータ押さえ爪42Dが、第1停止位置X1から第2停止位置X2へと旋回移動した後(図8参照)、第2停止位置X2に停止することなく、続けて第3停止位置X3へと旋回移動する(図4参照)。つまり、空白部Kは、第5停止位置X5から第1停止位置X1へと旋回移動した後、第1停止位置X1に停止することなく、続けて第2停止位置X2へと旋回移動する。これにより、空白部Kと入れ替わるように、第1停止位置X1には、負極押さえ爪42Aが第5停止位置X5に停止することなく第4停止位置X4から旋回移動してくる。
負極押さえ爪42Aにより負極箔1の四隅が押さえられた状態となると、吸着部17による負極箔1の吸着を解除する。その後、吸着部17が上昇し、ターンテーブル6が30°回転することで、パレットPは積層作業位置R7へ移動する。この間、負極箔1の各コーナー部近傍が負極押さえ爪42Aにより押さえられた状態が維持される。
パレットPが積層作業位置R7に停止すると、ターンテーブル6の間欠動作間のインターバルにおいて、セパレータ載置装置11FによりパレットP上の積層体4にセパレータ2が載置される。尚、積層作業位置R7における作業内容は、積層作業位置R3における作業内容と同様であるため、詳細な説明は省略する。
負極上セパレータ押さえ爪42Bによりセパレータ2の四隅が押さえられた状態となると、吸着部17によるセパレータ2の吸着を解除する。その後、吸着部17が上昇し、ターンテーブル6が30°回転することで、パレットPは積層作業位置R8へ移動する。この間、セパレータ2の各コーナー部近傍が負極上セパレータ押さえ爪42Bにより押さえられた状態が維持される。
パレットPが積層作業位置R8に停止すると、ターンテーブル6の間欠動作間のインターバルにおいて、正極箔載置装置11GによりパレットP上の積層体4に正極箔3が載置される。尚、積層作業位置R8における作業内容は、積層作業位置R4における作業内容と同様であるため、詳細な説明は省略する。
正極押さえ爪42Cにより正極箔3の四隅が押さえられた状態となると、吸着部17による正極箔3の吸着を解除する。その後、吸着部17が上昇し、ターンテーブル6が30°回転することで、パレットPは積層作業位置R9へ移動する。この間、正極箔3の各コーナー部近傍が正極押さえ爪42Cにより押さえられた状態が維持される。
パレットPが積層作業位置R9に停止すると、ターンテーブル6の間欠動作間のインターバルにおいて、セパレータ載置装置11HによりパレットP上の積層体4にセパレータ2が載置される。尚、積層作業位置R9における作業内容は、積層作業位置R5における作業内容と同様であるため、詳細な説明は省略する。
正極上セパレータ押さえ爪42Dによりセパレータ2の四隅が押さえられた状態となると、セパレータ2の吸着を解除し、吸着部17が上昇する。その後、ターンテーブル6が30°ずつ間欠回転することで、パレットPは空白位置R10、取出作業位置R11、空白位置R12、取入作業位置R1、積層作業位置R2へと順次移動する。この間、保持部材31は動作せず、積層体4(セパレータ2)の各コーナー部近傍が正極上セパレータ押さえ爪42Dにより押さえられた状態が維持される。
パレットPが積層作業位置R2に停止すると、2周目の積層工程が開始される。但し、2周目以降の積層工程では、積層開始時とは異なり、積層作業位置R2にて正極上セパレータ押さえ爪42Dが旋回移動する際、正極上セパレータ押さえ爪42Dは第1停止位置X1から第3停止位置X3へと旋回移動する。つまり、空白部Kが第1停止位置X1に停止することなく、負極押さえ爪42Aが第1停止位置X1へ旋回移動してくる。
その後、ターンテーブル6が繰り返し回転し、上記積層工程が所定数回繰り返し行われることで、下から順に負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2が繰り返し積み上げられた積層体4が完成する。
そして、完成した積層体4が載置されたパレットPが取出作業位置R11に停止した場合には、各保持部材31が回転し、正極上セパレータ押さえ爪42Dを第2停止位置X2へと旋回移動させる。これにより、第1停止位置X1には、正極上セパレータ押さえ爪42Dと入れ替わるように、空白部Kが旋回移動してきた状態となる。かかる状態で、完成した積層体4が載置されたパレットPが取出作業部9によってターンテーブル6から取出される。取出されたパレットPは取出作業部9によって後工程へと送られる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、シート体をパレットPへ搬送し押さえつける搬送装置14(吸着部17)を備えると共に、負極箔1を押さえる「負極押さえ爪42A」と、負極箔1の上側のセパレータ2を押さえる「負極上セパレータ押さえ爪42B」と、正極箔3を押さえる「正極押さえ爪42C」と、正極箔1の上側のセパレータ2を押さえる「正極上セパレータ押さえ爪42D」とを別々に備えた構成となっている。
かかる構成により、所定の押さえ爪42が一方の電極箔(例えば正極箔3)を押さえた際に付着した活物質(例えば正極活物質)が、他方の電極箔(例えば負極箔1)に付着するおそれがない。
また、本実施形態では、シート体の四隅すべてを押さえる構成となっているため、シート体の四隅のうちいずれかがめくれ、折れ曲がった状態で、次のシート体が積層されてしまうといった不具合の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、吸着部17によりシート体を押さえた状態で、シート体の四隅すべてを同時に解放し、該シート体を一旦平らにした後、該シート体を押さえる構成となっているため、皺や折れ曲がりなどの発生を抑制することができる。
加えて、吸着部17によりシート体をより広い範囲で均一に押さえつけることが可能となるため、上記作用効果をさらに高めると共に、シート体の位置ずれ等も発生しにくくなる。
また、本実施形態では、新たなシート体を載置する際(押さえ爪42の切換えを行う際)、その下に既に載置されたシート体の四隅の各コーナー部近傍にて、該コーナー部を構成する2辺のうちの一方の辺(積層ステージSの辺αと平行する辺)を第1停止位置X1にて押さえていた押さえ爪42の先端部43が、少なくとも前記2辺のうちの他方の辺(積層ステージSの辺βと平行する辺)の上を通り過ぎるように旋回移動する構成となっている。
これにより、仮に新たに載置されたシート体のコーナー部に下側への折れ曲がりが発生した場合や、その下に既に載置されたシート体のコーナー部に上側への折れ曲がりが発生している場合には、押さえ爪42の旋回動作により、かかる折れ曲がりを真っ直ぐに延ばすことができる。結果として、製品品質の低下抑制を図ることができる。
また、本実施形態では、シート体の積層順序に従い、軸部40の周方向に対し、「負極押さえ爪42A」、「負極上セパレータ押さえ爪42B」、「正極押さえ爪42C」、「正極上セパレータ押さえ爪42D」がこの順序で配置されている。これにより、シート体が積層される毎に、軸部40を所定の一方向へ順次回転させていくだけで、該シート体をそれぞれ専用の押さえ爪42で押さえていくことができる。結果として、動作制御の簡素化を図ると共に、押さえ爪42の切換え動作の高速化を図り、生産効率の向上を図ることができる。
加えて、本実施形態では、搬送装置14の吸着部17に、押さえ爪42の上昇量を規制する規制片38が設けられている。これにより、押さえ爪42により押さえている積層体4の上に新たなシート体が載置され、該押さえ爪42を上昇させる際に、該押さえ爪42が上昇する高さ位置を積層体4の高さに応じて調整することができる。
結果として、例えば積層体4の高さが低い積層工程の初期段階においても、積層体4の上面を基準とした押さえ爪42の相対的な上昇量を比較的少なくすることができる。押さえ爪42の上昇量が少なくなることで、押さえ爪42の上に載っているシート体の縁部のめくれ度合いを低減することができる。つまり、押さえ爪42の上に載っているシート体に大きな変形を加えることなく、該シート体を積層体4上に積層することができる。ひいては、積層体4の品質向上を図ることができる。
さらに、本実施形態では、押さえ爪42の上昇量を規制するための規制片38が搬送装置14の吸着部17に設けられている。これにより、積層体4の上面を基準として押さえ爪42の上昇量を常に一定にすることが、より簡素な構成で実現できる。また、規制片38が吸着部17と共に動作するため、別途、高さ調整用の駆動手段を設ける必要もなく、部品点数の削減及び構成の簡素化を図ることができる。
また、押さえ爪42の上昇量を規制するための規制片38が、回転駆動されるターンテーブル6とは離間して設けられているため、信号線等の配線が複雑化せず、配線の容易化及び簡素化を図ることができる。加えて、ターンテーブル6を軽量化できるため、ターンテーブル6の動作性の低下を抑制し、生産性の低下抑制を図ることができる。
また、押さえ爪42の上昇量を規制するための規制片38を、ターンテーブル6上に配置された12個の積層ステージSそれぞれに対応して設ける必要がなく、積層作業を行う8箇所の積層作業位置R2〜R9に対応して設ければよいため、部品点数の削減、構成の簡素化、及び設置個所の削減を図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、積層装置5により積層電池に係る積層体4が製造される構成となっているが、これに限らず、例えば積層装置5によって、リチウムイオンキャパシタや電解コンデンサ等に係る積層体を製造する構成としてもよい。
(b)上記実施形態に係る積層体4は、負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2がこの順序で、下から順に繰り返し積み上げられるようにして積層形成されているが、勿論、積層順序はこれに限定されるものではない。例えば、正極箔3、セパレータ2、負極箔1、セパレータ2の順序で、下から順に繰り返し積み上げられるようにしてもよい。
また、最下層にセパレータ2が位置する構成としてもよい。つまり、セパレータ2、負極箔1、セパレータ2、正極箔3の順序で、下から順に繰り返し積み上げられるようにしてもよいし、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2、負極箔1の順序で、下から順に繰り返し積み上げられるようにしてもよい。
尚、シート体の積層順序を異ならせた場合には、軸部40の周方向に対する「負極押さえ爪42A」、「負極上セパレータ押さえ爪42B」、「正極押さえ爪42C」及び「正極上セパレータ押さえ爪42D」の配置順序も、該シート体の積層順序に従い異ならせることが好ましい。
(c)シート体としての電極箔1,3及びセパレータ2の材質や形状等は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、セパレータ2が多孔質樹脂フィルムにより構成されているが、絶縁性の不織布により構成してもよい。また、正極活物質として、例えば、ニッケル酸リチウムやマンガン酸リチウム等、他のリチウム含有金属酸化物等を用いることとしてもよく、負極活物質として、例えば炭素質材料等を用いることとしてもよい。
また、上記実施形態では、負極箔1、セパレータ2、正極箔3をそれぞれ個別のシート体として積層ステージSへ搬送し載置する構成となっているが、これに限らず、例えば負極箔1(又は正極箔3)及びセパレータ2を重ね合わせたものを1つのシート体として積層ステージSへ搬送し載置する構成としてもよい。
(d)保持部材31の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、保持部材31が4つの押さえ爪42A,42B,42C,42Dを備え、これら4つの押さえ爪42が90°の等間隔ではなく軸部40の周方向に偏在した構成となっている。これに代えて、複数の押さえ爪が等間隔で設けられた構成としてもよい。
押さえ爪42の数も4つに限定されるものではなく、1つの軸部40に対し1つ以上の押さえ爪が設けられていればよい。
また、上記実施形態では、積層ステージS(パレットP、積層体4)の四隅のコーナー部に対応して4つの保持部材31A,31B,31C,31Dが設けられた構成となっているが、保持部材31の配置構成及び数はこれに限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
また、上記実施形態では、軸部40を中心に押さえ爪42が旋回移動することにより、水平方向へ変位可能な構成となっているが、これに限らず、押さえ爪が水平方向に直線的にスライド変位する構成としてもよい。
(e)ターンテーブル6、並びに、各作業部7〜9の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、ターンテーブル6上に12個の積層ステージSが配置されると共に、各積層ステージSが取入作業位置R1、積層作業位置R2〜R9、空白位置R10、取出作業位置R11及び空白位置R12へ順に間欠移動していく構成となっている。
これに限らず、例えばターンテーブル6上に8個の積層ステージSが配置されると共に、これに対応して積層作業位置が4箇所に設けられた構成としてもよい。
また、上記実施形態では、可搬式の積層パレットPを介してシート体を積層する構成となっているが、積層パレットPを省略し、積層ステージS上に直接シート体が積層される構成としてもよい。
また、ターンテーブル6を省略した構成において本発明を適用してもよい。つまり、積層ステージSが所定位置に固定され、1箇所で積層作業を行う方式において本発明を適用してもよい。
(f)搬送手段や吸着手段の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、多孔質体からなる吸着板(多孔質吸着板)19を採用しているが、これに限らず、多孔式吸着板を採用してもよい。
また、上記実施形態では、押さえ爪42と干渉しないように、吸着部17の四隅にそれぞれ略円弧状の切欠き部21が形成された構成となっているが、これに代えて、直線状に切り欠いた切欠き部を採用してもよい。また、切欠き部を省略し、平面視略長方形状の吸着部を採用してもよい。
(g)押さえ爪42の高さ調整機構に係る構成は上記実施形態に限定されるものではない。以下、一具体例について図16を参照しつつ説明する。但し、上記実施形態と重複する部分については、同一の部材名称、同一の符号を用いる等してその詳細な説明を省略するとともに、相違する部分を中心として説明することとする。
図16に示す例では、ターンテーブル6とは離間した上方位置(例えば搬送装置14のガイドレール15が設けられた本体フレーム部分や、固定軸13から水平に延出した梁部分)から下方へ延出形成された棒状の支持部80が設けられている。
支持部80には、軸方向に沿って突条のガイドレール81が形成されている。ガイドレール81には、これに沿って上下方向に変位可能に設けられたスライド部82が設けられている。
スライド部82には、ここから保持部材31に向け略水平方向に沿って延出形成された従動部としての従動規制片83が設けられている。従動規制片83は、押さえ爪42の上昇量を規制するためのものであり、その先端側から下方へ突出形成された円筒状の規制部84と、該規制部84を上下方向に貫通するように、保持部材31の軸部40の上部を挿通可能な挿通孔(図示略)とが形成されている。
支持部80には棒状体85が突出形成されており、ここにコイルばね86の一端が引っ掛けられている。コイルばね86の他端は、従動規制片83に対し引っ掛けられている。これにより、従動規制片83は、コイルばね86の引張力により上方へ引っ張られた状態となっている。
一方、搬送装置14の吸着部17の四隅には、従動規制片83を下方へ押す規制部材としての規制片87が設けられている。そして、吸着部17が下降した場合には、規制片87が従動規制片83に当接すると共に、コイルばね86の引張力に抗して従動規制片83を従動させ所定の高さ位置へと押し下げる。
上記構成により、上記実施形態と同様、吸着部17により搬送されたシート体が載置される積層体4の上面を基準として押さえ爪42の上昇量を規制することができる。また、規制片87を動かす駆動手段を別途設ける必要がないため、部品点数の削減及び構成の簡素化を図ることができる。
(h)上記実施形態では、積層作業を行う8箇所の積層作業位置R2〜R9(全ての載置装置11A〜11H)に対応して、押さえ爪42を規制する規制部材(規制片38等)が設けられている。
これに限らず、電極箔1,3に係る積層作業を行う4箇所の積層作業位置R2,R4,R6,R8(負極箔載置装置11A,11E及び正極箔載置装置11C,11G)だけに対応して、押さえ爪42を規制する規制部材(規制片38等)を設けた構成としてもよい。
(i)上記実施形態では、吸着部17の昇降量がデータテーブルに基づき、制御部10によって、パレットP上の積層体4の最上面の高さ位置(シート体の積層量)に合わせて調整される構成となっている。
これに限らず、例えば積層体4の高さを計測する計測手段を備え、該計測手段による実測値に基づき、吸着部17の昇降量が調整される構成としてもよい。
また、規制された押さえ爪42の上昇量は、積層体4の最終的な厚さよりも少ない値であればよく、必ずしも積層工程の最初から最後まで常に一定の値に維持されなくともよい。