JP2018115627A - 可変容量圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】可変容量圧縮機において、クランク室等の制御圧室の放圧の遅れを防止する。
【解決手段】圧力供給通路145の制御弁300よりもクランク室140側に切替弁350が設けられる。切替弁350は、第1弁孔104c1と第2弁孔151aとを連通させる第1の状態と、第2弁孔151aと吸入室141に連通する放圧孔351a1とを連通させる第2の状態とに切り替わる。切替弁350は、区画部材351と、スプール352と、内部通路352eとを含む。スプール352は、第1弁部352a、第2弁部352b、及び、軸部352cからなる。内部通路352eの第1内部通路352e1は、スプール352における第2弁部352b及び軸部352cを経由して第1弁部352a内の領域まで軸線O2に沿って延びている。第2弁部352bは、軸部352cと一体に形成されている。
【選択図】図3
【解決手段】圧力供給通路145の制御弁300よりもクランク室140側に切替弁350が設けられる。切替弁350は、第1弁孔104c1と第2弁孔151aとを連通させる第1の状態と、第2弁孔151aと吸入室141に連通する放圧孔351a1とを連通させる第2の状態とに切り替わる。切替弁350は、区画部材351と、スプール352と、内部通路352eとを含む。スプール352は、第1弁部352a、第2弁部352b、及び、軸部352cからなる。内部通路352eの第1内部通路352e1は、スプール352における第2弁部352b及び軸部352cを経由して第1弁部352a内の領域まで軸線O2に沿って延びている。第2弁部352bは、軸部352cと一体に形成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、クランク室などの制御圧室の圧力に応じて吐出容量が変化する可変容量圧縮機に関する。
この種の可変容量圧縮機の一例として、特許文献1に記載の可変容量圧縮機は、吐出室とクランク室とを連通する圧力供給通路の開度を制御する制御弁と、切替弁とを備える。前記切替弁は、前記制御弁と前記クランク室との間の圧力供給通路を開閉する第1弁部、前記クランク室と吸入室とを連通する放圧通路を開閉する第2弁部、及び、前記第1弁部と前記第2弁部とを連結する連結部を有するスプールと、前記スプールが収容される収容室を軸方向に沿って第1収容室と第2収容室とに区画する区画部材とを含んで構成されている。そして、前記スプールは、前記制御弁と前記切替弁の間の圧力供給通路の圧力が前記クランク室の圧力よりも高いときに、前記収容室内を前記クランク室側に移動することにより、前記第1弁部が前記圧力供給通路を開いて前記吐出室から前記クランク室に冷媒を供給し、前記第2弁部が前記放圧通路の開度を最小とするように構成される。そして、前記スプールは、前記制御弁と前記切替弁の間の圧力供給通路の圧力が前記クランク室の圧力よりも低いときに、前記収容室内を前記制御弁側に移動することにより、前記第1弁部が前記圧力供給通路を閉鎖して前記クランク室から前記制御弁に向かう冷媒の逆流を防止し、前記第2弁部が前記放圧通路の開度を最大とするように構成されている。
上記従来の可変容量圧縮機においては、前記スプールは前記第1弁部と前記第2弁部と前記連結部とにより構成されており、前記第1弁部が前記軸部との一体部品として形成される一方、前記第2弁部が前記第1弁部及び前記軸部の前記一体部品とは別の部品として形成されている。そして、前記一体部品における前記軸部を前記区画部材に形成された挿通孔に挿通させた状態で、前記一体部品における前記軸部を前記区画部材の内側に配置された前記第2弁部に圧入することにより、前記スプールが構成されている。
ここで、前記第2弁部への前記一体部品における前記軸部の圧入作業の際には、前記第2弁部を適宜の治具により位置決めすることが考えられる。
しかし、圧入作業の際に、前記第2弁部は前記区画部材の内側の狭い空間内に位置しているので、前記第2弁部を確実に位置決めするための前記治具の製作が困難な場合がある。この場合、前記圧入作業の際に、前記第2弁部が移動してしまう可能性があり、前記スプールの組立精度が低下するおそれがある。
そこで、本発明は、前記切替弁のスプールの組立精度を維持しつつ、スプールを簡易な治具にて容易に組立てることができる可変容量圧縮機を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、冷媒が導かれる吸入室、前記吸入室内の冷媒を吸入して圧縮する圧縮部、前記圧縮部によって圧縮された冷媒が吐出される吐出室、及び、制御圧室を有し、前記制御圧室の圧力に応じて吐出容量が変化する可変容量圧縮機が提供される。前記可変容量圧縮機は、制御弁と、切替弁と、絞り通路とを含む。前記制御弁は、前記吐出室内の冷媒を前記制御圧室に供給するための圧力供給通路に設けられ、前記圧力供給通路の開度を制御する。前記切替弁は、前記圧力供給通路における前記制御弁よりも前記制御圧室側に設けられた切替弁であって、前記制御弁と前記切替弁の間の圧力供給通路に連通する第1弁孔と前記切替弁と前記制御圧室の間の圧力供給通路に連通する第2弁孔とを連通させる第1の状態と、前記第2弁孔と前記吸入室に連通する放圧孔とを連通させる第2の状態とに切り替わる。前記絞り通路は、前記制御弁と前記切替弁の間の圧力供給通路と前記吸入室とを連通する。前記切替弁は、区画部材と、スプールと、内部通路とを含む。前記区画部材は、前記第1弁孔を有する第1弁室と前記第2弁孔及び前記放圧孔を有する第2弁室とを区画する。前記スプールは、前記第1弁室に配置され前記第1弁孔を開閉する第1弁部、前記第2弁室に配置され前記第2弁孔を開閉する第2弁部、及び、前記第1弁部と前記第2弁部とを連結する軸部からなるスプールであって、円形断面を有して前記第1弁孔の孔中心と前記第2弁孔の孔中心とを結ぶ軸線に沿って延びると共に前記区画部材を貫通する。前記内部通路は、前記第1弁孔と前記第2弁孔とを連通させるための内部通路であって、前記スプールを貫通する。前記スプールは、前記制御弁と前記切替弁の間の圧力供給通路の圧力が前記制御圧室の圧力よりも高い場合に、前記内部通路を介して前記第1弁孔と前記第2弁孔とを連通すると共に前記第2弁孔と前記放圧孔との連通を遮断し、前記制御弁と前記切替弁の間の圧力供給通路の圧力が前記制御圧室の圧力よりも低い場合に、前記第1弁孔と前記第2弁孔との連通を遮断すると共に前記第2弁孔と前記放圧孔とを連通するように移動する。前記内部通路は、前記第2弁部の前記第2弁孔側の端面から前記第2弁部内及び前記軸部内を経由して前記第1弁部内の領域まで前記軸線に沿って延びる第1内部通路と、前記第1弁部の周壁を貫通して前記第1弁部内の領域と前記第1弁室の形成壁と前記第1弁部の外周面との間の領域とを連通する第2内部通路とからなる。前記第2弁部は、前記軸部と一体に形成されている。
本発明の前記一側面による前記可変容量圧縮機によれば、前記切替弁における前記スプールを貫通する内部通路の前記第1内部通路は、前記第2弁部の前記第2弁孔側の端面から前記第2弁部内及び前記軸部内を経由して前記第1弁部内の領域まで、前記第1弁孔の孔中心と前記第2弁孔の孔中心とを結ぶ前記軸線に沿って延びており、前記第2弁部は、前記軸部と一体に形成されている。つまり、前記第2弁部及び前記軸部の一体部品は、その内部に前記第1内部通路の一部を構成し前記軸線に沿って延びる比較的に長い貫通孔を有している。
したがって、前記スプールの組立における圧入作業の際に、例えば、円柱状のピンが突設された簡易な治具を用意し、前記一体部品内の前記第1内部通路の一部を構成する前記貫通孔に前記ピンを挿入することにより、前記第2弁部を前記軸部と共に前記治具に対して安定して位置決めすることができる。そして、前記第1内部通路は前記第1弁部内の領域まで延びているので、例えば、前記一体部品を位置決めした状態で、前記ピンが前記軸部の端部から突出するように前記ピンの長さを設定すれば、前記一体部品の前記軸部に前記第1弁部を圧入する際に、前記ピンを前記第1弁部側の前記第1内部通路に挿通させて前記第1弁部の移動をガイドすることができる。このように、前記第1内部通路に前記ピンを挿通させることにより、前記第2弁部及び前記軸部の一体部品の位置決めと前記第1弁部の圧入時における移動をガイドすることができる。したがって、前記切替弁のスプールの組立精度を維持しつつ、スプールを簡易な治具にて容易に組立てることができる。
したがって、前記スプールの組立における圧入作業の際に、例えば、円柱状のピンが突設された簡易な治具を用意し、前記一体部品内の前記第1内部通路の一部を構成する前記貫通孔に前記ピンを挿入することにより、前記第2弁部を前記軸部と共に前記治具に対して安定して位置決めすることができる。そして、前記第1内部通路は前記第1弁部内の領域まで延びているので、例えば、前記一体部品を位置決めした状態で、前記ピンが前記軸部の端部から突出するように前記ピンの長さを設定すれば、前記一体部品の前記軸部に前記第1弁部を圧入する際に、前記ピンを前記第1弁部側の前記第1内部通路に挿通させて前記第1弁部の移動をガイドすることができる。このように、前記第1内部通路に前記ピンを挿通させることにより、前記第2弁部及び前記軸部の一体部品の位置決めと前記第1弁部の圧入時における移動をガイドすることができる。したがって、前記切替弁のスプールの組立精度を維持しつつ、スプールを簡易な治具にて容易に組立てることができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、車両用エアコンシステム(エア・コンディショナー・システム)に適用される可変容量型クラッチレス圧縮機を例示する。
図1は、車両用エアコンシステム(エア・コンディショナー・システム)に適用される可変容量型クラッチレス圧縮機を例示する。
図1に示す可変容量圧縮機100は、複数のシリンダボア101aが形成されたシリンダブロック101と、シリンダブロック101の一端に設けられたフロントハウジング102と、シリンダブロック101の他端にバルブプレート103を介して設けられたシリンダヘッド104と、を備える。シリンダブロック101とフロントハウジング102とによって制御圧室としてのクランク室140が形成され、駆動軸110は、クランク室140内を横断して設けられている。
駆動軸110の軸線O1の延伸方向の中間部分の周囲には、斜板111が配置されている。斜板111は、駆動軸110に固定されたロータ112にリンク機構120を介して連結され、軸線O1に対する傾角は変更可能に構成される。リンク機構120は、ロータ112から突設された第1アーム112aと、斜板111から突設された第2アーム111aと、一端が第1連結ピン122を介して第1アーム112aに回動可能に連結され、他端が第2連結ピン123を介して第2アーム111aに回動可能に連結されたリンクアーム121と、を備える。
斜板111の貫通孔111bは、斜板111が最大傾角と最小傾角との間の範囲で傾動可能な形状に形成され、貫通孔111bには駆動軸110と当接する最小傾角規制部(図示せず)が形成されている。斜板111が駆動軸110に直交するときの斜板111の傾角を0degとした場合、貫通孔111bの最小傾角規制部は、斜板111を略0degまで傾角変位が可能に形成されている。また、斜板111の最大傾角は、斜板111がロータ112に当接することにより規制される。
ロータ112と斜板111の間には、斜板111を最小傾角に向けて付勢する傾角減少バネ114が装着され、また、斜板111と駆動軸110に設けたバネ支持部材116との間には、斜板111の傾角を増大する方向に付勢する傾角増大バネ115が装着されている。ここで、最小傾角における傾角増大バネ115の付勢力は、傾角減少バネ114の付勢力より大きく設定されていて、駆動軸110が回転していないときは、斜板111は、傾角減少バネ114の付勢力と傾角増大バネ115の付勢力とがバランスする傾角に位置決めされる。
駆動軸110の一端は、フロントハウジング102の外側に突出したボス部102a内を貫通してフロントハウジング102の外側まで延在し、図示しない動力伝達装置に連結される。なお、駆動軸110とボス部102aとの間には、軸封装置130が挿入され、クランク室140と外部空間とを遮断している。
駆動軸110とロータ112との連結体は、ラジアル方向に軸受131、132で支持され、スラスト方向に軸受133、スラストプレート134で支持されている。そして、外部駆動源からの動力が動力伝達装置に伝達され、駆動軸110は動力伝達装置の回転と同期して回転可能となっている。なお、駆動軸110のスラストプレート134が当接する部分とスラストプレート134との隙間は、調整ネジ135によって所定の隙間に調整される。
シリンダボア101a内には、ピストン136が配置され、ピストン136のクランク室140側に突出している端部の内側空間には、斜板111の外周部が収容され、斜板111は、一対のシュー137を介してピストン136と連動するよう構成される。そして、ピストン136は、斜板111の回転によりシリンダボア101a内を往復動する。シリンダヘッド104には、中央部に吸入室141が形成されると共に、吸入室141の径方向外側を環状に取り囲む吐出室142が区画形成される。
吸入室141とシリンダボア101aとは、バルブプレート103に設けられた連通孔103a及び吸入弁形成板150に形成された吸入弁(図示せず)を介して連通する。吐出室142とシリンダボア101aとは、吐出弁形成板151に形成された吐出弁(図示せず)及びバルブプレート103に設けられた連通孔103bを介して連通する。上記のフロントハウジング102、センターガスケット(図示せず)、シリンダブロック101、シリンダガスケット152、吸入弁形成板150、バルブプレート103、吐出弁形成板151、ヘッドガスケット153、シリンダヘッド104が順次接続され、複数の通しボルト105によって締結されて圧縮機ハウジングが形成される。
また、シリンダブロック101の図1で上部にはマフラが設けられる。マフラは、吐出ポート106aが開口される蓋部材106とシリンダブロック101上部に区画形成された形成壁101bとが図示しないシール部材を介してボルトで締結されることによって形成される。蓋部材106と形成壁101bとで囲まれるマフラ空間143には吐出逆止弁200が配置されている。
吐出逆止弁200は、吐出室142とマフラ空間143とを連通する連通路144とマフラ空間143との接続部に配置され、連通路144(上流側)とマフラ空間143(下流側)との圧力差に応答して動作し、圧力差が所定値より小さい場合は連通路144を遮断し、圧力差が所定値より大きい場合は連通路144を開放する。したがって、吐出室142は、連通路144、吐出逆止弁200、マフラ空間143及び吐出ポート106aで形成される吐出通路を介してエアコンシステムの冷媒回路(の高圧側)と接続される。
シリンダヘッド104には、吸入ポート(図示せず)、連通路104aで構成される吸入通路がシリンダヘッド104の径方向外側から吐出室142の一部を横切るように直線状に延設され、この吸入通路を介して吸入室141はエアコンシステムの吸入側冷媒回路と接続されている。
前記エアコンシステムの前記冷媒回路の低圧側の冷媒は、前記吸入通路を介して吸入室141に導かれる。吸入室141内の冷媒は、ピストン136の往復運動によってシリンダボア101a内に吸入され、圧縮されて吐出室142に吐出される。すなわち、本実施形態においては、シリンダボア101a及びピストン136によって吸入室141内の冷媒を吸入して圧縮する圧縮部が構成されている。そして、吐出室142に吐出された冷媒(前記圧縮部によって圧縮された冷媒)は、前記吐出通路を介して前記エアコンシステムの前記冷媒回路の高圧側へと導かれる。
シリンダヘッド104には、吐出室142内の冷媒をクランク室140に供給するための圧力供給通路145が形成される。そして、圧力供給通路145には、制御弁300及び切替弁350が設けられている。切替弁350は、圧力供給通路145における制御弁300よりも下流側(クランク室140側)に配置されている。具体的には、制御弁300は、収容孔104bに配置され、切替弁350は、圧力供給通路145における制御弁300よりも下流側に形成される収容室104cに配置されている。
後に詳述するが、本実施形態において、圧力供給通路145は、図1及び後述する図3(a)に示すように、シリンダヘッド104に形成された連通路104e、制御弁300の収容孔104b、連通路104f、第1弁孔104c1(図3(a)参照)、第1弁室S1の第1領域S11(図3(a)参照)、内部通路352(図3(a)参照)、第2弁孔151a(図3(a)参照)、バルブプレート103の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、シリンダガスケット152の連通孔及び連通路101eにより構成される。
後に詳述するが、本実施形態において、圧力供給通路145は、図1及び後述する図3(a)に示すように、シリンダヘッド104に形成された連通路104e、制御弁300の収容孔104b、連通路104f、第1弁孔104c1(図3(a)参照)、第1弁室S1の第1領域S11(図3(a)参照)、内部通路352(図3(a)参照)、第2弁孔151a(図3(a)参照)、バルブプレート103の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、シリンダガスケット152の連通孔及び連通路101eにより構成される。
図2は、制御弁300の断面図である。制御弁300は、圧力供給通路145の開口面積(開度)を制御する弁であり、具体的には、図1に示すように、シリンダヘッド104の径方向に沿って形成された収容孔104bに収容される。本実施形態において、制御弁300にはOリング300a〜300cが装着されており、これらOリング300a〜300cによって収容孔104b内には、連通路104dを介して吸入室141に連通するA領域と、連通路104eを介して吐出室142に連通するB領域と、連通路104fを介して収容室104cに連通するC領域とが区画形成される。そして、収容孔104bの前記B領域及び前記C領域が圧力供給通路145の一部を構成している。制御弁300は、連通路104dを介して導入された吸入室141の圧力と外部信号に応じてソレノイドに流れる電流により発生する電磁力とに応答して圧力供給通路145の開度を調整し、クランク室140への吐出ガス導入量(圧力供給量)を制御する。
図3は、切替弁350の断面図である。切替弁350は、後に詳述するように、図3(a)に示す第1の状態と図3(b)に示す第2の状態とに切り替わる弁である。切替弁350は、制御弁300とクランク室140との間の圧力供給通路145を開閉するための第1弁部352aと、クランク室140と吸入室141とを連通する放圧通路146のうちの後述する第1放圧通路146aを開閉するための第2弁部352bとを有するスプール352を含んで構成される。
スプール352は、制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の圧力とクランク室140の圧力との差に応じて移動し、これによって、切替弁350は、クランク室140側から制御弁300に向かう冷媒(流体)の逆流を阻止する逆止弁としての機能と、クランク室140から吸入室141への冷媒の排出を制御する機能とを有する。
本実施形態では、クランク室140内の冷媒を吸入室141に排出する放圧通路146として、第1放圧通路146aと第2放圧通路146bとを備える。
後に詳述するが、本実施形態において、第1放圧通路146aは、図1及び図3(b)に示すように、シリンダブロック101に形成された連通路101e、シリンダガスケット152の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、バルブプレート103の連通孔、第2弁孔151a(図3(b)参照)、切替弁350の第2弁部352bと第2弁座151bとの間隙G(図3(b)参照)、第2弁室S2(図3(b)参照)、放圧孔351a1(図3参照)からなり、切替弁350を経由し切替弁350によって開閉される。つまり、後述するように、第2弁孔151a、バルブプレート103の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、シリンダガスケット152の連通孔及び連通路101e(以下において、これらをまとめて「兼用通路」という)は、第1放圧通路146aと圧力供給通路145とを兼ね、クランク室140から放圧するときとクランク室140に圧力を供給するときとでは冷媒の流れ方向が逆になる。
また、本実施形態において、第2放圧通路146bは、シリンダブロック101のフロントハウジング102側の端面を貫通してシリンダヘッド104側に延びる連通路101c、シリンダブロック101のシリンダヘッド104側の端面に開口する空間101d、バルブプレート103に形成された固定絞り103cを経由し切替弁350を迂回するように設けられている。
なお、切替弁350によって開かれたときの第1放圧通路146aの流路断面積は、第2放圧通路146bの固定絞り103cの流路断面積より大きく設定されている。
なお、切替弁350によって開かれたときの第1放圧通路146aの流路断面積は、第2放圧通路146bの固定絞り103cの流路断面積より大きく設定されている。
そして、制御弁300が閉じ、制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の圧力がクランク室140の圧力よりも低くなったとき、切替弁350は圧力供給通路145(詳しくは、後に詳述する第1弁孔104c1)を閉鎖してクランク室140側から制御弁300に向かう冷媒の逆流を阻止する一方で第1放圧通路146a(詳しくは、後に詳述する第2弁部352bと第2弁座151bとの間隙G)の開度を最大開度にするように構成されている。これにより、クランク室140の冷媒が第1放圧通路146a及び第2放圧通路146bを介して速やかに吸入室141に排出され、クランク室140の圧力が吸入室141の圧力と同等となって斜板111の傾斜角が最大となり、ピストンストローク(吐出容量)が最大となる。
また、制御弁300が開き、制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の圧力がクランク室140の圧力よりも高くなったとき、切替弁350は圧力供給通路145(詳しくは、後に詳述する第1弁孔104c1)を開放すると共に第1放圧通路146aを閉鎖する(詳しくは、後に詳述する第2弁部352bを第2弁座151bに当接させる)ように構成されている。その結果、前記兼用通路における冷媒の流れ方向が制御弁300の閉弁時とは逆向きになる。これにより、その結果、吐出室142の冷媒が圧力供給通路145(詳しくは、前記兼用通路)を介してクランク室140に供給される一方で、クランク室140の冷媒が前記兼用通路を介して吸入室141に流出することが制限されてクランク室140の圧力が上昇し易くなり、制御弁300の開度に応じてクランク室140内の圧力が上昇して斜板111の傾斜角が最大から減少し、ピストンストロークを可変に制御することができる。
このように、可変容量圧縮機100は、吸入室141、前記圧縮部、吐出室142、及び、制御圧室としてのクランク室140とを有し、クランク室140の圧力に応じて吐出容量が変化する圧縮機、換言すると、クランク室140内の調圧によって吐出容量が制御される圧縮機である。
次に、制御弁300の構造について詳細に説明する。なお、切替弁350の構造、作用については、後に詳細に説明する。
次に、制御弁300の構造について詳細に説明する。なお、切替弁350の構造、作用については、後に詳細に説明する。
「制御弁」
制御弁300は、弁ユニットと弁ユニットを開閉作動させる駆動ユニット(ソレノイド)とから構成される。
制御弁300は、弁ユニットと弁ユニットを開閉作動させる駆動ユニット(ソレノイド)とから構成される。
制御弁300の前記弁ユニットは、円筒状の弁ハウジング301を有し、弁ハウジング301の内部には、第1感圧室302、弁室303及び第2感圧室307が軸方向に順番に並んで形成されている。
第1感圧室302は、弁ハウジング301の外周面に形成された連通孔301a、シリンダヘッド104に形成された収容孔104b及び連通路104fを介してクランク室140と連通している。
第1感圧室302は、弁ハウジング301の外周面に形成された連通孔301a、シリンダヘッド104に形成された収容孔104b及び連通路104fを介してクランク室140と連通している。
第2感圧室307は、弁ハウジング301の外周面に形成された連通孔301e及びシリンダヘッド104に形成された連通路104dを介して吸入室141と連通している。弁室303は、弁ハウジング301の外周面に形成された連通孔301b及びシリンダヘッド104に形成された連通路104eを介して吐出室142と連通している。第1感圧室302と弁室303とは、弁孔301cを介して連通可能となっている。
弁室303と第2感圧室307との間には、支持孔301dが形成されている。第1感圧室302内には、ベローズ305が配設されている。ベローズ305は、内部を真空にしてバネを内蔵し、弁ハウジング301の軸方向に変位可能に配置され、第1感圧室302内、即ちクランク室140内の圧力を受圧する感圧手段としての機能を有する。
弁室303内には、円柱状の弁体304が収容されている。弁体304は、外周面が支持孔301dの内周面に密接しつつ支持孔301d内を摺動可能であって、弁ハウジング301の軸線方向に移動可能である。弁体304の一端は弁孔301cを開閉可能であり、弁体304の他端は第2感圧室307内に突出している。弁体304の一端には、棒状の連結部306の一端が固定されている。連結部306は、他端がベローズ305に当接可能に配置されており、ベローズ305の変位を弁体304に伝達する機能を有する。
制御弁300の前記駆動ユニットは円筒状のソレノイドハウジング312を有し、ソレノイドハウジング312は弁ハウジング301の他端に同軸に連結される。ソレノイドハウジング312内には、電磁コイルを樹脂で覆ったモールドコイル314が収容される。また、ソレノイドハウジング312内には、モールドコイル314と同心上に円筒状の固定コア310が収容され、固定コア310は弁ハウジング301からモールドコイル314の中央付近にまで延びている。弁ハウジング301とは反対側の固定コア310の端部は、筒状のスリーブ313によって囲まれている。固定コア310は、中央に挿通孔310aを有し、挿通孔310aの一端は第2感圧室307に開口している。固定コア310とスリーブ313の閉塞端との間には、円筒状の可動コア308が収容されている。
挿通孔310aには、ソレノイドロッド309が挿通され、ソレノイドロッド309の一端は弁体304の基端側に圧入により固定される。ソレノイドロッド309の他端部は、可動コア308に形成された貫通孔に圧入され、ソレノイドロッド309と可動コア308とは一体化される。固定コア310と可動コア308との間には、可動コア308を固定コア310から離れる方向(開弁方向)に付勢する解放バネ311が備えられる。
可動コア308、固定コア310及びソレノイドハウジング312は、磁性材料で形成されて磁気回路を構成する。スリーブ313は、ステンレス系材料などの非磁性材料で形成されている。モールドコイル314には、可変容量圧縮機100の外部に設けられた制御装置が信号線を介して接続される。モールドコイル314は、制御装置から制御電流iが供給されると電磁力F(i)を発生する。モールドコイル314の電磁力F(i)は、可動コア308を固定コア310に向けて吸引し、弁体304を閉弁方向に駆動する。
制御弁300の弁体304には、モールドコイル314による電磁力F(i)の他に、解放バネ311による付勢力fs、弁室303の圧力(吐出圧力Pd)による力、第1感圧室302の圧力(クランク室圧力Pc)による力、第2感圧室307の圧力(吸入圧力Ps)による力、及び、ベローズ305が内蔵するバネによる付勢力Fが作用する。
ここで、ベローズ305の伸縮方向の有効受圧面積Sb、弁孔301c側より弁体304に作用するクランク室の圧力受圧面積Sv、弁体304の円筒外周面の断面積SrをSb=Sv=Srとしてあるので、弁体304に作用する力の関係は数式1で示される。なお、数式1において、「+」は弁体304の閉弁方向、「−」は開弁方向を示す。
ここで、ベローズ305の伸縮方向の有効受圧面積Sb、弁孔301c側より弁体304に作用するクランク室の圧力受圧面積Sv、弁体304の円筒外周面の断面積SrをSb=Sv=Srとしてあるので、弁体304に作用する力の関係は数式1で示される。なお、数式1において、「+」は弁体304の閉弁方向、「−」は開弁方向を示す。
ベローズ305、連結部306及び弁体304の連結体は、吸入室141の圧力が設定圧力よりも高くなると吐出容量を増大させるために圧力供給通路145の開度を小さくしてクランク室140の圧力を低下させ、吸入室141の圧力が設定圧力を下回ると吐出容量を減少させるために圧力供給通路145の開度を大きくしてクランク室140の圧力を上昇させる。つまり、制御弁300は、吸入室141の圧力が設定圧力に近づくように圧力供給通路145の開度(開口面積)を自律制御する。
図4は、制御弁300のコイル通電量と設定圧力との相関を示す線図である。弁体304には、ソレノイドロッド309を介してモールドコイル314の電磁力が閉弁方向に作用するので、モールドコイル314への通電量が増加すると圧力供給通路145の開度を小さくする方向の力が増大し、図4に示すように設定圧力が低下方向に変化する。制御装置(駆動ユニット)は、例えば400Hz〜500Hzの範囲の所定周波数でのパルス幅変調(PWM制御)によりモールドコイル314への通電を制御し、モールドコイル314を流れる電流値が所望の値となるようにパルス幅(デューティ比)を変更する。
エアコンシステムの作動時、つまり可変容量圧縮機100の作動状態では、設定温度などの空調設定や外部環境に基づいてモールドコイル314への通電量が制御装置によって調整され、吸入室141の圧力が通電量に対応する設定圧力になるように吐出容量が制御される。また、エアコンシステムの非作動時、つまり可変容量圧縮機100の非作動状態では、制御装置はモールドコイル314への通電をOFFする。これにより、圧力供給通路145が解放バネ311によって開放され、可変容量圧縮機100の吐出容量は最小の状態に制御される。
次に、切替弁350の構造、作用について、図1、図3、図5−図8を参照して詳細に説明する。図3(a)、図3(b)は、シリンダヘッド104に配設される切替弁350の一例を示す縦断面図であり、図3(a)はクランク室140への圧力供給状態(第1の状態)を示し、図3(b)はクランク室140からの放圧状態(第2の状態)を示す。図5−図7は、それぞれ切替弁350の構成部品の断面図である。図8は切替弁350のスプール352と後述する区画部材351との組立体の断面図である。
「切替弁」
切替弁350は、図1及び図3に示すように、圧力供給通路145における制御弁300よりもクランク室140側に形成された収容室104cに設けられ、第1の状態と第2の状態とに切り替わる弁である。切替弁350は、前記第1の状態では、制御弁300と切替弁350の間の圧力供給通路145に連通する第1弁孔104c1と切替弁350とクランク室140の間の圧力供給通路145に連通する第2弁孔151aとを連通させ、前記第2の状態では、第2弁孔151aと吸入室141に連通する放圧孔351a1とを連通させる。
切替弁350は、図1及び図3に示すように、圧力供給通路145における制御弁300よりもクランク室140側に形成された収容室104cに設けられ、第1の状態と第2の状態とに切り替わる弁である。切替弁350は、前記第1の状態では、制御弁300と切替弁350の間の圧力供給通路145に連通する第1弁孔104c1と切替弁350とクランク室140の間の圧力供給通路145に連通する第2弁孔151aとを連通させ、前記第2の状態では、第2弁孔151aと吸入室141に連通する放圧孔351a1とを連通させる。
切替弁350は、収容室104c内に固定される区画部材351(図3、図5参照)と、収容室104cに収容され収容室104c内を移動するスプール352(図3、図5−図7参照)と、スプール352内に形成される内部通路352e(図3参照)と、を含む。
区画部材351は、第1弁孔104c1を有する第1弁室S1と第2弁孔151a及び吸入室141に連通する放圧孔351a1を有する第2弁室S2とを区画する部材である。収容室104cは、シリンダヘッド104の開放端面側に形成され、吸入室141に開口している。
第1弁孔104c1は、収容室104c(第1弁室S1)におけるスプール352の移動方向の一端側に開口する。第1弁孔104c1は、連通路104fを介して制御弁300の弁孔301cより下流側に連通している。つまり、第1弁孔104c1は、連通路104f、収容孔104b、制御弁300、連通路104eを介して吐出室142に連通する。
第2弁孔151aは、収容室104c(第2弁室S2)におけるスプール352の移動方向の他端側に開口する。第2弁孔151aは、バルブプレート103の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、シリンダガスケット152の連通孔及びシリンダブロック101に形成された連通路101eを介してクランク室140に連通する。
放圧孔351a1は、第2弁室S2と吸入室141とを連通するため、吸入室141に直接開口している。なお、本実施形態では、収容室104cが吸入室141に開口し、放圧孔351a1を介して第2弁室S2と吸入室141とを連通させる構成としたが、これに限らない。例えば、収容室104cを直接、吸入室141に開口させず、吸入室141と収容室104cの間の壁(シリンダヘッド104の開放端における壁)に連通孔を形成し、この連通孔と放圧孔351a1を介して第2弁室S2と吸入室141とを連通させる構成としてもよい。
スプール352は、第1弁室S1に配置される第1弁部352aと、第2弁室S2に配置される第2弁部352bと、第1弁部352aと第2弁部352bとを連結する軸部352cとからなり、円形断面を有して第1弁孔104c1の孔中心と第2弁孔151aの孔中心とを結ぶ軸線O2に沿って延びると共に区画部材351を貫通する。スプール352の軸線は、例えば、前記軸線O2と一致している。
第1弁部352aは、第1弁孔104c1の周囲に設けた第1弁座104c2に離接することで、第1弁孔104c1を開閉する。第2弁部352bは、第2弁孔151aの周囲に設けた第2弁座151bに離接することで、第2弁孔151aを開閉する。軸部352cは、例えば、筒状に形成され、区画部材351を貫通し且つ第1弁部352a及び第2弁部352bの外径よりも小さい軸外径を有する。
第2弁部352bは軸部352cと一体に形成され、第1弁部352aは軸部352c及び第2弁部352bと別体に形成されている。つまり、第2弁部352bが軸部352cとの一体部品として形成される一方、第1弁部352aが第2弁部352b及び軸部352cの前記一体部品とは別の部品として形成されている。
内部通路352eは、第1弁孔104c1と第2弁孔151aとを連通するための通路であり、スプール352を貫通するように形成されている。内部通路352eは、第1内部通路352e1と第2内部通路352e2とからなる。
第1内部通路352e1は、第2弁部352bの第2弁孔151a側の端面から第2弁部352b内及び軸部352c内を経由して第1弁部352a内の領域まで軸線O2に沿って延びるように形成されている。第1内部通路352e1は、例えば、その軸線が第1弁孔104c1の孔中心と第2弁孔151aの孔中心とを結ぶ軸線O2と一致するように延伸している。第1内部通路352e1は、例えば、その一端が第1弁部352aの第1弁孔104c1側に位置して閉塞され、他端が第2弁部352bの第2弁座151b側の端面に開口している。第1内部通路352e1の他端開口の周囲を囲むように、第2弁部352bの円環状の突出部352b1が配置されている。
第2内部通路352e2は、第1弁部352aの周壁を貫通して、第1内部通路352e1における第1弁部352a内の領域と、第1弁室S1の形成壁と第1弁部352aの外周面との間の領域とを連通する通路である。第2内部通路352e2は、例えば、第1弁部352aの周方向に離間する複数の角度位置に形成され、第1弁部352aの径方向に延伸している。
スプール352は、連通路104f(制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145)の圧力が連通路101e(クランク室140)の圧力よりも高い場合に、この圧力差によって図3の左方向に移動して、図3(a)に示すように、第1弁部352aが第1弁座104c2から離間すると共に第2弁部352bが第2弁座151bに当接する。これにより、スプール352は、内部通路352eを介して第1弁孔104c1と第2弁孔151aとを連通すると共に第2弁孔151aと放圧孔351a1との連通を遮断する。
また、スプール352は、連通路104fの圧力が連通路101eの圧力よりも低い場合に、この圧力差によって図3の右方向に移動して、図3(b)に示すように、第1弁部352aが第1弁座104c2に当接すると共に第2弁部352bが第2弁座151bから離間する。これにより、スプール352は、第1弁孔104c1と第2弁孔151aとの連通を遮断すると共に第2弁孔151aと放圧孔351a1とを連通する。
以下では、切替弁350の構成をより詳細に説明する。
「収容室及び閉塞部材」
収容室104cは、第1弁孔104c1の孔中心と第2弁孔151aの孔中心とを結ぶ軸線O2に沿って延伸し、段付きの円柱状に形成されている。収容室104cの円柱中心軸は、前記軸線O2と一致すると共に、駆動軸110の軸線O1と平行に延伸している。つまり、前記軸線O2は、収容室104cの円柱中心軸、スプール352の軸線、第1内部通路352e1の軸線と一致する。収容室104cは、具体的には、シリンダヘッド104の開放端面側(クランク室140に近い側)の大径部104c3と、大径部104c3に連続し奥側(クランク室140から遠い側)に向かって伸びると共に大径部104c3より小径の小径部104c4とで構成されている。そして、大径部104c3を形成するシリンダヘッド104形成壁の一部が開放端面側で切り欠かれており、これにより、収容室104cの開口端側が直接的に吸入室141に開口している。
「収容室及び閉塞部材」
収容室104cは、第1弁孔104c1の孔中心と第2弁孔151aの孔中心とを結ぶ軸線O2に沿って延伸し、段付きの円柱状に形成されている。収容室104cの円柱中心軸は、前記軸線O2と一致すると共に、駆動軸110の軸線O1と平行に延伸している。つまり、前記軸線O2は、収容室104cの円柱中心軸、スプール352の軸線、第1内部通路352e1の軸線と一致する。収容室104cは、具体的には、シリンダヘッド104の開放端面側(クランク室140に近い側)の大径部104c3と、大径部104c3に連続し奥側(クランク室140から遠い側)に向かって伸びると共に大径部104c3より小径の小径部104c4とで構成されている。そして、大径部104c3を形成するシリンダヘッド104形成壁の一部が開放端面側で切り欠かれており、これにより、収容室104cの開口端側が直接的に吸入室141に開口している。
吐出弁形成板151には第2弁孔151aが開口し、第2弁孔151aの開口部周縁には第2弁座151bが形成されている。大径部104c3(第2弁室S2)は、第2弁孔151a、バルブプレート103の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、シリンダガスケット152の連通孔及びシリンダブロック101に形成された連通路101eを介してクランク室140と連通する。
小径部104c4を構成する軸線O2方向の端面104c21には、第1弁座104c2が形成される。第1弁座104c2の内側に第1弁孔104c1が開口される。第1弁座104c2及び第2弁座151bは、それぞれ、スプール352の移動方向(つまり、軸線O2の延伸方向)と直交するように形成されている。第1弁孔104c1は、収容室104cと同軸に延設される連通路104fを介して制御弁300の弁孔301cより下流の収容孔104b内の領域と連通する。制御弁300の弁孔301cより下流の収容孔104b内の領域は、制御弁300及び連通路104eを介して吐出室142と連通し、第1弁孔104c1は、連通路104fを含む圧力供給通路145を介して吐出室142と連通する。小径部104c4(第1弁室S1)は、圧力供給通路145の一部を構成すると共に、切替弁350のいわゆる背圧室を構成する。
「区画部材」
区画部材351は、例えば、金属製材料からなり、収容室104cの大径部104c3に圧入され、第2弁孔151a側に開口端を有し、概ね有底筒状に形成される。区画部材351は、詳しくは、円筒状の筒体351aと、筒体351aの第1弁孔104c1側の一端に設けられる円盤状の端壁351bとを有する。区画部材351は、筒体351aが収容室104cの大径部104c3の内周面に圧入固定されることによって、収容室104c内を、主に、小径部104c4で形成される第1弁室S1と、筒体351aの内側に形成される吐出弁形成板151側の第2弁室S2とに区画している。
区画部材351は、例えば、金属製材料からなり、収容室104cの大径部104c3に圧入され、第2弁孔151a側に開口端を有し、概ね有底筒状に形成される。区画部材351は、詳しくは、円筒状の筒体351aと、筒体351aの第1弁孔104c1側の一端に設けられる円盤状の端壁351bとを有する。区画部材351は、筒体351aが収容室104cの大径部104c3の内周面に圧入固定されることによって、収容室104c内を、主に、小径部104c4で形成される第1弁室S1と、筒体351aの内側に形成される吐出弁形成板151側の第2弁室S2とに区画している。
区画部材351の筒体351aには、放圧孔351a1が形成されている。放圧孔351a1は、例えば、筒体351aの周方向に離間した複数の箇所に形成され、筒体351aの径方向に延びている。第2弁室S2は、放圧孔351a1を介して吸入室141と連通している。なお、区画部材351は、筒体351aの他端351a2が吐出弁形成板151に当接するように収容室104cの大径部104c3内に位置決めされる。
本実施形態では、区画部材351は、スプール352の軸部352cを挿通可能な挿通孔351b1を有する。挿通孔351b1は、詳しくは、区画部材351の端壁351bの中央部において、孔中心を軸線O2に合わせて形成されている。区画部材351の端壁351bの筒体351aとは反対側の面には、挿通孔351b1を囲むと共に第1弁室S1側に突出する円環状の突出部351b2が形成されている。
「スプール」
本実施形態では、第1弁部352aは、摺動部352a1と、前端部352a2と、後端部352a3と、を含む。
本実施形態では、第1弁部352aは、摺動部352a1と、前端部352a2と、後端部352a3と、を含む。
摺動部352a1は、第1弁室S1の内周面に摺接する外周面を有し、第1弁室S1を第1弁孔104c1側の第1領域S11と区画部材351側の第2領域S12とに区画する。摺動部352a1は、概ね円環状に形成され、前端部352a2及び後端部352a3の外径よりも大きい外径を有する。摺動部352a1の外周面が第1弁室S1の内周面に摺動可能に支持されている。摺動部352a1の第1弁座104c2側の外縁角部は、全周に亘って面取りされて傾斜している。
前端部352a2は、摺動部352a1の第1領域S11側の端部に形成され第1弁座104c2に離接する。前端部352a2は、例えば、摺動部352a1の第1領域S11側の端部から突設される円筒部352a21と、円筒部352a21の第1弁孔104c1側端を閉塞する閉塞部352a22とからなる。円筒部352a21の内径は、摺動部352a1の内径と一致している。閉塞部352a22の第1弁孔104c1側の端面の外縁部は、円環状に突出している。第1弁部352aは、前端部352a2の閉塞部352a22における円環状に突出した部位を第1弁座104c2に接離することにより、第1弁孔104c1を開閉する。
後端部352a3は、筒状に形成され、摺動部352a1の第2領域S12側から区画部材351側に向って延伸する。後端部352a3の外径は、摺動部352a1の外径よりも小さく、区画部材351の円環状の突出部351b2の端面部の外径より大きくなるように設定されている。後端部352a3の内径は、摺動部352a1の内径及び前端部352a2の円筒部352a21の内径より大きく、且つ、区画部材351の挿通孔351b1の孔径より小さくなるように設定されると共に、軸部352cを圧入可能に軸部352cの外径に合わせて設定されている。
第2弁部352bは、概ね円環状に形成されている。第2弁部352bは、区画部材351の挿通孔351b1の孔径より大きな外径を有すると共に、挿通孔351b1の孔径及び後端部352a3の内径より小さい内径を有する。また、第2弁部352bの第2弁孔151a側の端面の外縁部には、図3及び図7に示すように、第2弁座151b側に突出し、第2弁孔151aの内径より大きい内径を有する円環状の突出部352b1が形成されている。この突出部352b1の径方向内側の端面に内部通路352eの第1内部通路352e1の一端が開口している。また、この突出部352b1が第2弁座151bから離れることで、第2弁部352bと第2弁座151bとの間に間隙(連通部)G(図3(b)参照)が形成される。そして、この間隙Gを介して第2弁孔151aと放圧孔351a1とが連通する(つまり、切替弁350は図3(b)に示す第2の状態に切り替わる)。一方、第2弁部352bが第2弁座151bに当接することで、第2弁部352bと第2弁座151bとの間の間隙Gが閉鎖され、第2弁孔151aと放圧孔351a1との連通が遮断される(つまり、切替弁350は図3(a)に示す第1の状態に切り替わる)。
軸部352cは、第2弁部352bと一体に形成されており、第2弁部352bの第1弁孔104c1側の端部から第1弁孔104c1側に向って延伸している。
本実施形態では、軸部352cは、区画部材351の挿通孔351b1に挿通され、その第1弁部352a側の端部が区画部材351の第1弁室S1側の端面(詳しくは、区画部材351の突出部351b2)から第1弁部352a側に突出するように配置される。
本実施形態では、前記第1の状態(図3(a)に示す状態)において、第1弁部352aの軸部352c側の端部が区画部材351の挿通孔351b1の周縁部に当接すると共に第2弁部352bが第2弁座151bに当接するように、軸部352cに対する第1弁部の軸線O2の延伸方向の位置が設定されている。詳しくは、第2弁部352bの突出部352b1が第2弁座151bに当接したとき、同時に第1弁部352aの後端部352a3の軸部352c側の端面が区画部材351の突出部351b2に当接するように、軸部352cに対する第1弁部352aの軸線O2の延伸方向の圧入位置が調整されている。
ここで、スプール352の構成部品は、金属や樹脂等の適宜の材料で形成することができるが、スプール352の軽量化を図る場合には樹脂材料で形成することが望ましい。特に、第2弁部352bと軸部352cとの一体部品(弁体)は、第2弁室S2内に配置され、吸入冷媒で冷却される。したがって、第2弁部352bと軸部352cとの一体部品の材料として、比較的安価な汎用エンジニアリングプラスチック(例えば、ポリアミド系樹脂)を採用することができる。また、第1弁部352aも第2弁部352bと軸部352cとの一体部品と同種の樹脂材料で形成することが望ましい。本実施形態では、スプール352の全体が、樹脂材料からなるものとして説明する。
「内部通路」
本実施形態では、内部通路352eの第1内部通路352e1は、図8に示すように、第1弁孔側通路L1と、軸部側通路L2と、第1開口端側通路L3と、第2開口端側通路L4とにより構成されている。
本実施形態では、内部通路352eの第1内部通路352e1は、図8に示すように、第1弁孔側通路L1と、軸部側通路L2と、第1開口端側通路L3と、第2開口端側通路L4とにより構成されている。
第1弁孔側通路L1は、第1弁部352a内の領域における第1弁孔104c1側の領域に形成され所定の通路内径を有する。第1弁孔側通路L1は、具体的には、前端部352a2の円筒部352a21内の空間とこの円筒部352a21内の空間と連続する摺動部352a1内の空間とにより構成されている。
軸部側通路L2は、第2弁部352bと軸部352cとからなる弁体(前記一体部品)内に形成され第1弁孔側通路L1の通路内径と同一の通路内径を有する。軸部側通路L2は、具体的には、軸部352c内の空間のうちの軸部352cの開口端側(第1弁部352a側)の空間からなる。
第1開口端側通路L3は、第1弁孔側通路L1に連続すると共に第1弁部352aにおける軸部352c側の開口端部に形成される。そして、第1開口端側通路L3は、第1弁孔側通路L1の通路内径及び軸部側通路L2の通路内径より大きく、且つ、軸部352cを圧入可能な通路内径(つまり、軸部352cの外径と略同じ通路内径)を有する。第1開口端側通路L3は、具体的には、第1弁部352aの後端部352a3内の空間からなり、摺動部352a1内の第1弁孔側通路L1と軸部352c内の軸部側通路L2とを連通する。
第2開口端側通路L4は、軸部側通路L2に連続すると共に第2弁部352b側の開口端に近づくほど通路内径が大きくなるようにテーパー状に形成されている。第2開口端側通路L4は、具体的には、第2弁部352bを貫通し、軸部352c内まで伸びている。
「放圧通路及び圧力供給通路」
図3(b)に示すように、第2弁部352bが第2弁座151bから離間したとき、連通路101e、シリンダガスケット152の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、バルブプレート103の連通孔、第2弁孔151a、第2弁部352bと第2弁座151bとの間隙G、第2弁室S2、放圧孔351a1が、クランク室140と吸入室141とを連通させる第1放圧通路146aを構成する。この第1放圧通路146aを介してクランク室140の冷媒が、図3(b)に太線矢印で示すように流通して、吸入室141に排出される。
図3(b)に示すように、第2弁部352bが第2弁座151bから離間したとき、連通路101e、シリンダガスケット152の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、バルブプレート103の連通孔、第2弁孔151a、第2弁部352bと第2弁座151bとの間隙G、第2弁室S2、放圧孔351a1が、クランク室140と吸入室141とを連通させる第1放圧通路146aを構成する。この第1放圧通路146aを介してクランク室140の冷媒が、図3(b)に太線矢印で示すように流通して、吸入室141に排出される。
つまり、第2弁部352bが第2弁座151bから離間することで、第2弁部352bと第2弁座151bとの間に間隙Gが形成されて第2弁孔151aと放圧孔351a1との連通部が開口し、第1放圧通路146aの開度が最大開度となり、クランク室140の冷媒が吸入室141に排出される。
また、第2弁部352bが第2弁座151bから離間した後、第1弁部352aは第1弁座104c2に当接して第1弁孔104c1が閉鎖され、第1弁孔104c1を含んで構成される圧力供給通路145は閉鎖されることになる。
また、第2弁部352bが第2弁座151bから離間した後、第1弁部352aは第1弁座104c2に当接して第1弁孔104c1が閉鎖され、第1弁孔104c1を含んで構成される圧力供給通路145は閉鎖されることになる。
一方、図3(a)に示すように、第2弁部352bが第2弁座151bに当接すると、第2弁部352bと第2弁座151bとの間隙G、つまり、第2弁孔151aと放圧孔351a1との連通部が閉鎖されることで、間隙Gを含む第1放圧通路146aが閉鎖される。したがって、第2弁部352bが第2弁座151bに当接することで、放圧通路146は第2放圧通路146bの固定絞り103cが最小開口となり、クランク室140の冷媒の吸入室141への排出が制限される。
ここで、第2弁部352bが第2弁座151bに当接したときには、第1弁部352aは第1弁座104c2から離間して第1弁孔104c1が開放される。これにより、連通路104e、制御弁300、収容孔104b、連通路104f、第1弁孔104c1、第1弁室S1の第1領域S11、第2内部通路352e2、第1内部通路352e1、第2弁孔151a、バルブプレート103の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、シリンダガスケット152の連通孔及び連通路101eが、クランク室140と吐出室142とを連通させる圧力供給通路145を構成する。この圧力供給通路145を介して吐出室142の冷媒が、図3(a)に太線矢印で示すように流通して、クランク室140に供給される。
このように、第2弁孔151a、バルブプレート103の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、シリンダガスケット152の連通孔及び連通路101e(つまり、前述した「兼用通路」)は、第1放圧通路146aと圧力供給通路145とを兼ね、クランク室140から放圧するときとクランク室140に圧力を供給するときとでは連通路101eにおける冷媒の流れ方向が逆になる。換言すれば、前記兼用通路は、圧力供給通路145の一部を構成する状態(図3(a)に示す第1の状態)と、第1放圧通路146aの一部を構成する状態(図3(b)に示す第2の状態)とに切り替わる。
第2弁部352bが第2弁座151bに当接し第1弁部352aが第1弁座104c2から離間したときには、連通路101eを含む前記兼用通路は圧力供給通路145として機能する。一方、第2弁部352bが第2弁座151bから離間し第1弁部352aが第1弁座104c2に当接したときには、連通路101eを含む前記兼用通路は第1放圧通路146aとして機能する。
「絞り通路」
制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の領域は、絞り通路104h(図1参照)を介して吸入室141と連通している。絞り通路104hは、制御弁300が閉じて圧力供給通路145が閉鎖されたとき、制御弁300と切替弁350の間の圧力供給通路145内の冷媒を吸入室141側へと逃がすために設けられている。絞り通路104hは絞りを有するので、圧力供給通路145から絞り通路104hを介して吸入室141に流出する冷媒の量は僅かである。スプール352の内部通路352eの通路断面積、及び、連通路104fの通路断面積は、それぞれ、絞り通路104hの通路断面積よりも大きくなるように設定されている。
制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の領域は、絞り通路104h(図1参照)を介して吸入室141と連通している。絞り通路104hは、制御弁300が閉じて圧力供給通路145が閉鎖されたとき、制御弁300と切替弁350の間の圧力供給通路145内の冷媒を吸入室141側へと逃がすために設けられている。絞り通路104hは絞りを有するので、圧力供給通路145から絞り通路104hを介して吸入室141に流出する冷媒の量は僅かである。スプール352の内部通路352eの通路断面積、及び、連通路104fの通路断面積は、それぞれ、絞り通路104hの通路断面積よりも大きくなるように設定されている。
ここで、第2弁部352bが第2弁座151bに当接している状態(図3(a)に示す第1の状態)で、制御弁300が閉じて圧力供給通路145が閉鎖されると、その後、制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145内の冷媒が絞り通路104hを介して吸入室141に流出して制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の圧力が徐々に低下する。このため、冷媒がクランク室140から吸入室141に向けて内部通路352eを逆流する。
一方、第1弁部352aが第1弁座104c2に当接している状態(図3(b)に示す第2の状態)で、制御弁300が開いて圧力供給通路145が開放されると、その後、吐出室142からの冷媒が制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145に供給されて制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の圧力が上昇する。このため、スプール352の第1弁孔104c1側の端面に作用する背圧Pmは、吸入室141の圧力より高くなる。
一方、第1弁部352aが第1弁座104c2に当接している状態(図3(b)に示す第2の状態)で、制御弁300が開いて圧力供給通路145が開放されると、その後、吐出室142からの冷媒が制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145に供給されて制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の圧力が上昇する。このため、スプール352の第1弁孔104c1側の端面に作用する背圧Pmは、吸入室141の圧力より高くなる。
「スプールの動作」
スプール352の第1弁孔104c1側の端面は、制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の圧力、いわゆる背圧Pmを受ける。一方、スプール352の第2弁孔151a側の端面は、クランク室140の圧力Pcを受ける。そして、スプール352は背圧Pmと圧力Pcとの圧力差ΔP(ΔP=Pm−Pc)に応答して軸線方向に移動する。なお、背圧Pmを受ける軸線方向のスプール352の受圧面積s1、及び、クランク室140の圧力Pcを受けるスプール352の受圧面積s2は、例えばs1=s2に設定されるが、スプール352の動作を調整するためs1>s2或いはs1<s2に設定することができる。
スプール352の第1弁孔104c1側の端面は、制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の圧力、いわゆる背圧Pmを受ける。一方、スプール352の第2弁孔151a側の端面は、クランク室140の圧力Pcを受ける。そして、スプール352は背圧Pmと圧力Pcとの圧力差ΔP(ΔP=Pm−Pc)に応答して軸線方向に移動する。なお、背圧Pmを受ける軸線方向のスプール352の受圧面積s1、及び、クランク室140の圧力Pcを受けるスプール352の受圧面積s2は、例えばs1=s2に設定されるが、スプール352の動作を調整するためs1>s2或いはs1<s2に設定することができる。
まず、前記第2の状態から前記第1の状態への切替動作について説明する。
第1弁部352aが第1弁座104c2に当接している状態(図3(b)、第2の状態)で、制御弁300が開弁すると、スプール352の背圧Pmが高くなる。その後、背圧Pmがクランク室140の圧力Pcよりも高くなると(Pm−Pc>0の状態では)、第1弁部352aが第1弁座104c2から離間し始める。そして、第2弁部352bが第2弁座151bに当接したとき、第1弁部352aが第1弁座104c2から最大に離間した状態となる(第2の状態→第1の状態)。これにより、切替弁350は、第2の状態から第1の状態に切り替わる。その結果、第2弁孔151aと放圧孔351a1との連通が遮断されてクランク室140と吸入室141との連通路(第1放圧通路146a)が閉鎖されると同時に、第1弁孔104c1と第2弁孔151aとが連通されて吐出室142とクランク室140との連通路(圧力供給通路145)が開放される。
第1弁部352aが第1弁座104c2に当接している状態(図3(b)、第2の状態)で、制御弁300が開弁すると、スプール352の背圧Pmが高くなる。その後、背圧Pmがクランク室140の圧力Pcよりも高くなると(Pm−Pc>0の状態では)、第1弁部352aが第1弁座104c2から離間し始める。そして、第2弁部352bが第2弁座151bに当接したとき、第1弁部352aが第1弁座104c2から最大に離間した状態となる(第2の状態→第1の状態)。これにより、切替弁350は、第2の状態から第1の状態に切り替わる。その結果、第2弁孔151aと放圧孔351a1との連通が遮断されてクランク室140と吸入室141との連通路(第1放圧通路146a)が閉鎖されると同時に、第1弁孔104c1と第2弁孔151aとが連通されて吐出室142とクランク室140との連通路(圧力供給通路145)が開放される。
つまり、制御弁300が開弁すると、第1弁孔104c1が開放され、連通路104e、制御弁300、収容孔104b、連通路104f、第1弁孔104c1、第1領域S11、第2内部通路352e2、第1内部通路352e1、第2弁孔151a、バルブプレート103の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、シリンダガスケット152の連通孔及び連通路101eから構成される圧力供給通路145を介して吐出室142の冷媒がクランク室140に供給されるようになる。
これによって、放圧通路146のうちの第2放圧通路146bのみが開放される状態となって放圧通路146の最小開口面積が固定絞り103cの開口面積となる。このため、クランク室140の圧力が上昇し易くなって、制御弁300の開度に応じてクランク室140内の圧力が上昇して斜板111の傾斜角が最大から減少し、ピストンストロークを可変に制御することができる。
次に、前記第1の状態から前記第2の状態への切替動作について説明する。
第2弁部352bが第2弁座151bに当接している状態(図3(a)、第1の状態)で、制御弁300が閉弁すると、スプール352の背圧Pmが徐々に低くなる。その後、背圧Pmがクランク室140の圧力Pcよりも低くなると(Pm−Pc<0の状態では)、冷媒がクランク室140から吸入室141に向けて内部通路352eを逆流する。スプール352がこの逆流する冷媒流に押圧されることにより、第1弁座104c2側に移動して、第2弁部352bが第2弁座151bから離間し始める。そして、第1弁部352aが第1弁座104c2に当接したとき、第2弁部352bが第2弁座151bから最大に離間した状態となる(第1の状態→第2の状態)。これにより、切替弁350は第1の状態から第2の状態に切り替わる。その結果、第2弁孔151aと放圧孔351a1とが連通されてクランク室140と吸入室141との連通路(第1放圧通路146a)の開度が最大開度になると同時に、第1弁孔104c1と第2弁孔151aの連通が遮断されて吐出室142とクランク室140との連通路(圧力供給通路145)が閉鎖される。
第2弁部352bが第2弁座151bに当接している状態(図3(a)、第1の状態)で、制御弁300が閉弁すると、スプール352の背圧Pmが徐々に低くなる。その後、背圧Pmがクランク室140の圧力Pcよりも低くなると(Pm−Pc<0の状態では)、冷媒がクランク室140から吸入室141に向けて内部通路352eを逆流する。スプール352がこの逆流する冷媒流に押圧されることにより、第1弁座104c2側に移動して、第2弁部352bが第2弁座151bから離間し始める。そして、第1弁部352aが第1弁座104c2に当接したとき、第2弁部352bが第2弁座151bから最大に離間した状態となる(第1の状態→第2の状態)。これにより、切替弁350は第1の状態から第2の状態に切り替わる。その結果、第2弁孔151aと放圧孔351a1とが連通されてクランク室140と吸入室141との連通路(第1放圧通路146a)の開度が最大開度になると同時に、第1弁孔104c1と第2弁孔151aの連通が遮断されて吐出室142とクランク室140との連通路(圧力供給通路145)が閉鎖される。
つまり、制御弁300が閉弁すると、第2弁孔151aと放圧孔351a1とが連通され、連通路101e、シリンダガスケット152の連通孔、吸入弁形成板150の連通孔、バルブプレート103の連通孔、第2弁孔151a、第2弁室S2、放圧孔351a1から構成される第1放圧通路146aと、第2放圧通路146bとを介してクランク室140の冷媒が吸入室141に排出されるようになる。
これによって、吐出室142からクランク室140に向けた冷媒の供給が停止される一方で、クランク室140の冷媒は第2放圧通路146b(固定絞り103c)及び第1放圧通路146aを介して速やかに吸入室141に排出される。このため、クランク室140の圧力が吸入室141の圧力と同等となって斜板の傾斜角が最大となり、ピストンストローク(吐出容量)が最大となる。
「可変容量圧縮機の動作」
可変容量圧縮機100が運転されている状態で制御弁300のモールドコイル314への通電を遮断すると、制御弁300の開口面積が最大になって圧力供給通路145が開放され、切替弁350のスプール352の背圧Pmが昇圧する。このため、第1弁部352aが第1弁座104c2に当接していた場合(最大吐出容量状態のとき、言い換えると、前記第2の状態のとき)は、スプール352は第2弁座151bに近づく方向に移動する。そして、第1弁部352aが第1弁座104c2から離間すると共に、第2弁部352bが第2弁座151bに当接することにより、第1放圧通路146aを閉鎖する。
可変容量圧縮機100が運転されている状態で制御弁300のモールドコイル314への通電を遮断すると、制御弁300の開口面積が最大になって圧力供給通路145が開放され、切替弁350のスプール352の背圧Pmが昇圧する。このため、第1弁部352aが第1弁座104c2に当接していた場合(最大吐出容量状態のとき、言い換えると、前記第2の状態のとき)は、スプール352は第2弁座151bに近づく方向に移動する。そして、第1弁部352aが第1弁座104c2から離間すると共に、第2弁部352bが第2弁座151bに当接することにより、第1放圧通路146aを閉鎖する。
つまり、制御弁300が開くと、放圧通路146は第2放圧通路146bのみとなる一方(放圧経路の開口面積が最小になる一方)、吐出室142とクランク室140とを連通する圧力供給通路145が開放される。その結果、クランク室140の圧力が上昇して斜板111の傾角が減少し、吐出容量が最小に変更されて維持される(最小吐出容量状態)。そして、圧力供給通路145を流れる冷媒流の動圧が第1弁部352aの第1弁座104c2側の端面に作用することにより第2弁部352bが第2弁座151bに当接する。そして、この状態(最小吐出容量状態、言い換えると、前記第1の状態)では、第1放圧通路146aを開放する方向に押圧する動圧が第2弁部352bに作用せず、第1放圧通路146aの閉鎖状態(最小吐出容量状態、前記第1の状態)を維持する。
また、最小吐出容量状態では、連通路144とマフラ空間143との接続部(吐出通路)を吐出逆止弁200が遮断し、最小の吐出容量で吐出された冷媒ガスは外部冷媒回路へは流れずに、吐出室142、圧力供給通路145、クランク室140、第2放圧通路146b、吸入室141、シリンダボア101aで構成される内部循環路を循環する。このとき、制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の冷媒は、絞り通路104hを介して吸入室141に僅かに流出する。
この状態(最小吐出容量状態)から制御弁300のモールドコイル314へ通電すると、制御弁300が閉弁し、圧力供給通路145が閉鎖される。したがって、制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の冷媒は、絞り通路104hを介して吸入室141に流出し、制御弁300と切替弁350との間の圧力供給通路145の圧力(背圧Pm)が低下する。この背圧Pmの低下に応答してスプール352が、第2弁座151bから離れる方向に移動することで、第1弁部352aが第1弁座104c2に当接する。これにより、圧力供給通路145が閉鎖され、クランク室140から連通路101eを経由して切替弁350より上流の圧力供給通路145に冷媒が逆流することが阻止される。同時に、第2弁部352bが第2弁座151bから離間することで、第1放圧通路146aが開放される。
モールドコイル314へ通電して制御弁300を閉弁させると、第1放圧通路146aの開度が最大開度となって、2つの放圧通路146a、146bを介してクランク室140の冷媒が吸入室141に排出される。切替弁350内の第1放圧通路146aの流路断面積は、固定絞り103c(第2放圧通路146b)の流路断面積より大きく設定されているので、切替弁350により第1放圧通路146aの開度が最大開度に制御されると、クランク室140内の冷媒が速やかに吸入室141に流出する。その結果、クランク室140の圧力が低下し、吐出容量が最小の状態から速やかに最大吐出容量にまで増大する。
これにより、吐出室142の圧力が急激に昇圧して吐出逆止弁200が開弁し、冷媒ガスは可変容量圧縮機100から吐出されて外部冷媒回路を冷媒が循環するようになり、エアコンシステムは作動状態になる。
これにより、吐出室142の圧力が急激に昇圧して吐出逆止弁200が開弁し、冷媒ガスは可変容量圧縮機100から吐出されて外部冷媒回路を冷媒が循環するようになり、エアコンシステムは作動状態になる。
エアコンシステムが作動して吸入室141の圧力が低下し、モールドコイル314に流れる電流で設定される設定圧力に到達すると制御弁300が開弁する。制御弁300が開弁すると、切替弁350のスプール352の背圧Pmが昇圧するので、切替弁350は、圧力供給通路145を開放すると同時に第1放圧通路146aを閉鎖する。このとき、放圧通路146のうちの第2放圧通路146bのみが開放されることにより、クランク室140の冷媒が吸入室141に流出することが制限されてクランク室140の圧力が昇圧し易くなり、吸入室141の圧力が設定圧力を維持するように、制御弁300の開度が調整されて吐出容量が可変制御される。つまり、切替弁350は、制御弁300の開閉に連動して動作し、制御弁300が閉弁しているときは放圧通路146の開度を最大開度とし、制御弁300が開弁しているときは放圧通路146の開度を最小開度とする。
次に、スプール352の組立手順について、図3、図8−図10を参照して説明する。図9は、スプール352の組立手順を説明するための概念図であり、図10は、切替弁350の第1弁部352aと軸部352cの接合部位の拡大断面図である。
本実施形態において、スプール352は、図8に示すように、区画部材351と共に組立てられた状態で、図3に示すように、シリンダヘッド104の開放端面側に形成された収容室104c内に組込まれる。
スプール352の組立には、詳しくは、図9(a)に示す位置決めベースW1と位置決めピンW2とからなる治具Wを用いる。位置決めベースW1は、例えば、立方体状の金属製ブロックからなり、一端部に断面円形の凹部W1aを有する。この凹部W1aは、区画部材351の筒体351aの外径に合わせた内径を有する。凹部W1aの底壁W1bには、ピンW2を圧入するためのピン圧入孔W1cが形成されている。ピン圧入孔W1cの孔中心は、凹部W1aの径方向の軸線を通るように設定されている。
まず、図9(a)に示すように、ピン圧入孔W1cにピンW2を圧入する。ピンW2はその一端部が位置決めベースW1の一端部より上方に突出するように配置される。そして、第2弁部352bと軸部352cとからなる弁体をその第1内部通路352e1にピンW2を挿通させつつ、前記弁体の第2弁部352bの突出部352b1を凹部W1aの底壁W1bに当接させた状態で、前記弁体を位置決めベースW1上に載置する。これにより、前記弁体についての位置決めベースW1に対する径方向の位置及び前記軸線O2の延伸方向の位置が定まる。この状態で、前記弁体は、第2弁部352bの突出部352b1の端面から離れた軸部352c側でピンW2によって安定して位置決めされる。なお、前記弁体が位置決めされた状態で、ピンW2の一端部が軸部352cの端部から突出するようにピンW2の長さが設定されている。
詳しくは、第1内部通路352e1にピンW2を挿通させる際に、ピンW2の先端部はテーパー状に形成された第2開口端側通路L4にガイドされ、前記弁体はその円環状の突出部352b1が凹部W1aの底壁W1bに当接するところまで滑らかに移動する。そして、この状態で、前記弁体は、その軸部側通路L2の内周面全体がピンW2の外周面にガイドされることにより、安定して位置決めされる。
次に、図9(b)に示すように、区画部材351をその挿通孔351b1にピンW2及び軸部352cを挿通させつつ、区画部材351の筒体351aを凹部W1a内に配置する。区画部材351は、その筒体351aの外周面が凹部W1aの内周面にガイドされ、その筒体351aの端部(他端351a2)が凹部W1aの底壁W1bに当接するように配置される。この状態で、区画部材351の筒体351aの端部と第2弁部352bの突出部352b1は、いずれも凹部W1aの底壁W1bに当接している。そして、軸部352c及びピンW2の第1弁部352a側の端部は、区画部材351の突出部351b2から第1弁部352a側に突出するように配置されている。
次に、図9(c)に示すように、第1弁部352aを、その摺動部352a1における第1弁孔側通路L1及び後端部352a3の第1開口端側通路L3にピンW2を挿通させつつ、後端部352a3の第1開口端側通路L3に軸部352cの端部を嵌合させる。詳しくは、第1弁部352aは、その摺動部352a1における第1弁孔側通路L1の内周面がピンW2の先端部における外周面に当接してガイドされることにより、その後端部352a3の第1開口端側通路L3の開口部が軸部352cの先端部に案内される。
次に、図9(d)に示すように、第1弁部352aを前端部352a2側から下方に押圧して、軸部352cの先端部に第1弁部352aの後端部352a3を圧入させる。この状態で、第1弁部352aの後端部352a3の軸部352c側の端面が区画部材351の突出部351b2に当接し、且つ、第2弁部352bの突出部352b1が第2弁座151bに当接している。
そして、この状態で、第1弁部352aの後端部352a3と軸部352cとを、例えば、超音波溶着やレーザー溶着により接合する。具体的には、図10に示すように、後端部352a3と軸部352cとの接合部Jは、区画部材351の突出部351b2と後端部352a3の端面との当接部Cから軸方向に離れた位置に設定するとよい。このようにして、スプール352と区画部材351との組立体が完成する。その後、この組立体を図3に示すように収容室104cに圧入する。詳しくは、前記組立体における区画部材351の筒体351aが収容室104cの大径部104c3に圧入されることにより、前記組立体が収容室104c内に固定される。
そして、この状態で、第1弁部352aの後端部352a3と軸部352cとを、例えば、超音波溶着やレーザー溶着により接合する。具体的には、図10に示すように、後端部352a3と軸部352cとの接合部Jは、区画部材351の突出部351b2と後端部352a3の端面との当接部Cから軸方向に離れた位置に設定するとよい。このようにして、スプール352と区画部材351との組立体が完成する。その後、この組立体を図3に示すように収容室104cに圧入する。詳しくは、前記組立体における区画部材351の筒体351aが収容室104cの大径部104c3に圧入されることにより、前記組立体が収容室104c内に固定される。
本実施形態による可変容量圧縮機100では、切替弁350におけるスプール352を貫通する内部通路352eの第1内部通路352e1は、第2弁部352bの第2弁孔151a側の端面から第2弁部352b内及び軸部352c内を経由して第1弁部352a内の領域まで、第1弁孔104c1の孔中心と第2弁孔151aの孔中心とを結ぶ軸線O2に沿って延びており、第2弁部352bは、軸部352cと一体に形成されている。つまり、第2弁部352b及び軸部352cの一体部品は、その内部に第1内部通路352e1の一部を構成し軸線352cに沿って延びる比較的に長い貫通孔を有している。
したがって、スプール352の組立における圧入作業の際に、位置決めベースW1とピンW2とからなる簡易な治具Wを用意し、前記一体部品内の第1内部通路352e1の一部を構成する前記貫通孔(軸部側通路L2、第2開口端側通路L4)にピンW2を挿入することにより、第2弁部352bを軸部352cと共に治具Wに対して安定して位置決めすることができる。そして、第1内部通路352e1は第1弁部352a内の領域まで延びているので、例えば、前記一体部品を位置決めした状態で、ピンW2が軸部352cの端部から突出するようにピンW2の長さを設定すれば、前記一体部品の軸部352cに第1弁部352aを圧入する際に、ピンW2を第1弁部352a側の第1内部通路352e1(第1弁孔側通路L1)に挿通させて第1弁部352aの移動をガイドすることができる。このように、第1内部通路352e1にピンW2を挿通させることにより、第2弁部352b及び軸部352cの一体部品の位置決めと第1弁部352aの圧入時における移動をガイドすることができる。したがって、切替弁350のスプール352の組立精度を維持しつつ、スプール352を簡易な治具Wにて容易に組立てることができる。
したがって、スプール352の組立における圧入作業の際に、位置決めベースW1とピンW2とからなる簡易な治具Wを用意し、前記一体部品内の第1内部通路352e1の一部を構成する前記貫通孔(軸部側通路L2、第2開口端側通路L4)にピンW2を挿入することにより、第2弁部352bを軸部352cと共に治具Wに対して安定して位置決めすることができる。そして、第1内部通路352e1は第1弁部352a内の領域まで延びているので、例えば、前記一体部品を位置決めした状態で、ピンW2が軸部352cの端部から突出するようにピンW2の長さを設定すれば、前記一体部品の軸部352cに第1弁部352aを圧入する際に、ピンW2を第1弁部352a側の第1内部通路352e1(第1弁孔側通路L1)に挿通させて第1弁部352aの移動をガイドすることができる。このように、第1内部通路352e1にピンW2を挿通させることにより、第2弁部352b及び軸部352cの一体部品の位置決めと第1弁部352aの圧入時における移動をガイドすることができる。したがって、切替弁350のスプール352の組立精度を維持しつつ、スプール352を簡易な治具Wにて容易に組立てることができる。
本実施形態では、区画部材351は、軸部352cを挿通可能な挿通孔351b1を有し、軸部352cは、挿通孔351b1に挿通され、その第1弁部352a側の端部が区画部材351の第1弁室S1側の端面から第1弁部352a側に突出するように配置されている。これにより、区画部材351内に第2弁部352bを配置させた状態で、その第2弁部352bと一体に形成される軸部352cに、第1弁部352aを容易に接合することができる。
本実施形態では、第1内部通路352e1は、第1弁孔側通路L1と軸部側通路L2とを含み、第1弁孔側通路L1の通路内径と軸部側通路L2の通路内径は同一であるものとした。これにより、単一の外径のピンW2を使用することができ、治具Wの構成を簡素化することができる。
本実施形態では、軸部352cは円筒状に形成され、第1内部通路352e1は第1開口端側通路L3を更に含み、この第1開口端側通路L3は第1弁孔側通路L1に連続すると共に第1弁部352aにおける軸部352c側の開口端に形成され、第1弁孔側通路L1の通路内径及び軸部側通路L2の通路内径より大きく、且つ、軸部352cを圧入可能な通路内径を有している。これにより、図9(c)に示すように、軸部352cの先端から突出させたピンW2の先端部により第1弁部352aの径方向の位置を定めて、第1弁部352aの後端部352a3の第1開口端側通路L3の開口部を軸部352cの先端部に容易に案内することができる。
本実施形態では、第1内部通路352e1は、テーパー状の第2開口端側通路L4を、更に含む構成とした。これにより、第1内部通路352e1にピンW2をスムースに挿通させることができる。
本実施形態では、スプール352の全体は、樹脂材料からなるものとした。これにより、第2弁部352bと軸部352cとの一体部品を容易に形成することができると共に、この一体部品と第1弁体352aとを、超音波溶着やレーザー溶着により容易に接合することができる。
本実施形態では、第1弁部352aと軸部352cとの溶着接合部位は、第1弁部352aの軸部352c側の端部から第1弁孔104c1側に向って離れた位置に設定されている。これにより、後端部352a3と軸部352cとの溶着時における当接部Cへの熱影響を効果的に低減又は排除することができる。
「変形例」
なお、本実施形態では、第1弁部352aは、摺動部352a1の第2領域S12側から区画部材351側に向って延伸する後端部352a3を含むものとしたが、これに限らず、図11に示すように、摺動部352a1と前端部352a2とにより構成してもよい。この場合、スプール352の軸線O2の延伸方向の重心位置Gを、摺動部352a1の領域に設定するとよい。これにより、第1弁室S1の内周面にガイドされた部位(つまり、摺動部352a1)にスプール352の重心位置Gを設けることができるため、スプール352の軸線O2に対する傾きが抑制され、スプール352の姿勢を安定させることができる。その結果、スプール352をよりスムースに移動させることができる。そして、この変形例の場合、図11に示すように、軸部352cが圧入可能な通路内径を有する第1開口端側通路L3を第1弁部352aにおける軸部352c側の開口端部(つまり、摺動部352aにおける軸部352c側の開口端部)に形成するとよい。摺動部352a1を軸部352cとの接合部位に設定することにより、摺動部352a1の重量を増大させることができ、その結果、重心位置Gを摺動部352a1に設定し易くすることができる。また、第1弁部352aの比重を、第2弁部352bと軸部352cとからなる弁体の比重と異ならせることにより、重心位置Gを摺動部352a1の領域に容易に設定することができる。したがって、第1弁部352aの比重と、第2弁部352bと軸部352cとからなる弁体の比重を適宜に調整することにより、後端部352a3を備えた図3に示したスプール352であっても、重心位置Gを揺動部352a1の領域に設定することができる。また、スプール352の樹脂材料には、ガラス繊維を配合するとよい。第1弁部352aの樹脂材料におけるガラス繊維の配合比率と、第2弁部352bと軸部352cとからなる弁体の樹脂材料におけるガラス繊維の配合比率とをそれぞれ調整することにより、重心位置Gを容易に調整することができる。
なお、本実施形態では、第1弁部352aは、摺動部352a1の第2領域S12側から区画部材351側に向って延伸する後端部352a3を含むものとしたが、これに限らず、図11に示すように、摺動部352a1と前端部352a2とにより構成してもよい。この場合、スプール352の軸線O2の延伸方向の重心位置Gを、摺動部352a1の領域に設定するとよい。これにより、第1弁室S1の内周面にガイドされた部位(つまり、摺動部352a1)にスプール352の重心位置Gを設けることができるため、スプール352の軸線O2に対する傾きが抑制され、スプール352の姿勢を安定させることができる。その結果、スプール352をよりスムースに移動させることができる。そして、この変形例の場合、図11に示すように、軸部352cが圧入可能な通路内径を有する第1開口端側通路L3を第1弁部352aにおける軸部352c側の開口端部(つまり、摺動部352aにおける軸部352c側の開口端部)に形成するとよい。摺動部352a1を軸部352cとの接合部位に設定することにより、摺動部352a1の重量を増大させることができ、その結果、重心位置Gを摺動部352a1に設定し易くすることができる。また、第1弁部352aの比重を、第2弁部352bと軸部352cとからなる弁体の比重と異ならせることにより、重心位置Gを摺動部352a1の領域に容易に設定することができる。したがって、第1弁部352aの比重と、第2弁部352bと軸部352cとからなる弁体の比重を適宜に調整することにより、後端部352a3を備えた図3に示したスプール352であっても、重心位置Gを揺動部352a1の領域に設定することができる。また、スプール352の樹脂材料には、ガラス繊維を配合するとよい。第1弁部352aの樹脂材料におけるガラス繊維の配合比率と、第2弁部352bと軸部352cとからなる弁体の樹脂材料におけるガラス繊維の配合比率とをそれぞれ調整することにより、重心位置Gを容易に調整することができる。
本実施形態では、軸部側通路L2は、第1弁孔側通路L1の通路内径と同一の通路内径を有するものとしたが、これに限らず、第1弁孔側通路L1の通路内径より大きい通路内径を有してもよい。この場合、ピンW2の先端部側が小径になるように、ピンW2を形成すればよい。また、第2開口端側通路L4は、テーパー状に限らず、軸部側通路L2と同一の外径で直線的に形成してもよい。
本実施形態では、スプール352の全体が、樹脂材料からなるものとしたが、これに限らず、スプール352のうち第2弁部352b及び軸部352cが樹脂材料からなり、第1弁部352aが金属材料からなるものとしてもよいし、スプール352の全体が金属材料からなるものとしてもよい。
本実施形態では、切替弁350はシリンダヘッド104に配設されるが、切替弁350を他のハウジング構成部材、例えばシリンダブロックに配設したり、切替弁350を専用のバルブハウジングに収容して圧縮機ハウジングに配設したりすることができる。また、制御弁300を、ソレノイドを備えない機械式制御弁とすることができる。
本実施形態では、可変容量圧縮機100を斜板式のクラッチレス可変容量圧縮機としたが、これに限らず、電磁クラッチを装着した可変容量圧縮機や、モータで駆動される可変容量圧縮機とすることができる。
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
101a…シリンダボア(圧縮部)、104c1…第1弁孔、104h…絞り通路、136…ピストン(圧縮部)、141…吸入室、140…クランク室(制御圧室)、142…吐出室、145…圧力供給通路、151a…第2弁孔、300…制御弁、350…切替弁、351…区画部材、351a1…放圧孔、351b1…挿通孔、352…スプール、352a…第1弁部、352a1…摺動部、352b…第2弁部、352c…軸部、352e…内部通路、352e1…第1内部通路、352e2…第2内部通路、100…可変容量圧縮機、L1…第1弁孔側通路、L2…軸部側通路、L3…第1開口端側通路、L4…第2開口端側通路、O2…軸線、G…重心位置、S1…第1弁室、S12…第2領域、S2…第2弁室
Claims (7)
- 冷媒が導かれる吸入室、前記吸入室内の冷媒を吸入して圧縮する圧縮部、前記圧縮部によって圧縮された冷媒が吐出される吐出室、及び、制御圧室を有し、前記制御圧室の圧力に応じて吐出容量が変化する可変容量圧縮機であって、
前記吐出室内の冷媒を前記制御圧室に供給するための圧力供給通路に設けられ、前記圧力供給通路の開度を制御する制御弁と、
前記圧力供給通路における前記制御弁よりも前記制御圧室側に設けられた切替弁であって、前記制御弁と前記切替弁の間の圧力供給通路に連通する第1弁孔と前記切替弁と前記制御圧室の間の圧力供給通路に連通する第2弁孔とを連通させる第1の状態と、前記第2弁孔と前記吸入室に連通する放圧孔とを連通させる第2の状態とに切り替わる切替弁と、
前記制御弁と前記切替弁の間の圧力供給通路と前記吸入室とを連通する絞り通路と、
を含み、
前記切替弁は、
前記第1弁孔を有する第1弁室と前記第2弁孔及び前記放圧孔を有する第2弁室とを区画する区画部材と、
前記第1弁室に配置され前記第1弁孔を開閉する第1弁部、前記第2弁室に配置され前記第2弁孔を開閉する第2弁部、及び、前記第1弁部と前記第2弁部とを連結する軸部からなるスプールであって、円形断面を有して前記第1弁孔の孔中心と前記第2弁孔の孔中心とを結ぶ軸線に沿って延びると共に前記区画部材を貫通するスプールと、
前記第1弁孔と前記第2弁孔とを連通させるための内部通路であって、前記スプールを貫通する内部通路と、
を含み、
前記スプールは、前記制御弁と前記切替弁の間の圧力供給通路の圧力が前記制御圧室の圧力よりも高い場合に、前記内部通路を介して前記第1弁孔と前記第2弁孔とを連通すると共に前記第2弁孔と前記放圧孔との連通を遮断し、前記制御弁と前記切替弁の間の圧力供給通路の圧力が前記制御圧室の圧力よりも低い場合に、前記第1弁孔と前記第2弁孔との連通を遮断すると共に前記第2弁孔と前記放圧孔とを連通するように移動し、
前記内部通路は、前記第2弁部の前記第2弁孔側の端面から前記第2弁部内及び前記軸部内を経由して前記第1弁部内の領域まで前記軸線に沿って延びる第1内部通路と、前記第1弁部の周壁を貫通して前記第1弁部内の領域と前記第1弁室の形成壁と前記第1弁部の外周面との間の領域とを連通する第2内部通路とからなり、
前記第2弁部は、前記軸部と一体に形成されている、
可変容量圧縮機。 - 前記軸部は、円筒状に形成され、
前記第1内部通路は、
前記第1弁部内の領域における前記第1弁孔側の領域に形成され所定の通路内径を有する第1弁孔側通路と、
前記第2弁部と前記軸部とからなる弁体内に形成され前記第1弁孔側通路の前記通路内径と同一の通路内径又は前記第1弁孔側通路の前記通路内径より大きい通路内径を有する軸部側通路と、
前記第1弁孔側通路に連続すると共に前記第1弁部における前記軸部側の開口端部に形成される第1開口端側通路であって、前記第1弁孔側通路の前記通路内径及び前記軸部側通路の前記通路内径より大きく、且つ、前記軸部を圧入可能な通路内径を有する第1開口端側通路と
を含む、請求項1に記載の可変容量圧縮機。 - 前記第1弁部は、第1弁室の内周面に摺接する外周面を有すると共に前記第1開口端側通路を有する摺動部を含み、
前記スプールの前記軸線の延伸方向の重心位置は、前記摺動部の領域に設定されている、請求項2に記載の可変容量圧縮機。 - 前記第1弁部における前記軸部側の開口端部に、前記摺動部が形成される、請求項3に記載の可変容量圧縮機。
- 前記第1内部通路は、前記軸部側通路に連続すると共に前記第2弁部側の開口端に近づくほど通路内径が大きくなるように形成された第2開口端側通路を、更に含む、請求項2〜4のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。
- 前記区画部材は、前記軸部を挿通可能な挿通孔を有し、
前記軸部は、前記区画部材の前記挿通孔に挿通され、その前記第1弁部側の端部が前記区画部材の前記第1弁室側の端面から前記第1弁部側に突出するように配置される、請求項1〜5のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。 - 前記第1の状態において、前記第1弁部の前記軸部側の端部が前記区画部材の前記貫通孔の周縁部に当接すると共に前記第2弁部が前記第2弁孔の周囲に形成される弁座に当接するように、前記軸部に対する前記第1弁部の前記軸線の延伸方向の位置が設定され、
前記スプールは、樹脂材料からなり、
前記第1弁部と前記軸部との溶着接合部位は、前記第1弁部の前記軸部側の端部から前記第1弁孔側に向って離れた位置に設定されている、請求項6に記載の可変容量圧縮機。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017007896A JP2018115627A (ja) | 2017-01-19 | 2017-01-19 | 可変容量圧縮機 |
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