(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置100の構成の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、高電圧発生器11と、X線管12と、X線絞り装置13と、天板14と、Cアーム15と、X線検出器16とを備える。また、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、Cアーム回転・移動機構17と、天板移動機構18と、Cアーム・天板機構制御部19と、絞り制御部20と、システム制御部21と、入力部22と、表示部23とを備える。また、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、画像データ生成部24と、画像データ記憶部25と、画像処理部26とを備える。
高電圧発生器11は、システム制御部21による制御の下、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管12に供給する。X線管12は、高電圧発生器11から供給される高電圧を用いて、X線を発生する。
X線絞り装置13は、絞り制御部20による制御の下、X線管12が発生したX線を、被検体Pの関心領域に対して選択的に照射されるように絞り込む。例えば、X線絞り装置13は、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。X線絞り装置13は、絞り制御部20による制御の下、これらの絞り羽根をスライドさせることで、X線管12が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。天板14は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置100に含まれない。
X線検出器16は、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出器16は、マトリックス状に配列された検出素子を有する。各検出素子は、被検体Pを透過したX線を電気信号に変換して蓄積し、蓄積した電気信号を画像データ生成部24に送信する。一例を挙げると、X線検出部16は、FPD(X線平面検出器:Flat Panel Detector)などから構成される。
Cアーム15は、X線管12、X線絞り装置13及びX線検出器16を保持する。X線管12及びX線絞り装置13とX線検出器16とは、Cアーム15により被検体Pを挟んで対向するように配置される。
Cアーム回転・移動機構17は、Cアーム15を回転及び移動させるための機構であり、天板移動機構18は、天板14を移動させるための機構である。Cアーム・天板機構制御部19は、システム制御部21による制御の下、Cアーム回転・移動機構17及び天板移動機構18を制御することで、Cアーム15の回転や移動、天板14の移動を調整する。絞り制御部20は、システム制御部21による制御の下、X線絞り装置13が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
画像データ生成部24は、X線検出器16によってX線から変換された電気信号を用いて画像データを生成し、生成した画像データを画像データ記憶部25に格納する。例えば、画像データ生成部24は、X線検出器16から受信した電気信号に対して、電流・電圧変換やA(Analog)/D(Digital)変換、パラレル・シリアル変換を行い、画像データを生成する。
画像データ記憶部25は、画像データ生成部24によって生成された画像データを記憶する。例えば、画像データ記憶部25は、被検体Pの大動脈弁が撮影された画像データを記憶する。
画像処理部26は、画像データ記憶部25が記憶する画像データに対して各種画像処理を行う。画像処理部26による画像処理については後に詳述する。
入力部22は、X線診断装置100を操作する医師や技師などの操作者から各種指示を受け付ける。例えば、入力部22は、マウス、キーボード、ボタン、トラックボール、ジョイスティックなどを有する。入力部22は、操作者から受け付けた指示を、システム制御部21に転送する。
表示部23は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、画像データ記憶部25が記憶する画像データなどを表示する。例えば、表示部23は、モニタを有する。なお、表示部23は、複数のモニタを有してもよい。
システム制御部21は、X線診断装置100全体の動作を制御する。例えば、システム制御部21は、入力部22から転送された操作者の指示に従って高電圧発生器11を制御し、X線管12に供給する電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量やON/OFFを制御する。また、例えば、システム制御部21は、操作者の指示に従ってCアーム・天板機構制御部19を制御し、Cアーム15の回転や移動、天板14の移動を調整する。また、例えば、システム制御部21は、操作者の指示に従って絞り制御部20を制御し、X線絞り装置13が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
また、システム制御部21は、操作者の指示に従って、画像データ生成部24による画像データ生成処理や、画像処理部26による画像処理、あるいは解析処理などを制御する。また、システム制御部21は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや画像データ記憶部25が記憶する画像などを、表示部23のモニタに表示するように制御する。
かかる構成のもと、本実施形態に係るX線診断装置100は、以下、詳細に説明する画像処理部26の処理により、経カテーテル大動脈弁置換術(以下、TAVRと記す)に係るアームの操作性を向上させる。ここで、まず、TAVRについて説明する。TAVRは、大腿動脈や左心室心尖部などからカテーテルを挿入して、該カテーテルを介して大動脈に人工弁を留置する治療法であり、大動脈弁狭窄症などの心臓弁膜症に対する低侵襲治療として注目されている。
図2は、第1の実施形態に係るTAVRに用いられる人工弁の例を示す図である。図2
においては、図2の(A)にEdwards社のSapienを示し、図2の(B)にMedtronics社のCorevalveを示す。例えば、TAVRに用いられる人工弁は、図2の(A)に示すように、ステント30の内側に3枚の弁31が備えられ、カテーテルを介して大動脈に留置される。また、例えば、TAVRに用いられる人工弁は、図2の(B)に示すように、弁33を備えたステント32の外径が部分的に異なっており、大動脈に安定して留置されるような構造を有している。
このような人工弁は、大動脈における実際の大動脈弁の配置とほぼ同一に留置されることが求められる。そのため、医師は、大動脈弁を鉛直方向(X線画像の表示面に大動脈弁の縦断面が表示される方向)で観察しながら、TAVRを行う。図3は、第1の実施形態に係るTAVRを行う際のX線画像の一例を示す模式図である。図3においては、左心室心尖部からカテーテルを挿入して、人工弁(Sapien)を留置する場合について示す。
例えば、医師は、図3に示すように、大動脈の縦断面、すなわち、大動脈弁の縦断面がX線画像の表示面に対して垂直となる方向で大動脈を観察しながら、ステント30及び弁31を備える人工弁をカテーテルによって挿入する。そして、医師は、大動脈弁と略同一位置に人工弁を留置する。これにより、弁31の角度及び位置を大動脈弁の角度及び位置と略同一にすることができる。
上述したような方向から大動脈弁を観察するために、従来技術では、臨床解析アプリケーション「CAAS A−Valve」によって提供されるCアーム15の角度情報を示すグラフに基づいて、Cアーム15の角度を決定する。すなわち、医師は、大動脈弁の縦断面が表示面と垂直となる方向から撮影するためのCアーム15の角度を「CAAS A−Valve」から取得し、取得したCアーム15の角度をX線診断装置100に通知することによってCアーム15を所望の角度に移動させる。
しかしながら、「CAAS A−Valve」においては、Cアーム15の可動限界を超えた領域及び被検体又は寝台とCアーム15との干渉領域などのCアーム15の非可動領域が考慮されていないため、すべての角度を対象としたCアーム15の角度情報を示すグラフが表示される。従って、例えば、医師によって選択されたグラフ上の角度がCアーム15の位置条件により、到達困難な場合がある。従来技術においては、このような場合であっても、X線診断装置100に角度を通知するまで到達可能であるか否かを判断することができない。その結果、TAVRに係るアームの操作性が低下する。
そこで、本願に係るX線診断装置100は、画像処理部26の処理によってアームの非可動領域をグラフ上に表示させることで、アームが到達可能であるか否かを医師に即座に判定させ、アームの操作性を向上させる。以下、第1の実施形態に係る画像処理部26の詳細について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る画像処理部26の構成の一例を示す図である。図4に示すように、第1の実施形態に係る画像処理部26は、グラフ生成部261と、算出部262と、表示制御部263とを有する。
グラフ生成部261は、アームの角度情報を示す図を生成する。具体的には、グラフ生成部261は、大動脈弁がX線画像の表示面に対して所定の角度で表示されるアームの角度情報を示すグラフを生成する。例えば、グラフ生成部261は、大動脈弁の縦断面が前記X線画像の表示面に対して略垂直又は略水平となる角度で表示されるアームの角度情報を示すグラフを生成する。ここで、大静脈弁の縦断面とは、大動脈弁が閉じている場合に、大動脈弁に対して略垂直な面である。グラフの一例を挙げると、グラフ生成部261は、臨床解析アプリケーション「CAAS A−Valve」による「Optimal Projection Curve(graph)」を生成する。
すなわち、グラフ生成部261は、大動脈起始部を2方向から撮影された2枚の2次元画像から簡易的な3次元画像を再構成し、再構成した3次元画像に基づいて、TAVRに係る最適なアームの角度情報を含むグラフを生成する。図5は、第1の実施形態に係るグラフ生成部261による3次元画像の生成の一例を示す図である。
ここで、グラフ生成部261による処理に先立ち、2枚の2次元画像が撮影される。例えば、図5の(A)に示す起始部を含む大動脈を撮影対象として、図5の(B)に示すように、2枚の2次元画像が撮影される。ここで、これら2枚の2次元画像は、それぞれ大動脈弁が鉛直方向となるように、かつ、各画像間が、臨床角で例えば45°以上離れた位置で撮影される。
そして、図5の(B)に示すように、2次元画像それぞれにおいて大動脈の辺縁がトレースされる。上述した2次元画像の撮影及び大動脈の辺縁のトレースがグラフ生成部261の処理に先立って、医師又は技術者によって実行される。グラフ生成部261は、上述した処理の後の2枚の2次元画像と、血管の形態(例えば、円柱)などの補助情報に基づいて、例えば、図5の(C)に示すように、簡易的な3次元画像を生成する。ここで、グラフ生成部261は、2枚の2次元画像と補助情報とからデータを補完しながら、3次元画像を再構成する。
そして、グラフ生成部261は、図5の(C)に示すように、再構成した3次元画像を表示部23にて表示させるように、後述する表示制御部263に通知する。医師又は技術者は、表示制御部23の制御のもと表示部23にて表示された3次元画像に対して、入力部22を介して、大動脈弁の位置の指定を行う。具体的には、医師又は技術者は、図5の(C)に示すように、大動脈の3次元画像の上端から下端までの範囲で平面を移動させて、所定の位置を大動脈弁の位置として指定する。
グラフ生成部261は、医師又は技術者によって大動脈の位置が指定されると、指定された平面の位置が鉛直方向で観察されるようなアームの角度情報を示すグラフを生成する。すなわち、グラフ生成部261は、大動脈が鉛直方向で観察されるアームの角度情報を示すグラフを生成する。
図6は、第1の実施形態に係るグラフ生成部261によって生成されるグラフの一例を示す図である。ここで、図6においては、縦軸が臨床角「CRA:cranial(頭部方向)」及び「CAU:caudal(尾部方向)」を示し、横軸が臨床角「RAO:right anterior oblieque(右前斜位)」及び「LAO:left anterior oblieque(左前斜位)」を示す。
例えば、グラフ生成部261は、図6に示すように、2枚の2次元画像が撮影されたCアームの角度を示す点40と、「Optimal Projection Curve」である曲線41と、推奨角度を示す点42とを示したグラフを生成する。ここで、「Optimal Projection Curve」は、大動脈弁が鉛直方向で撮影されるCアーム15の角度を示した曲線である。すなわち、Cアーム15の角度を曲線41上にある角度に設定すると、大動脈弁が鉛直方向に観察されるX線画像が撮影されることを意味する。
そして、推奨角度は、所定の計算により算出されたCアーム15の推奨角度を意味する。これまでの技術では、この推奨角度が必ずしもCアーム15の可動領域にあるか否か判定することができない。また、どの位置がCアーム15の可動領域であるかを判定することができない。そこで、本願の画像処理部26は、これらを即座に判定するために、以下に説明するように、Cアーム15の非可動領域を算出する。
図4に戻って、算出部262は、Cアーム15の現時点の位置情報に基づいて、当該Cアーム15と被検体又は寝台との干渉領域をCアーム15の状態を示す情報として算出する。具体的には、算出部262は、システム制御部21からCアーム15の現在位置と、Cアーム15と寝台及び被検体とが干渉するエリアとを取得する。そして、算出部262は、現在のCアーム15位置において寝台及び被検体と干渉する干渉領域を非可動領域として算出する。また、算出部262は、アームの非可動領域として、アームの可動限界を超えた領域をシステム制御部21から取得する。具体的には、算出部262は、Cアーム15の全ての可動軸のストロークリミットをシステム制御部21から取得することで、ストロークリミットにより位置決めできない領域を非可動領域として算出する。なお、Cアーム15の全ての可動軸のストロークリミットは、X線診断装置100の設置時に決定される。
図7は、第1の実施形態に係る算出部262によって算出されるCアーム15の非可動領域の一例を示す図である。例えば、算出部262は、図7に示すように、図6に示す臨床角のグラフにおけるCアーム15の非可動領域を算出する。一例を挙げると、算出部262は、図7に示すように、ストロークリミットにより位置決めできない領域である領域43と、現在のCアーム15の位置において寝台及び被検体と干渉する干渉領域44とを算出する。
図4に戻って、表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成された図とともに、Cアーム15が図に示された角度にある場合のCアーム15の状態を示す情報及びCアーム15が図に示された角度にある場合の撮影対象の状態を示す情報のうち少なくとも一方を可視化するための表示制御を行う。具体的には、表示制御部263は、グラフとともに、Cアーム15の状態を示す情報として、Cアーム15の可動領域、Cアーム15の可動限界を超えた領域、及び、干渉領域のうち少なくともいずれか1つを表示させる。以下、Cアーム15の状態を示す情報を表示する一例について説明する。なお、撮影対象の状態を示す情報については、後に詳述する。
例えば、表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成されたグラフ上に、Cアーム15の非可動領域を示した表示グラフを表示部23にて表示させる。詳細には、表示制御部263は、算出部262によって算出されたストロークリミットにより位置決めできない領域と干渉領域とをグラフ上に重畳した表示グラフを表示部23にて表示させる。すなわち、表示制御部263は、ストロークリミットにより位置決めできない領域と干渉領域とをグラフ上に重畳した表示グラフを表示部23にて表示させるようにシステム制御部21に通知する。
図8は、第1の実施形態に係る表示制御部263による表示制御の一例を示す図である。例えば、図8の(A)に示すように、第1の実施形態に係る表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成されたグラフに、算出部262によって算出されたCアーム15の非可動領域を重畳した表示グラフを表示部23に表示させる。これにより、医師や、技術者は、推奨角度42が可動領域にあるのか非可動領域にあるのか一目で判定することができる。また、医師や、技術者は、どの領域が非可動領域であるかを一目で確認することができる。その結果、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、Cアーム15の角度を容易に決定することができ、TAVRに係るCアーム15の操作性を向上させることを可能にする。
また、表示制御部263は、アームの現在位置、及び、大動脈弁がX線画像の表示面に対して所定の角度で表示されるアームの角度のうちアームの現在位置から最短距離となる位置を示した表示グラフを表示部23にて表示させる。例えば、表示制御部263は、図8の(B)に示すように、Cアーム15の非可動領域に加えて、Cアーム15の現在角度45と、大動脈弁が鉛直方向で観察できるCアーム15の角度のうち、現在角度45からの移動距離が最短距離の角度46をグラフ上に重畳して表示する。かかる場合、表示制御部263は、曲線41上の角度のうち、Cアーム15の現在角度45から最短の角度を角度46として算出して、グラフ上に重畳して表示する。
これにより、大動脈弁を鉛直方向から観察するためのCアーム15の移動距離を最短にすることができ、TAVRの際にCアーム15が移動することによって術の妨げになることを抑止することが可能である。例えば、TAVRにおいては、手術室内に、人工弁を留置する医師のほかに、麻酔医や、サポート医師、看護師、技術者などがおり、さらに、モニタ、人工心肺、手術器具などが配置される。このような環境の中でのCアーム15の移動は極力少ないものにすることが望まれている。上述したように、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、大動脈弁を鉛直方向から観察するためのCアーム15の移動距離を最短にすることができ、このような要望に応えることを可能にする。
次に、図9を用いて、第1の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図9は、第1の実施形態に係るX線診断装置100による処理の手順を示すフローチャートである。図9に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置100においては、TAVRに係る2枚のX線画像が撮影されると(ステップS101肯定)、グラフ生成部261は、2枚のX線画像それぞれでトレースされた大動脈の辺縁と、補助情報とに基づいて、3次元画像を再構成する(ステップS102)。
そして、グラフ生成部261は、生成した3次元画像に対して指定された大動脈弁の位置に基づいて、大動脈弁を鉛直方向から観察するためのCアーム15の角度情報を示すグラフを生成する(ステップS103)。続いて、算出部262は、現時点のCアーム15の位置に基づいて非可動領域を算出する(ステップS104)。
そして、表示制御部263は、現時点のCアーム15の位置から移動距離が最短となる位置を算出する(ステップS105)。その後、表示制御部263は、非可動領域、Cアームの現在位置、最短の位置とをグラフ生成部261によって生成されたグラフに重畳して表示する(ステップS106)。なお、2枚のX線画像が撮影されるまで、X線診断装置100は、待機状態である(ステップS101否定)。
上述したように、第1の実施形態によれば、グラフ生成部261は、アームの角度情報を示す図を生成する。そして、表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成された図とともに、アームが図に示された角度にある場合のアームの状態を示す情報及びアームが図に示された角度にある場合の撮影対象の状態を示す情報のうち少なくとも一方を可視化するための表示制御を行う。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、予め位置決め可能な範囲を把握して、Cアーム15の角度を容易に決定することができ、TAVRに係るCアーム15の操作性を向上させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、算出部262は、アームの現時点の位置情報に基づいて、当該アームと被検体P又は寝台との干渉領域をアームの状態を示す情報として算出する。そして、グラフ生成部261は、角度情報を示す情報としてグラフを生成する。そして、表示制御部263は、グラフとともに、アームの状態を示す情報として、アームの可動領域、アームの可動限界を超えた領域、及び、干渉領域のうち少なくともいずれか1つを表示させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、アームの現時点の位置を考慮した非可動領域を表示させることができ、位置決めできないアームの角度をより正確に表示することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、表示制御部263は、Cアーム15の非可動領域として、Cアーム15の可動限界を超えた領域、及び、干渉領域のうち少なくも一方を示した表示グラフを表示部23にて表示させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、医師や、技術者に対して、ストロークリミットによる非可動領域と、Cアーム15の現在位置における干渉を考慮した非可動領域とを表示することができ、Cアーム15の角度を容易に決定することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、グラフ生成部261は、大動脈弁の縦断面がX線画像の表示面に対して略垂直又は略水平となる角度で表示されるCアーム15の角度情報を示すグラフを生成する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、TAVRに最適なアームの角度を提供することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、縦断面は、大動脈弁が閉じている場合に、大動脈弁に対して略垂直な面である。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、実際の大動脈弁の状態と、人工弁の状態とを正確にあわせることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、表示制御部263は、Cアーム15の現在位置、及び、大動脈弁がX線画像の表示面に対して所定の角度で表示されるアームの角度のうちアームの現在位置から最短距離となる位置を示した表示グラフを表示部23にて表示させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、Cアーム15を最小の移動によって最適な角度に移動させることができ、手術中の妨げを抑止することを可能にする。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、グラフ上に非可動領域、Cアーム15の現在位置及びCアーム15の移動距離が最短となる位置を重畳して表示する場合について説明した。第2の実施形態では、グラフ上での操作によってCアーム15を移動させる場合について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る画像処理部26、システム制御部21、入力部22の構成の一例を説明する。なお、第2の実施形態に係るX線診断装置100は、入力部22による受付処理と、システム制御部21による制御が第1の実施形態と異なる。以下、これらを中心に説明する。
第2の実施形態に係る入力部22は、表示制御部263によって表示部23にて表示された表示グラフに対する入力操作を受付ける。具体的には、入力部22は、表示部23にて表示されている表示グラフ上に示される現在のCアーム15の位置(角度)に対する移動操作を受付ける。図11は、第2の実施形態に係る入力部22による受付け処理を説明するための図である。
例えば、入力部22は、図11の矢印47に示すように、医師、又は技術者がCアーム15の現在角度45をマウスによってから移動距離が最短となる角度46へとドラッグされる入力操作を受付ける。そして、入力部22は、受付けた入力操作の情報をシステム制御部21に通知する。すなわち、入力部22は、移動先のCアーム15の角度46の情報をシステム制御部21に通知する。
システム制御部21は、入力部22によって受付けられた入力操作に応じて、Cアーム15を移動させる。具体的には、システム制御部21は、入力部22から通知された入力操作後のCアーム15の角度情報をCアーム・天板機構制御部19に通知して、Cアーム15を入力操作後の角度に移動させる。例えば、システム制御部21は、移動先のCアーム15の角度46の情報をCアーム・天板機構制御部19に通知して、Cアーム15を角度46に移動させる。
次に、図12を用いて、第2の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図12は、第2の実施形態に係るX線診断装置100による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図12においては、図9に示す第1の実施形態に係るX線診断装置100による処理の手順と同一の処理に同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
図12に示すように、第2の実施形態に係るX線診断装置100においては、TAVRに係る2枚のX線画像が撮影されると(ステップS101肯定)、グラフ生成部261は、3次元画像を再構成して(ステップS102)、グラフを生成する(ステップS103)。続いて、算出部262は、現時点のCアーム15の位置に基づいて非可動領域を算出する(ステップS104)。
そして、表示制御部263は、移動距離が最短となる位置を算出して(ステップS105)、非可動領域、Cアームの現在位置、最短の位置とをグラフに重畳して表示する(ステップS106)。
その後、入力部22が、表示部23にて表示されているグラフを介して入力操作を受付けると(ステップS201肯定)、システム制御部21に対して受付けた入力操作の情報を通知する。そして、システム制御部21は、入力部22によって受付けられた入力操作に応じてCアーム・天板機構制御部19を制御することで、Cアーム15を制御する(ステップS202)。なお、2枚のX線画像が撮影されるまで、X線診断装置100は、待機状態である(ステップS101否定)。
上述したように、第2の実施形態によれば、入力部22は、表示制御部263の制御によって表示部23にて表示された表示グラフに対する入力操作を受付ける。そして、システム制御部21は、入力部22によって受付けられた入力操作に応じて、Cアーム15を移動させる。従って、第2の実施形態に係るX線診断装置100は、グラフ上でCアーム15の位置を決め、その位置にCアーム15を移動させることができ、TAVRに係るアームの操作性をさらに向上させることを可能にする。
(第3の実施形態)
上述した第1及び第2の実施形態では、アームの状態を示す情報として、アームの可動領域、アームの可動限界を超えた領域、及び、干渉領域のうち少なくともいずれか1つを表示させる場合について説明した。第3の実施形態においては、アームの状態を示す情報として、当該アームと被検体又は寝台との位置関係を示す外観図を表示させる場合について説明する。なお、第3の実施形態においては、表示制御部263によって表示される内容が第1及び第2の実施形態と異なる。以下、これを中心に説明する。
第3の実施形態に係る表示制御部263は、グラフとともに、アームの状態を示す情報として、当該アームと被検体又は寝台との位置関係を示す外観図を表示させる。具体的には、表示制御部263は、Cアーム15がある角度付けを行った場合に、Cアーム15と被検体との位置関係や、Cアーム15と寝台との位置関係を示す外観図をグラフとともに表示する。
図13は、第3の実施形態に係る表示制御部による表示制御の一例を示す図である。例えば、図13に示すように、第3の実施形態に係る表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成されたグラフに、Cアームを所定の角度で角度付けした場合の3Dモデルを重畳した表示グラフを表示部23に表示させる。一例を挙げると、表示制御部263は、図13に示すように、2枚の2次元画像が撮影されたCアームの角度を示す点40のうち、左側の点40に対応する角度にCアーム15を角度付けした場合の3Dモデル51や、右側の点40に対応する角度にCアーム15を角度付けした場合の3Dモデル52をグラフに重畳した表示グラフを表示部23に表示させる。
すなわち、表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成されたグラフに、画像処理部26によって生成された3Dモデルを重畳させて表示部23にて表示させる。画像処理部26によって生成される3Dモデルは、予め自装置の3次元データを記憶させておき、Cアーム15の角度を指定された角度に角度付けした場合の投影画像を生成する場合であってもよく、或いは、Cアーム15を各角度に角度付けした場合の3次元画像を予め記憶させておき、そこから読み出す場合であってもよい。
例えば、操作者がグラフ上の点(角度)を指定すると、画像処理部26は、自装置の3次元データを読み出し、読み出した3次元データのCアーム15を指定された角度に角度付けした後、観察しやすい視点位置からの投影処理により3Dモデルを生成する。或いは、画像処理部26は、操作者によって点(角度)が指定されると、Cアーム15が指定された角度に角度付けされた3次元画像を読み出す。なお、自装置の3次元データや、各角度の3次元画像は、例えば画像データ記憶部25に記憶される。
ここで、画像処理部26によって生成される3Dモデルは、図13に示すように、被検体とCアーム15との位置関係や、寝台とCアーム15との位置関係などが把握することができるような3次元画像である。これにより、医師や技術者などの操作者は、Cアーム15をある角度に角度付けした場合の状態を直感的に把握することができる。なお、図13に示す被検体は、例えば、入力部22を介して、サイズを変化させるようにすることも可能である。すなわち、現在の患者の体格に応じて、寝台上の被検体のサイズを任意のサイズに変更することができる。なお、図13に示す例は、あくまでも一例であり、表示制御部263は、操作者によって指定されたグラフ内の点に対応する3Dモデルを表示させる。
また、表示制御部263は、Cアーム15と被検体との位置関係や、Cアーム15と寝台との位置関係だけでなく、周辺機器や、術者との関係を示す3Dモデルを表示させることも可能である。すなわち、表示制御部263は、アームの状態を示す情報として、外観図に周辺機器及び術者のうち少なくとも一方との位置関係をさらに表示させる。例えば、カテーテルを用いた血管内治療と外科手技とを同時に行うハイブリット(hybrid)手技が実施される場合には、寝台の周囲には様々な機器が配置され、様々なスタッフ(staff)が立つことになる。
そこで、第3の実施形態に係るX線診断装置100においては、予め自装置に対する周辺機器の配置や術者の立ち位置などの情報を画像データ記憶部25に記憶させておき、それらの情報も同時に表示させることができる。例えば、画像処理部26が、自装置の3次元データから投影画像を生成する際に、自装置の周囲に周辺機器や術者を示す情報を配置した後に投影処理を実行して3Dモデルを生成する。これにより、表示制御部263によって表示される3Dモデルは、Cアーム15と周辺機器との位置関係や、Cアーム15と術者との位置関係などが示されることとなる。
なお、周辺機器や術者との位置関係については、カメラによって収集した画像を解析することによって取得する場合であってもよい。例えば、自装置の周囲に複数台のカメラを設置しておき、画像処理部26は、各カメラから収集される画像を用いて、自装置と周辺機器との位置関係や、自装置と術者との位置関係を解析することで、3Dモデルを生成することも可能である。
また、周辺機器や術者との位置関係については、例えば、検査プロトコルごとに切り替えさせることも可能である。例えば、表示制御部263は、周辺機器が少ない検査においては、Cアーム15と、被検体、寝台及び術者との位置関係をそれぞれ示した3Dモデルを表示させる。また、例えば、表示制御部263は、周辺機器が少ない検査においては、Cアーム15と、被検体、寝台、周辺機器及び術者との位置関係をそれぞれ示した3Dモデルを表示させる。さらに、検査プロトコルごとに配置されるおおよその位置を予め登録しておくことも可能である。これらにより、例えば、検査によって周辺機器や術者の立ち位置が変化しても、X線診断装置100が物や人の位置を適切に認識することができる。
次に、図14を用いて、第3の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図14は、第3の実施形態に係るX線診断装置100による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図14においては、図9に示す第1の実施形態に係るX線診断装置100による処理の手順と同一の処理に同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
図14に示すように、第3の実施形態に係るX線診断装置100においては、TAVRに係る2枚のX線画像が撮影されると(ステップS101肯定)、グラフ生成部261は、3次元画像を再構成して(ステップS102)、グラフを生成する(ステップS103)。続いて、画像処理部26は、グラフ上の指定を受け付けたか否かを判定する(ステップS301)。
ここで、グラフ上の指定を受け付けた場合には(ステップS301肯定)、画像処理部26は、指定された角度で角度付けしたアームの3Dモデルを生成する(ステップS302)。そして、表示制御部263は、生成された3Dモデルをグラフに重畳させた表示グラフを表示部23にて表示させる(ステップS303)。なお、2枚のX線画像が撮影されるまで、X線診断装置100は、待機状態である(ステップS101否定)。また、グラフ上の指定を受けるまで、X線診断装置100は、待機状態である(ステップS301否定)。
上述したように、第3の実施形態によれば、グラフ生成部261は、角度情報を示す情報としてグラフを生成する。表示制御部263は、グラフとともに、アームの状態を示す情報として、当該アームと被検体又は寝台との位置関係を示す外観図を表示させる。従って、第3の実施形態に係るX線診断装置100は、Cアーム15を角度付けした際に、装置がどのようなレイアウトになるかを操作者に把握させることを可能にする。
また、第3の実施形態によれば、表示制御部263は、アームの状態を示す情報として、外観図に周辺機器及び術者のうち少なくとも一方との位置関係をさらに表示させる。従って、第3の実施形態に係るX線診断装置100は、Cアームを角度付けした際に、装置、術者及び周辺機器がどのような位置に配置されているかを操作者に把握させることを可能にする。
また、第3の実施形態によれば、アームと、被検体、寝台、周辺機器及び術者との位置関係を示す外観図は、カメラによって収集された画像を解析することによって生成される。従って、第3の実施形態に係るX線診断装置100は、周辺機器の配置や、人の立ち位置が変化しても、自動で認識して、対応することを可能にする。
(第4の実施形態)
上述した第1〜第3の実施形態では、グラフ生成261によって生成されたグラフとともに、アームの状態を示す情報を表示させる場合について説明した。第4の実施形態では、撮影対象の状態を示す情報を表示させる場合について説明する。なお、第4の実施形態においては、表示制御部263によって表示される内容が第1〜第3の実施形態と異なる。以下、これを中心に説明する。
第4の実施形態に係る表示制御部263は、グラフとともに、撮影対象の状態を示す情報として、アームが前記グラフに示された角度にある場合の撮影対象の角度を示す情報を表示させる。例えば、表示制御部263は、撮影対象の角度を示す情報として、大動脈弁の縦断面がX線画像の表示面に対して略垂直又は略水平となる角度の大動脈の3次元画像を表示させる。
図15Aは、第4の実施形態に係る表示制御部による表示制御の一例(1)を示す図である。例えば、図15Aに示すように、第4の実施形態に係る表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成されたグラフに、Cアームを所定の角度で角度付けした場合の大動脈の3次元画像(3D血管画像)を重畳した表示グラフを表示部23に表示させる。一例を挙げると、表示制御部263は、図15Aに示すように、「Optimal Projection Curve」である曲線41上の点に対応する角度にCアーム15を角度付けした場合の3D血管画像53や、3D血管画像54をグラフに重畳した表示グラフを表示部23に表示させる。
すなわち、表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成されたグラフに、画像処理部26によって生成された3D血管画像を重畳させて表示部23にて表示させる。画像処理部26によって生成される3D血管画像は、X線CT装置や、MRI装置などの医用画像診断装置によって収集された3次元データを予め被検体ごとに記憶させておき、Cアーム15の角度が指定された角度に角度付けされた場合に、当該被検体の3次元データを読み出して投影画像を生成する場合であってもよく、或いは、被検体ごとにCアーム15を各角度に角度付けした場合の3D血管画像を予め記憶させておき、そこから読み出す場合であってもよい。
例えば、操作者がグラフ上の点(角度)を指定すると、画像処理部26は、被検体IDをキーとして医用画像の3次元データを読み出し、読み出した3次元データを用いて、指定された角度に対応する3D血管画像を投影処理により生成する。すなわち、画像処理部26は、3次元データを収集した際の被検体の体位と、3次元データに対して投影する際の視点の位置及び視線方向とに基づいて、指定されたCアーム15の角度に対応する3D血管画像を生成する。
あるいは、画像処理部26は、操作者によって点(角度)が指定されると、被検体IDをキーとして、指定された角度に対応する3D血管画像を読み出す。なお、医用画像診断装置によって収集された3次元データや、各角度の3D血管画像は、被検体IDに対応付けて、例えば画像データ記憶部25に記憶される。
なお、図15Aにおいては、3D血管画像53及び3D血管画像54を示しているが、これはあくまでも表示の一例であり、1枚の3D血管画像を表示させる場合であってもよく、或いは、3枚以上の3D血管画像を表示させる場合であってもよい。すなわち、表示制御部263は、操作者によって指定されたグラフ内の点に対応する3D血管画像を任意に表示させることが可能である。
また、例えば、表示制御部263は、撮影対象の角度を示す情報として、大動脈弁の縦断面がX線画像の表示面に対して略垂直又は略水平となる角度で回転させた大動脈の3次元画像を表示させる。
図15Bは、第4の実施形態に係る表示制御部による表示制御の一例(2)を示す図である。例えば、図15Bに示すように、第4の実施形態に係る表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成されたグラフに、大動脈弁の縦断面がX線画像の表示面に対して略垂直となる角度で回転させた3D血管画像を重畳した表示グラフを表示部23に表示させる。一例を挙げると、表示制御部263は、図15Bに示すように、「Optimal Projection Curve」である曲線41上を左から右へアームの角度付けの角度を変化させた場合の3D血管画像55をグラフに重畳した表示グラフを表示部23に表示させる。
すなわち、表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成されたグラフに、画像処理部26によって生成された各角度に対応する3D血管画像を連続的に更新させた動画像を重畳させて表示部23にて表示させる。画像処理部26によって生成される3D血管画像は、X線CT装置や、MRI装置などの医用画像診断装置によって収集された3次元データを予め被検体ごとに記憶させておき、動画像の表示が指定された場合に、当該被検体の3次元データを読み出して各角度の投影画像を生成する場合であってもよく、或いは、被検体ごとに大動脈弁の縦断面がX線画像の表示面に対して略垂直となる角度の複数の3D血管画像を予め記憶させておき、そこから読み出す場合であってもよい。
例えば、操作者がグラフ上の再生ボタンを選択すると、画像処理部26は、被検体IDをキーとして医用画像の3次元データを読み出し、読み出した3次元データを用いて、各角度に対応する複数の3D血管画像を投影処理により生成する。或いは、画像処理部26は、操作者によってグラフ上の再生ボタンが選択されると、被検体IDをキーとして、各角度に対応する複数の3D血管画像を読み出す。なお、医用画像診断装置によって収集された3次元データや、各角度の3D血管画像は、被検体IDに対応付けて、例えば画像データ記憶部25に記憶される。
次に、図16を用いて、第4の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図16は、第4の実施形態に係るX線診断装置100による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図16においては、図9に示す第1の実施形態に係るX線診断装置100による処理の手順と同一の処理に同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
図16に示すように、第4の実施形態に係るX線診断装置100においては、TAVRに係る2枚のX線画像が撮影されると(ステップS101肯定)、グラフ生成部261は、3次元画像を再構成して(ステップS102)、グラフを生成する(ステップS103)。続いて、画像処理部26は、グラフ上の指定を受け付けたか否かを判定する(ステップS401)。
ここで、グラフ上の指定を受け付けた場合には(ステップS401肯定)、画像処理部26は、指定された角度での3D血管画像を生成する(ステップS402)。そして、表示制御部263は、生成された3D血管画像をグラフに重畳させた表示グラフを表示部23にて表示させる(ステップS403)。
一方、グラフ上の指定を受け付けていない場合には(ステップS401否定)、画像処理部26は、再生操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS404)。ここで、再生操作を受け付けた場合には(ステップS404肯定)、画像処理部26は、曲線状の各角度での3D血管画像をそれぞれ生成する(ステップS405)。そして、表示制御部263は、生成された3D血管画像群を連続して表示させてグラフに重畳させた表示グラフを表示部23にて表示させる(ステップS406)。
なお、2枚のX線画像が撮影されるまで、X線診断装置100は、待機状態である(ステップS101否定)。また、グラフ上の指定を受けるまで、又は、再生操作を受け付けるまで、X線診断装置100は、待機状態である(ステップS401否定)、(ステップS404否定)。
上述したように、第4の実施形態によれば、表示制御部263は、撮影対象の角度を示す情報として、大動脈弁の縦断面がX線画像の表示面に対して略垂直又は略水平となる角度の大動脈の3次元画像を表示させる。従って、第4の実施形態に係るX線診断装置100は、Cアーム15を角度付けした際の大動脈の見え方を予め表示することができ、例えば、石灰化の状況、Coronary(冠状動脈)の見え方、弁の見え方などを事前に確認させることを可能にする。その結果、第4の実施形態に係るX線診断装置100は、最適な角度を動作前に確認させることを可能にする。
例えば、Coronaryにおいては、大動脈弁から数cm上に存在しており、心臓を栄養している。従って、TAVRでは、人工弁によりCoronaryを閉塞させてしまわないようにすることが非常に重要である。そこで、第4の実施形態に係るX線診断装置100を用いることで、大動脈弁を鉛直方向から観察することができるとともに、Coronaryなどの状態をよく観察することができるアームの角度を動作前に確認することが可能となる。
また、第4の実施形態によれば、表示制御部は、撮影対象の角度を示す情報として、大動脈弁の縦断面がX線画像の表示面に対して略垂直又は略水平となる角度で回転させた大動脈の3次元画像を表示させる。従って、第4の実施形態に係るX線診断装置100は、大動脈を鉛直方向からみた場合の大動脈の見え方を予め表示することができる。
(第5の実施形態)
上述した第1〜第4の実施形態では、「Optimal Projection Curve」を2枚のX線画像から生成する場合について説明した。第5の実施形態では、2枚のX線画像に加えて、CT画像などの3次元画像から「Optimal Projection Curve」を生成する場合について説明する。第5の実施形態においては、グラフ生成部261及び表示制御部263の処理内容が第1〜第4の実施形態とは異なる。以下、これを中心に説明する。
第5の実施形態に係るグラフ生成部261は、2方向から撮影された2枚のX線画像、及び、3次元の医用画像それぞれに基づいて、大動脈弁の縦断面がX線画像の表示面に対して略垂直又は略水平となる角度で表示されるアームの角度情報を示す図をそれぞれ生成する。例えば、グラフ生成部261は、2方向から撮影された2枚のX線画像を用いて上述したように「Optimal Projection Curve」を生成する。
そして、グラフ生成部261は、3次元データを収集した際の被検体の体位と、3次元データに対して投影する際の視点の位置及び視線方向とに基づいて、指定されたCアーム15の角度を収集する。一例を挙げると、グラフ生成部261は、被検体の体位と、大動脈弁を鉛直方向から観察することができる視点の位置及び視線方向とに基づいて、Cアーム15の角度を算出する。
第5の実施形態に係る表示制御部263は、2枚のX線画像に基づくアームの角度情報と、3次元の医用画像に基づくアームの角度情報とに差異がある場合に、各角度情報に対応する大静脈の3次元画像をそれぞれ表示させる。図17は、第5の実施形態に係る表示制御部による表示制御の一例を示す図である。
例えば、図17に示すように、第5の実施形態に係る表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成された2枚のX線画像に基づく曲線41と、3次元のCT画像に基づく曲線48とにおいて、大きな差異がある位置の3D血管画像をそれぞれ表示させる。一例を挙げると、表示制御部263は、図17に示すように、2枚のX線画像に基づく「Optimal Projection Curve」である曲線41に対応する3D血管画像56と、CT画像に基づく「Optimal Projection Curve」である曲線48に対応する3D血管画像57をグラフに重畳した表示グラフを表示部23に表示させる。なお、3D血管画像の生成については、上述した手法と同様である。
これにより、第5の実施形態に係るX線診断装置100においては、Cアーム15の角度付けの違いで、画像のどのあたりに差異がでるのかを把握させることが可能である。
次に、図18を用いて、第5の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図18は、第5の実施形態に係るX線診断装置100による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図18においては、図9に示す第1の実施形態に係るX線診断装置100による処理の手順と同一の処理に同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
図18に示すように、第5の実施形態に係るX線診断装置100においては、TAVRに係る2枚のX線画像が撮影されると(ステップS101肯定)、グラフ生成部261は、3次元画像を再構成して(ステップS102)、グラフ(カーブ)を生成する(ステップS103)。続いて、グラフ生成部261は、3次元画像データに基づいてカーブを生成する(ステップS501)。
そして、表示制御部263は、生成された双方のカーブで差異のある角度を抽出する(ステップS502)。そののち、画像処理部26は、抽出された角度での各3D血管画像を生成する(ステップS503)。そして、表示制御部263は、生成された各3D血管画像をグラフに重畳させた表示グラフを表示部23にて表示させる(ステップS504)。なお、図18においては、2枚のX線画像に基づくカーブが生成された後に、3次元画像に基づくカーブが生成される場合について説明したが、実施形態がこれに限定されるものではなく、例えば、並行して生成される場合であってもよく、或いは、3次元画像に基づくカーブが生成された後に2枚のX線画像に基づくカーブが生成される場合であってもよい。
上述したように、第5の実施形態よれば、グラフ生成部261は、2方向から撮影された2枚のX線画像、及び、3次元の医用画像それぞれに基づいて、大動脈弁の縦断面がX線画像の表示面に対して略垂直又は略水平となる角度で表示される前記アームの角度情報を示す図をそれぞれ生成する。表示制御部263は、2枚のX線画像に基づくアームの角度情報と、3次元の医用画像に基づくアームの角度情報とに差異がある場合に、各角度情報に対応する大静脈の3次元画像をそれぞれ表示させる。従って、第5の実施形態に係るX線診断装置100は、異なるデータに基づいてグラフを生成することで、データ間の差異を確認することができる。また、第5の実施形態に係るX線診断装置100は、例えば、双方のカーブに基づく3D血管画像を参照させることで、精度の高いグラフを選択して利用することを可能にする。
(第6の実施形態)
さて、これまで第1〜第5の実施形態について説明したが、上述した第1〜第5の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した第1〜第5の実施形態では、アームの可動領域、非可動領域及び干渉領域をグラフ上で示す場合と、装置、被検体、寝台、周辺機器及び術者などを示す3Dモデルをグラフ上で示す場合と、3D血管画像をグラフ上で示す場合とをそれぞれ説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、適宜組み合わせることが可能である。
図19は、第6の実施形態に係る表示制御部263による表示制御の一例を示す図である。例えば、図19に示すように、第6の実施形態に係る表示制御部263は、グラフ生成部261によって生成されたグラフに、算出部262によって算出されたCアーム15の非可動領域を重畳した表示グラフを表示部23に表示させる。さらに、表示制御部263は、曲線41上の角度における3Dモデル58や、3D血管画像59などを重畳させて表示部23に表示させる。なお、図19に示す例はあくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、表示制御部263によって表示される情報は任意に変更することができ、例えば、グラフに非可動領域と3Dモデルとが表示される場合であってもよく、或いは、グラフに非可動領域と3D血管画像とが表示される場合であってもよい。
また、グラフに表示される情報として、X線画像が表示される場合であってもよい。例えば、表示制御部263は、現時点のCアーム15の位置のX線画像をグラフに重畳して表示することが可能である。また、例えば、「Optimal Projection Curve」を生成する際に撮影された透視画像をメモリに記憶させておき、それらを表示させる場合であってもよい。一例を挙げると、表示制御部263は、グラフ上の点(角度)が指定されると、記憶済みの透視画像のうち、指定された角度に最も近い透視画像から所定の枚数の画像をサムネイル画像として表示部23に表示させる。そして、表示させたサムネイル画像に対して選択操作を受け付けた場合に、表示制御部263は、選択されたサムネイル画像に対応する透視画像を大きな画像で表示する。
なお、上述した例はあくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、表示されるX線画像は透視画像に限定されるものではなく、例えば、撮影画像であってもよい。
上述した第1〜第5の実施形態では、Cアームの角度を決定する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、Ωアームの角度を決定する場合であってもよい。
上述した第1〜第5の実施形態では、Cアーム15の非可動領域としてアームのストロークリミットによる非可動領域と、干渉領域とを算出してグラフ上に表示する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、どちらか一方を算出して表示する場合であってもよい。
上述した第1〜第5の実施形態では、グラフの生成に臨床解析アプリケーション「CAAS A−Valve(Cardiovascular Angiographic Analysis System Aortic−Valve):Pie Medical Imaging社」を用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、アームの角度情報を臨床角のグラフで表示するものであればどのようなものにも応用することが可能である。
上述した第2の実施形態では、表示部23にて表示されたグラフ上での入力操作が実行された後のアームの角度にCアーム15を移動させる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、グラフ上での操作に追従して、アームが移動する場合であってもよい。
かかる場合には、入力部22は、入力操作中のマウスによってドラッグされている途中の角度の情報を逐次的にシステム制御部21に通知し、システム制御部21は、通知された角度の情報をCアーム・天板機構制御部19に通知することで、入力操作中のマウスの動きに追従してアームを移動させる。
以上説明したとおり、第1〜6の実施形態によれば、本実施形態のX線診断装置は、アームの角度付けに係る操作性を向上させることを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。