JP2010005032A - X線撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 操作者のX線撮影条件設定や撮像系の位置決めのための負担を軽減することで検査効率の向上が可能なX線装置を提供する。
【解決手段】 X線源11とX線受像器21とから成るX線撮像系と、X線源11へ高電圧を供給するX線高電圧装置51と、X線源11のX線照射動作を制御する制御操作卓31とを備えたX線撮影装置において、X線撮影条件設定手段が、被検体情報入力器33と、少なくとも1つの人体モデルパターンを記憶するメモリ34と、被検体情報に対応してメモリ34から読み出された人体モデルパターンを表示する表示/設定器32と、表示された人体モデルパターンに対し変形操作を行って被検体モデルパターンを形成するとともにX線撮影部位を指定する人体モデル変形・部位指定器35と、形成された被検体モデルパターン内に指定されたX線撮影部位に対応したX線撮影条件を求めてX線高電圧装置51へ出力するCPU38とを備える。
【選択図】 図3
【解決手段】 X線源11とX線受像器21とから成るX線撮像系と、X線源11へ高電圧を供給するX線高電圧装置51と、X線源11のX線照射動作を制御する制御操作卓31とを備えたX線撮影装置において、X線撮影条件設定手段が、被検体情報入力器33と、少なくとも1つの人体モデルパターンを記憶するメモリ34と、被検体情報に対応してメモリ34から読み出された人体モデルパターンを表示する表示/設定器32と、表示された人体モデルパターンに対し変形操作を行って被検体モデルパターンを形成するとともにX線撮影部位を指定する人体モデル変形・部位指定器35と、形成された被検体モデルパターン内に指定されたX線撮影部位に対応したX線撮影条件を求めてX線高電圧装置51へ出力するCPU38とを備える。
【選択図】 図3
Description
本発明は、画像診断に用いられるX線撮影装置の制御技術に関し、特に検査効率の向上を図るために好適な技術に関する。
被検体をX線撮影する場合、医師や技師にはX線撮影装置に対して様々な操作や設定をすることが求められる。すなわち、それらの操作や設定には、被検体の撮影部位に対するX線管装置及びX線受像器の位置決め操作や、X線撮影条件である管電圧、管電流、撮影時間の設定並びにX線照射野の設定等が含まれる。
上記の操作や設定において、特に重要なものは、X線撮影条件の設定に関するものである。何故ならば、X線撮影条件の設定を誤ると、得られたX線写真は診断に供することができないものとなるばかりでなく、被検体に無用なX線被曝を与えてしまうからである。
X線撮影条件の最適値は、被検体の診断部位や体型、体厚、体質(筋肉質と脂肪質)、年令(成人と小児の区別)、性別などにより異なる。このために、被検体に対応した最適なX線撮影条件をマニュアルで設定することができるようになるには、かなりの熟練を必要とする。
そこで、予め診断部位、体厚、年令等と管電圧、管電流、撮影時間等の組合せのパターンを複数種類設定し、それらを記憶しておいて、被検体をX線撮影する時に最適なX線撮影条件を記憶されたパターンから選択して装置へ設定するプログラム撮影機能(アナトミカルプログラム撮影機能)を備え、操作者の負担を軽減するX線装置が特許文献1、特許文献2等にて提案されている。
上記のアナトミカルプログラム方式によるX線撮影条件の設定法は、数多くのパターンを記憶できるが、その数には限りがある。特にX線画像の画質に大きな影響を及ぼす管電圧が所定管電圧ずつのステップ状にしか選択できないという問題がある。この問題は、ある管電圧を選択した後に微調整操作を行うことで対応が可能であるが、健診施設のように1日当たり数十人のX線撮影を行うとなると、医師や技師等の操作者にとっては、選択ミスなくX線撮影条件を設定することはかなりの負担となり、検査効率の低下を招くことが想定される。
さらに、医師や技師等の操作者は被検体の撮影部位に適したX線撮影条件を設定した後に、X線管装置とX線受像装置を撮影部位へ位置決めする操作を行わねばならず、その負担の軽減が求められている。
本発明は上記課題に鑑みて成されたもので、医師や技師等の操作者の負担を軽減することで検査効率の向上が可能なX線撮影装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、X線源とX線受像器とから成るX線撮像系と、前記X線源へ高電圧を供給するX線高電圧装置と、前記X線源によるX線照射動作を制御するX線制御装置とを備えたX線撮影装置において、少なくとも1つの基準体位の人体モデルパターンを記憶する人体モデルパターン記憶手段と、この人体モデルパターン記憶手段から人体モデルパターンを読み出して表示器へ表示するとともに、表示された人体モデルパターンに対し変形操作を行うことで前記被検体の体型モデルを作成し表示させる被検体モデルパターン作成手段と、前記表示器へ表示された被検体モデルパターン内にX線撮影部位を指定するX線撮影部位指定手段と、前記被検体モデルパターン内に指定されたX線撮影部位のX線撮影条件を求める手段とを備えたことを特徴としている。
そして、前記人体モデルパターン記憶手段には複数個の前記人体モデルパターンが記憶され、前記被検体モデルパターン作成手段に備えられた被検体情報入力手段から入力された被検体情報に基いて被検体に最も近似する人体モデルパターンが前記人体モデルパターン記憶手段から読み出されて前記表示器へ表示されるようになっている。
前記被検体情報入力手段から入力される被検体情報は、被検体の身長、性別、年令のうち少なくとも2つとされることが望ましい。
また、本発明は上記目的を達成するために、前記X線源とX線受像器とからなるX線撮像系を支持する支持器と、このX線撮像系と被検体との位置関係を位置決め信号に応じて相対的に可変設定しX線撮影位置決め制御を行う撮像系位置決め機構を備えるとともに、前記表示器へ表示された被検体モデルパターン上に入力されたX線撮影部位を実空間上の位置データへ変換し、前記撮像系位置決め機構へ撮像系移動制御信号として出力する手段を備えている。
前記表示器に表示された被検体モデルパターンには身長並びに体厚の目盛りが付与されていることが望ましい。
さらに、本発明は上記目的を達成するために、前記表示器には、被検体モデルパターンに加え、被検体との位置関係を示すようにX線撮像系がグラフィック表示され、位置情報入力器によってグラフィック表示された撮像系をディスプレイ上で移動することで、前記X線撮像系のX線撮影部位への位置決めが可能となっている。
本発明によれば、ディスプレイ上に表示された人体モデルパターンや撮像系を変形又は移動することで、X線撮影条件の設定や撮像系の位置決めが可能と成り、医師や技師等の負担の軽減が計れ、検査効率を向上することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用されたX線撮影装置の第1の実施形態の概略構成を示す図面である。図1に示すように、本発明の第1の実施形態になるX線撮影装置は、大きく分けて、X線源を保持する天井吊X線管支持装置2と、被検体1が横たわる撮影台4と、制御操作卓と、X線高電圧装置とから成る。
天井吊X線管支持装置2は、X線源であるX線管装置11と、このX線管装置11のX線放射口部に取り付けられたコリメータ12と、X線管装置11を支持器へ取り付ける支持具13と、この支持具13を介してX線管装置11を支持するテレスコピック状支持器14と、このテレスコピック状支持器14を伸縮させ、X線管焦点と撮影台4の天板間距離(FTD)及びX線管焦点とX線受像面間距離(SID)を可変する電動式支持器上下動機構を収納した支持部15aとから成る。そして、X線管装置11の近傍には、X線管装置11を上下動させるための操作スイッチやハンドルから成る操作部17が取り付けられている。なお、操作部17には、ディスプレイやX線撮影条件設定器やX線照射野設定器を設けても良い。
撮影台4は、被検体1が横たわる天板を有した寝台41aと、この寝台41aの天板をその長手方向へ移動させる天板移動機構42と、この天板移動機構42の動作を制御する天板移動制御部43と、前記天板の下方に組み込まれたX線受像器21を備えている。なお、X線受像器21の受像面中心はX線管焦点に対向して位置決めされている。本実施形態では、X線受像器21としてX線平面センサ(フラット・パネル・ディテクタ:FPD)を用いる例を示したので、X線受像器21は画像処理装置22へ接続されている。なお、X線受像器21は、FPDに限定されることなく、フィルムと増感紙を収納したX線フィルムカセッテや、イメージインテンシファイヤや、X線エネルギー蓄積性蛍光体を塗布した記憶媒体(イメージングプレート)を用いても良い。
制御操作卓31aは、X線撮影装置のシステム全体を制御するための操作、設定を操作者が行うもので、それらの操作、設定のための操作器や表示ディスプレイを備えている。なお、その詳細な説明は後述する。
X線高電圧装置51は、設定された時間(撮影時間)だけスイッチの開閉により、X線管の陽極と陰極間へ高電圧を印加するとともに、陰極へフィラメント加熱電流を供給するものである。
図2は、X線撮影装置の要部を構成する各ユニット間の信号のやりとりを説明するための機能ブロック図である。図2に示すように、制御操作卓31aには、各種情報を表示するとともに各種パラメータを設定するための表示/設定器32と、被検体情報を入力する被検体情報入力器33と、複数の人体モデルパターンと、それらの人体モデルの各部位毎のX線撮影条件とを対応付けて記憶するためのメモリ34と、前記メモリ34から読み出され、前記表示/設定器32のディスプレイへ表示された人体モデルパターンを変形するとともに撮影部位をパターン上から指定する人体モデル変形器/部位指定器35と、X線撮影条件(管電圧kV、管電流mA、撮影時間msec又は管電流撮影時間積mAs)並びに取得するX線画像サイズを設定するためのX線撮影条件設定器36と、X線撮影の操作並びに撮影台4の天板移動を行うためのX線撮影スイッチ(Sw)兼天板移動操作器37とが備えられ、それらの設定器や操作器からの入力は中央演算処理ユニット(CPU)38によって処理されるようになっている。
制御操作卓31aは、コリメータ12と、画像処理装置22と、天板移動制御部43と、X線高電圧装置51へ接続されている。
次に、本実施形態になるX線撮影装置を用いて被検体1のX線撮影を行う場合に操作者が行う操作と、装置における動作を説明する。図3は、本実施形態におけるX線撮影条件設定のフローチャートを示す。
先ず、医師や技師等の操作者は、被検体1をX線検査室へ招き入れ、撮影台4へ横たわらせる。そして、被検体情報入力器33を用いて被検体1の身長、年令、性別のうち、少なくとも2つのデータを入力する(ステップ101:以下、ステップをSと略記)。被検体1の身長、年令、性別の各データは、被検体1に対する聞き取りによって取得された情報を元に入力することができる。なお、X線撮影装置を病院情報システムへLAN接続することができる場合には、病院情報システムへ入力された当日の検査予約データのうちから身長、年令,性別のデータを制御操作卓31aへ転送するようにしても良い。
被検体情報が制御操作卓31aへ入力されると、CPU38はメモリ34へアクセスし、入力された被検体情報に対応した人体モデルパターンを検索し読み出す(S102)。この検索過程において、CPU38は入力された被検体情報に最も近似する人体モデルパターンを選択する。
ここで、メモリ34に記憶される人体モデルパターンについて説明する。前にも述べたように、X線撮影条件は、被検体1の体型すなわち身長と体重、体厚、体質(筋肉質か脂肪質か)、年令、性別により異なるが、これを大別すると、体厚と体質とによってX線撮影条件が変わると言っても良い。そこで、本実施形態では男女の年令別の基準体位に基づいて人体モデルパターンを作成し、それをメモリ34へ記憶することとした。この男女の年令別基準体位を図4に示す。図4に示したものは、平成11年6月28日の公衆衛生審議会答申による「日本人の栄養所要量の改訂について(答申)」中に記載された「年令区分別体位基準」である。但し、前記年令区分別体位基準では、体厚情報が欠落しているので、年令区分に該当する身長と体重の人体から体厚の平均値を推定することにより、図4に示す男女各10の基準体位をグラフィックパターン化してデータベース化することとした。人体モデルパターンのグラフィックパターン化は図5に示すように、周囲との識別が可能な画素の集合体として形成しても良く、またパターンの輪郭線で示すようにしても良い。なお、人体モデルパターンのサイズは、実際の人体の体位を所定比率、例えば1/10に縮小したものとすると良い。
メモリ34から読み出された人体モデルパターン32bは、表示/設定器32のディスプレイへ表示される(S103)。図5はメモリ34から読み出され、表示/設定器32のディスプレイ32aへ表示された年令18〜29歳の男性の人体モデルパターンの一例である。図5に示すように、人体モデルパターン32bは、被検体1を側方から投影したパターンであり、縦軸に身長が、そして横軸に体厚の目盛りが操作者によるパターンの変形操作を補助するために付与されて表示される。
表示/設定器32のディスプレイ32aに人体モデルパターン32bが表示されると、操作者は検査対象である臓器等の位置を推定し、人体モデル変形・部位指定器35aにより人体モデルパターン32b内に撮影部位32cを指定する(S104)。撮影部位32cの指定は、本実施形態では図5に示すように、人体モデル変形・部位指定器35aにより人体モデルパターン32b上の操作者が撮影部位の中心と想定する画素を指定することで指定される。なお、撮影部位の指定方法としては、ディスプレイ上で人体モデルパターンの一部を含む所定領域に、例えば矩形領域を指定するようにしても良い。撮影部位32cが指定されると、その指定と同時に基準体位の人体モデルの撮影部位に対するX線撮影条件もメモリ34から読み出され、CPU38からX線高電圧装置51へ出力され、設定される。このときのX線撮影条件は、被検体1の年令、性別が加味された管電圧V(kV)、管電流I(mA)、撮影時間T(msec)である。
次に、操作者は、表示されている人体モデルパターンと被検体1の体位と比較し、被検体1の撮影部位が表示された人体モデルパターンと異なっている場合には、人体モデルパターンを変形する(S105)。人体モデルパターンの変形は、表示されたパターンの外形輪郭上の画素又は撮影部位を含む所定領域を人体モデル変形・部位指定器35aで指定して、その画素32cをドラッグする(図6参照)とか、指定された領域の特定点をドラッグすることで成される。図6では、体厚のみを変形する例を示しているが、身長を変形することもできる。このような図形変形はパソコンのプレゼンテーションソフトのような公知の図形作成ソフトを応用することで可能であり、人体モデル変形器35aとしては、前述のマウス等の位置情報入力器を用いることができる。
撮影部位の指定に用いる部位指定器が必要とする機能は、人体モデル変形器が持つ位置情報入力機能と同じであり、位置情報入力機能を有する操作器としては、制御操作卓31のCPU38へ接続された位置情報入力器、例えばマウスやトラックボールやジョイスティックを用いることができる。
撮影部位が指定されるとともに変形を含めた被検体モデルパターンの作成が完了したことを操作者が制御操作卓31aへ入力すると、CPU38は、基準体位の撮影部位に対する変形量(X線照射方向に対する変形量の最大値、または平均値)を求め、その変形量に対するX線撮影条件の補正値を演算により求める(S106)。変形量δに対するX線撮影条件の補正を管電圧(kV),管電流(mA),撮影時間(msec)の全てを用いて行う場合の概念を図7に示す。図7において、横軸はX線照射方向に対する変形量を示し、縦軸はその変形量に対する管電圧、管電流、撮影時間のそれぞれの補正量曲線すなわち(V−δ)補正曲線、(I−δ)補正曲線、(T−δ)補正曲線を示す。この変形量とX線撮影条件の補正値との補正換算は、予め変形量とX線撮影条件補正値をメモリ34へ補正テーブルとして記憶し、読み出して使用する。なお、補正テーブルは、男女差、年令差、体質差を考慮して複数作成しておいても良い。今、X線照射方向に対する変形量がδであったとすると、CPU38は、図7に示すように、管電圧の補正値ΔV、管電流の補正値ΔI、撮影時間の補正値ΔTを求める。
S106において求められた管電圧補正値ΔV,管電流補正値ΔI、撮影時間補正値ΔTは、S104においてX線高電圧装置51へ設定されていた管電圧V、管電流I、撮影時間TへCPU38により加算される。そして、新たなX線撮影条件、すなわち管電圧V+ΔV、管電流I+ΔI、撮影時間T+ΔTがX線高電圧装置51へ設定される(S107)。新たに設定されたX線撮影条件は表示/設定器32のディスプレイ32aへ表示される。
操作者は、被検体1に対するX線撮影条件が設定されたことを確認し、天板移動操作器37を操作し、被検体1の撮影部位へ撮像系を位置決めし、さらに画像サイズを制御操作卓31aへ入力する。操作者が画像サイズを入力すると、コリメータ12に対しCPU38から制御指令が出力され、画像サイズに応じたX線照射野が設定される。操作者は、この後、X線撮影スイッチ37aを操作して撮影を行う。
X線撮影が行われると、X線受像器21のFPD上にX線像が形成され、そのX線像はCPU38の制御によって読み出され、画像処理装置22へ出力される。そして、画像処理装置22において入力したX線画像データに対して各種画像処理が施され、最終のX線像が形成される。この最終X線像は、読影室に置かれた画像サーバへ送られ記憶されるとともに、ディスプレイへ表示され、またはハードコピーされ、医師の画像診断に供される。
以上述べた本発明の実施形態によれば、被検体情報の入力と、人体モデルパターンの変形とによって、被検体1の体位に即したX線撮影条件を設定することができる。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態は、X線撮影条件の設定に加えて、X線撮像系の位置決めを人体モデルパターンへの撮影部位の入力によって可能とするものである。
図8は本実施形態のX線撮影装置の概略構成図である。以下第2の実施形態が第1の実施形態と異なる部分について説明する。図8に示すように、天井吊X線管支持装置2は、撮像系の自動位置決めのために、テレスコピック状支持器14を支持する支持部15bは台車化され、天井に設置された走行レール16によって移動可能に支持されている。そして、支持部15bにはモータを駆動源とする走行機構(図示省略)が設けられ、その走行機構は撮像系移動制御部(A)18へ接続されている。
撮影台4においても天井吊X線管支持装置2と同様に撮像系の自動位置決めのために、寝台41bの天板下にX線受像器21がガイドレール等で移動可能に支持されるとともに、モータを駆動源とする移動機構(図示省略)が設けられ、その移動機構は撮像系移動制御部(B)23へ接続されている。また、寝台41bには、被検体1の撮影部位設定の基準位置となるマーカー42が設けられている。本実施形態では、このマーカー42は成人の被検体1が天板へ横たわったときの踵の位置近傍に設けられている。そして、天井吊X線管支持器によって支持されたX線管装置11のX線管焦点の板長手方向の位置、及びX線受像器21の受像中心位置は上記マーカー42を基準にして常にCPU38で監視されている。
次に、第2の実施形態における制御操作卓31bの第1の実施形態との相違部分について説明すると、第1の実施形態におけるX線撮影Sw・天板移動操作器37aは、第2の実施形態ではX線撮影Sw・撮像系移動操作器37bに置換される。この撮像系移動操作器37bは、手動操作で撮像系を撮影部位へ位置決め移動するために設けられている。
また、制御操作卓31bには、撮像系を指定された撮像部位へ自動設定する自動位置決め操作器39が設けられている。この自動位置決め操作器39は、表示/設定器32を介してCPU38へ接続されている。
次に、図9のフローチャートを用いて本実施形態におけるX線撮影手順を説明する。先ず、医師や技師は、被検体1を寝台に横たわらせ、被検体1の位置決めを行う(ステップ201:以下、ステップをSと略記)。この被検体1の位置決めは、寝台41bに設けられたマーカー42へ被検体1の踵の裏面を合わせることで行われる。
次に、操作者は、第1の実施形態と同様に、被検体情報入力器33を用いて被検体1の身長、年令、性別を入力する(S202)。
被検体情報が入力されると、CPU38がメモリ34に記憶された複数の人体モデルパターンから被検体1の体位に最も近似する人体モデルパターンを選択し(S203)、選択された人体モデルパターンが表示/設定器32のディスプレイに表示される(S204)。
操作者は、第1の実施形態で説明したと同様に、人体モデル変形・部位指定器35を用いてディスプレイに表示された人体モデルパターン上からX線撮影部位を指定する(S205)。撮影部位は撮影される領域の中心を部位指定器35で指定することで成され、本ステップで指定された撮影部位は以下のステップへ進んでも保持される。そして、操作者が撮影部位を指定すると、CPU38は基準体位の人体の撮影部位に対応したX線撮影条件をメモリ34から読み出し、X線高電圧装置51へ出力する。
次いで、操作者は被検体1の体位と表示された人体モデルパターンとを見比べ、それらが相違している場合には、人体モデルパターンが被検体1の体位をほぼ表すように人体モデルパターンを変形し、被検体モデルパターンが形成される(S206)。人体モデルパターンの変形は、第1の実施形態で説明したように行われる。
撮影部位が指定され、被検体モデルパターンが形成されると、CPU38は第1の実施形態と同様に、撮影部位における人体モデルパターンに対する被検体モデルパターンの変形量を求め、それに応じたX線撮影条件の補正値を求める(S207)。そして、CPU38は、撮影部位に対するX線撮影条件を第1の実施形態と同様に算出し、求めたX線撮影条件の補正値をS205で読み出された基準体位のX線撮影条件へ付加し、その結果のX線撮影条件を設定するようにX線高電圧装置51へ信号を出力する(S208)。
このX線撮影条件の設定し直しが終わると、CPU38は表示/設定器32へ表示された撮像系の自動位置決めを行うか否かの問いかけを行う(S209)。この問いかけを設けた理由は、操作者が装置周辺の安全確認を行った上で装置の移動指令を出すようにするためである。
上記問いかけに対し、操作者が「Y:yes」と判断した場合には。自動位置決め操作器39を操作すると、天井吊X線管装置支持器によって支持されたX線管装置11と、寝台42bの天板下に配置されたX線受像器12が同期して移動され、撮影部位に位置決めされる(S210)。この撮像系の位置決め動作は、CPU38が、変形された人体モデルパターン上の撮影部位を下に、撮像系の移動方向と移動距離を求め、それに対応した指令を撮像系移動制御部(A)18及び撮像系移動制御部(B)23へ出力することで成される。
一方、操作者が「N:no」と判断した場合には、CPU38は撮像系移動操作器37bが操作者によって手動操作されるのを持つ。
そして、撮像系の位置決めが終了したならば、操作者は撮像画像のサイズ設定とX線撮影Sw37bの操作を行ってX線撮影を行う。
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、制御操作卓のディスプレイ上で被検体1の撮影部位に対するX線撮影条件が容易に設定できると同時に、撮像系の位置決めも行えるようになるため、検査効率が向上する。
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。この第3の実施形態は、前記第1の実施形態及び第2の実施形態の人体モデルパターンによるX線撮影条件設定に加え、制御操作卓31の表示/設定器32のディスプレイに表示されたグラフィックディスプレイから撮像系の移動制御を行うものである。なお、この実施形態におけるX線撮影条件の設定は第1、第2の実施形態と同じであるので省略し、撮像系の位置決めについて説明する。
図11(a)乃至(c)は表示・設定器32に表示された撮像系と人体モデルパターンを簡略化したものであり、図11(a)から図11(c)へ向けて、順次その表示態様が変わる様子を示している。図11において、11AはX線源、すなわちX線管装置11の位置を、そして21AはX線受像器21の位置を示している。つまり、図11(a)は、被検体1が撮影台4にまだ乗っていない状態のX線撮影装置の撮影台4に対する撮像系の位置を示している。
そして前記第1、第2の実施形態と同様に被検体情報が入力され、人体モデルパターンが表示されると撮影台4上に被検体1の人体モデルパターンが表示され、さらに人体モデルパターンの変形、並びに撮影部位(網掛けにて示された部位)が操作者によって入力されると、撮影部位が指定された被検体モデルパターンが形成され、図11(b)の表示態様となる。この時、撮像系は撮影部位とは異なる位置にある。
そこで、操作者は図11のX線源11Aをマウス等の位置情報入力器により、寝台の長手方向(矢印A方向)へドラッグし、撮像部位の中心位置方向へ移動する。ディスプレイ上の撮像系の位置情報の変化は、CPU38によって読み取られ、その変化量は実空間における撮像系の位置変化情報へ変換され、撮像系移動制御部(A)18及び撮像系移動制御部(B)23へ出力される。これによって、実際の装置の撮像系は、ディスプレイ上のX線源11A,X線受像器21Aの移動とともに実空間上で移動する。なお、撮像系の移動は撮像系の図形をドラッグすることに替え、ディスプレイ内へ撮像系の移動方向を示す矢印(← →)の撮像系移動スイッチを設け、それをマウスのカーソルで操作することで、撮像系の図形が移動するようにしても良い。
そして、撮像系が撮影部位の中心へ位置合せされると、図11(c)の状態となる。なお、ディスプレイ上の表示と実際の装置の位置とにずれが生じる場合がある。したがって、ディスプレイ上の表示と実際の装置の位置が合致した時には、ディスプレイ上の撮像系にそれを操作者に知らせる事が望ましい。そのために、例えばディスプレイ上の表示と実際の装置の位置が合致したら、ディスプレイ上の撮像系の色を変えるとか、ディスプレイ上の表示と実際の装置の位置が合致したことを文字又は文章で表示すると良い。
以上のべた本発明の第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様に、制御操作卓のディスプレイ上の操作のみで、X線撮影条件の設定と撮像系の撮影位置に対する位置決めが行えるので、操作者の負担を減らすことができ、検査効率が向上できる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は要旨を逸脱しない範囲で変形することが可能である。本発明の実施形態では、人体モデルパターンをメモリへ男女についてそれぞれ複数個記憶する例を挙げて説明したが、被検体1の年令、性別に関してのX線撮影条件の差は、メモリへ記憶するX線撮影条件データで差別することができるので、人体モデルパターンを1つにしても、本発明を実施することは可能である。
具体的には、標準体型である標準人体モデルパターンは、例えば、成人160cm、体重60kgとして、標準X線撮影条件(管電圧V´kV、管電流I´mA、撮影時間T´msec又は管電流撮影時間積mAs)とともにメモリ34に保存されている。操作者は、表示されている標準人体モデルパターンと被検体1の体位と比較し、被検体1の撮影部位が表示された標準人体モデルパターンと異なっている場合には、標準人体モデルパターンを変形する。例えば、操作者は、標準体型(成人160cm、体重60kg)と被検体1とを目視により比べて、被検体1の腹回りが大きければ、腹部の中心と想定する画素を指定して腹回りの人体モデルパターンを変形させる。CPU38は、図7に示される補正曲線を用いて、腹部の変形量に対するX線撮影条件の補正値を演算により求める。新たなX線撮影条件、すなわち管電圧V´+ΔV、管電流I´+ΔI、撮影時間T´+ΔTがX線高電圧装置51へ設定される。よって、第1の実施形態におけるS101、S102の身長、年令、性別の入力が不要となる。
また、上記実施形態では、ディスプレイ上での撮影部位の指定を基準体位の人体モデルパターンに対して行うようにしたが、人体モデルパターンを変形した被検体モデルパターンに対して行うようにしても良い。
また、第1の実施形態では、被検体1が乗った寝台の天板を撮像系の位置まで移動するようししたが、円板の移動に代えて、第2の実施形態のように、撮像系の移動機構と、その制御部と、撮像系移動スイッチを設け、スイッチの移動操作で被検体1の撮影部位へ撮像系を移動しても良い。
本発明の実施形態では、X線撮影装置を天井吊X線管装置支持器と寝台型撮影台4の組合せとしたが、X線撮影装置はこのような構成に限らず、透視によってX線撮影条件を設定する機能を持たないX線撮影装置全般に適用することが可能である。
さらに、上記実施形態ではX線撮影条件の可変設定を管電圧、管電流、撮影時間の全てに対して行う例を示したが、本発明はそれに限らず、管電圧固定、管電流固定、撮影時間固定、mAs固定等の変形も可能である。
1 被検体、11 X線管装置、18 撮像系移動制御部(A)、21 X線受像器、23 撮像系移動制御部(B)、31a,31b 制御操作卓、32 表示/設定器、32a ディスプレイ、32b 人体モデルパターン、33 被検体情報入力器、34 メモリ、35 人体モデル変形・部位指定器、38 CPU、39 自動位置決め操作器、41a,41b 寝台、42 マーカー、51 X線高電圧装置
Claims (6)
- X線源とX線受像器とから成るX線撮像系と、前記X線源へ高電圧を供給するX線高電圧装置と、前記X線源のX線照射動作を制御するX線制御装置とを備えたX線撮影装置において、
少なくとも1つの基準体位の人体モデルパターンを記憶する人体モデルパターン記憶手段と、この人体モデルパターン記憶手段から人体モデルパターンを読み出して表示する表示器と、表示された人体モデルパターンを変形する被検体モデルパターン作成手段と、前記被検体モデルパターン内に変形されたX線撮影部位のX線撮影条件を求める手段とを備えたことを特徴とするX線撮影装置。 - 前記人体モデルパターン記憶手段には複数個の前記人体モデルパターンが記憶され、前記被検体モデルパターン作成手段に備えられた被検体情報入力手段から入力された被検体情報に基いて被検体に最も近似する人体モデルパターンが前記人体モデルパターン記憶手段から読み出されて前記表示器へ表示されることを特徴とする請求項1に記載のX線撮影装置。
- 前記被検体情報入力手段から入力される被検体情報は、被検体の身長、性別、年令のうち少なくとも2つであることを特徴とする請求項2に記載のX撮影線装置。
- 前記X線源とX線受像器とからなるX線撮像系を支持する支持器と、このX線撮像系と被検体との位置関係を位置決め信号に応じて相対的に可変設定しX線撮影位置決め制御を行う撮像系位置決め機構を備えるとともに、前記表示器へ表示された被検体モデルパターン内に入力されたX線撮影部位を実空間上の位置データへ変換し、前記撮像系位置決め機構へ撮像系移動制御信号として出力する手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線撮影装置。
- 前記表示器に表示された被検体モデルパターンには身長並びに体厚の目盛りが付与されていることを特徴とする請求項1乃至4に記載のX線撮影装置。
- 前記表示器には、被検体モデルパターンに加え、被検体との位置関係を示すようにX線撮像系がグラフィック表示され、位置情報入力器によってグラフィック表示された撮像系をディスプレイ上で移動することで、前記X線撮像系のX線撮影部位への位置決めが可能となっていることを特徴とする請求項1乃至5に記載のX線撮影装置。
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