以下、図面を参照して、開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。なお、同じ機能を担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
まず、開示の技術に係る画像形成装置10の全体構成について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の要部斜視図を示す。
画像形成装置10の装置上部には原稿読取ユニット12が設けられ、原稿読取ユニット12の下方には画像形成ユニット14が配置されている。原稿読取ユニット12は、たとえばCCD(Charge Coupled Device)を用いた図示しない光学読取部と原稿カバー16内の原稿搬送部18を含んで構成される。
原稿搬送部18は、原稿カバー16に設けられている原稿台16Aに載せられた原稿20を引き込んで、図示しない搬送原稿読取ガラス(いわゆる、プラテンガラス)上に原稿20を搬送する。そして、原稿読取ユニット12は、図示しない光学読取部により、図示しない搬送原稿読取ガラス上に搬送された原稿20の内容をCCDで読み取る。
原稿読取ユニット12で読み取りが完了した原稿20は、原稿搬送部18によって原稿カバー16に設けられている排出台16Bに排出される。
こうした原稿読取ユニット12における各装置の動作は、後述する制御部30によって処理される。なお、原稿読取ユニット12は画像読み取り装置の一例である。
また、画像形成装置10には、利用者からの操作を受け付けると共に、画像形成装置10に関する各種情報を表示する操作表示ユニット11が設けられている。操作表示ユニット11には、例えばソフトウェアプログラムによって操作の受け付けを実現する表示ボタンや各種情報が表示されるタッチパネル式のディスプレイ13、及びテンキーやスタートボタンなどのハードウェアキー15等が設けられている。
操作表示ユニット11で受け付けた操作内容、及び操作表示ユニット11に表示する情報内容は、後述する制御部30によって処理される。
一方、画像形成ユニット14は、記録媒体の種別やサイズ毎に分類されて各用紙収容部17に収容された記録媒体に、例えば電子写真方式によって利用者が指定した画像(ユーザ画像)を形成する。
図2は、画像形成ユニット14で実行される画像形成の一例を示す図である。なお、ここでは記録媒体に白黒画像を形成する例について説明する。
図2に示すように、画像形成ユニット14は、帯電後に光が照射されることにより、表面に静電潜像が形成される感光体21を備える。
感光体21の周囲には、図示しないモータによって回転駆動しながら、帯電バイアス電源33から印加される電圧によって感光体21の表面を帯電する帯電ロール22と、感光体21に光を照射して、感光体21の表面にユーザ画像に対応した静電潜像を形成する書き込みヘッド23と、感光体21に形成された静電潜像にトナーを付着し、静電潜像を現像する現像装置24が配置される。
また、画像形成ユニット14は、感光体21と対向する位置に、記録媒体28を挟んで感光体21との間に電界を印加し、感光体21の表面に形成されたトナー画像を記録媒体28に転写する転写ロール26と、トナー画像の転写後に感光体21に残留するトナーを除去するクリーニング装置29とを備えている。
感光体21と転写ロール26との間隙(ニップ部)を通過した記録媒体28の搬送方向下流側には記録媒体28上に転写されたトナー画像を加熱し、記録媒体28に定着させる定着装置50が設けられている。
ここで、感光体21には、矢印A方向に回転する金属製ドラムの表面に有機感光材料、アモルファスセレン系感光材料、アモルファスシリコン系感光材料等を含む感光体層を形成したものが用いられる。また、帯電ロール22には、例えばコロナ放電を発生するスコロトロンが用いられる。
更に、書き込みヘッド23は、記録媒体28の搬送方向(「副走査方向」とも言う)と直交する方向、すなわち感光体21の回転軸方向(「主走査方向」とも言う)の最大画素数に対応する数の発光素子(Light Emitting Diode:LED)を有するLEDプリントヘッド(LEDアレイ)を備え、ユーザ画像に対応した画像信号に基づいて点滅する光を照射し、これにより感光体21の表面に静電潜像を形成する。すなわち書き込みヘッド23は、露光装置の一例である。なお、静電潜像とは、例えば光の当たった部分の感光体21の表面電位が低下することで、光の当たっていない部分の表面電位との電位差によって表される画像のことである。
また、現像装置24は、着色粒子であるトナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤をハウジング31内に収容し、現像ロール32に二成分現像剤を付着させ、図示しないモータによって回転駆動する現像ロール32に現像バイアス電源25からの現像バイアスを印加することで、例えば負極に帯電したトナーで静電潜像を現像し、感光体21にトナー画像を生成する。
更に、転写ロール26は、例えば感光体21に接触して配置され、転写バイアス電源27で感光体21上のトナー画像が記録媒体28に引き付けられる方向の転写バイアスを転写ロール26に印加することで、感光体21上のトナー画像を記録媒体28に転写する。
一方、記録媒体28に転写されずに感光体21に残留したトナーは、例えばドクターブレード式のクリーニング装置29によって感光体21から除去される。更に、定着装置50は、加熱ロール51及び加圧ロール52を含み、加熱ロール51と加圧ロール52とのニップ部に記録媒体28を挟みこみながら搬送することにより、転写ロール26によって転写されたトナー画像を記録媒体28に定着させる。
図1では、感光体21から記録媒体28に画像を直接転写する画像形成ユニット14の例を示した。しかし、画像の転写方式はこれに限られず、例えば感光体21に形成されたトナー画像を中間転写ベルトに転写した後、中間転写ベルトに転写されたトナー画像を記録媒体28に転写する、いわゆる中間転写方式を用いてもよい。
また、画像形成ユニット14は、プロセスカラーと呼ばれるイエロー、マゼンダ、シアン、及びブラック毎に、感光体21、帯電ロール22、書き込みヘッド23、現像装置24、現像バイアス電源25、転写ロール26、転写バイアス電源27、及びクリーニング装置29を備え、感光体21の各々に、対応する色のトナー画像を生成し、各色のトナー画像を記録媒体28に順次重ね合わせることによって、記録媒体28にカラー画像を形成するものであってもよい。更に、画像形成ユニット14は、プロセスカラーの他、ユーザ画像の下地又は被覆、或いは、プロセスカラーでは実現が困難な色合い(例えば金属光沢感)の表現に用いられる特色に対応したトナー画像を記録媒体28に形成するものであってもよい。
こうした画像形成ユニット14における各装置の動作は、制御部30によって処理される。
図3は、画像形成装置10における電気系統の要部構成例を示す図である。
画像形成装置10は、画像形成装置10を制御する制御部30にCPU(Central Processing Unit)34を備える。また、画像形成装置10の制御部30は、各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)36、及びCPU34による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)35を備える。
CPU34、RAM35、及びROM36は、画像形成装置10の内部バス38で互いに接続される。また、内部バス38には、制御部30と外部装置とのインターフェースであるI/O37を介して操作表示ユニット11、原稿読取ユニット12、画像形成ユニット14、及び通信装置19が接続される。
通信装置19は、画像形成装置10をLAN(Local Area Network)、インターネット、又は専用回線等の通信回線に接続し、通信回線に接続されたコンピュータ、デジタルカメラ、スマートフォン、又はタブレット端末といった他の電子機器との間で、例えば画像データ等のデータの送受信を行う。
このように、画像形成装置10の制御部30は、CPU34、RAM35、ROM36、及びI/O37を備えるコンピュータによって実現される。
次に、画像形成装置10の作用について説明する。画像形成装置10は、例えば図示しないモータによって回転駆動される感光体21の速度変動量を示す調整画像を形成する調整画像形成モードを備える。
制御部30は、操作表示ユニット11を介して利用者から調整画像形成モードの開始指示を受け付けると、例えば図4に示すような調整画像を記録媒体28に形成する。
記録媒体28に形成される調整画像の内容は、画像形成に関わる回転体(この場合、感光体21)の速度変動量が画像から検出されるようなものであればどのような画像であってもよい。ここでは一例として、主走査方向に沿った線分を副走査方向に予め定めた間隔で複数形成した、いわゆるラダー画像40を調整画像として用いる場合について説明する。
なお、ラダー画像40が形成された記録媒体28の副走査方向に沿った搬送方向下流側の辺28Aから見て、最初に位置するラダー画像40の線分40A(ラダー画像40の先頭位置)までの距離、すなわち余白の長さLAは予め定められている。
そして、調整画像形成モードでは、ラダー画像40の後端の線分40Bから記録媒体28の副走査方向に沿った搬送方向上流側の辺28Bまでの余白の長さLBと、余白の長さLAとが異なるラダー画像40を記録媒体28に形成することで、ラダー画像40が形成された記録媒体28を利用者が見た場合に、記録媒体28の搬送方向下流側の辺28A、すなわち、ラダー画像40を記録媒体28に形成し始めた側の端部がわかるようになっている。
なお、記録媒体28におけるラダー画像40の形成方向を示すため、ラダー画像40を記録媒体28に形成し始めた側の記録媒体28の端部に、予め定めた記号又は文字を付してもよい。以降では、長さLAによって表される、画像形成装置10がラダー画像40を形成し始めるまでに設けられた記録媒体28の余白を「第1余白」、長さLBによって表される、画像形成装置10がラダー画像40を形成し終わった後に設けられた記録媒体28の余白を「第2余白」という場合がある。
次に、制御部30で調整画像形成モードの開始指示を受け付けた場合にCPU34によって実行される調整画像形成処理について説明する。図5は、調整画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
調整画像形成処理を規定する調整画像形成プログラムは、例えばROM36に予め記憶されており、CPU34は、調整画像形成プログラムをROM36から読み出して、調整画像形成処理を実行する。
まず、ステップS10において、CPU34は、感光体21の回転状況を検知する受光センサからZ相信号を検出したか否かを判定する。
ここでZ相信号とは、感光体21のような回転体が1回転する毎に受光センサから出力されるパルスであり、基準信号の一例である。例えば回転体と共に回転する遮光板を間に挟むように発光素子と受光センサが配置され、当該遮光板には、回転体が1回転する毎に発光素子から照射される光が受光センサで受光できるようなスリットが設けられている。したがって、回転体が1回転する毎に受光センサからZ相信号がCPU34に通知される。
CPU34は、Z相信号が検出されるまでS10を繰り返してZ相信号を監視し、Z相信号を検出した場合、ステップS20に移行する。
ステップS20において、CPU34は、例えばRAM35の予め定めた領域に設けた時間差カウンタを“0”にリセットする。
ここで、時間差カウンタとは、Z相信号を検出してから、ラダー画像40に対応する画像データ(ラダー画像データ)を用いて、記録媒体28にラダー画像40を形成し始めるまでの時間差を計測するカウンタである。
ステップS30において、CPU34は、感光体21が1回転して、受光センサから再びZ相信号を検出したか否かを判定する。ステップS30の判定処理が肯定判定の場合にはステップS20に移行し、時間差カウンタを“0”にリセットする。すなわち、CPU34は、Z相信号を検出する度に、時間差カウンタを“0”にリセットする。
一方、ステップS30の判定処理が否定判定の場合にはステップS40に移行する。
ステップS40において、CPU34は、クロック信号を検出したか否かを判定する。ここで、クロック信号とは、隣り合うZ相信号の間隔によって表される感光体21の回転周期より短い予め定めた間隔でオンオフを繰り返すパルス信号である。クロック信号としては、例えばCPU34に内蔵され、CPU34の処理の基準となる同期信号を形成するクロック信号を用いればよいが、これに限らず、感光体21の回転周期より短い予め定めた間隔でオンオフを繰り返す専用のパルス信号を用いてもよい。
ステップS40の判定処理が肯定判定の場合にはステップS50に移行し、ステップS50において、CPU34は、時間差カウンタに“1”を加算する。
一方、ステップS40の判定処理が否定判定の場合には、ステップS50の処理を実行せずにステップS60に移行する。
ステップS60において、CPU34は、画像形成ユニット14で画像形成準備が終了したか否かを判定する。具体的には、例えばCPU34は、画像形成準備が終了した場合に画像形成ユニット14が通知する準備完了信号を検出した際に、画像形成ユニット14で画像形成準備が終了したと判定する。
ステップS60の判定処理が否定判定の場合にはステップS30に移行し、画像形成ユニット14で画像形成準備が終了するまで、ステップS30〜S60の処理を繰り返しながらZ相信号、クロック信号、及び準備完了信号を監視する。
一方、ステップS60の判定処理が肯定判定の場合にはステップS70に移行する。
ステップS70において、CPU34は、例えばROM36に予め記憶されたラダー画像データを読み込み、時間差カウンタの値をRAM35に記憶する。なお、ラダー画像データは、例えば感光体21の予め定めた回転速度に対して、隣接する線分の間隔が予め定めた間隔となるラダー画像40を記録媒体28に形成するように予め作成された画像データである。
S80において、CPU34は、画像形成ユニット14を制御して、記録媒体28にラダー画像40を形成し、図5に示した調整画像形成処理を終了する。ステップS80の処理の間もZ相信号及びクロック信号は検出されるため、CPU34は、クロック信号を検出する度に時間差カウンタを1つずつ増加させ、Z相信号を検出した場合には時間差カウンタを“0”にリセットする処理を継続する。ただし、ステップS80でのラダー画像40の形成中には時間差カウンタの値はRAM35に記録されずに、単に増減を繰り返すだけである。
調整画像形成処理によってRAM35には、Z相信号を検出してからラダー画像40を記録媒体28に形成し始めるまでの時間差TAを表す時間差カウンタが記録されることになる。具体的には、時間差TAは、時間差カウンタに記録された値と予め定められたクロック信号の周期の積によって表される。
上述したように、ラダー画像データには、記録媒体28に長さLAの第1余白を形成するためのデータも含まれる。
したがって、CPU34は、クロック信号を検出する度に時間差カウンタを1つずつ増加させ、Z相信号を検出した場合に時間差カウンタを“0”にリセットすることで、Z相信号を検出してから第1余白を形成し始めるまでの時間を計測していることになる。
このようにラダー画像データにおいて、記録媒体28に第1余白の形成を指示するためにラダー画像データの先頭に記述されたデータを「ラダー画像データ先頭」という。
図6は、図5に示した調整画像形成処理を実行した場合の、Z相信号、クロック信号、及び時間差カウンタの関係例を示す図である。図6に示すように、時間差カウンタはZ相信号を検出する度に“0”にリセットされる。そして、Z相信号を検出してから第1余白を形成し始めるまでの時間TAに対応した時間差カウンタの値がRAM35に記録される。
このようにして記録媒体28に形成されたラダー画像40は、例えば感光体21の回転速度が予め定めた回転速度に対して変動すると、隣接する線分の間隔も予め定めた間隔からずれることになる。具体的には、感光体21の回転速度が予め定めた回転速度より速くなると、ラダー画像40の隣接する線分の間隔が予め定めた間隔より長くなり、感光体21の回転速度が予め定めた回転速度より遅くなると、ラダー画像40の隣接する線分の間隔が予め定めた間隔より短くなって記録媒体28に記録される。
すなわち、図5に示した調整画像形成処理によって形成されたラダー画像40には、感光体21の予め定めた回転速度に対する速度変動量(以降、「感光体21の速度変動量」という)が記録されていることになる。
したがって、調整画像形成処理によって形成されたラダー画像40を原稿読取ユニット12で読み込み、読み込んだラダー画像40の副走査方向に沿って隣接する線分の間隔を解析することで、感光体21の速度変動量が得られることになる。感光体21の速度変動量が得られると、感光体21の速度変動量を打ち消すように感光体21の回転速度を補正する補正量が生成される。以降、画像形成装置10でユーザ画像を形成する場合、生成した補正量を用いて感光体21の回転速度を補正すれば、感光体21の回転速度が予め定めた回転速度に近づくことになる。
図7は、図5に示した調整画像形成処理によって形成されたラダー画像40を原稿読取ユニット12で読み込み、感光体21の回転速度を補正する補正量を生成する補正量生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。図7の補正量生成処理は、操作表示ユニット11を介して利用者から補正量生成処理の開始指示を受け付けた場合に、CPU34によって実行される。具体的には、補正量生成処理の開始指示を受け付けた場合、CPU34は、例えばROM36に予め記憶された補正量生成処理を規定する補正量生成プログラムを読み出し、読み出した補正量生成プログラムを実行することで、補正量生成処理が実行される。
なお、補正量生成処理を開始するにあたり、原稿台16Aには、調整画像形成処理によってラダー画像40が形成された記録媒体28が載せられているものとする。この場合、原稿読取ユニット12の図示しない光学読取部の主走査方向がラダー画像40の線分の方向に沿うように、且つ、図示しない光学読取部が線分40Aから線分40Bに向かって順にラダー画像40を読み取るように、記録媒体28を原稿台16Aに配置する。
まず、ステップS100において、CPU34は、原稿読取ユニット12を制御して、原稿台16Aに載せられた記録媒体28を図示しない搬送原稿読取ガラス上に搬送し、図示しない光学読取部で、記録媒体28に形成されたラダー画像40を読み取る。
この際、記録媒体28の搬送状況によっては、図8に示すように、記録媒体28の各辺が、例えば矩形に設定された図示しない光学読取部による読み取り画像領域41の各辺と交差して搬送原稿読取ガラス上に配置される場合がある。
図示しない光学読取部による読み取り画像領域41での主走査方向と、ラダー画像40の線分の方向とが異なる状態でラダー画像40を読み取った場合、感光体21の回転方向とは異なる方向に沿った速度変動量を取得することになる。したがって、CPU34は、図示しない光学読取部で読み取ったラダー画像40の先頭に位置する線分40Aの方向が、図示しない光学読取部の主走査方向に近づくように、読み取ったラダー画像40の画像を回転移動させる。
そして、CPU34は、図示しない光学読取部の主走査方向に沿ったラダー画像40の中央部を、副走査方向に向かってラダー画像40の先頭位置を示す線分40Aから後端の線分40Bを含むように設定した矩形42で切り出す。その後、CPU34は、切り出したラダー画像40の両端に位置する線分のうち、何れの線分が線分40Aであるかをラダー画像40に対応付けて、切り出したラダー画像40をRAM35に記憶する。ラダー画像40の両端に位置する線分のうち、何れの線分が線分40Aであるかは、第1余白の長さ等から判別される。
このように図示しない光学読取部で読み取ったラダー画像40から矩形状のラダー画像40を切り出すことにより、ラダー画像40のデータ量が削減され、以降に説明する処理の高速化が期待される。
なお、ラダー画像40の線分の長さが、図示しない光学読取部の主走査方向に沿っているか判定しづらい程度に短い場合には、図5に示した調整画像形成処理において、ラダー画像40の線分40Aと隣接するように、又は予め定めた間隔だけ離れた位置に、ラダー画像40の線分の方向に沿って予め定めた長さ及び幅を有する基準線44を記録媒体28に形成してもよい。
基準線44の長さ及び幅は、図示しない光学読取部で基準線44が検出され、検出された基準線44が図示しない光学読取部の主走査方向に沿っているか判定される程度のものあればよい。
図9は、基準線44の一例を示す図である。図9に示すように、基準線44は、ラダー画像40と重ならないように第1余白に形成される。
読み取ったラダー画像40に基準線44が形成されている場合、線分40Aより基準線44の方が図示しない光学読取部によって鮮明に検出されやすいため、ラダー画像40の先頭位置が取得しやすくなる。また、ラダー画像40の線分40Aを用いて線分40Aが図示しない光学読取部の主走査方向に沿うようにラダー画像40を回転させるよりも、基準線44が図示しない光学読取部の主走査方向に沿うようにラダー画像40を回転させた方が、線分40Aを図示しない光学読取部の主走査方向にあわせやすくなる。
なお、図示しない光学読取部で読み取ったラダー画像40と切り出したラダー画像40を区別して説明する必要がある場合には、切り出したラダー画像40を特に「ラダー画像40C」という場合がある。図示しない光学読取部で読み取ったラダー画像40と切り出したラダー画像40を区別する必要のない場合には、これまで通り「ラダー画像40」と記載する。
ステップS110において、CPU34は、ステップS100で取得したラダー画像40Cを主走査方向に沿って予め定めた幅の領域に分割し、分割した領域に含まれる画素の濃度の平均値を算出する。ここで、濃度の平均値の算出は一例であり、例えば分割した領域に含まれる画素の濃度の最頻値等、他の要約統計量を算出するようにしてもよい。
CPU34は、算出した領域毎の濃度の平均値から、図10に示すようなラダー画像40Cの副走査方向に沿った濃度の変化を示す濃度グラフ45を取得する。ここで、図10の濃度グラフ45の横軸はラダー画像40Cの副走査方向の距離を示し、縦軸は濃度を示す。
濃度グラフ45において、ラダー画像40Cの線分が存在する位置の濃度は、他の位置の濃度に比べて高くなる。
したがって、CPU34は、濃度グラフ45において濃度が極大値となる位置をラダー画像40Cの線分がある位置とみなし、隣接する各々の極大値間の距離を、ラダー画像40Cの隣接する各々の線分の線間距離として算出する。
既に説明したように、感光体21の回転速度が変動しなければ、ラダー画像40Cの線分は副走査方向に予め定めた間隔で形成されることになる。一方、感光体21の回転速度が変動すれば、ラダー画像40Cの隣接する各々の線分の線間距離は、感光体21の速度変動量に応じて予め定めた間隔からずれることになる。
したがって、感光体21の速度変動量は、予め定めた間隔(「線間距離L」とする)と、濃度グラフ45におけるラダー画像40Cの隣接する各々の線分の線間距離との差分によって表されることになる。
図10に示すように、例えばラダー画像40Cに含まれる線分40Dと線分40Eの距離が線間距離LNの場合、記録媒体28に線分40Dが形成された位置から線分40Eが形成された位置まで感光体21が回転した場合の感光体21の速度変動量は、(LN−L)で表される。同様に、例えばラダー画像40Cに含まれる線分40Eと線分40Fの距離が線間距離LN+1の場合、記録媒体28に線分40Eが形成された位置から線分40Fが形成された位置まで感光体21が回転した場合の感光体21の速度変動量は、(LN+1−L)で表される。
このようにしてCPU34は、ラダー画像40Cの先頭位置を示す線分40Aから後端を示す線分40Bまでの各々の線分の線間距離を算出して、ラダー画像40Cの先頭位置を基準とした感光体21の速度変動量を算出する。
なお、ラダー画像40Cを分割する領域の幅をできるだけ短くした方が、濃度グラフ45において濃度が極大値となる位置がより正確に現れるため、感光体21の速度変動量の算出精度が向上することになる。
ステップS120において、CPU34は、ステップS110で算出した感光体21の速度変動量に対して公知の周波数解析を実行し、感光体21の速度変動量に対応した周波数特性(以降、「速度変動特性」という)を取得する。
ステップS110で算出した感光体21の速度変動量には、様々な雑音成分が含まれるため、公知の周波数解析を実行することで、実際の感光体21における速度変動量の変化に近い速度変動特性が取得される。
図11は、感光体21の速度変動量と、当該感光体21の速度変動量に対応する速度変動特性の例を示した図である。図11に示すように、周波数解析を行った後の速度変動特性は、周波数解析を行う前の感光体21の速度変動量に比べて雑音成分が除去され、感光体21の回転周期にあわせて繰り返して変動する速度変動特性の振幅及び位相が明確になっていることがわかる。
ステップS120で取得した速度変動特性は、ラダー画像40の先頭位置を基準とした感光体21の速度変動量を示しているが、画像形成ユニット14でラダー画像40の先頭位置を記録媒体28に形成した際に感光体21がどのような回転位置にあったかは、ラダー画像40からはわからない。
したがって、ステップS130において、CPU34は、ステップS120で取得した速度変動特性を、Z相信号を基準とした速度変動特性に変換し、Z相信号を基準として表される感光体21の各回転位置と、ステップS120で取得した速度変動特性とを対応付け、感光体21の各回転位置における速度変動量を取得する。
図12は、ステップS120で取得した速度変動特性を、Z相信号を基準とした速度変動特性に変換する過程の一例を示す模式図である。
図12に示すように、ラダー画像データ先頭からラダー画像40の先頭位置までは、第1余白の長さLAによって表される。一方、ラダー画像データ先頭からZ相信号までの位相差は、図5のステップS70でRAM35に記憶された時間差カウンタによって表される。
すなわち、ラダー画像データ先頭を形成し始める直前に検出されたZ相信号からラダー画像40の先頭位置までの位相差は、時間差カウンタによって表される時間差TAと、第1余白の長さLAを感光体21の予め定めた回転速度Vで除した時間差TBの和として表される。
したがって、CPU34は、時間差TAと時間差TBとを用いて、ステップS120で取得した速度変動特性を、Z相信号を基準とした位相に変換する。ステップS130の処理によって、ラダー画像40の先頭位置と、Z相信号を基準とした感光体21の回転位置とが対応付けられ、ステップS120で取得した速度変動特性によって、Z相信号を基準とした感光体21の各回転位置における速度変動量が得られることになる。
ステップS140において、CPU34は、ステップS130で取得したZ相信号を基準とした速度変動特性を用いて、フィードフォワード補正テーブル47(以降、「FF補正テーブル47」という)を生成する。
FF補正テーブル47は、感光体21を駆動するモータの応答特性、及びモータの駆動力を感光体21に伝達するギア等を含む駆動系統の応答特性を考慮して、感光体21の速度変動量を打ち消し、感光体21の回転速度が予め定めた回転速度に近づくように作成された、Z相信号を基準とした速度変動特性の位相及び振幅を補正するためのテーブルである。
モータの応答特性及び駆動系統の応答特性からFF補正テーブル47を作成する場合、例えばモータ及び駆動系統の伝達関数を用いる等の公知の手法が適用される。
なお、モータの応答特性及び駆動系統の応答特性は、例えば画像形成装置10の実機による実験や画像形成装置10の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められる。
そして、CPU34は、生成したFF補正テーブル47をRAM35に記憶する。
以上によって図7に示した補正量生成処理を終了する。
次に、画像形成装置10でユーザ画像を記録媒体28に形成する指示を受け付けた場合に、CPU34によって実行されるユーザ画像形成処理について説明する。図13は、ユーザ画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
ユーザ画像形成処理を規定するユーザ画像形成プログラムは、例えばROM36に予め記憶されており、CPU34は、ユーザ画像形成プログラムをROM36から読み出して、ユーザ画像形成処理を実行する。
ステップS200において、CPU34は、図7に示した補正量生成処理のステップS140で生成されたFF補正テーブル47をRAM35から読み込む。
ステップS210において、CPU34は、画像形成ユニット14を制御して、指示されたユーザ画像を記録媒体28に形成する。この際、CPU34は、図14に示すように、ステップS200で取得したFF補正テーブル47を用いて、Z相信号を基準とした速度変動特性46の位相及び振幅を調整した調整信号を生成する。そして、CPU34は、感光体21を回転させる回転信号に調整信号を重畳して生成した入力信号48を、感光体21を駆動するモータに入力する。
したがって、感光体21の速度変動量が打ち消され、図14に示す速度変動量49のように、感光体21の速度変動量が“0”に近づくことになる。
以上によって図13に示したユーザ画像形成処理を終了する。
なお、図5に示した調整画像形成プログラム、図7に示した補正量生成プログラム、及び図13に示したユーザ画像形成プログラムは、画像形成プログラムの一例である。
このように第1実施形態に係る画像形成装置10では、ラダー画像40の線間距離のずれから算出した、Z相信号を基準とした感光体21の各回転位置における速度変動量を用いて、感光体21の速度変動量を補正するFF補正テーブル47を生成する。そして、画像形成装置10は、ユーザ画像を記録媒体28に形成する場合、感光体21の回転速度が予め定めた回転速度に近づくように、FF補正テーブル47を用いて感光体21を駆動するモータの回転速度を補正する。
したがって、FF補正テーブル47を用いずに感光体21を駆動するモータの回転を制御した場合に比べて、モータの速度変動量が小さくなり、記録媒体28に形成されるユーザ画像の品質の劣化が抑制される。
なお、第1実施形態では、画像形成の際に駆動される回転体の例として感光体21を用いて説明を行ったが、感光体21以外の画像形成の際に駆動される回転体、例えば帯電ロール22を駆動するモータ及び現像ロール32を駆動するモータの少なくとも一方に第1実施形態に係る回転速度の補正手法を適用してもよい。更に、画像形成装置10の画像形成ユニット14に中間転写方式が用いられている場合、中間転写ベルトを搬送する搬送ロールを駆動するモータに対して、第1実施形態に係る回転速度の補正手法を適用してもよい。
帯電ロール22、現像ロール32、及び搬送ロールを駆動する各々のモータの回転速度が予め定めた回転速度から変動する場合にも、速度変動量に応じてラダー画像40の線間距離が変動する。したがって、ラダー画像40の線間距離から帯電ロール22等の回転体の速度変動量が得られることになる。
したがって、図7のステップS140で、Z相信号を基準とした速度変動特性を用いて、制御対象となる回転体に対するFF補正テーブル47を生成し、ユーザ画像を形成する場合に、生成したFF補正テーブル47を参照して、制御対象となる回転体を駆動するモータの回転を制御すればよい。
<第2実施形態>
第1実施形態では、調整画像の一例としてラダー画像40を用いて回転体の速度変動量を補正したが、第2実施形態では調整画像の一例としてハーフトーン画像60を用いることで、回転体の速度変動量を補正する画像形成装置10Aについて説明する。
画像形成装置10Aも図1に示した第1実施形態に係る画像形成装置10と同じく、操作表示ユニット11、原稿読取ユニット12、画像形成ユニット14、及び用紙収容部17を含む。したがって、画像形成装置10Aにおける電気系統の要部構成例も画像形成装置10と同じく、図3によって表される。
制御部30は、操作表示ユニット11を介して利用者から調整画像形成モードの開始指示を受け付けると、例えば図5に示した調整画像形成処理を実行する。
ただし、制御部30は、図5のステップS80において、図4に示したラダー画像40の代わりに、図15に示すハーフトーン画像60を記録媒体28に形成する。
図15に示すように、ハーフトーン画像60は、予め定めた濃度(例えば50%濃度)の単色で塗りつぶされた画像である。
ラダー画像40と同様に、ハーフトーン画像60が形成された記録媒体28の副走査方向に沿った搬送方向下流側の辺28Aから見て、最初に位置するハーフトーン画像60の前端60A(ハーフトーン画像60の先頭位置)までの距離、すなわち第1余白の長さLAは予め定められている。
そして、調整画像形成モードでは、ハーフトーン画像60の後端60Bから見て、記録媒体28の副走査方向に沿った搬送方向上流側の辺28Bまでの第2余白の長さLBと、第1余白の長さLAとが異なるハーフトーン画像60を記録媒体28に形成することで、ハーフトーン画像60が形成された記録媒体28を利用者が見た場合に、記録媒体28の搬送方向下流側の辺28A、すなわち、ハーフトーン画像60を記録媒体28に形成し始めた側の端部がわかるようになっている。
なお、記録媒体28におけるハーフトーン画像60の形成方向を示すため、第1余白に予め定めた記号又は文字を付してもよい。
記録媒体28に形成されたハーフトーン画像60の濃度は、例えば感光体21の回転速度が予め定めた回転速度に対して変動すると、予め定めた濃度からずれることになる。具体的には、感光体21の回転速度が予め定めた回転速度より速くなると、ハーフトーン画像60の濃度が予め定めた濃度より薄くなり、感光体21の回転速度が予め定めた回転速度より遅くなると、ハーフトーン画像60の濃度が予め定めた濃度より濃くなる傾向が見られる。
すなわち、図5に示した調整画像形成処理によって形成されたハーフトーン画像60には、感光体21の速度変動に伴う濃度変動量が記録されていることになる。
したがって、調整画像形成処理によって形成されたハーフトーン画像60を原稿読取ユニット12で読み込み、読み込んだハーフトーン画像60の副走査方向に沿った濃度変動量を解析することで、感光体21の速度変動に伴う濃度変動量が得られることになる。感光体21の速度変動に伴う濃度変動量が得られると、濃度変動量から感光体21の速度変動量を対応付けることができるため、感光体21の速度変動量を打ち消すように感光体21の回転速度を補正する補正量が生成される。以降、画像形成装置10Aでユーザ画像を形成する場合、生成した補正量を用いて感光体21の回転速度を補正すれば、感光体21の回転速度が予め定めた回転速度に近づくことになる。
ここでは一例として、濃度が50%のハーフトーン画像60を記録媒体28に形成したが、ハーフトーン画像60の濃度は、ハーフトーン画像60に感光体21の速度変動に伴う濃度変動量が記録されるような濃度であれば、特に制約はない。ハーフトーン画像60の濃度が濃くなり過ぎても、薄くなり過ぎても感光体21の速度変動に伴う濃度変動量が記録されにくくなるため、具体的には、おおよそ40%以上60%以下の濃度を有するハーフトーン画像60を記録媒体28に形成することが好ましい。
図16は、図5に示した調整画像形成処理によって形成されたハーフトーン画像60を原稿読取ユニット12で読み込み、感光体21の回転速度を補正する補正量を生成する補正量生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。図16の補正量生成処理は、操作表示ユニット11を介して利用者から補正量生成処理の開始指示を受け付けた場合に、CPU34によって実行される。具体的には、補正量生成処理の開始指示を受け付けた場合、CPU34は、例えばROM36に予め記憶された補正量生成処理を規定する補正量生成プログラムを読み出し、読み出した補正量生成プログラムを実行することで、補正量生成処理が実行される。
まず、ステップS100Aにおいて、CPU34は、図7のステップS100と同様に、原稿読取ユニット12を制御して、第1余白から読み込まれるように原稿台16Aに載せられた、ハーフトーン画像60が形成された記録媒体28を、図示しない搬送原稿読取ガラス上に搬送し、図示しない光学読取部でハーフトーン画像60を読み取る。
CPU34は、図示しない光学読取部で読み取られたハーフトーン画像60の前端60Aが図示しない光学読取部の主走査方向に近づくように、読み取ったハーフトーン画像60の画像を回転移動させる。
そして、CPU34は、図示しない光学読取部の主走査方向に沿ったハーフトーン画像60の中央部を、前端60Aから後端60Bを含むように設定した矩形42で切り出し、切り出したハーフトーン画像60をRAM35に記憶する。
この際、CPU34は、切り出したハーフトーン画像60の副走査方向に沿った両端のうち、何れの端部が前端60Aであるかを示す情報をハーフトーン画像60と対応付けてRAM35に記憶する。切り出したハーフトーン画像60の副走査方向に沿った両端のうち、何れの端部が前端60Aであるかは、第1余白の長さ等から判別される。
なお、ハーフトーン画像60の先頭位置である前端60Aが判定しづらい場合、及びハーフトーン画像60の主走査方向に沿った長さが短く、ハーフトーン画像60を回転移動させた際に、ハーフトーン画像60の前端60Aが図示しない光学読取部の主走査方向に近づいているか判定しづらい場合には、図17に示すように、ハーフトーン画像60の前端60Aと隣接するように、又は前端60Aから副走査方向に沿って予め定めた間隔だけ離れた位置に、ハーフトーン画像60の前端60Aに沿って予め定めた長さ及び幅を有する基準線44を記録媒体28の第1余白に形成してもよい。
ステップS110Aにおいて、CPU34は、ステップS100Aで取得したハーフトーン画像60を、原稿読取ユニット12の図示しない光学読取部の主走査方向に沿って予め定めた幅の領域に分割し、分割した領域に含まれる画素の濃度の平均値を算出する。ここで、濃度の平均値の算出は一例であり、例えば分割した領域に含まれる画素の濃度の最頻値等、他の要約統計量を算出するようにしてもよい。
そして、CPU34は、ハーフトーン画像60の予め定めた濃度と、分割した領域における濃度の平均値との差分を、感光体21の速度変動に伴う濃度変動量として算出する。
ステップS120Aにおいて、CPU34は、図7のステップS120と同様に、ステップS110Aで算出した濃度変動量に対して公知の周波数解析を実行し、濃度変動量に対応した周波数特性(以降、「濃度変動特性」という)を取得する。
ステップS130Aにおいて、CPU34は、図7のステップS130と同様に、ハーフトーン画像60を記録媒体28に形成する際に図5のステップS70でRAM35に記憶された時間差カウンタの値と第1余白の長さLAを用いて、ステップS120Aで取得した濃度変動特性を、Z相信号を基準とした濃度変動特性に変換し、Z相信号を基準として表される感光体21の各回転位置と、ステップS120Aで取得した濃度変動特性とを対応付け、感光体21の各回転位置における濃度変動量を取得する。
ステップS140Aにおいて、CPU34は、ステップS130Aで取得したZ相信号を基準とした濃度変動特性を用いて、感光体21の速度変動量を打ち消すように感光体21の回転速度を補正するFF補正テーブル47を生成する。
具体的には、CPU34は、画像の濃度変動量と感光体21の速度変動量との対応関係を示す予め定めた変換テーブルを参照して、Z相信号を基準とした濃度変動特性からZ相信号を基準とした感光体21の各回転位置における速度変動量を算出する。そして、CPU34は、感光体21を駆動するモータの応答特性、及びモータの駆動力を感光体21に伝達するギア等を含む駆動系統の応答特性を考慮して、感光体21の速度変動量を打ち消すように、Z相信号を基準とした感光体21の各回転位置における回転速度の補正量を規定したFF補正テーブル47を生成する。
なお、画像の濃度変動量と感光体21の速度変動量との対応関係を示す変換テーブル、並びに、モータの応答特性及び駆動系統の応答特性は、例えば画像形成装置10Aの実機による実験や画像形成装置10Aの設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められる。
そして、CPU34は、生成したFF補正テーブル47をRAM35に記憶し、図16に示した補正量生成処理を終了する。
なお、図16に示した補正量生成プログラムは、画像形成プログラムの一例である。
画像形成装置10Aでユーザ画像を記録媒体28に形成する指示を受け付けた場合、CPU34は、図13に示したユーザ画像形成処理を実行して、感光体21の速度変動量を打ち消す。この場合、図13のステップS200では、図7のステップS140で生成したFF補正テーブル47の代わりに、図16のステップS140Aで生成したFF補正テーブル47をRAM35から読み込むことになる。
このように第2実施形態に係る画像形成装置10Aでは、ハーフトーン画像60の濃度変動量から算出した、Z相信号を基準とする感光体21の各回転位置における速度変動量を用いて、感光体21の速度変動量を補正するFF補正テーブル47を生成する。そして、画像形成装置10Aは、ユーザ画像を記録媒体28に形成する場合、生成したFF補正テーブル47を参照して感光体21を駆動するモータの回転を制御する。
したがって、FF補正テーブル47を用いずに感光体21を駆動するモータの回転を制御した場合に比べて、モータの速度変動量が小さくなり、記録媒体28に形成されるユーザ画像の品質の劣化が抑制される。
なお、第2実施形態では、画像形成の際に駆動される回転体の例として感光体21を用いて説明を行ったが、感光体21以外の画像形成の際に駆動される回転体、例えば帯電ロール22を駆動するモータ及び現像ロール32を駆動するモータの少なくとも一方に第2実施形態に係る回転速度の補正手法を適用してもよい。更に、画像形成装置10Aの画像形成ユニット14に中間転写方式が用いられている場合、中間転写ベルトを搬送する搬送ロールを駆動するモータに対して、第2実施形態に係る回転速度の補正手法を適用してもよい。
<第2実施形態の変形例1>
上述した第2実施形態に係る画像形成装置10Aでは、ハーフトーン画像60に現れる濃度変動が、画像形成の際に駆動される回転体の速度変動に起因するものであるとみなし、ハーフトーン画像60の濃度変動量から回転体の速度変動量を補正するFF補正テーブル47を生成した。
しかし、ハーフトーン画像60に現れる濃度変動は、書き込みヘッド23から感光体21に照射される光の光量の変動によっても生じる場合がある。書き込みヘッド23から照射される光の光量の変動は、例えばLEDプリントヘッドの劣化、或いはLEDプリントヘッドに供給される電圧の変動等の要因によって生じる。
したがって、画像形成装置10AのCPU34は、図16に示した補正量生成処理のステップS140Aにおいて、ステップS130Aで取得したZ相信号を基準とした濃度変動特性を用いて、ハーフトーン画像60の濃度変動量を打ち消すように書き込みヘッド23から照射される光の光量を補正するFF補正テーブル47を生成してもよい。
具体的には、CPU34は、画像の濃度変動量と、当該濃度変動量を生じさせる書き込みヘッド23の光量との対応関係を示す予め定めた変換テーブルを参照して、ハーフトーン画像60の濃度変動量を打ち消すように、Z相信号を基準とした感光体21の各回転位置において書き込みヘッド23から照射する光の光量の補正量を規定したFF補正テーブル47を生成する。
なお、画像の濃度変動量と書き込みヘッド23の光量との対応関係を示す変換テーブルは、例えば画像形成装置10Aの実機による実験や画像形成装置10Aの設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められる。
そして、CPU34は、生成したFF補正テーブル47をRAM35に記憶する。
画像形成装置10Aでユーザ画像を記録媒体28に形成する指示を受け付けた場合、CPU34は、図13に示したユーザ画像形成処理を実行し、書き込みヘッド23の光量を補正するFF補正テーブル47を用いて、書き込みヘッド23から感光体21に照射する光の光量を補正する。すなわち、本来のユーザ画像の濃度と、記録媒体28に形成されたユーザ画像の濃度との差が小さくなるように書き込みヘッド23の光量が制御される。
この場合、図13のステップS200では、図7のステップS140で生成した、回転体の回転速度の補正量を規定したFF補正テーブル47の代わりに、書き込みヘッド23から照射する光の光量の補正量を規定したFF補正テーブル47をRAM35から読み込むことになる。
このように第2実施形態の変形例1に係る画像形成装置10Aでは、ハーフトーン画像60の濃度変動量を用いて、Z相信号を基準とした感光体21の各回転位置において書き込みヘッド23から照射される光量を補正するFF補正テーブル47を生成する。そして、画像形成装置10Aは、ユーザ画像を記録媒体28に形成する場合、生成したFF補正テーブル47を参照して書き込みヘッド23の光量を制御する。
したがって、FF補正テーブル47を用いずに書き込みヘッド23の光量を制御した場合に比べて、本来のユーザ画像の濃度と記録媒体28に形成されるユーザ画像の濃度との差が小さくなり、記録媒体28に形成されるユーザ画像の品質の劣化が抑制される。
<第2実施形態の変形例2>
ハーフトーン画像60に現れる濃度変動は、書き込みヘッド23から感光体21に照射される光の光量の変動だけでなく、例えば現像バイアス電源25の電圧変動によっても生じる場合がある。
これは、現像バイアス電源25の電圧が予め定めた電圧の大きさから変動すると、回転しながら現像ロール32に接触する感光体21に形成されたハーフトーン画像60に対応する静電潜像に付着するトナーの量が変動するためである。
したがって、画像形成装置10AのCPU34は、図16に示した補正量生成処理のステップS140Aにおいて、ステップS130Aで取得したZ相信号を基準とした濃度変動特性を用いて、ハーフトーン画像60の濃度変動量を打ち消すように現像バイアス電源25から供給する電圧を補正するFF補正テーブル47を生成してもよい。
具体的には、CPU34は、画像の濃度変動量と、当該濃度変動量を生じさせる現像バイアス電源25の電圧との対応関係を示す予め定めた変換テーブルを参照して、ハーフトーン画像60の濃度変動量を打ち消すような、Z相信号を基準とした感光体21の各回転位置において現像バイアス電源25から現像ロール32に供給する電圧の補正量を規定したFF補正テーブル47を生成する。
なお、画像の濃度変動量と現像バイアス電源25の電圧との対応関係を示す変換テーブルは、例えば画像形成装置10Aの実機による実験や画像形成装置10Aの設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められる。
そして、CPU34は、生成したFF補正テーブル47をRAM35に記憶する。
画像形成装置10Aでユーザ画像を記録媒体28に形成する指示を受け付けた場合、CPU34は、図13に示したユーザ画像形成処理を実行し、現像バイアス電源25の電圧を補正するFF補正テーブル47を用いて現像バイアス電源25から現像ロール32に供給する電圧を補正する。すなわち、本来のユーザ画像の濃度と、記録媒体28に形成されたユーザ画像の濃度との差が小さくなるように、現像バイアス電源25の電圧が制御される。
この場合、図13のステップS200では、図7のステップS140で生成した、回転体の回転速度の補正量を規定したFF補正テーブル47の代わりに、現像バイアス電源25から現像ロール32に供給する電圧の補正量を規定したFF補正テーブル47をRAM35から読み込むことになる。
このように第2実施形態の変形例2に係る画像形成装置10Aでは、ハーフトーン画像60の濃度変動量を用いて、Z相信号を基準とした感光体21の各回転位置において現像バイアス電源25から現像ロール32に供給される電圧を補正するFF補正テーブル47を生成する。そして、画像形成装置10Aは、ユーザ画像を記録媒体28に形成する場合、生成したFF補正テーブル47を参照して現像バイアス電源25の電圧を制御する。
したがって、FF補正テーブル47を用いずに現像バイアス電源25の電圧を制御した場合に比べて、本来のユーザ画像の濃度と記録媒体28に形成されるユーザ画像の濃度との差が小さくなり、記録媒体28に形成されるユーザ画像の品質の劣化が抑制される。
<第2実施形態の変形例3>
ハーフトーン画像60に現れる濃度変動は、感光体21の表面を帯電する帯電ロール22に電圧を印加する帯電バイアス電源33の電圧変動によっても生じる場合がある。
これは、帯電バイアス電源33の電圧が予め定めた電圧の大きさから変動すると、回転しながら帯電ロール22に接触する感光体21表面の帯電量が位置毎に異なるため、ハーフトーン画像60に対応する静電潜像に付着するトナー量も変動するためである。
したがって、画像形成装置10AのCPU34は、図16に示した補正量生成処理のステップS140Aにおいて、ステップS130Aで取得したZ相信号を基準とした濃度変動特性を用いて、ハーフトーン画像60の濃度変動量を打ち消すように帯電バイアス電源33から供給する電圧を補正するFF補正テーブル47を生成してもよい。
具体的には、CPU34は、画像の濃度変動量と、当該濃度変動量を生じさせる帯電バイアス電源33の電圧との対応関係を示す予め定めた変換テーブルを参照して、ハーフトーン画像60の濃度変動量を打ち消すような、Z相信号を基準とした感光体21の各回転位置において帯電バイアス電源33から帯電ロール22に供給する電圧の補正量を規定したFF補正テーブル47を生成する。
なお、画像の濃度変動量と帯電バイアス電源33の電圧との対応関係を示す変換テーブルは、例えば画像形成装置10Aの実機による実験や画像形成装置10Aの設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められる。
そして、CPU34は、生成したFF補正テーブル47をRAM35に記憶する。
画像形成装置10Aでユーザ画像を記録媒体28に形成する指示を受け付けた場合、CPU34は、図13に示したユーザ画像形成処理を実行し、帯電バイアス電源33の電圧を補正するFF補正テーブル47を用いて、帯電バイアス電源33から帯電ロール22に供給する電圧を補正する。すなわち、本来のユーザ画像の濃度と、記録媒体28に形成されたユーザ画像の濃度との差が小さくなるように、帯電バイアス電源33の電圧が制御される。
この場合、図13のステップS200では、図7のステップS140で生成した、回転体の回転速度の補正量を規定したFF補正テーブル47の代わりに、帯電バイアス電源33から帯電ロール22に供給する電圧の補正量を規定したFF補正テーブル47を、RAM35から読み込むことになる。
このように第2実施形態の変形例3に係る画像形成装置10Aでは、ハーフトーン画像60の濃度変動量を用いて、Z相信号を基準とした感光体21の各回転位置において帯電バイアス電源33から帯電ロール22に供給される電圧を補正するFF補正テーブル47を生成する。そして、画像形成装置10Aは、ユーザ画像を記録媒体28に形成する場合、生成したFF補正テーブル47を参照して帯電バイアス電源33の電圧を制御する。
したがって、FF補正テーブル47を用いずに帯電バイアス電源33の電圧を制御した場合に比べて、本来のユーザ画像の濃度と記録媒体28に形成されるユーザ画像の濃度との差が小さくなり、記録媒体28に形成されるユーザ画像の品質の劣化が抑制される。
以上、各実施形態を用いて開示の技術について説明したが、開示の技術は各実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の技術の要旨を逸脱しない範囲で各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も開示の技術の技術的範囲に含まれる。例えば、開示の技術の要旨を逸脱しない範囲で処理の順序を変更してもよい。
例えば、開示の技術では、原稿読取ユニット12でラダー画像40及びハーフトーン画像60を読み込むようにしたが、一眼レフカメラ、スマートフォン付属のカメラ、又は携帯用スキャナー等で読み込み、通信回線を介して画像形成装置に送信するようにしても良い。
また、各実施形態では、図5に示した調整画像形成処理、図7に示したラダー画像40を用いた補正量生成処理、図13に示したユーザ画像形成処理、及び図16に示したハーフトーン画像60を用いた補正量生成処理をソフトウエアで実現する形態について説明したが、例えば図5、図7、図13、及び図16に示した各処理をハードウエアで処理させるようにしてもよい。この場合、各処理をソフトウエアで実現する場合に比べて、処理の高速化が図られる。
また、実施の形態では、画像形成プログラムがROM36にインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。開示の技術に係る画像形成プログラムを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録された形態で提供してもよい。例えば、開示の技術に係る画像形成プログラムを、CD(Compact Disc)−ROM、及びDVD(Digital Versatile)−ROM等の光ディスクに記録された形態、又はUSBメモリ及びメモリカード等の可搬型記憶媒体に記録された形態で提供してもよい。また、開示の技術に係る画像形成プログラムを、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等に記録された形態で提供してもよい。また、画像形成装置が通信装置によって通信回線に接続されている場合、開示の技術に係る画像形成プログラムを、通信回線を介して取得するようにしてもよい。