JP2018113617A - 弾性波デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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史弥 松倉
Fumiya Matsukura
史弥 松倉
宮下 勉
Tsutomu Miyashita
勉 宮下
中村 健太郎
Kentaro Nakamura
中村  健太郎
松田 隆志
Takashi Matsuda
隆志 松田
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Abstract

【課題】弾性波デバイスの性能を向上させること。
【解決手段】本願発明は、ニオブ酸リチウム基板またはタンタル酸リチウム基板である圧電基板10と、前記圧電基板10上に設けられたRu膜と前記Ru膜上に設けられたCu膜とを有する弾性波を励振する複数の電極指14と、前記圧電基板10上に、前記複数の電極指14を覆い前記複数の電極指14の間を埋め込むように設けられた誘電体膜15と、を具備する弾性波デバイスである。
【選択図】図2

Description

本発明は、弾性波デバイスおよびその製造方法に関し、例えばIDTを有する弾性波デバイスおよびその製造方法に関する。
携帯電話を代表とする高周波通信用システムにおいて、通信に使用する周波数帯以外の不要な信号を除去するために高周波フィルタ等が用いられている。高周波フィルタ等には、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)共振器等の弾性波共振器が用いられている。弾性表面波共振器においては、ニオブ酸リチウム基板またはタンタル酸リチウム基板等の圧電基板上に複数の電極指を有するIDT(Interdigital Transducer)が設けられている。
圧電基板上に、複数の電極指を覆うように誘電体膜を設けることが知られている。誘電体膜は、複数の電極指の保護膜としての機能および/または周波数温度特性を補償する温度補償膜として機能する。電極指の材料は誘電体膜に比べ音響インピーダンスが十分大きくかつ電気抵抗率の小さいことが好ましい。このため、電極指としてCu(銅)膜等が用いられている。
タンタル酸リチウム基板上に複数の電極指をエッチング法を用い形成するときに、タンタル酸リチウム基板がエッチングされないように、RuまたはRuO膜を用いることが知られている(例えば特許文献1)。
特開2003−188673号公報
電極指を覆う誘電体膜を有する弾性波デバイスにおいて、電極指にCuを用いることで損失等を低減できる。しかしながら、弾性波デバイスの性能の向上は十分ではない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、弾性波デバイスの性能を向上させることを目的とする。
本発明は、ニオブ酸リチウム基板またはタンタル酸リチウム基板である圧電基板と、前記圧電基板上に設けられたRu膜と前記Ru膜上に設けられたCu膜とを有する弾性波を励振する複数の電極指と、前記圧電基板上に、前記複数の電極指を覆い前記複数の電極指の間を埋め込むように設けられた誘電体膜と、を具備する弾性波デバイスである。
上記構成において、前記Ru膜と前記Cu膜との界面における前記複数の電極指の側面の傾きは連続である構成とすることができる。
上記構成において、前記Ru膜と前記Cu膜との界面における前記複数の電極指の側面は平面である構成とすることができる。
上記構成において、前記Ru膜と前記Cu膜の界面は前記複数の電極指の側面に露出しない構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電基板はニオブ酸リチウム基板である構成とすることができる。
上記構成において、前記誘電体膜は、酸化シリコン膜またはフッ素を添加した酸化シリコン膜である構成とすることができる。
上記構成において、前記Ru膜は前記Cu膜より薄い構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の電極指は、前記Cu膜上に設けられたCu以外の金属膜を有する構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の電極指を含むフィルタを具備する構成とすることができる。
上記構成において、前記フィルタを含むマルチプレクサを具備する構成とすることができる。
本発明は、ニオブ酸リチウム基板またはタンタル酸リチウム基板である圧電基板上に、Ru膜と前記Ru膜上に設けられたCu膜とを有する弾性波を励振する複数の電極指をリフトオフ法を用い形成する工程と、前記圧電基板上に、前記複数の電極指を覆い前記複数の電極指の間を埋め込むように誘電体膜を形成する工程と、を含む弾性波デバイスの製造方法である。
本発明によれば、弾性波デバイスの性能を向上させることができる。
図1(a)は弾性表面波共振器の平面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。 図2は、実施例1および比較例1における電極指付近の断面図である。 図3は、実施例1および比較例1における深さに対する歪エネルギーを示す図である。 図4は、実施例1および比較例1における周波数に対するQ値を示す図である。 図5(a)および図5(b)は、それぞれ比較例1および実施例1における電極指と圧電基板との界面の模式図である。 図6は、実施例1および比較例1における瞬時破壊電力を示す図である。 図7(a)から図7(d)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。 図8(a)から図8(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。 図9(a)から図9(c)は、実施例1における電極指の断面図である。 図10(a)および図10(b)は、比較例2に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。 図11(a)は、実施例2に係るフィルタの平面図、図11(b)は、図11(a)のA−A断面図である。 図12は、実施例2の変形例に係るデュプレクサの回路図である。
以下、図面を参照し実施例について説明する。
図1(a)は弾性表面波共振器の平面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。図1(a)および図1(b)に示すように、弾性表面波共振器24は、IDT20と反射器22を有する。IDT20および反射器22は、圧電基板10上に形成された金属膜12により形成される。IDT20は、対向する一対の櫛型電極18を備える。櫛型電極18は、複数の電極指14と、複数の電極指14が接続されたバスバー16を備える。一対の櫛型電極18は、電極指14がほぼ互い違いとなるように、対向して設けられている。圧電基板10上に電極指14を覆うように誘電体膜15が設けられている。
IDT20が励振する弾性波は、主に電極指14の配列方向に伝搬する。電極指14のピッチがほぼ弾性波の波長λとなる。弾性波の伝搬方向をX方向、伝搬方向に直交する方向をY方向とする。X方向およびY方向は、圧電基板10の結晶方位のX軸方向およびY軸方向とは必ずしも対応しない。圧電基板10は、タンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である。誘電体膜15は、弾性表面波共振器の周波数温度特性を抑制するための温度補償膜であり、例えば酸化シリコン膜またはフッ素が添加された酸化シリコン膜である。
誘電体膜15を設けない弾性表面波共振器では、金属膜12としてAl(アルミニウム)膜が用いられている。Alは音響インピーダンスが小さい。このため、誘電体膜15を設けると、誘電体膜15と電極指14との音響インピーダンスの差が小さくなる。これにより、電極指14における弾性波の反射係数が小さくなってしまう。一方、Cuは音響インピーダンスがAlより大きい。このため、誘電体膜15と電極指14との音響インピーダンスの差が大きくなり、電極指における弾性波の反射係数が大きくなる。これにより広帯域な弾性波デバイスを実現できる。
また、CuはAlに比べ低抵抗であることから電極指14が低抵抗化できる。さらに、CuはAlに比べマイクレーション耐性が高い。さらに、CuはAlより密度が高いため、電極指14を薄くでき電極指14の弾性的な損失を低減できる。
低抵抗のCu膜を直接圧電基板10上に直接設けると、大電力の高周波信号が入力する動作時にCu膜に応力が加わるおよび/またはCu膜が発熱する。このため、Cuのマイグレーションが生じる。これにより、弾性波デバイスの耐電力性能が低下する。耐電力性能を向上させるため、Cu膜と圧電基板10との間にCuより耐熱性のある金属膜を設ける。これにより、弾性波デバイスの耐電力性能を向上できる。実施例1では、Cu膜と圧電基板10との間の膜としてRu膜を用い、比較例1では、Ti膜を用いた。
図2は、実施例1および比較例1における電極指付近の断面図である。図2に示すように、圧電基板10上に金属膜12が設けられている。金属膜12を覆うように誘電体膜15が設けられている。金属膜12は、積層された金属膜12a、12bおよび12cを含む。金属膜12aは、圧電基板10上に設けられている。金属膜12bは金属膜12a上に設けられている。金属膜12cは、金属膜12b上に設けられている。金属膜12aは、耐電力性能を向上させるための膜である。金属膜12bはCu膜である。金属膜12cは、電極指14以外において誘電体膜15にウェットエッチングで開口を設けるときのエッチングストッパである。誘電体膜15の上面は平坦である。
図2のA−A線における反共振周波数の歪エネルギーを実施例1および比較例1についてシミュレーションした。シミュレーション条件は以下である。
実施例1および比較例1共通の条件
圧電基板10:127.86°回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム基板
電極指14のピッチ:4.17μm
誘電体膜15:電極指14間における膜厚が1250nmの酸化シリコン膜
実施例1
金属膜12a:膜厚が28nmのRu膜
金属膜12b:膜厚が235nmのCu膜
金属膜12c:膜厚が10nmのCr膜
比較例1
金属膜12a:膜厚が78nmのTi膜
金属膜12b:膜厚が235nmのCu膜
金属膜12c:膜厚が10nmのCr膜
RuおよびTiのバルクでのヤング率はそれぞれ約420GPaおよび120GPaである。Ruのヤング率はTiより大きい。実施例1と比較例1とで音速を合わせるため、実施例1のRu膜を比較例1のTi膜より薄くした。
図3は、実施例1および比較例1における深さに対する歪エネルギーを示す図である。歪エネルギーの単位はJ(ジュール)である。深さが0μmは、圧電基板10と金属膜12との界面を示している。深さが負は圧電基板10内を示し、正は電極指14内を示す。図の上のTi、Cu、CrおよびSiOは、比較例1におけるTi膜、Cu膜、Cr膜および誘電体膜15内を示す。図の下のRu、Cu、CrおよびSiOは、実施例1におけるRu膜、Cu膜、Cr膜および誘電体膜15内を示す。
図3に示すように、実施例1では比較例1より電極指14内の歪エネルギーが小さい。これは、RuがTiよりヤング率が大きいためと考えられる。歪エネルギーが大きいと弾性波のエネルギーが歪みエネルギーとなり弾性波の損失が大きくなる。実施例1では、電極指14内の歪エネルギーが小さく、弾性波の損失を小さくできる。
次に実施例1および比較例1の弾性表面波共振器を作製した。作製条件は以下である。
電極指14の対数:55対
開口長:35λ
反射器22の対数:10対
共振器:アポタイズ型
その他の条件はシミュレーションと同じであり説明を省略する。
実施例1と比較例1について金属膜12のシート抵抗を測定した。以下に測定結果を示す。
実施例1:78.3Ω/□
比較例1:96.5Ω/□
実施例1では比較例1よりシート抵抗が約20%低い。これは、比較例1では、TiとCuとが反応しているためと考えられる。
実施例1および比較例1についてQ値を測定した。図4は、実施例1および比較例1における周波数に対するQ値を示す図である。図4に示すように、実施例1は比較例1に比べQ値が高い。共振周波数frと反共振周波数faとの間のQ値を平均すると以下となった。
実施例1のQ値の平均:1441
比較例1のQ値の平均:1233
以上のように、実施例1では比較例1に比べ、約20%Q値を向上できる。これは、図3のシミュレーションのように、実施例1は比較例1に比べ歪エネルギーが小さいためと考えられる。
電極指14は、誘電体膜15の成膜工程およびパッケージへ実装するときのリフロー工程において数100℃の高温となる。また、弾性表面波共振器の動作時の発熱に曝される。このような高温により、金属膜12aと圧電基板10との拡散が問題となる。
図5(a)および図5(b)は、それぞれ比較例1および実施例1における電極指と圧電基板との界面の模式図である。図5(a)に示すように、比較例1では、金属膜12a内に圧電基板10の原子が熱拡散した領域50と圧電基板10内にTi原子が熱拡散した領域52が形成される。領域50および52の全体の厚さは例えば数nmである。領域50および52が形成されると、電極指14が実質的に圧電基板10に埋め込まれることなる。領域50および52により、圧電基板10の表面における絶縁抵抗が実質的に低下する。これにより、弾性波デバイスが動作するときに、電極指14間で絶縁破壊が生じ動作不良の原因となる場合がある。
図5(b)に示すように、実施例1では膜厚が1nm以上の拡散領域はほとんど観察されない。電極指14と圧電基板10との界面と、電極指14間の誘電体膜15と圧電基板10との界面は実質的に(例えば1nm程度の範囲では)同一平面である。よって、比較例1のような絶縁不良による動作不良は抑制される。なお、図5(a)および図5(b)のような界面はTEM(Transmission Electron Microscope)を用い観察できる。
絶縁不良の影響を調査するため、実施例1および比較例1の弾性表面波共振器に周波数が855MHzの高周波信号を印加し、瞬時に破壊される瞬時破壊電力を測定した。図6は、実施例1および比較例1における瞬時破壊電力を示す図である。図6に示すように、比較例1では瞬時破壊電力は約0.95Wに対し、実施例1では約1.12Wである。実施例1では比較例1に比べ瞬時破壊電力が約17%向上している。このように、実施例1では、比較例1に比べ耐電力性能を向上できる。実施例1において耐電力性能を向上できる一因は図5(b)のように、Ru原子の圧電基板10への拡散がほとんどないためと考えられる。
[実施例1の製造方法]
図7(a)から図8(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。図7(a)に示すように、圧電基板10上にフォトレジスト40を塗布する。その後ベークする。フォトレジスト40は例えばポジ型である。図7(b)に示すように、フォトマスク42を介しフォトレジスト40に露光光43を照射する。フォトレジスト40内の領域40aが感光する。図7(c)に示すように、フォトレジスト40を現像することで領域40aが除去され開口41が形成される。図7(d)に示すように、真空蒸着法またはスパッタリング法を用い、開口41内の圧電基板10上およびフォトレジスト40上に金属膜12を形成する。金属膜12は、圧電基板10側からRu膜、Cu膜およびCr膜の積層膜である。
図8(a)に示すように、フォトレジスト40を除去することでフォトレジスト40上の金属膜12をリフトオフする。これにより、圧電基板10上に金属膜12が形成される。リフトオフを容易に行うためには、図7(d)において開口41内のフォトレジスト40の側面に金属膜12が形成されないことが好ましい。このため、図7(d)の工程には、原子の直進性の高い成膜方法として真空蒸着法を用いることが好ましい。
図8(b)に示すように、圧電基板10上に金属膜12を覆うように誘電体膜15を形成する。誘電体膜15は例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはスパッタリング法を用いる。図8(c)に示すように、誘電体膜15の上面を平坦化する。平坦化には例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いる。
図9(a)から図9(c)は、実施例1における電極指の断面図である。図9(a)に示すように、金属膜12をリフトオフ法を用い形成すると、金属膜12の側面は平面(断面視において直線)となる。これは、図7(d)において、フォトレジスト40に入射する様々な入射角の金属原子のうち、圧電基板10に対し垂直に近い入射角を有する金属原子のみが開口41内の圧電基板10の表面に達するためである。例えば、図7(d)において矢印44の範囲の入射角を有する金属原子のみが圧電基板10の上面に達する。それ以外の入射角の金属原子はフォトレジスト40の上に付着する。金属膜12の側面と圧電基板10の上面とのなす角度θ1は、ほぼ矢印44の入射角度となる。このため、金属膜12aから12bによらず、金属膜12の側面はほぼ平面となる。よって、金属膜12aと12bの界面における電極指14の側面の傾きはほぼ一定となる。角度θ1は、図7(d)におけるフォトレジスト40の膜厚と開口41の幅に依存するが、例えば70°から80°である。
図9(b)に示すように、電極指14の側面近くでは、金属膜12aが薄くなり、金属膜12aと12bとの界面が領域56のように傾斜することもある。この場合においても、金属膜12aと12bの界面における電極指14の側面の傾きはほぼ一定となる。図9(c)に示すように、金属膜12aと12bとの界面が領域56のようにより傾斜することもある。この場合、金属膜12aと12bとの界面は電極指14の側面に露出しなくてもよい。
金属膜12cは、電極指14以外の領域において、誘電体膜15をエッチングするときのエッチングストッパである。金属膜12cはバッファード弗酸等の酸性のエッチング液に対し不溶であればよい。金属膜12aは、例えばRu膜、Pt膜、Rh膜、Au膜、Ag膜およびMo膜等のでもよい。また、抵抗値が低ければ、これらの膜の一部が酸化していてもよい。金属膜12cは設けられてなくてもよい。
Ru膜である金属膜12aと圧電基板10との密着性を向上させるため、金属膜12aと圧電基板10との間に、Cr膜、NiCr膜またはTi膜等の密着膜が設けられていてもよい。図5(a)のような拡散を抑制するため、密着膜は金属膜12aより薄いことが好ましい。
弾性波デバイスの損失を抑制するため、電極指14の抵抗は低い方が好ましい。この観点から、抵抗率の高い金属層12aは抵抗率の低い金属膜12bより薄いことが好ましい。
[比較例2]
比較例2における弾性波デバイスの製造方法について説明する。特許文献1を参考に、IDTの形成方法を考えると以下のようになる。図10(a)および図10(b)は、比較例2に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。図10(a)に示すように、圧電基板10上に、Ru膜の金属膜12aとAl、Ta、TiまたはCu等の金属膜12bを形成する。金属膜12bをハロゲンを含むプラズマでドライエッチングする。その後、金属膜12aを酸素を含むプラズマでドライエッチングする。金属膜12aを設けることで、ハロゲンを含むドライエッチングより圧電基板10がエッチングされることを抑制できる。しかしながら、金属膜12aのエッチングレートは金属膜12bのエッチングレートより小さく、例えば1/10となる。このため、金属膜12aの側面の圧電基板10の上面に対する角度θaは、金属膜12bの側面の圧電基板10の上面に対する角度θbより小さくなる。よって、金属膜12aと12bとの界面が電極指14の側面に露出する領域54において、側面の傾きが不連続に変化する。
図10(b)に示すように、電極指14を覆うように誘電体膜15を成膜する。このとき、金属膜12aと12bの側面の傾きが異なるため、金属膜12aと12bとの側面における誘電体膜15の成長速度が異なる。このため、誘電体膜15内にノッチ状のひび割れまたは空隙46が生じる。これにより、弾性波デバイスの温度特性の劣化および/または損失増大等の特性の劣化が生じる。このようなひび割れまたは空隙46は、誘電体膜15の成膜方法がCVD法およびスパッタリング法のいずれの場合にも生じる。
[実施例1の効果]
実施例1では、図9(a)から図9(c)のように、電極指14の側面に傾きの不連続が形成されないため、誘電体膜15にひび割れまたは空隙46が形成されることを抑制できる。
実施例1によれば、複数の電極指14は、圧電基板10上に設けられたRu膜である金属膜12aとRu膜上に設けられたCu膜である金属膜12bとを有する。誘電体膜15は、圧電基板10上に複数の電極指14を覆い複数の電極指の間を埋め込むように設けられている。これにより、図3のように、金属膜12aをTi膜とした比較例1に比べ、電極指14内の歪エネルギーを小さくできる。図4のように比較例1に比べ損失を抑制できる。また、金属膜12aと金属膜12bとの反応および金属膜12aと圧電基板10との相互拡散を抑制できる。よって、電極指14の電気抵抗を小さくできる。耐電力性能を向上できる。このように、実施例1では弾性波デバイスの性能を向上させることができる。
また、図9(a)および図9(b)のように、Ru膜である金属膜12aとCu膜である金属膜12bとの界面における複数の電極指14の側面の傾きは連続である。これにより、比較例2の図10(b)のように、誘電体膜15にひび割れまたは空隙46が生成されることを抑制できる。よって、ひび割れまたは空隙46に起因した弾性波デバイスの特性の劣化を抑制できる。ひび割れまたは空隙46の生成を抑制するため、金属膜12aと金属膜12bとの界面における複数の電極指14の側面は平面であることが好ましい。図9(c)のように、金属膜12aと金属膜12bとの界面は複数の電極指14の側面に露出しなくてもよい。これにより、誘電体膜15にひび割れまたは空隙46が生成されることを抑制できる。
図9(a)から図9(c)のような電極指14を形成するため、図7(d)および図8(a)のように、複数の電極指14をリフトオフ法を用い形成することが好ましい。
圧電基板10がニオブ酸リチウム基板またはタンタル酸リチウム基板のときに、誘電体膜15を酸化シリコン膜またはフッ素を添加した酸化シリコン膜とする。これにより、弾性波デバイスの周波数温度係数を0に近づけることができる。
圧電基板10をニオブ酸リチウム基板として場合、例えば回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム基板を用いる。回転Yカット角が127.86°のときレイリー波の電気機械結合係数が最大となる。Campbell&Jones法を用いシミュレーションすると、回転Yカット角が120°から140°の範囲では、レイリー波の電気機械結合係数がリーキー波の電気機械結合係数より大きくなる。よって、レイリー波を主モードとし、リーキー波を不要波とする場合、回転Yカット角は120°以上かつ140°以下が好ましい。電気機械結合係数が最大となる回転Yカット角127.86°に対し製造上のばらつきを考慮し、回転Yカット角は126°以上かつ130°以下がより好ましい。
また、回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム基板を用いる。回転Yカット角が0°のときリーキー波の電気機械結合係数が最大となる。回転Yカット角が−10°から10°の範囲では、リーキー波の電気機械結合係数がレイリー波の電気機械結合係数より大きくなる。よって、リーキー波を主モードとし、レイリー波を不要波とする場合、回転Yカット角は−10°以上かつ10°以下が好ましい。製造上のばらつきを考慮し、回転Yカット角は−3°以上かつ3°以下がより好ましい。
圧電基板10をタンタル酸リチウム基板として場合、例えば回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板を用いる。回転Yカット角が20°より小さいと電気機械結合係数が小さくなる。回転Yカット角が48°より大きいと、周波数の温度係数が大きくなる。よって、回転Yカット角は20°以上かつ48°以下が好ましい。
圧電基板10はニオブ酸リチウム基板であることが好ましい。これにより、図3のように電極指14内の歪エネルギーを小さくでき、損失を抑制できる。
金属膜12aは金属膜12bより薄いことが好ましい。これにより、電極指14の抵抗を低くし、弾性波デバイスの損失を抑制できる。
金属膜12cのように、電極指14は、金属膜12b上に設けられたCu以外の金属膜を有してもよい。
実施例2は、実施例1に係る弾性表面波共振器を有するフィルタの例である。図11(a)は、実施例2に係るフィルタの平面図、図11(b)は、図11(a)のA−A断面図である。図11(a)および図11(b)に示すように、圧電基板10上に弾性表面波共振器24、配線26、パッド27が設けられている。弾性表面波共振器24および配線26を覆うように誘電体膜15が設けられている。パッド27上の誘電体膜15に開口(不図示)が形成され、開口内にバンプ28が設けられている。弾性表面波共振器24は、IDT20および反射器22を備えている。
複数の弾性表面波共振器24は、直列共振器S1からS3および並列共振器P1およびP2を含む。バンプ28は、端子T1、T2およびTgを含む。端子T1は、高周波信号が入力する入力端子に対応する。端子T2は、高周波信号が出力する出力端子に対応する。端子Tgはグランド電位が供給されるグランド端子に対応する。端子T1とT2との間に、直列共振器S1からS3が直列に接続され、並列共振器P1およびP2が並列に接続されている。
実施例2のように、実施例1の弾性表面波共振器をフィルタの少なくとも1つの共振器に用いる。これにより、フィルタの特性を向上できる。ラダー型フィルタの直列共振器および並列共振器の個数は任意に設定できる。実施例1の弾性表面波共振器は多重モードフィルタに用いてもよい。
図12は、実施例2の変形例に係るデュプレクサの回路図である。図12に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ60が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ62が接続されている。送信フィルタ60は送信端子Txから入力した高周波信号のうち送信帯域の信号を共通端子Antに通過させ、他の信号を抑圧する。受信フィルタ62は、共通端子Antに入力した高周波信号のうち受信帯域の信号を通過させ、他の信号を抑圧する。
送信フィルタ60および受信フィルタ62の少なくとも一方に実施例2のフィルタを用いることができる。マルチプレクサとしてデュプレクサの例を説明したが、トリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 圧電基板
12、12a−12c 金属膜
14 電極指
15 誘電体膜
20 IDT
22 反射器
24 弾性表面波共振器
60 送信フィルタ
62 受信フィルタ

Claims (11)

  1. ニオブ酸リチウム基板またはタンタル酸リチウム基板である圧電基板と、
    前記圧電基板上に設けられたRu膜と前記Ru膜上に設けられたCu膜とを有する弾性波を励振する複数の電極指と、
    前記圧電基板上に、前記複数の電極指を覆い前記複数の電極指の間を埋め込むように設けられた誘電体膜と、
    を具備する弾性波デバイス。
  2. 前記Ru膜と前記Cu膜との界面における前記複数の電極指の側面の傾きは連続である請求項1記載の弾性波デバイス。
  3. 前記Ru膜と前記Cu膜との界面における前記複数の電極指の側面は平面である請求項1記載の弾性波デバイス。
  4. 前記Ru膜と前記Cu膜の界面は前記複数の電極指の側面に露出しない請求項1記載の弾性波デバイス。
  5. 前記圧電基板はニオブ酸リチウム基板である請求項1から4のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  6. 前記誘電体膜は、酸化シリコン膜またはフッ素を添加した酸化シリコン膜である請求項1から5のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  7. 前記Ru膜は前記Cu膜より薄い請求項1から6のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  8. 前記複数の電極指は、前記Cu膜上に設けられたCu以外の金属膜を有する請求項1から7のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  9. 前記複数の電極指を含むフィルタを具備する請求項1から8のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  10. 前記フィルタを含むマルチプレクサを具備する請求項9記載の弾性波デバイス。
  11. ニオブ酸リチウム基板またはタンタル酸リチウム基板である圧電基板上に、Ru膜と前記Ru膜上に設けられたCu膜とを有する弾性波を励振する複数の電極指をリフトオフ法を用い形成する工程と、
    前記圧電基板上に、前記複数の電極指を覆い前記複数の電極指の間を埋め込むように誘電体膜を形成する工程と、
    を含む弾性波デバイスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115603694A (zh) * 2022-12-14 2023-01-13 深圳新声半导体有限公司(Cn) Tc-saw器件、用于制作tc-saw器件的方法

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