JP2018112570A - 標本保持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】標本の着脱性を維持するとともに短辺の長さが異なる標本を保持可能であり、かつ標本がずれることを防止した標本保持装置を提供すること。【解決手段】標本保持装置は、顕微鏡のステージ上面に載置された矩形の標本を保持する標本保持装置であって、前記標本の片側の長辺を支持する長辺支持部と、前記標本の片側の短辺を支持する短辺支持部と、前記標本の前記短辺支持部が支持する短辺と異なる短辺を押圧し、前記標本を前記長辺支持部と前記短辺支持部とに押し当てる押し当て部材と、を備え、前記短辺支持部から前記標本に作用する力の作用点は、前記押し当て部材から前記標本に作用する力の作用点より、前記標本の短辺に沿った方向において、前記長辺支持部から離れた位置にある。【選択図】図2
Description
本発明は、標本保持装置に関する。
従来、観察対象が載置されたスライドガラスのような標本を保持する標本保持装置としてクレンメルが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。クレンメルでは、コイルバネにより付勢された腕部が標本を押圧し、標本の短辺及び長辺をクレンメル本体に押し当てる。
しかしながら、特許文献1のクレンメルでは、腕部の先端に爪部があり、標本を取り外す際に爪部が引っかかる場合があるため標本の着脱性が悪い。さらに、短辺の長さが26mmのスライドガラスを保持可能な爪部を有するクレンメルでは、短辺の長さが異なる標本(例えば、短辺の長さが30mmの血球計算盤)を適切に保持することができない。
また、特許文献2のクレンメルでは、標本の短辺に沿った方向に対する保持力が小さいため、レボルバを回転させる際の振動等により標本がずれる場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、標本の着脱性を維持するとともに短辺の長さが異なる標本を保持可能であり、かつ標本がずれることを防止した標本保持装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る標本保持装置は、顕微鏡のステージ上面に載置された矩形の標本を保持する標本保持装置であって、前記標本の片側の長辺を支持する長辺支持部と、前記標本の片側の短辺を支持する短辺支持部と、前記標本の前記短辺支持部が支持する短辺と異なる短辺を押圧し、前記標本を前記長辺支持部と前記短辺支持部とに押し当てる押し当て部材と、を備え、前記短辺支持部から前記標本に作用する力の作用点は、前記押し当て部材から前記標本に作用する力の作用点より、前記標本の短辺に沿った方向において、前記長辺支持部から離れた位置にあることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る標本保持装置は、前記押し当て部材は、回動して前記標本の前記短辺支持部が支持する短辺と異なる短辺を押圧することを特徴とする。
本発明によれば、標本の着脱性を維持するとともに短辺の長さが異なる標本を保持可能であり、かつ標本がずれることを防止した標本保持装置を実現することができる。
以下に、図面を参照して本発明に係る標本保持装置の実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。本発明は、顕微鏡用の標本保持装置一般に適用することができる。
また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るクレンメルを備える顕微鏡の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、顕微鏡1は、本体部2にステージ3や対物レンズ4等が取り付けられることにより構成される正立型の顕微鏡である。なお、以下の説明において、顕微鏡1を使用する際にユーザと対向する側の面を正面(前面)とする。図1は、紙面の左側が正面側、右側が背面側となる。
図1は、本発明の実施の形態に係るクレンメルを備える顕微鏡の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、顕微鏡1は、本体部2にステージ3や対物レンズ4等が取り付けられることにより構成される正立型の顕微鏡である。なお、以下の説明において、顕微鏡1を使用する際にユーザと対向する側の面を正面(前面)とする。図1は、紙面の左側が正面側、右側が背面側となる。
本体部2は、顕微鏡1の各構成部材を支持する筐体である。机上等の顕微鏡1が設置される場所に直接載置されるベース部2aと、ベース部2aの奥側に立設されている支柱部2bと、支柱部2bの上端から顕微鏡1の正面側に向かって延在されているアーム部2cと、を有する。ベース部2aには、顕微鏡1全体の制御を行う不図示の制御基板が設けられている。制御基板は、外部からの電源を各部へ中継したり、自身に電源が内蔵され、各部へ中継したりする。
ベース部2aの内部には、透過照明光を出射する不図示の光源と、照明光を集光する不図示のコレクタレンズとが配置されている。光源は、例えばLED(Light Emitting Diode)光源(固体光源)を用いて実現され、制御基板による制御のもとで点灯及び消灯する。LED光源は、例えば、単色のLEDと、蛍光部材とを用いて構成され、白色の照明光を出射する。蛍光部材は、蛍光体が付与されたドーム状をなし、LEDを覆っている。この構成では、LEDが発した光により蛍光体が励起されて光を発する。
支柱部2bの前面には、観察対象である標本Sが載置されるステージ3が設けられている。ステージ3は、支柱部2bに焦準ガイドを介して支持されており、例えばフォーカスハンドル3aの操作によって、観察光路上に配置される対物レンズ4の光軸に沿って移動し、標本Sに対するピント調整が行われる。フォーカスハンドル3aは、自転可能に構成され、自身の回転により、ギヤ、ラックピニオン等の公知の手段によってステージ3を移動させる。また、ステージ3は、操作ハンドル3bによって対物レンズ4の光軸と直交する平面上を移動可能に構成されている。標本Sは、観察対象が載置されたスライドガラスや血球計算盤等である。
ステージ3には、不図示の明るさ絞りとコンデンサレンズとが設けられている。光源から出射された照明光は、ベース部2a内のコレクタレンズにより集光され、明るさ絞りにより開口数が調整される。その後、明るさ絞りを通過した照明光は、コンデンサレンズにより集光され、標本Sを照明する。コレクタレンズ、明るさ絞り及びコンデンサレンズは、標本Sに対してクリティカル照明を行う照明光学系をなす。この際、光源及び標本S、並びに対物レンズ4の射出瞳及び明るさ絞りは、それぞれ共役な位置に配置されている。
アーム部2cは、レボルバ5(対物レンズ支持部)と、観察部6(鏡筒)とを備えている。レボルバ5は、アーム部2cの延在方向先端側の下部に設置されている。観察部6は、アーム部2cの延在方向先端側の上部に着脱自在に取り付けられている。レボルバ5及び観察部6は、アーム部2cを介して対向して配置されている。
レボルバ5は、例えば、倍率の異なる複数の対物レンズ4が装着可能となっており、レボルバ5を回転させることにより、所望の倍率の対物レンズ4を観察光路に挿入して観察することができる。対物レンズ保持部は、レボルバ5のほか、一つの対物レンズ4を取り付け可能なものなど、対物レンズ4を観察光路上に配置可能なものであれば適用可能である。
観察部6には、接眼レンズ7が取り付けられている。観察部6は、例えば不図示の複数の反射ミラーを内部に備え、該反射ミラーを介して接眼レンズ7に観察光を導光し、該接眼レンズ7において観察像を結像させる。接眼レンズ7は、結像レンズなどによって構成され、該結像レンズにより形成された中間像を拡大して見るためのレンズである。
図2は、図1に示すステージを拡大した部分的なA矢視図である。図2に示すように、標本保持装置としてのクレンメル11は、ステージ3の上面に載置された矩形の標本Sを保持する。ステージ3には、図2のX軸方向に沿って不図示のガイド溝が設けられており、可動ガイド31が摺動自在に挿入されている。
クレンメル11の本体部12は、本体部12を可動ガイド31に取り付けるつまみ13と、標本Sの片側の長辺を支持する2つの長辺支持部14と、標本Sの片側の短辺を支持する短辺支持部15と、を有する。
クレンメル11の本体部12には、押し当て部材16が回転軸17を中心に回動自在に取り付けられている。押し当て部材16は、回転軸17に取り付けられた不図示のコイルバネによって矢印B1の方向に回転するように付勢されている。その結果、押し当て部材16は、回動して標本Sの短辺支持部15が支持する短辺と異なる短辺を矢印B2の方向に押圧し、標本Sを長辺支持部14と短辺支持部15とに押し当てる。なお、コイルバネの付勢力により押し当て部材16から標本Sに加えられる力は、例えば0.1N以上1.5N以下である。
図3は、図2の短辺支持部を拡大した部分拡大図である。図3に示すように、Y軸方向(図2参照)に延伸する短辺支持部15の基端側には、切欠き部18が形成されている。切欠き部18は、標本Sに接していない。また、短辺支持部15の先端の標本Sと接触する面は、短辺支持部15と標本Sとが点接触するようにR形状にされている。ただし、短辺支持部15と標本Sとは、面接触であってもよい。
図2に戻り、短辺支持部15から標本Sに作用する力の作用点19は、押し当て部材16から標本Sに作用する力の作用点20より、標本Sの短辺に沿った方向において、長辺支持部14から離れた位置にある。換言すると、標本Sの短辺に沿った方向において、長辺支持部14から作用点19までの長さl1は、長辺支持部14から作用点20までの長さl2より大きい。その結果、作用点19を支点として、標本Sに対して、標本Sを矢印B3の方向に回転させるモーメントが加えられる。このモーメントにより、標本Sは、長辺支持部14に押し当てられる。なお、長さl1は、例えば1mm以上26mm以下である。また、長さl1は、長さl2より例えば0.2mm以上大きいことが好ましい。
図4は、図2のC方向から長辺支持部と標本との接点を見た部分断面図である。図4に示すように、長辺支持部14の標本Sと当接する当接面21は、ステージ3の上面と直交する方向(図4の紙面に沿った上下方向)に沿った面である。なお、図2に示すように、クレンメル11の本体部12には、長辺支持部14が2つ形成されているが、2つの長辺支持部14の双方の当接面21が図4に示すステージ3の上面と直交する方向に沿った面である。標本Sは、作用点19を支点とするモーメントにより、長辺支持部14に押し当てられている。
図5は、図2のD方向から短辺支持部と標本との接点を見た部分断面図である。すなわち、図3のE−E線に対応する断面図である。図5に示すように、短辺支持部15の標本Sと当接する当接面22は、ステージ3の上面と直交する方向(図5の紙面に沿った上下方向)に対して角度θ1で交わる。標本Sは、押し当て部材16が標本Sを押圧することにより、短辺支持部15に押し当てられている。さらに、ステージ3の上面と直交する方向に対して当接面22が角度θ1で交わることにより、標本Sは、ステージ3の上面に押し付けられる。角度θ1は、例えば20°である。
図6は、図2のD方向から押し当て部材と標本との接点を見た部分断面図である。図6に示すように、押し当て部材16の標本Sと当接する当接面23は、ステージ3の上面と直交する方向(図6の紙面に沿った上下方向)に対して角度θ2で交わる。さらに、ステージ3の上面と直交する方向に対して当接面23が角度θ2で交わることにより、標本Sは、ステージ3の上面に押し付けられる。角度θ2は、例えば30°である。
以上説明したように、実施の形態によれば、短辺支持部15から標本Sに作用する力の作用点19が、押し当て部材16から標本Sに作用する力の作用点20より、標本Sの短辺に沿った方向において、長辺支持部14から離れた位置にあることにより、標本Sが、長辺支持部14に押し当てられる。従って、クレンメル11によれば、標本Sの短辺に沿った方向に対する保持力が大きく、レボルバ5を回転させる際の振動等により標本Sがずれることを防止することができる。また、クレンメル11は、特許文献1のクレンメルのような爪部を有しないため、標本Sの着脱性が悪くなることもない。さらに、クレンメル11は、特許文献1のクレンメルのような爪部を有しないため、スライドガラスや血球計算盤等の短辺の長さが異なる標本Sを保持可能である。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わしかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 顕微鏡
2 本体部
2a ベース部
2b 支柱部
2c アーム部
3 ステージ
3a フォーカスハンドル
3b 操作ハンドル
4 対物レンズ
5 レボルバ
6 観察部
7 接眼レンズ
11 クレンメル
12 本体部
13 つまみ
14 長辺支持部
15 短辺支持部
16 押し当て部材
17 回転軸
18 切欠き部
19、20 作用点
21、22、23 当接面
31 可動ガイド
S 標本
2 本体部
2a ベース部
2b 支柱部
2c アーム部
3 ステージ
3a フォーカスハンドル
3b 操作ハンドル
4 対物レンズ
5 レボルバ
6 観察部
7 接眼レンズ
11 クレンメル
12 本体部
13 つまみ
14 長辺支持部
15 短辺支持部
16 押し当て部材
17 回転軸
18 切欠き部
19、20 作用点
21、22、23 当接面
31 可動ガイド
S 標本
Claims (2)
- 顕微鏡のステージ上面に載置された矩形の標本を保持する標本保持装置であって、
前記標本の片側の長辺を支持する長辺支持部と、
前記標本の片側の短辺を支持する短辺支持部と、
前記標本の前記短辺支持部が支持する短辺と異なる短辺を押圧し、前記標本を前記長辺支持部と前記短辺支持部とに押し当てる押し当て部材と、を備え、
前記短辺支持部から前記標本に作用する力の作用点は、前記押し当て部材から前記標本に作用する力の作用点より、前記標本の短辺に沿った方向において、前記長辺支持部から離れた位置にあることを特徴とする標本保持装置。 - 前記押し当て部材は、回動して前記標本の前記短辺支持部が支持する短辺と異なる短辺を押圧することを特徴とする請求項1に記載の標本保持装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017001062A JP2018112570A (ja) | 2017-01-06 | 2017-01-06 | 標本保持装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017001062A JP2018112570A (ja) | 2017-01-06 | 2017-01-06 | 標本保持装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018112570A true JP2018112570A (ja) | 2018-07-19 |
Family
ID=62911175
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017001062A Pending JP2018112570A (ja) | 2017-01-06 | 2017-01-06 | 標本保持装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018112570A (ja) |
-
2017
- 2017-01-06 JP JP2017001062A patent/JP2018112570A/ja active Pending
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