JP2018111814A - 熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シート及び積層体 - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シート及び積層体 Download PDF

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Hiroshi Sasaki
拓 佐々木
英人 西澤
Hideto Nishizawa
英人 西澤
匡隆 杉本
Masataka Sugimoto
匡隆 杉本
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【課題】高い熱伝導性と優れた接着性とを両立させることができる熱伝導性樹脂組成物を提供する。また、該熱伝導性樹脂組成物を含む熱伝導性シート及び積層体を提供する。【解決手段】第1の部材から第2の部材へ熱を伝えるための樹脂組成物であって、ダイヤモンド粒子、及び、バインダー樹脂を含有し、前記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径が、前記第1の部材と前記第2の部材との距離に対して、90%以上、110%以下である熱伝導性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、高い熱伝導性と優れた接着性とを両立させることができる熱伝導性樹脂組成物に関する。また、該熱伝導性樹脂組成物を含む熱伝導性シート及び積層体に関する。
CPU等の大規模集積回路(LSI)と言ったパワーデバイスに用いられる半導体素子や、液晶、LED、有機EL素子等の発光素子を有する電子部品、及び、それを備えた電子機器では、小型化や電子回路の高集積化により素子からの発熱量が増加しており、発熱による素子の劣化や性能の低下、更には電子機器の機能障害の発生が問題となっている。
そこで、電子機器においては、半導体素子や電子回路において生じた熱を放熱し、電子機器等の温度上昇を抑えるために、半導体素子をセラミック等からなる基材等の放熱体と接合する技術が知られている。また、半導体素子と放熱体との接合材料としては、熱伝導性と絶縁性とを確保するため、樹脂材料中に熱伝導性を有し、且つ、絶縁性を有するフィラーを分散させた樹脂組成物が用いられる。
このような樹脂組成物として、特許文献1には、オルガノポリシロキサンの基材に、特定量の熱伝導性フィラーを含有してなる絶縁シートが開示されている。
このような接合材料では、樹脂中で熱伝導性を有するフィラー同士が接触する構造をとっており、これらのフィラー間の接触を通じて発熱体から放熱体への熱伝導性が確保されている。
特開2005−64291号公報
特許文献1に記載のシートでは、アルミナ等のフィラーを高充填化してフィラー間の接触頻度を高めて熱伝導性を確保している。しかしながら、フィラーの高充填化に伴って、接着力が低下して、発熱体と放熱体との接合が不充分となるという問題があった。
更に、窒化ホウ素のような異方形状を有するフィラーを用いることによってフィラー同士を面接触させて熱伝導性を確保する方法も提案されている。しかしながら、異方形状を有するフィラーを用いた場合、配向状態によって熱伝導性が大きく変化するが、配向状態を制御することは難しく、充分な熱伝導性が得られないという問題があった。
また、例えば、ダイヤモンドの汎用的合成法である爆轟法によって形成されたナノサイズのダイヤモンドをフィラーとして樹脂中に複合化した放熱材料も提案されている。ダイヤモンドは熱伝導性が高いことが知られているが、このような方法では、フィラーが微細であるため、フィラー間の点接触回数が非常に多くなり、熱伝導の効率が低下して、充分な熱伝導性を発揮させることが難しいという問題があった。
本発明は、上記現状に鑑み、高い熱伝導性と優れた接着性とを両立させることができる熱伝導性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、該熱伝導性樹脂組成物を含む熱伝導性シート及び積層体を提供することを目的とする。
本発明は、第1の部材から第2の部材へ熱を伝えるための樹脂組成物であって、ダイヤモンド粒子、及び、バインダー樹脂を含有し、前記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径が、前記第1の部材と前記第2の部材との距離に対して、90%以上、110%以下である熱伝導性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、発熱体等の部材と放熱体等の部材との間に挟んで用いられる熱伝導性樹脂組成物において、熱伝導性フィラーとしてのダイヤモンド粒子の平均粒子径を、部材間の距離に対して所定の範囲内とすることによって、熱伝導の効率の低下を抑制して、優れた熱伝導性を発揮させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、第1の部材から第2の部材へ熱を伝えるものであり、第1の部材と第2の部材とに挟まれて用いられる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物が第1の部材及び第2の部材と積層された場合の一例を図1に示す。
本発明の熱伝導性樹脂組成物1は、ダイヤモンド粒子2とバインダー樹脂3とを含有する。本発明の熱伝導性樹脂組成物1は、半導体素子のような発熱体の基材である銅やアルミニウム等の第1の部材4、及び、放熱体の基材である銅箔等の第2の部材5によって挟まれた構成となっている。
本発明の熱伝導性樹脂組成物1では、ダイヤモンド粒子2の体積平均粒子径が、第1の部材4と第2の部材5との距離に対して、90〜110%である。
本発明の熱伝導性樹脂組成物1は、第1の部材4と第2の部材5とに挟まれた構成であることで、第1の部材4からの熱を第2の部材5へ伝えることができる。そのため、半導体素子等の発熱体の発熱による劣化を抑制することができる。
また、本発明の熱伝導性樹脂組成物1は、熱伝導性に優れるダイヤモンド粒子2を含有することで、第1の部材4から第2の部材5への熱伝導の効率を向上させることができる。更に、体積平均粒子径が大きなダイヤモンド粒子2を含有することで、ダイヤモンド粒子2同士の接触による熱伝導効率のロスを減らして、熱伝導性に優れたものとすることができる。また、バインダー樹脂3を含有することで、第1の部材4及び第2の部材5との接着性を高めることができ、剥離に伴う熱伝導性の低下を抑制することができる。
上記第1の部材は特に限定されないが、半導体素子等の発熱体の基板に用いられる材質が挙げられ、例えば、銅、アルミニウム等の導電性に優れた金属が挙げられる。または、発熱体としては、CPU、画像処理チップ、メモリー等、大規模集積回路(LSI)等のパワーデバイスの半導体素子、液晶、プラズマディスプレイ(PDP)、LED、有機EL表示装置等の表示装置に用いられる半導体素子、太陽電池セル、太陽電池モジュール等が挙げられる。
上記第2の部材は特に限定されないが、例えば、放熱体に用いられる材質が挙げられ、アルミニウム、銅、鉄等の金属、黒鉛、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、放熱体としては、ヒートスプレッダ、ヒートシンク、放熱用配管等が挙げられる。
上記第1の部材と上記第2の部材との距離は、好ましい下限が10μm、好ましい上限が1mmである。
上記第1の部材と上記第2の部材との距離が10μm以上であると、第1の部材と第2の部材の間で凹凸形状があったとしても形状追従し良好な接着性を発現することができる。 上記第1の部材と上記第2の部材との距離が1mm以下であると、熱伝導性フィラー内を通じる熱伝達距離が短くなり、より高い熱伝導性を発現することができる。
上記第1の部材と上記第2の部材との距離は、形状追従性、接着性、及び、熱伝導性の更なる向上の観点から、より好ましい下限が15μm、より好ましい上限が900μmである。
また、上記第1の部材と上記第2の部材とに挟まれた熱伝導性樹脂組成物が凹凸形状を有する場合、上記第1の部材と上記第2の部材との距離は、上記第1の部材と上記第2の部材との距離の平均値を意味する。
なお、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、上記第1の部材と上記第2の部材とに挟まれた薄膜状とされたものであり、上記第1の部材と上記第2の部材との距離は、上記第1の部材と上記第2の部材とに挟まれた熱伝導性樹脂組成物の厚みと同様である。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、熱伝導性フィラーとしてダイヤモンド粒子を含有する。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、ダイヤモンド粒子を含有することにより、熱伝導性に優れたものとなる。
上記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径は、上記第1の部材と上記第2の部材との距離に対して、90〜110%である。
上記体積平均粒子径が上記第1の部材と上記第2の部材との距離に対して90%以上であることにより、ダイヤモンド粒子の接触の回数を少なくして、熱伝導の効率の低下を抑制することができる。上記体積平均粒子径が上記第1の部材と上記第2の部材との距離に対して110%以下であることにより、上記第1の部材と上記第2の部材との接着性の低下を抑制することができる。
熱伝導の効率の低下の抑制及び接着性の低下の更なる抑制の観点から、上記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径は、上記第1の部材と上記第2の部材との距離に対して、好ましい下限が92%、好ましい上限が108%である。
上記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径は、電子顕微鏡を用いて観察し、得られた像における粒子300個の粒子径の平均を算出することにより測定することができる。
上記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径は、熱伝導の効率の低下の抑制及び接着性の低下の更なる抑制の観点から、好ましい下限が9.2μm、より好ましい下限が9.5μm、好ましい上限が1080μm、より好ましい上限が1050μmである。
上記ダイヤモンド粒子は、体積平均粒子径のCV値の好ましい上限が25%である。
上記CV値が25%以下であると、大きな粒子径を持ったダイヤモンド粒子が存在することがなく、接着性に優れたものとすることができる。また、上記CV値が25%以下であると、小さな粒子径を持ったダイヤモンド粒子が存在することがなく、ダイヤモンド粒子同士の接触回数を少なくして、熱伝導の効率を向上させることができる。
上記体積平均粒子径のCV値は、接着性及び熱伝導の効率の更なる向上の観点から、好ましい下限が0%、より好ましい上限が15%である。
なお、CV値は、標準偏差を体積平均粒子径で割った値の百分率(%)で示される数値である。
上記ダイヤモンド粒子の形状は、特に限定されないが、面数が4〜20の多面体形状であることが好ましく、六面体、八面体、六八面体であることがより好ましく、六八面体であることが更に好ましい。なお、上記樹脂組成物は、単一の形状を有するダイヤモンド粒子を含むものであってもよく、異なる形状を有するダイヤモンド粒子を含むものであってもよい。
上記ダイヤモンド粒子が、面数が4〜20の多面体形状であると、第1の部材とダイヤモンド粒子、第2の部材とダイヤモンド粒子、及び、ダイヤモンド粒子同士の接触面積を広くして、熱伝導の効率をより向上させることができる。同様の観点より、上記ダイヤモンド粒子の形状は、六面体、八面体、六八面体であることがより好ましく、六八面体であることが更に好ましい。
本発明の熱伝導性樹脂組成物において、ダイヤモンド粒子中の六八面体形状を有するダイヤモンド粒子の割合は、50重量%以上であることが好ましい。なお、本発明の熱伝導性樹脂組成物におけるダイヤモンド粒子中の六八面体形状を有するダイヤモンド粒子の割合は、通常100重量%以下である。
六八面体形状を有するダイヤモンド粒子の割合を50重量%以上とすることで、熱伝導の効率をより向上させることができる。同様の観点より、ダイヤモンド粒子中の六八面体形状を有するダイヤモンド粒子の割合は、70重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが更に好ましく、100重量%であることが特に好ましい。
本発明の熱伝導性樹脂組成物中の上記ダイヤモンド粒子の含有量は、好ましい下限が1体積%、好ましい上限が80体積%である。
上記ダイヤモンド粒子の含有量が1体積%以上であると、充分な熱伝導性を付与することができる。上記ダイヤモンド粒子の含有量が80体積%以下であると、接着性に優れたものとすることができる。
接着性及び熱伝導性の更なる向上の観点から、上記ダイヤモンド粒子の含有量は、より好ましい下限が2体積%、更に好ましい下限が2.5体積%、更により好ましい下限が4体積%、特に好ましい下限が5体積%、より特に好ましい下限が7体積%、とりわけ好ましい下限が10体積%、より好ましい上限が75体積%、更に好ましい上限が70体積%、更により好ましい上限が60体積%、特に好ましい上限が50体積%、より特に好ましい上限が40体積%、更に特に好ましい上限が30体積%、とりわけ好ましい上限が20体積%である。
なお、上記ダイヤモンド粒子の含有量は、例えば、熱重量測定(TG)による加熱時の残渣量測定により重量分率を測定し、更に比重より体積分率に換算することで測定することができる。
上記ダイヤモンドはグラファイト等の炭素からなる元素鉱物を原料として、例えば、爆轟法、フラックス法、静的高圧法、化学気相蒸着法、高温高圧法等により製造することができる。なかでも、粒子径の大きなダイヤモンド粒子を得られることから、高温高圧法により製造されたものが好ましく用いられる。
本発明の別の実施形態において、上記ダイヤモンド粒子は、その表面の少なくとも一部に導電層を有していてもよい。上記ダイヤモンド粒子の表面の少なくとも一部に導電層を有することにより、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、高い熱伝導性及び接着性を有するのみではなく、優れた電気伝導性も発現することができる。
なお、上記ダイヤモンド粒子が、その表面の少なくとも一部に導電層を有する場合、上記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径は、導電層を含む粒子径の平均を意味する。
また、上記ダイヤモンド粒子が、その表面の少なくとも一部に導電層を有する場合、電気伝導性を更に向上させる観点から、上記ダイヤモンド粒子の表面積中の導電層の割合(以下「被覆率」ともいう)は、30%以上であることが好ましい。また、上記被覆率は50%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。上記被覆率は通常100%以下である。
なお、上記被覆率は、電子顕微鏡を用いて観察し、得られた像における粒子300個の被覆層の割合の平均を算出することにより測定することができる。
上記導電層としては、例えば、ニッケル、金、銀、銅、白金、錫及びこれらの合金等からなる金属層、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛及びこれらの複合酸化物等の酸化物層が挙げられる。
上記導電層の厚みは、放熱性、電気伝導性及び接着性を同時に達成する観点から、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることが更に好ましく、2000nm以下であることが好ましく、1500nm以下であることがより好ましく、1000nm以下であることが更に好ましい。
なお、上記導電層の厚みは、ダイヤモンド粒子の断面を、電子顕微鏡を用いて観察し、得られた像における粒子300個の導電層の厚みの平均を算出することにより測定することができる。
導電層の形成方法は、特に限定されないが、例えば無電解めっき法により導電層を形成することができる。無電解めっき法においては、ダイヤモンド粒子をパラジウムなどの触媒を事前に吸着処理した後、例えばニッケルなどの金属塩及び還元剤、並びにPH調整剤等の添加剤を溶解しためっき液に含侵し、加温やPHの調整により還元反応させ導電層を形成する方法が挙げられる。
上記ダイヤモンド粒子が導電層を有する場合、ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径に対する導電層の厚みの比率は、導電性の向上の観点から、好ましくは0.0005以上、より好ましくは0.001以上であり、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.03以下である。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、バインダー樹脂を含有する。
上記バインダー樹脂は、ダイヤモンド粒子を熱伝導性樹脂組成物に保持するものであり、熱伝導性樹脂組成物に要求される接着性、機械的強度、耐熱性、電気的特性等の特定に応じて選択される。
上記バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂が挙げられ、接着性、機械的強度をより向上させることができることから、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体(エチレン−プロピレン共重合体等)、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、フッ素系重合体(ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリフェニレン−エーテル共重合体(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル類(ポリメタクリル酸メチル等)、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
上記光硬化性樹脂としては、感光性オニウム塩等の光カチオン触媒を含有するエポキシ樹脂や感光性ビニル基を有するアクリル樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル酸メチル又はアクリル酸ブチル等を主なモノマー単位とするポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂等のホットメルト型接着樹脂が挙げられ、なかでもエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
上記エポキシ樹脂としては特に限定されないが、多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂が好ましい。多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂を用いた場合、剛直となり、接着性や機械的強度が高められる。
上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂」ともいう)、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「ナフタレン型エポキシ樹脂」ともいう)、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボネート等が挙げられる。上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエンジオキシド、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシ樹脂等が挙げられる。上記ナフタレン型エポキシ樹脂としては、例えば、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリジジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。なかでも、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂が好適に用いられる。
これらの多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。また、上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂は、それぞれ単独で用いられてもよいし、両者が併用されてもよい。
本発明の熱伝導性樹脂組成物中の上記バインダー樹脂の含有量は、好ましい下限が20重量%、好ましい上限が80重量%である。
上記バインダー樹脂の含有量が、20重量%以上であると、得られる熱伝導性樹脂組成物の接着性を向上させることができる。上記バインダー樹脂の含有量が、80重量%以下であると、得られる熱伝導性樹脂組成物の熱伝導性を向上させることができる。
接着性及び熱伝導性の更なる向上の観点から、上記バインダー樹脂の含有量は、より好ましい下限が25重量%、より好ましい上限が75重量%である。
上記バインダー樹脂の重量平均分子量は、好ましい下限が5000、好ましい上限が1000000である。なお、上記重量平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定を行い、ポリスチレン換算により算出することができる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、更に、熱硬化剤又は光重合開始剤を含んでいてもよい。
上記熱硬化剤としては、アミン化合物(アミン硬化剤)、イミダゾール化合物(イミダゾール硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)及び酸無水物(酸無水物硬化剤)等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等が挙げられる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物中の上記熱硬化剤の含有量は、好ましい下限が5重量%、より好ましい下限が10重量%、好ましい上限が60重量%、より好ましい上限が50重量%である。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、上記ダイヤモンド粒子の他に、熱伝導性樹脂組成物に要求される機械的特性、熱的特性、電気的特性等の特性に応じて、他の熱伝導性フィラーを含有することが好ましい。
上記他の熱伝導性フィラーの材質は、熱伝導率が10W/m・K以上であれば特に限定されないが、例えば、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア、酸化マグネシウム等が挙げられる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、必要に応じて、更に、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、酸化防止剤などの添加剤等を含んでいてもよい。
本発明の熱伝導性樹脂組成物を作製する方法は特に限定されない。例えば、ダイヤモンド粒子に、バインダー樹脂及び必要に応じて添加される熱硬化剤や添加剤、及び、溶媒を混合し、攪拌して樹脂組成物溶液を調製する。続いて、溶媒を除去して組成物を調製し、更に、得られた組成物を第1の部材又は第2の部材上に塗工し、第1の部材又は第2の部材を積層する方法が挙げられる。また、得られた組成物を離型処理されたPETフィルム上に塗工し、乾燥させて得られた樹脂シートによって第1の部材及び第2の部材と接着する方法が挙げられる。更に、得られた組成物を第1の部材及び第2の部材の間に充填する方法等が挙げられる。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン及びキシレン等が挙げられる。上記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、トルエンであることがより好ましい。上記溶媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の熱伝導性樹脂組成物を含む熱伝導性シートもまた本発明の1つである。
本発明の熱伝導性シートは、例えば、本発明の熱伝導性樹脂組成物を離型処理したフィルム上に塗工し、必要に応じて含まれる溶媒を除去することにより製造することができる。
本発明の熱伝導性シートの厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。熱伝導シートが第1の部材と第2の部材との間に配置される場合、第1の部材と第2の部材との間で凹凸形状があったとしても高い形状追従性を発現して良好な接着性を付与できる観点から、上記熱伝導性シートの厚みは、好ましい下限が10μm、より好ましい下限が15μm、好ましい上限が1mm、より好ましい上限が900μmである。
上記熱伝導性樹脂組成物を含む熱伝導性シートは、その表面上に基材フィルムを有するものであってもよい。すなわち、本発明の一実施形態においては、基材フィルムを含む熱伝導性シートも提供される。
上記基材フィルムは、上記熱伝導性シートの一方の表面に第2の部材として積層されていてもよく、両方の表面に積層されていてもよい。
上記基材フィルムを構成する材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、変性オレフィン系樹脂(エチレン−アクリル酸エステル共重合体等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド等が挙げられる。
また、上記基材フィルムを構成する材料は、放熱体に用いられる材料であってもよい。具体的には、アルミニウム、銅、鉄等の金属、黒鉛、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素又は酸化アルミニウム等が挙げられる。更に、これらの混合物を薄膜状に加工したシートを用いてもよい。
上記基材フィルムは、網目状フィルムであってもよく、有孔フィルムであってもよい。
上記基材フィルムの厚さは、特に限定されないが、20μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることが更に好ましく、200μm以下であることが好ましく、180μm以下であることがより好ましく、160μm以下であることが更に好ましい。上記基材フィルムの厚さが上記範囲であることによって取り扱い性に優れた熱伝導性シートを得ることができる。
上記第1の部材と、上記第2の部材と、上記第1の部材と上記第2の部材との間に設けられた熱伝導性樹脂組成物からなる層とを有し、上記熱伝導性樹脂組成物はダイヤモンド粒子、及び、バインダー樹脂を含有し、上記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径が、上記第1の部材と上記第2の部材との距離に対して、90%以上、110%以下である積層体もまた本発明の1つである。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、作動や稼働に際して高温となる物体であり、放熱を必要とするあらゆる分野において好適に用いることができる。例えば、CPU、画像処理チップ、メモリー等、大規模集積回路と言ったパワーデバイスに用いられる半導体素子、液晶、LED、有機EL素子等の発光素子を有する電子機器では、作動や稼働に際して素子から発熱するため、上記素子に本発明の熱伝導性樹脂組成物を接触させて用いることで、本発明による放熱機能が発揮される。
本発明によれば、高い熱伝導性と優れた接着性とを両立させることができる熱伝導性樹脂組成物を提供することができる。また、該熱伝導性樹脂組成物を含む熱伝導性シート及び積層体を提供することができる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物の構成の一例を示す模式図である。 実施例1で用いたダイヤモンド粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。 実施例5で用いたダイヤモンド粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
体積平均粒子径173μm(CV値9.3%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)1.00g、エポキシ樹脂2.68g、熱硬化剤0.29g、及び、溶媒5.45gをホモディスパー型撹拌機を用いて30分間攪拌して、混合した。なお、エポキシ樹脂としてエピコート828US(三菱化学社製)、熱硬化剤としてジシアンジアミド(東京化成工業社製)、溶媒としてメチルエチルケトン(和光純薬工業社製、試薬特級グレード)を用いた。その後、溶媒を揮発させ、更に、真空脱泡を行うことによって組成物を調製した。得られた組成物を離型PETシート上に塗工し、90℃のオーブン内にて10分間乾燥させることでPETシート上に組成物が薄膜状に積層された積層シートを得た。その後、離型PETシートを剥離して、薄膜状の組成物を銅箔及びアルミニウム板によって挟み、温度140℃、圧力4MPaの条件で真空プレス成型を行うことで薄膜状の熱伝導性樹脂組成物を介して銅箔及びアルミニウムが積層された積層体を得た。なお、薄膜状の熱伝導性樹脂組成物の厚み(熱伝導性樹脂組成物層の厚み)が175μmとなるように塗工厚みを調整した。また、ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて観察し、得られた像における粒子300個の粒子径の平均を算出することより測定した。更に、熱重量測定を用いて測定した熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
用いたダイヤモンド粒子を撮影した電子顕微鏡写真を図2に示す。
(実施例2)
体積平均粒子径162μm(CV値10.2%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(実施例3)
体積平均粒子径181μm(CV値11.0%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(実施例4)
体積平均粒子径168μm(CV値23.4%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、IMMグレード、破砕粉末状)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(実施例5)
体積平均粒子径71μm(CV値14.4%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)を用い、薄膜状の熱伝導性樹脂組成物の厚みが75μmとなるように塗工厚みを調整した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
用いたダイヤモンド粒子を撮影した電子顕微鏡写真を図3に示す。
(実施例6)
体積平均粒子径375μm(CV値8.3%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)を用い、薄膜状の熱伝導性樹脂組成物の厚みが400μmとなるように塗工厚みを調整した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(実施例7)
体積平均粒子径173μm(CV値9.3%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)0.23gを用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は2.5体積%であった。
(実施例8)
体積平均粒子径173μm(CV値9.3%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)3.00gを用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は25体積%であった。
(実施例9)
体積平均粒子径159μm(CV値10.0%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)に無電解めっき法にてパラジウムナノ粒子を微小量析出させた後、更に無電解めっき法により厚さ0.25μmのニッケル金属層(被覆率:100%)を形成して導電層被覆ダイヤモンド粒子を作製した。得られた導電層被覆ダイヤモンド粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中の導電層被覆ダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(実施例10)
体積平均粒子径184μm(CV値8.7%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)に無電解めっき法にてパラジウムナノ粒子を微小量析出させた後に、更に無電解めっき法により厚さ0.34μmのニッケル金属層(被覆率:100%)を形成して導電層被覆ダイヤモンド粒子を作製した。得られた導電層被覆ダイヤモンド粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中の導電層被覆ダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(実施例11)
体積平均粒子径159μm(CV値10.0%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)に無電解めっき法にてパラジウムナノ粒子を微小量析出させた後に、更に無電解めっき法により厚さ0.26μmの銅金属層(被覆率:100%)を形成して導電層被覆ダイヤモンド粒子を作製した。得られた導電層被覆ダイヤモンド粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中の導電層被覆ダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(実施例12)
体積平均粒子径184μm(CV値8.7%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)に無電解めっき法にてパラジウムナノ粒子を微小量析出させた後に、更に無電解めっき法により厚さ0.41μmの銅金属層(被覆率:100%)を形成して導電層被覆ダイヤモンド粒子を作製した。得られた導電層被覆ダイヤモンド粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中の導電層被覆ダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(比較例1)
体積平均粒子径125μmのダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(比較例2)
体積平均粒子径210μmのダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(比較例3)
体積平均粒子径180μmのアルミナ粒子(アズワン社製)1.1gを用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のアルミナ粒子の含有量は10体積%であった。
(比較例4)
体積平均粒子径165μmの窒化ホウ素粒子(MOMENTIVE社製、アスペクト比3.4)0.97gを用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中の窒化ホウ素粒子の含有量は10体積%であった。また、窒化ホウ素粒子の体積平均粒子径は、長軸方向のサイズを測定することで算出した。
(比較例5)
体積平均粒子径0.1μmのダイヤモンド粒子(エアブラウン社製)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中のダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(比較例6)
体積平均粒子径134μm(CV値12.1%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)に無電解めっき法にてパラジウムナノ粒子を微小量析出させた後に、更に無電解めっき法により厚さ0.13μmのニッケル金属層(被覆率:100%)を形成して導電層被覆ダイヤモンド粒子を作製した。得られた導電層被覆ダイヤモンド粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中の導電層被覆ダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(比較例7)
体積平均粒子径224μm(CV値7.9%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)に無電解めっき法にてパラジウムナノ粒子を微小量析出させた後に、更に無電解めっき法により厚さ0.69μmのニッケル金属層(被覆率:100%)を形成して導電層被覆ダイヤモンド粒子を作製した。得られた導電層被覆ダイヤモンド粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中の導電層被覆ダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(比較例8)
体積平均粒子径134μm(CV値12.1%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)に無電解めっき法にてパラジウムナノ粒子を微小量析出させた後に、更に無電解めっき法により厚さ0.16μmの銅金属層(被覆率:100%)を形成して導電層被覆ダイヤモンド粒子を作製した。得られた導電層被覆ダイヤモンド粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中の導電層被覆ダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(比較例9)
体積平均粒子径224μm(CV値7.0%)のダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、TMSグレード、六八面体形状)に無電解めっき法にてパラジウムナノ粒子を微小量析出させた後に、更に無電解めっき法により厚さ0.78μmの銅金属層(被覆率:100%)を形成して導電層被覆ダイヤモンド粒子を作製した。得られた導電層被覆ダイヤモンド粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、熱伝導性樹脂組成物中の導電層被覆ダイヤモンド粒子の含有量は10体積%であった。
(評価)
実施例及び比較例で得られた積層体について、下記の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
(1)熱伝導性の評価
得られた積層体を10mm×10mmにカットした後、両面にカーボンブラックをスプレーして測定サンプルを作製した。得られた測定サンプルについて、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(アルバック理工社製、「TC−9000」)を用いて熱伝導率を測定した。なお、熱伝導率としては、積層体を3つ用意し、それぞれの積層体内の3箇所から切り出して得られた測定サンプル合計9つの平均値を用いた。また、熱伝導性としては、比較例1における熱伝導率を1.00とした際の相対値により評価した。
(2)接着性評価
得られた積層体を20mm×50mmにカットし、85℃で90°の方向に50gの荷重を掛け、剥離時間を測定した。得られた剥離時間をもとに、比較例1における剥離時間を1.00とした際の相対値により評価した。
(3)電気伝導性の評価
実施例9〜12及び比較例6〜9について、PETシート上に組成物が薄膜状に積層された積層シートから離型PETシートを剥離して、片面に厚さ20μmの銅箔を貼り付けた。銅箔を貼り付けた積層シートを25mm×10mmにカットした後、15mm×15mmの電極パッドが2つ並んでいる配線基板上に電極パッド間を橋渡しするように貼り付け、電極パッドにテスターを当てて抵抗値を確認することにより電気伝導性を評価した。なお、電気伝導性としては、比較例6における抵抗値を1.00とした際の相対値により評価した。
Figure 2018111814
Figure 2018111814
本発明によれば、高い熱伝導性と優れた接着性とを両立させることができる熱伝導性樹脂組成物を提供することができる。また、該熱伝導性樹脂組成物を含む熱伝導性シート及び積層体を提供することができる。
1 熱伝導性樹脂組成物
2 ダイヤモンド粒子
3 バインダー樹脂
4 第1の部材
5 第2の部材

Claims (9)

  1. 第1の部材から第2の部材へ熱を伝えるための樹脂組成物であって、
    ダイヤモンド粒子、及び、バインダー樹脂を含有し、
    前記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径が、前記第1の部材と前記第2の部材との距離に対して、90%以上、110%以下である、熱伝導性樹脂組成物。
  2. 前記第1の部材と前記第2の部材との距離が10μm〜1mmである、請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  3. 前記ダイヤモンド粒子を1〜80体積%含有する、請求項1又は2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  4. 前記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径のCV値が0〜25%である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  5. 前記バインダー樹脂の含有量が20〜80重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  6. 前記ダイヤモンド粒子は、表面の少なくとも一部に導電層を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物を含む熱伝導性シート。
  8. 基材フィルムを含む、請求項7に記載の熱伝導性シート。
  9. 第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に設けられた熱伝導性樹脂組成物からなる層とを有し、
    前記熱伝導性樹脂組成物はダイヤモンド粒子、及び、バインダー樹脂を含有し、
    前記ダイヤモンド粒子の体積平均粒子径が、前記第1の部材と前記第2の部材との距離に対して、90%以上、110%以下である、積層体。
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