JP2006261505A - 絶縁伝熱シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 熱硬化性樹脂で形成された母材5と、該母材5の面方向に配置されたダイヤモンド粒子6とを備え、前記ダイヤモンド粒子6が、前記母材5の両面に対して加熱加圧することで配置される高熱伝導体層2、3内に突き出されると共に、前記高熱伝導体層2、3の間の絶縁性及び熱伝導性を確保する。
【選択図】 図1
Description
この種のパワーモジュール構造体としては、例えば絶縁体セラミックスと、この絶縁体セラミックスの一面にハンダ層を介して設けられた回路層と、絶縁体セラミックスの他面にハンダ層を介して設けられた放熱板と、この放熱板に熱伝導グリース層を介して装着されたヒートシンクとを備える構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このパワーモジュール構造体は、回路層の表面に例えば半導体チップのような発熱体を配設することで使用される。そして、使用時には、発熱体のオンオフが繰り返されることにより、パワーモジュール構造体全体に温度サイクルが作用することとなる。
また、本発明の絶縁伝熱シートは、前記絶縁性高熱伝導硬質粒子が、前記母材内部に配置されていることが好ましい。
また、前記絶縁性高熱伝導硬質粒子が、前記母材の前記一方の表面に配置されていることが好ましい。
これらの発明によれば、上下両面に高熱伝導体層を加熱加圧して配置することで、絶縁性高熱伝導硬質粒子が高熱伝導体層内に突き出され、上述と同様に発熱体側の熱を効率よく放熱体側に伝導させて拡散させる。
この発明によれば、例えば格子状のように、絶縁性高熱伝導硬質粒子を母材の面方向の2方向でそれぞれ一定の間隔となるように配置することで、各高熱伝導体層内で各高熱伝導体層間の熱伝導性に偏りが生じることを抑制する。これにより、各高熱伝導体層間の熱伝導が効率よく行われる。また、絶縁性高熱伝導硬質粒子が母材内で偏りなく配置されているので、絶縁性高熱伝導硬質粒子の使用量を抑制し、製造コストを削減することができる。
この発明によれば、母材の厚さを50μm以上とすることで、両面に配置される高熱伝導体層間の耐電圧特性の劣化を防止して高熱伝導体層間の絶縁性を維持する。また、母材の厚さを500μm以下とすることで、両面に高熱伝導体層を配置したときに高熱伝導体層を含む熱膨張率が増大し、接合部にクラックが発生することを抑制する。
この発明によれば、低熱膨張係数でかつ熱伝導率の高いダイヤモンド、SiC、Si3N4、AlN及びBNを用いることで、高熱伝導体層を配置したときに絶縁伝熱シートと高熱伝導体層とを合わせた熱膨張係数が小さくなると共に、高熱伝導体層間で良好に熱が伝達される。
この発明によれば、絶縁性高熱伝導硬質粒子が切頭八面体形状を有するダイヤモンド粒子を有することで、ダイヤモンド粒子の(100)面または(111)面が加熱加圧時に高熱伝導体層と対向するように配置されやすくなる。これにより、ダイヤモンド粒子が高熱伝導体層に対して十分に突き出させることができる。したがって、一方の高熱伝導体層から他方の高熱伝導体層への熱伝導がより効率よく行われる。
この発明によれば、熱伝導微粒子によっても高熱伝導体層に発生する熱を他方の高熱伝導体層に熱伝導させ、さらに、使用時において温度サイクルが繰り返し変動することになっても、高熱伝導体層と母材との剥離を防止する。
本実施形態における絶縁伝熱シート1は、図1に示すように、上下両面に高熱伝導体層2、3を接着することで絶縁伝熱構造体4として使用される。
この絶縁伝熱シート1は、図2に示すように、母材5と、母材5の内部に1層配置されたダイヤモンド粒子(絶縁性高熱伝導硬質粒子)6とによって構成されている。
母材5は、厚さが50μm以上500μm以下の、例えばエポキシやポリイミドなどの熱硬化性樹脂のシートによって構成されており、絶縁抵抗が1010Ω・cm以上、融点が450〜600℃(連続使用温度250℃以上に耐えることが可能な温度(ハンダの融点温度以上))となっている。
まず、例えば厚さ0.1mmのエポキシ樹脂シートを母材5としてこれにダイヤモンド粒子6の粒径よりも小さい貫通孔5Aを、例えば格子状のように、母材5の面方向で互いに直交する2方向でそれぞれ等間隔となるように形成する(図5(a)参照)。そして、貫通孔5Aを形成した母材5の一面にダイヤモンド粒子6を配置し、例えば母材5を振動させることでダイヤモンド粒子6を貫通孔5Aに係合させる(図5(b)参照)。次に、貫通孔5Aにダイヤモンド粒子6を係合させた母材5を、一方が超硬合金によって構成され、他方がプラスチックによって構成された一対のローラ間に通過させることで、ダイヤモンド粒子6を貫通孔5Aに嵌合させる(図5(c)参照)。以上のようにして絶縁伝熱シート1を製造する。なお、ダイヤモンド粒子6を貫通孔5Aに嵌合させた後、ダイヤモンド粒子6が貫通孔5Aから抜けることを防止するために、母材5及びダイヤモンド粒子6の表面に接着剤を塗布してもよい。
そして、このようにして製造された絶縁伝熱構造体4の一方の高熱伝導体層2を発熱体側として使用し、他方の高熱伝導体層3を放熱体側として使用することにより、一方の高熱伝導体層2側の熱がダイヤモンド粒子6を介して他方の高熱伝導体層3側に伝導されて放散される。
また、母材5の厚さを50μm以上500μm以下とすることで、高熱伝導体層2、3間の絶縁性を維持すると共に、絶縁伝熱構造体4の熱膨張率の増大を抑制して接合部にクラックが発生することを回避する。
このダイヤモンド微粒子11は、ダイヤモンド粒子6と同様に、1010Ω・cm以上、熱伝導率が1000W/m・K以上(Al2O3より高い)、硬さが高熱伝導体層2、3よりも硬く、好ましくは高熱伝導体層2、3の硬さの10倍以上(高熱伝導体層2、3をHv50〜100の純金属で構成した場合にはHv500〜1000の硬さ)の硬さを有するものが好ましい。また、ダイヤモンド微粒子11の平均粒径は、ダイヤモンド粒子6の1/10程度となっている。
なお、本実施形態において、ダイヤモンド粒子6と同一材料であるダイヤモンド微粒子11を母材5内に分散配置しているが、絶縁性高熱伝導硬質粒子に用いる材料と熱伝導微粒子に用いる材料とは異なっていてもよく、熱伝導微粒子としてSiCを用いてもよい。
まず、ガラス板上にダイヤモンド粒子6を配置し、さらに例えばポリイミドなどを含有する前駆体液をガラス板上に塗布する。そして、前駆体液の揮発成分を除去し、固形成分のみを残存させて母材16を形成する。その後、母材16をガラス板から剥離することによって絶縁伝熱シート15を製造する。このようにして製造された絶縁伝熱シート15は、上述した第1の実施形態と同様に、その両面に高熱伝導体層2、3が加熱加圧され、ダイヤモンド粒子6が高熱伝導体層2、3に突き出されることによって、絶縁伝熱構造体を構成する。
なお、本実施形態において、上述した第2の実施形態と同様に、母材16内にダイヤモンド微粒子11が分散配置されてもよい。
まず、ガラス板21の一面にポリイミドなどを含有する前駆体液を塗布することで母材5を形成する。そして、母材5の一面に溶剤を塗布することで溶剤層22を形成する(図9(a)参照)。次に、ダイヤモンド粒子6とほぼ同一の径の貫通孔23aが形成された金属またはセラミックスで形成されたマスク板23を、母材5からダイヤモンド粒子6とほぼ同一の間隙を介して配置する(図9(b)参照)。ここで、貫通孔23aは、例えば格子状のように、2方向で等間隔となるように形成されている。そして、マスク板23の上から貫通孔23aを介してダイヤモンド粒子6を溶剤層22上に配置し(図9(c)、(d)参照)、溶剤層22を乾燥させる。その後、母材5をガラス板21から剥離する(図9(e)参照)。以上のようにして絶縁伝熱シート20を製造する。このようにして製造された絶縁伝熱シート20は、上述した第1の実施形態と同様に、その両面に高熱伝導体層2、3が加熱加圧され、ダイヤモンド粒子6が高熱伝導体層2、3に突き出されることによって、絶縁伝熱構造体を構成する。
なお、本実施形態において、上述した第2の実施形態と同様に、母材5内にダイヤモンド微粒子11を配置してもよい。
まず、例えばポリイミドなどを含有する前駆体液中にダイヤモンド粒子6を分散させる。そして、ドクターブレード法によってダイヤモンド粒子6とほぼ同一の厚みを有し、内部にダイヤモンド粒子6が1層配置されたシートを製造する。その後、前駆体液の揮発成分を除去し、固形成分のみを残存させて母材5を形成する。このようにして絶縁伝熱シート20を製造する。このようにして製造された絶縁伝熱シート25は、上述した第1の実施形態と同様に、その両面に高熱伝導体層2、3が加熱加圧され、ダイヤモンド粒子6が高熱伝導体層2、3に突き出されることによって、絶縁伝熱構造体を構成する。
なお、本実施形態において、上述した第2の実施形態と同様に、母材5内にダイヤモンド微粒子11を配置してもよい。
例えば、母材は、絶縁抵抗が1010Ω・cm以上、融点が450〜600℃の熱硬化性樹脂であればよく、エポキシやポリイミド、PBI(ポリベンズイミダゾール)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAI(ポリアミドイミド)、各種の熱硬化性樹脂を用いてもよい。
また、ダイヤモンド粒子は、切頭八面体形状に限らず、正八面体形状や切頭六面体形状などであってもよい。
また、熱伝導微粒子として用いられる材料は、絶縁性高熱伝導硬質粒子と同様に、ダイヤモンドに限らず、SiC、Si3N4、AlN、BNなどを用いてもよい。
2、3 高熱伝導体層
5、16 母材
6 ダイヤモンド粒子(絶縁性高熱伝導硬質粒子)
11 ダイヤモンド微粒子(熱伝導微粒子)
Claims (9)
- 熱硬化性樹脂で形成された母材と、該母材の面方向に配置された絶縁性高熱伝導硬質粒子とを備え、
前記絶縁性高熱伝導硬質粒子が、前記母材の両面に対して加熱加圧することで配置される高熱伝導体層内に突き出されると共に、前記高熱伝導体層の間の絶縁性及び熱伝導性を確保することを特徴とする絶縁伝熱シート。 - 前記絶縁性高熱伝導硬質粒子が、前記母材の少なくとも一方の面から突出するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁伝熱シート。
- 前記絶縁性高熱伝導硬質粒子が、前記母材内部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁伝熱シート。
- 前記絶縁性高熱伝導硬質粒子が、前記母材の前記一方の表面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁伝熱シート。
- 前記絶縁性高熱伝導硬質粒子が、前記母材の面方向の互いに交差する2方向で、少なくともそれぞれの方向で等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の絶縁伝熱シート。
- 前記母材の厚さが、50μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の絶縁伝熱シート。
- 前記絶縁性高熱伝導硬質粒子が、ダイヤモンド、SiC、Si3N4、AlN及びBNのうちの少なくとも1種によって構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の絶縁伝熱シート。
- 前記絶縁性高熱伝導硬質粒子が、切頭八面体形状を有するダイヤモンド粒子を有することを特徴とする請求項7に記載の絶縁伝熱シート。
- 前記絶縁体層内に、前記絶縁性高熱伝導硬質粒子よりも小径の熱伝導微粒子が分散配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の絶縁伝熱シート。
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2005
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