JP2018105608A - 給湯装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】浴槽を短時間で排水することをユーザーが望む場合にも浴槽水の熱を貯湯タンク内に回収することが可能な給湯装置を提供する。【解決手段】給湯装置1は、自動で開閉可能な電動排水栓9が設置された浴槽8に貯留された浴槽水の熱を貯湯タンク15内へ回収する浴槽熱回収運転を実行可能である。給湯装置1は、浴槽8内の浴槽水を電動排水栓9から排出する場合に浴槽熱回収運転を実行させる熱回収排水モードを有する制御装置10を備える。熱回収排水モードは、電動排水栓9を自動で開かせ、電動排水栓9から浴槽水を排出しながら浴槽熱回収運転を実行させる排水優先モードを少なくとも含む。【選択図】図2

Description

本発明は、給湯装置に関する。
浴槽の残り湯の熱を貯湯タンク内へ回収する浴槽熱回収運転を実行可能な給湯装置が知られている。下記特許文献1に開示された給湯装置は、以下のように構成される。全員の入浴終了後、排水用スイッチが操作されると、浴槽熱回収運転を実行する。浴槽熱回収運転の終了後、電動排水栓を開き、残り湯すなわち浴槽水を排出する。
特開平9−72607号公報
特許文献1の技術では、ユーザーが排水用スイッチを操作してから、浴槽の排水が完了するまでに、長い時間がかかる。例えば、浴槽水の総量を180L、浴槽水循環ポンプによる循環流量を10L/分と仮定すると、浴槽熱回収運転において浴槽水の全量を一巡させるのに18分間かかる。その後の排水時間が例えば7分間程度と仮定すると、最低でも合計25分間程度の時間がかかる。このため、浴槽を短時間で排水することをユーザーが望む場合には、浴槽熱回収運転を実行できない。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、浴槽を短時間で排水することをユーザーが望む場合にも浴槽水の熱を貯湯タンク内に回収することが可能な給湯装置を提供することを目的とする。
本発明に係る給湯装置は、自動で開閉可能な排水栓が設置された浴槽に貯留された浴槽水の熱を貯湯タンク内へ回収する浴槽熱回収運転を実行可能な給湯装置において、浴槽内の浴槽水を排水栓から排出する場合に浴槽熱回収運転を実行させる熱回収排水モードを有する制御手段を備え、熱回収排水モードは、排水栓を自動で開かせ、排水栓から浴槽水を排出しながら浴槽熱回収運転を実行させる排水優先モードを少なくとも含むものである。
本発明の給湯装置によれば、排水栓から浴槽水を排出しながら浴槽熱回収運転を実行させる排水優先モードを設けたことで、浴槽を短時間で排水することをユーザーが望む場合にも浴槽水の熱を貯湯タンク内に回収することが可能となる。
実施の形態1による給湯装置を示す図である。 図1に示す給湯装置の浴槽熱回収運転における流体の流れを示す図である。 熱回収排水モードの処理を含むフローチャートである。 実施の形態2による給湯装置の浴槽熱回収運転における流体の流れを示す図である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による給湯装置1を示す図である。本実施の形態の給湯装置1は、貯湯ユニット20及び熱源ユニット30を備える。貯湯ユニット20が備える筐体の内部には、貯湯タンク15と、制御装置10を構成する制御基板と、後述するその他の機器とが収納されている。給水管21が貯湯ユニット20に接続されている。水道等の外部の水源からの水が給水管21を通って貯湯ユニット20に供給される。給水管21から供給された水は、貯湯ユニット20の内部の給水管22を通って、貯湯タンク15の下部に流入可能である。貯湯タンク15内では、温度による水の密度の違いにより、上側が高温で下側が低温の温度成層が形成可能である。
給湯装置1が家庭用のものである場合には、貯湯タンク15の容量は、例えば、370L〜550L程度でもよい。貯湯タンク15は、例えばステンレス鋼のような金属製である。貯湯タンク15は、図示しない断熱材により覆われており、内部に貯留された湯を保温することができる。
貯湯タンク15には、貯湯タンク15内の水温を検出するための、複数の温度センサ13a〜13eが、互いに異なる高さの位置に取り付けられている。図示の例では、上から順に、5個の温度センサ13a〜13eが設けられている。これらの温度センサ13a〜13eにより、貯湯タンク15内の鉛直方向の温度分布を検出することで、貯湯タンク15内の貯湯量及び蓄熱量を計算可能となる。
熱源ユニット30は、水を加熱する加熱手段の例である。熱源ユニット30は、例えば、圧縮機、空気熱交換器、水熱交換器などを備えて構成されるヒートポンプ熱源機でもよい。ヒートポンプ熱源機の冷媒回路に用いる冷媒としては、例えば、CO、HFC系冷媒が挙げられる。本発明における加熱手段は、ヒートポンプ熱源機に限定されるものではなく、例えば、ガス、灯油、重油、石炭のような燃料の燃焼熱で加熱する燃焼式加熱装置でもよいし、太陽熱により加熱する装置でもよいし、これらを組み合わせたものでもよい。
水路23は、貯湯タンク15の下部と、熱源ユニット30の水入口との間をつなぐ。水路23の途中に水ポンプ14aが接続されている。水路24は、熱源ユニット30の水出口と、貯湯タンク15の上部との間をつなぐ。図示の例では貯湯ユニット20内に水ポンプ14aが配置されているが、この例に代えて、熱源ユニット30内に水ポンプ14aが配置されてもよい。
貯湯ユニット20の内部には、給湯混合弁2、熱交換器3、気泡発生装置4、電磁弁7、三方弁11、水ポンプ14b、及び水ポンプ14cが備えられている。給湯混合弁2は、第一入口2a、第二入口2b、及び出口2cを有する。第一入口2aは、給水管25に接続されている。給水管21から貯湯ユニット20に供給された水は、貯湯ユニット20の内部で、給水管25を通って給湯混合弁2に流入可能である。第二入口2bは、出湯路26を介して、貯湯タンク15の上部につながる。給湯混合弁2は、例えばステッピングモータのようなアクチュエータにより弁体を駆動することで、第一入口2aから流入する水と、第二入口2bから流入する湯との混合比を調整可能な構成を有する。給湯混合弁2により、給水管25から供給される水と、貯湯タンク15から供給される高温の湯とを混合することで、給湯温度を調整できる。
貯湯ユニット20は、外部配管を介して、給湯端末5と、浴室の浴槽8とに接続されている。給湯混合弁2から流出した湯を、給湯端末5及び浴槽8へ供給可能である。給湯端末5は、例えば、浴室のシャワー、キッチンシンクの蛇口、洗面所の蛇口のうちの少なくとも一つを含んでもよい。図示の例では、一つの給湯混合弁2から給湯端末5及び浴槽8の双方へ給湯可能としているが、この例に代えて、給湯端末5に給湯するための混合弁と、浴槽8に給湯するための混合弁とを別々に備えてもよい。
以下の説明では、浴槽8に溜められた湯水を「浴槽水」と称する。また、貯湯タンク15に溜められた湯水を「タンク水」と呼ぶことがある。
熱交換器3は、浴槽水と、熱媒体となるタンク水との間で熱を交換する熱交換器である。熱交換器3は、第一水路27及び第二水路28を介して、浴槽8に接続されている。第一水路27の途中に、気泡発生装置4及び水ポンプ14cが接続されている。温度センサ12aは、第一水路27を通る浴槽水の温度を検出する。水ポンプ14cが運転されると、浴槽8内の浴槽水が第一水路27に引き込まれる。当該浴槽水は、第一水路27、熱交換器3、及び第二水路28をこの順に通過し、浴槽8内に戻る。本実施の形態では、第一水路27、熱交換器3、及び第二水路28により、浴槽8に接続された循環回路が形成される。以下の説明では、当該循環回路を「浴槽循環回路」と呼ぶことがある。
第二水路28の途中から給湯管29が分岐している。給湯管29は、給湯混合弁2の出口2cにつながる。給湯管29の途中に接続された電磁弁7が開くと、給湯混合弁2から流出した湯が、給湯管29、第一水路27及び第二水路28を通って、浴槽8へ注入される。
三方弁11は、第一入口11a、第二入口11b、及び出口11cを有する流路切替弁である。第一入口11aは、上部水路31を介して、貯湯タンク15の上部につながる。第二入口11bは、第一下部水路32を介して貯湯タンク15につながる。図示の例では、第一下部水路32と貯湯タンク15との接続位置は、貯湯タンク15の1/2の高さよりも低い位置にある。出口11cは、水路33を介して、熱交換器3のタンク水の入口につながる。
熱交換器3のタンク水の出口は、第二下部水路34を介して、貯湯タンク15につながる。第二下部水路34の途中に、水ポンプ14bが接続されている。図示の例では、第二下部水路34と貯湯タンク15との接続位置は、第一下部水路32と貯湯タンク15との接続位置に比べて低い位置にある。このような構成に代えて、第一下部水路32と貯湯タンク15との接続位置が、第二下部水路34と貯湯タンク15との接続位置に比べて低い位置にあってもよい。温度センサ12bは、第二下部水路34を通るタンク水の温度を検出する。温度センサ12cは、水路33を通るタンク水の温度、すなわち熱交換器3に流入するタンク水の温度を検出する。
気泡発生装置4は、浴槽循環回路を流れる浴槽水の中に気泡を発生させることが可能である。当該気泡は、例えば、マイクロバブルのような微細な気泡を含むものでもよい。当該気泡は、浴槽循環回路の流路内壁に付着した、例えば皮脂汚れのような汚れを洗浄除去する作用を有する。気泡発生装置4は、例えば、以下のようなエジェクタを備えるものでもよい。エジェクタは、浴槽水の流路を縮径させる縮径部を有する。この縮径部に発生する負圧により、吸気通路から、例えば空気のような気体を自然吸気できる。当該縮径部において、浴槽水の流れに対して垂直な方向から、吸気通路を通って気体が導入される。エジェクタの上流側の位置には、エジェクタに流入する水流を旋回させる静止翼が備えられていてもよい。静止翼は、例えば、流路の軸線を中心とする旋回流を形成する。静止翼により形成される浴槽水の旋回流が気泡をせん断して微細化することで、微細な気泡を生成できる。
本実施の形態において気泡発生装置4により生成される気泡は、浴槽循環回路の流路内を浄化する作用を有する成分の例である。浄化作用を有する成分は、気泡に限定されるものではなく、例えば、界面活性剤のような洗剤、あるいは抗菌効果を有するミネラルなどを、気泡に代えて、または気泡と共に、用いてもよい。浄化作用を有する成分を浴槽水に添加した流体を浴槽循環回路に循環させることで、浴槽循環回路に対する優れた洗浄効果が得られる。
本実施の形態では、気泡発生装置4で気泡を発生することなく浴槽循環回路に浴槽水を循環させることも可能である。例えば、気泡発生装置4に通じる吸気通路に電磁弁(図示省略)を設け、当該電磁弁の開閉により、気泡発生装置4による気泡発生の有無を切り替えることができる。
給湯装置1が備える各種のアクチュエータは、制御装置10に対して電気的に接続されている。制御装置10は、各種のセンサで検出された情報、及び端末装置6から受信した情報などに基づいて、給湯装置1の運転を制御する。制御装置10の各機能は、処理回路により実現されてもよい。制御装置10の処理回路は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備えてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置10の各機能を実現してもよい。制御装置10の処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェアを備えてもよい。単一の制御装置10により動作が制御される構成に限定されるものではなく、複数の制御装置が連携して制御する構成にしてもよい。
端末装置6は、ユーザーインターフェースとしての機能を有する。端末装置6は、制御装置10に対して、双方向にデータ通信可能に接続される。その通信は、無線通信でも有線通信でもよい。複数の端末装置6が、制御装置10に対して通信可能でもよい。浴室に設置される浴室リモコンを端末装置6として備えてもよい。台所に設置される台所リモコンを端末装置6として備えてもよい。宅内のネットワークを介して、端末装置6と制御装置10とが通信可能でもよい。端末装置6と制御装置10とは、例えば、住宅に備えられた複数の電気機器を管理するホームエネルギーマネジメントシステムのコントローラのような、外部の機器を介して通信可能でもよい。端末装置6は、例えば、スマートフォン、タブレット端末のような携帯端末でもよい。端末装置6が携帯端末である場合、ユーザーの外出先から端末装置6が例えばインターネットなどのネットワークを介して制御装置10と通信可能でもよい。
端末装置6は、例えば、液晶表示パネル、有機EL表示パネルなどの表示装置を備えてもよい。当該表示装置は、文字、図形、キャラクタ等を表示することで、給湯装置1に関する情報をユーザーに報知できる。端末装置6は、例えば、音声出力装置などの他の報知装置を備えてもよい。端末装置6は、ユーザー操作を受け付ける操作部を備える。当該操作部は、例えば、ユーザーが操作するボタン、タッチパネル、タッチパッドのうちの少なくとも一つを備えてもよい。ユーザーは、当該操作部を操作することにより、給湯装置1の運転に関する指令及び設定値の変更などを、端末装置6に対して入力できる。
電動排水栓9は、浴槽8の底部に設置されている。電動排水栓9は、自動で開閉可能な排水栓の例である。電動排水栓9が閉じているときには浴槽8内に浴槽水を溜めることができる。電動排水栓9が開くと、浴槽8内の浴槽水が、電動排水栓9を通って、例えば排水管(図示省略)へ排出される。電動排水栓9を開くことで、浴槽8内の浴槽水をすべて外部へ排出することができる。電動排水栓9は、例えば、電動機(図示省略)により駆動されることで開閉する。電動排水栓9は、その開度を調整可能なものでもよい。例えば、ステッピングモータ(図示省略)により電動排水栓9を駆動することで、電動排水栓9の開度を容易に調整できる。制御装置10は、電動排水栓9の動作を制御可能である。制御装置10が電動排水栓9の動作を直接的に制御してもよいし、浴室またはその近くに設置された電動排水栓9の制御ユニット(図示省略)を介して間接的に制御装置10が電動排水栓9の動作を制御してもよい。
端末装置6は、電動排水栓9を作動させるためのユーザー操作を受け付けることができる。ユーザーは、電動排水栓9を開くための指令と、電動排水栓9を閉じるための指令とを端末装置6に対して入力可能である。ユーザーは、端末装置6を操作することで、電動排水栓9を遠隔操作することができる。
浴槽8またはその近くに、ユーザーが操作するための排水栓開閉ボタン35が設置されている。排水栓開閉ボタン35の信号は、制御装置10に入力される。排水栓開閉ボタン35の信号が電動排水栓9の上記制御ユニットに入力され、当該制御ユニットが制御装置10に信号を伝送してもよい。ユーザーが排水栓開閉ボタン35を操作すると、その操作に応じて、電動排水栓9が開または閉になるように作動する。例えば、浴槽8に排水栓開閉ボタン35が取り付けられていてもよいし、浴室に設置された端末装置6である浴室リモコンに排水栓開閉ボタン35が備えられてもよい。
(蓄熱運転)本実施の形態の給湯装置1は、蓄熱運転を実行できる。蓄熱運転は、熱源ユニット30で加熱された湯を貯湯タンク15に流入させる運転である。給湯装置1は、主として夜間に蓄熱運転を行ってもよい。給湯装置1は、追加的な蓄熱運転を昼間に行ってもよい。蓄熱運転のときには、以下のようになる。熱源ユニット30及び水ポンプ14aが運転される。貯湯タンク15内の下部の水が、水路23を通って、熱源ユニット30に供給される。熱源ユニット30内で加熱された湯すなわち高温水が、水路24を通って貯湯ユニット20に戻り、貯湯タンク15内の上部に流入する。
蓄熱運転の開始時には、貯湯タンク15内の高温水は消費されており、貯湯タンク15内の下部には、給水管21から供給される水の温度に近い温度の低温水が貯留されている。蓄熱運転を行うことで、当該低温水が熱源ユニット30内の水熱交換器にて加熱されて高温水となる。この高温水が貯湯タンク15の上部に流入することで、貯湯タンク15内では、上層の高温水層と下層の低温水層との間の温度境界層が下へ移動する。これにより、貯湯タンク15内の貯湯量及び蓄熱量が増加する。
蓄熱運転のときに、制御装置10は、熱源ユニット30から流出する高温水の温度が、目標加熱温度に等しくなるように、熱源ユニット30及び水ポンプ14aの少なくとも一方の運転を制御してもよい。当該目標加熱温度は、例えば、65℃から90℃の範囲内にある温度でもよい。
(給湯運転)本実施の形態の給湯装置1は、給湯端末5へ給湯する給湯運転を実行できる。給湯端末5が開かれて湯が流出した場合に、給湯運転が開始する。給湯運転では、以下のようになる。貯湯タンク15の上部からの高温水と、給水管25からの低温水とが給湯混合弁2により混合され、その混合された湯が給湯端末5へ供給される。給湯混合弁2の下流の流路には、給湯混合弁2から流出する湯の温度を検出する温度センサ12dが設置されている。制御装置10は、給湯混合弁2から流出する湯の温度が、ユーザーにより設定された給湯温度に等しくなるように、給湯混合弁2の動作を制御する。貯湯タンク15の上部から流出した高温水と同量の低温水が給水管22から貯湯タンク15の下部に流入する。これにより、貯湯タンク15内の温度境界層が上へ移動する。
(湯張り運転)本実施の形態の給湯装置1は、湯張り運転を実行できる。湯張り運転は、入浴に備えて浴槽8に湯を溜める運転である。ユーザーが端末装置6を操作することで湯張り運転を開始させることができる。また、ユーザーが予約した時刻に応じて制御装置10が湯張り運転を開始させてもよい。湯張り運転では、以下のようになる。電動排水栓9は閉となる。電磁弁7は開となる。貯湯タンク15の上部からの高温水と、給水管25からの低温水とが給湯混合弁2により混合され、その混合された湯が、給湯管29及び浴槽循環回路の流路を通って、浴槽8内に注入される。このとき、給湯管29を出た湯の流れが、第二水路28を経由して浴槽8に向かう流れと、熱交換器3及び第一水路27を経由して浴槽8に向かう流れとに分かれてもよい。制御装置10は、給湯混合弁2から流出する湯の温度が、ユーザーにより設定された湯張り温度に等しくなるように、給湯混合弁2の動作を制御する。貯湯タンク15の上部から流出した高温水と同量の低温水が給水管22から貯湯タンク15の下部に流入する。これにより、貯湯タンク15内の温度境界層が上へ移動する。
本実施の形態において給湯装置1は、浴槽8内の水位を検出する水位検出手段を備える。浴槽循環回路に取り付けられた水位センサ36は、当該水位検出手段の例である。以下の説明では浴槽8内の水位を「浴槽水位」と称する。浴槽循環回路内の水圧を水位センサ36により検出することで、浴槽水位を検出可能である。制御装置10は、浴槽水位が目標水位に達した場合に、湯張り運転を終了してもよい。または、例えば給湯管29に流量センサを設け、給湯管29を通る湯の積算流量が、目標の湯張り量に達した場合に、制御装置10が湯張り運転を終了してもよい。
(追焚運転)本実施の形態の給湯装置1は、追焚運転を実行できる。浴槽水の水温が低下した場合には、追焚運転を行い、浴槽水の温度を上昇させることが可能である。追焚運転では、以下のようになる。三方弁11は、上部水路31を水路33に連通させ、第一下部水路32を遮断する状態となる。水ポンプ14b及び水ポンプ14cが運転される。貯湯タンク15の上部から流出した高温のタンク水が、上部水路31、三方弁11、及び水路33を経由して、熱交換器3に供給される。浴槽8内の浴槽水が、第一水路27を通って、熱交換器3に流入する。熱交換器3内での熱交換により、浴槽水の温度が上昇し、タンク水の温度が低下する。昇温した浴槽水は、第二水路28を通って、浴槽8内に戻る。降温したタンク水は、第二下部水路34を通って、貯湯タンク15の下部に流入する。温度センサ12aで検出された浴槽水の温度が目標温度に達した場合に、制御装置10が追焚運転を終了してもよい。
(浴槽熱回収運転)本実施の形態の給湯装置1は、浴槽熱回収運転を実行できる。浴槽熱回収運転は、浴槽8に貯留された浴槽水の熱を貯湯タンク15内へ回収する運転である。浴槽熱回収運転は、入浴が終了した後に実行される。
図2は、図1に示す給湯装置1の浴槽熱回収運転における流体の流れを示す図である。図2に示すように、浴槽熱回収運転では、以下のようになる。三方弁11は、第一下部水路32を水路33に連通させ、上部水路31を遮断する状態となる。水ポンプ14b及び水ポンプ14cが運転される。貯湯タンク15の下部から流出した低温のタンク水が、第一下部水路32、三方弁11、及び水路33を経由して、熱交換器3に供給される。浴槽8内の浴槽水が、第一水路27を通って、熱交換器3に流入する。熱交換器3内での熱交換により、浴槽水の温度が低下し、タンク水の温度が上昇する。降温した浴槽水は、第二水路28を通って、浴槽8内に戻る。昇温したタンク水は、第二下部水路34を通って、貯湯タンク15の下部に流入する。
入浴後に浴槽8内に残った浴槽水の温度が、貯湯タンク15内の下部の水温に比べて高い場合には、浴槽熱回収運転を行うことで、浴槽水の熱を貯湯タンク15内に回収可能である。浴槽8内に残った浴槽水の温度は、温度センサ12aにより検出できる。貯湯タンク15内の下部の水温は、三方弁11と熱交換器3との間にある温度センサ12cにより検出してもよいし、貯湯タンク15の下部に取り付けられた温度センサ13eにより検出してもよい。
浴槽熱回収運転を行うことで、貯湯タンク15内の下部の水温を上昇させることができる。貯湯タンク15内の下部の水温が上昇すると、蓄熱運転のときに熱源ユニット30が水を加熱するときの加熱量が減少するので、熱源ユニット30の消費電力量が減少する。すなわち、浴槽熱回収運転を行うことで、省エネルギーの効果が得られる。
本実施の形態において制御装置10は、制御モードとして、熱回収排水モードを有する。熱回収排水モードは、浴槽8内の浴槽水を電動排水栓9から排出する場合に浴槽熱回収運転を実行させるモードである。以下の説明では、浴槽8内の浴槽水を電動排水栓9から排出することを「浴槽8の排水」と称する場合がある。
本実施の形態における熱回収排水モードは、排水優先モードを含む。排水優先モードは、電動排水栓9を自動で開かせ、電動排水栓9から浴槽水を排出しながら浴槽熱回収運転を実行させるモードである。
本実施の形態であれば、排水優先モードが実行されることで、以下の効果が得られる。浴槽8の排水と浴槽熱回収運転とを並行して行うことで、浴槽8の排水が完了するまでの時間が長くなることを防止しつつ、浴槽水の熱を貯湯タンク15内に回収することが可能となる。すなわち、浴槽8を短時間で排水することをユーザーが望む場合にも、浴槽熱回収による省エネルギーを図ることが可能となる。浴槽熱回収運転は、浴槽水位が基準より高い状態でなければ実行できない。例えば、浴槽水位が、浴槽循環回路と浴槽8との接続位置より高い状態でなければ浴槽熱回収運転を実行できない。本実施の形態であれば、排水優先モードにおいて浴槽8の排水と浴槽熱回収運転とを連携することで、浴槽8の排水中の限られた時間の中で、浴槽熱回収運転の運転時間をなるべく長くすることが可能となる。例えば、電動排水栓9を自動で開かせて浴槽8の排水を開始するのと同時期に浴槽熱回収運転を開始することで、浴槽8の排水が完了するまでの時間が長くなることを防止しつつ、浴槽熱回収運転の運転時間をなるべく長くすることが可能となる。また、ユーザーが、浴槽8を排水するための操作と、浴槽熱回収運転を開始させるための操作とを別々に行うような煩わしさがなく、優れた利便性が得られる。
本実施の形態において制御装置10は、熱回収排水モードとして、排水優先モードに加えて、熱回収優先モードをさらに備える。熱回収優先モードは、浴槽熱回収運転が少なくとも途中まで実行された後に電動排水栓9を自動で開かせて浴槽8の排水を開始するモードである。すなわち、熱回収優先モードの場合には、浴槽熱回収運転の終了後に浴槽8の排水が開始されるか、または、浴槽熱回収運転が途中まで実行された段階で浴槽8の排水が開始される。熱回収優先モードによれば、浴槽熱回収運転の運転時間を、排水優先モードに比べて長くすることができる。その結果、浴槽熱回収運転による貯湯タンク15への回収熱量をより多くでき、省エネルギーの効果がより大きくなる。
排水優先モードと熱回収優先モードとのいずれを実行するかをユーザーが選択可能としてもよい。例えば、ユーザーが端末装置6を操作することで、排水優先モードと熱回収優先モードとのいずれを実行するかを選択可能としてもよい。
本実施の形態において端末装置6は、浴槽8の排水を許可するユーザー操作を受け付け可能に構成されている。以下の説明では、浴槽8の排水を許可するユーザー操作を「排水操作」と称する。ユーザーは、例えば、世帯の全員の入浴が終了した場合のように、浴槽8内の浴槽水を排出してよい場合には、端末装置6に対して排水操作を行う。
本実施の形態において制御装置10は、排水操作がされた場合に、熱回収排水モードを実行することが可能である。まだ入浴していない人がいる場合などには、熱回収排水モードの実行を避ける必要がある。よって、熱回収排水モードを実行する前に、浴槽8内の浴槽水が不要になったというユーザーの意思を確認することが望まれる。排水操作がされたことは、浴槽8内の浴槽水が不要になったというユーザーの意思が確認できたことに相当する。本実施の形態であれば、ユーザーの随時の排水操作に応じて熱回収排水モードを実行することで、適切なタイミングで熱回収排水モードを実行できる。
また、本実施の形態において端末装置6は、浴槽8の排水を予約するユーザー操作を受け付け可能に構成されている。ユーザーは、端末装置6を操作することで、浴槽8を排水する時刻を予約できる。当該予約は、当日限りの予約でもよいし、解除しない限り毎日適用される予約でもよいし、日付または曜日のようなスケジュールが決められた予約でもよい。本実施の形態において制御装置10は、上記の予約に応じて熱回収排水モードを実行することが可能である。浴槽8の排水をユーザーが予約した時刻になった場合には、浴槽8内の浴槽水が不要になったというユーザーの意思が確認できたことに相当する。本実施の形態であれば、ユーザーによる予約に応じて熱回収排水モードを実行することで、適切なタイミングで熱回収排水モードを実行できる。
排水優先モードと熱回収優先モードとのいずれを実行するかを制御装置10により自動的に選択可能としてもよい。その場合、例えば、以下のようにしてもよい。浴槽水の温度、タンク水の温度、浴槽8の排水の予約時刻、のうちの少なくとも一つの情報に基づいて、排水優先モードと熱回収優先モードとのいずれを実行するかを制御装置10が自動的に選択してもよい。
図3は、熱回収排水モードの処理を含むフローチャートである。図3のステップS1で、制御装置10は、例えば端末装置6から受信した情報に基づいて、浴槽8内の浴槽水を排出してよいかどうかを判断する。例えば、排水操作がされた場合には、浴槽8内の浴槽水を排出してよいと判定される。あるいは、浴槽8の排水をユーザーが予約した時刻になった場合には、浴槽8内の浴槽水を排出してよいと判定される。
浴槽8内の浴槽水を排出してよいと判定された場合には、処理はステップS1からステップS2へ進む。ステップS2で、制御装置10は、浴槽8内の浴槽水の温度から、貯湯タンク15内の下部のタンク水の温度を引いた温度差を、基準値Zと比較する。浴槽8内の浴槽水の温度は、水ポンプ14cを運転し、浴槽8内の浴槽水を温度センサ12aの位置に引き込むことで、温度センサ12aにより検出できる。貯湯タンク15内の下部のタンク水の温度は、三方弁11により第一下部水路32を水路33に連通させ、水ポンプ14bを運転し、貯湯タンク15から第一下部水路32及び三方弁11を通してタンク水を温度センサ12cの位置に引き込むことで、温度センサ12cにより検出できる。または、貯湯タンク15の下部に取り付けられた温度センサ13eによりタンク水の温度を検出してもよい。
ステップS2で、浴槽水の温度からタンク水の温度を引いた温度差が基準値Zに比べて大きい場合には、浴槽8から貯湯タンク15へ回収可能な熱量が多いと考えられる。この場合には、処理はステップS2からステップS3へ進む。ステップS3で、制御装置10は、浴槽熱回収運転を開始する。ステップS3は、熱回収優先モードを開始する処理に相当する。
処理はステップS3からステップS4へ進む。ステップS4で、制御装置10は、浴槽熱回収運転を終了させる条件の成否を判断する。以下の複数の終了条件のうちの少なくとも一つに基づいて、浴槽熱回収運転を終了してもよい。温度センサ12aで検出された浴槽水温が、温度センサ12cまたは温度センサ13eにより検出されたタンク水温に比べて、低くなった場合または温度差が小さくなった場合に、浴槽熱回収運転を終了してもよい。浴槽熱回収運転の開始からの経過時間が、予め設定された運転時間に達した場合に、浴槽熱回収運転を終了してもよい。当該運転時間は、例えば、5分間〜40分間程度でもよい。上述した二つの終了条件を併用する場合には、水温の条件を優先することが望ましい。
ステップS4で終了条件が成立していない場合には浴槽熱回収運転が継続され、再度ステップS4の判断を行う。終了条件が成立すると、処理はステップS4からステップS5へ進む。ステップS5で、制御装置10は、浴槽熱回収運転を終了させる。
処理はステップS5からステップS6へ進む。ステップS6で、制御装置10は、電動排水栓9を開かせる。これにより、浴槽8内の浴槽水が電動排水栓9から排出され始める。
一方、前述したステップS2で、浴槽水の温度からタンク水の温度を引いた温度差が基準値Zに比べて大きくない場合には、浴槽8から貯湯タンク15へ回収可能な熱量が少ないと考えられる。この場合には、処理はステップS2からステップS7へ進む。ステップS7で、制御装置10は、電動排水栓9を開かせるとともに浴槽熱回収運転を開始する。ステップS7は、排水優先モードを開始する処理に相当する。排水優先モードにおける浴槽熱回収運転の実行中、電動排水栓9が開いているため、浴槽水位は徐々に低下していく。
処理はステップS7からステップS8へ進む。ステップS8で、制御装置10は、水位センサ36により検出される浴槽水位に基づいて、浴槽熱回収運転を終了させる条件の成否を判断する。熱回収運転可能水位は、浴槽熱回収運転を実行可能な最低の浴槽水位として、予め設定された浴槽水位である。熱回収運転可能水位は、例えば、浴槽循環回路と浴槽8との接続位置またはその近くに相当する浴槽水位でもよい。浴槽水位が熱回収運転可能水位まで下がると、浴槽熱回収運転の終了条件が成立したことになる。ステップS8で、制御装置10は、浴槽水位の条件に加えて、水温の条件を浴槽熱回収運転の終了条件として判断してもよい。例えば、温度センサ12aで検出された浴槽水温が、温度センサ12cまたは温度センサ13eにより検出されたタンク水温に比べて、低くなった場合または温度差が小さくなった場合に、浴槽熱回収運転の終了条件が成立したことにしてもよい。
浴槽熱回収運転の終了条件がまだ成立していない場合には、制御装置10は、浴槽熱回収運転を継続し、ステップS8の処理を再度行う。浴槽熱回収運転の終了条件が成立した場合には、処理はステップS8からステップS9へ進む。ステップS9で、制御装置10は、浴槽熱回収運転を終了する。なお、制御装置10は、ステップS2で、浴槽水の温度がタンク水の温度以下の場合には、浴槽熱回収運転を開始することなく電動排水栓9を開いて排水を開始してもよい。
上述した図3に示す処理によれば、浴槽水の温度及びタンク水の温度に基づいて、排水優先モードと熱回収優先モードとのいずれを実行するかを制御装置10が自動的に選択することにより、以下の効果が得られる。浴槽8から貯湯タンク15へ回収可能な熱量に応じて、排水優先モードと熱回収優先モードとを適切に選択できる。ユーザーが排水優先モードと熱回収優先モードとを選択する必要がないので、利便性が向上する。
制御装置10は、電動排水栓9を開閉動作させることと、電動排水栓9の弁開度を調整することとの少なくとも一方により、排水速度を調整してもよい。排水速度とは、電動排水栓9から時間当たりに排出される浴槽水の量である。例えば、制御装置10は、電動排水栓9の開度を全開よりも小さい開度に維持させることにより、電動排水栓9が全開のときに比べて排水速度を低くできる。また、制御装置10は、電動排水栓9を開閉動作させることにより、電動排水栓9が開きっぱなしのときに比べて排水速度を低くできる。電動排水栓9を開閉動作させる場合には、例えば、電動排水栓9の開閉動作の周期よりも長い、単位時間当たりに電動排水栓9から排出される浴槽水の量を「排水速度」とみなしてもよい。
制御装置10は、排水優先モード及び熱回収優先モードの少なくとも一方の浴槽熱回収運転において、電動排水栓9の開度を全開よりも小さい開度にすることと、電動排水栓9を開閉動作させることとの少なくとも一方を実行してもよい。その場合、以下の効果が得られる。電動排水栓9から排水しながら浴槽熱回収運転を行うことで排水完了までの所要時間の短縮を図りつつ、排水速度を調整することで浴槽熱回収運転の時間を長めにできるので、回収熱量を向上できる。
端末装置6は、浴槽8の排水完了までの所要時間と、浴槽8の排水完了の予定時刻との少なくとも一方を指定するユーザー操作を受け付け可能に構成されてもよい。制御装置10は、当該指定された所要時間または予定時刻に応じて、電動排水栓9により、排水速度を調整してもよい。
浴槽熱回収運転のときに熱交換器3から浴槽8内へ戻る浴槽水の温度は、浴槽8内の浴槽水の温度より低い。電動排水栓9から排水しない場合には、その低温の浴槽水が浴槽8内の浴槽水と混じることで、浴槽8内の浴槽水の温度が徐々に低下していく。
制御装置10は、排水優先モード及び熱回収優先モードの少なくとも一方の浴槽熱回収運転において、排水速度が、熱交換器3から浴槽8内へ戻る浴槽水の流量に近づくように、電動排水栓9の開度または開閉動作を調整する制御モードを有していてもよい。熱交換器3から浴槽8内へ戻る浴槽水の流量に排水速度が近づくことで、以下の効果が得られる。熱交換器3から浴槽8内へ戻る低温の浴槽水と同じ程度の量が電動排水栓9から排出されることで、当該低温の浴槽水が、浴槽8内の浴槽水に混じることを抑制できる。これにより、浴槽8内の浴槽水の温度低下を抑制できるので、熱交換器3での熱交換効率を向上できる。制御装置10は、例えば、水位センサ36により検出される浴槽水位の低下速度に基づいて排水速度を検出してもよい。制御装置10は、例えば、水ポンプ14bの動作速度に基づいて、熱交換器3から浴槽8内へ戻る浴槽水の流量を検出してもよい。制御装置10は、例えば、第一水路27または第二水路28に設けた流量センサ(図示省略)により、熱交換器3から浴槽8内へ戻る浴槽水の流量を検出してもよい。
制御装置10は、排水優先モードのときの浴槽熱回収運転における水ポンプ14cの動作速度を、熱回収優先モードのときの浴槽熱回収運転における水ポンプ14cの動作速度に比べて高くしてもよい。制御装置10は、排水優先モードのときの浴槽熱回収運転における水ポンプ14bの動作速度を、熱回収優先モードのときの浴槽熱回収運転における水ポンプ14bの動作速度に比べて高くしてもよい。上記のうちの少なくとも一方を行うことで、以下の効果が得られる。排水優先モードの、限られた時間での浴槽熱回収運転の場合に、熱交換器3への循環流量を高くすることで、限られた運転時間の中でも回収熱量を向上できる。
制御装置10は、排水優先モードのときに、浴槽8の排水開始後、電動排水栓9を途中で閉じることなく浴槽8の排水が完了するようにしてもよい。そのようにすることで、浴槽8の排水が完了するまでの所要時間を最短にできる。
熱回収排水モードの開始後に、電動排水栓9を作動させるためのユーザー操作がされた場合には、制御装置10は、熱回収排水モードの実行を停止し、当該ユーザー操作に応じて電動排水栓9を開閉させることが望ましい。例えば、熱回収排水モードの開始後に、排水栓開閉ボタン35が操作された場合には、制御装置10は、熱回収排水モードの実行を停止し、排水栓開閉ボタン35に対する操作に応じて電動排水栓9を開閉させることが望ましい。上記のようにすることで、以下の効果が得られる。例えば、ユーザーが誤って排水操作をした場合、または排水を誤って予約した場合などに、ユーザーの意図しない熱回収排水モードが開始される可能性がある。例えば、まだ入浴していない人がいる場合には熱回収排水モードの実行を中止する必要がある。あるいは、浴槽8の残り湯を洗濯等に利用する予定があるような場合には、浴槽水の排出を中止する必要がある。そのような場合に、ユーザーの意思に従い、熱回収排水モードの実行を容易に停止させることができる。
前述したように、本実施の形態では、ユーザーによる予約に応じて熱回収排水モードが実行される場合と、ユーザーの随時の排水操作に応じて熱回収排水モードが実行される場合とがある。このことに関連して、以下のようにしてもよい。制御装置10は、予約に応じて熱回収排水モードを実行する場合の浴槽熱回収運転の運転時間が、排水操作に応じて熱回収排水モードを実行する場合の浴槽熱回収運転の運転時間に比べて、長くなるように制御してもよい。排水操作をしたユーザーは、浴槽8の排水が完了した後に、例えば、浴槽8の掃除あるいは浴槽8への湯張りなどをする予定でいる可能性がある。このため、ユーザーが排水操作をしてから浴槽8の排水が完了するまでの所要時間が長すぎると、ユーザーの予定に影響する可能性がある。よって、排水操作に応じた熱回収排水モードの場合には、浴槽熱回収運転の運転時間を比較的短くすることで、上記のようなユーザーの予定に影響する可能性を低くできる。これに対し、ユーザーが浴槽8の排水を予約した場合には、浴槽8の排水が完了する時刻が多少遅くなっても、ユーザーの予定に影響する可能性は低いと考えられる。そこで、予約に応じた熱回収排水モードの場合には、浴槽熱回収運転の運転時間を比較的長くすることで、回収熱量をより多くし、より省エネルギーにすることが可能となる。
給湯装置1は、浴室にいる入浴者を検出する入浴者検出手段(図示省略)を備えてもよい。入浴者検出手段は、例えば、以下のようにして、入浴者を検出してもよい。浴室に設置された人感センサにより入浴者を検出してもよい。浴室内の画像を撮影する画像センサまたはカメラにより撮影された画像を処理することで入浴者を検出してもよい。浴室のシャワーの使用の有無により入浴者を検出してもよい。制御装置10は、入浴者検出手段が入浴者を検出した場合、すなわち入浴者がいるときには、浴槽熱回収運転及び浴槽8の排水を停止してもよい。例えば、浴槽8の排水の予約をユーザーが解除し忘れたような場合には、入浴者がいるときに熱回収排水モードが実行される可能性がある。そのような場合に、入浴者を検出して浴槽熱回収運転及び浴槽8の排水を停止することで、入浴に影響することを防止できる。
実施の形態2.
次に、図4を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。図4は、実施の形態2による給湯装置1Aの浴槽熱回収運転における流体の流れを示す図である。
図4に示すように、本実施の形態2の給湯装置1Aの浴槽熱回収運転においては、浴槽8内の浴槽水が吸入口37から第一水路27へ吸入されて熱交換器3へ送られるとともに、熱交換器3から第二水路28を通って浴槽8へ戻った浴槽水は、放出口38から浴槽8内へ放出される。放出口38の位置は、吸入口37の位置に比べて、低い位置にある。
本実施の形態2における浴槽熱回収運転のときには、以下のようになる。熱交換器3から浴槽8内へ戻る浴槽水は、浴槽8内の浴槽水に比べて、温度が低く、密度が大きい。密度の大きい低温の浴槽水が、吸入口37より低い位置にある放出口38から浴槽8内へ流入することで、浴槽8内に温度成層が形成されやすくなる。すなわち、浴槽8の底部付近に低温水層が形成され、その上層に高温水層が形成される。これにより、高温水層の浴槽水が、放出口38より高い位置にある吸入口37から吸入されることとなり、熱交換器3へ送られる浴槽水の温度を高く維持することが可能となる。
制御装置10は、浴槽熱回収運転のときに、浴槽8の底部付近の低温水層の浴槽水が電動排水栓9から排出されるように、電動排水栓9により排水速度を調整してもよい。これにより、浴槽8内で低温水層と高温水層との混合を抑制できるので、浴槽8から熱交換器3へ送られる浴槽水の温度をより高く維持することが可能となる。この場合、制御装置10は、排水速度が、熱交換器3から浴槽8内へ戻る浴槽水の流量に近づくように、電動排水栓9の開度または開閉動作を調整していてもよい。これにより、熱交換器3から浴槽8内へ戻った低温の浴槽水のみが電動排水栓9から排出される理想の状態に近くなり、浴槽8から熱交換器3へ送られる浴槽水の温度をさらに高く維持することが可能となる。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように変形することが可能である。浴槽熱回収運転は、貯湯タンクの内部に配置された熱交換器に浴槽水を導くことでタンク水と浴槽水とを熱交換する運転でもよい。浴槽熱回収運転は、浴槽水がタンク水を直接的に加熱する運転に代えて、浴槽水が水以外の熱媒体を介してタンク水を加熱する運転としてもよい。例えば、当該熱媒体として冷媒を用い、浴槽水の熱で冷媒を蒸発させ、その冷媒を圧縮機で圧縮し、圧縮された冷媒によってタンク水を加熱してもよい。
1 給湯装置、 2 給湯混合弁、 3 熱交換器、 4 気泡発生装置、 5 給湯端末、 6 端末装置、 7 電磁弁、 8 浴槽、 9 電動排水栓、 10 制御装置、 11 三方弁、 14a,14b,14c 水ポンプ、 15 貯湯タンク、 20 貯湯ユニット、 21 給水管、 26 出湯路、 27 第一水路、 28 第二水路、 29 給湯管、 30 熱源ユニット、 31 上部水路、 32 第一下部水路、 34 第二下部水路、 35 排水栓開閉ボタン、 36 水位センサ

Claims (13)

  1. 自動で開閉可能な排水栓が設置された浴槽に貯留された浴槽水の熱を貯湯タンク内へ回収する浴槽熱回収運転を実行可能な給湯装置において、
    前記浴槽内の浴槽水を前記排水栓から排出する場合に前記浴槽熱回収運転を実行させる熱回収排水モードを有する制御手段を備え、
    前記熱回収排水モードは、前記排水栓を自動で開かせ、前記排水栓から浴槽水を排出しながら前記浴槽熱回収運転を実行させる排水優先モードを少なくとも含む給湯装置。
  2. 前記排水優先モードは、前記排水栓を自動で開かせるのと同時期に前記浴槽熱回収運転を開始させる請求項1に記載の給湯装置。
  3. 前記熱回収排水モードは、前記浴槽熱回収運転が少なくとも途中まで実行された後に前記排水栓を自動で開かせる熱回収優先モードを含む請求項1または請求項2に記載の給湯装置。
  4. 前記排水優先モードを実行するか前記熱回収優先モードを実行するかをユーザーが選択可能である請求項3に記載の給湯装置。
  5. 前記排水優先モードを実行するか前記熱回収優先モードを実行するかを前記制御手段により自動的に選択可能である請求項3または請求項4に記載の給湯装置。
  6. 前記制御手段は、浴槽水の温度と、前記貯湯タンク内の水温とに基づいて、前記排水優先モードを実行するか前記熱回収優先モードを実行するかを選択可能である請求項5に記載の給湯装置。
  7. 前記浴槽熱回収運転において、浴槽水と熱媒体との間で熱を交換する熱交換器から戻った浴槽水が前記浴槽内へ放出される放出口の位置が、前記浴槽内の浴槽水が前記熱交換器につながる流路に吸入される吸入口の位置に比べて、低い位置にある請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の給湯装置。
  8. 前記浴槽熱回収運転において、前記排水栓の開度を全開よりも小さい開度にすることと、前記排水栓を開閉動作させることとの少なくとも一方を実行可能である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の給湯装置。
  9. 前記制御手段は、前記浴槽熱回収運転において、前記排水栓から時間当たりに排出される浴槽水の量が、浴槽水と熱媒体との間で熱を交換する熱交換器から前記浴槽内へ戻る浴槽水の流量に近づくように、前記排水栓の開度または開閉動作を調整する制御モードを有する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の給湯装置。
  10. 前記熱回収排水モードの実行中に、前記排水栓を作動させるためのユーザー操作がされた場合には、前記熱回収排水モードの実行が停止され、当該ユーザー操作に応じて前記排水栓が開閉される請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の給湯装置。
  11. 前記制御手段は、予約に応じて前記熱回収排水モードを開始することと、前記浴槽内の浴槽水の排出を許可するユーザー操作である排水操作がされた場合に前記熱回収排水モードを開始することとが可能である請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の給湯装置。
  12. 前記予約に応じた前記熱回収排水モードにおける前記浴槽熱回収運転の運転時間は、前記排水操作がされた場合の前記熱回収排水モードにおける前記浴槽熱回収運転の運転時間に比べて、長い請求項11に記載の給湯装置。
  13. 入浴者を検出する入浴者検出手段を備え、
    前記入浴者検出手段が入浴者を検出した場合には、前記浴槽熱回収運転及び前記浴槽内の浴槽水の排出が停止される請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の給湯装置。
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